JPH0511768U - 車両用交流発電機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 固定子コイルのコイル端部が、回転子のファ
ンによる冷却風で十分冷却される。 【構成】 固定子コイル33のコイル端部を、回転子４の
ファン10、11の羽根10a、11aに軸方向に十分重なるよう
にし、ファン10、11による吐出し冷却風がコイル端部に
十分な長さにわたり内周側から吹付け冷却する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、ブラケット支持形の回転子のファンにより通風冷却するようにし た、車両用交流発電機に関し、特に固定子コイルの冷却の改良にかかわる。

【０００２】

【従来の技術】

図３は従来の車両用交流発電機の断面図である。図において、１は固定子で、 固定子鉄心２と、固定子コイル３とからなる。４は回転子で、次のように構成さ れている。５及び６は異極性の磁極鉄心で、双方の磁極歯部が円周方向に対し交 互に出されている。７は双方の磁極鉄心５、６間に保持された励磁コイル、８は 磁極鉄心５、６を固着した回転軸、９は回転軸８に絶縁スリーブを介し固定され た１対のスリップリング、10及び11は磁極鉄心５及び６に固着されたファンで、 羽根10a及び11aが設けられている。

【０００３】 次に、12及び13は前ブラケット及び後ブラケットで、締付けボルト14により固 定子鉄心２を結合している。前ブラケット12には通風のため、複数宛の吸気孔 12aと排気孔12bとが設けられている。また、後ブラケット13には通風のため、複 数宛の吸気孔13aと排気孔13bとが設けられている。回転軸８は軸受15及び16を介 し、前ブラケット12及び後ブラケット13に支持されている。17は回転軸８に固定 されたプーリで、機関の回転がベルトを介し伝えられ、回転軸４を回転させる。

【０００４】 18は固定子コイル３に誘導された交流電圧による交流電流を直流電流に整流す る整流器、19は発電機電圧を検出し、磁励電流を制御し端子電圧を所定値に調整 する電圧調整器である。20はブラシ保持器で、保持したブラシ21をスリップリン グ９に圧接されている。

【０００５】 上記交流発電機において、回転子４が回転されると、固定子コイル３に交流電 圧が誘導され電力を供給し発熱する。ファン10、11の回転による通風で、固定子 １部及び回転子４部を冷却する。

【０００６】 ファン10の回転による冷却風は、矢印Ａのように前ブラケット12の吸気孔12a から吸入され、固定子１部を冷却し排気孔12bから排出される。ファン11の回転 による冷却風は、矢印Ｂのように、後ブラケット13の吸気孔13aから吸入され、 整流器18、電圧調整器19、集電装置部、固定子１部を冷却し、排気孔13bから排 出される。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

上記のような従来の車両用交流発電機では、固定子コイル３のコイル端部が、 ファン10、11の羽根10a、11aに対し軸方向にわずかしか重なっておらず、ファン 10、11による冷却風がコイル端部に一部しか吹付けられず、固定子コイル３の冷 却効果が低いという問題点があった。 この考案は、このような問題点を解決するためになされたもので、ファンによ る冷却風が固定子コイルのコイル端部に十分に吸付けられ、冷却効果を向上した 車両用交流発電機を得ることを目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

この考案にかかる車両用交流発電機は、固定子コイルのコイル端部が、ファン の羽根に対し軸方向に十分重なるようにしたものである。

【０００９】 また、第２の考案では、固定子コイルのコイル端部をファンの羽根より軸方向 に突出させ、前、後ブラケットのうち、少なくともその一方は、ファンに対向す る内端面に対し、コイル端部に対向する内端面を軸方向に外方にずらしたもので ある。

【００１０】

【作用】

この考案においては、ファンによる冷却風が固定子コイルのコイル端部に内周 側から十分な長さにわたって吹付け、固定子コイルの冷却効果が向上する。また 、第２の考案においては、ファンによる冷却風が固定子コイル端部に内周側から さらに長い範囲を吹付け、この吹付けられた冷却風は、コイル端部の端面と、ブ ラケットの軸方向に外方にずらされた内端面とのすき間を通り排出孔から排出さ れ、冷却がいっそう高められる。

【００１１】

【実施例】

図１はこの考案による車両用交流発電機の一実施例を示す断面図であり、４〜 11、14〜18は図３と同様である。また、図示していない電圧調整器、ブラシ保持 器も図３と同様である。固定子31は固定子鉄心32と固定子コイル33とからなる。 この固定子コイル33はコイル端部が軸方向に十分な長さになるように構成してい る。これにより、コイル端部がファン10、11の羽根10a、11bに軸方向に対し十分 に重なっている。35は軸受15を介し回転軸８の前端部を支持する前ブラケットで 、多数の吸気孔35aと排気孔35bとが設けられている。36は軸受16を介し回転軸８ の後端を支持する後ブラケットで、多数の吸気孔36aと排気孔36bとが設けられて いる。前ブラケット35と後ブラケット36とで締付けボルト14により固定子鉄心32 を結合している。

【００１２】 回転子４が回転されると、ファン10、11による吐出し冷却風が、固定子コイル のコイル端部に内周側から、軸方向に十分な長さにわたって吹付け冷却する。

【００１３】 こうして、固定子コイル33はコイル端部がファン10、11の羽根10a、11bより軸 方向に外方に出された長さになっており、冷却風が内周側から十分な長さにわた り吹付けられ、コイル端部の端面と前ブラケット35、後ブラケット36の対向する 内端面とのすき間を通り、排出孔35b、36bから排出される。

【００１４】 図２はこの考案の第２の実施例を示す車両用交流発電機の要部断面図である。 なお、整流器は図３と同様であり、図示していない。固定子38は固定子鉄心32と 固定子コイル39とからなる。この固定子コイル39はコイル端部が、ファン10、11 の羽根11a、11bより軸方向に突出させた長さにしている。前ブラケット40は、フ ァン10の羽根10aに軸方向に対向する内端面に対し、固定子コイル39のコイル端 部に軸方向に対向する内端面を、外方にづらした形状にし、冷却風が十分流通さ れるすき間にしている。40aは吸入孔、40bは排出孔である。また、後ブラケット 41は、ファン11の羽根11aに軸方向に対向する内端面に対し、固定子コイル39の コイル端部に軸方向に対向する内端面を、外方にづらした形状にし、冷却風が十 分流通されるすき間にしている。41aは吸入孔、41bは排出孔である。

【００１５】 なお、上記他の実施例では、前ブラケット40と後ブラケット41の双方とも、フ ァンに対向する内端面に対し、コイル端部に対向する内端面を軸方向に外方にず らしすき間を確保したが、いづれか一方のブラケットが、コイル端部に対向する 内端面を軸方向にずらさなくてもすき間が形成される場合は、他方のブラケット のみに内端面を軸方向にずらしたものにしてもよい。

【００１６】

【考案の効果】

以上のように、この考案によれば、固定子コイルのコイル端部が、ファンの羽 根の軸方向に対し、十分重なるようにしたので、ファンによる吐出し冷却風が、 コイル端部に内周側から十分な長さにわたって吹付けられ、固定子コイルの冷却 効果が大幅に向上する。

【００１７】 また、固定子コイルのコイル端部を、ファンの羽根に対し軸方向に突出させ、 ブラケットの内端面を、ファンに対向する面に対し、コイル端部に対向する面を 軸方向に外方にずらすことにより、固定子コイルのコイル端部が、ファンにより 吐出し冷却風によりいっそう十分な長さで吹付けられ、かつ、ブラケットの内端 面とのすき間を冷却風が十分に流通し、固定子コイルの冷却効果がいっそう向上 する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案による車両用交流発電機の一実施例を
示す上半部断面図である。

【図２】この考案の他の実施例による車両用交流発電機
の上半部断面図である。

【図３】従来の車両用交流発電機の断面図である。

【符号の説明】

４ 回転子 5、6 磁極鉄心 ７ 励磁コイル ８ 回転軸 10、11 ファン 10a、11a 羽根 15、16 軸受 31 固定子 32 固定子鉄心 33 固定子コイル 35、40 前ブラケット 35a、40a 吸気孔 35b、40b 排気孔 36、41 後ブラケット 36a、41a 吸気孔 36b、41b 排気孔 38 固定子 39 固定子コイル 40c、40d、41c、41d 内端面

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 固定子鉄心に固定子コイルが装着された
   固定子と、励磁コイルを装着した磁極鉄心を回転軸に固
   着し、磁極鉄心の両端にはファンが取付けられた回転子
   と、上記固定子を両端から結合し、それぞれ軸受を介し
   上記回転軸を支持した前ブラケット及び後ブラケットと
   を備え、双方のブラケットにはそれぞれ冷却風の吸気孔
   と排気孔とが設けられた車両用交流発電機において、 上記固定子コイルのコイル端部が、上記ファンの羽根に
   軸方向に重なるようにしたことを特徴とする車両用交流
   発電機。
2. 【請求項２】 固定子コイルのコイル端部がファンの羽
   根の軸方向外端より出されており、前後のブラケットの
   うち少なくとも一方のブラケットは、上記ファンに対向
   する内端面に対し、コイル端部に対向する内端面を軸方
   向に外方向にずらしていることを特徴とする請求項１記
   載の車両用交流発電機。