JPH06101004A - 強度および箔圧延性に優れるアルミニウム箔地の製造方法 - Google Patents
強度および箔圧延性に優れるアルミニウム箔地の製造方法Info
- Publication number
- JPH06101004A JPH06101004A JP27935292A JP27935292A JPH06101004A JP H06101004 A JPH06101004 A JP H06101004A JP 27935292 A JP27935292 A JP 27935292A JP 27935292 A JP27935292 A JP 27935292A JP H06101004 A JPH06101004 A JP H06101004A
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- Japan
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- rolling
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- thickness
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 高強度でピンホールの少ないアルミニウム箔
を得るのに適したアルミニウム箔地の製造方法を提供す
る。 【構成】 Feを0.8重量%を超え2.8重量%以下
(以下重量%を%と略記する)、Siを0.05〜0.
3%含有し、残部がAlと不可避的不純物とからなるア
ルミニウム合金溶湯を連続的に鋳造圧延して、直接板厚
25mm以下の帯状鋳造板となし、これに30%以上の冷
間圧延を行ってから400℃以上の温度で加熱処理を施
した後、冷間圧延を行い250〜450℃で中間焼鈍を
施し、その後冷間圧延を行うことを特徴とする強度およ
び箔圧延性に優れるアルミニウム箔地の製造方法。
を得るのに適したアルミニウム箔地の製造方法を提供す
る。 【構成】 Feを0.8重量%を超え2.8重量%以下
(以下重量%を%と略記する)、Siを0.05〜0.
3%含有し、残部がAlと不可避的不純物とからなるア
ルミニウム合金溶湯を連続的に鋳造圧延して、直接板厚
25mm以下の帯状鋳造板となし、これに30%以上の冷
間圧延を行ってから400℃以上の温度で加熱処理を施
した後、冷間圧延を行い250〜450℃で中間焼鈍を
施し、その後冷間圧延を行うことを特徴とする強度およ
び箔圧延性に優れるアルミニウム箔地の製造方法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミニウム箔地の製
造方法に関するものであり、より詳しくは高強度でピン
ホールが少ないアルミニウム箔を得るのに適したアルミ
ニウム箔地の製造方法に関するものである。
造方法に関するものであり、より詳しくは高強度でピン
ホールが少ないアルミニウム箔を得るのに適したアルミ
ニウム箔地の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム箔は5〜200μm程度の
板厚を有し、主として食料品、薬品などの包装用として
利用されている。このアルミニウム箔はポリエチレンや
ビニール、紙、樹脂などと張り合わされて使用されるこ
とが多い。このような用途に使用されるアルミニウム箔
は、包装される内容物によっては大気中の湿気や紫外線
から内容物を遮断することが必要となってくる。従来、
このような用途のアルミニウム箔にはJIS−IN30
(99.3%Al)、JIS−1050(99.5%A
l)、JIS−1100(Al−0.13%Cu)など
の純アルミニウムが主として用いられている。このアル
ミニウム箔はアルミニウム溶湯から半連続鋳造法によっ
て鋳塊を鋳造し、熱間圧延および冷間圧延によって0.
3〜0.6mm程度の厚さの板材(箔地)とし、さらに箔
圧延によって5〜200μm程度の厚さまで箔圧延し、
さらに焼鈍処理することが一般的である。なお必要に応
じて、鋳塊を熱間圧延前に均質化処理することや、冷間
圧延の途中で中間焼鈍を施すことも通常行われている。
板厚を有し、主として食料品、薬品などの包装用として
利用されている。このアルミニウム箔はポリエチレンや
ビニール、紙、樹脂などと張り合わされて使用されるこ
とが多い。このような用途に使用されるアルミニウム箔
は、包装される内容物によっては大気中の湿気や紫外線
から内容物を遮断することが必要となってくる。従来、
このような用途のアルミニウム箔にはJIS−IN30
(99.3%Al)、JIS−1050(99.5%A
l)、JIS−1100(Al−0.13%Cu)など
の純アルミニウムが主として用いられている。このアル
ミニウム箔はアルミニウム溶湯から半連続鋳造法によっ
て鋳塊を鋳造し、熱間圧延および冷間圧延によって0.
3〜0.6mm程度の厚さの板材(箔地)とし、さらに箔
圧延によって5〜200μm程度の厚さまで箔圧延し、
さらに焼鈍処理することが一般的である。なお必要に応
じて、鋳塊を熱間圧延前に均質化処理することや、冷間
圧延の途中で中間焼鈍を施すことも通常行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところでアルミニウム
箔に対しては最近より薄肉のものが要求されるようにな
り、従来一般に実用化されていた7μm厚よりもさらに
薄い6μm厚あるいはそれ以下の極薄肉のものが要求さ
れるようになっている。一般に10μm以下の薄肉の箔
に圧延する場合は重合圧延(2枚の箔を重ねて圧延す
る)を行うのが通常であるが、この重合圧延において箔
厚が薄くなるほど指数関数的に箔に発生するピンホール
が増加することおよび強度不足のため、圧延中の張力に
よって箔が破断したり、またピンホール数の増加により
箔の耐透湿性が著しく低下する問題がある。したがって
従来の一般的な方法により6μm厚あるいはそれ以下の
極薄肉のアルミニウム箔を製造しようとする場合は、ピ
ンホール数の急激な増加や強度不足により箔圧延中の破
断事故が多くなって生産性が低下し、また最終的な箔と
しても耐透湿性の劣るものしか得られなかったのが実情
である。そこで6μm厚以下に圧延してもピンホールの
発生が少ない、強度および箔圧延性の優れたアルミニウ
ム箔地の開発が強く望まれている。
箔に対しては最近より薄肉のものが要求されるようにな
り、従来一般に実用化されていた7μm厚よりもさらに
薄い6μm厚あるいはそれ以下の極薄肉のものが要求さ
れるようになっている。一般に10μm以下の薄肉の箔
に圧延する場合は重合圧延(2枚の箔を重ねて圧延す
る)を行うのが通常であるが、この重合圧延において箔
厚が薄くなるほど指数関数的に箔に発生するピンホール
が増加することおよび強度不足のため、圧延中の張力に
よって箔が破断したり、またピンホール数の増加により
箔の耐透湿性が著しく低下する問題がある。したがって
従来の一般的な方法により6μm厚あるいはそれ以下の
極薄肉のアルミニウム箔を製造しようとする場合は、ピ
ンホール数の急激な増加や強度不足により箔圧延中の破
断事故が多くなって生産性が低下し、また最終的な箔と
しても耐透湿性の劣るものしか得られなかったのが実情
である。そこで6μm厚以下に圧延してもピンホールの
発生が少ない、強度および箔圧延性の優れたアルミニウ
ム箔地の開発が強く望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、FeおよびSi量
を適性に調整したアルミニウム合金溶湯から直接連続鋳
造圧延法によって製造したアルミニウム合金帯状鋳造板
に冷間圧延を施したのち熱処理を施し、さらに冷間圧
延、中間焼鈍、冷間圧延の工程で製造した箔地の箔圧延
性が極めて優れることを知見し、本発明を完成するに至
ったものである。
を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、FeおよびSi量
を適性に調整したアルミニウム合金溶湯から直接連続鋳
造圧延法によって製造したアルミニウム合金帯状鋳造板
に冷間圧延を施したのち熱処理を施し、さらに冷間圧
延、中間焼鈍、冷間圧延の工程で製造した箔地の箔圧延
性が極めて優れることを知見し、本発明を完成するに至
ったものである。
【0005】すなわち本発明は、Feを0.8%を超え
2.8%以下、Siを0.05〜0.3%含有し、残部
がAlと不可避的不純物とからなるアルミニウム合金溶
湯を連続的に鋳造圧延して、直接板厚25mm以下の帯状
鋳造板となし、これに30%以上の冷間圧延を行ってか
ら400℃以上の温度で加熱処理を施した後、冷間圧延
を行い250〜450℃で中間焼鈍を施し、その後冷間
圧延を行うことを特徴とする強度および箔圧延性に優れ
るアルミニウム箔地の製造方法である。
2.8%以下、Siを0.05〜0.3%含有し、残部
がAlと不可避的不純物とからなるアルミニウム合金溶
湯を連続的に鋳造圧延して、直接板厚25mm以下の帯状
鋳造板となし、これに30%以上の冷間圧延を行ってか
ら400℃以上の温度で加熱処理を施した後、冷間圧延
を行い250〜450℃で中間焼鈍を施し、その後冷間
圧延を行うことを特徴とする強度および箔圧延性に優れ
るアルミニウム箔地の製造方法である。
【0006】
【作用】次に本発明につき、詳細に説明する。極薄アル
ミニウム合金箔においてピンホール発生を少なくするた
めには、箔圧延における圧延硬化を抑制することが重要
である。圧延硬化が起こると結晶格子の辷り変形が不均
一となり、特に重合圧延時において粗大辷り帯が発生す
るため、重合面の変形が不均一となって粗さが大きくな
り、ピンホールが発生し易くなる。この発明に係るアル
ミニウム合金箔において、必須の合金成分として添加す
るFeは連続鋳造圧延時にAl−Fe系の金属間化合物
として微細に晶出し、続く熱間圧延と冷間圧延により粉
砕されて0.2〜5μm径の大きさの微細粒子として均
一に分散される。このように分散されたAl−Fe系金
属間化合物の周囲には箔圧延中に転位が局部的に堆積
し、これを駆動力として動的回復が起こるため、圧延硬
化の進行を抑制する効果がある。この効果を得るために
は、Feの添加量を0.8%を超え好ましくは1.0%
以上とする必要がある。一方Feの添加量が2.8%を
超えると鋳造凝固時に晶出物が粗大化するため、かえっ
てピンホールが発生し易くなるとともに、耐食性が低下
する。したがって、Feの添加量は0.8%を超え2.
8%以下の範囲とする。
ミニウム合金箔においてピンホール発生を少なくするた
めには、箔圧延における圧延硬化を抑制することが重要
である。圧延硬化が起こると結晶格子の辷り変形が不均
一となり、特に重合圧延時において粗大辷り帯が発生す
るため、重合面の変形が不均一となって粗さが大きくな
り、ピンホールが発生し易くなる。この発明に係るアル
ミニウム合金箔において、必須の合金成分として添加す
るFeは連続鋳造圧延時にAl−Fe系の金属間化合物
として微細に晶出し、続く熱間圧延と冷間圧延により粉
砕されて0.2〜5μm径の大きさの微細粒子として均
一に分散される。このように分散されたAl−Fe系金
属間化合物の周囲には箔圧延中に転位が局部的に堆積
し、これを駆動力として動的回復が起こるため、圧延硬
化の進行を抑制する効果がある。この効果を得るために
は、Feの添加量を0.8%を超え好ましくは1.0%
以上とする必要がある。一方Feの添加量が2.8%を
超えると鋳造凝固時に晶出物が粗大化するため、かえっ
てピンホールが発生し易くなるとともに、耐食性が低下
する。したがって、Feの添加量は0.8%を超え2.
8%以下の範囲とする。
【0007】SiはFeと共存することによって強度向
上の効果を示す。この効果を得るにはSi添加量は0.
05%以上である必要がある。一方Si添加量が0.3
%を超えると、固溶Si量が多くなり、箔圧延工程での
硬化を引き起こしピンホール発生が多くなる。したがっ
て、Siは0.05〜0.3%の範囲で添加する。
上の効果を示す。この効果を得るにはSi添加量は0.
05%以上である必要がある。一方Si添加量が0.3
%を超えると、固溶Si量が多くなり、箔圧延工程での
硬化を引き起こしピンホール発生が多くなる。したがっ
て、Siは0.05〜0.3%の範囲で添加する。
【0008】その他不純物としては、通常のアルミニウ
ム地金に含まれているCu、Mn、Mg、Zn等がある
が、これらは0.05%程度以下である場合は特に問題
はない。また任意的な添加元素として、TiおよびBの
各0.1%以下の含有は、連続鋳造圧延時の凝固組織の
微細化に有効である。
ム地金に含まれているCu、Mn、Mg、Zn等がある
が、これらは0.05%程度以下である場合は特に問題
はない。また任意的な添加元素として、TiおよびBの
各0.1%以下の含有は、連続鋳造圧延時の凝固組織の
微細化に有効である。
【0009】本発明方法では、上記組成範囲のアルミニ
ウム合金溶湯を連続的に鋳造圧延して、直接板厚25mm
以下の帯状鋳造板とする。上記連続鋳造圧延によって得
られる帯状鋳造板の板厚25mm以下とは、Fe、Siな
どの合金成分元素が凝固時に形成する金属間化合物の微
細分散化が十分に行われて連続鋳造圧延の効果が十分に
生かされる板厚、すなわち溶湯の冷却が均一かつ急速に
行われるような鋳造状態の得られる板厚である。帯状鋳
造板の板厚が25mmを超えて厚くなると、完全な急冷凝
固がはかれなくなって、金属間化合物が粗大化する。し
たがって板厚は薄ければ薄いほど良いことになるが、3
mm未満の厚さでは鋳造が困難となると共に、金属間化合
物の微細分散効果が飽和してしまうので3mm未満の板厚
とすることは好ましくなく、望ましくは5〜10mmの厚
さを持つ連続鋳造圧延板を成形するようにするのがよ
い。アルミニウム合金溶湯を連続的に鋳造圧延するに
は、2つの対向して回転する鋳造用ロールまたは、走行
する鋳造用ベルト等で構成される鋳型の間に配置された
ノズルを経て溶湯を上記鋳型内に供給し、鋳型で冷却し
て凝固させればよい。この方法は、直接連続鋳造圧延法
として知られており、3C法、ハンター法、ヘーゼル法
等が工業的に用いられているが、本発明はこれらの方法
のみに限定されるものではない。
ウム合金溶湯を連続的に鋳造圧延して、直接板厚25mm
以下の帯状鋳造板とする。上記連続鋳造圧延によって得
られる帯状鋳造板の板厚25mm以下とは、Fe、Siな
どの合金成分元素が凝固時に形成する金属間化合物の微
細分散化が十分に行われて連続鋳造圧延の効果が十分に
生かされる板厚、すなわち溶湯の冷却が均一かつ急速に
行われるような鋳造状態の得られる板厚である。帯状鋳
造板の板厚が25mmを超えて厚くなると、完全な急冷凝
固がはかれなくなって、金属間化合物が粗大化する。し
たがって板厚は薄ければ薄いほど良いことになるが、3
mm未満の厚さでは鋳造が困難となると共に、金属間化合
物の微細分散効果が飽和してしまうので3mm未満の板厚
とすることは好ましくなく、望ましくは5〜10mmの厚
さを持つ連続鋳造圧延板を成形するようにするのがよ
い。アルミニウム合金溶湯を連続的に鋳造圧延するに
は、2つの対向して回転する鋳造用ロールまたは、走行
する鋳造用ベルト等で構成される鋳型の間に配置された
ノズルを経て溶湯を上記鋳型内に供給し、鋳型で冷却し
て凝固させればよい。この方法は、直接連続鋳造圧延法
として知られており、3C法、ハンター法、ヘーゼル法
等が工業的に用いられているが、本発明はこれらの方法
のみに限定されるものではない。
【0010】次に本発明方法では、連続鋳造圧延によっ
て得られた帯状鋳造板に30%以上の冷間圧延を行って
から400℃以上の温度で熱処理を施す。熱処理前の冷
間圧延は、この後施される熱処理時の凝固組織の破壊作
用を促進する効果がある。冷間圧延率が30%未満の場
合、鋳造組織の破壊が十分に行われないため、重合圧延
した箔の合わせ面(マット面)にスジ状の模様が発生し
易くなり、外観上問題となる。したがって、熱処理前の
冷間圧延率は30%以上とする必要がある。冷間圧延に
続く熱処理は、晶出物を分断し微細に分散させる効果お
よび凝固組織を破壊して均質な組織とする効果がある。
さらにこの熱処理は、鋳造圧延時に過飽和に固溶したF
e、Si等の不純物元素量を減少させ箔圧延性を向上さ
せると共に、後工程で行われる中間焼鈍時の再結晶温度
を低下させ、再結晶粒径を微細均一にする効果がある。
この熱処理は、400℃未満であるとその効果が十分で
なく、中間焼鈍時の再結晶粒径が粗大化し、箔圧延性が
低下する。したがって、400℃以上の温度、より好ま
しくは450以上の温度で0.5時間以上の熱処理を行
うのがよい。
て得られた帯状鋳造板に30%以上の冷間圧延を行って
から400℃以上の温度で熱処理を施す。熱処理前の冷
間圧延は、この後施される熱処理時の凝固組織の破壊作
用を促進する効果がある。冷間圧延率が30%未満の場
合、鋳造組織の破壊が十分に行われないため、重合圧延
した箔の合わせ面(マット面)にスジ状の模様が発生し
易くなり、外観上問題となる。したがって、熱処理前の
冷間圧延率は30%以上とする必要がある。冷間圧延に
続く熱処理は、晶出物を分断し微細に分散させる効果お
よび凝固組織を破壊して均質な組織とする効果がある。
さらにこの熱処理は、鋳造圧延時に過飽和に固溶したF
e、Si等の不純物元素量を減少させ箔圧延性を向上さ
せると共に、後工程で行われる中間焼鈍時の再結晶温度
を低下させ、再結晶粒径を微細均一にする効果がある。
この熱処理は、400℃未満であるとその効果が十分で
なく、中間焼鈍時の再結晶粒径が粗大化し、箔圧延性が
低下する。したがって、400℃以上の温度、より好ま
しくは450以上の温度で0.5時間以上の熱処理を行
うのがよい。
【0011】次に本発明方法では、冷間加工を行った
後、250〜450℃で中間焼鈍を施す。中間焼鈍は、
板材を軟化してより良好な圧延性を得るために行われ
る。中間焼鈍前の冷間加工率が低い場合、再結晶の駆動
力が不足し中間焼鈍時の再結晶粒径が粗大となり、箔圧
延性が低下し、ピンホールが増加するため、中間焼鈍前
の冷間加工率は、30%以上とすることが望ましい。中
間焼鈍温度は、250℃未満であると板材の軟化が十分
でなく圧延性が低下し、一方450℃を超えてもその効
果が飽和するばかりでなく、再結晶粒径が粗大となりさ
らに固溶元素量が増加することから、箔圧延性が低下
し、ピンホールが増加してしまう。したがって、中間焼
鈍は250〜450℃の範囲、より好ましくは280〜
420℃の温度で0.5〜8時間行うのがよい。さらに
最終箔地の調質状態を調整するために、上記中間焼鈍条
件にて冷間圧延、中間焼鈍を2回以上繰り返してもよ
い。
後、250〜450℃で中間焼鈍を施す。中間焼鈍は、
板材を軟化してより良好な圧延性を得るために行われ
る。中間焼鈍前の冷間加工率が低い場合、再結晶の駆動
力が不足し中間焼鈍時の再結晶粒径が粗大となり、箔圧
延性が低下し、ピンホールが増加するため、中間焼鈍前
の冷間加工率は、30%以上とすることが望ましい。中
間焼鈍温度は、250℃未満であると板材の軟化が十分
でなく圧延性が低下し、一方450℃を超えてもその効
果が飽和するばかりでなく、再結晶粒径が粗大となりさ
らに固溶元素量が増加することから、箔圧延性が低下
し、ピンホールが増加してしまう。したがって、中間焼
鈍は250〜450℃の範囲、より好ましくは280〜
420℃の温度で0.5〜8時間行うのがよい。さらに
最終箔地の調質状態を調整するために、上記中間焼鈍条
件にて冷間圧延、中間焼鈍を2回以上繰り返してもよ
い。
【0012】また、連続鋳造圧延では帯状鋳造板表面に
酸化物等の表面欠陥が発生し易いため、これらがピンホ
ールの原因となることがある。箔地製造工程中に1回以
上pH10以上のアルカリ溶液で1〜300秒の表面洗
浄処理を施すことは、これら表面欠陥の除去に有効であ
る。
酸化物等の表面欠陥が発生し易いため、これらがピンホ
ールの原因となることがある。箔地製造工程中に1回以
上pH10以上のアルカリ溶液で1〜300秒の表面洗
浄処理を施すことは、これら表面欠陥の除去に有効であ
る。
【0013】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細
に説明する。表1に示した合金組成のアルミニウム合金
記号A〜Fの溶湯を、連続鋳造圧延し、7mm厚の帯状鋳
造板とした。また従来例として、厚さ500mmの半連続
鋳造鋳塊を通常の方法で面削、均質化処理した後、熱間
圧延を行って7mm厚とした。これらを表2に示した条件
で冷間圧延し、加熱処理を施した後、さらに冷間圧延を
行い0.7mmの板厚で中間焼鈍を行い、さらに冷間圧延
を施して0.35mm厚の箔地とした。これら箔地を12
μm厚まで4回のパスにより箔圧延、最終的に重合圧延
により5μm厚の箔とした。この箔についてピンホール
数の測定、箔重合面のスジ状模様の観察および4パス後
の引張強さを測定した。これら結果を表2に併記する。
に説明する。表1に示した合金組成のアルミニウム合金
記号A〜Fの溶湯を、連続鋳造圧延し、7mm厚の帯状鋳
造板とした。また従来例として、厚さ500mmの半連続
鋳造鋳塊を通常の方法で面削、均質化処理した後、熱間
圧延を行って7mm厚とした。これらを表2に示した条件
で冷間圧延し、加熱処理を施した後、さらに冷間圧延を
行い0.7mmの板厚で中間焼鈍を行い、さらに冷間圧延
を施して0.35mm厚の箔地とした。これら箔地を12
μm厚まで4回のパスにより箔圧延、最終的に重合圧延
により5μm厚の箔とした。この箔についてピンホール
数の測定、箔重合面のスジ状模様の観察および4パス後
の引張強さを測定した。これら結果を表2に併記する。
【0014】
【表1】
【0015】
【表2】
【0016】表2から明らかなように本発明による箔地
No.1〜4は、ピンホール数が50個/m2 以下と少な
く、かつ強度に優れる。合金組成が本発明と異なる比較
例No.5は強度が低く、同No.6はピンホールが多数発
生している。熱処理前の冷間加工度が低い比較例No.
7、No.9は、箔重合面にスジ状模様が発生しており、
熱処理温度が低いあるいは熱処理を行っていない比較例
No.8、No.10もスジ状模様が発生している。熱処理
条件あるいは中間焼鈍条件が本発明と異なる比較例No.
7〜11は、箔の強度は高いものの、ピンホールが多数
発生している。連続鋳造圧延法を用いず半連続鋳造鋳塊
から製造した従来例No.12は、スジ状模様の発生は無
く、ピンホールが少ないが、強度が低いことが判る。
No.1〜4は、ピンホール数が50個/m2 以下と少な
く、かつ強度に優れる。合金組成が本発明と異なる比較
例No.5は強度が低く、同No.6はピンホールが多数発
生している。熱処理前の冷間加工度が低い比較例No.
7、No.9は、箔重合面にスジ状模様が発生しており、
熱処理温度が低いあるいは熱処理を行っていない比較例
No.8、No.10もスジ状模様が発生している。熱処理
条件あるいは中間焼鈍条件が本発明と異なる比較例No.
7〜11は、箔の強度は高いものの、ピンホールが多数
発生している。連続鋳造圧延法を用いず半連続鋳造鋳塊
から製造した従来例No.12は、スジ状模様の発生は無
く、ピンホールが少ないが、強度が低いことが判る。
【0017】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
箔の強度および箔圧延性に優れピンホールが少ないアル
ミニウム箔地を提供することができ、工業上顕著な効果
を奏するものである。
箔の強度および箔圧延性に優れピンホールが少ないアル
ミニウム箔地を提供することができ、工業上顕著な効果
を奏するものである。
Claims (1)
- 【請求項1】 Feを0.8重量%を超え2.8重量%
以下(以下重量%を%と略記する)、Siを0.05〜
0.3%含有し、残部がAlと不可避的不純物とからな
るアルミニウム合金溶湯を連続的に鋳造圧延して、直接
板厚25mm以下の帯状鋳造板となし、これに30%以上
の冷間圧延を行ってから400℃以上の温度で加熱処理
を施した後、冷間圧延を行い250〜450℃で中間焼
鈍を施し、その後冷間圧延を行うことを特徴とする強度
および箔圧延性に優れるアルミニウム箔地の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27935292A JPH06101004A (ja) | 1992-09-22 | 1992-09-22 | 強度および箔圧延性に優れるアルミニウム箔地の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27935292A JPH06101004A (ja) | 1992-09-22 | 1992-09-22 | 強度および箔圧延性に優れるアルミニウム箔地の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06101004A true JPH06101004A (ja) | 1994-04-12 |
Family
ID=17609977
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP27935292A Pending JPH06101004A (ja) | 1992-09-22 | 1992-09-22 | 強度および箔圧延性に優れるアルミニウム箔地の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06101004A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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