JPH06332250A - トナー用樹脂およびその製造方法 - Google Patents
トナー用樹脂およびその製造方法Info
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- JPH06332250A JPH06332250A JP3241409A JP24140991A JPH06332250A JP H06332250 A JPH06332250 A JP H06332250A JP 3241409 A JP3241409 A JP 3241409A JP 24140991 A JP24140991 A JP 24140991A JP H06332250 A JPH06332250 A JP H06332250A
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- toner
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- carboxylic acid
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 定着性に優れるとともに、吸湿性が少なく、
使用環境の影響を受け難く、帯電特性に優れたトナーを
提供するとともに、生産性に優れたトナー用樹脂の製造
方法を提供する。 【構成】 ビニル系樹脂が共有結合した多価カルボン酸
成分及び/又は多価アルコール成分、多価カルボン酸成
分および多価アルコール成分より構成され、ビニル系樹
脂の含有量が1〜60重量%であり、ガラス転移温度が
40〜80℃、軟化温度が80〜160℃であるトナー
用樹脂、およびその製造方法。
使用環境の影響を受け難く、帯電特性に優れたトナーを
提供するとともに、生産性に優れたトナー用樹脂の製造
方法を提供する。 【構成】 ビニル系樹脂が共有結合した多価カルボン酸
成分及び/又は多価アルコール成分、多価カルボン酸成
分および多価アルコール成分より構成され、ビニル系樹
脂の含有量が1〜60重量%であり、ガラス転移温度が
40〜80℃、軟化温度が80〜160℃であるトナー
用樹脂、およびその製造方法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真法、静電印刷
法等において、静電荷像や磁気潜像の現像に用いられる
トナー用樹脂に関するものである。
法等において、静電荷像や磁気潜像の現像に用いられる
トナー用樹脂に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子写真法、静電印刷法等による画像形
成には、記録すべき画像を静電記録体面に静電荷像や導
電性像等の電子性潜像とし、これを荷電したトナーによ
って現像し、可視化して得た静電記録体面上のトナー像
を紙や各種記録用フィルム上に転写させ、定着させる方
法が採られている。このような画像形成方法は、高速で
コピーができ、画像の記録体面での定着安定性が良く、
また使用される装置の操作性が良いという利点を有し、
複写機、レーザープリンター等の広い分野で利用されて
いる。
成には、記録すべき画像を静電記録体面に静電荷像や導
電性像等の電子性潜像とし、これを荷電したトナーによ
って現像し、可視化して得た静電記録体面上のトナー像
を紙や各種記録用フィルム上に転写させ、定着させる方
法が採られている。このような画像形成方法は、高速で
コピーができ、画像の記録体面での定着安定性が良く、
また使用される装置の操作性が良いという利点を有し、
複写機、レーザープリンター等の広い分野で利用されて
いる。
【0003】例えば、電子写真法による画像形成におい
ては、光導電性感光体よりなるローラー表面を帯電処理
し、複写物体面よりの反射光にて露光して形成された静
電潜像をトナーによって顕像化した後、得られたトナー
像を紙等に転写し、かつ加熱下での加圧により転写トナ
ー像を紙上に定着する画像形成方法が採られている。上
記トナー用バインダー樹脂としては、スチレン−アクリ
ル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂等が用
いられている。しかし、スチレン−アクリル系樹脂は、
帯電特性は良好であるが、定着特性が不十分であったり
耐塩ビ可塑剤性が乏しいという欠点を有し、エポキシ系
樹脂は分子構造設計上の制約が多く、物性のバランスに
欠ける等の問題点を有していた。このような中で、定着
性に優れ、画質が良好であり、さらに耐塩ビ可塑剤性を
有するトナーを提供し得るバインダー樹脂として、ポリ
エステル系樹脂が注目されている。
ては、光導電性感光体よりなるローラー表面を帯電処理
し、複写物体面よりの反射光にて露光して形成された静
電潜像をトナーによって顕像化した後、得られたトナー
像を紙等に転写し、かつ加熱下での加圧により転写トナ
ー像を紙上に定着する画像形成方法が採られている。上
記トナー用バインダー樹脂としては、スチレン−アクリ
ル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂等が用
いられている。しかし、スチレン−アクリル系樹脂は、
帯電特性は良好であるが、定着特性が不十分であったり
耐塩ビ可塑剤性が乏しいという欠点を有し、エポキシ系
樹脂は分子構造設計上の制約が多く、物性のバランスに
欠ける等の問題点を有していた。このような中で、定着
性に優れ、画質が良好であり、さらに耐塩ビ可塑剤性を
有するトナーを提供し得るバインダー樹脂として、ポリ
エステル系樹脂が注目されている。
【0004】一方、上述した画像形成方法においては、
光導電性感光耐上に形成された荷電潜像をトナーにより
顕像化させるために、その現像工程でトナーを帯電させ
る必要がある。この帯電量は、トナー用バインダー樹脂
中の水分の影響を強く受け、トナーの耐湿性が重要な特
性として挙げられるが、ポリエステル系樹脂は、その分
子構造から吸湿性が強く、帯電性に問題を有していた。
光導電性感光耐上に形成された荷電潜像をトナーにより
顕像化させるために、その現像工程でトナーを帯電させ
る必要がある。この帯電量は、トナー用バインダー樹脂
中の水分の影響を強く受け、トナーの耐湿性が重要な特
性として挙げられるが、ポリエステル系樹脂は、その分
子構造から吸湿性が強く、帯電性に問題を有していた。
【0005】このような問題を解決するため、ポリエス
テル樹脂をスチレン系モノマーに溶解させ、各種重合法
で付加重合する方法や、活性基を有するポリエステル系
樹脂とスチレン系樹脂とを加熱混合して2成分型混合樹
脂を得る方法等が提案されている。
テル樹脂をスチレン系モノマーに溶解させ、各種重合法
で付加重合する方法や、活性基を有するポリエステル系
樹脂とスチレン系樹脂とを加熱混合して2成分型混合樹
脂を得る方法等が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな2成分型混合樹脂等を得る方法では、製造工程が複
雑になったり、染料の選定範囲が制限される等の問題点
を有していた。
うな2成分型混合樹脂等を得る方法では、製造工程が複
雑になったり、染料の選定範囲が制限される等の問題点
を有していた。
【0007】本発明の目的は、耐湿性および定着特性に
優れたトナー用樹脂、および生産性に優れたトナー用樹
脂の製造方法を提供することにある。
優れたトナー用樹脂、および生産性に優れたトナー用樹
脂の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の第1
発明であるトナー用樹脂は、ビニル系樹脂が共有結合し
た多価カルボン酸成分及び/又は多価アルコール成分、
多価カルボン酸成分および多価アルコール成分よりな
り、ビニル系樹脂の含有量が1〜60重量%であり、ガ
ラス転移温度が40〜80℃、軟化温度が80〜160
℃であることを特徴とするものである。また、本発明の
第2発明であるトナー用樹脂の製造方法は、ビニル性モ
ノマー、多価カルボン酸及び/又はそのエステル形成性
誘導体、および多価アルコールからなる混合物を、60
〜120℃でビニル性モノマーを付加重合した後、残存
する多価カルボン酸および多価アルコールを縮重合する
ことを特徴とするものである。
発明であるトナー用樹脂は、ビニル系樹脂が共有結合し
た多価カルボン酸成分及び/又は多価アルコール成分、
多価カルボン酸成分および多価アルコール成分よりな
り、ビニル系樹脂の含有量が1〜60重量%であり、ガ
ラス転移温度が40〜80℃、軟化温度が80〜160
℃であることを特徴とするものである。また、本発明の
第2発明であるトナー用樹脂の製造方法は、ビニル性モ
ノマー、多価カルボン酸及び/又はそのエステル形成性
誘導体、および多価アルコールからなる混合物を、60
〜120℃でビニル性モノマーを付加重合した後、残存
する多価カルボン酸および多価アルコールを縮重合する
ことを特徴とするものである。
【0009】本発明で使用されるビニル性モノマーは、
付加重合可能な不飽和化合物であり、例えば、スチレ
ン、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プ
ロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、メチル
メタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピル
メタクリレート、n−ブチルメタクリレート、ジビニル
ベンゼン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、酢
酸ビニル、ブタジエン、フマル酸、マレイン酸、無水マ
レイン酸、2−ヒドロキシエチルアクリレート、塩化ビ
ニル等が挙げられる。これらは、重合開始剤の存在下ま
たは非存在下において、多価カルボン酸および多価アル
コールとの混合液中で付加重合される。
付加重合可能な不飽和化合物であり、例えば、スチレ
ン、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プ
ロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、メチル
メタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピル
メタクリレート、n−ブチルメタクリレート、ジビニル
ベンゼン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、酢
酸ビニル、ブタジエン、フマル酸、マレイン酸、無水マ
レイン酸、2−ヒドロキシエチルアクリレート、塩化ビ
ニル等が挙げられる。これらは、重合開始剤の存在下ま
たは非存在下において、多価カルボン酸および多価アル
コールとの混合液中で付加重合される。
【0010】これらビニル性モノマーは、最終的に得ら
れる樹脂に対して1〜60重量%の範囲で混合すること
が好ましく、さらに好ましくは5〜30重量%の範囲で
ある。これは、ビニル性モノマーが1重量%以下では十
分な耐湿性が得られず、逆に60重量%を超えると重合
時の温度制御が困難となるためである。
れる樹脂に対して1〜60重量%の範囲で混合すること
が好ましく、さらに好ましくは5〜30重量%の範囲で
ある。これは、ビニル性モノマーが1重量%以下では十
分な耐湿性が得られず、逆に60重量%を超えると重合
時の温度制御が困難となるためである。
【0011】本発明で使用される多価カルボン酸として
は、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、
ナフタレンジカルボン酸、5−tert−ブチルイソフ
タル酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、コハ
ク酸、トリメリット酸、トリメシン酸、トルエントリカ
ルボン酸、ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸
およびこれらの酸無水物もしくは低級アルキルエステル
等が挙げられる。これら多価カルボン酸は、単独でもし
くは2種以上の混合系として使用することができる。
は、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、
ナフタレンジカルボン酸、5−tert−ブチルイソフ
タル酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、コハ
ク酸、トリメリット酸、トリメシン酸、トルエントリカ
ルボン酸、ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸
およびこれらの酸無水物もしくは低級アルキルエステル
等が挙げられる。これら多価カルボン酸は、単独でもし
くは2種以上の混合系として使用することができる。
【0012】本発明においては、多価カルボン酸成分中
に芳香族カルボン酸を60〜100モル%の範囲で含ま
れることが好ましい。これは、芳香族カルボン酸が60
モル%未満であると、得られた樹脂のガラス転移温度が
低下し実用に適さないためである。
に芳香族カルボン酸を60〜100モル%の範囲で含ま
れることが好ましい。これは、芳香族カルボン酸が60
モル%未満であると、得られた樹脂のガラス転移温度が
低下し実用に適さないためである。
【0013】本発明で使用される多価アルコールとして
は、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジ
オール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジ
オール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジ
オール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノ
ール、ポリオキシエチレン(m)−2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパン(mはエチレンオキシ単
位のモル数)、ポリオキシプロピレン(n)−2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(nはプロピ
レンオキシ単位のモル数)、1,4−シクロヘキサンジ
オール、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノー
ルF、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチ
ロールエタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリス
リトール、ソルビトール等が挙げられる。
は、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジ
オール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジ
オール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジ
オール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノ
ール、ポリオキシエチレン(m)−2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパン(mはエチレンオキシ単
位のモル数)、ポリオキシプロピレン(n)−2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(nはプロピ
レンオキシ単位のモル数)、1,4−シクロヘキサンジ
オール、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノー
ルF、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチ
ロールエタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリス
リトール、ソルビトール等が挙げられる。
【0014】本発明においては、多価アルコール成分中
に芳香族多価アルコールを10〜95モル%範囲で含ま
れることが好ましい。これは、芳香族多価アルコールが
10モル%未満であると、得られた樹脂の軟化温度が高
くなり定着性に悪影響を及ぼすとともに、耐湿性の低下
を招くためであり、逆に95モル%を超えると反応性が
低下し生産性に劣るためである。
に芳香族多価アルコールを10〜95モル%範囲で含ま
れることが好ましい。これは、芳香族多価アルコールが
10モル%未満であると、得られた樹脂の軟化温度が高
くなり定着性に悪影響を及ぼすとともに、耐湿性の低下
を招くためであり、逆に95モル%を超えると反応性が
低下し生産性に劣るためである。
【0015】本発明において使用される多価カルボン酸
あるいは多価アルコールとして、トリメリット酸、トリ
メシン酸、トルエントリカルボン酸、ナフタレントリカ
ルボン酸、ピロメリット酸、トリメチロールプロパン、
トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジペン
タエリスリトール、ソルビトール等の3価以上のポリカ
ルボン酸あるいはポリオールは、多価カルボン酸成分中
あるいは多価アルコール成分中に50モル%以下の範囲
で使用することが好ましく、より好ましくは30モル%
以下の範囲である。これは、これらポリカルボン酸ある
いはポリオールが反応過程で反応系をゲル化させるた
め、反応制御の観点からこの範囲内で使用する必要があ
るためである。
あるいは多価アルコールとして、トリメリット酸、トリ
メシン酸、トルエントリカルボン酸、ナフタレントリカ
ルボン酸、ピロメリット酸、トリメチロールプロパン、
トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジペン
タエリスリトール、ソルビトール等の3価以上のポリカ
ルボン酸あるいはポリオールは、多価カルボン酸成分中
あるいは多価アルコール成分中に50モル%以下の範囲
で使用することが好ましく、より好ましくは30モル%
以下の範囲である。これは、これらポリカルボン酸ある
いはポリオールが反応過程で反応系をゲル化させるた
め、反応制御の観点からこの範囲内で使用する必要があ
るためである。
【0016】また、本発明においては、モノカルボン酸
あるいはモノアルコールを、末端修飾剤あるいは反応制
御剤として、反応を阻害しない範囲で使用しても良い。
あるいはモノアルコールを、末端修飾剤あるいは反応制
御剤として、反応を阻害しない範囲で使用しても良い。
【0017】本発明のトナー用樹脂の製造方法について
説明する。
説明する。
【0018】まず、上述したビニル性モノマー、多価カ
ルボン酸および多価アルコールを、蒸留塔を備えたオー
トクレーブに仕込み、必要に応じてアゾビスイソブチロ
ニトリル、アゾビスバレロニトリル、ベンゾイルパーオ
キサイド、キュメンハイドロパーオキサイド等のラジカ
ル開始剤あるいは重合度調整剤を添加して、60〜22
0℃の温度領域に加熱してビニル性モノマーを付加重合
させる。この際、溶剤としてのアルコール類および酸成
分は連鎖移動剤として作用し、また成長ラジカルの水素
引き抜きによるグラフト反応を受けて、ビニル系ポリマ
ーの末端に組込まれる。さらに、本発明においては、グ
ラフト反応の不足を補い、ビニル重合体のエステル形成
能力を向上させる目的で、フマル酸、マレイン酸等のエ
ステル形成性ビニルモノマーを使用することもできる。
ビニル性モノマーの付加重合は、60〜220℃の温度
範囲で行われるが、これは、60℃未満では反応速度が
極端に低下し、逆に、220℃を超えるとビニル性モノ
マーが熱重合を起こし、反応制御ができなくなるためで
ある。また、好ましくは、80〜180℃の範囲であ
る。
ルボン酸および多価アルコールを、蒸留塔を備えたオー
トクレーブに仕込み、必要に応じてアゾビスイソブチロ
ニトリル、アゾビスバレロニトリル、ベンゾイルパーオ
キサイド、キュメンハイドロパーオキサイド等のラジカ
ル開始剤あるいは重合度調整剤を添加して、60〜22
0℃の温度領域に加熱してビニル性モノマーを付加重合
させる。この際、溶剤としてのアルコール類および酸成
分は連鎖移動剤として作用し、また成長ラジカルの水素
引き抜きによるグラフト反応を受けて、ビニル系ポリマ
ーの末端に組込まれる。さらに、本発明においては、グ
ラフト反応の不足を補い、ビニル重合体のエステル形成
能力を向上させる目的で、フマル酸、マレイン酸等のエ
ステル形成性ビニルモノマーを使用することもできる。
ビニル性モノマーの付加重合は、60〜220℃の温度
範囲で行われるが、これは、60℃未満では反応速度が
極端に低下し、逆に、220℃を超えるとビニル性モノ
マーが熱重合を起こし、反応制御ができなくなるためで
ある。また、好ましくは、80〜180℃の範囲であ
る。
【0019】次いで、三酸化アンチモンや酢酸亜鉛等の
エステル交換触媒を必要に応じて添加し、エステル化ま
たはエステル交換反応を、水または低級アルコールの留
出がなくなるまで行う。その後、必要に応じて二酸化ゲ
ルマニウム等の重縮合触媒を添加し、150トール以下
の真空下で200〜290℃の温度領域で重縮合を行
い、反応系が所定の架橋度に到達した時点で反応を終了
させる。
エステル交換触媒を必要に応じて添加し、エステル化ま
たはエステル交換反応を、水または低級アルコールの留
出がなくなるまで行う。その後、必要に応じて二酸化ゲ
ルマニウム等の重縮合触媒を添加し、150トール以下
の真空下で200〜290℃の温度領域で重縮合を行
い、反応系が所定の架橋度に到達した時点で反応を終了
させる。
【0020】上記のような製造方法によって得られた本
発明のトナー用樹脂は、ビニル系樹脂が共有結合した多
価カルボン酸成分及び/又は多価アルコール成分と多価
カルボン酸成分ならびに多価アルコール成分より構成さ
れる。ビニル系樹脂が共有結合した多価カルボン酸成分
及び/又は多価アルコール成分とは、ビニル重合体の主
鎖または側鎖中に、カルボキシル基あるいはヒドロキシ
ル基等のエステル形成性基を有するものであり、このよ
うな構成成分を含む本発明のトナー用樹脂は、トナーに
優れた定着性とともに、耐湿性をも付与できるものであ
る。
発明のトナー用樹脂は、ビニル系樹脂が共有結合した多
価カルボン酸成分及び/又は多価アルコール成分と多価
カルボン酸成分ならびに多価アルコール成分より構成さ
れる。ビニル系樹脂が共有結合した多価カルボン酸成分
及び/又は多価アルコール成分とは、ビニル重合体の主
鎖または側鎖中に、カルボキシル基あるいはヒドロキシ
ル基等のエステル形成性基を有するものであり、このよ
うな構成成分を含む本発明のトナー用樹脂は、トナーに
優れた定着性とともに、耐湿性をも付与できるものであ
る。
【0021】本発明のトナー用樹脂は、ガラス転移温度
が40〜80℃であり、好ましくは50〜75℃の範囲
である。これは、ガラス転移温度が40℃未満である
と、トナーの耐ブロッキング性が不良となり易く、逆に
80℃を超えると樹脂の軟化温度が極端に高くなり、ト
ナーの低温定着性に悪影響を及ぼすためである。
が40〜80℃であり、好ましくは50〜75℃の範囲
である。これは、ガラス転移温度が40℃未満である
と、トナーの耐ブロッキング性が不良となり易く、逆に
80℃を超えると樹脂の軟化温度が極端に高くなり、ト
ナーの低温定着性に悪影響を及ぼすためである。
【0022】また、軟化温度は80〜180℃であり、
好ましくは100〜170℃の範囲である。これは、軟
化温度が80℃未満では、トナーの耐ブロッキング性に
劣り、逆に180℃を超えると、トナーの低温定着性に
劣るためである。
好ましくは100〜170℃の範囲である。これは、軟
化温度が80℃未満では、トナーの耐ブロッキング性に
劣り、逆に180℃を超えると、トナーの低温定着性に
劣るためである。
【0023】さらに、樹脂の酸価が0.1〜20mgK
OH/gであることが好ましく、さらに好ましくは0.
1〜15mgKOH/gの範囲である。これは、酸価が
20mgKOH/gを超えると、樹脂のプラス帯電性が
弱くなり、トナーの耐湿性も不良となり易いためであ
る。また、酸価が極端に低い樹脂の合成は非常に困難で
あり、生産性の観点から0.1mgKOH/g以上であ
ることが好ましい。
OH/gであることが好ましく、さらに好ましくは0.
1〜15mgKOH/gの範囲である。これは、酸価が
20mgKOH/gを超えると、樹脂のプラス帯電性が
弱くなり、トナーの耐湿性も不良となり易いためであ
る。また、酸価が極端に低い樹脂の合成は非常に困難で
あり、生産性の観点から0.1mgKOH/g以上であ
ることが好ましい。
【0024】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明
する。実施例におけるガラス転移温度(Tg)は、示差
走査熱量計を用いて、昇温速度5℃/分で測定した時の
チャートのベースラインと、ガラス転移温度付近の吸熱
カーブの接線の交点の温度として求めた。
する。実施例におけるガラス転移温度(Tg)は、示差
走査熱量計を用いて、昇温速度5℃/分で測定した時の
チャートのベースラインと、ガラス転移温度付近の吸熱
カーブの接線の交点の温度として求めた。
【0025】軟化温度(T1/2 )は、直径1mm、長さ
10mmのノズルを有するフローテスター(島津製作所
製CFT−500)を用い、荷重30Kgf、昇温速度
3℃/分の等速昇温下での測定において、1gのサンプ
ルの半量が流出した時点の温度として求めた。
10mmのノズルを有するフローテスター(島津製作所
製CFT−500)を用い、荷重30Kgf、昇温速度
3℃/分の等速昇温下での測定において、1gのサンプ
ルの半量が流出した時点の温度として求めた。
【0026】酸価は、樹脂をベンジルアルコールに加熱
溶解させた後に、NaOHによる滴定法を用いて求め
た。
溶解させた後に、NaOHによる滴定法を用いて求め
た。
【0027】吸湿性は、樹脂をジェットミルで粉砕し、
5μm以下および20μm以上の粒径を有する粒子を除
去し、コールタールカウンターで測定した時の体面積平
均粒径が8〜15μmである粉末を得る。得られた粉末
を、真空乾燥器で減圧下、ガラス転移温度より5℃低い
温度で一昼夜乾燥し、温度25℃、湿度60%の環境下
で48時間放置した後の水分率を測定した。耐湿性は、
水分率が0.5%以下の範囲であれば実用上問題はな
い。
5μm以下および20μm以上の粒径を有する粒子を除
去し、コールタールカウンターで測定した時の体面積平
均粒径が8〜15μmである粉末を得る。得られた粉末
を、真空乾燥器で減圧下、ガラス転移温度より5℃低い
温度で一昼夜乾燥し、温度25℃、湿度60%の環境下
で48時間放置した後の水分率を測定した。耐湿性は、
水分率が0.5%以下の範囲であれば実用上問題はな
い。
【0028】実施例1〜5 表1に示した仕込み組成に従い、蒸留塔を備えた容量2
リットルのオートクレーブに仕込み、ベンゾイルパーオ
キサイドをビニル性モノマーに対して5重量%添加し、
70〜130℃の温度領域でビニル性モノマーをラジカ
ル重合させた。得られた混合物に、酸成分に対して50
0ppmの三酸化アンチモンと200ppmの酢酸亜鉛
を加えて、エステル化反応を行った。反応によって生成
した水の留出がほとんどなくなった時点で、エステル化
反応を終了した。
リットルのオートクレーブに仕込み、ベンゾイルパーオ
キサイドをビニル性モノマーに対して5重量%添加し、
70〜130℃の温度領域でビニル性モノマーをラジカ
ル重合させた。得られた混合物に、酸成分に対して50
0ppmの三酸化アンチモンと200ppmの酢酸亜鉛
を加えて、エステル化反応を行った。反応によって生成
した水の留出がほとんどなくなった時点で、エステル化
反応を終了した。
【0029】次いで、蒸留塔を外し、釜内温度245
℃、2トールの真空下で重縮合反応を行い、表2に示し
た組成の樹脂を得た。取り出した樹脂は、いずれも淡黄
色透明で、臭気もなく、有害物質の副生や樹脂の熱劣化
は見られなかった。また、得られた樹脂のガラス転移温
度(Tg)、軟化温度(T1/2 )、酸価および吸湿性の
測定結果を表2に示した。
℃、2トールの真空下で重縮合反応を行い、表2に示し
た組成の樹脂を得た。取り出した樹脂は、いずれも淡黄
色透明で、臭気もなく、有害物質の副生や樹脂の熱劣化
は見られなかった。また、得られた樹脂のガラス転移温
度(Tg)、軟化温度(T1/2 )、酸価および吸湿性の
測定結果を表2に示した。
【0030】比較例1〜2 表1に示した仕込み組成に従い、実施例と同様の方法で
樹脂を製造した。得られた樹脂のガラス転移温度(T
g)、軟化温度(T1/2 )、酸価および吸湿性の測定結
果を表2に示した。
樹脂を製造した。得られた樹脂のガラス転移温度(T
g)、軟化温度(T1/2 )、酸価および吸湿性の測定結
果を表2に示した。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】表1および2において、組成として示した
記号は以下の通りである。
記号は以下の通りである。
【0034】TPA : テレフタル酸 IPA : イソフタル酸 TMA : 無水トリメリット酸 BPPO: ポリオキシプロピレン(2.3)−2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン EG : エチレングリコール TMP : トリメチロールプロパン St : スチレン n-BA: n−ブチルアクリレート MMA : メチルメタクリレート FA : フマル酸 表2からも明らかなように、本発明のトナー用樹脂であ
る実施例1〜5では、いずれも吸湿性が0.5%以下で
あり優れた耐湿性を示し、また定着性にも優れており、
トナー用樹脂として好適なものであった。これに対し
て、比較例1の樹脂は、透明な樹脂は得られたが吸湿性
が高く、トナー用樹脂としては好ましいものではなかっ
た。また、比較例2では、ポリマーが十分に相溶せず白
濁した樹脂となり、トナー用樹脂としては不適当なもの
であった。
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン EG : エチレングリコール TMP : トリメチロールプロパン St : スチレン n-BA: n−ブチルアクリレート MMA : メチルメタクリレート FA : フマル酸 表2からも明らかなように、本発明のトナー用樹脂であ
る実施例1〜5では、いずれも吸湿性が0.5%以下で
あり優れた耐湿性を示し、また定着性にも優れており、
トナー用樹脂として好適なものであった。これに対し
て、比較例1の樹脂は、透明な樹脂は得られたが吸湿性
が高く、トナー用樹脂としては好ましいものではなかっ
た。また、比較例2では、ポリマーが十分に相溶せず白
濁した樹脂となり、トナー用樹脂としては不適当なもの
であった。
【0035】
【発明の効果】本発明のトナー用樹脂は定着性に優れる
とともに、吸湿性が少なく、使用環境の影響を受け難
く、帯電性の優れたトナーを提供できる。また、その製
造方法も1つの反応器で付加重合および縮重合を行うも
のであり、生産性に優れたものである。
とともに、吸湿性が少なく、使用環境の影響を受け難
く、帯電性の優れたトナーを提供できる。また、その製
造方法も1つの反応器で付加重合および縮重合を行うも
のであり、生産性に優れたものである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成3年10月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正内容】
【0031】
【表1】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田久 正幸 愛知県豊橋市牛川通四丁目1番地の2三菱 レイヨン株式会社豊橋事業所内
Claims (3)
- 【請求項1】 ビニル系樹脂が共有結合した多価カルボ
ン酸成分及び/又は多価アルコール成分、多価カルボン
酸成分および多価アルコール成分よりなり、ビニル系樹
脂の含有量が1〜60重量%であり、ガラス転移温度が
40〜80℃、軟化温度が80〜160℃であることを
特徴とするトナー用樹脂。 - 【請求項2】 多価カルボン酸成分中60〜100モル
%が芳香族カルボン酸であり、多価アルコール成分中1
0〜95モル%が芳香族アルコールであることを特徴と
する請求項1記載のトナー用樹脂。 - 【請求項3】 ビニル性モノマー、多価カルボン酸及び
/又はそのエステル形成性誘導体、および多価アルコー
ルからなる混合物を、60〜120℃でビニル性モノマ
ーを付加重合した後、残存する多価カルボン酸および多
価アルコールを縮重合することを特徴とするトナー用樹
脂の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3241409A JPH06332250A (ja) | 1991-09-20 | 1991-09-20 | トナー用樹脂およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3241409A JPH06332250A (ja) | 1991-09-20 | 1991-09-20 | トナー用樹脂およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06332250A true JPH06332250A (ja) | 1994-12-02 |
Family
ID=17073862
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3241409A Pending JPH06332250A (ja) | 1991-09-20 | 1991-09-20 | トナー用樹脂およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06332250A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH08320593A (ja) * | 1995-05-23 | 1996-12-03 | Kao Corp | 結着樹脂、及びこれを含有する静電荷像現像用トナー |
JP2000029247A (ja) * | 1998-07-15 | 2000-01-28 | Sanyo Chem Ind Ltd | トナーバインダー |
WO2016194969A1 (ja) * | 2015-06-01 | 2016-12-08 | 三菱レイヨン株式会社 | トナー用バインダー樹脂、トナーおよびその製造方法 |
JP2017203831A (ja) * | 2016-05-10 | 2017-11-16 | 花王株式会社 | トナー用結着樹脂組成物 |
-
1991
- 1991-09-20 JP JP3241409A patent/JPH06332250A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH08320593A (ja) * | 1995-05-23 | 1996-12-03 | Kao Corp | 結着樹脂、及びこれを含有する静電荷像現像用トナー |
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WO2016194969A1 (ja) * | 2015-06-01 | 2016-12-08 | 三菱レイヨン株式会社 | トナー用バインダー樹脂、トナーおよびその製造方法 |
CN107615175A (zh) * | 2015-06-01 | 2018-01-19 | 三菱化学株式会社 | 调色剂用粘合剂树脂、调色剂及其制造方法 |
US10254671B2 (en) | 2015-06-01 | 2019-04-09 | Mitsubishi Chemical Corporation | Binder resin for toner, toner, and manufacturing method therefor |
US10394146B2 (en) | 2015-06-01 | 2019-08-27 | Mitsubishi Chemical Corporation | Binder resin for toners, toner, and method for producing same |
CN107615175B (zh) * | 2015-06-01 | 2022-05-03 | 三菱化学株式会社 | 调色剂用粘合剂树脂、调色剂及其制造方法 |
JP2017203831A (ja) * | 2016-05-10 | 2017-11-16 | 花王株式会社 | トナー用結着樹脂組成物 |
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