JPH052165Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、患者の頭蓋骨の遠隔Ｘ線撮影を実
施するための患者頭部の位置決め装置に関する。

［従来の技術］ 横梁を備え、その一端が患者のあごのパノラマ
断層撮影を実施するための歯科用Ｘ線診断装置に
取り付け可能であり、またその他端に頭蓋骨支持
具が配置され、頭蓋骨支持具が垂直な軸線を中心
として回転可能な部品を備え、この部品に一方で
は直径上に相対して配置された二つの耳栓支持具
が、また他方では少なくとも高さ及び深さが調節
可能である、患者の鼻根点への接触具が調節可能
に配置され、また前記部品がＸ線診断装置の放射
線源に向かう方向に調節可能なフイルムカセツト
の収容部を更に備えているかかる装置は、例えば
出願人に係る商品名「オルトセフ
（ORTHOCEPH）10」により知られている。か
かる装置を用いれば、例えば前から後への及びそ
の逆の種々の頭蓋骨撮影（いわゆるp.a又はa.p撮
影）並びに横からの撮影を非常に良好に実施でき
る。

［考案が解決しようとする問題点］ この考案は、既に述べた頭蓋骨撮影のほかにあ
ご関節の特殊撮影をもつ再現可能な方法で実施で
きるように、前記の種類の装置を改良することを
目的とする。かかる特殊あご関節撮影は、顆の正
確な位置をＸ線に関して検出し、それに応じて患
者頭部を調節することを必要とする。顆の正確な
位置の測定のために一般に二つの撮影、すなわち
顆軸角度を測定できるいわゆるあご下垂直撮影、
及び顆軸の交差角を矢状方向に測定できる第２の
いわゆるa.p撮影を必要とする。

［問題点を解決するための手段］ この目的は、この考案に基づき、頭蓋骨支持具
が高さ調節可能に構成された支持部を用いてＸ線
放射の放射進路に対して交差して延びた水平な軸
受部を中心として傾動可能に横梁に固定されたケ
ースに保持され、患者頭部が矢状面に関して種々
の傾斜位置に調節可能であり、かつ患者頭部が、
頭蓋骨支持具の中に垂直な軸線を中心として回転
可能に支持された部品を介して、あご関節がそれ
ぞれ顆軸に垂直な二つの平面上に描出できるよう
に位置決めされることにより達成される。

［作用効果］ この考案に基づく装置の重要な特長は、この装
置がパノラマＸ線装置に取り付け可能であり、従
つて特にあご関節に関する断層撮影と静的撮影と
を一つの装置で実施できるということである。存
在する自由度により、相互に直交する二つの平面
上で、しかも上顎骨を横切る（すなわち顆軸に対
して直角な）方向にも頭蓋骨を横切る（すなわち
顆軸に対し平行な又はあご関節隙間に沿つた）方
向にも、撮影するために患者頭部の位置決めする
ことが可能である。

そのために頭蓋骨支持具が水平な軸受部を中心
として傾動可能であることが必要であり、その際
耳栓支持具と鼻根点支持要素とにより患者頭部が
再現可能な撮影のために正確に固定される。患者
頭部は傾斜と回転とにより、一つのかつ同一の装
置で前記の標準撮影も更に述べた特殊あご関節撮
影も容易に実施できるように、位置決めできる。

かかる特殊あご関節撮影は、自立したＸ線装置
であるＸ線診断装置にパノラマ断層撮影の実施の
ために取り付けるのに適していない他の公知の装
置（ドイツ連邦共和国特許第2335918号明細書参
照）を使用しても、もつぱら耳栓支持具を介して
固定されている患者頭部が耳栓支持具の軸線を中
心として傾動可能である限りは達成できない。そ
れによりそこに述べられた種々の調節可能性にも
かかわらず、特に再現可能なあご関節撮影は実施
できない。更に前記の調節装置特に頭部支持具の
ための二重スライド装置は比較的高価である。

これに反してこの考案に基づく装置は構造的に
非常に簡単な解決法である。頭蓋骨支持具を支持
する支持部は高さを調節可能であるのが有利であ
り、それにより判型を変更することなく最後の頸
椎をもフイルム上に撮影できる。高さ調節のため
にテレスコープ状筒を用いるのが有利であり、こ
の筒はベローズにより覆われるのが合目的であ
る。支持筒は横梁に固定されたケースに調節可能
に保持されるのが有利であり、このケースは同時
にフイルムカセツト支持具のための支持体として
の案内要素の収容のために案内ブツシユを備えて
いる。

この考案の有利な実施態様は実用新案登録請求
の範囲第２項以下に記載されている。

［実施例］ 次にこの考案に基づく位置決め装置の一実施例
を示す図面により、この考案を詳細に説明する。

第１図は斜視図で、患者のあごのパノラマ断層
撮影を実施するために用いられるような歯科用Ｘ
線診断装置の一実施例を示す。この装置は二つの
直立管から形成された台架１を備え、この台架に
は走行台車２が高さ調節可能に保持されている。
走行台車２には全体を符号３で示された閉じた輪
の形の回転ユニツトが保持され、この回転ユニツ
トはＸ線源４とこれに対し直径上に向かい合つて
パノラマ断層撮影のためのフイルムカセツト支持
具５とを備えている。Ｘ線源４は回転ユニツト３
に固定配置されているけれど、フイルムカセツト
支持具５は折り曲げられた支持腕６に矢印の方向
に傾動可能に支持されている。これによりフイル
ムカセツト支持具５は正規の断層撮影に適した破
線で示した使用位置から、実線で示した非使用位
置へもたらすことができる。この非使用位置では
Ｘ線装置は、後に第２図ないし第５図により説明
する装置と共に、頭部撮影すなわち患者の頭蓋骨
の遠隔撮影を実施するのに適している。かかる遠
隔撮影を実施できるためには、Ｘ線源４からほぼ
1mないし2mの定められた距離に、第２図に示し
た頭部支持具及びカセツト支持具が保持されてい
なければならない。この目的のために走行台車２
の裏側にはアダプタ８が設けられ、以下の図にお
いて更に詳細に説明する頭部位置決め装置及びカ
セツト支持装置を横梁９を介してこのアダプタに
取り付けるとができる。

第２図に示された装置は頭蓋骨支持具１０を備
え、この頭蓋骨支持具には周知の方法で回転皿１
１が回転可能に保持され、この回転皿には一方で
は直径上に向かい合つて置かれ矢印の方向に調節
可能な二つの耳栓支持具１２が保持され、他方で
は耳栓支持具と平面図でほぼ三角形を形成する鼻
根点支持部品１３が保持され、この鼻根点支持部
品は高さ及び深さを（図示の矢印の方向に）調節
可能にかつ軸受部を中心として傾動可能に回転皿
１１に保持されている。

頭蓋骨支持具１０は垂直に延びる支持部１４を
介して横梁９に結合されている。ケースは符号１
５で示され、このケースには以下の図面により詳
細に説明するように、一方では横梁９と支持部１
４がまた他方ではフイルムカセツト支持具１７の
ための支持体としての二つの水平な支持棒１６が
保持されている。両支持棒１６は図示の矢印の方
向に調節可能にケース１５の中に保持されてい
る。Ｘ線フイルムを内蔵するフイルムカセツト１
８は垂直に立ててフイルムカセツト支持具１７の
中に挿入され、そのために相応の案内片１９，２
０が設けられている。

第３図は第２図に示す装置を部分的に断面を含
む正面図で示す。支持部１４はテレスコープ状に
はまり合つた二つの筒２１，２２から成り、これ
らの筒は共通なベローズ２３により覆われてい
る。種々の引き出し長さ従つてケース１５に対す
る頭蓋骨支持具１０の高さ調節を達成するため
に、両筒２１，２２の一つは長手溝を備え他は孔
を備え、これらを貫いて固定ねじ２４が係合して
いる（第５図参照）。特殊撮影の際に最後の頸椎
をも一緒に撮影できるために特に用いられる高さ
調節可能性のほかに、第２図において支持部１４
の一点鎖線による図示と第３図においてテレスコ
ープ状筒２１，２２の一点鎖線による図示とによ
り示されるように、頭蓋骨支持具１０は更に水平
な軸受部２５を中心として傾動可能である。傾斜
角はケース壁２７の中の溝２６とこの溝を貫通係
合するねじ棒２８とにより制限され、ねじ棒はテ
レスコープ状筒２１の下端を貫通しそこに相応に
固定されている（第５図参照）。ねじ棒２８には
更に固定レバー２９がねじ込まれ、それを操作す
る際に支持筒２１と従つて支持部１４全体がケー
ス１５に締め付けられて拘束される。

ケース１５を部分的に断面を含む平面図で示す
第４図から特に分かるように、支持部１４の軸受
支持はブツシユ３０とこのブツシユの中で導かれ
た軸受ピン３１とを介して行われ、ブツシユは下
側のテレスコープ状筒２１をその長手軸線に直角
に貫通してこの筒と強固に結合され、軸受ピンは
ケース壁２７に固定され、軸受ピンを中心として
ブツシユ３０が回転可能である。横梁９は、その
長手軸線がケース壁の平面に対し比較的小さい鋭
角を成して延びるように、ケース１５の付加部３
２に固定されている。

頭蓋骨支持具が固定レバー２９の開放の際にそ
の基本位置を維持するように、ケース１５の中に
引張りばね３３が設けられ、この引張りばねの一
端はケース１５に結合され、他端はブツシユ３０
に角度不変に結合され回転軸線２５に対しレバー
腕を形成する支持部品３４に結合されている。

両支持棒１６は筒として構成され、軸受３６に
より動き易いように導かれている。筒状の棒１６
の内部には同様に棒又はスリーブの形の伝動要素
が軸受支持され、この伝動要素の一端は電位差計
３８の形の角度発振器に、また他端は探触レバー
３９，４０に角度不変に結合され、これらの探触
レバーのうち符号３９を付けた探触レバーはフイ
ルムカセツト支持具１７の後に配置され、また符
号４０を付けた探触レバーはフイルムカセツト支
持具の前に配置されている（第２図をも参照）。
両探触レバー３９，４０は検出装置の一部であ
り、所定のフイルムカセツト判型がフイルムカセ
ツト支持具１７に挿入する際にこの検出装置を用
いて自動的に測定され、また場合によつては表示
器上に表示され、又はその信号により、選ばれた
フイルムカセツト判型に付属する一次絞りが放射
線源と対象物との間の放射線路の中に自動的にも
たらされる。

第３図は示すように探触レバー３９の一端はフ
イルムカセツト支持具１７を貫通する伝動棒３７
に結合され、また他端はフイルムカセツト支持具
１７を貫通し探触頭として働く案内具２０を備え
た別の横結合材４１に結合されている。案内具２
０はフイルムカセツト判型の上縁を決定する参照
面４２上に接触し、探触レバー４０の自由端は選
ばれたフイルムカセツト判型の幅に対応する参照
面４３に直接接触する（第２図及び第５図参照）。
両探触レバー３９，４０の端が装着されたフイル
ムカセツトの参照面４２，４３に接触するのに対
応する両探触レバーのそれぞれの傾斜角は、選ば
れたフイルムカセツト判型を決定する。

更に角度発信器３８から得られた信号の処理の
際に、フイルムカセツトが挿入されていることが
表示される。

【図面の簡単な説明】

第１図は患者のあごのパノラマ断層撮影を実施
するための歯科用Ｘ線診断装置の斜視図、第２図
は第１図に示す装置に取り付けるのに適したこの
考案に基づく位置決め装置の一実施例の斜視図、
第３図ないし第５図はそれぞれ第２図に示す位置
決め装置の部分的に断面を含む正面図、部分平面
図及び部分側面図である。 ４……放射線源、９……横梁、１０……頭蓋骨
支持具、１１……回転可能な部品、１２……耳栓
支持具、１３……鼻根点接触具、１４，１４′…
…支持部、１５……ケース、１６……支持棒、１
７……フイルムカセツト支持具、１８……フイル
ムカセツト、２１，２２……テレスコープ状筒、
２３……ベローズ、２４……固定部品、２５……
軸受部、２６……溝、２７……ケース壁、２８…
…ねじ棒、２９……固定レバー、３０……ピボツ
ト（ブツシユ）、３１……軸受ピン、３３……ば
ね要素、３４……レバー腕を構成する部品、３６
……案内要素、３７……伝動要素、３８……角度
発振器、３９，４０……探触レバー。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １） 横梁９を備え、その一端が患者のあごの断
   層撮影を実施するための歯科用Ｘ線診断装置に
   取り付け可能であり、またその他端に頭蓋骨支
   持具１０が配置され、頭蓋骨支持具が垂直な軸
   線を中心として回転可能な部品１１を備え、こ
   の部品に一方では直径上に相対して配置された
   二つの耳栓支持具１２がまた他方では少なくと
   も高さ及び深さが調節可能である、患者の鼻根
   点への接触具１３が調節可能に配置され、また
   前記部品がＸ線診断装置の放射線源４に向かう
   方向に調節可能なフイルムカセツト１８の収容
   部１７を更に備えているような、患者の頭蓋骨
   の遠隔撮影を実施するための患者頭部の位置決
   め装置において、頭蓋骨支持具１０が高さ調節
   可能に構成された支持部１４を用いてＸ線放射
   の放射進路に対して交差して延びた水平な軸受
   部２５を中心として傾動可能に横梁９に固定さ
   れたケース１５に保持され、患者頭部が矢状面
   に関して種々の傾斜位置１４′に調節可能であ
   り、かつ患者頭部が、頭蓋骨支持具１０の中に
   垂直な軸線を中心として回転可能に支持された
   部品１１を介して、あご関節がそれぞれ顆軸に
   垂直な二つの平面上に描出できるように位置決
   めされていることを特徴とする遠隔Ｘ線撮影実
   施用患者頭部位置決め装置。 ２） 支持部１４が二つのテレスコープ状筒２
   １，２２から成り、これらの筒の一方２１が長
   手方向に対して直角に延びたピボツト３０によ
   り他方２２が固定部品２４により種々の位置に
   固定可能であることを特徴とする実用新案登録
   請求の範囲第１項記載の装置。 ３） テレスコープ状筒２１，２２がベローズ２
   ３により覆われていることを特徴とする実用新
   案登録請求の範囲第２項記載の装置。 ４） ピボツトが支持部１４を貫通するブツシユ
   ３０として構成され、このブツシユがケース１
   ５に強固に結合された軸受ピン３１を中心とし
   て回動可能であることを特徴とする実用新案登
   録請求の範囲第２項記載の装置。 ５） ブツシユ３０には傾動軸線２５に対してレ
   バー腕を構成する部品３４が取り付けられ、こ
   の部品は、頭蓋骨支持具１０をその基本位置に
   安定させるように、ばね要素３３を介してケー
   ス１５に結合されていることを特徴とする実用
   新案登録請求の範囲第４項記載の装置。 ６） 頭蓋骨支持具１０を種々の傾斜位置に拘束
   するために、手により操作可能な固定装置２６
   ないし２９が設けられていることを特徴とする
   実用新案登録請求の範囲第２項ないし第５項の
   いずれか１項に記載の装置。 ７） 固定装置が、テレスコープ状筒の一つ２２
   とケース壁２７とに貫通係合するねじ棒２８、
   及びこのねじ棒にねじ込まれた固定レバー２９
   とを備え、ねじ棒２８が頭蓋骨支持具１０の傾
   斜角を制限する溝２６の中で導かれていること
   を特徴とする実用新案登録請求の範囲第６項記
   載の装置。 ８） ケース１５の中に、フイルムカセツト支持
   具１７を支持する二つの支持棒１６のための案
   内要素３６が設けられていることを特徴とする
   実用新案登録請求の範囲第１項ないし第７項の
   いずれか１項に記載の装置。 ９） 支持棒１６が筒として構成され、その内部
   に伝動要素３７が回動可能に支持され、ケース
   １５と反対側のその端部が、フイルムカセツト
   支持具１７に装てん可能なフイルムカセツト１
   ８の大きさを探触するために、探触レバー３
   ９，４０に結合され、またその他端が角度発振
   器３８に結合され、この角度発振器が探触レバ
   ー３９，４０の回動位置に関係して、選ばれた
   フイルム判型に対する量として望ましくは電気
   的な信号を供給することを特徴とする実用新案
   登録請求の範囲第８項記載の装置。