JPH0654134B2 - ワンウェイクラッチ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、主にビデオテープレコーダーやオーディオテ
ープレコーダー等の音響映像機器の駆動機構を始めとす
る比較的低トルクを伝達する部分に用いられる小型のワ
ンウェイクラッチに関する。

（従来の技術） 従来、この種のワンウェイクラッチは、第４図に示す
如、外輪２１の内周面にカム面２２を形成し、当該カム
面２２と内輪２８との間に形成された空間部２７に金属
又はプラスチック製の保持器によりローラ２６と金属バ
ネ２４を配設支持し、ローラ２６を金属バネ２４の力で
一方向へ付勢支持したた構造を呈するものが主流となっ
ている。

そして、駆動力の伝達時にはローラ２６が金属バネ２４
に押されてカム面２２のかみ合い位置に進み、外輪２１
と内輪２８とが共に回転し、空転時にはローラ２６が金
属バネ２４の付勢力に打ち勝ってカム面２２のかみ合い
位置からはなれ外輪２１が内輪２８に対して空転する様
になっている。

（発明が解決しようとする問題点） 近年、ファクシミリや電子複写機等の事務機器の普及に
より、これら事務機器の駆動機構に用いられるワンウェ
イクラッチの儒要が急激に増加してきており、当然に低
コストの製品が要求されている。

しかしながら、事務機器等の駆動機構に用いられるワン
ウェイクラッチは比較的小型である為、金属バネを使用
している従来製品は、保持器も含めてその製作が困難な
ものとなってきている。

また、その構造上避けられない欠点として金属バネの物
理的抵抗がある。この金属バネの物理的抵抗を減少させ
るために種々の保持器及び金属バネの形状、構造が提案
されているが、いずれも顕著な効果は発揮し得ず、且つ
その構造が複雑であったり、特殊な材料を使用したりす
るものである為、逆に効果に見合わない高コストの製品
となってしまっている。

即ち、組立工程や加工工程の複雑化によって必然的に高
コストの製品とならざるを得ない情況にある。

本発明は、このような問題点を解決するためになされた
もので、比較的簡単な構成で、物理的抵抗を低減し、か
つ容易に組付け可能にしたワンウェイクラッチを提供せ
んとしたものである。

（問題点を解決するための手段） そのために本発明のワンウェイクラッチは、 内周面にカム面および嵌合溝を交互に有する外輪と、 前記外輪の軸方向端面に取り付けられる環状プレート
と、 前記環状プレートの周方向所定位置に軸方向に延び、前
記嵌合溝に嵌合固定される磁性体からなるローラ付勢部
材と、 前記ローラ付勢部材の径方向内側に回動可能に挿入され
る内輪と、 前記外輪、前記ローラ付勢部材および前記内輪の間に形
成される空間部に回動自在に収納され、前記カム面にか
み合って前記外輪および前記内輪を一体に回転させるロ
ーラと備えたワンウェイクラッチであって、 前記ローラ付勢部材の周方向一端面に、前記カム面のか
み合い位置に前記ローラ吸引する吸引面を形成し、か
つ、前記ローラ付勢部材の周方向他端面に、径方向外側
にいくに従い前記内輪の空転方向に傾斜する逃し面を形
成したことを特徴とする。

換言すれば、外輪の内周に磁性体からなるローラ付勢部
材を配置し、従来製品に於ける金属バネの働きをローラ
付勢部材に行わせるとともに、ローラの一方向のみに磁
力が効果的に作用するようにしたことを特徴とするもの
である。

（作 用） 本発明のワンウェイクラッチは、前記の如き技術手段に
より、内輪の駆動力の伝達時には、ローラがローラ付勢
部材の吸引面に引き寄せられて外輪と瞬時にかみ合い、
外輪、内輪およびローラが一体となって回転する。

空転時には、内輪の逆回転トルクによってローラが吸引
面の磁気的吸引力に打ち勝ち、外輪のかみ合い位置から
離れて逃し面側へ移動し、内輪が外輪に対して空転す
る。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。

本発明の第１実施例を第１図および第２図に従って説明
するに、１は外輪であって、その内周面には複数のカム
面２と嵌合溝３が周方向に交互に形成されている。この
外輪１の材質は、使用機器、使用箇所、所望のトルク等
を勘案して金属、合成樹脂等いずれの材料を利用してい
ても差し支えない。

磁性体からなる付勢部材４は、ドーナツツ形の環状プレ
ート５の片面の周方向等間隔に一体に固定されており、
外輪１の嵌合溝３に付勢部材４の外周端部に嵌合固定さ
れる。これにより、外輪１の嵌合溝３に付勢部材４を組
み付ける作業は極めて簡単に迅速かつ確実に行われる。

８は内輪であって、付勢部材４の内径側端部に形成され
る円弧面４Ｄに摺動可能に支持され、周方向に回動可能
になっている。

６はローラであって、外輪１と付勢部材４と内輪との間
に形成された空間部７に挿入支持されている。

付勢部材４の周方向の一端面には、ローラ６を第２図実
線に示すかみ合い位置側に引き寄せる吸引面４Ａが形成
される。吸引面４Ａは、ローラ６に磁力を作用しやすく
するように、ローラ６の外周面に沿って凹面状に形成さ
れている。

一方、付勢部材４の吸引面４Ａと反対側の端面には、径
方向外側にいくに従い内輪８の空転方向（第２図矢印Ａ
と反対方向）に傾斜する逃し面４Ｂが形成されている。
逃し面４Ｂは、ローラ６に吸引面４Ａと反対側から作用
する付勢部材４の磁気の影響を低減し、外輪１の駆動時
の応答性を高める役割を果たす。また、逃し面４Ｂの先
端に形成される突起部４Ｃにより、ワンウェイクラッチ
の組付け時にローラ６を空洞部から脱落しにくくし、組
付時の作業性を良好にする。

而して、外輪１を従動側とし、内輪８を駆動側として内
輪８が第２図矢線Ａ方向へ回転しようとすると、既に付
勢部材４の吸引面４Ａによって引き寄せられているロー
ラ６は、第２図実線に示すかみ合い位置に在り、ローラ
６は瞬時的に内輪８の周表面とカム面２とにかみ合い、
外輪１と内輪８とローラ６とが一体となって回転する。

内輪８が第２図矢線Ａの逆方向へ回転すると、ローラ６
は、内輪８の逆回転トルクによって吸引面３Ａの付勢力
に打ち勝ち、第２図二点鎖線に示す位置に移動し、かみ
合いがとけて内輪８が外輪１に対して空転する。

ここで、逃し面４Ｂは、ローラ６が第２図二点鎖線に示
す位置へ移動したとき、ローラ６の周表面に対して所定
の距離を保ち、ローラ６に磁気の影響を及ぼしにくい。
従って、この状態から内輪８が第２図矢印Ａ方向に回転
しても、ローラ６は、逃し面４Ｂに引き付けられること
なく、第２図実線に示すかみ合い位置へ応答性よく移動
することができる。

次に、本発明の第２実施例によるワンウェイクラッチを
第３図に示す。

第２実施例は、事務機器等の給紙装置の駆動機構に本発
明を適用したものである。

１０はケーシングであって、内輪８に軸受９を介して軸
支されており、当該ケーシング１０の外周面にゴムロー
ラ１１を装着している。ケーシング１０と外輪１とを接
合固定することにより、ゴムローラ１１と外輪１と一体
に回動すべく構成される。

外輪１の内周には、図示されないが、吸引面及び逃し面
を有するローラ付勢部材が等間隔に配置される。

その他の構成は、前記第１実施例と実質的に同一である
ので、同一の構成部分には同一符号を付し説明を省略す
る。

内輪８が所定の方向に回動すると、ローラ６が外輪１と
かみ合い、ケーシング１０およびゴムローラ１１を回動
させる。内輪８が逆方向に回動すると、ローラ６のかみ
合いが外れ、内輪８が外輪１、ケーシング１０およびゴ
ムローラ１１に対して空転するようになっている。

第２実施例によると、内輪８および外輪１の回転時の物
理的抵抗が小さいことから、高性能な駆動機構を実現す
ることが可能になる。また、比較的部品点数が少なく、
組付け容易になる。

尚、前記第１実施例では、ローラが４個の場合を説明し
たが、ローラの数を増加すること及び、カム面のメッキ
処理等により回転時の負荷をさらに低減させてもよい。
また、前記第２実施例について、ゴムローラをプーリ、
スプロケット等に変更することにより各種箇所に対応可
能なものとしてもよい。

（発明の効果） 以上説明したように、本発明のワンウェイクラッチによ
れば、外輪の内周に磁性体からなるローラ付勢部材を設
けローラを磁力によって効果的に付勢する構成としたた
め、ローラがその位置を移動する際に物理的抵抗により
その動きを妨げられることがなく、確実にかみ合い位置
へ移動することができる。

従って、空間状態からかみ合い状態に移行する際に、金
属バネを使用した従来製品は、ローラと金属バネの当接
状態の強弱によってローラの動きバラツキが生じ比較的
バックラッシュが大きいが、本発明によるワンウェイク
ラッチの場合はローラが確実にかみ合い位置へ移動して
いるのでバックラッシュが極めて小さい。

また、製作する上に於いても従来製品に比べ部品点数が
少なくなり組立工数が削減されるばかりでなく、金属バ
ネを使用していないので物理的抵抗が低減し、カム面の
径方向におけるある程度の寸法誤差は充分に許容し得
る。

斯様に、従来製品以上の機能を有し、且つコストダウン
が可能となる等、種々の優れた効果を発揮する有用な発
明である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の第１実施例によるワンウェイクラッチ
の組立分解斜視図、第２図は同正面図、第３図は本発明
の第２実施例によるワンウェイクラッチを示す縦断面
図、第４図は従来例を示す正面図である。 符号表 １……外輪、２……カム面 ３……嵌合溝 ４……付勢部材（ローラ付勢部材） ４Ａ……吸引面、４Ｂ……逃し面 ４Ｄ……円弧面、５……環状プレート ６……ローラ、７……空間部 ８……内輪、９……軸受 １０……ケーシング、１１……ゴムローラ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−262236（ＪＰ，Ａ) 実開 昭53−61559（ＪＰ，Ｕ) 西独特許公開3241053（ＤＥ，Ａ)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】内周面にカム面および嵌合溝を交互に有す
   る外輪と、 前記外輪の軸方向端面に取り付けられる環状プレート
   と、 前記環状プレートの周方向所定位置に軸方向に延び、前
   記嵌合溝に嵌合固定される磁性体からなるローラ付勢部
   材と、 前記ローラ付勢部材の径方向内側に回動可能に挿入され
   る内輪と、 前記外輪、前記ローラ付勢部材および前記内輪の間に形
   成される空間部に回動自在に収納され、前記カム面にか
   み合って前記外輪および前記内輪を一体に回転させるロ
   ーラとを備えたワンウェイクラッチであって、 前記ローラ付勢部材の周方向一端面に、前記カム面のか
   み合い位置に前記ローラを吸引する吸引面を形成し、か
   つ、前記ローラ付勢部材の周方向他端面に、径方向外側
   にいくに従い前記内輪の空転方向に傾斜する逃し面を形
   成したことを特徴とするワンウェイクラッチ。