JPH0650686A - 潛熱蓄熱装置 - Google Patents
潛熱蓄熱装置Info
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- JPH0650686A JPH0650686A JP4219653A JP21965392A JPH0650686A JP H0650686 A JPH0650686 A JP H0650686A JP 4219653 A JP4219653 A JP 4219653A JP 21965392 A JP21965392 A JP 21965392A JP H0650686 A JPH0650686 A JP H0650686A
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- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P20/00—Technologies relating to chemical industry
- Y02P20/10—Process efficiency
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- Other Air-Conditioning Systems (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は、潛熱蓄熱剤を封入したカプセルを
充填した蓄熱槽を冷却媒体の循環回路の一部に設けてな
る潛熱蓄熱装置において、前記カプセル内で凝固した潛
熱蓄熱剤の融解速度を早くする事により、カプセル蓄熱
剤の伝熱特性を向上させ、これによりブラインの負荷追
従能力と蓄熱効率の高度化を図る事を目的とする。 【構成】 本発明は、前記カプセル内に、少くとも3以
上のN(N≧3)成分系として(N−1)種類の無機塩
を水に溶解して得られる潛熱蓄熱剤を封入すると共に、
該水溶液に溶解される夫々の無機塩の濃度を、氷点及び
前記無機塩と水との共晶点、及びN成分共晶点に対応す
る各成分濃度範囲を超えない濃度領域に設定した事を特
徴とする。
充填した蓄熱槽を冷却媒体の循環回路の一部に設けてな
る潛熱蓄熱装置において、前記カプセル内で凝固した潛
熱蓄熱剤の融解速度を早くする事により、カプセル蓄熱
剤の伝熱特性を向上させ、これによりブラインの負荷追
従能力と蓄熱効率の高度化を図る事を目的とする。 【構成】 本発明は、前記カプセル内に、少くとも3以
上のN(N≧3)成分系として(N−1)種類の無機塩
を水に溶解して得られる潛熱蓄熱剤を封入すると共に、
該水溶液に溶解される夫々の無機塩の濃度を、氷点及び
前記無機塩と水との共晶点、及びN成分共晶点に対応す
る各成分濃度範囲を超えない濃度領域に設定した事を特
徴とする。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は潛熱蓄熱剤を封入したカ
プセルを用いた潛熱蓄熱装置に関する。
プセルを用いた潛熱蓄熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より蓄熱槽内に貯溜した水若しくは
前記ブラインを凝固/融解させながら、その潛熱を利用
した潛熱蓄熱装置は公知であり、かかる蓄熱装置は、顕
熱蓄冷手段に比較して蓄熱密度が高く、しかも一定温度
の冷/熱を取出し容易であり、又システムも小型で、且
つ構成も簡単である事からその利用範囲は大きく、食品
産業を含む民生用等の種々の分野に利用されている。
前記ブラインを凝固/融解させながら、その潛熱を利用
した潛熱蓄熱装置は公知であり、かかる蓄熱装置は、顕
熱蓄冷手段に比較して蓄熱密度が高く、しかも一定温度
の冷/熱を取出し容易であり、又システムも小型で、且
つ構成も簡単である事からその利用範囲は大きく、食品
産業を含む民生用等の種々の分野に利用されている。
【0003】そして、かかる蓄熱装置には、無機塩類の
共晶体組成水溶液その他の潛熱蓄熱剤を封入した多数の
カプセルを蓄熱槽内に装填した後、該カプセルに直接ブ
ラインを接触させながら潛熱蓄熱と冷/熱の取出しを行
う、いわゆるカプセル方式の蓄熱装置と、蓄熱槽内に貯
溜された水又はブラインを直接冷却管を利用して凝固さ
せ、潛熱蓄冷を行った後、該凝固体の融解潛熱を利用し
て冷熱を取出しを行う、いわゆるアイスバンク方式のも
のとに大別されるが、前者の方が蓄熱槽内のブライン中
にカプセルを浸漬した状態で、潛熱蓄熱と冷/熱の取出
しを行う事が出来るために、小型の装置で大容量のブラ
インの循環を行なう事が出来、好ましい。そして、前記
カプセルに封入する潛熱蓄熱剤に言及した具体的な従来
技術として一般に無機炭酸塩、無機硝酸塩、更には有機
ハロゲン炭化水素等の水溶液を用いている。
共晶体組成水溶液その他の潛熱蓄熱剤を封入した多数の
カプセルを蓄熱槽内に装填した後、該カプセルに直接ブ
ラインを接触させながら潛熱蓄熱と冷/熱の取出しを行
う、いわゆるカプセル方式の蓄熱装置と、蓄熱槽内に貯
溜された水又はブラインを直接冷却管を利用して凝固さ
せ、潛熱蓄冷を行った後、該凝固体の融解潛熱を利用し
て冷熱を取出しを行う、いわゆるアイスバンク方式のも
のとに大別されるが、前者の方が蓄熱槽内のブライン中
にカプセルを浸漬した状態で、潛熱蓄熱と冷/熱の取出
しを行う事が出来るために、小型の装置で大容量のブラ
インの循環を行なう事が出来、好ましい。そして、前記
カプセルに封入する潛熱蓄熱剤に言及した具体的な従来
技術として一般に無機炭酸塩、無機硝酸塩、更には有機
ハロゲン炭化水素等の水溶液を用いている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
二成分系の潛熱蓄熱剤をそのままカプセル内に封入する
と、次の様な問題が生じる。即ち、本装置においては冷
熱エネルギーの伝達方式が[カプセル]を介在させるも
のである為に、潛熱蓄冷及び取り出し過程にあっては、
[冷凍機の冷却管]→[ブライン]→[カプセル]若し
くはその逆と二段階になり、結果としてその分冷凍機冷
却管の冷媒の蒸発温度を低く設定せねばならず、特に前
記潛熱蓄熱剤をカプセル中で凍結させた場合、融解時カ
プセルの中は自然対流で前記凍結された共晶氷を融解す
る為に、融解温度が遅くなり負荷に対して充分に融解し
きれず、結果として蓄熱槽内の温度が上昇してしまい、
該蓄熱槽より送出されるブライン温度を所定の低い温度
に維持する事が出来ず、結果として蓄熱効率の低下につ
ながる。
二成分系の潛熱蓄熱剤をそのままカプセル内に封入する
と、次の様な問題が生じる。即ち、本装置においては冷
熱エネルギーの伝達方式が[カプセル]を介在させるも
のである為に、潛熱蓄冷及び取り出し過程にあっては、
[冷凍機の冷却管]→[ブライン]→[カプセル]若し
くはその逆と二段階になり、結果としてその分冷凍機冷
却管の冷媒の蒸発温度を低く設定せねばならず、特に前
記潛熱蓄熱剤をカプセル中で凍結させた場合、融解時カ
プセルの中は自然対流で前記凍結された共晶氷を融解す
る為に、融解温度が遅くなり負荷に対して充分に融解し
きれず、結果として蓄熱槽内の温度が上昇してしまい、
該蓄熱槽より送出されるブライン温度を所定の低い温度
に維持する事が出来ず、結果として蓄熱効率の低下につ
ながる。
【0005】そこで本発明者は、アイスバンク方式の蓄
熱方法に用いる潛熱蓄熱剤を流用する事を検討した。例
えば特開昭62−62192号公報(以下、第1従来技
術と言う。)には、0℃未満の共晶点を持つ2種類の無
機塩類、より具体的にはそれぞれ共晶体を形成する塩化
ナトリウムと塩化カリウムの混合水溶液を潛熱蓄熱剤と
して用いたものを提案している。又特開平2ー2147
93号公報(以下、第2従来技術と言う。)において
は、前記潛熱蓄熱剤に更に検討を加え、硝酸カリウムと
硝酸ナトリウムとを溶解した水溶液を潛熱蓄熱剤として
利用し、この水溶液の凍結解凍時の潛熱を約−5℃の冷
熱として取り出す潛熱蓄熱剤が提案されている。
熱方法に用いる潛熱蓄熱剤を流用する事を検討した。例
えば特開昭62−62192号公報(以下、第1従来技
術と言う。)には、0℃未満の共晶点を持つ2種類の無
機塩類、より具体的にはそれぞれ共晶体を形成する塩化
ナトリウムと塩化カリウムの混合水溶液を潛熱蓄熱剤と
して用いたものを提案している。又特開平2ー2147
93号公報(以下、第2従来技術と言う。)において
は、前記潛熱蓄熱剤に更に検討を加え、硝酸カリウムと
硝酸ナトリウムとを溶解した水溶液を潛熱蓄熱剤として
利用し、この水溶液の凍結解凍時の潛熱を約−5℃の冷
熱として取り出す潛熱蓄熱剤が提案されている。
【0006】しかしながら、前記各従来技術のように3
元共晶点を有する潛熱蓄熱剤をカプセル内に封入する構
成を取ると、無機塩の初期濃度が共晶点の濃度を超える
場合は、冷却の際、無機塩自身の無機塩結晶若しくは該
無機塩の水和物が析出するが、これら析出物は前記カプ
セル内に沈殿し、冷熱取出しに当って再び析出物が該溶
液に溶解する際、潛熱蓄熱剤が低温であることも手伝っ
て、潛熱蓄熱剤溶液に再溶解する速度は制限される。
元共晶点を有する潛熱蓄熱剤をカプセル内に封入する構
成を取ると、無機塩の初期濃度が共晶点の濃度を超える
場合は、冷却の際、無機塩自身の無機塩結晶若しくは該
無機塩の水和物が析出するが、これら析出物は前記カプ
セル内に沈殿し、冷熱取出しに当って再び析出物が該溶
液に溶解する際、潛熱蓄熱剤が低温であることも手伝っ
て、潛熱蓄熱剤溶液に再溶解する速度は制限される。
【0007】本発明は、かかる従来技術の欠点に鑑みカ
プセル内で凝固した潛熱蓄熱剤の融解速度を早くする事
により、カプセル蓄熱剤の伝熱特性を向上させ、これに
よりブラインの負荷追従能力と蓄熱効率の高度化を図る
事を目的とする。本発明の他の目的は、目的とする温度
冷熱を容易に且つ精度よく取り出し可能に構成した潛熱
蓄熱装置を提供する事にある。
プセル内で凝固した潛熱蓄熱剤の融解速度を早くする事
により、カプセル蓄熱剤の伝熱特性を向上させ、これに
よりブラインの負荷追従能力と蓄熱効率の高度化を図る
事を目的とする。本発明の他の目的は、目的とする温度
冷熱を容易に且つ精度よく取り出し可能に構成した潛熱
蓄熱装置を提供する事にある。
【0008】
【課題を解決する為の手段】本発明は、潛熱蓄熱剤を封
入したカプセルを充填した蓄熱槽を冷却媒体の循環回路
の一部に設けてなる潛熱蓄熱装置において、前記カプセ
ル内に、少くとも3以上のN(N≧3)成分系として
(N−1)種類の無機塩を水に溶解して得られる潛熱蓄
熱剤を封入すると共に、該水溶液に溶解される夫々の無
機塩の濃度を、氷点及び前記無機塩と水との共晶点、及
びN成分共晶点に対応する各成分濃度範囲を超えない濃
度領域に設定した事を特徴とする潛熱蓄熱装置を提案す
る。
入したカプセルを充填した蓄熱槽を冷却媒体の循環回路
の一部に設けてなる潛熱蓄熱装置において、前記カプセ
ル内に、少くとも3以上のN(N≧3)成分系として
(N−1)種類の無機塩を水に溶解して得られる潛熱蓄
熱剤を封入すると共に、該水溶液に溶解される夫々の無
機塩の濃度を、氷点及び前記無機塩と水との共晶点、及
びN成分共晶点に対応する各成分濃度範囲を超えない濃
度領域に設定した事を特徴とする潛熱蓄熱装置を提案す
る。
【0009】この場合、前記水溶液中における各無機塩
の濃度を、前記水と各無機塩との共晶点とN元共晶点と
を結ぶ共晶線の濃度の50〜98%の範囲に設定するの
がよく、更に前記水溶液中における少なくとも一の前記
無機塩の含有量を、該一の無機塩と水との共晶体の濃度
の60〜98%の範囲に設定し、且つ前記水溶液中の無
機塩の全含有量を、前記潛熱蓄熱剤のN成分共晶体の濃
度以下に設定するのがよい。
の濃度を、前記水と各無機塩との共晶点とN元共晶点と
を結ぶ共晶線の濃度の50〜98%の範囲に設定するの
がよく、更に前記水溶液中における少なくとも一の前記
無機塩の含有量を、該一の無機塩と水との共晶体の濃度
の60〜98%の範囲に設定し、且つ前記水溶液中の無
機塩の全含有量を、前記潛熱蓄熱剤のN成分共晶体の濃
度以下に設定するのがよい。
【0010】
【作用】次に本発明の作用を詳細に説明する。前記潛熱
蓄熱剤は、水と少なくとも2種類の水溶性無機塩類とか
らなるN成分溶液(N≧3)で、前記潛熱蓄熱剤におけ
る無機塩の濃度は、氷点、水と各無機塩の共晶点、及び
N成分共晶点に対応する各成分濃度範囲を超えない濃度
領域に設定した為に、図2に示すように、該潛熱蓄熱剤
封入したカプセルを投入した蓄熱槽内に冷凍サイクルに
おけるブラインを循環させて氷点以下に冷却すると、当
初、該無機塩による氷点降下効果によって水溶液の状態
を保ちながらカプセル内の蓄熱剤が冷却されるが、該氷
点降下効果以下に冷却されると氷及び(N−1)種類の
無機塩の各2元共晶点の高い順に2成分共晶体が析出
し、2成分共晶体と前記無機塩混合水溶液の2相状態と
なる。この状態を更に冷却を進め、N元共晶点に達する
と、前記潛熱蓄熱剤は氷・2成分共晶体に加えてN成分
共晶体が析出し、最終的には氷・2成分共晶体・N成分
共晶体の固相混合物1相となる。前記過程において、氷
の析出に伴って氷の凝固潛熱を吸収し、共晶体に変化す
る際にあっても共晶潛熱を吸収する。従って、単に一の
無機塩と水からなる二成分共晶体をカプセルに封入して
冷却するときに比較して、前記凝固物の析出に伴う凝固
潛熱吸収の為に、温度変化は緩衝される。
蓄熱剤は、水と少なくとも2種類の水溶性無機塩類とか
らなるN成分溶液(N≧3)で、前記潛熱蓄熱剤におけ
る無機塩の濃度は、氷点、水と各無機塩の共晶点、及び
N成分共晶点に対応する各成分濃度範囲を超えない濃度
領域に設定した為に、図2に示すように、該潛熱蓄熱剤
封入したカプセルを投入した蓄熱槽内に冷凍サイクルに
おけるブラインを循環させて氷点以下に冷却すると、当
初、該無機塩による氷点降下効果によって水溶液の状態
を保ちながらカプセル内の蓄熱剤が冷却されるが、該氷
点降下効果以下に冷却されると氷及び(N−1)種類の
無機塩の各2元共晶点の高い順に2成分共晶体が析出
し、2成分共晶体と前記無機塩混合水溶液の2相状態と
なる。この状態を更に冷却を進め、N元共晶点に達する
と、前記潛熱蓄熱剤は氷・2成分共晶体に加えてN成分
共晶体が析出し、最終的には氷・2成分共晶体・N成分
共晶体の固相混合物1相となる。前記過程において、氷
の析出に伴って氷の凝固潛熱を吸収し、共晶体に変化す
る際にあっても共晶潛熱を吸収する。従って、単に一の
無機塩と水からなる二成分共晶体をカプセルに封入して
冷却するときに比較して、前記凝固物の析出に伴う凝固
潛熱吸収の為に、温度変化は緩衝される。
【0011】従って前記本発明にかかる潛熱蓄熱剤を封
入したカプセルと、前記二成分共晶体を封入したカプセ
ルを夫々用いた潛熱蓄熱装置を比較すると、前者は凝固
潛熱吸収の為の温度変化が緩衝される為に、ブライン負
荷に対して充分蓄熱槽内の温度が上昇する事なく、該蓄
熱槽より送出されるブライン温度を所定の低い温度に維
持する事が出来、結果として蓄熱効率の上昇につなが
る。
入したカプセルと、前記二成分共晶体を封入したカプセ
ルを夫々用いた潛熱蓄熱装置を比較すると、前者は凝固
潛熱吸収の為の温度変化が緩衝される為に、ブライン負
荷に対して充分蓄熱槽内の温度が上昇する事なく、該蓄
熱槽より送出されるブライン温度を所定の低い温度に維
持する事が出来、結果として蓄熱効率の上昇につなが
る。
【0012】又、前記潛熱蓄熱剤のN成分共晶点は、夫
々の無機塩と水との共晶点よりも低温であるために、該
無機塩を適宜に選択することにより、取出し温度を凝固
点未満の任意の低温に設定可能となるとともに、前記潛
熱蓄熱剤中における各無機塩の濃度を、水と各無機塩と
の2元共晶点とN元共晶点とを結ぶ共晶線の濃度の50
〜98%の範囲内にする事により、そして更に好ましく
は、前記潛熱蓄熱剤中における一の無機塩の濃度を、前
記無機塩と水との共晶体の濃度の60〜98%の範囲に
設定し、且つ前記潛熱蓄熱剤中の無機塩の全含有量を、
N成分共晶体の濃度以下に設定する事により、冷却の過
程に於いて、無機塩或いは無機塩の水和物が析出する恐
れを除き、これにより冷熱取出しに当って前記析出物の
存在により潛熱蓄熱剤溶液に再溶解する速度は制限され
る事なく、結果としてカプセル蓄熱剤の伝熱特性を向上
させ、これによりブラインの負荷追従能力と蓄熱効率の
高度化を図る事が出来る。
々の無機塩と水との共晶点よりも低温であるために、該
無機塩を適宜に選択することにより、取出し温度を凝固
点未満の任意の低温に設定可能となるとともに、前記潛
熱蓄熱剤中における各無機塩の濃度を、水と各無機塩と
の2元共晶点とN元共晶点とを結ぶ共晶線の濃度の50
〜98%の範囲内にする事により、そして更に好ましく
は、前記潛熱蓄熱剤中における一の無機塩の濃度を、前
記無機塩と水との共晶体の濃度の60〜98%の範囲に
設定し、且つ前記潛熱蓄熱剤中の無機塩の全含有量を、
N成分共晶体の濃度以下に設定する事により、冷却の過
程に於いて、無機塩或いは無機塩の水和物が析出する恐
れを除き、これにより冷熱取出しに当って前記析出物の
存在により潛熱蓄熱剤溶液に再溶解する速度は制限され
る事なく、結果としてカプセル蓄熱剤の伝熱特性を向上
させ、これによりブラインの負荷追従能力と蓄熱効率の
高度化を図る事が出来る。
【0013】従って本発明によれば、蓄熱槽に貯留する
潛熱蓄熱剤は、少くとも3以上のN(N≧3)成分系と
して(N−1)種類の無機塩を水に溶解した水溶液であ
りこの水溶液の各無機塩の濃度を、所定の濃度範囲でそ
れぞれ変えることによって、N元共晶点の温度以上2元
共晶点の温度未満の温度範囲より任意の温度を凝固点と
して選択することができ、カプセルを用いた場合でも所
望温度の冷熱を容易に且つ精度よく取り出す事が出来
る。
潛熱蓄熱剤は、少くとも3以上のN(N≧3)成分系と
して(N−1)種類の無機塩を水に溶解した水溶液であ
りこの水溶液の各無機塩の濃度を、所定の濃度範囲でそ
れぞれ変えることによって、N元共晶点の温度以上2元
共晶点の温度未満の温度範囲より任意の温度を凝固点と
して選択することができ、カプセルを用いた場合でも所
望温度の冷熱を容易に且つ精度よく取り出す事が出来
る。
【0014】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明の実施例を例示
的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている
構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に
特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれのみ
に限定する趣旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている
構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に
特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれのみ
に限定する趣旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0015】図1は、本発明の実施例に係る潛熱蓄熱装
置をブラインの循環回路に組込んだ冷凍システムを示す
概略図で、その構成を簡単に説明するに、11は動力源
により駆動される圧縮機で、この圧縮機11の吐出側に
凝縮器12、及び膨脹弁13を介して蒸発器14が接続
され、該蒸発器14よりの蒸発冷媒を圧縮機11で再圧
縮する冷凍閉サイクル10が形成されている。そして前
記蒸発器14内にはブラインの循環回路20をなすコイ
ル状の熱交換器21が内挿されており、該熱交換器2
1、負荷側熱交換器22、蓄熱槽23及びポンプ24に
よりブラインの循環回路20を構成する。又25はブラ
インのバイパス路で、例えば夜間に前記冷凍サイクル1
0にて前記蓄熱槽23に潛熱を蓄熱した後、昼間負荷運
転時に前記バイパス路25に切換えて、電力コストの節
減を行なう事が出来る。又前記蓄熱槽23には無機塩の
三成分共晶体からなる潛熱蓄熱剤1を封入したカプセル
2が充填され、負荷側熱交換器22で熱交換したブライ
ンが前記蓄熱槽23上方より投入され、前記カプセル2
と熱交換を行なった後、ポンプ24及びバイパス路25
より負荷側熱交換器22側に送られる。
置をブラインの循環回路に組込んだ冷凍システムを示す
概略図で、その構成を簡単に説明するに、11は動力源
により駆動される圧縮機で、この圧縮機11の吐出側に
凝縮器12、及び膨脹弁13を介して蒸発器14が接続
され、該蒸発器14よりの蒸発冷媒を圧縮機11で再圧
縮する冷凍閉サイクル10が形成されている。そして前
記蒸発器14内にはブラインの循環回路20をなすコイ
ル状の熱交換器21が内挿されており、該熱交換器2
1、負荷側熱交換器22、蓄熱槽23及びポンプ24に
よりブラインの循環回路20を構成する。又25はブラ
インのバイパス路で、例えば夜間に前記冷凍サイクル1
0にて前記蓄熱槽23に潛熱を蓄熱した後、昼間負荷運
転時に前記バイパス路25に切換えて、電力コストの節
減を行なう事が出来る。又前記蓄熱槽23には無機塩の
三成分共晶体からなる潛熱蓄熱剤1を封入したカプセル
2が充填され、負荷側熱交換器22で熱交換したブライ
ンが前記蓄熱槽23上方より投入され、前記カプセル2
と熱交換を行なった後、ポンプ24及びバイパス路25
より負荷側熱交換器22側に送られる。
【0016】さて前記カプセル2に封入される潛熱蓄熱
剤15は、水と2種類の無機塩、硝酸カリウム(KNO3)
と硝酸ナトリウム(NaNO3)とからなる前記3成分系で
あり、その特性を表1及び図2に基づいて説明する。下
記表1は、硝酸カリウム(KNO3)−硝酸ナトリウム(Na
NO3)−水(H2O)の3成分系に関係する共晶体の濃度、
共晶点を示す特性表で、図2は、前記表1をグラフ化し
た前記3成分系の固液平衡図である。
剤15は、水と2種類の無機塩、硝酸カリウム(KNO3)
と硝酸ナトリウム(NaNO3)とからなる前記3成分系で
あり、その特性を表1及び図2に基づいて説明する。下
記表1は、硝酸カリウム(KNO3)−硝酸ナトリウム(Na
NO3)−水(H2O)の3成分系に関係する共晶体の濃度、
共晶点を示す特性表で、図2は、前記表1をグラフ化し
た前記3成分系の固液平衡図である。
【0017】図2の固液平衡図には、稜線において各成
分の濃度を100重量%に設定し、垂直方向に温度を目
盛った三角柱に、前記3成分の状態を示している。点
A、点B、点Cは、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、及
び水の融点であり、点E1は硝酸カリウムと水との共晶
点で、点E2は硝酸カリウムと硝酸ナトリウムとの共晶
点で、またE3は硝酸ナトリウムと水との共晶点であ
る。これら各点の温度及び各成分の重量濃度は、表1に
示すものである。
分の濃度を100重量%に設定し、垂直方向に温度を目
盛った三角柱に、前記3成分の状態を示している。点
A、点B、点Cは、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、及
び水の融点であり、点E1は硝酸カリウムと水との共晶
点で、点E2は硝酸カリウムと硝酸ナトリウムとの共晶
点で、またE3は硝酸ナトリウムと水との共晶点であ
る。これら各点の温度及び各成分の重量濃度は、表1に
示すものである。
【0018】
【表1】
【0019】尚、前記図2中、線AE1は、硝酸カリウ
ムの濃度範囲が8〜100重量%である2成分系水溶液
が冷却過程中に硝酸カリウム結晶が析出する温度を示す
固液相線であり、線CE1は、硝酸カリウムの濃度範囲
が0〜8重量%である水溶液が冷却過程中に氷が析出す
る温度を示す固液相線である。両固液相線と2元共晶点
E1(−3.5℃)を通る等温線A1・E1・C1との間に
挟まれる温度領域AA1E1及びCC1E1にあっては、前
者領域では硝酸カリウム− 水溶液、後者領域では氷−
水溶液の固体、液体が共存する。ちなみに、前記共晶点
E1以下に冷却されると、もはや水溶液は存在し得ず、
夫々硝酸カリウム−共晶体、氷−共晶体の固体混合物と
なる。
ムの濃度範囲が8〜100重量%である2成分系水溶液
が冷却過程中に硝酸カリウム結晶が析出する温度を示す
固液相線であり、線CE1は、硝酸カリウムの濃度範囲
が0〜8重量%である水溶液が冷却過程中に氷が析出す
る温度を示す固液相線である。両固液相線と2元共晶点
E1(−3.5℃)を通る等温線A1・E1・C1との間に
挟まれる温度領域AA1E1及びCC1E1にあっては、前
者領域では硝酸カリウム− 水溶液、後者領域では氷−
水溶液の固体、液体が共存する。ちなみに、前記共晶点
E1以下に冷却されると、もはや水溶液は存在し得ず、
夫々硝酸カリウム−共晶体、氷−共晶体の固体混合物と
なる。
【0020】なお、前記固液相線以下の温度で共晶点以
上の温度にあっては、例えば濃度が[p/(p+q)]
×100重量%である硝酸カリウム水溶液Kを示す垂直
線KK'K1と前記共晶線A1K1C1と平行な温度線t'と
の交点K'は、その温度線t'に於いて該交点K'から水
の稜線迄の距離rと、該交点K'から前記固液相線迄の
距離sとの比は、固体と液体の重量割合を示す事は、公
知である。即ち、固液相線AE1は硝酸ナトリウムの溶
解度をも示している事になる。また、固液線CE1は、
共晶体の濃度より薄い硝酸カリウム水溶液における氷と
水溶液の重量比を示す。同様に、固液相線AE2、及び
固液相線BE2は、硝酸カリウム−硝酸ナトリウム成分
系に於いて、夫々硝酸カリウム−融解液、硝酸ナトリウ
ム−融解液の共存限界を、また、固液相線BE3、固液
相線CE3は、硝酸ナトリウム水溶液に於いて、夫々、
硝酸ナトリウム−水溶液、氷−水溶液が共存する限界を
示す温度−濃度線である。
上の温度にあっては、例えば濃度が[p/(p+q)]
×100重量%である硝酸カリウム水溶液Kを示す垂直
線KK'K1と前記共晶線A1K1C1と平行な温度線t'と
の交点K'は、その温度線t'に於いて該交点K'から水
の稜線迄の距離rと、該交点K'から前記固液相線迄の
距離sとの比は、固体と液体の重量割合を示す事は、公
知である。即ち、固液相線AE1は硝酸ナトリウムの溶
解度をも示している事になる。また、固液線CE1は、
共晶体の濃度より薄い硝酸カリウム水溶液における氷と
水溶液の重量比を示す。同様に、固液相線AE2、及び
固液相線BE2は、硝酸カリウム−硝酸ナトリウム成分
系に於いて、夫々硝酸カリウム−融解液、硝酸ナトリウ
ム−融解液の共存限界を、また、固液相線BE3、固液
相線CE3は、硝酸ナトリウム水溶液に於いて、夫々、
硝酸ナトリウム−水溶液、氷−水溶液が共存する限界を
示す温度−濃度線である。
【0021】更に、線E1Eは、硝酸カリウム−硝酸ナ
トリウム−水の前記3成分系にあって、析出物−共晶体
E1−水溶液の固液相線を示し、この内前記無機塩の濃
度が固液相線E1−E以上の場合は、前記析出物は無機
塩結晶であり、その逆に固液相線E1E以下の濃度の場
合は、前記析出物は氷である。同様に、線E3Eは、析
出物−共晶体E3−水溶液の固液相線を示し、該3成分
系中無機塩の濃度が固液相線E3E以上であれば、前記
析出物は無機塩結晶であり、反対に固液相線E3E以下
であれば、前記析出物は氷である。
トリウム−水の前記3成分系にあって、析出物−共晶体
E1−水溶液の固液相線を示し、この内前記無機塩の濃
度が固液相線E1−E以上の場合は、前記析出物は無機
塩結晶であり、その逆に固液相線E1E以下の濃度の場
合は、前記析出物は氷である。同様に、線E3Eは、析
出物−共晶体E3−水溶液の固液相線を示し、該3成分
系中無機塩の濃度が固液相線E3E以上であれば、前記
析出物は無機塩結晶であり、反対に固液相線E3E以下
であれば、前記析出物は氷である。
【0022】また、共晶点E以下の温度にあっては、析
出物−共晶体Eの固体混合物であって、前記析出物は3
成分系の濃度により、無機塩結晶、氷、共晶体E1、或
いは共晶体E2の何れかの混合物である。
出物−共晶体Eの固体混合物であって、前記析出物は3
成分系の濃度により、無機塩結晶、氷、共晶体E1、或
いは共晶体E2の何れかの混合物である。
【0023】ここで、前記無機塩の水溶液は、厳密には
該水溶液の沸点(大気圧において凡そ100℃)以上に
は存在し得ない。従って、図2における、沸点を超える
固液相線は、想像線であり、高圧に於ては実現可能の線
であが、全体像を把握するために示したものである。
該水溶液の沸点(大気圧において凡そ100℃)以上に
は存在し得ない。従って、図2における、沸点を超える
固液相線は、想像線であり、高圧に於ては実現可能の線
であが、全体像を把握するために示したものである。
【0024】さて、前記3成分共晶点Eは、図2に示す
ように、−22.8℃である。従って、前記3成分系の
組成が、該3成分系共晶点E、硝酸カリウム−水2成分
系の共晶点E1、硝酸ナトリウム−水2成分系の共晶点
E3、及び氷点Cの各点を含む固液相曲面を超えない濃
度範囲であれば、冷却過程にあっては氷、及び共晶体E
1,E3を析出しながら、共晶点−22.8℃に至るまで
冷熱を蓄積可能である。更に、無機塩の濃度を、前記固
液相曲面内で適宜組合せる事で、冷却過程にあって最初
に固体析出物が形成される温度(以下凝固点と言う。)
を任意に設定することが出来る。潛熱蓄熱剤15として
前記3成分系を用いて、凝固点を−5℃とした実施例
1、さらに凝固点を−11℃とした実施例2、および凝
固点を−22℃とした実施例3の硝酸カリウムおよび硝
酸ナトリウムの水溶液の濃度及び特性を表2に示す。
ように、−22.8℃である。従って、前記3成分系の
組成が、該3成分系共晶点E、硝酸カリウム−水2成分
系の共晶点E1、硝酸ナトリウム−水2成分系の共晶点
E3、及び氷点Cの各点を含む固液相曲面を超えない濃
度範囲であれば、冷却過程にあっては氷、及び共晶体E
1,E3を析出しながら、共晶点−22.8℃に至るまで
冷熱を蓄積可能である。更に、無機塩の濃度を、前記固
液相曲面内で適宜組合せる事で、冷却過程にあって最初
に固体析出物が形成される温度(以下凝固点と言う。)
を任意に設定することが出来る。潛熱蓄熱剤15として
前記3成分系を用いて、凝固点を−5℃とした実施例
1、さらに凝固点を−11℃とした実施例2、および凝
固点を−22℃とした実施例3の硝酸カリウムおよび硝
酸ナトリウムの水溶液の濃度及び特性を表2に示す。
【0025】
【表2】
【0026】次に本発明の作用を説明する。先ず、直径
30〜80mmの球形カプセル2内に例えば実施例1の
潛熱蓄熱剤を封入した後、該カプセル2を蓄熱槽23内
に積層充填する。そして前記ブラインに凝固点がー25
℃以下のブラインを用いて、前記カプセル2に冷熱を蓄
熱する場合、先ず冷凍サイクル10を作動させて、フロ
ンガスなどの1次冷媒を圧縮機11で圧縮し、吐出され
た1次冷媒を凝縮器12において冷却して凝縮・液化
し、次に、膨脹弁13を介して1次冷媒の圧力を下げ気
化されて、1次冷媒を蒸発器14に流入される。
30〜80mmの球形カプセル2内に例えば実施例1の
潛熱蓄熱剤を封入した後、該カプセル2を蓄熱槽23内
に積層充填する。そして前記ブラインに凝固点がー25
℃以下のブラインを用いて、前記カプセル2に冷熱を蓄
熱する場合、先ず冷凍サイクル10を作動させて、フロ
ンガスなどの1次冷媒を圧縮機11で圧縮し、吐出され
た1次冷媒を凝縮器12において冷却して凝縮・液化
し、次に、膨脹弁13を介して1次冷媒の圧力を下げ気
化されて、1次冷媒を蒸発器14に流入される。
【0027】この蒸発器14で1次冷媒は、コイル状熱
交換器22を循環するブラインと熱交換を行なって蒸発
させた後、再び前記圧縮機11の吸入側に流入する。一
方、前記ブラインは潛熱蓄熱槽23内でカプセル2と熱
交換して該カプセル2内の潛熱蓄熱剤15が冷却され、
氷点降下効果により0℃に成っても氷結せず、図2に示
す固液相曲面と交わる温度、即ち実施例1の濃度の於け
る凝固点−5℃に至って、最初に氷、続いて共晶体E1
を主成分とする固体を析出する。即ち、この潛熱蓄熱剤
15は、図3の凝固融解特性図に示すように略−5℃を
保持しながら冷熱を凝固潛熱量72kcal/g の形で吸収
・蓄積する。そして、3成分共晶点Eに至る前、IPF
(潛熱蓄熱剤水溶液中における氷・2成分共晶体の割
合、即ち、氷充填率)が30〜80%に達した時点で蓄
熱槽2316への蓄熱過程を終了させる。
交換器22を循環するブラインと熱交換を行なって蒸発
させた後、再び前記圧縮機11の吸入側に流入する。一
方、前記ブラインは潛熱蓄熱槽23内でカプセル2と熱
交換して該カプセル2内の潛熱蓄熱剤15が冷却され、
氷点降下効果により0℃に成っても氷結せず、図2に示
す固液相曲面と交わる温度、即ち実施例1の濃度の於け
る凝固点−5℃に至って、最初に氷、続いて共晶体E1
を主成分とする固体を析出する。即ち、この潛熱蓄熱剤
15は、図3の凝固融解特性図に示すように略−5℃を
保持しながら冷熱を凝固潛熱量72kcal/g の形で吸収
・蓄積する。そして、3成分共晶点Eに至る前、IPF
(潛熱蓄熱剤水溶液中における氷・2成分共晶体の割
合、即ち、氷充填率)が30〜80%に達した時点で蓄
熱槽2316への蓄熱過程を終了させる。
【0028】次に、例えば昼間負荷運転時に蓄熱槽23
より放熱を行なう場合、前記ブライン循環回路20をバ
イパス回路に切換えた後ポンプ24を作動させて、潛熱
蓄熱剤15の液体部および無機塩の析出物を蓄熱槽23
よりバイパス路17を介して負荷熱交換器2219に循
環させる。そして、この潛熱蓄熱剤15は、図3に示す
ように略−5℃を保持しながら潛熱量72kcal/g の融
解潛熱を放熱するために、前記熱交換器22の負荷側
は、−5℃の冷熱を受け取ることができる。また、潛熱
蓄熱剤1として実施例2をカプセル2に封入した場合、
前記実施例1と同様に蓄熱槽23へ蓄熱を行ない、冷熱
取出過程においては、−11℃を略一定に保持しながら
潛熱蓄熱剤1の潛熱量65kcal/g の潛熱を冷熱として
取出し、熱交換器22の負荷側は−11℃の冷熱を受け
取ることができる。
より放熱を行なう場合、前記ブライン循環回路20をバ
イパス回路に切換えた後ポンプ24を作動させて、潛熱
蓄熱剤15の液体部および無機塩の析出物を蓄熱槽23
よりバイパス路17を介して負荷熱交換器2219に循
環させる。そして、この潛熱蓄熱剤15は、図3に示す
ように略−5℃を保持しながら潛熱量72kcal/g の融
解潛熱を放熱するために、前記熱交換器22の負荷側
は、−5℃の冷熱を受け取ることができる。また、潛熱
蓄熱剤1として実施例2をカプセル2に封入した場合、
前記実施例1と同様に蓄熱槽23へ蓄熱を行ない、冷熱
取出過程においては、−11℃を略一定に保持しながら
潛熱蓄熱剤1の潛熱量65kcal/g の潛熱を冷熱として
取出し、熱交換器22の負荷側は−11℃の冷熱を受け
取ることができる。
【0029】このように前記構成によれば、蓄熱過程に
おいて、IPFを100%未満の例えば50%に達した
時点でこの蓄熱過程を終えているので、潛熱蓄熱剤15
の凝固融解特性において、IPFが増大して3元共融点
Eには達しなく、前記取出温度を確保しながら、実質的
に共融体E1の潛熱を冷熱として取り出すことができ
る。また、IPFを100%未満としているので、潛熱
蓄熱剤1は完全に凍結されずに少くとも一部は常に液状
であるから、カプセル2を介しても熱交換が容易であ
る。
おいて、IPFを100%未満の例えば50%に達した
時点でこの蓄熱過程を終えているので、潛熱蓄熱剤15
の凝固融解特性において、IPFが増大して3元共融点
Eには達しなく、前記取出温度を確保しながら、実質的
に共融体E1の潛熱を冷熱として取り出すことができ
る。また、IPFを100%未満としているので、潛熱
蓄熱剤1は完全に凍結されずに少くとも一部は常に液状
であるから、カプセル2を介しても熱交換が容易であ
る。
【0030】例えば前記カプセル2内の潛熱蓄熱剤1に
2成分系の無機塩水溶液を用いた場合に比較して蓄熱槽
23出口側のポンプ24入口温度の変動を前記実施例と
比較した場合、その変動量は本実施例の方が1/3以下
に低減し、一定温度のブラインを精度よく得られる事が
確認できた。また、実施例3の潛熱蓄熱剤のIPFを1
00%まで蓄熱した場合では80%に達した時点で蓄熱
過程を終了させた場合において、放熱初期における熱変
動が大きく、特に負荷側の変動が大きい場合その精度よ
い追従が困難な事が確認された。尚、前記実施例におい
ては、3成分系の潛熱蓄熱剤について説明したが、4成
分系の潛熱蓄熱材15として、水と無機塩としてそれそ
れ共通イオンを持たない二つの塩としての硝酸ナトリウ
ム(NaNO3)と塩化アンモニウム(NH4Cl)とからなる水
溶液を用いることができる。
2成分系の無機塩水溶液を用いた場合に比較して蓄熱槽
23出口側のポンプ24入口温度の変動を前記実施例と
比較した場合、その変動量は本実施例の方が1/3以下
に低減し、一定温度のブラインを精度よく得られる事が
確認できた。また、実施例3の潛熱蓄熱剤のIPFを1
00%まで蓄熱した場合では80%に達した時点で蓄熱
過程を終了させた場合において、放熱初期における熱変
動が大きく、特に負荷側の変動が大きい場合その精度よ
い追従が困難な事が確認された。尚、前記実施例におい
ては、3成分系の潛熱蓄熱剤について説明したが、4成
分系の潛熱蓄熱材15として、水と無機塩としてそれそ
れ共通イオンを持たない二つの塩としての硝酸ナトリウ
ム(NaNO3)と塩化アンモニウム(NH4Cl)とからなる水
溶液を用いることができる。
【0031】無機塩が2種類のみ含んでいない水溶液
を、4成分として取扱うか、その理由を以下に述べる。
前記2種類の無機塩は、共通の陰イオンを持たないため
に、水溶液中において電離/結合し、前記以外の無機
塩、食塩(NaCl)、硝酸アンモニウム(NH4NO3)が形成する
可能性がある。前記4種類の無機塩の内、NaClは、xNa
NO 3+yNH4Cl−zNH4NO3で表す事ができるため、前記水
溶液は、NaNO3,NH4Cl,NH 4NO3、及び H2Oの4成分とし
て取扱う事になる。この場合前記4成分系においては、
水溶液中の硝酸ナトリウムの濃度が30重量%および塩
化アンモニウムの濃度が7重量%の場合、−29℃の共
融点が得られる。
を、4成分として取扱うか、その理由を以下に述べる。
前記2種類の無機塩は、共通の陰イオンを持たないため
に、水溶液中において電離/結合し、前記以外の無機
塩、食塩(NaCl)、硝酸アンモニウム(NH4NO3)が形成する
可能性がある。前記4種類の無機塩の内、NaClは、xNa
NO 3+yNH4Cl−zNH4NO3で表す事ができるため、前記水
溶液は、NaNO3,NH4Cl,NH 4NO3、及び H2Oの4成分とし
て取扱う事になる。この場合前記4成分系においては、
水溶液中の硝酸ナトリウムの濃度が30重量%および塩
化アンモニウムの濃度が7重量%の場合、−29℃の共
融点が得られる。
【0032】
【発明の効果】以上記載のごとく本発明によれば、カプ
セル内で凝固した潛熱蓄熱剤の融解速度を早くする事に
より、カプセル内の蓄熱剤の伝熱特性を向上させ、これ
によりブラインの負荷追従能力と蓄熱効率の高効率化を
図る事が出来る。又本発明によれば温度冷熱を容易に且
つ精度よく取り出す事が出来る。等の種々の著効を有
す。
セル内で凝固した潛熱蓄熱剤の融解速度を早くする事に
より、カプセル内の蓄熱剤の伝熱特性を向上させ、これ
によりブラインの負荷追従能力と蓄熱効率の高効率化を
図る事が出来る。又本発明によれば温度冷熱を容易に且
つ精度よく取り出す事が出来る。等の種々の著効を有
す。
【図1】本発明の実施例に係る潛熱蓄熱装置を組込んだ
冷凍システムを示す概略図
冷凍システムを示す概略図
【図2】カプセルに封入される潛熱蓄熱剤の3成分系の
固液相平衡図
固液相平衡図
1 潛熱蓄熱剤 2 カプセル 23 蓄熱槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柴田 宗一郎 東京都千代田区内幸町一丁目1番3号 東 京電力株式会社内 (72)発明者 嶋村 典行 東京都千代田区内幸町一丁目1番3号 東 京電力株式会社内 (72)発明者 川崎 成武 神奈川県伊勢原市八幡台一丁目12番6号 (72)発明者 笠原 敬介 東京都中野区白鷺三丁目6番11号 (72)発明者 佐久間 誠一 神奈川県川崎市多摩区菅仙谷二丁目12番14 号 (72)発明者 小松 富士男 東京都江東区牡丹二丁目13番1号 株式会 社前川製作所内 (72)発明者 石川 雅也 東京都江東区牡丹二丁目13番1号 株式会 社前川製作所内 (72)発明者 杉山 邦夫 東京都荒川区東尾久七丁目2番35号 旭電 化工業株式会社内 (72)発明者 増茂 光男 東京都荒川区東尾久七丁目2番35号 旭電 化工業株式会社内 (72)発明者 進藤 穣 東京都荒川区東尾久七丁目2番35号 旭電 化工業株式会社内 (72)発明者 川村 邦明 茨城県北相馬郡守谷町みずき野一丁目13番 8号
Claims (3)
- 【請求項1】 潛熱蓄熱剤を封入したカプセルを充填し
た蓄熱槽を冷却媒体の循環回路の一部に設けてなる潛熱
蓄熱装置において、 前記カプセル内に、少くとも3以上のN(N≧3)成分
系として(N−1)種類の無機塩を水に溶解して得られ
る潛熱蓄熱剤を封入すると共に、 該水溶液に溶解される夫々の無機塩の濃度を、氷点及び
前記無機塩と水との共晶点、及びN成分共晶点に対応す
る各成分濃度範囲を超えない濃度領域に設定した事を特
徴とする潛熱蓄熱装置。 - 【請求項2】 前記水溶液中における各無機塩の濃度
を、前記水と各無機塩との共晶点とN元共晶点とを結ぶ
共晶線の濃度の50〜98%の範囲に設定した請求項1
記載の潛熱蓄熱装置 - 【請求項3】 前記水溶液中における少なくとも一の前
記無機塩の含有量を、該一の無機塩と水との共晶体の濃
度の60〜98%の範囲に設定し、且つ前記水溶液中の
無機塩の全含有量を、前記潛熱蓄熱剤のN成分共晶体の
濃度以下に設定した請求項1記載の潛熱蓄熱装置
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4219653A JPH0650686A (ja) | 1992-07-28 | 1992-07-28 | 潛熱蓄熱装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4219653A JPH0650686A (ja) | 1992-07-28 | 1992-07-28 | 潛熱蓄熱装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0650686A true JPH0650686A (ja) | 1994-02-25 |
Family
ID=16738881
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4219653A Pending JPH0650686A (ja) | 1992-07-28 | 1992-07-28 | 潛熱蓄熱装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0650686A (ja) |
Cited By (6)
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---|---|---|---|---|
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WO2018180506A1 (ja) * | 2017-03-29 | 2018-10-04 | 株式会社カネカ | 蓄冷材組成物、蓄冷材組成物の使用方法、蓄冷材および輸送容器 |
GB2595661A (en) * | 2020-06-01 | 2021-12-08 | Hubbard Products Ltd | Phase change material screening |
US11326084B2 (en) | 2018-03-06 | 2022-05-10 | Kaneka Corporation | Cold storage material composition and use thereof |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS61208494A (ja) * | 1985-03-14 | 1986-09-16 | Mitsubishi Corp | 潜熱利用蓄熱装置 |
JPH02214793A (ja) * | 1989-02-15 | 1990-08-27 | Asahi Denka Kogyo Kk | 潜熱蓄熱剤組成物 |
-
1992
- 1992-07-28 JP JP4219653A patent/JPH0650686A/ja active Pending
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2018180506A1 (ja) * | 2017-03-29 | 2018-10-04 | 株式会社カネカ | 蓄冷材組成物、蓄冷材組成物の使用方法、蓄冷材および輸送容器 |
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US11084963B2 (en) | 2017-03-29 | 2021-08-10 | Kaneka Corporation | Cold storage material composition, method for using cold storage material composition, cold storage material, and transport container |
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