JPH04532Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 この考案は、基板実装タイプのリード端子つき
偏平形非水電解液電池の改良に関する。

《従来の技術》 リード端子つき電池は、特にエネルギー密度の
高いリチウム電池などの非水電解液電池の採用さ
れている形態であり、リード端子をハンダ付けあ
るいはネジ止めすることにより電子機器の回路基
板に実装され、メモリーバツクアツプ用電池など
として使用されている。

従来のリード端子つき非水電解液電池では、発
電要素が収納されて電池として組立てられた金属
製電池ケースの所定部位に、リード端子をスポツ
ト溶接によつて接合するのが一般的である。とこ
ろが、リチウムやナトリウムなどの低融点の軽金
属からなる負極が内側に密着配置されている電池
ケースの負極端子板にリード端子をスポツト溶接
すると、その溶接時の高温によつて負極が部分的
に溶融し、溶融した負極がセパレータを突抜けて
正極側に達し、リークや内部短絡などの不良を引
き起こすことがある。そのため、特に負極側のリ
ード端子のスポツト溶接には溶接時に発生する熱
に対する充分な配慮が必要である。

スポツト溶接時の熱による悪影響を抑えるため
に、まず、溶接電流をできるがけ小さくし、発熱
量を少なくする配慮がなされる。しかし、溶接電
流を少なくしすぎると、溶接不良あるいは溶接強
度の不足につながるので注意を要する。

また、溶融した負極が正極側に達するのを防ぐ
ために、セパレータを厚くすることも提案され
た。しかし、セパレータを厚くすると内部抵抗が
上昇し、また電池の放電容量も減少することとな
り、電池性能に与える不利益が大きい。

また、スポツト溶接時の熱が電離内部に伝わら
ないように、負極端子板の内側に適当な断熱材を
あてがう構造も提案されている。しかし、これは
部品点数が増えて組立工程が複雑になるだけでは
なく、断熱材の体積分だけ発電要素の容量が減少
し、放電性能も低下する。

なお、組立完了後の電池にリード端子をスポツ
ト溶接するのではなくて、電池の組立て前の部品
としての負極端子板にリード端子を予めスポツト
溶接しておくことも提案されている。しかしこの
方法は、電池の組立が著しく面倒になるという重
大な欠点を有する。つまり、リード端子が接合さ
れた負極端子板は負極端子板単独の形状とは大き
く異なるため、通常の電池組立ラインが使えなく
なる。周知のように、ボタン形あるいはコイン形
と称される偏平形電池の負極端子板は円形の皿状
をなしているが、これに帯状のリード端子が接合
されれば、部品として大きな突起を有する形状と
なり、方向性が生じ、厚みにも差がでてくる。こ
のため、このような状態で電池の組立を行うに
は、それに合せた大幅で複雑な変更が必要となつ
てしまう。また、リード端子が接合された負極端
子板が組立ラインを流れる間に、リード端子が変
形しやすいという問題もある。

《考案が解決しようとする課題》 この考案は上記のような問題点に鑑みてなされ
たもので、その目的はリチウム等の軽金属からな
る負極を内面に密着させてなる負極端子板の外表
面にリード端子を溶接する際に電池内部に与える
有害な熱を少なくし、かつ充分な溶接強度が得ら
れるようにした構造のリード端子つき偏平形非水
電解液電池を提供することにある。

《課題を解決するための手段》 上記の目的を達成するために、この考案は、負
極に対応する負極端子板の中央部の外表面にリー
ド端子をスポツト溶接してなる非水電解液電池に
おいて、上記リード端子のスポツト溶接部分を凹
状にして、その周囲の肉厚よりも薄く形成し、上
記スポツト溶接部分に補強用の接着剤を塗着して
なるのである。

《実施例》 第１図および第２図はこの考案の一実施例によ
るリード端子つき偏平形非水電解液電池を示して
いる。この電池では、偏平な正極缶１０とこれよ
り小径の皿状の負極端子板１２とを向い合わせ、
両者の周縁部間の環状の封口ガスケツト１４を挟
み込んで電池ケースが構成され、正極缶１０の凹
部内に収納された正極合剤１６と、負極端子板１
２の凹部に収納された負極２０とがセパレータ１
８を挟んで層状に対向し、正極合剤１６およびセ
パレータ１８に非水電解液が含浸されている。

正極缶１０および負極端子板１２はステンレス
などの金属板からなり、それぞれ正極端子および
負極端子を兼ねる。正極合剤１６は、例えば二酸
化マンガンに導電剤であるカーボンおよび結着剤
を加えて混練したものを成形・乾燥したものであ
り、正極缶１０の内底面に密着している。負極２
０はリチウムなどの軽金属板から円形に打抜かれ
たもので、負極端子板１２の内面に直接あるいは
集電体を介して圧着されている。セパレータ１８
は、例えばポリプロピレンあるいはガラス繊維か
らなる不織布が用いられる。

リード端子２２は帯状の金属薄板からなりその
基端のスポツト溶接される２箇所のみが円形凹状
の肉薄部２４として形成され、その薄肉部２４が
負極２０の上方に位置する負極端子板１２の外表
面に当てがわれてスポツト溶接されている。符号
２６は溶接によつて形成されたナゲツトを示して
おり、この実施例では図のように円形肉薄部２４
の２点のスポツト溶接によつてリード端子２２が
負極端子板１２に固着されている。

また、第２図の想像線２８で示すように、リー
ド端子２２の薄肉部２４すなわちスポツト溶接部
分に接着剤を塗着して乾燥させ、この接着剤層２
８でこの部分を補強する。

上記のように、リード端子２２に形成した薄肉
部２４を負極端子板１２にスポツト溶接している
ので、溶接電流が溶接電極の直下部分から余り広
がらず、溶接電流を効果的に集中させることがで
きる。

つまり、リード端子２２が厚いと、その上面に
スポツト溶接電極を押しあてて溶接電流を流した
とき、電極直下から負極端子板１２側に至る間に
電流が拡散してしまう。そのため、大きな溶接電
流を比較的長時間に渡つて流さないと、良好なナ
ゲツト２６を形成されない。これに対して本考案
では、他の部分より充分薄い薄肉部２４にスポツ
ト溶接を行うので、溶接電流が拡散せず、従つて
比較的小さな溶接電流でしかも短い溶接時間で良
好なナゲツト２６が形成される。

この効果は、正電極と負電極の両方をリード端
子２２に押しあてるシリーズスポツト溶接であつ
ても、負極端子板１２側に一方の極性の電極を押
しあてるとともにリード端子２２側に他方の極性
の電極を押しあてるインダイレクトスポツト溶接
のいずれであつても同様に得られる。

第３図はリード端子２２に形成する薄肉部２４
の他の形態を例示したものである。この例では、
リード端子２２の基端部分に長方形状の凹状薄肉
部２４を形成し、この薄肉部２４の奥部内で複数
箇所スポツト溶接し、その上に補強用の接着剤を
塗着する。この実施例でも上記実施例と同様な効
果が得られる。

なお以上の説明では、正極側のリード端子に触
れていないが、必要に応じて正極缶１０にもリー
ド端子がスポツト溶接される。正極側のリード端
子にも本考案を適用すれば、小電流・短時間で良
好な溶接強度が得られる。

《考案の効果》 以上詳細に説明したように、この考案によれ
ば、リード端子を負極端子板に溶接する際に電池
内部に加わる熱が非常に少なくなり、しかもリー
ド端子は充分強固に溶接される。従つて、電池の
構成や組立工程を特に複雑にすることなく、溶接
時の熱で解けた負極がセパレータを貫通して正極
側に達するという不良品の発生が非常に少なくな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例によるリード端子
つき偏平形非水電解液電池の外観を示す斜視図、
第２図は同上電池の断面図、第３図はリード端子
に形成する薄肉部の他の実施例を示す部分斜視図
である。 １０……正極缶、１２……負極端子板、１４…
…封口ガスケツト、１６……正極合剤、１８……
セパレータ、２０……負極、２２……リード端
子、２４……薄肉部、２６……ナゲツト、２８…
…接着剤。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 負極端子板１２、環状の封口ガスケツト１４、
   正極缶１０からなる偏平形電池ケース内に軽金属
   からなる負極２０、セパレータ１８、正極合剤１
   ６が積層して装填され、上記負極端子板の内面に
   上記負極が密着され、かつ、上記負極に対応する
   上記負極端子板の中央部の外表面にリード端子２
   ２がスポツト溶接された非水電解液電池であつ
   て、上記リード端子２２のスポツト溶接部分２４
   を凹状にして、その周囲の肉厚よりも薄く形成
   し、上記スポツト溶接部分に補強用の接着剤２８
   を塗着してなることを特徴とするリード端子つき
   偏平形非水電解液電池。