JPH0451432Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この考案は、IC（集積回路）などの素子をプリ
ント基板などに取り外し可能に装着するのに使用
するコネクタに関する。

「従来の技術」 ICをプリント基板に取り外し可能に装着する
のに使用するICソケツトの一種として、ICの端
子ピンが傷ついたり曲がつたりすることがないよ
うに、端子ピンの挿抜に何ら力を要しないように
したものがある。

このような無挿抜力タイプのコネクタは、従来
一般に、第６図に示すように、一面に臨んでピン
挿入穴１が形成され、反対側の面に臨んでピン挿
入穴１と通じた接触室２が形成されたカバー絶縁
体３と、カバー絶縁体３の接触室２が臨む面側に
配させたベース絶縁体４と、ベース絶縁体４に植
設されて一端側が接触室２内に挿入された板バネ
状のソケツト接触子５とを備え、ソケツト接触子
５の他端側がプリント基板に取り付けられ、同図
Ａに示すようにIC６の端子ピン７をカバー絶縁
体３のピン挿入穴１から接触室２内に挿入したの
ち、カバー絶縁体３を同図の右方向に摺動させる
ことにより、同図Ｂに示すように端子ピン７が接
触室２の側壁によりソケツト接触子５に押しつけ
られる構成にされている。

「考案が解決しようとする問題点」 しかし、第６図に示す従来のコネクタは、端子
ピン７のそれぞれにつきカバー絶縁体３に対して
端子ピン７のソケツト接触子５への接触力と同一
の大きな駆動力を必要とし、多ピン化されたLSI
（大規模集積回路）のようなピン数の多い素子に
は敵さない不都合がある。しかも、端子ピン７が
ソケツト接触子５に接触している間中、カバー絶
縁体３などが大きな力を受けるため、プラスチツ
クの成形品からなるカバー絶縁体３などが経時変
化をきたし、コールドフローなどの欠陥を生じる
おそれがある。

そこで、この考案は、端子ピンの挿抜に何ら力
を要しないだけでなく、小さな駆動力により端子
ピンをソケツト接触子に所定の接触力で接触させ
ることができ、従つてピン数の多い素子にも適応
させることができるとともに、一端接触したのち
は摺動部材などが力を受けることなく接触を維持
し、従つて摺動部材などが経時変化をきたすこと
がないようにしたものである。

「問題点を解決するための手段」 この考案のコネクタは、上記ハウジングと、下
部ハウジングと、ピン導体と、ソケツト接触子と
を備える。上部ハウジングは、天板部にピン挿入
穴と係合用の側壁が形成される。下部ハウジング
は、底板部にピン取付穴が形成される。ピン導体
は、一端部が上部ハウジング側に臨み、他端部が
反対側に臨む状態で下部ハウジングのピン取付穴
に嵌め込まれる。ピン導体の一端部には、上部ハ
ウジングの天板部側に延長した、上部ハウジング
のピン挿入穴から上部ハウジング内に挿入される
端子ピンの径ないし厚みより大きい厚みを有する
棒状部が形成される。ソケツト接触子は、ピン導
体に接続される状態でピン導体の一端部に回転可
能に支持され、対向する一対のバネ片を有する。
この一対のバネ片は、上部ハウジングが下部ハウ
ジングに対して第１の位置にあるときには、ピン
導体の棒状部を挟持する。この状態で上部ハウジ
ングのピン挿入穴からソケツト接触子の一対のバ
ネ片の間に端子ピンが挿入されたのち、上部ハウ
ジングが端子ピンと共に下部ハウジングに対して
相対的に第２の位置に摺動させられ、これによ
り、ソケツト接触子が上部ハウジングの係合用の
側壁により押されてピン導体に対して回動して、
ソケツト接触子の一対のバネ片がピン導体の棒状
部から離脱して端子ピンを挟持する。

「作用」 このように構成された、この考案のコネクタに
おいては、上部ハウジングが下部ハウジングに対
して第１の位置にあるとき、ソケツト接触子の対
向する一対のバネ片はピン導体の棒状部により間
隔が端子ピンの径ないし厚みより大きくされてい
るので、上部ハウジングのピン挿入穴からソケツ
ト接触子の一対のバネ片の間に端子ピンを何ら力
を要することなく挿入することができる。このよ
うに端子ピンを一対のバネ片の間に挿入したの
ち、上部ハウジングを端子ピンと共に下部ハウジ
ングに対して相対的に第２の位置に摺動させる
と、ソケツト接触子が上部ハウジングの係合用の
側壁により押されてピン導体に対して回動するこ
とにより、ソケツト接触子の一対のバネ片がピン
導体の棒状部から離脱して、その復元力により一
対のバネ片が端子ピンを挟持し、端子ピンがソケ
ツト接触子に所定の接触力で接触してピン導体に
接続される。従つて、ソケツト接触子をピン導体
に対して回動させて一対のバネ片をピン導体の棒
状部から離脱させるだけの小さな駆動力により、
端子ピンをソケツト接触子に所定の接触力が接触
させることができる。また、このように一対のバ
ネ片がピン導体の棒状部から離脱して、一旦端子
ピンがソケツト接触子に接触すれば、あとは一対
のバネ片が端子ピンを挟持し続けることにより接
触を維持し、上部ハウジングや下部ハウジングな
どが力を受けることがない。

「実施例」 第１図は、この考案のコネクタの一例の要部を
示し、ICソケツトを構成する場合である。

この考案のコネクタは、上部ハウジング１０、
下部ハウジング２０、ピン導体３０およびソケツ
ト接触子４０を備える。

上部ハウジング１０は、天板部１１と、これに
垂直な側壁部や仕壁などを有し、天板部１１に
は、上面に臨んでピン挿入穴１２が係合されると
ともに、下面に臨んでピン挿入穴１２と通じた係
合用の溝１３が形成される。ピン挿入穴１２およ
び溝１３は、IC５０の端子ピン６０の配列に応
じた配列で形成される。

下部ハウジング２０は、底板部２１と、これに
垂直な側壁部や仕切壁などを有し、底板部２１に
は、ピン取付穴２２が上部ハウジング１０のピン
挿入穴１２の配列に応じた配列で形成される。

ピン導体３０は、第２図にも示すように、板状
に形成され、一端部３１が幅広とされるととも
に、一端部３１の一側に棒状部３２が延長して形
成される。棒状部３２の厚みは、IC５０の端子
ピン６０の径より大きくされる。図の例は、ピン
導体３０全体の厚みが端子ピン６０の径より大き
くされた場合である。また、一端部３１には内形
の穴３１ａが形成される。このピン導体３０は、
一端部３１および棒状部３２が上部ハウジング１
０側に臨み、他端部３３が反対側に臨む状態で、
下部ハウジング２０のピン取付穴２２に嵌め込ま
れる。

ソケツト接触子４０は、第３図にも示すよう
に、対向する一対のバネ片４１および４２が、そ
れぞれの基部側において連結部４３により一体に
連結された構造を有する。バネ片４１および４２
ａには内側に突出した接触部４１ａおよび４２ａ
が形成され、接触部４１ａおよび４２の連結部４
３側と反対側の一側は外側に曲げられる。接触部
４１ａ，４２ａ間に何も介在していないときの接
触部４１ａ，４２ａ間の間隔ｄは、IC５０の端
子ピン６０の径φより小さくされる。バネ片４１
および４２の基部には、内側に突出したピボツト
４１ｂおよび４２ｂが形成される。このソケツト
接触子４０は、バネ片４１および４２のピボツト
４１ｂおよび４２ｂがピン導体３０の穴３１ａに
両側から嵌め込まれることにより、ピン導体３０
に接続される状態でピン導体３０の一端部３１に
回動可能に支持され、バネ片４１および４２の先
端部が上部ハウジング１０の溝１３内に挿入され
る。

上部ハウジング１０が下部ハウジング２０に対
して第１図Ａに示すような第１の位置にあるとき
には、ソケツト接触子４０の一対のバネ片４１お
よび４２がピン導体３０に対して平行となり、同
図Ｄに示すようにバネ片４１および４２の接触部
４１ａおよび４２ａがピン導体３０の棒状部３２
を挟持する。すなわち、棒状部３２が接触部４１
ａ，４２ａ間に割り込んで、接触部４１ａ，４２
ａ間の間隔が上述の間隔ｄより広げられ、端子ピ
ン６０の径φより大きい状態となる。

以上の構成のコネクタは、プリント基板７０上
に配して、ピン導体３０の他端部３３をプリント
基板７０のスルーホール７１に通して図示してい
ないがプリント基板７０にハンダ付けすることに
より、プリント基板７０上に支持し、この状態
で、IC５０の端子ピン６０を上部ハウジング１
０のピン挿入穴１２からソケツト接触子４０のバ
ネ片４１，４２間に挿入する。このとき、バネ片
４１，４２の接触部４１ａ，４２ａ間の間隔が端
子ピン６０の径φより大きいので、端子ピン６０
を接触部４１ａ，４２ａ間に何ら力を有すること
なく挿入することができる。

このように端子ピン６０をバネ片４１，４２間
に挿入したのち、上部ハウジング１０をIC５０
および端子ピン６０と共に下部ハウジング２０に
対して第１図Ａの右方向に第２の位置まで摺動さ
せる。これにより、バネ片４１および４２が上部
ハウジング１０の溝１３の第１図Ａの右方向に向
いた側壁１３ａにより押されて、第１図ｃに示す
ように、ソケツト接触子４０がバネ片４１および
４２のボツト４１ｂおよび４２ｂを支点としてピ
ン導体３０に対して回動し、バネ片４１および４
２がピン導体３０の棒状部３２から離脱して、そ
の復元力により接触部４１ａ及び４２ａが端子ピ
ン６０を挟持し、端子ピン６０がソケツト接触子
４０に所定の接触力が接触してピン導体３０に接
続される。すなわち、IC５０がプリント基板７
０に装着される。

この場合、上部ハウジング１０に対する駆動力
は、ソケツト接続子４０をピン導体３０に対して
回動させてバネ片４１および４２を棒状部３２か
ら離脱させるだけのものでよく、小さな駆動力に
より端子ピン６０をソケツト接触子４０に所定の
接触力で接触させることができる。また、このよ
うにバネ片４１および４２が棒状部３２から離脱
して、一旦端子ピン６０がソケツト接触子４０に
接触すれば、あとはバネ片４１及び４２が端子ピ
ン６０を挟持し続けることより接触を維持し、上
部ハウジング１０や下部ハウジング２０などが力
を受けることはない。

端子ピン６０をコネクタから抜去し、IC５０
をプリント基板７０から取り外すには、上述の状
態から上部ハウジング１０をIC５０および端子
ピン６０と共に下部ハウジング２０に対して第１
図ｃの左方向に第１の位置まで摺動させる。これ
により、バネ片４１およひ４２が上部ハウジング
１０の溝１３の第１図Ｃ左方向に向いた側壁１３
ｂにより押されて、ソケツト接触子４０がピン導
体３０に対して上述の接続・装着の場合と逆方向
に回動し、ピン導体３０の棒状部３２がバネ片４
１，４２の接触部４１ａ，４２ａ間に割り込ん
で、接触部４１ａ，４２ａ間の間隔が端子ピン６
０の径φより大きくされ、端子ピン６０がソケツ
ト接触子４０から解放されて、端子ピン６０を上
部ハウジング１０のピン挿入穴１２を通じて何ら
力を要することなく抜去することができる。

この場合、第４図に示すように、上部ハウジン
グ１０の溝１３の側壁１３ｂからソケツト接触子
４０に加わる力をＦ、ピン導体３０の棒状部３２
がソケツト接触子４０に割り込む力をＰ、ソケツ
ト接触子４０の側壁１３ｂとの接触点から回動中
心までの距離をＬ、ソケツト接触子４０の棒状部
３２が割り込む点から回動中心までの距離をｌと
すると、モーメントの釣り合いから Ｆ・Ｌ＝Ｐ・ｌ となるので、ソケツト接触子４０の一つ当たりの
駆動力は Ｆ＝ｌ／ＬＰ となる。従つて、棒状部３２がソケツト接触子４
０に割り込む力Ｐに対して駆動力Ｆを小さくする
ことができ、小さな駆動力により端子ピン６０を
ソケツト接触子４０から解放することができる。

第５図は、上述した構成の、この考案のコネク
タの一例の全体を示す。

上部ハウジング１０の側壁部１４および１５が
下部ハウジング２０の側壁部２４および２５に嵌
め込まれて、上部ハウジング１０が下部ハウジン
グ２０に対して同図Ａ，ＢおよびＤの横方向に摺
動可能にされる。もちろん、上述のように下部ハ
ウジング２０にピン導体３０が取り付けられ、ピ
ン導体３０にソケツト接触子４０が回動可能に支
持される。

上部ハウジング１０の一端部に、上部ハウジン
グ１０の下面に臨んで上部ハウジング１０の一側
面から他側面にわたる溝穴１６が形成され、この
溝穴１６に、一端側の円板部８１と他端側の円柱
部８２をピン８３で連結した形状のカム８０のピ
ン８３が挿入される。カム８０の円板部８１は下
部ハウジング２０の側壁部２４に嵌め込まれ、円
柱部８２は下部ハウジング２０の側壁部２５に嵌
め込まれ、円柱部８２にカム８０を回動させるレ
バー９０が取り付けられる。

同図Ａ，ＢおよびＣに示すように、レバー９０
が上部ハウジング１０の天板部１１に対して垂直
な状態にあるときは、カム８０のピン８３は溝穴
１６の上部にあり、上部ハウジング１０、下部ハ
ウジング２０、ピン導体３０およびソケツト接触
子４０は第１図Ａに示した状態にある。この状態
でコネクタをプリント基板７０上に配して、ピン
導体３０をプリント基板７０に取り付け、第１図
Ａで前述したようにIC５０の端子ピン６０を上
部ハウジング１０のピン挿入穴１２からソケツト
接触子４０のバネ片４１，４２間に挿入する。

次いで、第５図Ｄに示すように、レバー９０を
90°回動させて上部ハウジング１０の天板部１１
に対して平行な状態にする。これにより、カム８
０のピン８３が溝穴１６の下部に位置して、上部
ハウジング１０、下部ハウジング２０、ピン導体
３０およびソケツト接触子４０が第１図Ｃに示し
た状態となり、前述のように端子ピン６０がソケ
ツト接触子４０を介してピン導体３０に接続さ
れ、IC５０がプリント基板７０に装着される。

この状態からレバー９０を反対方向に90°回動
させると、カム８０のピン８３が溝穴１６の上部
に戻り、上部ハウジング１０、下部ハウジング２
０、ピン導体３０およびソケツト接触子４０は第
１図Ａに示した状態となる。前述のように、この
状態で、IC５０の端子ピン６０を上部ハウジン
グ１０から抜去し、IC５０をプリント基板７０
から取り外す。

なお、端子ピンは板状でもよい。

「考案の効果」 この考案によれば、端子ピンの挿抜に何ら力を
要しないだけでなく、小さな駆動力により端子ピ
ンをソケツト接触子に所定の接触力で接触させる
ことができ、ピン数の多い素子にも適応させるこ
とができる。しかも、一旦端子ピンがソケツト接
触子に接触したのちは上部ハウジングや下部ハウ
ジングなどの部材が力を受けることなく接触を維
持し、これら部材が経時変化をきたすことがな
い。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案のコネクタの一例を要部を示
し、Ａは端子ピンが解放された状態の正面断面
図、Ｂは同じ状態の側断面図、Ｃは端子ピンがソ
ケツト接触子に接触した状態の正面断面図、Ｄは
ＡのＤ−Ｄ線上の断面図、ＥはＣのＥ−Ｅ線上の
断面図、第２図はピン導体の例を示し、Ａは正面
図、ＢはＡのＢ−Ｂ線上の断面図、第３図はソケ
ツト接触子の例を示し、Ａは上面図、Ｂは側面
図、Ｃは正面図、第４図は端子ピンをソケツト接
触子から解放するときの駆動力を説明するための
図、第５図はこの考案のコネクタの一例の全体を
示し、Ａは上面図、Ｂは一部を断面にした正面
図、Ｃは側断面図、ＤはコネクタによりICがプ
リント基板に装着された状態の一部を断面にした
正面図、第６図は従来のコネクタの一例を示し、
Ａは端子ピンが解放された状態の断面図、Ｂは端
子ピンがソケツト接触子に接触した状態の断面図
である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 天板部にピン挿入穴と係合用の側壁が形成され
   た上部ハウジングと、 底板部にピン取付穴が形成された下部ハウジン
   グと、 一端部が上記上部ハウジング側に臨み、他端部
   が反対側に望む状態で上記ピン取付穴に嵌め込ま
   れ、上記一端部に上記天板部側に延長した、上記
   ピン挿入穴から上記上部ハウジング内に挿入され
   る端子ピンの径ないし厚みより大きい厚みを有す
   る棒状部が形成されたピン導体と、 このピン導体に接続される状態で上記一端部に
   回動可能に支持され、上記上部ハウジングが上記
   下部ハウジングに対して第１の位置にあるときに
   は対向する一対のバネ片が上記棒状部を挟持し、
   この状態で上記ピン挿入穴から上記一対のバネ片
   の間に端子ピンが挿入されたのち、上記上部ハウ
   ジングが上記端子ピンと共に上記下部ハウジング
   に対して相対的に第２の位置に摺動させられるこ
   とにより、上記側壁により押されて上記ピン導体
   に対して回動して、上記一対のバネ片が上記棒状
   部から離脱して上記端子ピンを挟持するソケツト
   接触子と、 を備えるコネクタ。