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JPH05331212A - アクリル系樹脂の製造法 - Google Patents

アクリル系樹脂の製造法

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Publication number
JPH05331212A
JPH05331212A JP18024092A JP18024092A JPH05331212A JP H05331212 A JPH05331212 A JP H05331212A JP 18024092 A JP18024092 A JP 18024092A JP 18024092 A JP18024092 A JP 18024092A JP H05331212 A JPH05331212 A JP H05331212A
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JP
Japan
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polymerization
polymerization reactor
solvent
acrylic resin
temperature
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JP18024092A
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Masao Nishiyama
昌男 西山
Kazuo Zushi
和夫 図司
Toshihiro Inaike
稔弘 稲池
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Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
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Publication date
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F20/00Homopolymers and copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and only one being terminated by only one carboxyl radical or a salt, anhydride, ester, amide, imide or nitrile thereof
    • C08F20/02Monocarboxylic acids having less than ten carbon atoms, Derivatives thereof
    • C08F20/10Esters
    • C08F20/12Esters of monohydric alcohols or phenols
    • C08F20/14Methyl esters, e.g. methyl (meth)acrylate

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  • Organic Chemistry (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】特殊な重合反応器を要さず、高転化率でも粘度
変化が小さく、重合反応の制御が容易である重合法によ
り、全光線透過率が高く、分子量分布の狭い高品質のア
クリル系樹脂を製造する。 【構成】第1の重合反応器によりモノマーの転化率が1
0〜35%となるまで重合し、後段の重合反応器に於い
て、特定量の溶剤を加えた後重合して、転化率を80%
以上とし、その後、溶剤、低分子量重合体等を除去し、
アクリル系樹脂を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、透明性に優れたプラス
チック材料として有用な、アクリル系樹脂の製造法に関
する。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】アクリル系樹脂は、透明
性、耐光性、機械的強度、成形性及び加工性に優れたプ
ラスチックで、看板、照明器具、車両用部品及び各種装
飾品等に使用されている。近年、レンズ、光ディスク、
光繊維等の光学分野での用途が拡大しており、分子量分
布が狭く、光学的性質に優れた高品質のアクリル系樹脂
を製造する方法が求められている。
【0003】従来、成形材料に使用するアクリル系樹脂
を工業的に製造する方法として、懸濁重合法、塊状重合
法、溶液重合法等が知られている。懸濁重合法は、重合
反応の制御が容易であるため、比較的分子量分布の狭い
アクリル系樹脂を製造することができるが、製造時に使
用する分散剤或いは分散安定剤等が樹脂中に残存し、光
学的性質の低下をきたすこと、バッチ生産が主で製造工
程が煩雑となり、生産性が低いこと、大量の排水処理を
必要とすること等の欠点がある。
【0004】塊状重合法は、分散剤や分散安定剤を使用
しないこと、大量の排水処理が不要なこと、生産性の良
い連続化が比較的容易なこと等、懸濁重合法に比べて有
利な点がある。しかし、モノマー転化率(以下、転化率
という)が高くなると、一般にゲル効果として知られて
いる、重合速度の加速現象が起こり、重合反応時に粘度
及び温度が急激に上昇するため、重合熱の除去が困難と
なり、工業的規模では重合反応の制御が殆どできないこ
と、転化率を高くすることが難しいこと、生成するアク
リル系樹脂の分子量分布が広く、又、オリゴマーやゲル
化物等の不純物が副生し易くなり、光学的性質が低下す
る等の欠点がある。
【0005】塊状重合法のこれら欠点を改良する目的
で、特開昭49−37993号公報には、転化率が50
〜80%に達した後、トルエン等の粘度低減剤とラジカ
ル重合開始剤を追加添加し、転化率を85%以上にする
方法が提案されている。しかし、塊状重合法によって転
化率が50〜80%に達するまで重合反応を制御するこ
とは、通常、非常に困難であり、ラジカル重合開始剤の
使用量や重合温度を特定範囲に限定するなど、製造可能
条件範囲が非常に狭く、工業的規模で実施することは極
めて難しい。又、粘度低減剤の添加やラジカル重合開始
剤の追加添加は重合温度等の重合条件を変化させ、得ら
れるアクリル系樹脂の分子量分布が広くなり、光学的性
質が低下する等の欠点がある。
【0006】また、特開昭63−77909号公報に
は、メチルメタクリレート、ビニル芳香族、無水マレイ
ン酸及びアルキルアクリレートからなるモノマー混合物
を溶剤の存在下又は不存在下に転化率60%にまで重合
した後、約15〜33重量%の溶剤を加え、転化率80
%以上にまで重合する製造方法が提案されている。しか
し、通常、溶剤の不存在下でゲル効果を抑制して、転化
率60%まで重合反応を制御することは難しい。又、転
化率60%以上では重合反応液の粘度が非常に高く、溶
剤と均一に混合することが難しく、重合温度が不均一に
なり、得られるアクリル系樹脂の分子量分布が広くなる
等の欠点がある。
【0007】溶液重合法は溶剤の使用量が少ないとゲル
化が起こり、得られるアクリル系樹脂の分子量分布が広
くなるが、モノマーと同等量以上の溶剤を使用した場合
は、重合反応時の温度調節や分子量調節は比較的容易で
あり、分散剤等を使用しないため光学的性質が良く、分
子量分布の狭い樹脂の製造が可能である。しかし、良く
知られているように、多量の溶剤の使用は重合速度、特
に、重合初期の重合速度が遅く、生産性が悪くなること
や高分子量の重合体を得ることが難しいこと等の欠点が
ある。
【0008】
【発明が解決しようとしている課題】本発明は、アクリ
ル系樹脂の重合に係る従来技術の欠点を排除し、重合反
応の制御が容易で、分子量分布の狭い、光学的性質の優
れたアクリル系樹脂を製造する方法を提供することを課
題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、2個以上の重
合反応器を使用して、70重量%以上のメチルメタクリ
レートと、共重合可能な他のビニル化合物とからなるモ
ノマーを、ラジカル重合開始剤の作用で重合してアクリ
ル系樹脂を製造するにあたり、(1)第1重合反応器で
の転化率が10〜35%の範囲に重合し、生成した重合
体含有混合物を最終重合反応器を含む後段の重合反応器
へ移すこと、(2)後段の重合反応器中で重合体含有混
合物と溶剤とを重量比で30〜90/70〜10の割合
で混合すること、(3)後段の重合反応器でモノマーの
転化率が80%以上になるまで重合すること、(4)第
1及び後段の重合反応器での重合温度を同一とし、温度
変化を±10℃の範囲内に維持すること、(5)最終の
重合反応器で得た重合体含有混合物から溶剤、未反応モ
ノマー及び低分子量重合体を除去すること、を特徴とす
るアクリル系樹脂の製造法に関する。
【0010】メチルメタクリレートと共重合可能な他の
ビニル化合物としては、メチルアクリレート、エチルア
クリレート、ブチルアクリレート等のアルキルアクリレ
ート類、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレー
ト、ラウリルメタクリレート等のアルキルメタクリレー
ト類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−ク
ロロアクリロニトリル等の不飽和ニトリル類、スチレ
ン、α−メチルスチレン等のスチレン系化合物類、アク
リルアミド、メタクリロアミド、アクリル酸、メタクリ
ル酸、塩化ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。こ
れらは1種であってもよいし2種以上を混合して使用し
てもよい。
【0011】メチルメタクリレートはJIS K671
6に記載の製品品質を有し、溶存酸素を重合反応に影響
を与えない量、通常、100ppm以下にまで除去した
ものが使用できる。共重合可能な他のビニル化合物はメ
チルメタクリレートに準ずる品質のものであればよい。
メチルメタクリレートの使用量が70重量%未満の場合
は透明性、機械的強度等が低下し、アクリル系樹脂本来
の特性が失われるため好ましくない。
【0012】ラジカル重合開始剤としては有機過酸化物
或いはアゾ系化合物等を使用することができる。有機過
酸化物としては、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイ
ルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、1,
1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−ト
リメチルシクロヘキサン等のパーオキシケタール類、ジ
イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチ
ルヘキシルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジ
カーボネート類、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘ
キサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等
のパーオキシエステル類等が挙げられ、アゾ系化合物と
しては、アゾビスイソブチロニトリル、1,1−アゾビ
スシクロヘキサン−t−カーボニトリル等が挙げられ
る。これらは1種であってもよいし、2種以上を混合し
て使用してもよい。ラジカル重合開始剤は、モノマー1
00重量部当たり0.0005〜0.5重量部の割合で
使用される。
【0013】溶剤はモノマー及び生成するアクリル系樹
脂に対して溶解性を有し、重合反応を実質的に阻害しな
いもので、沸点が40〜225℃程度、好ましくは60
〜150℃程度の範囲にあるものが使用できる。具体的
には、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ヘキ
サン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、メチルイソブチ
レート、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、シクロ
ドデカン、イソオクタン、デカリン、ジメチルスルホキ
シド、エチレンカーボネート、ノルマルブタノール等を
例示できる。これらは1種であってもよいし、2種以上
を混合して使用してもよい。これら溶剤は、溶存酸素を
重合反応に影響を与えない量にまで除去してから使用さ
れる。
【0014】これらの溶剤と第1重合反応器で生成した
重合体含有混合物は、重量比が(重合体含有混合物/溶
剤)30〜90/70〜10、好ましくは40〜80/
60〜20の範囲で後段の反応器に供給され均一に混合
される。溶剤の使用量が上記下限より少ないとゲル効果
により重合反応液の粘度が高くなり、重合反応の制御が
困難となるため好ましくない。逆に溶剤が上記上限より
多い場合は、重合反応の制御のし易さには差はないが、
製造した重合混合物から溶剤や未反応モノマー、低分子
量重合体等の除去に長時間を要し、生産性が悪くなるた
め好ましくない。
【0015】本発明では、第1重合反応器で重合体への
転化率を10〜35%、好ましくは15〜30%程度と
し、後段の重合反応器で溶剤を加え、高転化率まで重合
させるため、従来の溶液重合法とは異なり、第1重合反
応器での重合速度は速く、ゲル効果が生じ易い後段の重
合反応器の高転化率域では、溶剤の作用により重合反応
液の粘度が低いままで維持でき、重合発熱による温度変
化も小さいため、重合反応の制御は容易であり、得られ
るアクリル系樹脂の分子量分布は狭く、低分子量重合体
等の不純物の生成も少なくなる。又、第1重合反応器で
の転化率が35%以下であるため、重合反応液の粘度は
低く、後段の重合反応器での溶剤との混合は容易で重合
条件に殆ど影響を与えない。更に、重合反応液の粘度が
低いため、重合反応器に高価な特殊設備を必要としな
い。
【0016】第1重合反応器での転化率が35%を越え
るとゲル効果を生じ易く、重合反応の制御が困難とな
る。後段の重合反応器での転化率が80%未満では、未
反応モノマーが多くなり、回収装置や操作が煩雑となり
好ましくない。従って、後段の重合反応器では転化率を
可能な限り高めることが好ましい。重合温度は第1段及
び後段の重合反応器何れに於いても、60〜180℃、
好ましくは80〜150℃の範囲が好適である。この
際、各重合反応器の重合温度は同一に設定され、温度の
変動は±10℃の範囲内、好ましくは±5℃の範囲内に
維持して重合させる。重合温度が60℃以下では重合速
度が遅く、又、多くのラジカル重合開始剤を必要とし経
済的でない。一方、180℃を越える温度では低分子量
重合体等の不純物の生成量が増加し好ましくない。又、
温度変化が±10℃以上になると重合速度の制御が困難
となり、分子量分布が広くなるので好ましくない。
【0017】又、本発明では生成するアクリル系樹脂の
分子量調節、熱安定性の向上等を目的としてn−ブチル
メルカプタン、イソブチルメルカプタン、n−オクチル
メルカプタン、ラウリルメルカプタン等の各種メルカプ
タン或いはオクチルチオグリコレート等のチオグリコー
ル酸エステル類等の連鎖移動剤を使用することができ
る。連鎖移動剤の使用量は混合物100重量部当たり
0.05〜0.8重量部の範囲が好ましい。更に、本発
明で使用する原料混合溶液は反応開始時或いは反応途中
で重合反応を阻害することのない添加剤、例えば、ジオ
クチルフタレート等の可塑剤、ステアリルアルコール等
の潤滑剤、アントラキノン・レッド等の染料、フタロシ
アニン・ブルー、二酸化チタン等の顔料、ヒンダードフ
ェノール等の酸化防止剤或いはレゾルシノール系化合
物、ベンゾトリアジン、ベンゾトリアゾール等の紫外線
防止剤等を添加することもできる。
【0018】本発明のアクリル系樹脂は2個乃至それ以
上の攪拌槽型重合反応器で製造できる。以下に本発明の
アクリル系樹脂の製造法の1例を重合反応器を2個用い
る図1に基づき詳述する。原料調整槽1で所定のメチル
メタクリレート或いはメチルメタクリレートと共重合可
能な他のビニル化合物からなるモノマー混合物、ラジカ
ル重合開始剤及び必要に応じて連鎖移動剤、各種の添加
剤からなる混合物を約20℃の温度で均一に混合する。
この混合物を第1の定量ポンプ2によって抜き出し、フ
ィルター3で径が0.2μm以上の塵埃を除去し、得ら
れた重合反応原液の温度を第1の加熱機4で60〜18
0℃、好ましくは80〜150℃の範囲に昇温し、同一
温度に温調してある第1重合反応器5に供給する。第1
重合反応器5で転化率10〜35%、好ましくは15〜
30%まで重合させる。転化率の変化は重合反応時の重
合反応原液の温度変化及び/又は粘度変化を測定するこ
とによって知ることができる。
【0019】第1重合反応器5での重合反応終了後、生
成した重合体含有混合物及び沸点よりやや低い温度に加
熱した所定量の溶剤を、それぞれ第2の定量ポンプ7及
び溶剤用定量ポンプ8で第2重合反応器10に供給す
る。又、必要であれば追加の共重合可能なビニル化合物
や連鎖移動剤を追加原料用ライン11から同反応器に供
給する。第2重合反応器10へ供給する重合体含有混合
物及び溶剤の温度は第2の加熱機9で調節する。第2重
合反応器10での重合温度は第1重合反応器と同一とす
る。重合体含有混合物と溶剤はスタティックミキサー等
を用いて混合しながら第2重合反応器10に供給しても
よい。第2重合反応器10での添加率は80%以上、好
ましくは95%以上となるまで重合し、実質的にラジカ
ル重合開始剤の全量を消費する。重合反応液の温度は、
蒸発した溶剤が第2のコンデンサー12で凝縮され、第
2重合反応器10へ還流すること及び重合反応器のジャ
ケットによる温度調節とで制御され、±10℃、好まし
くは±5℃の範囲内に維持される。反応圧力は、第1段
及び後段の重合反応器共に、メチルメタクリレートの飽
和蒸気圧より高めにすることが好ましい。
【0020】第2重合反応器10での重合反応が終了
後、生成した重合体含有混合物は第3の定量ポンプ13
により第3の加熱機14に送られ、同加熱機では可能な
限り短時間で220〜260℃程度の温度に昇温する。
この時の圧力は溶剤の飽和蒸気圧よりも高く設定し、加
熱機能の低下を防ぐ。昇温した重合体含有混合物は移液
ライン15の下部にあるニードルバルブを通じて脱気装
置16でフラッシュされ、温度220〜260℃、圧力
10〜150mmHgの条件で重合体含有混合物から溶
剤、未反応モノマー、低分子量重合体等が除去される。
温度が220℃以下ではフラッシュされた後のアクリル
系樹脂の温度が低下し、溶剤、低分子量重合体等の除去
が不充分となり好ましくない。又、270℃以上ではゲ
ル化物等が生成したり、アクリル系樹脂が熱分解により
劣化するので好ましくない。除去された溶剤、低分子量
重合体等は溶剤等除去ライン17を経てリサイクルライ
ンへ送られる。この脱気により、アクリル系樹脂中の溶
剤、低分子量重合体等の含有量は1重量%以下、好まし
くは0.1重量%以下とされ、重合体は脱気装置16の
下部から第4の定量ポンプ18で抜き出され、ペレタイ
ザー19によってペレットとされる。
【0021】ここで、原料調整槽1と第1重合反応器3
は同一であってもよい。重合体含有混合物からの溶剤、
低分子量重合体等の除去は上記のフラッシュ型装置以外
に、高粘度用薄膜蒸発器(例えば、商品名”EXEV
A”、神鋼パンテック社製等)やベント付押出機を使用
してもよく、又、本発明の脱気装置とそれらを併用する
ことはより好ましい。ペレット化は脱気装置下部から溶
融したアクリル系樹脂を1軸或いは多軸の押出機に供給
して行うこともできる。本装置の原料調整槽、重合反応
器、ライン、定量ポンプはジャケットに熱媒や冷媒を通
すことにより全て温度調節が可能となっている。又、ア
クリル系樹脂混合物を移送するラインはできるだけ短
く、堆積物が発生しないように設計されている。原料調
整槽及び重合反応器は不活性ガスで充分に置換してから
使用する。以上、2個の重合反応器の例で説明したが、
本発明では3個以上の反応器を使用することもでき、
又、連続化して運転することも可能である。3個以上の
重合反応器を使用する場合、第2重合反応器以降の各重
合反応器での到達転化率を順次高く設定して運転され
る。
【0022】
【実施例】以下に実施例、比較例によって本発明を更に
詳しく説明する。実施例のモノマー転化率、アクリル系
樹脂の全光線透過率及び分子量、分子量分布の測定は下
記の方法で行った。 (1)モノマー転化率 第1及び第2段の重合反応器より重合体含有混合物5〜
10gを試料として試験管に取り、液体酸素で冷却す
る。試料重量を測定した後、試料をクロロホルムに完全
に溶解し、その溶液を攪拌下、試料重量の約20倍量の
メタノール中に流し込みアクリル系樹脂を析出させる。
濾別によりアクリル系樹脂を分離し、約60℃で16時
間減圧乾燥した後、得られたアクリル系樹脂の重量を測
定する。転化率は乾燥後のアクリル系樹脂の重量と試料
重量との比から求めた。尚、後段の重合反応器の重合体
含有混合物中の溶剤含有量はガスクロマトグラムにより
定量し、算出した。 (2)全光線透過率 製造したアクリル系樹脂を射出成形(樹脂温度230
℃、射出圧力750Kgf/cm)により100mm
×100mm×3mm(厚さ)の板状体に成形した試料
を用いてASTM D1003に従って測定する。 (3)分子量、分子量分布 GPC装置(東ソー製HLC−8020型、カラムはS
hodex KF−80M)を使用し、製造したアクリ
ル系樹脂0.3gをテトラヒドロフラン100mlに溶
解した試料を測定し、標準ポリメチルメタクリレートで
作成した検量線に基づき数平均分子量、重量平均分子量
及び分子量分布を求める。
【0023】実施例1 原料調整槽1でメチルメタクリレート4750gとメチ
ルアクリレート250gとを20℃で混合し、この混合
液に窒素ガスを流速150ml/分で約10分間吹き込
み、溶存酸素を除去した。この混合液の溶存酸素はDO
メーター(セントラル科学製、UC−12−SOL型)
で測定した結果5ppm以下であった。この混合液にラ
ウロイルパーオキサイド5gとラウロイルメルカプタン
15gを加え、均一に混合した後、第1の定量ポンプ2
により抜き出し、フィルター3により径0.2μm以上
の塵埃等を除去し、第1の加熱機で120℃に昇温し、
120℃に温度調節した第1重合反応器5に移液し、温
度120℃、圧力kg/cm攪拌翼の回転数150r
pmで1時間重合した。この時の転化率は29%であっ
た。又、この間の温度変化は±2℃以内であった。この
重合体含有混合物を第2の定量ポンプ7で抜き出し、1
20℃に温度調節した第2重合反応器10へ移液した。
次いで、溶剤用定量ポンプ8によって120℃に加熱し
たキシレン4500gを第2重合反応器10に供給し、
混合して、回転数150rpmで攪拌しながら同温度で
3時間重合した。この時の転化率は89%であった。こ
の間の温度変化は±3.5℃以内であった。
【0024】重合体含有混合物を第3の定量ポンプ13
を通して第3の加熱器14に送り、245℃に加熱した
後、温度240℃で50mmHg以下の減圧状態にした
脱気装置16にフラッシュし、溶剤、低分子量重合体等
を除去した。アクリル系樹脂は脱気装置16の下部の第
4の定量ポンプ18のノズルからストランドで出し、ペ
レタイザー19の水槽で冷却後、カッターで切断してペ
レットとした。製造したアクリル系樹脂の全光線透過率
は93%と良好であり、GPCで測定した数平均分子量
は40500、重量平均分子量は78570であり、分
子量分布は1.94であった。
【0025】比較例1 原料調整槽1のメチルメタクリレート4750g、メチ
ルアクリレート250gの混合液にキシレン4500g
を添加した以外は実施例1と同様にして重合した。1時
間重合した時の添加率は8%、更に、3時間重合を続け
ても31%であり、実施例1に比べ重合速度が遅く、実
用的ではなかった。 比較例2 第2重合反応器でキシレンを添加しない以外は実施例1
と同様にして重合した。しかし、第2重合反応器で約2
5分間重合した頃から重合体含有混合物の温度が上昇し
始め、温度制御ができなくなった。同混合物の温度が1
70℃になった時、約10℃のキシレン5000gを添
加して均一に混合し、冷却後直ちに同混合物を第2重合
反応器からステンレス製容器に抜き取り、温度を40℃
以下にまで冷却した。この時の添加率は62%であっ
た。この方法で得たアクリル系樹脂の数平均分子量は3
9300、重量平均分子量は107700であり、分子
量分布は2.74であり、分子量分布が広く、全光線透
過率は90%であった。
【0026】
【発明の効果】メチルメタクリレートを主成分とするア
クリル系樹脂を製造するに際し、多段重合とし、1段目
の添加率を10〜35%に抑え、後段では特定量の溶剤
を添加すると共に、転化率を80%以上とした後、溶
剤、低分子量成分等を除去することにより、 (1)80%以上の高転化率にしても粘度変化が小さ
く、重合反応の制御が容易である。 (2)全光線透過率が高く、分子量分布の狭い高品質の
アクリル系樹脂が得られる。 (3)重合反応液の粘度が低いため、安価な重合反応器
が使用できる。 等の効果がある。
【0027】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明のアクリル系樹脂の製造方法に係
るフローシートである。
【符号の説明】
1 原料調整槽 2 第1の定量ポンプ 3 フィルター 4 第1の加熱機 5 第1重合反応器 6 第1のコンデンサー 7 第2の定量ポンプ 8 溶剤用定量ポンプ 9 第2の加熱機 10 第2重合反応器 11 追加原料用ライン 12 第2のコンデンサー 13 第3の定量ポンプ 14 第3の加熱機 15 移液ライン 16 脱気装置 17 溶剤等除去ライン 18 第4の定量ポンプ 19 ペレタイザー

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2個以上の重合反応器を使用して、70重
    量%以上のメチルメタクリレートと、共重合可能な他の
    ビニル化合物とからなるモノマーを、ラジカル重合開始
    剤の作用で重合してアクリル系樹脂を製造するにあた
    り、(1)第1重合反応器でモノマーの転化率が10〜
    35%の範囲に重合し、生成した重合体含有混合物を最
    終重合反応器を含む後段の重合反応器へ移すこと、
    (2)後段の重合反応器中で重合体含有混合物と溶剤と
    を重量比で30〜90/70〜10の割合で混合するこ
    と、(3)後段の重合反応器でモノマーの転化率が80
    %以上になるまで重合すること、(4)第1及び後段の
    重合反応器での重合温度を同一とし、温度変化を±10
    ℃の節囲内に維持すること、(5)最終の重合反応器で
    得た重合体混合物から溶剤、未反応モノマー及び低分子
    量重合体を除去すること、を特徴とするアクリル系樹脂
    の製造法
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