JPH059666A - 方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents
方向性電磁鋼板およびその製造方法Info
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- JPH059666A JPH059666A JP3051367A JP5136791A JPH059666A JP H059666 A JPH059666 A JP H059666A JP 3051367 A JP3051367 A JP 3051367A JP 5136791 A JP5136791 A JP 5136791A JP H059666 A JPH059666 A JP H059666A
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- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
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- C22C38/00—Ferrous alloys, e.g. steel alloys
- C22C38/04—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing manganese
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- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C21—METALLURGY OF IRON
- C21D—MODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
- C21D8/00—Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment
- C21D8/12—Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment during manufacturing of articles with special electromagnetic properties
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- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
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- C22C38/00—Ferrous alloys, e.g. steel alloys
- C22C38/02—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing silicon
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Abstract
(57)【要約】
【目的】方向性電磁鋼板の鉄損を小さくし、そのような
鋼板を安価に製造する。 【構成】Si: 1.5〜3.0 %、Mn: 1.0〜3.0 %、酸可溶
性Al: 0.003〜0.015 %で、かつ Si(%) − 0.5×Mn
(%) ≦ 2.0で、残部はFeおよび不可避的不純物からな
り、不純物としてのCおよびNが合計で0.0020%以下、
Sが0.01%以下である方向性電磁鋼板。この鋼板はC:
0.01%以下、N: 0.001〜 0.010%(他の組成は上記と
同じ)のスラブを下記〜の工程で処理することによ
って製造できる。 熱間圧延を行う工程、 熱間圧
延のまま、または熱間圧延後に焼鈍してから、1回また
は中間焼鈍を挟んだ2回以上の冷間圧延を行う工程、
連続焼鈍により一次再結晶をおこさせる工程、 N2
を含む雰囲気中で 825〜925 ℃の温度域で4〜100 時間
保持し二次再結晶をおこさせる工程、 H2雰囲気中で
925℃を超え、1050℃までの温度域で4〜100 時間保持
し純化する工程。 【効果】図示のように、C+Nの量が0.0020%以下にな
ると鉄損が劇的に低下する。
鋼板を安価に製造する。 【構成】Si: 1.5〜3.0 %、Mn: 1.0〜3.0 %、酸可溶
性Al: 0.003〜0.015 %で、かつ Si(%) − 0.5×Mn
(%) ≦ 2.0で、残部はFeおよび不可避的不純物からな
り、不純物としてのCおよびNが合計で0.0020%以下、
Sが0.01%以下である方向性電磁鋼板。この鋼板はC:
0.01%以下、N: 0.001〜 0.010%(他の組成は上記と
同じ)のスラブを下記〜の工程で処理することによ
って製造できる。 熱間圧延を行う工程、 熱間圧
延のまま、または熱間圧延後に焼鈍してから、1回また
は中間焼鈍を挟んだ2回以上の冷間圧延を行う工程、
連続焼鈍により一次再結晶をおこさせる工程、 N2
を含む雰囲気中で 825〜925 ℃の温度域で4〜100 時間
保持し二次再結晶をおこさせる工程、 H2雰囲気中で
925℃を超え、1050℃までの温度域で4〜100 時間保持
し純化する工程。 【効果】図示のように、C+Nの量が0.0020%以下にな
ると鉄損が劇的に低下する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は変圧器や発電機、電動
機の鉄心材料や磁気シールド材として広く用いられる方
向性電磁鋼板およびその製造方法に関するものである。
機の鉄心材料や磁気シールド材として広く用いられる方
向性電磁鋼板およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】方向性電磁鋼板は、ゴス方位と呼ばれる
{110}<001>方位を主方位とする結晶配向を持
ち、圧延方向に優れた励磁特性と鉄損特性を有する軟磁
性材料である。一般にはSiを 4.0%以下含有する鋼のス
ラブを熱間圧延し、そのままあるいは焼鈍 (熱延板焼
鈍) を行った後、1回または中間焼鈍を挟んで2回以上
の冷延を施して最終板厚とし、その後連続脱炭焼鈍を施
して一次再結晶させた後、焼き付き防止のための焼鈍分
離剤を塗布してコイルに巻取り、更に1100〜1200℃の超
高温の仕上げ焼鈍を行う。仕上げ焼鈍の目的は、二次再
結晶を発生させてゴス方位に集積した集合組織を形成す
ることと、そのあと二次再結晶を発生させるのに用いた
インヒビターと呼ばれる析出物を除去することにある。
この析出物の除去工程は純化焼鈍とも呼ばれ、二次再結
晶の発生と共に良好な磁気特性を得るためには必須の工
程と言える。
{110}<001>方位を主方位とする結晶配向を持
ち、圧延方向に優れた励磁特性と鉄損特性を有する軟磁
性材料である。一般にはSiを 4.0%以下含有する鋼のス
ラブを熱間圧延し、そのままあるいは焼鈍 (熱延板焼
鈍) を行った後、1回または中間焼鈍を挟んで2回以上
の冷延を施して最終板厚とし、その後連続脱炭焼鈍を施
して一次再結晶させた後、焼き付き防止のための焼鈍分
離剤を塗布してコイルに巻取り、更に1100〜1200℃の超
高温の仕上げ焼鈍を行う。仕上げ焼鈍の目的は、二次再
結晶を発生させてゴス方位に集積した集合組織を形成す
ることと、そのあと二次再結晶を発生させるのに用いた
インヒビターと呼ばれる析出物を除去することにある。
この析出物の除去工程は純化焼鈍とも呼ばれ、二次再結
晶の発生と共に良好な磁気特性を得るためには必須の工
程と言える。
【0003】以上のような製造法により作られた方向性
電磁鋼板は、その製造過程で連続脱炭焼鈍や1100℃以上
の超高温の仕上げ焼鈍というような特殊な工程が必要で
あり、極めてコストの高いものになる。
電磁鋼板は、その製造過程で連続脱炭焼鈍や1100℃以上
の超高温の仕上げ焼鈍というような特殊な工程が必要で
あり、極めてコストの高いものになる。
【0004】このコストの問題を解決すべく、従来から
種々の研究開発が進められている。
種々の研究開発が進められている。
【0005】例えば、本発明者らは先に、Si: 0.5〜2.
5 %、Mn: 1.0〜2.0 %、sol.Al:0.03〜0.015 %で
C:0.01%以下、N: 0.001〜0.010 %であることを主
な特徴とする方向性電磁鋼板と、脱炭焼鈍を必要とせ
ず、低温焼鈍が可能なその製造方法を発明した (特開平
1−119644号公報) 。この方法は、連続脱炭焼鈍の省略
と仕上げ焼鈍温度の低下によって、方向性電磁鋼板のコ
スト低減に大きく貢献し得るものである。
5 %、Mn: 1.0〜2.0 %、sol.Al:0.03〜0.015 %で
C:0.01%以下、N: 0.001〜0.010 %であることを主
な特徴とする方向性電磁鋼板と、脱炭焼鈍を必要とせ
ず、低温焼鈍が可能なその製造方法を発明した (特開平
1−119644号公報) 。この方法は、連続脱炭焼鈍の省略
と仕上げ焼鈍温度の低下によって、方向性電磁鋼板のコ
スト低減に大きく貢献し得るものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】近年、省エネルギーの
気運が一段と高まる趨勢の中で、方向性電磁鋼板に対し
てはその鉄損を小さくすることが強く要望されるように
なってきている。本発明は、上記の特開平1−119644号
公報に示した電磁鋼板およびその製造方法を更に改善す
ることを課題とし、鉄損が極めて低い方向性電磁鋼板と
その製造方法を提供することを目的とする。
気運が一段と高まる趨勢の中で、方向性電磁鋼板に対し
てはその鉄損を小さくすることが強く要望されるように
なってきている。本発明は、上記の特開平1−119644号
公報に示した電磁鋼板およびその製造方法を更に改善す
ることを課題とし、鉄損が極めて低い方向性電磁鋼板と
その製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は下記の
(1)の方向性電磁鋼板と (2)のその製造方法を要旨とす
る。
(1)の方向性電磁鋼板と (2)のその製造方法を要旨とす
る。
【0008】(1) 重量%で、Si: 1.5〜3.0 %、Mn:
1.0〜3.0 %、酸可溶性Al: 0.003〜0.015 %で、かつ
Si(%) − 0.5×Mn (%) ≦ 2.0で、残部はFeおよび不
可避的不純物からなり、不純物としてのCおよびNが合
計で0.0020%以下、Sが0.01%以下である方向性電磁鋼
板。
1.0〜3.0 %、酸可溶性Al: 0.003〜0.015 %で、かつ
Si(%) − 0.5×Mn (%) ≦ 2.0で、残部はFeおよび不
可避的不純物からなり、不純物としてのCおよびNが合
計で0.0020%以下、Sが0.01%以下である方向性電磁鋼
板。
【0009】(2) 重量%で、C:0.01%以下、Si: 1.5
〜 3.0%、Mn: 1.0〜3.0 %、S:0.01%以下、酸可溶
性Al: 0.003〜0.015 %、N: 0.001〜0.010 %で、か
つSi (%) − 0.5×Mn (%) ≦ 2.0で、残部はFeおよび
不可避的不純物からなる組成のスラブを下記〜の工
程で処理する方向性電磁鋼板の製造方法。
〜 3.0%、Mn: 1.0〜3.0 %、S:0.01%以下、酸可溶
性Al: 0.003〜0.015 %、N: 0.001〜0.010 %で、か
つSi (%) − 0.5×Mn (%) ≦ 2.0で、残部はFeおよび
不可避的不純物からなる組成のスラブを下記〜の工
程で処理する方向性電磁鋼板の製造方法。
【0010】 熱間圧延を行う工程、 熱間圧延の
まま、または熱間圧延後に焼鈍してから、1回または中
間焼鈍を挟んだ2回以上の冷間圧延を行う工程、 連
続焼鈍により一次再結晶をおこさせる工程、 N2を含
む雰囲気中で 825〜925 ℃の温度域で4〜100 時間保持
して二次再結晶をおこさせる工程、 H2雰囲気中で 9
25℃を超え、1050℃までの温度域で4〜100 時間保持し
て純化する工程。
まま、または熱間圧延後に焼鈍してから、1回または中
間焼鈍を挟んだ2回以上の冷間圧延を行う工程、 連
続焼鈍により一次再結晶をおこさせる工程、 N2を含
む雰囲気中で 825〜925 ℃の温度域で4〜100 時間保持
して二次再結晶をおこさせる工程、 H2雰囲気中で 9
25℃を超え、1050℃までの温度域で4〜100 時間保持し
て純化する工程。
【0011】
【作用】まず本発明の基礎となった実験結果について述
べる。以下、合金成分についての%は全て重量%を意味
する。
べる。以下、合金成分についての%は全て重量%を意味
する。
【0012】C:0.0033%、Si:2.35%、Mn:1.58%、
S: 0.002%、酸可溶性Al (以後、sol.Alと記す) :
0.006%、N:0.0045%で残部はFeおよび不可避的不純
物からなる鋼のスラブを 2.1mm厚に熱間圧延し、 880℃
で2分の熱延板焼鈍をした後、酸洗により脱スケールを
行い、更に0.35mm厚に冷間圧延した。その後、 880℃で
30秒均熱する非脱炭雰囲気での連続焼鈍を行い一次再結
晶させた。次に仕上げ焼鈍として75%N2+25%H2雰囲気
中で880℃で24時間の均熱を行い(第1の焼鈍)、引き
続きH2雰囲気中で 875〜1050℃の種々の温度で24時間の
均熱(第2の焼鈍)を行った。仕上げ焼鈍後半の第2の
焼鈍は、H2雰囲気中で炭窒化物を除去することを目的と
した純化焼鈍である。
S: 0.002%、酸可溶性Al (以後、sol.Alと記す) :
0.006%、N:0.0045%で残部はFeおよび不可避的不純
物からなる鋼のスラブを 2.1mm厚に熱間圧延し、 880℃
で2分の熱延板焼鈍をした後、酸洗により脱スケールを
行い、更に0.35mm厚に冷間圧延した。その後、 880℃で
30秒均熱する非脱炭雰囲気での連続焼鈍を行い一次再結
晶させた。次に仕上げ焼鈍として75%N2+25%H2雰囲気
中で880℃で24時間の均熱を行い(第1の焼鈍)、引き
続きH2雰囲気中で 875〜1050℃の種々の温度で24時間の
均熱(第2の焼鈍)を行った。仕上げ焼鈍後半の第2の
焼鈍は、H2雰囲気中で炭窒化物を除去することを目的と
した純化焼鈍である。
【0013】図1に仕上げ焼鈍後の圧延方向の鉄損と鋼
中C+N量を純化焼鈍の温度との関係で示す。図示のと
おり、純化焼鈍温度が 925℃を超えると鉄損が急激に減
少している。一方、C+Nも鉄損の減少傾向と同じ傾向
を示している。即ち、鉄損は、C+Nの減少とともに減
少し、C+Nが0.0020%以下になる点と、鉄損が1.30W/
kg以下でほぼ一定となる点とが符合する。鋼中のCとN
の含有量の総量が0.0020%以下となれば、磁壁移動の障
害となる炭窒化物の析出量が急激に低減するため上記の
ような特異な現象が現れるものと考えられる。
中C+N量を純化焼鈍の温度との関係で示す。図示のと
おり、純化焼鈍温度が 925℃を超えると鉄損が急激に減
少している。一方、C+Nも鉄損の減少傾向と同じ傾向
を示している。即ち、鉄損は、C+Nの減少とともに減
少し、C+Nが0.0020%以下になる点と、鉄損が1.30W/
kg以下でほぼ一定となる点とが符合する。鋼中のCとN
の含有量の総量が0.0020%以下となれば、磁壁移動の障
害となる炭窒化物の析出量が急激に低減するため上記の
ような特異な現象が現れるものと考えられる。
【0014】これまでにも純化焼鈍により鋼中の析出物
を減少させることは鉄損低減に有効であることは知られ
ていたが、CとNの総量を0.0020%以下まで減少させる
と、鉄損が図1に示すように劇的に減少するということ
は明らかにされていなかった。本願の(1) の発明は、こ
のような新しい知見を基にしてなされたものである。
を減少させることは鉄損低減に有効であることは知られ
ていたが、CとNの総量を0.0020%以下まで減少させる
と、鉄損が図1に示すように劇的に減少するということ
は明らかにされていなかった。本願の(1) の発明は、こ
のような新しい知見を基にしてなされたものである。
【0015】一方、上記のようにCとNの合計含有量が
極めて少ない製品を得るためには、仕上げ焼鈍の後半で
925℃を超える温度 (但し、1050℃までの温度) で、H2
雰囲気中での純化焼鈍を行うのが有効であることも確認
できた。但し、二次再結晶を発生させるためには仕上げ
焼鈍の前半に 825〜925 ℃の温度範囲で、N2含有雰囲気
中で保持する熱処理が必要である。本願の(2) の発明
は、このような製法上の新たな知見を基にしてなされた
ものである。
極めて少ない製品を得るためには、仕上げ焼鈍の後半で
925℃を超える温度 (但し、1050℃までの温度) で、H2
雰囲気中での純化焼鈍を行うのが有効であることも確認
できた。但し、二次再結晶を発生させるためには仕上げ
焼鈍の前半に 825〜925 ℃の温度範囲で、N2含有雰囲気
中で保持する熱処理が必要である。本願の(2) の発明
は、このような製法上の新たな知見を基にしてなされた
ものである。
【0016】以下に、本発明の構成要件ごとに作用効果
を説明する。
を説明する。
【0017】I 製品電磁鋼板または素材となる鋼スラ
ブの組成 (a) CおよびN 前述したように製品中のC、N量は鉄損に悪影響を及ぼ
し、C+Nで0.0020%以下にすることが必要である。そ
の理由は、製品段階で残存したCおよびNは炭窒化物を
生成し、これが磁壁移動の障害物となり鉄損が増加する
からである。このようなCおよびNの悪影響が、先の図
1に示したように、C+Nで0.0020%以下に、特に、0.
0015%以下になると著しく小さくなる。
ブの組成 (a) CおよびN 前述したように製品中のC、N量は鉄損に悪影響を及ぼ
し、C+Nで0.0020%以下にすることが必要である。そ
の理由は、製品段階で残存したCおよびNは炭窒化物を
生成し、これが磁壁移動の障害物となり鉄損が増加する
からである。このようなCおよびNの悪影響が、先の図
1に示したように、C+Nで0.0020%以下に、特に、0.
0015%以下になると著しく小さくなる。
【0018】しかし、素材となる鋼スラブの段階ではC
含有量を0.01%以下にしておけば、最終冷間圧延後の焼
鈍を脱炭焼鈍としなくとも、仕上げ焼鈍での二次再結晶
の発生に悪影響はない。また仕上げ焼鈍の後半に実施さ
れる純化焼鈍時に所望の低いC量にまで低減できる。そ
こで鋼スラブの段階でのC含有量は0.01%以下とする。
含有量を0.01%以下にしておけば、最終冷間圧延後の焼
鈍を脱炭焼鈍としなくとも、仕上げ焼鈍での二次再結晶
の発生に悪影響はない。また仕上げ焼鈍の後半に実施さ
れる純化焼鈍時に所望の低いC量にまで低減できる。そ
こで鋼スラブの段階でのC含有量は0.01%以下とする。
【0019】Nはインヒビターとなる窒化物を形成する
のに必要で、二次再結晶が完了するまでは必要な元素で
ある。鋼スラブの段階で 0.001%未満では窒化物の析出
量が少なすぎて所望のインヒビター効果が得られず、
0.010%を超えて含有させてもその効果は飽和すること
から 0.001〜 0.010%の範囲が適当である。このNも純
化焼鈍時に所望の低い値にまで低減でき、C+Nで0.00
20%以下に抑えることができる。
のに必要で、二次再結晶が完了するまでは必要な元素で
ある。鋼スラブの段階で 0.001%未満では窒化物の析出
量が少なすぎて所望のインヒビター効果が得られず、
0.010%を超えて含有させてもその効果は飽和すること
から 0.001〜 0.010%の範囲が適当である。このNも純
化焼鈍時に所望の低い値にまで低減でき、C+Nで0.00
20%以下に抑えることができる。
【0020】(b) Si
Siは磁気特性に大きな影響を与える元素であり、含有量
が増加するほど鋼板の電気抵抗は上昇し渦電流損が低下
し、結果として鉄損が低減する。しかし、3%を超える
含有量では二次再結晶が不安定になるとともに、加工性
が低下して冷間圧延が困難となる。一方、 1.5%未満の
含有量では鋼板の電気抵抗が低く、鉄損の低減ができな
い。従って、Si含有量は 1.5〜3.0 %の範囲が適当であ
る。
が増加するほど鋼板の電気抵抗は上昇し渦電流損が低下
し、結果として鉄損が低減する。しかし、3%を超える
含有量では二次再結晶が不安定になるとともに、加工性
が低下して冷間圧延が困難となる。一方、 1.5%未満の
含有量では鋼板の電気抵抗が低く、鉄損の低減ができな
い。従って、Si含有量は 1.5〜3.0 %の範囲が適当であ
る。
【0021】(c) Mn
Mnは本発明鋼のような高Siの極低炭素鋼スラブにおいて
α−γ変態を生じさせるのに有効な元素であり、変態の
発生が熱間圧延中の熱延板の組織の微細化と均質化を促
進し、この結果として仕上げ焼鈍でゴス方位への集積度
の高い二次再結晶が安定して発生する。α−γ変態の発
生はフェライト形成元素であるSiとオーステナイト形成
元素であるMnの含有量のバランスで決まるから、SiとMn
の含有量は関連させて調整しなければならない。本発明
では、Si (%) −0.5 × Mn(%)≦ 2.0となるようにMn
を含有させる。こうすることが、熱延板の適当な変態発
生に必要である。本発明の上限Si量である3%の場合に
上式を満たすためには 2.0%以上のMnが必要になる。Si
量が 2.0%未満の材料でも 1.0%以上のMn含有が二次再
結晶の安定化に有効である。また、MnはSiと同様に鋼板
の電気抵抗を上昇させるのに有効であり、鉄損低減の目
的からも 1.0%以上のMnの含有が必要となる。しかし
3.0%を超えるMnは冷間加工性を劣化させるから、Mn含
有量の上限は 3.0%とする。即ち、Mn含有量は 1.0〜3.
0 %で、かつ Si(%) −0.5×Mn (%)≦ 2.0の条件を満
足させることが必要である。
α−γ変態を生じさせるのに有効な元素であり、変態の
発生が熱間圧延中の熱延板の組織の微細化と均質化を促
進し、この結果として仕上げ焼鈍でゴス方位への集積度
の高い二次再結晶が安定して発生する。α−γ変態の発
生はフェライト形成元素であるSiとオーステナイト形成
元素であるMnの含有量のバランスで決まるから、SiとMn
の含有量は関連させて調整しなければならない。本発明
では、Si (%) −0.5 × Mn(%)≦ 2.0となるようにMn
を含有させる。こうすることが、熱延板の適当な変態発
生に必要である。本発明の上限Si量である3%の場合に
上式を満たすためには 2.0%以上のMnが必要になる。Si
量が 2.0%未満の材料でも 1.0%以上のMn含有が二次再
結晶の安定化に有効である。また、MnはSiと同様に鋼板
の電気抵抗を上昇させるのに有効であり、鉄損低減の目
的からも 1.0%以上のMnの含有が必要となる。しかし
3.0%を超えるMnは冷間加工性を劣化させるから、Mn含
有量の上限は 3.0%とする。即ち、Mn含有量は 1.0〜3.
0 %で、かつ Si(%) −0.5×Mn (%)≦ 2.0の条件を満
足させることが必要である。
【0022】(d) S
SはMnとともにMnSを形成する。本発明では主要なイン
ヒビターとしてAlN、(Al、Si) NやMnを含む窒化物を
使っている。従って、一般の方向性電磁鋼板のようにMn
Sを主要なインヒビターとして使わないので、Sを多量
に添加する必要はない。製品段階で多量のMnS粒子が鋼
中に残存すると鉄損の劣化をきたす。更に、本発明では
仕上げ焼鈍が1050℃以下と低いため、純化焼鈍において
脱硫効果は期待できない。このため、S含有量は製品に
おいても、素材の鋼スラブにおいても 0.010%以下とす
る。なお、鉄損低減に望ましいのは 0.005%以下、最も
望ましいのは 0.002%以下である。
ヒビターとしてAlN、(Al、Si) NやMnを含む窒化物を
使っている。従って、一般の方向性電磁鋼板のようにMn
Sを主要なインヒビターとして使わないので、Sを多量
に添加する必要はない。製品段階で多量のMnS粒子が鋼
中に残存すると鉄損の劣化をきたす。更に、本発明では
仕上げ焼鈍が1050℃以下と低いため、純化焼鈍において
脱硫効果は期待できない。このため、S含有量は製品に
おいても、素材の鋼スラブにおいても 0.010%以下とす
る。なお、鉄損低減に望ましいのは 0.005%以下、最も
望ましいのは 0.002%以下である。
【0023】(e) sol.Al
Alは、二次再結晶の発生に重要な役割を果たす主要なイ
ンヒビターであるAlNや (Al、Si) Nのような窒化物を
形成する重要な元素である。sol.Alで 0.003%未満では
十分なインヒビター効果が得らない。しかしsol.Alが
0.015%を超えるとインヒビター量が多くなりすぎると
ともにその分散状態も不適切になり安定した二次再結晶
が生じない。
ンヒビターであるAlNや (Al、Si) Nのような窒化物を
形成する重要な元素である。sol.Alで 0.003%未満では
十分なインヒビター効果が得らない。しかしsol.Alが
0.015%を超えるとインヒビター量が多くなりすぎると
ともにその分散状態も不適切になり安定した二次再結晶
が生じない。
【0024】II 製造工程
(a) 第1の工程(熱間圧延)
素材のスラブは前記の組成をもつものである。これは、
転炉、電気炉等で溶製し、必要があれば真空脱ガス等の
処理を施した溶鋼を、連続鋳造法でスラブにしたもの、
インゴットにして分塊圧延したもののいずれでもよい。
転炉、電気炉等で溶製し、必要があれば真空脱ガス等の
処理を施した溶鋼を、連続鋳造法でスラブにしたもの、
インゴットにして分塊圧延したもののいずれでもよい。
【0025】熱間圧延の条件については特に制約はない
が、望ましいのは、加熱温度1150〜1270℃、仕上げ温度
700〜90℃である。
が、望ましいのは、加熱温度1150〜1270℃、仕上げ温度
700〜90℃である。
【0026】(b) 第2の工程(冷間圧延)
熱延鋼板を1回または複数回の冷間圧延によって、所定
の製品板厚まで圧延する。このとき、冷間圧延開始前に
焼鈍(いわゆる熱延板焼鈍)を行ってもよい。
の製品板厚まで圧延する。このとき、冷間圧延開始前に
焼鈍(いわゆる熱延板焼鈍)を行ってもよい。
【0027】この熱延板焼鈍は、析出物の分散状態の適
正化と熱延板の再結晶によるミクロ組織の均質化を促進
し、二次再結晶の発生を安定化するのに有効である。
正化と熱延板の再結晶によるミクロ組織の均質化を促進
し、二次再結晶の発生を安定化するのに有効である。
【0028】熱延板焼鈍を連続焼鈍で行う場合は、 750
〜1100℃10秒から5分の均熱、箱焼鈍で行う場合は、 6
50〜950 ℃で30分〜24時間の均熱とするのが望ましい。
〜1100℃10秒から5分の均熱、箱焼鈍で行う場合は、 6
50〜950 ℃で30分〜24時間の均熱とするのが望ましい。
【0029】また、複数回の冷間圧延を行う場合は中間
に焼鈍工程を挟む。この中間焼鈍は、700 〜950 ℃の温
度で行うのが望ましい。また、連続焼鈍で良好な一次再
結晶組織を得るためには、最終の冷間圧延の圧下率とし
て40〜90%が望ましく、更に言えば70〜90%が効果的で
ある。
に焼鈍工程を挟む。この中間焼鈍は、700 〜950 ℃の温
度で行うのが望ましい。また、連続焼鈍で良好な一次再
結晶組織を得るためには、最終の冷間圧延の圧下率とし
て40〜90%が望ましく、更に言えば70〜90%が効果的で
ある。
【0030】(c) 第3の工程(仕上げ焼鈍前の連続焼
鈍、一次再結晶焼鈍) 後述の仕上げ焼鈍で安定した二次再結晶を発生させるた
めには、急速加熱による一次再結晶が必要であり、この
ために連続焼鈍が有効である。焼鈍温度としては、 700
〜950 ℃が望ましい。
鈍、一次再結晶焼鈍) 後述の仕上げ焼鈍で安定した二次再結晶を発生させるた
めには、急速加熱による一次再結晶が必要であり、この
ために連続焼鈍が有効である。焼鈍温度としては、 700
〜950 ℃が望ましい。
【0031】(d) 第4の工程(仕上げ焼鈍の中の第1
の焼鈍、二次再結晶焼鈍) 仕上げ焼鈍は、二次再結晶の発生を目的とする前半の焼
鈍(第1の焼鈍)とその後の析出物の除去(純化)を目
的とする焼鈍(第2の焼鈍)とに分けられる。
の焼鈍、二次再結晶焼鈍) 仕上げ焼鈍は、二次再結晶の発生を目的とする前半の焼
鈍(第1の焼鈍)とその後の析出物の除去(純化)を目
的とする焼鈍(第2の焼鈍)とに分けられる。
【0032】二次再結晶を発生させるためには、N2含有
雰囲気で焼鈍する必要がある。その理由は、インヒビタ
ーである窒化物が脱窒により減少し二次再結晶が不安定
になるのを防止するためである。更に積極的な意味とし
ては、焼鈍雰囲気からの吸窒によりインヒビターとなる
窒化物の析出量を増加させて、ゴス方位への集積度の高
い二次再結晶を発生させるためである。このためには焼
鈍雰囲気中のN2含有量は10%以上 (N2 100%でもよい)
であることが望ましい。N2以外の雰囲気ガス成分として
はH2またはArが使用できるが、前者が一般的である。
雰囲気で焼鈍する必要がある。その理由は、インヒビタ
ーである窒化物が脱窒により減少し二次再結晶が不安定
になるのを防止するためである。更に積極的な意味とし
ては、焼鈍雰囲気からの吸窒によりインヒビターとなる
窒化物の析出量を増加させて、ゴス方位への集積度の高
い二次再結晶を発生させるためである。このためには焼
鈍雰囲気中のN2含有量は10%以上 (N2 100%でもよい)
であることが望ましい。N2以外の雰囲気ガス成分として
はH2またはArが使用できるが、前者が一般的である。
【0033】二次再結晶の発生温度としては 825〜925
℃の範囲が有効で、 825℃未満ではインヒビターの粒成
長抑制力が強すぎて二次再結晶が発生しない。一方、 9
25℃を超える温度域ではインヒビター効果が弱いため、
ゴス方位の集積度の弱い二次再結晶が発生するか、正常
粒の成長により一次再結晶粒が粗大化するだけである。
825 〜 925℃の範囲での保持時間は少なくとも4時間は
必要であるが 100時間を超える保持は意味がなく経済的
にも不利である。これらの理由で、仕上げ焼鈍の前半
(第1の焼鈍)は、二次再結晶の発生を目的に、N2含有
雰囲気中において825 〜 925℃で4〜100 時間保持する
こととする。
℃の範囲が有効で、 825℃未満ではインヒビターの粒成
長抑制力が強すぎて二次再結晶が発生しない。一方、 9
25℃を超える温度域ではインヒビター効果が弱いため、
ゴス方位の集積度の弱い二次再結晶が発生するか、正常
粒の成長により一次再結晶粒が粗大化するだけである。
825 〜 925℃の範囲での保持時間は少なくとも4時間は
必要であるが 100時間を超える保持は意味がなく経済的
にも不利である。これらの理由で、仕上げ焼鈍の前半
(第1の焼鈍)は、二次再結晶の発生を目的に、N2含有
雰囲気中において825 〜 925℃で4〜100 時間保持する
こととする。
【0034】(e) 第5の工程(仕上げ焼鈍の第2の焼
鈍、純化焼鈍) 二次再結晶が発生した後は、インヒビターの窒化物は磁
気特性上有害なものであり除去する必要がある。それを
目的とするのがこの工程、即ち、純化焼鈍工程である。
このためにはH2雰囲気中での焼鈍が有効で、このとき同
時に同じく磁気特性に有害なCも除去される。しかし、
本発明の電磁鋼板の大きな特徴であるC+Nを0.0020%
以下にすることは、 925℃以下の純化焼鈍では困難であ
る。脱窒、脱炭を短時間で行い、かつ純化焼鈍後のNと
Cのレベルを低くするのには 950℃以上で焼鈍するのが
望ましい。ただし、1050℃を超える温度にしてもC、N
の除去効果は飽和するので意味がない。純化焼鈍の保持
時間は少なくとも4時間が必要であるが、 100時間を超
える保持は不必要である。従って、仕上げ焼鈍の後半
(第2の焼鈍)は、H2雰囲気中において 925℃を超える
温度から1050℃までの温度域で4〜100 時間の純化焼鈍
を行うこととした。なお、仕上げ焼鈍の前に焼鈍時の焼
き付き防止のための焼鈍分離剤を塗布することは、通常
の方向性電磁鋼板の製造方法と同じである。仕上げ焼鈍
後の工程としては通常の方向性電磁鋼板と同様に、焼鈍
分離剤を除去した後、必要に応じて絶縁コーティングを
施したり平坦化焼鈍を行うことになる。
鈍、純化焼鈍) 二次再結晶が発生した後は、インヒビターの窒化物は磁
気特性上有害なものであり除去する必要がある。それを
目的とするのがこの工程、即ち、純化焼鈍工程である。
このためにはH2雰囲気中での焼鈍が有効で、このとき同
時に同じく磁気特性に有害なCも除去される。しかし、
本発明の電磁鋼板の大きな特徴であるC+Nを0.0020%
以下にすることは、 925℃以下の純化焼鈍では困難であ
る。脱窒、脱炭を短時間で行い、かつ純化焼鈍後のNと
Cのレベルを低くするのには 950℃以上で焼鈍するのが
望ましい。ただし、1050℃を超える温度にしてもC、N
の除去効果は飽和するので意味がない。純化焼鈍の保持
時間は少なくとも4時間が必要であるが、 100時間を超
える保持は不必要である。従って、仕上げ焼鈍の後半
(第2の焼鈍)は、H2雰囲気中において 925℃を超える
温度から1050℃までの温度域で4〜100 時間の純化焼鈍
を行うこととした。なお、仕上げ焼鈍の前に焼鈍時の焼
き付き防止のための焼鈍分離剤を塗布することは、通常
の方向性電磁鋼板の製造方法と同じである。仕上げ焼鈍
後の工程としては通常の方向性電磁鋼板と同様に、焼鈍
分離剤を除去した後、必要に応じて絶縁コーティングを
施したり平坦化焼鈍を行うことになる。
【0035】
【実施例1】転炉で溶製し、真空処理で成分調整をして
連続鋳造して得たC:0.0030%、Si:2.35%、Mn:1.53
%、S: 0.002%、sol.Al: 0.010%、N:0.0042%で
残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼スラブを、加
熱温度1240℃、仕上温度 820℃で熱間圧延し 2.0mm厚に
仕上げた。
連続鋳造して得たC:0.0030%、Si:2.35%、Mn:1.53
%、S: 0.002%、sol.Al: 0.010%、N:0.0042%で
残部はFeおよび不可避的不純物からなる鋼スラブを、加
熱温度1240℃、仕上温度 820℃で熱間圧延し 2.0mm厚に
仕上げた。
【0036】次に 880℃で40秒間均熱の熱延板焼鈍を行
った後、酸洗により脱スケールし、1回の冷間圧延で0.
30mm厚まで冷間圧延した。その冷延板を78%N2+22%H2
の非脱炭雰囲気中、 880℃で30秒間均熱する連続焼鈍に
付し、一次再結晶させた後、焼鈍分離剤を塗布して仕上
げ焼鈍を実施した。仕上げ焼鈍は、75%N2+25%H2雰囲
気中にて 885℃で24時間均熱する第1の焼鈍と、その
後、H2雰囲気に切り替えて、更に表1に示す種々の温度
で24時間均熱する第2の焼鈍(純化焼鈍)を行った。得
られた鋼板のC+N量と圧延方向の磁気特性も表1に示
す。
った後、酸洗により脱スケールし、1回の冷間圧延で0.
30mm厚まで冷間圧延した。その冷延板を78%N2+22%H2
の非脱炭雰囲気中、 880℃で30秒間均熱する連続焼鈍に
付し、一次再結晶させた後、焼鈍分離剤を塗布して仕上
げ焼鈍を実施した。仕上げ焼鈍は、75%N2+25%H2雰囲
気中にて 885℃で24時間均熱する第1の焼鈍と、その
後、H2雰囲気に切り替えて、更に表1に示す種々の温度
で24時間均熱する第2の焼鈍(純化焼鈍)を行った。得
られた鋼板のC+N量と圧延方向の磁気特性も表1に示
す。
【0037】表1に示すとおり、適切な仕上げ焼鈍条件
によって処理され、C+N量が0.0020%以下になってい
る No.4〜7の鋼板(製品)では鉄損が極めて低くなっ
ており、また磁束密度 (B8)は高くなっている。
によって処理され、C+N量が0.0020%以下になってい
る No.4〜7の鋼板(製品)では鉄損が極めて低くなっ
ており、また磁束密度 (B8)は高くなっている。
【0038】
【表1】
【0039】
【実施例2】表2に示すようなsol.Al以外の組成はほぼ
同一で、いずれも本発明で定める範囲内にあり、sol.Al
量を変化させた3鋼種の鋼を実施例1と同じ方法で溶製
して得たスラブを実施例1と同じ条件で熱間圧延して
2.3mm厚に仕上げた。この熱延板を酸洗して脱スケール
し、800 ℃で2時間均熱する箱焼鈍による熱延板焼鈍に
付し、次いで1回の冷間圧延で0.35mm厚とした。
同一で、いずれも本発明で定める範囲内にあり、sol.Al
量を変化させた3鋼種の鋼を実施例1と同じ方法で溶製
して得たスラブを実施例1と同じ条件で熱間圧延して
2.3mm厚に仕上げた。この熱延板を酸洗して脱スケール
し、800 ℃で2時間均熱する箱焼鈍による熱延板焼鈍に
付し、次いで1回の冷間圧延で0.35mm厚とした。
【0040】上記の冷延板を25%N2+75%H2の非脱炭雰
囲気中 875℃で30秒保持均熱する連続焼鈍に付し一次再
結晶させた後、焼鈍分離剤を塗布して仕上げ焼鈍を行っ
た。
囲気中 875℃で30秒保持均熱する連続焼鈍に付し一次再
結晶させた後、焼鈍分離剤を塗布して仕上げ焼鈍を行っ
た。
【0041】仕上げ焼鈍では、75%N2+25%H2雰囲気中
で 875℃で24時間均熱した後、H2雰囲気に切り替えてさ
らに 950℃で24時間均熱する純化焼鈍を行った。得られ
た鋼板のC+N量と圧延方向の磁気特性を表3に示す。
で 875℃で24時間均熱した後、H2雰囲気に切り替えてさ
らに 950℃で24時間均熱する純化焼鈍を行った。得られ
た鋼板のC+N量と圧延方向の磁気特性を表3に示す。
【0042】sol.Alが本発明で定める量よりも低い No.
1は、C+N量が0.0020%以下になっているが、インヒ
ビター効果が弱いためゴス方位に集積した二次再結晶が
得られず、磁束密度 (B8)が低く、良好な磁気特性を示
さない。また、sol.Alが本発明で定める量よりも多い N
o.3は、N含有量が高い上に、二次再結晶も発生してい
ないので鉄損および磁束密度の両面で非常に悪いものと
なっている。これらに対して、本発明の電磁鋼板の例に
相当する No.2は、極めて良好な磁気特性を示してい
る。
1は、C+N量が0.0020%以下になっているが、インヒ
ビター効果が弱いためゴス方位に集積した二次再結晶が
得られず、磁束密度 (B8)が低く、良好な磁気特性を示
さない。また、sol.Alが本発明で定める量よりも多い N
o.3は、N含有量が高い上に、二次再結晶も発生してい
ないので鉄損および磁束密度の両面で非常に悪いものと
なっている。これらに対して、本発明の電磁鋼板の例に
相当する No.2は、極めて良好な磁気特性を示してい
る。
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【実施例3】実施例1と同じ方法で溶製したC:0.0050
%、Si:2.62%、Mn:1.85%、S:0.0006%、sol.Al:
0.007%、N:0.0035%で残部はFeおよび不可避的不純
物からなる鋼スラブを実施例1と同じ条件で熱間圧延し
1.8mm厚に仕上げた。これに880 ℃で1分間均熱する熱
延板焼鈍を施し、酸洗により脱スケールしてから1回の
冷間圧延で0.27mm厚とした。
%、Si:2.62%、Mn:1.85%、S:0.0006%、sol.Al:
0.007%、N:0.0035%で残部はFeおよび不可避的不純
物からなる鋼スラブを実施例1と同じ条件で熱間圧延し
1.8mm厚に仕上げた。これに880 ℃で1分間均熱する熱
延板焼鈍を施し、酸洗により脱スケールしてから1回の
冷間圧延で0.27mm厚とした。
【0046】次に、冷延板を50%N2+50%H2の非脱炭雰
囲気中 875℃で30秒均熱する連続焼鈍に付し、一次再結
晶させた後、焼鈍分離剤を塗布して仕上げ焼鈍を実施し
た。
囲気中 875℃で30秒均熱する連続焼鈍に付し、一次再結
晶させた後、焼鈍分離剤を塗布して仕上げ焼鈍を実施し
た。
【0047】仕上げ焼鈍は表4に示す3種類の条件で実
施した。これらの条件は二次再結晶を目的とした50%N2
+50%H2雰囲気での第1の焼鈍と、純化焼鈍を目的とし
たH2雰囲気での第2の焼鈍の均熱温度の組合わせを変化
させたものである。得られた鋼板のC+N量と圧延方向
の磁気特性を表5に示す。
施した。これらの条件は二次再結晶を目的とした50%N2
+50%H2雰囲気での第1の焼鈍と、純化焼鈍を目的とし
たH2雰囲気での第2の焼鈍の均熱温度の組合わせを変化
させたものである。得られた鋼板のC+N量と圧延方向
の磁気特性を表5に示す。
【0048】第1の焼鈍の均熱温度が本発明で定める範
囲から高めに外れた No.1は、インヒビター効果が弱く
正常粒成長が進行し二次再結晶が発生しなかったため、
C+N含有量は本発明で定める0.0020%以下となってい
るが良好な磁気特性は得られていない。また、第2の焼
鈍の均熱温度が本発明で定める範囲から低めに外れたN
o.3は、二次再結晶はしているもののC+N量が本発明
で定める値よりも高いため十分な磁気特性は得られてい
ない。これらに対し、本発明の実施例に相当する No.2
は鉄損が極めて低い上に磁束密度も高い。
囲から高めに外れた No.1は、インヒビター効果が弱く
正常粒成長が進行し二次再結晶が発生しなかったため、
C+N含有量は本発明で定める0.0020%以下となってい
るが良好な磁気特性は得られていない。また、第2の焼
鈍の均熱温度が本発明で定める範囲から低めに外れたN
o.3は、二次再結晶はしているもののC+N量が本発明
で定める値よりも高いため十分な磁気特性は得られてい
ない。これらに対し、本発明の実施例に相当する No.2
は鉄損が極めて低い上に磁束密度も高い。
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【0051】
【発明の効果】実施例にも示したとおり、本発明の方向
性電磁鋼板は鉄損が極めて小さく、変圧器や発電機、電
動機の鉄心材料や磁気シールド材として用いるのに好適
である。この電磁鋼板は、本発明の製造方法によって容
易に製造できる。この製造方法は、長時間を要する脱炭
焼鈍工程や1150〜1200℃といって超高温での仕上げ焼鈍
工程を含まないから製造コストの低減という面でも有利
である。
性電磁鋼板は鉄損が極めて小さく、変圧器や発電機、電
動機の鉄心材料や磁気シールド材として用いるのに好適
である。この電磁鋼板は、本発明の製造方法によって容
易に製造できる。この製造方法は、長時間を要する脱炭
焼鈍工程や1150〜1200℃といって超高温での仕上げ焼鈍
工程を含まないから製造コストの低減という面でも有利
である。
【図1】電磁鋼板製造工程の仕上げ焼鈍の第2の焼鈍
(純化焼鈍)の温度と、鋼板中のC+N量の変化、およ
び鉄損の変化との関係を示す図である。
(純化焼鈍)の温度と、鋼板中のC+N量の変化、およ
び鉄損の変化との関係を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%で、Si: 1.5〜 3.0%、Mn: 1.0
〜3.0 %、酸可溶性Al: 0.003〜0.015 %で、かつ Si
(%) − 0.5×Mn (%) ≦ 2.0で、残部はFeおよび不可
避的不純物からなり、不純物としてのCおよびNが合計
で0.0020%以下、Sが0.01%以下である方向性電磁鋼
板。 - 【請求項2】 重量%で、C:0.01%以下、Si: 1.5〜
3.0%、Mn: 1.0〜3.0 %、S:0.01%以下、酸可溶性
Al: 0.003〜0.015 %、N: 0.001〜 0.010%で、かつ
Si(%) − 0.5×Mn (%) ≦ 2.0で、残部はFeおよび不
可避的不純物からなる組成のスラブを下記〜の工程
で処理する方向性電磁鋼板の製造方法。 熱間圧延を行う工程、 熱間圧延のまま、または熱間圧延後に焼鈍してか
ら、1回または中間焼鈍を挟んだ2回以上の冷間圧延を
行う工程、 連続焼鈍により一次再結晶をおこさせる工程、 N2を含む雰囲気中で 825〜925 ℃の温度域で4〜10
0 時間保持し二次再結晶をおこさせる工程、 H2雰囲気中で 925℃を超え、1050℃までの温度域で
4〜100 時間保持し純化する工程。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3051367A JP2639226B2 (ja) | 1991-03-15 | 1991-03-15 | 方向性電磁鋼板およびその製造方法 |
US07/850,857 US5250123A (en) | 1991-03-15 | 1992-03-13 | Oriented silicon steel sheets and production process therefor |
CA002063045A CA2063045A1 (en) | 1991-03-15 | 1992-03-13 | Oriented silicon steel sheets and production process therefor |
EP92104522A EP0503680B1 (en) | 1991-03-15 | 1992-03-16 | Oriented silicon steel sheets and production process therefor |
DE69222964T DE69222964T2 (de) | 1991-03-15 | 1992-03-16 | Kornorientiertes Silizium-Stahlblech und dessen Herstellungsverfahren |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3051367A JP2639226B2 (ja) | 1991-03-15 | 1991-03-15 | 方向性電磁鋼板およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH059666A true JPH059666A (ja) | 1993-01-19 |
JP2639226B2 JP2639226B2 (ja) | 1997-08-06 |
Family
ID=12884973
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3051367A Expired - Lifetime JP2639226B2 (ja) | 1991-03-15 | 1991-03-15 | 方向性電磁鋼板およびその製造方法 |
Country Status (5)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US5250123A (ja) |
EP (1) | EP0503680B1 (ja) |
JP (1) | JP2639226B2 (ja) |
CA (1) | CA2063045A1 (ja) |
DE (1) | DE69222964T2 (ja) |
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JP2015052589A (ja) * | 2013-08-07 | 2015-03-19 | Jfeスチール株式会社 | 方向性電磁鋼板の評価方法および方向性電磁鋼板の製造方法 |
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KR100837129B1 (ko) * | 2001-01-19 | 2008-06-11 | 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 | 포스테라이트를 주체로 하는 하지피막을 갖지 않는,자기특성이 양호한 방향성 전자강판과 그 제조방법 |
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CN104805353A (zh) * | 2015-05-07 | 2015-07-29 | 马钢(集团)控股有限公司 | 一种纵向磁性能优异电工钢及其生产方法 |
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JPS6283421A (ja) * | 1985-10-04 | 1987-04-16 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 方向性電磁鋼板の製造方法 |
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