JPH0612746U - 副室式内燃機関の燃焼室 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案の目的は、副室口金８の外周面を均等
に且つ効率良く冷却でき、副室２内の燃焼ガス温度を低
下でき、なお主室１内での燃焼ガス温度の急激な上昇も
抑制可能であり、ＮＯｘの発生を低減できる副室式内燃
機関の燃焼室を提供するにある。 【構成】 本考案の副室式内燃機関の燃焼室は、シリン
ダヘッド４に装着する副室口金８内に副室２が形成され
る内燃機関において、前記副室口金の外周面に副室２の
軸線方向にリードを有する台形ねじ部２０４を設け、シ
リンダヘッド４の副室口金装着孔との間にらせん状の冷
却水流路を有する副室冷却水室２００を形成し、該副室
冷却水室に冷却水を循還させるべく、前記副室口金に冷
却水給水路２０１を穿設し、シリンダヘッド４に冷却水
還水路２０２を穿設して、冷却水による冷却構造形の副
室を構成されていることを特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は副室式内燃機関の燃焼室に関する。

【０００２】

【従来の技術】

図２に従来の技術による副室式（冷却構造形）内燃機関の燃焼室の縦断面図を 示す。 次に図２を参照してその構成について説明する。 副燃焼室２はシリンダヘッド４内に配設され、その形状はＢ−Ｂを中心線とす る円柱形を基本としており、上部から燃料噴射弁５を装着し、機関の寒冷始動の 補助のため副燃焼室２内を予熱するグロープラグ（図示してない）を必要に応じ て設置する。副燃焼室２は副室口金８の先端部に複数個を等間隔で穿設した副室 噴口３を介して主燃焼室１と連通している。 更に、副室口金８の外周部には切欠溝を設けてシリンダヘッド４の副室口金装 着孔との間に副室冷却水室２００を形成し、該冷却水室には副室口金８上部から 冷却水給水路２０１及び冷却水還水路２０２が連通している。なお、冷却水の洩 れを封止するため、副室口金８は上端部と下端部にＯリング２０３を挿入してシ リンダヘッド４に取付けられる。

【０００３】 次に前記した従来例の作用について説明する。（以降主燃焼室は主室、副燃焼 室は副室と略記する） 圧縮行程の際、ピストン６の上昇により主室１内の空気が圧縮され、副室噴口 ３を経て副室２内に流入する。燃料噴射弁５から副室２内に燃料を噴射して一部 の燃料を燃焼させ、これに伴う温度と圧力の上昇を利用して副室噴口３から既燃 ガスと共に未燃焼の燃料噴霧を主室１に噴出させ全燃料を燃焼させる。 この際の副室２内での燃焼に伴うガス温度の上昇によって副室口金８の内壁面 ならびに外周面の温度も高くなる。 このため、予め温度と流量を調整した冷却水を給水路２０１から副室冷却水室 ２００に給水し還水路２０２を介して還流させることにより副室口金８の外周面 を冷却している。副室２内の熱は副室口金８の壁面を介して冷却水へ還流され、 副室２内での急激なガス温度の上昇が抑制される。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、前記した従来技術による副室式内燃機関の燃焼室には次のよう な問題点があった。 即ち、図２に示したように副室冷却水室２００の構造が円筒形で且つ冷却水の 給水路２０１と還水路２０２が隣接しているため、供給された冷却水は前記副室 冷却水室２００内の上部において給水路２０１の給水出口部から還水路２０２へ の還水入口部の周辺で循環してしまい副室冷却水室２００の下部までは到達しに くいので、副室口金８の外周面を均等且つ効率良く冷却することができなかった 。 このため、副室口金８の壁面を介する熱貫流によって副室２内の燃焼ガス温度 を効率的に低下させることは困難となり、ＮＯｘの発生を低減することができな かった。

【０００５】 本考案の目的は前記の問題点を解決し、副室２内の燃焼ガスの温度を低下させ ることが可能であり、且つ主室１内での燃焼ガス温度の急激な上昇も抑制でき、 主室１及び副室２内でのＮＯｘの発生を低減できる副室式内燃機関の燃焼室を提 供するにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案に係る副室式内燃機関の燃焼室は、シリンダヘッド４に装着する副室口 金８内部に副燃焼室２が形成される内燃機関において、前記副室口金の副室部分 外周面に副室口金の軸線方向にリードを有する台形ねじ部２０４を設け、該台形 ねじ部とシリンダヘッド４に設けられた前記副室口金の装着孔下部との間に副室 冷却水室２００を形成し、該副室冷却水室に冷却水を循環させるべく前記副室口 金に副室口金の上面から前記副室冷却水室の上部まで貫通する冷却水の給水路２ ０１を穿設し、またシリンダヘッド４に前記副室冷却水室の底部からシリンダヘ ッドの上面まで貫通する冷却水の還流路２０２を穿設して、外部を水で冷却する 冷却構造形の副燃焼室２を構成したことを特徴としている。

【０００７】

【作用】

本考案では前記のような構成としたので次のように作用する。 副室口金８の副室部分の外周面には台形ねじ部２０４が設けられているので冷 却比表面積が大きく、且つ冷却水給水路２０１を介して副室冷却水室２００内に 送水された冷却水は、副室口金８外周面の台形ねじ部２０４のねじ溝を流路とし て前記副室冷却水室内をらせん状に旋回しながら流れ、副室２の下部相当部分ま で到達してから前記冷却水室の底部で反転し、冷却水還水路２０２内を上方に流 れて外部へ還流し、前記副室口金の副室部外周面を循環して冷却する。冷却水の 循環により副室２での燃焼によって発生した熱は、副室口金８の壁面を通過して 冷却水へ効率良く貫流するので、副室２内の燃焼ガス温度を効率良く低下させる ことができ、且つ主室１内での燃焼ガス温度の急激な上昇も抑制され、主室１及 び副室２内でのＮＯｘの発生を低減できる。

【０００８】

【実施例】

次に図１を参照し本考案の一実施例について説明する。 図は本考案の副室式ディーゼル機関の燃焼室の縦断面図を示す。１は主（燃焼 ）室、２は副（燃焼）室、３は副室噴口、４はシリンダヘッド、５は燃料噴射弁 、６はピストン、７はシリンダライナ、８は副室口金、２００は副室冷却水室、 ２０１は冷却水給水路、２０２は冷却水還水路、２０３はＯリング、２０４は台 形ねじ部、Ａ−Ａはシリンダ中心線、Ｂ−Ｂは副室中心線である。 主室１と予燃焼室式の副室２による燃焼室の構成及びシリンダヘッド４、シリ ンダライナ７、ピストン６、燃料噴射弁５等の位置や取付け関係については従来 例と同様である。本考案では副室口金８の副室部分外周面に副室口金の中心線Ｂ −Ｂ方向にリードを有する台形ねじ部２０４を設け、シリンダヘッド４の上面か ら前記副室口金の中心線Ｂ−Ｂを軸心として穿設された副室口金装着孔にねじ込 んで固定する。これにより前記副室口金８下部の台形ねじ部と前記副室口金装着 孔の口金取付けねじ部下方部分との間に副室冷却水室２００が形成される。 該副室冷却水室に冷却水を循環させるため、前記副室口金８にはその上面から 前記副室冷却水室の上部まで貫通する冷却水の給水路２０１が穿設され、シリン ダヘッド４には前記冷却水室の底部からシリンダヘッドの上面まで貫通する冷却 水の還水路２０２が穿設されている。なお冷却水の漏れを封止するため副室口金 ８の上端部及び下端部にはＯリング２０３が嵌め込まれている。

【０００９】 次に前記の構成による作用について説明する。 冷却水給水路２０１を介して副室冷却水室２００内へ供給された冷却水は、副 室口金８の外周面の台形ねじ部２０４のねじ溝を流路として前記副室冷却水室内 をらせん状に旋回しながら流れ、副室２の下部相当部分まで達してから前記冷却 水室の底部で流れの向きを反転し、該冷却水室底部と連通する冷却水還水路２０ ２内を上方に流れて外部へ還流し、前記副室口金の副室部分外周面を循環流とな って効率よく均等に冷却する。なお台形ねじ部２０４を設けたことで副室口金８ の冷却比表面積が増加しているので、冷却効果も向上している。 副室冷却水室２００内を通過する冷却水の循環流により、副室２内で発生する 燃焼熱は副室口金８の壁面を通過して冷却水へ効率良く貫流するので、副室２内 の燃焼ガス温度を効率良く低下させることが可能となり、且つ結果的には主室１ 内での燃焼ガス温度の急激な上昇も抑制されることになり、主室１及び副室２内 でのＮＯｘの発生を低減できる。

【００１０】

【考案の効果】

本考案は前記のように構成されているので次のような効果が得られる。 副室口金８の副室部分外周面を均等に且つ効率良く冷却し、なお副室２内に発 生した熱燃熱を副室口金８の壁面を通過して循環する冷却水へ貫流させているの で、副室２内の燃焼ガス温度を効率良く低下させることが可能であり、且つ副室 ２から主室１へ噴出する燃焼ガス温度が低く抑えられることにより主室１内での 燃焼ガス温度の急激な上昇も抑制できる。 従って主室１および副室２内でのＮＯｘの発生を低減できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例に係る副室式内燃機関の燃焼室
の縦断面図

【図２】従来技術による副室式内燃機関の燃焼室の縦断
面図

【符号の説明】

１…主（燃焼）室、２…副（燃焼）室、３…副室噴口、
４…シリンダヘッド、５…燃料噴射弁、６…ピストン、
７…シリンダライナ、８…副室口金、２００…副室冷却
水室、２０１…冷却水給水路、２０２…冷却水還水路、
２０３…Ｏリング、２０４…台形ねじ部、Ａ−Ａ…シリ
ンダ中心線、Ｂ−Ｂ…副室中心線。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 シリンダヘッド（４）に装着する副室口
   金（８）内部に副燃焼室（２）が形成される内燃機関に
   おいて、前記副室口金の副室部分外周面に副室口金の軸
   線方向にリードを有する台形ねじ部（２０４）を設け、
   該台形ねじ部とシリンダヘッド（４）に設けられた前記
   副室口金の装着孔下部との間に副室冷却水室（２００）
   を形成し、該副室冷却水室に冷却水を循環させるべく前
   記副室口金に副室口金の上面から前記副室冷却水室の上
   部まで貫通する冷却水の給水路（２０１）を穿設し、ま
   たシリンダヘッド（４）に前記副室冷却水室の底部から
   シリンダヘッドの上面まで貫通する冷却水の還流路（２
   ０２）を穿設して、外部を水で冷却する冷却構造形の副
   燃焼室（２）を構成したことを特徴とする副室式内燃機
   関の燃焼室。