JPH0414629Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、自動車ウインドレギユレータ装置に
係り、特に、窓ガラスの重量が、窓ガラスの昇降
操作に影響を与えることのないようにするための
重量バランス装置に関するものである。

（従来例） 自動車のウインドレギユレータ装置は、窓ガラ
スに止着されたキヤリヤプレートを、ドア内に配
設されたガイドレールに昇降自在に取付け、この
キヤリヤプレートに一端が止着されていて上下方
向を向く１対のワイヤの各他端を、駆動部の同軸
上に隣接したドラムに巻付き方向を異にして巻回
したものから成つており、上記ドラムを、手動用
のハンドルまたはモータ等により正逆回動させる
ことによつて、窓ガラスが昇降させられるように
なつている。

窓ガラスの上昇時に下降時において、窓ガラス
の重量により、駆動部の操作力に差が生ずるの
で、これを解消するために、窓ガラスには、上方
への付勢力が与えられている。この付勢力は、駆
動部のドラム内に収納された渦巻状のバランスス
プリングで、ドラムを、キヤリヤプレートを支持
している側の駆動用ワイヤを巻取る向きに付勢す
ることにより与えられている。

窓ガラスを、手動操作によつて昇降させる時の
駆動部の操作力を軽くするには、駆動用ワイヤが
巻回されているドラム径を小さくしなければなら
ないが、ドラム径を小さくすると、窓ガラスを上
方に付勢するためのバランススプリングが、ドラ
ム内に収納できなくなつて、窓ガラスの上方への
付勢に支障を来たすことになる。

これを解決するために、ワイヤを昇降させるド
ラムと窓ガラスを上方に付勢するバランススプリ
ングを分けて駆動部を構成したものがあり、その
一例を、第１図に基づいて説明する。

自動車のドア内に配設された駆動部１の支持部
材２には、ハンドル３によつて回動されるドラム
４が、軸５によつて枢着されており、該ドラム４
には、駆動用ワイヤ６，７の一端が、巻き方向を
異にして巻回されている。ワイヤ６，７の各他端
は、窓ガラスに止着されたキヤリヤプレート（図
示略）に止着されて、それぞれ上下方向に張られ
ている。

ドラム４に固着されている歯車８には、重量バ
ランス装置９のドラム１１に形成された歯車１２
が噛合している。軸１３によつて支持部材２に枢
着されたドラム１１には、各端部がドラム１１
と、軸１３とにそれぞれ係止されたバランススプ
リング１４が内設されており、このバランススプ
リング１４の弾力により、ドラム１１および４
は、それぞれ矢印方向に回動するように付勢さ
れ、かつ駆動用ワイヤ６は、下降する向きに付勢
されている。

ワイヤ６は、中間部を図示しないプーリに巻回
されて、向きを変えたのち、その下端は、キヤリ
ヤプレートに止着されていて、窓ガラスを上方に
付勢している。これにより、窓ガラスの上昇時と
下降時におけるハンドル３の操作力の差が解消さ
れている。

しかしながら、駆動部１を前記のようにドラム
４と重量バランス装置９とに分けて、かつそれら
が互いに係合するように接近させて設けるように
すると、駆動部１が大型になつて、これをドア内
に取付ける場合に、他のドア内部品と干渉する等
の問題点がある。

（考案の目的） 本考案の目的は、重量バランス装置を、窓ガラ
スの昇降用駆動部から完全に独立させて、駆動部
から離れたドア内の所望するいずれの位置にも自
由に取付けることができるようにすることによ
り、上述のような問題点を解決した自動車用ウイ
ンドレギユレータ装置における重量バランス装置
を提供することにある。

（考案の構成） 本考案は、窓ガラスに止着されたキヤリヤプレ
ートが、ドア内に配設されたガイドレールにガイ
ドされながら、適宜の手段により昇降させられる
ようにしたウインドレギユレータ装置において、
窓ガラスの重量とバランスさせる重量バランス装
置であつて、ドア内の適所に止着されるケース内
に巻取りドラムを枢設し、該巻取りドラムを、ケ
ース内に設けたバランススプリングにより巻取り
方向へ付勢するようにした付勢装置と、一端が前
記付勢装置のケースに固着され、かつ他端がガイ
ドレールに止着された可撓性の導管と、該導管内
に挿通され、一端が前記巻取りドラムに巻回係止
されるとともに、他端がキヤリヤプレートに連係
されたワイヤとを備えることを特徴としている。

（考案の効果） 本考案は、上述のような構成としたことによ
り、重量バランス装置を、窓ガラスの昇降用駆動
部から完全に独立させて、駆動部から離れたドア
内の所望の位置に取付けることができ、その結
果、次のような具体的な効果を奏することができ
る。

(1) 駆動部に、重量バランス装置を付設する必要
がないので、駆動部を小型化できる。

(2) 付勢装置を、ドア内の任意の場所に簡単に取
り付けることができるので、ドア内のレイアウ
トが楽になり、結果的に、ドアを小型（薄型）
化および高密度化できる。

(3) 駆動部の各構成および部材の設計、たとえ
ば、巻取りドラムの径等を定めるのに、従来の
ような余計な制限が課せられることがなくな
り、駆動部を自由に設計できる。

(4) 駆動部の構成や寸法が異なるウインドレギユ
レータ装置にも適用でき、具体的には、異なる
車種にも全く同一の重量バランス装置を用いる
ことができ、汎用性に優れている。

（実施例） 以下、第２図以降の各図に示す本考案の実施例
について説明する。

第２図において、両側部にガイド部１５ａ，１
５ｂを有するガイドレール１５は、自動車のドア
（図示略）内に配設されており、上記ガイド部１
５ａ，１５ｂにスライド自在に装着された摺動子
１６，１７には、キヤリヤプレート１８が軸１９
により枢着されている。キヤリヤプレート１８の
左右の腕部１８ａ，１８ｂに設けられた取付け穴
２１には、窓ガラス（図示略）の基部が止着され
ている。

キヤリヤプレート１８の裏面側に固植された軸
２２には、第３図に示すように、ガイドプーリ２
３と１対の係止部材２４，２５の基部が枢着され
ている。ガイドレール１５の上下部には、駆動用
ワイヤ２６，２７が挿通された可撓性の導管２
９，３１の端部が、保持具３２，３３によつて保
持されており、上記駆動用ワイヤ２６，２７の一
端部は、第３図に示すように係止部材２４，２５
にそれぞれ係止されている。

ドア内に配設された駆動装置３５の支持部材３
６には、導管２９，３１の他端部が、保持具３
７，３８により保持されている。支持部材３６に
は、ドラム３９が軸４１により枢着されており、
この軸４１の端部には、手動用のハンドル４２の
基部が固着されている。

ドラム３９の周囲には、駆動用ワイヤ２６，２
７の他端部が、巻き方向を異にして巻回されてお
り、ハンドル４２の操作によるドラム３９の正逆
回動により、駆動用ワイヤ２６，２７を昇降させ
ると、キヤリヤプレート１８およびこれに取付け
られた窓ガラスが上下動するようになつている。

ガイドレール１５の上部には、ほぼ上下方向を
向くワイヤ４３が挿通されている可撓性の導管４
４の一端部が、保持具３２により保持されてい
る。ワイヤ４３は、前記プーリ２３に巻回され、
その係止側４３ａは、ほぼ上方に向きを変えられ
ている。

ガイドレール１５の上部であつて、ワイヤ４３
の係止側４３ａに沿う線上には、複数の係止穴４
５が穿設されている。ワイヤ４３の端部は、第５
図に示すように、係止部材４６に固着されてお
り、この係止部材４６に形成されたフツク４６ａ
を、適所の係止穴４５に挿入して係止することに
より、ワイヤ４３の一端は、ガイドレール１５に
係止されている。

第２図および第４図において、付勢装置４７の
ケース４８内に収容されたドラム４９は、ケース
４８と一体的にケース４８内に形成された軸５１
に枢着されている。このドラム４９の周面には、
ケース４８に端部が係止された可撓性の導管４４
内を挿通するワイヤ４３が、巻回されたのち係止
されている。

ドラム４９に形成された凹部４９ａ内には、渦
巻状のバランススプリング５２が収納され、その
内端は軸５１に、そして外端はドラム４９の内周
の適所に、それぞれ係止されている。

ケース４８は、その背面側にカバー５３を取付
けることにより閉塞されており、このケース４８
に穿設された取付け穴５４を挿通するねじ（図示
略）により、付勢装置４７は、ドア内の所望の位
置に取付けられている。

ドラム４９は、バランススプリング５２の弾力
により、第２図において反時計方向に、すなわ
ち、ワイヤ４３を巻取る向きに回動するように付
勢されており、ドラム４９のこの回動力は、キヤ
リヤプレート１８および窓ガラスの重量とほぼバ
ランスするようになつている。

かくして、ガイドプーリ２３，ワイヤ４３，ド
ラム４９，バランススプリング５２等により、重
量バランス装置５０が形成されている。

このように構成されたウインドレギユレータ装
置において、ハンドル４２を操作して、キヤリヤ
プレート１８側のワイヤ２６，２７を上下動させ
ると、キヤリヤプレート１８およびこれに止着さ
れた窓ガラスは昇降させられる。

窓ガラスの昇降時において、窓ガラスは、付勢
装置４７によつて上方に付勢されているので、窓
ガラスの上昇時と下降時におけるハンドル４２の
操作力に差はなく、窓ガラスは円滑に昇降させら
れる。

窓ガラスを上方に付勢する付勢装置４７が、駆
動装置３５から分離されているので、駆動装置３
５のドラム３９の外径を所望の小寸径に形成し
て、操作力を軽減することができるとともに、駆
動装置３５自体を小型化することができる。

また、駆動装置３５から分離された付勢装置４
７は、ワイヤ４３が化撓性の導管４４により案内
される構成で自由度がありドア内の前後、左右、
上下のいずれの位置にも設定でき、ドア内への諸
部品の配置を適切に行うことができる。

キヤリヤプレート１８に止着される窓ガラスの
重量は、車種によつて異つている。上記実施例に
おいては、ワイヤ４３の係止側４３ａの端部は、
係止部材４６をガイドレール１５の係止穴４５に
係止するときに、係止位置を選択することがで
き、キヤリヤプレート１８に対する上方への付勢
力は、窓ガラスの重量に応じて適正に調整できる
ので、同一種のウインドレギユレータ装置を、異
なる車種に適用することが可能となり、便利であ
る。

また、付勢装置４７のワイヤ４３は、キヤリヤ
プレート１８のガイドプーリ２３でほぼ反対方向
に向きを変えられて、キヤリヤプレート１８に係
合されているので、キヤリヤプレート１８を上方
へ付勢するバランススプリング５２の弾力はほぼ
半分で済み、ばね定数の小さな渦巻きばね等を使
用できる利点がある。

なお、ワイヤ４３の係止側４３ａの端部はガイ
ドレール１５に係止する例を述べたが、キヤリヤ
プレート１８に直接係止する構造であつてもよ
く、その場合でも、上述の係止位置を選択する構
造が摘用できることは勿論である。

キヤリヤプレート１８が、第２図に示すよう
に、ガイドレール１５の上限位置から下限位置へ
下降していくと、付勢装置４７のバランススプリ
ングは締まつていつて、ドラム４９の回動力は増
加していくので、キヤリヤプレート１８が下位に
位置するに従つて、付勢装置４７からの付勢力が
増加する不都合がある。

第６図は、上記欠点を解消した別の付勢装置５
６を示している。

第６図において、ケース５７に形成された台形
状の凹部５８には、軸５９がケース５７と一体的
に形成されており、この軸５９には、外周面の外
径が、ケース５７の開口部に向けて次第に大きく
なつている台形状のドラム６１が枢着されてい
る。

ドラム６１の穴６１ａ内に収納されたバランス
スプリング５２に内端は軸５９に、同じく外端は
穴６１ａの内周面に、それぞれ係止されている。

ドラム６１の外周面には、ワイヤ４３が、小径
部の方から大径部の方に向けて巻回されたのち、
端部が止着されている。

ドラム６１に対するワイヤ４３の巻付け開始部
は、キヤリヤプレート１８がガイドレール１５の
下限側にあるときには、ドラム６１の小径部側に
あり、またキヤリヤプレート１８がガイドレール
１５の下限側にあるときには、ドラム６１の大径
部側に位置している。

したがつて、キヤリヤプレート１８が下限位置
へ移動していつて、ドラム６１の回動力が増加し
ていつても、ワイヤ４３の巻付き開始部がドラム
６１の大径部に位置してくるので、ワイヤ４３の
張力、すなわち、キヤリヤプレート１８に対する
上方への付勢力は変化せず、ほぼ一定となつて、
窓ガラス昇降時におけるハンドル４２の操作力を
一定に維持することができる。

キヤリヤプレートに係合される付勢装置のワイ
ヤの端部は、ワイヤの張り方向に沿う適宜の位置
で選択して係止され、ワイヤの張力が窓ガラスの
重量に応じて、調整できる。従つて、同一種のウ
インドレギユレータ装置を、車種の異なる窓ガラ
スに適用することができて、便利である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来のウインドレギユレータ装置に
おける駆動部の一例を示す正面図、第２図は、本
考案の一実施例を備えるウインドレギユレータ装
置の正面図、第３図は、第２図のＡ−Ａ線断面
図、第４図は、第２図のＢ−Ｂ線断面図、第５図
は、第２図のＣ−Ｃ線断面図、第６図は、付勢装
置の別の例を示す縦断面図である。 １５……ガイドレール、１８……キヤリヤプレ
ート、２３……ガイドプーリ、２６，２７……駆
動用ワイヤ、３５……駆動装置、３９……駆動部
のドラム、４２……ハンドル、４３……付勢装置
のワイヤ、４５……係止穴、４６……係止部材、
４７……付勢装置、４９……ドラム、５０……重
量バランス装置、５２……バランススプリング、
５６……付勢装置、６１……ドラム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 窓ガラスに止着されたキヤリヤプレートが、ド
   ア内に配設されたガイドレールにガイドされなが
   ら、適宜の手段により昇降させられるようにした
   ウインドレギユレータ装置において、窓ガラスの
   重量とバランスさせる重量バランス装置であつ
   て、ドア内の適所に止着されるケース内に巻取り
   ドラムを枢設し、該巻取りドラムを、ケース内に
   設けたバランススプリングにより巻取り方向へ付
   勢するようにした付勢装置と、一端が前記付勢装
   置のケースに固着され、かつ他端がガイドレール
   に止着された可撓性の導管と、該導管内に挿通さ
   れ、一端が前記巻取りドラムに巻回係止されると
   ともに、他端がキヤリヤプレートに連係されたワ
   イヤとを備えることを特徴とする自動車用ウイン
   ドレギユレータ装置における重量バランス装置。