JPH067473Y2 - 情報記録再生装置のクランプ構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は情報記録媒体を用い該媒体に情報を記録し、若
しくは、該媒体に記録されている情報を読み出すため
の、情報記録，再生装置に関し、該情報記録再生装置に
おいて、前記情報記録媒体を正確に位置決めして固定す
るためのクランプ構造に関するものである。

〔考案の概要〕

本考案は、前記情報記録媒体を駆動するためのスピンド
ルにコーン状部を有する前記情報記録媒体の案内部材を
固定し、該案内部材の近傍に、前記スピンドルの軸方向
に移動可能で且、バネ手段と係合するハブを設けた構造
で、前記情報記録媒体が前記情報記録再生装置にクラン
プされるとき、スピンドルにガタなく固定された前記案
内部材で前記情報記録媒体は偏心が調整され、前記ハブ
にて水平性が確保される。

〔従来の技術〕

情報記録再生装置におけるクランプ構造の従来構造を説
明する。

第５図が従来構造を示すクランプ部の組立断面図であ
る。図中、１はメインフレーム、２はスピンドルモータ
のフレーム、３はスピンドルモータのロータ、４は該ロ
ータ３に固定されたスピンドル、５は前記スピンドルモ
ータのフレーム２に固定されたベアリング、６は前記ス
ピンドル４の軸方向に移動可能に設けられ、バネ手段８
による上方への付勢力を受けているコーン部材、７は前
記スピンドル４に固定され、略水平なディスク載置面を
有するハブ、９はホルダで情報記録媒体であるディスク
１３を収納しているカートリッジ１２が着脱され、又、
該ディスク１３を前記コーン部材６，ハブ７から成るク
ランプ装置に着脱する作用を有する。

１０はクランプ板で、内部に磁石１１を備え、クランプ
レバー２０に支持されている。

動作について説明する。

第５図は情報記録再生装置に前記ディスク１３を装着す
る前の状態を示している。想像線で示すとおり、カート
リッジ１２と共にディスク１３が前記ホルダ９の箱部内
に左側開口部より挿入される。完全に挿入されると周知
のとおり、ホルダ９が９ａ位置から下方へ移動する。す
るとディスク１３が前記スピンドル４の中心から多少偏
心していても、該下方動作中に、コーン部材６の先端が
該ディスクの中心穴と係合し、該ディスクはその斜面に
沿って前記ディスクの中心を前記スピンドル４の中心と
一致させる方向に滑る。前記ディスクの中央の穴のほぼ
全周が前記コーン部材６の斜面に接触すると該コーン部
材とディスクの穴とは略同心となる。一方、前記ホルダ
９の下方移動とほぼ同時に前記クランプレバー２０も下
方移動するためクランプ板１０も下方へ移動し、該クラ
ンプ板の内側に設けられた磁石１１と位置決めピン２１
間の吸着作用でさらにクランプ板１０はハブ７の側に接
近する。この接近時に前述した状態にあるディスクの表
面と当接し、前記吸着力で該ディスク１３をバネ８の力
に抗してコーン部材６と共に押し下げ、前記ディスク１
３の下面がハブ７の上面に全周が接触した状態で静止す
る。

この状態では、前記ディスク１３の中心穴の全周が前記
コーン部材６の斜面に案内され、コーン部材６に対して
前記ディスクの穴が同心となった状態であり、さらに該
穴の周囲が前記ハブ７のディスク載置面に接触し、該ハ
ブ７によりディスク１３が略水平に案内され、ディスク
の上方からはクランプ板１０により磁気吸着力で押さえ
られている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記により、ディスク１３の周知の記録トラックが、前
記スピンドル４に対して偏心なく、完全に同心で、且、
該スピンドル４に垂直に（ディスク１３の平面が水平
に）取り付いた状態ならば問題はないが、該従来構造に
おいては前述したとおりコーン部材６が前記スピンドル
４に対して上下動可能な様に構成されているため、コー
ン部材６とスピンドル４との間には必らずガタを有する
様な寸法設定となる。前記吸着力より弱いバネ力を有す
るバネ部材８により動作するためと、加工能力、コスト
面から前記ガタは５〜１０数ミクロンとなり、前述した
とおり、該コーン部材６と前記ディスク１３の中心穴と
の偏心が０近くなっていたとしても、ディスク１３には
該ガタによる偏心が出てしまうことになる。前記ディス
ク１３には加工上から、中心穴に対する前記トラックの
偏心、該トラックの真円度等のバラツキがあり、これも
加味すると該トラックの半径方向の振れは大きなものと
なり、該トラックに追従して情報をリード・ライトする
周知のヘッド（図示せず）の追従性能に大きく影響を与
え、最悪の場合、該ヘッドは、前記トラックに追従でき
なくなる場合もあった。また、当然ディスクの穴径、コ
ーン部材６のコーン部径もバラツクが、最悪の場合でも
該二者間にガタがあってはならないため、前述したとお
り、ディスク下面がハブ７に載置され、完全にクランプ
された場合には必らずコーン部材６がバネ８を撓ませて
下方に下がり、コーン部材６はディスク１３の前記穴に
完全に嵌合し、又、ディスク１３はハブ７に完全に載置
された状態が確保される様、配慮されている。このた
め、第５図に示す、カートリッジ１２，ディスク１３が
情報記録再生装置から取り出されたときには、コーン部
材６がピン２１に当接するまで完全に上昇している。再
びカートリッジ１２を情報記録再生装置へ装着する場合
には前記カートリッジ１２が該コーン部材６に干渉しな
い様にコーン部材６の上方を通過する必要があり、すな
わち、カートリッジ下面と前記ハブの載置面との間のＨ
の高さが必要となる。Ｈは情報記録再生装置の厚さＴを
決定する一要因であるため、Ｈができるだけ小さな値に
なる様なクランプ構造が、小型の情報記録再生装置を開
発する上から望まれていた。

この様に、本考案は、ディスク１３の装着時にスピンド
ル４に対するディスク１３の中心穴の偏心を小さくし、
前記ヘッドが該ディスク１３のトラックに追従し易くす
ること、及び小型，薄型の情報記録再生装置を提供する
ことを目的としている。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案の情報記録再生装置のクランプ構造は、 １）情報記録媒体と、該情報記録媒体を駆動するための
スピンドルと、該スピンドルの軸端に固着されると共に
該情報記録媒体の中心出しをするコーン状部を有する前
記情報記録媒体の案内部材と、該案内部材の近傍に位置
して前記情報記録媒体の載置面を有すると共に前記スピ
ンドルの軸に沿って移動可能なハブと、該ハブに係合す
るバネ手段より構成されることを特徴とする。

２）前記情報記録再生装置に前記情報記録媒体が装着さ
れていない場合は、前記ハブは前記案内部材にて位置決
めさる構造であることを特徴とする。

〔作用〕

本考案では前述したとおり、情報記録媒体であるディス
ク１３の中心穴を精度良くスピンドル４の回転中心と同
軸に設定するため、前記スピンドル４に、コーン部材６
を固着させ、該二者間のガタを廃止したこと、及び、デ
ィスク１３の中心穴，コーン部材６の径のバラツキがあ
っても確実に、前記中心穴とコーン部材が嵌合し、且、
ディスクがハブに水平性を保って案内される様に、前記
ハブ７を前記スピンドルの軸方向へ可動的に構成し、該
ハブ７にスプリング８を係合させたものである。

こうすることにより、ディスク１３の前記調心のための
重要な作用を成すディスク１３の中心穴のコーナーへ、
ディスク装着時に過大な衝撃力が加わらない様に緩衝
し、繰返し着脱による前記コーナーの損傷を防止し、長
期使用の調心性能の信頼性をも高めることができる。

〔実施例〕

本考案の一実施例について第１図〜第４図を以って詳細
に説明する。

第１図は本考案の一実施例を示す組立断面図で情報記録
再生装置にディスクを装着する前の状態を示している。
第２図はクランプ装置にディスク１３がクランプされた
状態を示す組立断面図、第３図は第２図の組立平面図、
第４図は第１図の状態の情報記録再生装置へディスク１
３が挿入されてから、完全にクランプされるまでの動作
説明図。

全図中、１はメインフレーム、２はスピンドルモータの
フレームで前記メインフレームに固定されている。３は
スピンドルモータのロータ、４は該ロータに固着するス
ピンドル、５は前記スピンドルモータのフレームに固定
されたベアリングで前記スピンドル４の垂直性を出して
いる。６は該スピンドルの上端部に固着されたディスク
１３の調心のための案内部材で、コーン状部を有するコ
ーン部材、７は該コーン部材の周囲に位置し、スプリン
グ８の力により上方に押し上げられ、前記コーン部材６
の下端に当接して位置決めされているハブで、スピンド
ル４に対してわずかなガタを有し、スピンドル４の軸方
向移動可能である。スプリング８の下端は前記ベアリン
グの内輪に当接している。９はホルダで、情報記録媒体
であるディスク１３を収納するカートリッジ１２を支持
する作用を成し、該カートリッジの保持部、及び該保持
部から延出する４本のバネ部９Ａ，９Ａ，９Ｂ，９Ｂ部
を有し、さらにクランプ板１０を保持している。１１は
該クランプ板１０の内部に設けられた磁石である。１３
Ａは前記ディスク１３の略中央に設けられた穴。

以上の構成であるが、動作について説明する。

第１図の状態で電源ＯＦＦ状態にある情報記録再生装置
に、前記カートリッジ１２を挿入し、第１図に想像線で
示した状態の完全挿入の位置になると、周知の解除部材
（図示ぜず）の作用でロック解除となり、ホルダ９はバ
ネ部９Ａ，９Ａ，９Ｂ，９Ｂのバネ力により上方向位置
９ａから、第２図に示す下方位置９ｂへ、下降動作す
る。該動作は前記ホルダーの４本の板バネ９Ａ，９Ａ，
９Ｂ，９Ｂと該板バネを平行に保持するスペーサ１４の
作用により略垂直的に行なわれる。

ホルダ９が下降することによりカートリッジ１２も下降
し、カートリッジ１２の中に収納されているディスク１
３も同様に下降する。該下降動作中のディスク１３とク
ランプ装置の関係について第４図により説明する。

ディスク１３が初期位置１３ａにあり、前記ホルダ９が
下降を始めると、ディスク１３も１３ｂ位置になる。該
下降動作中はカートリッジ１２，ディスク１３も不安定
な状態であり、この様に傾くことも有り得る。１３ｂの
状態で該ディスクの一部は前記ハブ７の上昇位置７ａの
上面に当接する。この状態ではディスクは静止できない
不安定状態のため、ディスクの右側がさらに下降し、中
心穴１３Ａの右側部がコーン部材６のコーン部を滑りな
がらスピンドル４の中心に対してほぼ調心される。そし
てディスク下面がハブ７の上面部に完全に載置され水平
に保持された１３ｃの状態になる。ここまでの状態では
ディスク１３には自重及び下降の際の加速度が作用して
いる。前記コーン部材６のコーン部に対して前述した様
な片当り状態があっても前記ディスク１３は前記ハブ７
上に当接した際、該ハブ７の瞬間的な下降動作と、バネ
８の作用により緩衝されるため大きな衝撃力を受けない
ため前記ディスクの中心穴１３Ａのコーナーが損傷され
ることはない。前記ハブ７とディスク１３の下面の当接
部についても同様である。

該１３Ｃの位置にてディスクが停止していると、ホルダ
９の上面に保持されているクランプ板１０がディスク１
３の上面に当接する。そして該クランプ板１０の内部の
磁石１１が磁性材にて作られたコーン部材６に吸着され
るため、該吸着力によりハブ７を７ａ位置から７ｂ位置
へスプリング８の力に抗して押し下げる。該移動は、該
ハブ７のボス部を長く設定してあり、且、該ボスとスピ
ンドル４の間のガタを最小に設定してあるため略垂直的
に行なわれ、ディスク１３の前記水平性が損われること
はない。該ディスク１３の下降によりディスク１３の中
心穴１３Ａが前記コーン部材により案内されて全周がコ
ーン部材に当接した所でディスクの下降動作は止まる。
この位置が１３ｄである。この状態ではクランプ板１０
がディスクを押す力をＷ_１、スプリング８の発生力をＷ
_２とするとコーン部と、ディスクの中心穴１３Ａのコー
ナー部での接触力は、Ｗ_１−Ｗ_２，（Ｗ_１＞Ｗ_２）であ
るためコーナによる接触で、面積が小さくても接触圧力
はあまり大きくならないため、中心穴１３Ａが損傷する
ことはない。この状態で情報記録再生装置の電源がＯＮ
になりスピンドルモーターが回転するとスピンドル４，
ハブ７を介してディスク１３は回転する。この状態を第
２図に示し、該状態で周知のヘッド（図示せず）がアク
セスし、ディスク上のトラックに正確に追従してリー
ド，ライトする。

〔考案の効果〕

本考案は前述の様に構成したため、ディスク１３の中心
穴１３Ａをスピンドル４の回転軸に一致させるための案
内部材であるコーン部材６とスピンドル４との間のガタ
を０にすることができ、従来のものに見られた、コーン
部材６とスピンドル４間のガタがディスク１３の偏心量
に影響することはない。このため、スピンドルを高速で
回転させても周知のヘッドはディスク１３上のトラック
に十分追従可能で、高転送レートの高性能な装置を提供
可能である。

又、前述したとおり、ディスクがクランプされる過程
で、ディスクはまず前記ハブ７上に当接し、衝撃力が緩
和され、緩衝されてから前記ディスク１３の中心穴のコ
ーナーがコーン部に当接することになること、及び、前
記ハブ７でディスク１３の水平性を確保してからコーン
部材６とディスク１３が完全嵌合する構造であるため、
コーン部材とディスク１３の中心穴１３Ａの完全嵌合す
る際のコジリがなくディスク１３の中心穴１３ａのコー
ナーにムリな力が加わらないこと、本考案に前述したと
おりコーン部材６がスピンドル４に対して固定されてい
るため第１図に示されている様にカートリッジ１２の挿
入時にカートリッジ下面が前記コーン部材６に干渉しな
い様に設定しても、従来の形式に比べてコーンの浮上量
に相当する分Ｈを少なくでき、したがって情報記録装置
の厚さＴを薄くすることができ、装置の薄型化に効果が
ある等幾多の利点がある。

さらに前述したとおりクランプ力はＷ_１，Ｗ_２であって
もディスク１３の中心穴１３Ａのコーナーに加わる力は
Ｗ_１−Ｗ_２と小さくなるため、着脱を繰り返してもディ
スク１３の該部が損傷し、クランプに支障が起こること
もない。

以上説明したが、本考案はコーン部材をスピンドル４に
固定して該二者間のガタがディスク１３の偏心に効くこ
とを防止した構造であるが、光学式情報記録装置を例に
とれば一般に、ディスク１３のスピンドル４に対する許
容偏心量は５０μ前後であり、前記ヘッドと前記ディス
ク上のトラックの許容ズレ量は0.1μ以内の精度が要求
される。一方、ディスクの水平度は±３００程度許容さ
れ、その際のレーザー光と記録層との許容デフォーカス
量は0.5μ程度である。したがって本考案はより厳しい
精度を必要とする偏心に安全度を高め、ハブ７を可動的
にすることにより、若干ハブの水平性は損われるも、水
平度は許容レンジが大きいため、これに対して若干誤差
を許容したものであり、前記した幾多の効果と共に総合
信頼性を高めることができる。

本考案の一実施例では、ディスク１３にはクランプのた
めの金属片は設けてなく、ホルダ９の上部にクランプ板
１０を設け、該クランプ板１０の内部に磁石１１を設
け、該磁石１１とコーン部材６との吸着力によりディス
ク１３をクランプする方式としたが、これに限ったもの
ではなく、被吸着部材はハブ７であっても、スピンドル
４であっても、これらの要素の近傍にある磁性材とする
ことも可能であり、又は、クランプ板１０は用いず、コ
ーン部材６，ハブ７等を磁石で構成し、若しくはこれら
近傍に磁石を設け、ディスク１３の中心穴１３Ａの近傍
に金属片を固定し、該金属片を前記磁石で吸着し、クラ
ンプすることも可能である。

又、従来の方式のものは、コーン部材６がスピンドル４
から脱落しない様に、コーン部材６の上方にピン２１を
設けたが、本考案ではコーン部材６をスピンドル上端に
固着させたため、該ピンは廃止することができ、該コー
ン部材６にてハブ７の脱落防止の作用を成すことがで
き、部品加工，組立性の向上からコストダウンにも寄与
するものである。又、該クランプ構造は磁気記録式のも
のにも光学記録式のものにも採用可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す組立断面図。 第２図は本考案の一実施例においてクランプ装置にディ
スク１３がクランプされた状態を示す組立断面図。 第３図は第２図の組立平面図。 第４図は第１図の状態の情報記録再生装置へディスク１
３が挿入されてから完全にクランプされるまでの動作説
明図。 第５図は従来構造を示す組立断面図。 全図中、 １……メインフレーム ２……スピンドルモータのフレーム ３……スピンドルモータのロータ ４……スピンドル ５……ベアリング ６……コーン部材 ７……ハブ １２……カートリッジ １３……ディスク

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】情報記録媒体と、該情報記録媒体を駆動す
   るためのスピンドルと、該スピンドルの軸端に固着され
   ると共に該情報記録媒体の中心出しをするコーン状部を
   有する前記情報記録媒体の案内部材と、該案内部材の近
   傍に位置して前記情報記録媒体の載置面を有すると共に
   前記スピンドルの軸に沿って移動可能なハブと、該ハブ
   に係合するバネ手段より構成されることを特徴とする情
   報記録再生装置のクランプ構造。
2. 【請求項２】前記情報記録再生装置に前記情報記録媒体
   が装着されていない場合は、前記ハブは前記案内部材に
   て位置決めさる構造であることを特徴とする実用新案登
   録請求の範囲第１項記載の情報記録再生装置のクランプ
   構造。