JPH0552016U - 鉄骨の耐火被覆材 - Google Patents
鉄骨の耐火被覆材Info
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- JPH0552016U JPH0552016U JP11047691U JP11047691U JPH0552016U JP H0552016 U JPH0552016 U JP H0552016U JP 11047691 U JP11047691 U JP 11047691U JP 11047691 U JP11047691 U JP 11047691U JP H0552016 U JPH0552016 U JP H0552016U
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 無機繊維のフェルトを用いた鉄骨用耐火被覆
材におけるセラミック繊維の使用を不要にする。 【構成】 ロックウールまたはグラスウールからなるフ
ェルト状基材2の片面に耐熱性無機繊維フェルト1およ
び金網3が順次積層されてなる鉄骨の耐火被覆材におい
て、耐熱性無機繊維フェルト1を構成する耐熱性無機繊
維の少なくとも一部を、繊維全体としてはEガラス繊維
と実質的に同一のガラス組成を有するが表層部はSiO2
含有率が80重量%以上のシリカ質ガラスからなる耐熱
性ガラス繊維とする。
材におけるセラミック繊維の使用を不要にする。 【構成】 ロックウールまたはグラスウールからなるフ
ェルト状基材2の片面に耐熱性無機繊維フェルト1およ
び金網3が順次積層されてなる鉄骨の耐火被覆材におい
て、耐熱性無機繊維フェルト1を構成する耐熱性無機繊
維の少なくとも一部を、繊維全体としてはEガラス繊維
と実質的に同一のガラス組成を有するが表層部はSiO2
含有率が80重量%以上のシリカ質ガラスからなる耐熱
性ガラス繊維とする。
Description
【0001】
本考案は、鉄骨建築物等における鉄骨の耐火性を向上させるための、シート状 耐火被覆材に関するものである。
【0002】
鉄骨建築は法定の耐火構造とするためにその躯体の鉄骨表面を耐火性の断熱材 で被覆することが必要である。このために用いられる耐火性断熱材としては、鉄 骨表面に吹き付けて被覆層を形成させるもの、板状に成形されたもの、耐熱性無 機繊維のフェルト等を用いて作られた可撓性シート状物などがあり、それぞれ適 所に使い分けられている。 このうち、無機繊維のフェルトを用いたものは、容易に均一な被覆層を形成す ることができ、吹き付けによるもののように作業環境を悪化させることもないと いう長所があり、近年、利用が増えている。
【0003】 無機繊維のフェルトを用いた耐火被覆材の一例は実公平3−10241号公報 に記載されている。この耐火被覆材は、ロックウールフェルトまたはグラスウー ルフェルトからなる基材の表面に耐熱性の良いセラミック繊維フェルトを重ね、 その上に金網等の網状物を重ねた上で線材で縫合して全体を一体化した積層シー ト構造のものであって、火炎に直接接する可能性のある表層部には耐熱性のよい セラミック繊維を用い、鉄骨側に配置される部分は、表層部ほどには温度が上昇 しないので耐熱性はやや劣るが安価なロックウールやグラスウールを用いている 。なお、網状物は全体的な補強のためのものである。各層は、ニードルパンチ方 式または(および)金属線材で縫合されて一体化されている。
【0004】 実公平3−10241号の耐火被覆材は、上述のような積層構造を採用しただ けでなく、シート状被覆材を用いて鉄骨を被覆したとき生じる目地部すなわち被 覆材間の突き付け部分において耐火性が低下するのを防止するための工夫が、積 層構造を利用して施されている。すなわち、被覆材の端部の一つからセラミック 繊維フェルトの層および網状物の層を5〜100mmほど延長突出させて耳部を形 成しておき、この耳部を、突き付けられた相手方被覆材の上に被せることにより 目地部を覆い、目地部に生じ易い間隙を経由する熱伝達を抑制する。
【0005】 このため、実公平3−10241号の耐火被覆材は経済性と実用性能の両面で 優れている。しかしながら、用いるセラミック繊維が高価であるためより安価な 代替繊維の使用が望まれると共に、近年、セラミック繊維の飛散が環境に悪影響 を及ぼすことが指摘され、粉塵化し易い状態で建築物に使用するのは望ましくな いとされるようになった。
【0006】
そこで本考案の目的は、セラミック繊維を使用せずに優れた耐火性能を有する 鉄骨用耐火被覆材を提供することにある。
【0007】
本考案による耐火被覆材は、ロックウールまたはグラスウールからなるフェル ト状基材の片面に耐熱性無機繊維フェルトおよび金網が順次積層され且つ上記耐 熱性無機繊維フェルト層および金網層が積層物の端部の一つから一定の幅で突出 している鉄骨の耐火被覆材において、上記耐熱性無機繊維フェルトを構成する耐 熱性無機繊維の少なくとも一部が、繊維全体としてはEガラス繊維と実質的に同 一のガラス組成を有するが表層部はSiO2含有率が80重量%以上のシリカ質ガ ラスからなる耐熱性ガラス繊維であることを特徴とするものである。 ここで“表層部”とは、繊維表面から深さ120Åまでの狭い特定の領域を意 味する。
【0008】
本考案で耐熱性無機繊維フェルトを構成する繊維として用いた耐熱性ガラス繊 維は本考案者らが発明した新規ガラス繊維であって、セラミック繊維ほど高度の 耐熱性を有するわけではないが、実用上の耐熱限界温度がEガラス繊維のそれよ りも著しく高い。たとえば、Eガラス繊維からなるマットは約700℃を超える 温度では繊維の熱変形により急速に収縮して密度の高い塊になり、耐火被覆材と しての機能を果たさなくなるが、この新規耐熱性ガラス繊維からなるものは、少 なくとも900℃で30分間の加熱に耐え、1050℃・30分間の加熱に耐え るものさえある。したがって、上述のような積層構造の耐火被覆材の表面層構成 材料としては十分な耐熱性を示し、耐火被覆材全体としてはセラミック繊維使用 品と同等の耐火性能の達成を可能にしている。
【0009】 この特殊ガラス繊維の主要構成成分のおよその含有率を表層部と繊維全体につ いて示すと次のようになる。参考値として一般的なEガラス繊維の組成を併せて 示す。 繊維表層部 繊維全体の平均値 Eガラス繊維 SiO2(%) 80以上 50〜65 50〜63 Al2O3(%) 少量 10〜16 12〜16 B2O3(%) 少量 2〜12 8〜13 CaO+MgO(%) 少量 14〜21 15〜20 Na2O+K2O(%) 微量 微量 微量
【0010】 このガラス繊維は、耐熱性が上述のように従来のガラス繊維の水準を超えるも のであるが、耐熱性以外の物性および化学的性質においては、繊維全体の平均的 なガラス組成から期待されるとおり、Eガラス繊維と同等のものである。したが って、フェルト化や積層の過程で折れたり粉塵化したりすることはなく、加工は 容易である。
【0011】 本考案で使用する上記ガラス繊維(以下、耐熱性ガラス繊維という)は、Eガ ラス繊維を酸の水溶液中に適当時間浸漬して繊維表面付近にあるアルカリ土類金 属、アルカリ金属、アルミナ、酸化ホウ素等、シリカ以外の成分を溶出させたの ち、水洗し加熱乾燥するだけで容易に製造することができる。すなわち、原料繊 維を構成するEガラスはきわめて緻密であって酸を浸透させないため、酸による ガラス成分の溶出は繊維表面からしか起こらず、一部成分が溶出して表層部の組 織がルーズになることにより初めてその内側への酸の浸透が可能になるから、酸 処理によりごく薄い高シリカ質表面層が形成され、内部は実質的にもとのEガラ スのまま残るのである。
【0012】 酸処理に使用する酸としては、塩酸が最も適しており、次いで硝酸が適する。 酸処理における繊維成分の溶出速度は、用いる酸の濃度、処理温度、撹拌の有無 もしくは程度等により異なるので、好適処理時間は実験的に決定する必要がある が、濃度約9〜12%、温度約40〜70℃の塩酸を使用する場合、約30分〜 数時間の浸漬処理を行なえばよい。 耐熱性無機繊維フェルト層を構成する繊維が耐熱性ガラス繊維であることを除 けば、本考案の耐火被覆材は実公平3−10241号の耐火被覆材と同様にして 製造し且つ同様にして使用することができる。
【0013】 すなわち、耐熱性ガラス繊維は無機繊維フェルト製造の常法により厚さ約5〜 30mmのフェルトとする。原料繊維は、長繊維でも短繊維でもよい。その場合、 要求される耐火性能を達成可能な範囲で、通常ガラス繊維(言うまでもなく、そ の中でも耐熱性のよいものが好ましい)を混合して使用することができる。 ロックウールまたはグラスウールからなるフェルト状基材も、常法により製造 された厚さ約20〜80mmのものを使用する。 金網としては、ひし形金網、亀甲金網などを使用することができる。
【0014】 上記各層構成材料は、ロックウールまたはグラスウールからなるフェルト状基 材、耐熱性ガラス繊維フェルト、金網の順に重ね合わせるが、上部2層は、使用 時に隣接する被覆材に突き付けることになる端部の一方から10〜100mm程度 突き出させて、耳部を形成させる。重ね合わせた3種の材料は金属線材で縫合し て一体化させるが、最上層の網状物は、耳部となる部分およびその耳部形成端と 反対側の端部(別の耐火被覆材が突き付けられる端部)の近傍においては、耐熱 性ガラス繊維フェルト層と一体化させなくてもよい。
【0015】 この耐火被覆材を鉄骨表面に取り付けるときは、基材層を鉄骨側にして、接着 剤、溶接ピン、爪立て金具、クリップ等、任意の固定手段で固定する。耐火被覆 材同士の突き付け目地部は、隣接する耐火被覆材を隙間なく突き付けた後、一方 の被覆材の耳部で他方の被覆材の端部近傍を覆う。耳部およびその耳部形成端と 反対側の端部の近傍において耐熱性ガラス繊維フェルト層と金網層とが一体化さ れていない場合は、耳部の耐熱性ガラス繊維フェルトを他方の被覆材の金網の下 に挿入し、耳部金網は相手方金網の上に被せる(後記図2の例参照)。これによ り、火災時に加熱された耐火被覆材構成繊維が収縮しても、目地部が直ちに大き く開いて鉄骨を火炎にさらす恐れがなくなる。
【0016】
市販のEガラス繊維(径9μm)を塩酸の9%水溶液に浸漬し、40℃に加熱 して12時間処理することにより、繊維全体の平均的な組成はSiO2 55.2% 、Al2O3 15.3%、CaO+MgO 21.3%、B2O3 8.2%であってEガ ラス繊維に酷似する組成であるが表層部のSiO2含有率が91.5%である、耐 熱性ガラス繊維を製造した。
【0017】 上記耐熱性ガラス繊維とEガラス繊維の7:3(重量比)の混合物から厚さ6 mmのフェルトを製造した。得られた耐熱性ガラス繊維フェルトを用いて、図1の 耐火被覆材を製造した。すなわち、耐熱性ガラス繊維フェルト1を基材2(厚さ 30mmのロックウールフェルト)に重ね、さらにその上に亀甲金網3を重ねて金 属線材4で縫合することにより、全体を一体化した。なお、耐熱性ガラス繊維フ ェルト1と金網3は、使用時に隣接する被覆材が突き付けられる端部の一方5a から50mm突き出させて耳部6を形成させ、この部分は、耐熱性ガラス繊維フェ ルト1と金網3は縫合しなかった。耳部設置端5aの反対側の端部5bから約5 0mmの領域7も、耐熱性ガラス繊維フェルト1と金網3は縫合しなかった。
【0018】 図2に示したように、この耐火被覆材8は、鉄骨9の表面に溶接ピン10で固 定したとき、隣接する耐火被覆材8′の端部領域7′を耳部6で覆って突き付け 目地部11を隠蔽し、隙間のない、また基材2や耐熱性ガラス繊維フェルト1の 多少の収縮があっても目地部11が開いて鉄骨9が露出する恐れのない、完全な 被覆を形成することが可能である。このとき、耐火被覆材8′側の端部領域7′ 上の金網3′は一旦ひき剥がされ、該金網3′と耐熱性ガラス繊維フェルト1′ との間に耐火被覆材8の耳部耐熱性ガラス繊維フェルト1が挿入され、金網3′ 上に耐火被覆材8の耳部金網3が被せられ、重なり合った耳部6と端部領域7′ は最後に溶接ピン10を貫通させることにより連結される。
【0019】 また、上記耐火被覆材について、JIS A1304「建築構造部分の耐火試 験方法」に基づく梁の耐火1時間加熱試験を行なった結果、平均温度305℃、 最高温度328℃で、基準値(平均温度350℃以下、最高温度450℃以下) を満足し、良好な耐火性能を示した。また、ガラス繊維フェルト層の表面に溶融 等の変化は全く認められず、セラミック繊維に近い優れた耐熱性を示した。
【0020】
上述のように、本考案の耐火被覆材は基材フェルトを耐熱性ガラス繊維のフェ ルトで覆い、且つ突き付け端部に耳部を設けて目地を完全に隠蔽するようにした ものであるから、最小限度の耐熱性ガラス繊維使用量で、セラミック繊維使用品 とほぼ同等の耐火性能を発揮する。耐熱性ガラス繊維はEガラス繊維から容易に 製造することができてセラミック繊維よりも安価であり、またセラミック繊維よ りも加工性に優れ、粉塵飛散による環境への悪影響も心配がないなど、耐火被覆 材構成材料としてはセラミック繊維よりも多くの有利な性質を持つから、本考案 の耐火被覆材は鉄骨建築の耐火被覆工事におけるコスト削減と安全性向上に大き な貢献をするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本考案実施例を示す断面図。
【図2】 図1の実施例の使用状態を示す断面図。
1:耐熱性ガラス繊維フェルト 2:基材(ロックウールフェルト) 3:金網 4:金属線材 6:耳部 8:耐火被覆材 9:鉄骨 10:溶接ピン 11:目地部
Claims (1)
- 【請求項1】 ロックウールまたはグラスウールからな
るフェルト状基材の片面に耐熱性無機繊維フェルトおよ
び金網が順次積層され且つ上記耐熱性無機繊維フェルト
層および金網層が積層物の端部の一つから一定の幅で突
出している鉄骨の耐火被覆材において、上記耐熱性無機
繊維フェルトを構成する耐熱性無機繊維の少なくとも一
部が、繊維全体としてはEガラス繊維と実質的に同一の
ガラス組成を有するが表層部はSiO2含有率が80重量
%以上のシリカ質ガラスからなる耐熱性ガラス繊維であ
ることを特徴とする鉄骨の耐火被覆材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11047691U JPH0754410Y2 (ja) | 1991-12-18 | 1991-12-18 | 鉄骨の耐火被覆材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11047691U JPH0754410Y2 (ja) | 1991-12-18 | 1991-12-18 | 鉄骨の耐火被覆材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0552016U true JPH0552016U (ja) | 1993-07-09 |
JPH0754410Y2 JPH0754410Y2 (ja) | 1995-12-18 |
Family
ID=14536683
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11047691U Expired - Lifetime JPH0754410Y2 (ja) | 1991-12-18 | 1991-12-18 | 鉄骨の耐火被覆材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0754410Y2 (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000121138A (ja) * | 1998-10-20 | 2000-04-28 | Fujimori Sangyo Kk | 空調用ダクト |
JP2008031800A (ja) * | 2006-07-31 | 2008-02-14 | Sekisui Chem Co Ltd | ダクト |
JP2008031797A (ja) * | 2006-07-31 | 2008-02-14 | Sekisui Chem Co Ltd | 鉄骨被覆構造 |
JP2010168706A (ja) * | 2009-01-26 | 2010-08-05 | Ibiden Co Ltd | マット材、排気ガス処理装置およびマット材を製造する方法 |
JP2014101685A (ja) * | 2012-11-20 | 2014-06-05 | Daiken Corp | 軒裏天井材 |
-
1991
- 1991-12-18 JP JP11047691U patent/JPH0754410Y2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000121138A (ja) * | 1998-10-20 | 2000-04-28 | Fujimori Sangyo Kk | 空調用ダクト |
JP2008031800A (ja) * | 2006-07-31 | 2008-02-14 | Sekisui Chem Co Ltd | ダクト |
JP2008031797A (ja) * | 2006-07-31 | 2008-02-14 | Sekisui Chem Co Ltd | 鉄骨被覆構造 |
JP2010168706A (ja) * | 2009-01-26 | 2010-08-05 | Ibiden Co Ltd | マット材、排気ガス処理装置およびマット材を製造する方法 |
JP2014101685A (ja) * | 2012-11-20 | 2014-06-05 | Daiken Corp | 軒裏天井材 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0754410Y2 (ja) | 1995-12-18 |
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