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JP7521246B2 - 半導体装置および半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体装置および半導体装置の製造方法 Download PDF

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JP7521246B2 JP2020073721A JP2020073721A JP7521246B2 JP 7521246 B2 JP7521246 B2 JP 7521246B2 JP 2020073721 A JP2020073721 A JP 2020073721A JP 2020073721 A JP2020073721 A JP 2020073721A JP 7521246 B2 JP7521246 B2 JP 7521246B2
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Description

この発明は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
従来、高電圧や大電流を制御するパワー半導体装置には、例えば、バイポーラトランジスタやIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:金属-酸化膜-半導体の3層構造からなる絶縁ゲート(MOSゲート)を備えたMOS型電界効果トランジスタ)など複数種類あり、これらは用途に合わせて使い分けられている。
例えば、バイポーラトランジスタやIGBTは、MOSFETと比べて電流密度が高く大電流化が可能であるが、高速にスイッチングさせることができない。具体的には、バイポーラトランジスタは数kHz程度のスイッチング周波数での使用が限界であり、IGBTは数十kHz程度のスイッチング周波数での使用が限界である。一方、MOSFETは、バイポーラトランジスタやIGBTに比べて電流密度が低く大電流化が難しいが、数MHz程度までの高速スイッチング動作が可能である。
また、MOSFETは、IGBTと異なり、半導体基板(半導体チップ)の内部にp型ベース領域とn-型ドリフト領域とのpn接合で形成される寄生ダイオードを内蔵し、この寄生ダイオードを、自身を保護するための還流ダイオードとして使用可能である。このため、MOSFETをインバータ用デバイスとして用いた場合に、MOSFETに外付けの還流ダイオードを追加して接続することなく使用することができ、経済性の面でも注目されている。
パワー半導体装置の構成材料として、シリコン(Si)が用いられている。市場では大電流と高速性とを兼ね備えたパワー半導体装置への要求が強く、IGBTやMOSFETはその改良に力が注がれ、現在ではほぼ材料限界に近いところまで開発が進んでいる。このため、パワー半導体装置の観点からシリコンに代わる半導体材料が検討されており、低オン電圧、高速特性、高温特性に優れた次世代のパワー半導体装置を作製(製造)可能な半導体材料として炭化珪素(SiC)が注目を集めている。
炭化珪素は、化学的に非常に安定した半導体材料であり、バンドギャップが3eVと広く、高温でも半導体として極めて安定的に使用することができる。また、炭化珪素は、最大電界強度もシリコンより1桁以上大きいため、オン抵抗を十分に小さくすることができる半導体材料として期待される。このような炭化珪素の特長は、炭化珪素だけでなく、シリコンよりもバンドギャップの広いすべての半導体(以下、ワイドバンドギャップ半導体とする)も同様に有する。
また、MOSFETでは、大電流化に伴い、半導体チップのおもて面に沿ってチャネル(反転層)が形成されるプレーナゲート構造とする場合と比べて、ゲートトレンチの側壁に沿って半導体チップのおもて面と直交する方向にチャネルが形成されるトレンチゲート構造とすることはコスト面で有利である。その理由は、トレンチゲート構造が単位面積当たりの単位セル(素子の構成単位)密度を増やすことができるため、単位面積当たりの電流密度を増やすことができるからである。
単位面積当たりの電流密度を増加させた分、単位セルの占有体積に応じた温度上昇率が高くなるため、放電効率の向上と信頼性の安定化とを図るために両面冷却構造が必要になる。さらに、パワー半導体装置の主動作を行うメイン半導体素子と同一の半導体基板に、当該メイン半導体素子を保護・制御するための回路部として電流センス部、温度センス部および過電圧保護部等の高機能部を配置した高機能構造とすることで信頼性を向上させたパワー半導体装置が提案されている。
従来の半導体装置の構造について説明する。図18は、従来の半導体装置の構造を示す断面図である。図18に示す従来の半導体装置220は、炭化珪素からなる半導体基板(半導体チップ)210のおもて面側に一般的なトレンチゲート構造のMOSゲートを備えた縦型MOSFETである。半導体基板210は、炭化珪素からなるn+型出発基板271のおもて面上にn-型ドリフト領域232およびp型ベース領域234となる各炭化珪素層272,273を順にエピタキシャル成長させてなる。
半導体基板210の、p型炭化珪素層273側の主面をおもて面とし、n+型出発基板271側の主面(n+型出発基板271の裏面)を裏面とする。MOSゲートは、p型ベース領域234、n+型ソース領域235、p++型コンタクト領域236、ゲートトレンチ237、ゲート絶縁膜238およびゲート電極239で構成される。p型ベース領域234、n+型ソース領域235およびp++型コンタクト領域236は、互いに隣り合うゲートトレンチ237間にそれぞれ選択的に設けられている。
+型ソース領域235およびp++型コンタクト領域236は、半導体基板210のおもて面とp型ベース領域234との間に、p型ベース領域234に接して設けられている。n+型ソース領域235およびp++型コンタクト領域236は、それぞれ、半導体基板210のおもて面に露出されている。半導体基板210のおもて面に露出とは、n+型ソース領域235およびp++型コンタクト領域236が半導体基板210のおもて面(平坦面)でNiSi膜241に接することである。
NiSi膜241は、層間絶縁膜240のコンタクトホール240aの内部において半導体基板210にオーミック接触し、n+型ソース領域235およびp++型コンタクト領域236に電気的に接続されている。ソースパッド221は、バリアメタル246およびNiSi膜241を介してn+型ソース領域235およびp++型コンタクト領域236に電気的に接続されている。ソースパッド221、バリアメタル246およびNiSi膜241はソース電極として機能する。
めっき膜247、端子ピン248および保護膜249,250は、ソースパッド221上の配線構造を構成する。このソースパッド221上の配線構造と、半導体基板210の裏面側の冷却フィン(不図示)と、で両面冷却構造が構成される。符号231,233,251はそれぞれn+型ドレイン領域、n型電流拡散領域およびドレイン電極である。符号242~245は、バリアメタル246を構成する金属膜である。符号261,262は、ゲートトレンチ237の底面にかかる電界を緩和させるp+型領域である。
従来の半導体装置として、ソース電極とn+型ソース領域およびp+型コンタクト領域とのオーミック接触をコンタクトトレンチの内壁に形成した装置が提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。下記特許文献1では、開口側に対して底面側の幅を狭くした台形状の断面形状のコンタクトトレンチの内壁に沿ってp型電界緩和領域を形成して、p型電界緩和領域とn-型ドリフト領域とのpn接合をゲートトレンチの側壁に対して傾斜させることで、絶縁破壊耐圧の向上およびオン抵抗の低減を両立させている。
従来の半導体装置として、ゲートトレンチの底面とn-型ドリフト領域との間に設けられたp型底部領域を、ゲートトレンチの側壁とn-型ドリフト領域との間に設けられたp型接続領域によってp型ベース領域に電気的に接続した装置が提案されている(例えば、下記特許文献2参照。)。下記特許文献2では、ターンオフ時、p型ベース領域、p型接続領域およびp型底部領域とn-型ドリフト領域とのpn接合からn-型ドリフト領域の略全体に空乏層を広げることで、絶縁破壊耐圧を向上させている。
従来の半導体装置の製造方法として、半導体基板のおもて面に対して斜めの方向からトレンチの側壁へのn型不純物のイオン注入(以下、斜めイオン注入とする)により、p型ベース領域のトレンチ側壁に露出する部分のp型不純物濃度を低くする方法が提案されている(例えば、下記特許文献3参照。)。下記特許文献3では、n型不純物の斜めイオン注入により、p型ベース領域のチャネル形成部分のみp型不純物濃度を低くして、トレンチ底面へのp型不純物のイオン注入により生じるゲート閾値電圧の上昇を抑制している。
特開2018-014455号公報 特開2018-060943号公報 特開2017-188562号公報
従来の半導体装置220(図18参照)において、オン抵抗を低減させるには、単位セルを微細化して、1つの半導体基板210における単位セルの個数を増やしてセル密度を高くすればよい。単位セルを微細化するには、各単位セルともに、互いに隣り合うゲートトレンチ237間の距離を短くして、ソース電極(NiSi膜241)と半導体基板210とのコンタクト面積(NiSi膜241と半導体基板210とのオーミック接触面積)を小さくする必要がある。
しかしながら、半導体基板210とソース電極とのコンタクト面積が小さくなることで、ソース電極と半導体基板210とのコンタクト抵抗(接触抵抗)が高くなったり、コンタクトホール240aの形成時に生じるエッチング残渣や半導体基板210の表面荒れ等のプロセス上の要因により、単位セルごとにオン抵抗のばらつきが大きくなる。このため、単位セルの微細化に伴って得られるはずの低オン抵抗を実現することができないという問題がある。
この発明は、上述した従来技術による課題を解消するため、オン抵抗を低減させることができる半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体装置は、次の特徴を有する。シリコンよりもバンドギャップの広い半導体からなる半導体基板の内部に、第1導電型の第1半導体領域が設けられている。前記半導体基板の第1主面と前記第1半導体領域との間に、第2導電型の第2半導体領域が設けられている。前記半導体基板の第1主面と前記第2半導体領域との間に、第1導電型の第3半導体領域が選択的に設けられている。ゲートトレンチは、前記半導体基板の第1主面から前記第3半導体領域および前記第2半導体領域を貫通して前記第1半導体領域に達する。前記ゲートトレンチの内部に、ゲート絶縁膜を介してゲート電極が設けられている。
コンタクトトレンチは、前記ゲートトレンチと離れて設けられ、前記半導体基板の第1主面から前記第3半導体領域を貫通して前記第2半導体領域に達する。前記半導体基板の内部において前記第3半導体領域よりも前記半導体基板の第1主面から離れた深さ位置に、前記ゲートトレンチと離れて第2導電型の第4半導体領域が設けられている。前記第4半導体領域は、前記第2半導体領域に接し、かつ前記コンタクトトレンチの側壁および底面に露出されている。前記第1~半導体領域、前記ゲートトレンチ、前記ゲート電極および前記コンタクトトレンチを有する単位セルが複数設けられている。第1電極は、前記コンタクトトレンチの側壁で前記第3半導体領域に電気的に接続され、かつ前記コンタクトトレンチの側壁および底面で前記第4半導体領域に電気的に接続されている。第2電極は、前記半導体基板の第2主面に設けられている。前記第3半導体領域は、前記コンタクトトレンチの側壁に露出する第1部分で、前記第1部分を除く第2部分よりも第1導電型不純物濃度が高い。前記コンタクトトレンチの側壁と前記第3半導体領域との間の全域に前記第1部分が設けられている。前記第4半導体領域は、前記コンタクトトレンチの側壁から底面に露出する第3部分で、前記第3部分を除く第4部分よりも第2導電型不純物濃度が高い。前記第1部分に接して、前記コンタクトトレンチの側壁と前記第4半導体領域との間の全域に前記第3部分が設けられている。前記第1電極は、前記第1部分で前記第3半導体領域に接し、前記第3部分で前記第4半導体領域に接する
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記第3半導体領域の前記第1部分の第1導電型不純物濃度は深さ方向に一様であることを特徴とする。
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記第3半導体領域は、さらに前記半導体基板の第1主面で前記第1電極に接することを特徴とする。
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記単位セルは、互いに隣り合う前記ゲートトレンチの中心間の部分で構成される。前記単位セルのピッチは、2μm以下であることを特徴とする。
また、上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、次の特徴を有する。シリコンよりもバンドギャップの広い半導体からなる半導体基板の内部に第1導電型の第1半導体領域を形成する第1工程を行う。前記半導体基板の第1主面と前記第1半導体領域との間に、前記第1半導体領域に接して、第2導電型の第2半導体領域を形成する第2工程を行う。前記半導体基板の第1主面と前記第2半導体領域との間に、前記第2半導体領域に接して、第1導電型の第3半導体領域を選択的に形成する第3工程を行う。前記半導体基板の第1主面から前記第3半導体領域および前記第2半導体領域を貫通して前記第1半導体領域に達するゲートトレンチを形成する第4工程を行う。前記ゲートトレンチの内部にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する第5工程を行う。
前記ゲートトレンチと離れて、前記半導体基板の第1主面から前記第3半導体領域を貫通して前記第2半導体領域に達するコンタクトトレンチを形成する第6工程を行う。前記半導体基板の第1主面に対して斜めの方向から前記コンタクトトレンチの側壁に第1導電型不純物をイオン注入して、前記第3半導体領域の第1導電型不純物濃度を、前記コンタクトトレンチの側壁に露出する第1部分で、前記第1部分を除く第2部分よりも高くする第7工程と、これら前記第1~8工程を行って複数の単位セルを形成するセル形成工程を行う。前記セル形成工程の後、前記コンタクトトレンチの側壁で前記第1部分に接して前記第3半導体領域に電気的に接続され、かつ前記コンタクトトレンチの側壁および底面で前記第2半導体領域に電気的に接続された第1電極を形成する第8工程を行う。前記セル形成工程の後、前記半導体基板の第2主面に設けられた第2電極を形成する第9工程を行う。
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第2半導体領域の内部に第2導電型不純物をイオン注入して、前記ゲートトレンチと離れた第2導電型の第4半導体領域を選択的に形成する工程をさらに含む。前記第8工程では、前記第4半導体領域に接する前記第1電極を形成することを特徴とする。
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第4半導体領域を選択的に形成する工程では、前記コンタクトトレンチの側壁および底面にイオン注入することを特徴とする。
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第4半導体領域を選択的に形成する工程は、前記第6工程よりも前に行う第10工程と、前記第6工程よりも後に行う第11工程と、を含む。前記第10工程では、前記第3半導体領域の下部の前記第2半導体領域に、前記第4半導体領域を形成する。前記第11工程では、前記半導体基板の第1主面に対して斜めの方向から前記コンタクトトレンチの側壁にイオン注入して、前記第4半導体領域の第2導電型不純物濃度を、前記コンタクトトレンチの側壁から底面に露出する第3部分で、前記第3部分を除く第4部分よりも高くする。そして、前記第6工程では、前記半導体基板の第1主面から前記第3半導体領域を貫通して前記第4半導体領域に達する前記コンタクトトレンチを形成することを特徴とする。
上述した発明によれば、コンタクトトレンチの側壁で第3半導体領域と第1電極とが電気的に接続されることで、単位セルを微細化したとしても、第1電極と半導体基板とのコンタクト面積がコンタクトトレンチの側壁の面積分だけ広くなり、第1電極と半導体基板ととのコンタクトを安定して得ることができる。これにより、単位セルごとのオン抵抗のばらつきを小さくすることができるため、単位セルの微細化に伴って得られるはずの低オン抵抗を実現することができる。
また、上述した発明によれば、第3半導体領域の第1導電型不純物濃度がコンタクトトレンチの側壁に露出する部分(コンタクト部)で深さ方向に一様に高くなっており、この第3半導体領域のコンタクト部に第1電極が接触する。これにより、第1電極と第3半導体領域とのコンタクト抵抗を低減することができ、オン時に第1電極から第3半導体領域を通ってチャネル(n型の反転層)へ供給される電子の供給量を増やすことができるため、オン抵抗を低減させることができる。
本発明にかかる半導体装置および半導体装置の製造方法によれば、オン抵抗を低減させることができるという効果を奏する。
実施の形態にかかる半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。 図1の活性領域の断面構造を示す断面図である。 図1の活性領域の断面構造を示す断面図である。 図1の活性領域の断面構造の別の一例を示す断面図である。 実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。 実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。 実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。 実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。 実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。 実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。 実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。 実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。 実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。 実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。 実施例の電圧・電流特性を模式的に示す特性図である。 従来例の電圧・電流特性を模式的に示す特性図である。 実施例の逆回復耐量による遮断電流の電流量を示す特性図である。 従来の半導体装置の構造を示す断面図である。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる半導体装置および半導体装置の製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および-は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(実施の形態)
実施の形態にかかる半導体装置は、シリコン(Si)よりもバンドギャップが広い半導体(ワイドバンドギャップ半導体)を半導体材料として用いて構成される。ここでは、実施の形態にかかる半導体装置を構成するワイドバンドギャップ半導体材料として炭化珪素(SiC)を用いた場合を例に、実施の形態にかかる半導体装置の構造について説明する。図1は、実施の形態にかかる半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。
図1に示す実施の形態にかかる半導体装置20は、炭化珪素からなる同一の半導体基板(半導体チップ)10の活性領域1に、メイン半導体素子11と、当該メイン半導体素子11を保護・制御するための1つ以上の回路部と、を有する。活性領域1は、半導体基板10の略中央(チップ中央)に設けられている。メイン半導体素子11は、半導体装置20の主動作を行う縦型MOSFETであり、後述するソースパッド21aにより互いに並列接続された複数の単位セル(素子の機能単位)で構成される。
メイン半導体素子11は、活性領域1の有効領域(以下、メイン有効領域とする)1aに配置されている。メイン有効領域1aは、メイン半導体素子11のオン時に、半導体基板10の裏面からおもて面に向かう方向(深さ方向Zに対して反対方向)にメイン半導体素子11の主電流(ドリフト電流)が流れる領域である。メイン有効領域1aは、例えば略矩形状の平面形状を有し、活性領域1の大半の表面積を占める。略矩形状の平面形状のメイン有効領域1aの3辺が後述するエッジ終端領域2に隣接する。
メイン半導体素子11を保護・制御するための回路部は、例えば、電流センス部12、温度センス部13、過電圧保護部(不図示)および演算回路部(不図示)等の高機能部であり、活性領域1のメイン無効領域1bに配置される。メイン無効領域1bは、メイン半導体素子11の単位セルが配置されていない領域であり、メイン半導体素子11として機能しない。メイン無効領域1bは例えば略矩形状の平面形状を有し、略矩形状の平面形状のメイン有効領域1aの残りの1辺とエッジ終端領域2との間に配置される。
エッジ終端領域2は、活性領域1と半導体基板10の端部(チップ端部)との間の領域であり、活性領域1に隣接して、活性領域1の周囲を囲み、半導体基板10のおもて面側の電界を緩和して耐圧を保持する機能を有する。エッジ終端領域2には、例えばフィールドリミッティングリング(FLR:Field Limiting Ring)や接合終端(JTE:Junction Termination Extension)構造等の一般的な耐圧構造(不図示)が配置される。耐圧とは、半導体装置が誤動作や破壊を起こさない限界の電圧である。
メイン半導体素子11のソースパッド(電極パッド)21aは、メイン有効領域1aにおいて半導体基板10のおもて面上に配置される。メイン半導体素子11のソースパッド21aは、当該ソースパッド21a以外の電極パッドと離れて配置されている。メイン半導体素子11は、他の回路部に比べて電流能力が大きい。このため、メイン半導体素子11のソースパッド21aは、メイン有効領域1aの平面形状と同じ略矩形状の平面形状を有し、メイン有効領域1aのほぼ全面を覆う。
ソースパッド21a以外の電極パッドは、メイン無効領域1bにおいて半導体基板10のおもて面上に互いに離れて配置される。ソースパッド21a以外の電極パッドとは、メイン半導体素子11のゲートパッド21b、電流センス部12の電極パッド(OCパッド)22、温度センス部13の電極パッド(アノードパッドおよびカソードパッド)23a,23b、過電圧保護部の電極パッド(以下、OVパッドとする:不図示)、および演算回路部の電極パッド(不図示)等である。
ソースパッド21a以外の電極パッドは、例えば略矩形状の平面形状を有し、後述する端子ピン46b~46d(図2,3参照)やワイヤー(不図示)の接合に必要な表面積を有する。図1には、ソースパッド21a以外の電極パッドがメイン無効領域1bとエッジ終端領域2との境界に沿って一列に配置された場合を示す。また、図1には、ソースパッド21a、ゲートパッド21b、OCパッド22、アノードパッド23aおよびカソードパッド23bを、それぞれS、G、OC、AおよびKと付した矩形状に図示する。
電流センス部12は、メイン半導体素子11に並列接続され、メイン半導体素子11と同じ条件で動作して、メイン半導体素子11に流れる過電流(OC:Over Current)を検出する機能を有する。電流センス部12は、メイン半導体素子11と離れて配置されている。電流センス部12は、メイン半導体素子11と同一構成の単位セルを、メイン半導体素子11の単位セルの個数(例えば1千個以上程度)よりも少ない個数(例えば10個程度)で備えた縦型MOSFETであり、メイン半導体素子11よりも表面積が小さい。
電流センス部12の単位セルは、半導体基板10の、OCパッド22で覆われた領域の一部の領域(以下、センス有効領域とする)12aに配置されている。電流センス部12の単位セルは、半導体基板10のおもて面に平行な方向に互いに隣接して配置される。電流センス部12の単位セルが互いに隣接する方向は、例えば、メイン半導体素子11の単位セルが互いに隣接する方向と同じである。電流センス部12の単位セルは、OCパッド22により互いに並列接続されている。
また、半導体基板10の、OCパッド22で覆われた領域のうち、センス有効領域12aを除く領域は、電流センス部12として機能しないセンス無効領域12bである。センス無効領域12bには、電流センス部12の単位セルが配置されていない。メイン無効領域1bの、センス有効領域12aを除く領域のほぼ全域において、半導体基板10のおもて面の表面領域に、センス有効領域12aから後述するp型ベース領域34b(図2参照)が延在している。
温度センス部13は、ダイオードの温度特性を利用してメイン半導体素子11の温度を検出する機能を有する。温度センス部13は、アノードパッド23aおよびカソードパッド23bの直下に配置されている。温度センス部13は、例えば、半導体基板10のおもて面の層間絶縁膜40上に設けられたポリシリコン(poly-Si)層で構成されたポリシリコンダイオードであってもよいし、半導体基板10の内部に形成されたp型領域とn型領域とのpn接合で形成された拡散ダイオードであってもよい。
過電圧保護部(不図示)は、例えばサージ等の過電圧(OV:Over Voltage)からメイン半導体素子11を保護するダイオードである。電流センス部12、温度センス部13および過電圧保護部は、演算回路部により制御される。演算回路部は、電流センス部12、温度センス部13および過電圧保護部の出力信号に基づいてメイン半導体素子11を制御する。演算回路部は、CMOS(Complementary MOS:相補型MOS)回路など複数の半導体素子で構成される。
次に、実施の形態にかかる半導体装置20の断面構造について説明する。図2,3は、図1の活性領域の断面構造を示す断面図である。図4は、図1の活性領域の断面構造の別の一例を示す断面図である。図2には、メイン有効領域1aおよび電流センス部12(センス有効領域12aおよびセンス無効領域12b)の断面構造(図1の切断線X1-X2-X3-X4における断面構造)を示す。
図3には、メイン有効領域1a、センス有効領域12aおよび温度センス部13の断面構造(図1の切断線X1-X2、切断線X3-X4および切断線Y1-Y2における断面構造)を示す。図2,3のメイン有効領域1aおよびセンス有効領域12aにはそれぞれ一部の単位セルを示す。図4には、図1のメイン有効領域1aの断面構造(図1の切断線X1-X2における断面構造)の別の一例を示す。
メイン半導体素子11は、メイン有効領域1aにおける半導体基板10のおもて面にコンタクトトレンチ50aを有し、当該コンタクトトレンチ50aの内壁においてn+型ソース領域(第3半導体領域)35aおよびp++型コンタクト領域(第4半導体領域)36aにソース電極(第1電極)を電気的に接続したトレンチゲート構造の縦型MOSFETである。半導体基板10は、炭化珪素からなるn+型出発基板71のおもて面上にn-型ドリフト領域(第1半導体領域)32およびp型ベース領域(第2半導体領域)34aとなる各炭化珪素層72,73を順にエピタキシャル成長させてなる。
+型出発基板71は、メイン半導体素子11および電流センス部12のn+型ドレイン領域31となる。半導体基板10の、p型炭化珪素層73側の主面をおもて面とし、n+型出発基板71側の主面(n+型出発基板71の裏面)を裏面とする。ここでは、メイン半導体素子11、および、メイン半導体素子11を保護・制御する回路部がピン状の配線部材(後述する端子ピン46a~46d)を用いた同一構成の配線構造を有する場合を例に説明するが、ピン状の配線部材に代えて、ワイヤーを用いた配線構造としてもよい。
p型ベース領域34a、n+型ソース領域35a、p++型コンタクト領域36a、ゲートトレンチ37a、ゲート絶縁膜38aおよびゲート電極39aでMOSゲートが構成される。ゲートトレンチ37aは、半導体基板10のおもて面(p型炭化珪素層73の表面)からp型炭化珪素層73を貫通してn-型炭化珪素層72に達する。ゲートトレンチ37aの内部に、ゲート絶縁膜38aを介してゲート電極39aが設けられている。ゲート電極39aは、ゲートパッド21b(図1参照)に電気的に接続されている。
ゲートトレンチ37aは、例えば、半導体基板10のおもて面に平行な第1方向Xに延在するストライプ状に配置されてもよいし、半導体基板10のおもて面側から見てマトリクス状に配置されてもよい。ゲートトレンチ37aがストライプ状である場合、互いに隣り合うゲートトレンチ37a間に、例えば、すべての各部を第1方向Xに延在する直線状に配置してもよいし、p++型コンタクト領域36a、コンタクトトレンチ50aおよび後述するコンタクト部51a,52aを第1方向Xに点在させてもよい。
互いに隣り合うゲートトレンチ37a間において、半導体基板10のおもて面の表面領域に、p型ベース領域34a、n+型ソース領域35aおよびp++型コンタクト領域36aがそれぞれ選択的に設けられている。これに加えて、互いに隣り合うゲートトレンチ37a間の例えば略中央に、半導体基板10のおもて面から所定深さに達するコンタクトトレンチ50aが設けられている。コンタクトトレンチ50aは、p++型コンタクト領域36aあるいはp型ベース領域34a内で終端していればよく、その深さは種々変更可能である。
+型ソース領域35aは、半導体基板10のおもて面とp型ベース領域34aとの間に、p型ベース領域34aに接して設けられている。n+型ソース領域35aは、半導体基板10のおもて面に露出されている。半導体基板10のおもて面に露出とは、n+型ソース領域35aが半導体基板10のおもて面(深さ方向Zと直交する方向(第1,2方向X,Y)に平行な平坦面)で後述するTi膜41aに接する(図2,3)、または半導体基板10のおもて面で後述する層間絶縁膜40に接する(図4)ことである。
+型ソース領域35aは、互いに隣り合うゲートトレンチ37aとコンタクトトレンチ50aとの間に設けられ、これらゲートトレンチ37aおよびコンタクトトレンチ50aの対向する側壁間にわたって設けられている。このため、n+型ソース領域35aは、ゲートトレンチ37aの側壁においてゲート絶縁膜38aに接し、かつ当該ゲートトレンチ37aの側壁から自身を挟んで隣り合うコンタクトトレンチ50aの側壁に達し、当該コンタクトトレンチ50aの側壁においてTi膜41aに接する。
+型ソース領域35aは、半導体基板10のおもて面に対して略直交する方向からn型不純物をイオン注入することにより形成された拡散領域である。n+型ソース領域35aは、例えば、半導体基板10のおもて面に近い深さ位置(半導体基板10のおもて面から浅い位置)にn型不純物濃度のピーク(最大値)を有し、当該ピークの深さ位置から深さ方向Zに半導体基板10のおもて面から離れるにしたがってn型不純物濃度が低くなるn型不純物濃度分布を有する。
+型ソース領域35aの、コンタクトトレンチ50aの側壁に露出する部分(以下、コンタクト部(第1部分)とする)51aは、Ti膜41aとのオーミック接触が形成される部分であり、n+型ソース領域35aの他の部分(コンタクト部51aを除く部分、第2部分)よりもn型不純物濃度が高くなっている。これによって、ソース電極とn+型ソース領域35aとのコンタクト抵抗(接触抵抗)が低減され、チャネル(n型の反転層)への電子の供給量を増やすことができるため、オン抵抗を低減させることができる。コンタクトトレンチ50aの側壁に露出とは、コンタクト部51aがコンタクトトレンチ50aの側壁で後述するTi膜41aに接することである。
+型ソース領域35aのコンタクト部51aは、コンタクトトレンチ50aの側壁の表面領域に、後述するn型不純物の斜めイオン注入96,97(図9,10参照)によりコンタクトトレンチ50aの側壁に沿って形成された拡散領域である。n+型ソース領域35aのコンタクト部51aのn型不純物濃度は深さ方向Zに一様である。これによって、ソース電極とn+型ソース領域35aとのコンタクトにおいて安定したオーミック性が得られる。不純物濃度が一様とは、プロセスのばらつきにより許容される誤差を含む範囲で同じ不純物濃度であることを意味する。
また、従来の半導体装置220では、ターンオフ時にソース・ドレイン間に過電圧が印加されると、p型ベース領域234とn-型ドリフト領域232とのpn接合からn-型ドリフト領域232内部だけでなく、p型ベース領域234内部にも空乏層が広がる。p型ベース領域234内部に空乏層が広がることで、n-型ドリフト領域232からp型ベース領域234へ向かう方向に電界が上昇し、この電界によってp型ベース領域234内部の正孔がソース電極側に移動して吐き出される。p型ベース領域234内部の正孔がソース電極に吐き出されることで生じる電圧降下によって寄生BJTが誤動作する。
一方、本実施の形態においては、上述したようにn+型ソース領域35aのコンタクト部51aのn型不純物濃度を高くすることで、ソース電極とn+型ソース領域35aとのコンタクト抵抗が低減されている。このため、メイン半導体素子11のターンオフ時にp型ベース領域34a内部の正孔がソース電極に吐き出されることで生じる電圧降下を小さくすることができ、寄生BJTが誤動作しない。また、短絡時にもターンオフ時と同様に、ターンオフ時の数倍以上の電流が流れ、それに伴う電圧が印加される。このため、短絡時の寄生BJTの誤動作もなくすことができる。
また、n+型ソース領域35aのコンタクト部51aは、コンタクトトレンチ50aの側壁からの距離が近い位置にn型不純物濃度のピーク(最大値)を有し、当該ピークの位置からコンタクトトレンチ50aの側壁と直交する方向(ここでは、半導体基板10のおもて面に平行で第1方向Xと直交する第2方向Y)にコンタクトトレンチ50aの側壁から離れるにしたがってn型不純物濃度が低くなっている。これによって、ソース電極とn+型ソース領域35aとのコンタクト抵抗を低減することができるので、オン抵抗を低減することができる。さらに、上述したように寄生BJTの誤動作をなくすことができるため、過度時(スイッチング時、短絡時)の破壊耐量を改善することができる。
また、n+型ソース領域35aの、コンタクトトレンチ50aの側壁から離れた部分(コンタクト部51aを除く部分)には、斜めイオン注入96,97によるn型不純物は導入されないため、n+型ソース領域35aの形成時のn型不純物濃度分布が維持される。このため、n+型ソース領域35aの、コンタクト部51aを除く部分のn型不純物濃度が深さ方向Zに半導体基板10のおもて面から離れるにしたがって低くなっている。これによって、斜めイオン注入96,97による悪影響がゲート閾値電圧に及ばないため、ゲート閾値電圧のばらつきを抑えることができる。これにより、ゲート閾値電圧に依存する静特性(漏れ電流、耐圧)および動特性(スイッチング損失、逆バイアス安全動作領域(RBSOA:Reverse Bias Safe Operating Area)、短絡耐量)を安定して得ることができる。
++型コンタクト領域36aは、半導体基板10のおもて面からn+型ソース領域35aよりも深い位置において、コンタクトトレンチ50aの内壁(底面および側壁)とp型ベース領域34aとの間に設けられている。p++型コンタクト領域36aは、ゲートトレンチ37aから離れた位置に、p型ベース領域34aおよびn+型ソース領域35aに接して設けられている。p++型コンタクト領域36aは、コンタクトトレンチ50aの内壁(底面および側壁)に沿って延在する。
++型コンタクト領域36aは、半導体基板10のおもて面からn+型ソース領域35aよりも深い位置において、コンタクトトレンチ50aの内壁を囲み、コンタクトトレンチ50aの内壁においてTi膜41aに接する。p++型コンタクト領域36aは、例えば、n+型ソース領域35aに近い深さ位置にn型不純物濃度のピーク(最大値)を有し、当該ピークの深さ位置から深さ方向Zにn+型ソース領域35aから離れるにしたがってp型不純物濃度が低くなるp型不純物濃度分布を有する。
++型コンタクト領域36aは、コンタクトトレンチ50aよりも大きい寸法で、コンタクトトレンチ50aと略同じ平面形状を有する。例えば、コンタクトトレンチ50aが第1方向Xに点在する場合、p++型コンタクト領域36aは各コンタクトトレンチ50aの周囲をそれぞれ囲む。コンタクトトレンチ50aが第1方向Xに直線状に延在する場合、p++型コンタクト領域36aは、コンタクトトレンチ50aよりも広い幅で、コンタクトトレンチ50aに沿って第1方向Xに直線状に延在する。
++型コンタクト領域36aの、コンタクトトレンチ50aの側壁に露出する部分(コンタクト部(第3部分))52aは、Ti膜41aとのオーミック接触が形成される部分であり、p++型コンタクト領域36aの他の部分(コンタクト部52aを除く部分、第4部分)よりもp型不純物濃度が高くなっていてもよい。これによって、ソース電極とp++型コンタクト領域36aとのコンタクト抵抗が低減され、ターンオフ時にp型ベース領域34aを通ってソースパッド21aへ引き抜かれる正孔電流(遮断電流)を増やすことができる。コンタクトトレンチ50aの側壁および底面に露出とは、コンタクト部52aがコンタクトトレンチ50aの側壁および底面で後述するTi膜41aに接することである。
++型コンタクト領域36aのコンタクト部52aは、後述するようにコンタクトトレンチ50aの側壁の表面領域に、後述するp型不純物の斜めイオン注入98,99(図11,12参照)によりコンタクトトレンチ50aの側壁に沿って形成された拡散領域である。p++型コンタクト領域36aのコンタクト部52aは、コンタクトトレンチ50aの内壁に沿ってコンタクトトレンチ50aの底面の表面領域に延在し、コンタクトトレンチ50aの底面に露出されていてもよい。p++型コンタクト領域36aのコンタクト部52aのp型不純物濃度は深さ方向Zに一様である。これによって、ソース電極とp++型コンタクト領域36aとのコンタクトにおいて安定したオーミック性が得られる。
また、p++型コンタクト領域36aのコンタクト部52aは、コンタクトトレンチ50aの内壁(底面および側壁)からの距離が近い位置にp型不純物濃度のピーク(最大値)を有し、当該ピークの位置からコンタクトトレンチ50aの内壁と直交する方向(深さ方向Zおよび第2方向Y)にコンタクトトレンチ50aの内壁から離れるにしたがってp型不純物濃度が低くなっている。これによって、ソース電極とp++型コンタクト領域36aとのコンタクト抵抗を低減することができるので、オン抵抗を低減することができる。さらに、ターンオフ時にp型ベース領域34aからソース電極へ向かって流れる変位電流の電流経路を短くすることができるため、過度時に寄生BJTの誤動作を抑制することができる。
また、p++型コンタクト領域36aの、コンタクトトレンチ50aの側壁から離れた部分(コンタクト部52aを除く部分)には、斜めイオン注入98,99によるp型不純物は導入されないため、p++型コンタクト領域36aの形成時のp型不純物濃度分布が維持される。このため、p++型コンタクト領域36aの、コンタクト部52aを除く部分のp型不純物濃度が深さ方向Zに半導体基板10のおもて面から離れるにしたがって低くなっている。これによって、斜めイオン注入98,99による悪影響がゲート閾値電圧に及ばないため、ゲート閾値電圧のばらつきを抑えることができる。ゲート閾値電圧に依存する静特性および動特性を安定して得ることができる。
半導体基板10の内部において、p型ベース領域34aとn+型ドレイン領域31(n+型出発基板71)との間に、p型ベース領域34aおよびn+型ドレイン領域31に接して、n-型ドリフト領域32が設けられている。p型ベース領域34aとn-型ドリフト領域32との間に、これらの領域に接して、n型電流拡散領域33aが設けられていてもよい。n型電流拡散領域33aは、キャリアの広がり抵抗を低減させる、いわゆる電流拡散層(Current Spreading Layer:CSL)である。
また、半導体基板10の内部において、p型ベース領域34aよりもn+型ドレイン領域31に近い位置に、ゲートトレンチ37aの底面にかかる電界を緩和させる第1,2p+型領域61a,62aが設けられていてもよい。第1p+型領域61aは、p型ベース領域34aと離れて設けられ、深さ方向Zにゲートトレンチ37aの底面に対向する。第2p+型領域62aは、互いに隣り合うゲートトレンチ37a間に、第1p+型領域61aおよびゲートトレンチ37aと離れて設けられ、かつp型ベース領域34aに接する。
互いに隣り合うゲートトレンチ37aの間に配置され各部でメイン半導体素子11の1つの単位セルが構成される。メイン半導体素子11の単位セルのピッチ(互いに隣り合うゲートトレンチ37aの中心間の距離:セルピッチ)w1を狭くすることで、単位セルが微細化され、メイン半導体素子11を微細化することができる。メイン半導体素子11の単位セルの微細化に伴い、セルピッチw1’を狭くしたことで第2p+型領域62aを配置することができない場合、第2p+型領域62aは設けられていなくてもよい(図4)。セルピッチw1,w1’は例えば2μm以下程度に微細化可能である。
層間絶縁膜40は、半導体基板10のおもて面のほぼ全面に設けられ、ゲート電極39aを覆う。メイン有効領域1aにおいて深さ方向Zに層間絶縁膜40を貫通する第1コンタクトホール40aに少なくともコンタクトトレンチ50aが露出され(図4)、コンタクトトレンチ50aの内壁にn+型ソース領域35aのコンタクト部51aおよびp++型コンタクト領域36aのコンタクト部52aが露出される。メイン半導体素子11のセルピッチw1が比較的広い場合、さらに、第1コンタクトホール40aにおいて、n+型ソース領域35aの半導体基板10のおもて面に露出する部分と、コンタクトトレンチ50aの内壁から半導体基板10のおもて面上に延在したTi膜41aと、が接していてもよい(図2,3)。
チタン(Ti)膜41aは、メイン有効領域1aにおける層間絶縁膜40の表面およびコンタクトトレンチ50aの内壁の全面に、層間絶縁膜40の表面およびコンタクトトレンチ50aの内壁に沿って設けられている。メイン半導体素子11のセルピッチw1が比較的広い場合、さらに、Ti膜41aは、第1コンタクトホール40aの内部において、コンタクトトレンチ50aの内壁から半導体基板10のおもて面に延在し、半導体基板10のおもて面から層間絶縁膜40の表面に延在してもよい。
Ti膜41aは、コンタクトトレンチ50aの内壁において半導体基板10に接触する部分でシリサイド化(TiSi)され、半導体基板10にオーミック接触している。具体的には、Ti膜41aは、コンタクトトレンチ50aの側壁に露出するn+型ソース領域35aのコンタクト部51aおよびp++型コンタクト領域36aのコンタクト部52aにオーミック接触して、n+型ソース領域35aおよびp++型コンタクト領域36aに電気的に接続されている。
第1コンタクトホール40aに半導体基板10のおもて面が露出される場合、Ti膜41aは、第1コンタクトホール40aの内部における半導体基板10のおもて面においてn+型ソース領域35aに接してもよい。窒化チタン(TiN)膜42aは、Ti膜41aの表面に設けられている。Ti膜41aおよびTiN膜42aは、これらの金属膜を挟んで対向する各部間での相互反応を防止するバリアメタル43aである。また、Ti膜41aおよびTiN膜42aは、後述するW膜44aの密着性を向上させる機能を有する。
コンタクトトレンチ50aの内壁とTi膜41aとの間に、ニッケルシリサイド(NiSi、Ni2Siまたは熱的に安定なNiSi2:以下、まとめてNiSiとする、不図示)膜が設けられていてもよい。この場合、Ti膜41aと半導体基板10にオーミック接触に代えて、コンタクトトレンチ50aの内壁とTi膜41aとの間のNiSi膜がコンタクトトレンチ50aの内壁において半導体基板10にオーミック接触し、n+型ソース領域35aおよびp++型コンタクト領域36aに電気的に接続される。
少なくともコンタクトトレンチ50aの内部において、TiN膜42aの表面に、タングステン(W)膜44aが設けられている。W膜44aは、コンタクトトレンチ50aの内部において、TiN膜42aの内側に完全に埋め込まれている。W膜44aは、TiN膜42aの表面全面に設けられていてもよい。ソースパッド21aは、TiN膜42aおよびW膜44aの表面全面(W膜44aがTiN膜42aの表面全面に設けられている場合には、W膜44aの表面全面)に設けられている。
ソースパッド21aは、バリアメタル43aおよびW膜44aを介してn+型ソース領域35aおよびp++型コンタクト領域36aに電気的に接続されている。ソースパッド21aは、例えば、5μm程度の厚さのアルミニウム(Al)膜、アルミニウム-シリコン(Al-Si)膜またはアルミニウム-シリコン-銅(Al-Si-Cu)膜であってもよい。ソースパッド21a、W膜44aおよびバリアメタル43aはメイン半導体素子11のソース電極として機能する。
ソースパッド21aの上には、めっき膜45aおよびはんだ層(不図示)を介して、端子ピン46aの一方の端部が接合されている。端子ピン46aの他方の端部は、半導体基板10のおもて面に対向するように配置された金属バー(不図示)に接合されている。また、端子ピン46aの他方の端部は、半導体基板10を実装したケース(不図示)の外側に露出し、外部装置(不図示)と電気的に接続される。端子ピン46aは、半導体基板10のおもて面に対して略垂直に立てた状態でめっき膜45aにはんだ接合されている。
端子ピン46aは、所定直径を有する丸棒状(円柱状)の配線部材であり、外部の接地電位(最低電位)に接続される。端子ピン46aは、ソースパッド21aの電位を外部に取り出す外部接続用端子である。第1,2保護膜47a,48aは、例えばポリイミド膜である。第1保護膜47aは、ソースパッド21aの表面のめっき膜45a以外の部分を覆う。第2保護膜48aは、めっき膜45aと第1保護膜47aとの境界を覆う。
ドレイン電極(第2電極)49は、半導体基板10の裏面(n+型出発基板71の裏面)全面にオーミック接触している。ドレイン電極49上には、例えば、Ti膜、ニッケル(Ni)膜および金(Au)膜を順に積層した積層構造でドレインパッド(電極パッド:不図示)が設けられている。ドレインパッドは、絶縁基板の例えば銅箔等で形成された金属ベース板(不図示)にはんだ接合され、当該金属ベース板を介して冷却フィン(不図示)のベース部に少なくとも一部が接触している。
このように半導体基板10のおもて面のソースパッド21aに端子ピン46aを接合し、かつ裏面のドレインパッドを絶縁基板の金属ベース板に接合することで、半導体基板10は両主面それぞれに冷却構造を備えた両面冷却構造となっている。半導体基板10で発生した熱は、半導体基板10の裏面のドレインパッドに接合された金属ベース板を介して冷却フィンのフィン部から放熱され、かつ半導体基板10のおもて面の端子ピン46aを接合した金属バーから放熱される。
電流センス部12は、メイン無効領域1bのセンス有効領域12aに、メイン半導体素子11の対応する各部と同じ構成のp型ベース領域34b、n+型ソース領域35b、p++型コンタクト領域36b、ゲートトレンチ37b、ゲート絶縁膜38b、ゲート電極39bおよび層間絶縁膜40を備える。電流センス部12は、メイン半導体素子11と同様に、コンタクトトレンチ50bの内壁においてn+型ソース領域35bおよびp++型コンタクト領域36bにソース電極を電気的に接続した構造としてもよい。
p型ベース領域34bは、半導体基板10のおもて面の表面領域のn-型領域32aにより、メイン半導体素子11のp型ベース領域34aと分離されている。p型ベース領域34bは、例えばセンス有効領域12aからメイン無効領域1bのほぼ全域に延在している。電流センス部12は、メイン半導体素子11と同様に、n型電流拡散領域33bおよび第1,2p+型領域61b,62bを有していてもよい。電流センス部12の単位セルの微細化に伴い、第2p+型領域62bは設けられていなくてもよい。
ゲート電極39bは、ゲートパッド21b(図1参照)に電気的に接続されている。ゲート電極39bは、層間絶縁膜40に覆われている。センス有効領域12aにおいて深さ方向Zに層間絶縁膜40を貫通する第2コンタクトホール40bが設けられている。メイン有効領域1aの第1コンタクトホール40aの内部と同様に、第2コンタクトホール40bに少なくともコンタクトトレンチ50bが露出され、コンタクトトレンチ50bの内壁にn+型ソース領域35bおよびp++型コンタクト領域36bが露出される。
+型ソース領域35bのn型不純物濃度は、メイン半導体素子11と同様に、コンタクトトレンチ50bの側壁に露出する部分(コンタクト部)51bで相対的に高くなっている。p++型コンタクト領域36bのp型不純物濃度は、メイン半導体素子11と同様に、コンタクトトレンチ50bの側壁に露出する部分(コンタクト部)52bで相対的に高くてもよい。n+型ソース領域35bおよびp++型コンタクト領域36bと、これらのコンタクト部51b,52bとはメイン半導体素子11の対応する各部と同時に形成される。
センス有効領域12aに、メイン半導体素子11と同様に、バリアメタル43bおよびW膜44bが設けられている。符号41b,42bは、それぞれバリアメタル43bを構成するTi膜およびTiN膜である。Ti膜41bは、メイン半導体素子11のTi膜41aと同様に、コンタクトトレンチ50aの内壁においてn+型ソース領域35bおよびp++型コンタクト領域36bの各コンタクト部51b,52bにオーミック接触して、n+型ソース領域35bおよびp++型コンタクト領域36bに電気的に接続されている。
OCパッド22は、バリアメタル43bおよびW膜44bの表面全面に、ソースパッド21aと離れて設けられている。OCパッド22は、W膜44bおよびバリアメタル43bを介してn+型ソース領域35bおよびp++型コンタクト領域36bに電気的に接続されている。OCパッド22は、例えば、ソースパッド21aと同じ材料で、ソースパッド21aと同時に形成される。OCパッド22、W膜44bおよびバリアメタル43bは、電流センス部12のソース電極として機能する。
OCパッド22上に、ソースパッド21a上の配線構造と同じ配線構造で、端子ピン46bが接合される。端子ピン46bは、端子ピン46aよりも小さい直径を有する丸棒状(円柱状)の配線部材であり、外部の抵抗体(不図示)を介してOCパッド22を接地電位に接続する。端子ピン46bは、OCパッド22の電位を外部に取り出す外部接続用端子である。符号45b,47b,48bは、それぞれOCパッド22上の配線構造を構成するめっき膜および第1,2保護膜であり、ソースパッド21a上の配線構造と同じように配置される。
メイン有効領域1aのp型ベース領域34aおよびセンス有効領域12aのp型ベース領域34bは、半導体基板10の表面領域の図示省略するn-型領域により、素子分離のためのp型領域(不図示)と分離されている。素子分離のためのp型領域とは、エッジ終端領域2に活性領域1の周囲を囲む略矩形状に設けられ、活性領域1とエッジ終端領域2とを電気的に分離する寄生ダイオードをn-型ドリフト領域32とのpn接合で形成するフローティングのp型領域である。
温度センス部13は、例えば、p型アノード領域であるp型ポリシリコン層81とn型カソード領域であるn型ポリシリコン層82とのpn接合で形成されたポリシリコンダイオードである(図3)。p型ポリシリコン層81およびn型ポリシリコン層82は、メイン無効領域1bにおいて、層間絶縁膜40上に設けられている。温度センス部13は、層間絶縁膜40により、半導体基板10、メイン半導体素子11および電流センス部12と電気的に絶縁されている。
アノードパッド23aおよびカソードパッド23bは、それぞれ、これらを覆う層間絶縁膜83の第3,4コンタクトホール83a,83bにおいてp型ポリシリコン層81およびn型ポリシリコン層82に接する。アノードパッド23aおよびカソードパッド23bは、例えば、ソースパッド21aと同じ材料で、ソースパッド21aと同時に形成される。アノードパッド23a上およびカソードパッド23b上には、それぞれ、ソースパッド21a上の配線構造と同じ配線構造で端子ピン46c,46dが接合されている。
端子ピン46c,46dは、それぞれアノードパッド23aおよびカソードパッド23bの電位を外部に取り出す外部接続用端子である。端子ピン46c,46dは、温度センス部13の電流能力に応じた所定の直径を有する丸棒状の配線部材である。符号45c,45dは、それぞれアノードパッド23a上の配線構造およびカソードパッド23b上の配線構造を構成するめっき膜である。符号47c,48cは、それぞれ温度センス部13上の配線構造を構成する第1,2保護膜である。
また、メイン無効領域1bには、メイン半導体素子11のゲートパッド21bを配置したゲートパッド部14が設けられている(図1参照)。ゲートパッド21bは、メイン無効領域1bにおける層間絶縁膜40上に、他の電極パッドと離れて設けられている。ゲートパッド21bは、例えば、ソースパッド21aと同じ材料で、ソースパッド21aと同時に形成される。ゲートパッド21b上には、ソースパッド21a上の配線構造と同じ配線構造で、端子ピン(不図示)が接合されている。
実施の形態にかかる半導体装置20の動作について説明する。メイン半導体素子11のソース電極(ソースパッド21a)に対して正の電圧(順方向電圧)がドレイン電極49に印加された状態で、メイン半導体素子11のゲート電極39aにゲート閾値電圧以上の電圧が印加されると、メイン半導体素子11のp型ベース領域34aの、ゲートトレンチ37aに露出する部分にチャネル(n型の反転層)が形成される。それによって、メイン半導体素子11のn+型ドレイン領域31からn+型ソース領域35aへ向かって電流が流れ、メイン半導体素子11がオンする。
メイン半導体素子11と同じ条件で、電流センス部12のソース電極(OCパッド22)に対して正の電圧(順方向電圧)がドレイン電極49に印加された状態で、電流センス部12のゲート電極39bにゲート閾値電圧以上の電圧が印加されると、電流センス部12のp型ベース領域34bのゲートトレンチ37bに露出する部分にチャネル(n型の反転層)が形成される。それによって、電流センス部12のn+型ドレイン領域31からn+型ソース領域35bへ向かって電流(以下、センス電流とする)が流れ、電流センス部12がオンする。
メイン半導体素子11のオン時に、電流センス部12をオンさせた状態とする。電流センス部12にセンス電流が流れることで、電流センス部12のn+型ソース領域35bと接地点との間に接続された抵抗体(不図示)で電圧降下が生じる。メイン半導体素子11に流れる電流の大きさに応じて電流センス部12のセンス電流が大きくなるため、当該抵抗体での電圧降下も大きくなる。したがって、この抵抗体での電圧降下の大きさを監視することで、メイン半導体素子11での過電流を検知可能である。
一方、メイン半導体素子11は、ゲート電極39aにゲート閾値電圧未満の電圧が印加されたときに、p型ベース領域34aおよび第1,2p+型領域61a,62a(または、第2p+型領域62aが設けられていない場合にはp型ベース領域34aおよび第1p+型領域61a)と、n型電流拡散領域33aおよびn-型ドリフト領域32と、のpn接合が逆バイアスされることで、オフ状態を維持する。
そして、電流センス部12のゲート電極39bにもゲート閾値電圧未満の電圧が印加され、電流センス部12は、p型ベース領域34bおよび第1,2p+型領域61b,62b(または、第2p+型領域62bが設けられていない場合にはp型ベース領域34bおよび第1p+型領域61b)と、n型電流拡散領域33bおよびn-型ドリフト領域32と、のpn接合が逆バイアスされることで、オフ状態を維持する。
次に、実施の形態にかかる半導体装置20の製造方法について、図1~3に示す構造を例に説明する。図5~14は、実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。図5~14には、メイン半導体素子11のみを示すが、同一の半導体基板10に作製されるすべての半導体素子(図1~3を参照)の各部はメイン半導体素子11の各部と同じ不純物濃度および深さの各部と同時に形成される。
まず、図5に示すように、炭化珪素からなるn+型出発基板(半導体ウエハ)71として、例えば窒素(N)ドープの炭化珪素単結晶基板を用意する。次に、n+型出発基板71のおもて面に、n+型出発基板71よりも低濃度に窒素がドープされたn-型炭化珪素層72をエピタキシャル成長させる(第1工程)。メイン半導体素子11が耐圧3300Vクラスである場合、n-型炭化珪素層72の厚さt1は、例えば30μm程度であってもよい。
次に、図6に示すように、フォトリソグラフィおよび例えばAl等のp型不純物のイオン注入により、メイン有効領域1aにおいてn-型炭化珪素層72の表面領域に、第1p+型領域61aおよびp+型領域91をそれぞれ選択的に形成する。第1p+型領域61aおよびp+型領域91は、例えば、後述するゲートトレンチ37aが並ぶ第2方向Y(横方向:図2,3参照)に交互に繰り返し配置される。
次に、フォトリソグラフィおよび例えば窒素等のn型不純物のイオン注入により、メイン有効領域1aの全域にわたってn-型炭化珪素層72の表面領域にn型領域92を形成する。n型領域92は、第1p+型領域61aとp+型領域91との間に、これらp+型領域61a,91に接して形成される。n型領域92と、p+型領域61a,91と、の形成順序を入れ替えてもよい。
互いに隣り合うp+型領域61a,91間の距離d2は例えば1.5μm程度である。p+型領域61a,91は、例えば深さd1および不純物濃度がそれぞれ0.5μm程度および5.0×1018/cm3程度である。n型領域92の深さd3および不純物濃度は、例えば、それぞれ0.4μm程度および1.0×1017/cm3程度である。n-型炭化珪素層72の、イオン注入されていない部分がn-型ドリフト領域32となる。
次に、図7に示すように、n-型炭化珪素層72上にさらに例えば窒素等のn型不純物をドープしたn-型炭化珪素層を例えば0.5μm程度の厚さt2でエピタキシャル成長させて、n-型炭化珪素層72の厚さを厚くする。これによって、n-型炭化珪素層72の厚さが所定厚さになる。n-型炭化珪素層72の厚さを増した部分72aの不純物濃度は、例えば3×1015/cm3であってもよい。
次に、フォトリソグラフィおよびAl等のp型不純物のイオン注入により、n-型炭化珪素層72の厚さを増した部分72aに、p+型領域91に達するp+型領域93を選択的に形成する。次に、フォトリソグラフィおよび例えば窒素などのn型不純物のイオン注入により、n-型炭化珪素層72の厚さを増した部分72aに、n型領域92に達するn型領域94を選択的に形成する。
これによって、深さ方向Zに隣接するp+型領域91,93同士が連結されて第2p+型領域62aが形成される。深さ方向Zに隣接するn型領域92,94同士が連結されてn型電流拡散領域33aが形成される。p+型領域93およびn型領域94の不純物濃度等の条件は、例えばそれぞれp+型領域91およびn型領域92と同様である。p+型領域93とn型領域94との形成順序を入れ替えてもよい。
次に、図8に示すように、n-型炭化珪素層72上に、例えばAl等のp型不純物をドープしたp型炭化珪素層73をエピタキシャル成長させる(第2工程)。p型炭化珪素層73の厚さt3および不純物濃度は、例えば、それぞれ1.3μm程度および4.0×1017/cm3程度である。ここまでの工程により、n+型出発基板71上にn-型炭化珪素層72およびp型炭化珪素層73を順に積層した半導体基板10(半導体ウエハ)が作製される。
次に、フォトリソグラフィおよび例えばリン(P)等のn型不純物(イオン種)のイオン注入により、メイン有効領域1aにおいてp型炭化珪素層73の表面領域の例えば全面に、n+型ソース領域35aを形成する(第3工程)。次に、フォトリソグラフィおよび例えばアルミニウム等のp型不純物(イオン種)のイオン注入により、メイン有効領域1aにおいてp型炭化珪素層73の表面領域にp++型コンタクト領域36aを選択的に形成する(第10工程)。
+型ソース領域35aおよびp++型コンタクト領域36aを形成するためのイオン注入角度は、例えば半導体基板10のおもて面に対して垂直である。n+型ソース領域35aとp++型コンタクト領域36aとの形成順序を入れ替えてもよい。また、イオン注入に替えてエピタキシャル成長によりn+型ソース領域35aを形成してもよい。p++型コンタクト領域36aは、例えば、半導体基板10のおもて面からn+型ソース領域35aより深い位置を飛程としたイオン注入により、n+型ソース領域35aより深い位置に形成する。p++型コンタクト領域36aのソース側端部は、n+型ソース領域35aと接していなくともよい。
++型コンタクト領域36aは、例えば、後述するコンタクトトレンチ50aの形成後に、後述する斜めイオン注入98,99よりも高い加速エネルギーでコンタクトトレンチ50aの内壁に斜めイオン注入を行うことで形成されてもよい。この場合、第10工程は実施してもよいし、実施しなくともよい。また、後述する斜めイオン注入98,99は行わず、第10工程のみによりp++型コンタクト領域36aを形成してもよい。メイン有効領域1aのp型炭化珪素層73の、n+型ソース領域35aおよびp++型コンタクト領域36aと、n-型炭化珪素層72と、の間の部分がp型ベース領域34aとなる。
次に、図9に示すように、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、コンタクトトレンチ50aの形成領域に対応した部分を開口したマスク95をレジスト膜や酸化膜等で形成する。次に、マスク95を用いて例えばドライエッチングを行い、n+型ソース領域35aを貫通してp++型コンタクト領域36aに達し、p++型コンタクト領域36a内で終端するコンタクトトレンチ50aを形成する(第6工程)。
このコンタクトトレンチ50aを形成するためのドライエッチングに用いたガスの悪影響により、コンタクトトレンチ50aの内壁の表面領域の抵抗値が上昇するが、後述するように斜めイオン注入96~99によりコンタクトトレンチ50aの内壁(側壁および底面)の表面領域の不純物濃度を高くすることで、コンタクトトレンチ50aの内壁でのソース電極と半導体基板10とのコンタクト抵抗を低くすることができる。
次に、コンタクトトレンチ50aの形成に用いた同じマスク95を用いて、半導体基板10のおもて面に垂直な方向(深さ方向Z)に対して所定の注入角度(チルト角度)θ1で斜めの方向から、コンタクトトレンチ50aの一方の側壁にn型不純物をイオン注入(斜めイオン注入)96する。ここで斜めイオン注入96するイオン種は、例えばn+型ソース領域35aを形成するためのイオン注入で用いたイオン種と同じであってもよい。
コンタクトトレンチ50aの一方の側壁からn+型ソース領域35aへの斜めイオン注入96により、n+型ソース領域35aのコンタクトトレンチ50aの一方の側壁に露出する部分(コンタクト部51a)において、n+型ソース領域35aのn型不純物濃度を、深さ方向Zに一様で、かつコンタクトトレンチ50aの一方の側壁から離れた部分(コンタクト部51aを除く部分)よりも高くすることができる。
次に、図10に示すように、コンタクトトレンチ50aの形成に用いた同じマスク95を用いて、半導体基板10のおもて面に垂直な方向に対して所定の注入角度θ2で斜めの方向から、コンタクトトレンチ50aの他方の側壁にn型不純物をイオン注入(斜めイオン注入)97する。ここで斜めイオン注入97するイオン種は、例えばn+型ソース領域35aを形成するためのイオン注入で用いたイオン種と同じであってもよい。
コンタクトトレンチ50aの他方の側壁からn+型ソース領域35aへの斜めイオン注入97の注入角度θ2は、コンタクトトレンチ50aの、半導体基板10のおもて面に垂直な中心軸を軸として、コンタクトトレンチ50aの一方の側壁からn+型ソース領域35aへの斜めイオン注入96の注入角度θ1と線対称な角度となる。斜めイオン注入96,97の注入角度θ1,θ2以外の条件は同じである。
コンタクトトレンチ50aの他方の側壁からn+型ソース領域35aへの斜めイオン注入97により、n+型ソース領域35aのコンタクトトレンチ50aの他方の側壁に露出する部分(コンタクト部51a)において、n+型ソース領域35aのn型不純物濃度を、深さ方向Zに一様で、かつコンタクトトレンチ50aの他方の側壁から離れた部分(コンタクト部51aを除く部分)よりも高くすることができる(第7工程)。
次に、図11に示すように、コンタクトトレンチ50aの形成に用いた同じマスク95を用いて、半導体基板10のおもて面に垂直な方向に対して所定の注入角度θ3で斜めの方向から、コンタクトトレンチ50aの一方の側壁にp型不純物をイオン注入(斜めイオン注入)98する。ここで斜めイオン注入98するイオン種は、例えばp++型コンタクト領域36aを形成するためのイオン注入で用いたイオン種と同じであってもよい。
コンタクトトレンチ50aの一方の側壁からp++型コンタクト領域36aへの斜めイオン注入98により、p++型コンタクト領域36aのコンタクトトレンチ50aの一方の側壁から底面の一部に露出する部分(コンタクト部52a)において、p++型コンタクト領域36aのp型不純物濃度を、深さ方向Zに一様で、かつコンタクトトレンチ50aの一方の側壁から離れた部分(コンタクト部52aを除く部分)よりも高くすることができる。
次に、図12に示すように、コンタクトトレンチ50aの形成に用いた同じマスク95を用いて、半導体基板10のおもて面に垂直な方向に対して所定の注入角度θ4で斜めの方向から、コンタクトトレンチ50aの他方の側壁にp型不純物をイオン注入(斜めイオン注入)99する。ここで斜めイオン注入99するイオン種は、例えばp++型コンタクト領域36aを形成するためのイオン注入で用いたイオン種と同じであってもよい。
コンタクトトレンチ50aの他方の側壁からp++型コンタクト領域36aへの斜めイオン注入99の注入角度θ4は、コンタクトトレンチ50aの、半導体基板10のおもて面に垂直な中心軸を軸として、コンタクトトレンチ50aの一方の側壁からp++型コンタクト領域36aへの斜めイオン注入98の注入角度θ3と線対称な角度となる。斜めイオン注入98,99の注入角度θ3,θ4以外の条件は同じである。
コンタクトトレンチ50aの他方の側壁からp++型コンタクト領域36aへの斜めイオン注入99により、p++型コンタクト領域36aのコンタクトトレンチ50aの他方の側壁から底面の一部に露出する部分(コンタクト部52a)において、p++型コンタクト領域36aのp型不純物濃度を、深さ方向Zに一様で、かつコンタクトトレンチ50aの他方の側壁から離れた部分(コンタクト部52aを除く部分)よりも高くすることができる(第11工程)。
第11工程において、p++型コンタクト領域36aを形成するためのイオン注入は、コンタクトトレンチ50aに対して垂直な方向から行ってもよい。この場合、コンタクトトレンチ50aの底面とその周辺の側壁にp++型コンタクト領域36aが形成され、トレンチ50aの上側の側壁にはp++型コンタクト領域36aが形成されない。このため、コンタクトトレンチ50aの側壁に露出する、n+型ソース領域35aのコンタクト部51aの不純物濃度が低下することを防ぐことができる。
次に、マスク95の除去後、イオン注入で形成したすべての拡散領域(第1,2p+型領域61a,62a、n型電流拡散領域33a、n+型ソース領域35aおよびp++型コンタクト領域36a)を、例えば1700℃程度の温度で2分間程度の熱処理(活性化アニール)により活性化させる。活性化アニールは、すべての拡散領域の形成後にまとめて1回行ってもよいし、イオン注入により拡散領域を形成するごとに行ってもよい。
次に、図13に示すように、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、半導体基板10のおもて面からn+型ソース領域35aおよびp型ベース領域34aを貫通してn型電流拡散領域33aに達し、深さ方向Z(縦方向:図2,3参照)に第1p+型領域61aに対向するゲートトレンチ37aを形成する(第4工程)。ゲートトレンチ37aは、例えば、第1p+型領域61aに達して、第1p+型領域61aの内部で終端してもよい。
次に、図14に示すように、半導体基板10のおもて面およびゲートトレンチ37aの内壁に沿ってゲート絶縁膜38aを形成する。ゲート絶縁膜38aは、例えば、酸素(O2)雰囲気中において1000℃程度の温度で半導体表面を熱酸化することで形成した熱酸化膜であってもよいし、高温酸化(HTO:High Temperature Oxide)による堆積膜であってもよい。
次に、ゲートトレンチ37aの内部に埋め込むように、半導体基板10のおもて面に例えばリンドープのポリシリコン層を堆積する。次に、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、当該ポリシリコン層を選択的に除去して、ポリシリコン層の、ゲート電極39aとなる部分のみをゲートトレンチ37aの内部に残す(第5工程)。ここまでの工程により、メイン半導体素子11の単位セルのMOSゲートが形成される(セル形成工程)。
ゲートトレンチ37a、ゲート絶縁膜38aおよびゲート電極39の形成は、コンタクトトレンチ50aの形成前に行ってもよい。また、上述したようにメイン半導体素子11のMOSゲートの各部を形成する際に、同一の半導体基板10に作製されるすべての半導体素子(電流センス部12、過電圧保護部(不図示)および演算回路部(不図示)等の高機能部:図2,3参照)の各部について、メイン半導体素子11の各部と同じ不純物濃度や深さの各部と同時に形成すればよい。
メイン半導体素子11は、半導体基板10のおもて面の表面領域に形成された島状のp型ベース領域34a内に配置することで、p型ベース領域34aとn-型ドリフト領域32とのpn接合分離により、同一の半導体基板10に作製される他の半導体素子と分離される。電流センス部12は、メイン半導体素子11と同じ構造で、半導体基板10のおもて面の表面領域に形成された島状のp型ベース領域34b内に配置すればよい。
次に、ゲート電極39aを覆うように、半導体基板10のおもて面全面に、例えばBPSG(Boro Phospho Silicate Glass)等やPSG(Phospho Silicate Glass)等の層間絶縁膜40を例えば1μmの厚さで形成する。温度センス部13は、層間絶縁膜40上にp型ポリシリコン層81およびn型ポリシリコン層82(図3参照)を形成し、層間絶縁膜83で覆えばよい。
次に、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、深さ方向Zに層間絶縁膜40およびゲート絶縁膜38aを貫通する第1,2コンタクトホール40a,40bを形成する。深さ方向Zに層間絶縁膜83を貫通する第3,4コンタクトホール83a,83bを形成する。第1コンタクトホール40aには、メイン半導体素子11のコンタクトトレンチ50a、n+型ソース領域35aおよびp++型コンタクト領域36aを露出させる。
第2コンタクトホール40bには、電流センス部12のコンタクトトレンチ50b、n+型ソース領域35bおよびp++型コンタクト領域36bを露出させる。第3,4コンタクトホール83a,83bには、それぞれ温度センス部13のp型ポリシリコン層81およびn型ポリシリコン層82を露出させる。次に、熱処理により層間絶縁膜40,83を平坦化(リフロー)する。
次に、例えば反応性スパッタリング法により、層間絶縁膜40の表面および第1コンタクトホール40a内の半導体表面(コンタクトトレンチ50aの内壁を含む)の全面に、Ti膜41aおよびTiN膜42aを順に堆積(形成)する。次に、例えば化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法により、コンタクトトレンチ50aの内部においてTiN膜42aの内側にW膜44aを埋め込む。
なお、Ti膜41aは、半導体基板10に接触する部分において、熱処理によりシリサイド化(TiSi)され、半導体基板10にオーミック接触している。ここで、Ti膜41aとコンタクトトレンチ50aの内壁を含む半導体表面との間にNiSi膜を形成してもよい。この場合、第1コンタクトホール40a内の半導体表面にニッケル(Ni)膜を形成してシリサイド化した後、Ni膜の反応してない部分(層間絶縁膜40上の部分)をエッチングにより除去すればよい。
Ti膜41a、TiN膜42aおよびW膜44aの各厚さは、例えば、それぞれ50nm程度、100nm程度および1μm程度である。また、第2コンタクトホール40b内にも、Ti膜41a、TiN膜42aおよびW膜44aと同時に、これらの金属膜と同じ構成で、それぞれTi膜41b、TiN膜42bおよびW膜44bを形成する。次に、TiN膜42aおよびW膜44aの表面にソースパッド21aを形成する(第8工程)。
第2~4コンタクトホール40b,83a,83b内にも、ソースパッド21aと同時に、ソースパッド21aと同じ構成で、それぞれ、OCパッド22、アノードパッド23aおよびカソードパッド23bを形成する。また、半導体基板10の裏面にオーミック接触するドレイン電極49を形成し、ドレイン電極49の表面に例えばTi膜、Ni膜および金(Au)膜を順に積層してドレインパッド(不図示)を形成する(第9工程)。
次に、半導体基板10のおもて面にポリイミドからなる第1保護膜47a~47cを選択的に形成し、これら第1保護膜47a~47cの開口部にそれぞれ異なる各電極パッド21a,21b,22,23a,23bを露出させる。次に、一般的なめっき前処理の後、一般的なめっき処理により、電極パッド21a,21b,22,23a,23bの、第1保護膜47a~49cの開口部に露出する部分にめっき膜45a~45dを形成する。
次に、熱処理(ベーク)によりめっき膜45a~45dを乾燥させる。次に、ポリイミドからなる第2保護膜48a~48cを形成し、めっき膜45a~45dと第1保護膜47a~47cとの各境界を覆う。次に、熱処理(キュア)によりポリイミド膜(第1保護膜47a~47cおよび第2保護膜48a~48c)の強度を向上させる。次に、めっき膜45a~45d上に、それぞれはんだ層により端子ピン46a~46dを接合する。
その後、半導体基板10(半導体ウエハ)をダイシング(切断)して個々のチップ状に個片化することで、図1~3に示す半導体装置20が完成する。
以上、説明したように、実施の形態によれば、互いに隣り合うゲートトレンチ間に設けられたコンタクトトレンチの側壁でn+型ソース領域およびp++型コンタクト領域とソース電極とが電気的に接続される。これにより、単位セルを微細化したとしても、ソース電極と半導体基板とのコンタクト面積がコンタクトトレンチの側壁の面積分だけ広くなり、n+型ソース領域およびp++型コンタクト領域とソース電極とのコンタクトを安定して得ることができる。
+型ソース領域およびp++型コンタクト領域とソース電極とのコンタクトを安定して得られることで、単位セルごとのオン抵抗のばらつきを小さくすることができる。これにより、単位セルの微細化に伴って得られる低オン抵抗を実現することができる。また、単位セルごとのオン抵抗のばらつきが小さくなることで、単位セルごとの飽和領域におけるドレイン・ソース間電流のばらつきを抑制することができる。これにより、導通損失を低減させることができる。
また、実施の形態によれば、n+型ソース領域のn型不純物濃度がコンタクトトレンチの側壁に露出する部分(コンタクト部)で深さ方向に一様に高くなっており、このn+型ソース領域のコンタクト部にソース電極が接触する。これにより、ソース電極とn+型ソース領域とのコンタクト抵抗を低減することができ、オン時にソース電極からn+型ソース領域を通ってチャネル(n型の反転層)へ供給される電子の供給量を増やすことができるため、オン抵抗を低減させることができる。
また、実施の形態によれば、p++型コンタクト領域のp型不純物濃度がコンタクトトレンチの側壁に露出する部分(コンタクト部)で深さ方向に一様に高くなっており、p++型コンタクト領域のコンタクト部にソース電極が接触する。これにより、ソース電極とp++型コンタクト領域とのコンタクト抵抗を低減することができ、ターンオフ時にn-型ドリフト領域からp型ベース領域およびp++型コンタクト領域を通ってソース電極へ引き抜かれる正孔電流(遮断電流)の電流量を多くすることができる。
ターンオフ時の遮断電流の電流量が多くなることで、n+型ソース領域、p型ベース領域およびn-型ドリフト領域で形成される寄生BJT(Bipolar Junction Transistor:バイポーラ接合トランジスタ)がオンしにくい。これにより、寄生BJTがオンすることで大電流が流れることを抑制することができ、アバランシェ耐量を向上させることができるため、安定動作を実現することができる。
(実施例)
上述した実施の形態にかかる半導体装置20(図1~3参照)のメイン半導体素子11の電圧・電流特性について検証した。図15は、実施例の電圧・電流特性を模式的に示す特性図である。図16は、従来例の電圧・電流特性を模式的に示す特性図である。図15,16ともに、横軸はドレイン・ソース間電圧Vdsであり、縦軸はドレイン・ソース間電流Idsである。
実施の形態にかかる半導体装置20(以下、実施例とする)の3つの単位セルそれぞれについて、ドレイン・ソース間電圧Vdsおよびドレイン・ソース間電流Idsを測定した結果を模式的に図15に示す。従来の半導体装置220(図18参照:以下、従来例とする)の3つの単位セルそれぞれについて、ドレイン・ソース間電圧Vdsおよびドレイン・ソース間電流Idsを測定した結果も模式的に図16に示す。
図16に示す結果から、従来例では、単位セルごとにオン抵抗がばらついて、単位セルごとに飽和領域におけるドレイン・ソース間電流Idsにばらつきが発生することが確認された。ソース電極(NiSi膜241)とn+型ソース領域235とのコンタクト抵抗が大きく、オン時にソース電極からn+型ソース領域235への電子の注入が制限されているからである。この問題は特に大電流時に顕著にあらわれた。
一方、図15に示す結果から、実施例においては、単位セルごとのオン抵抗のばらつきが低減され、単位セルごとの飽和領域におけるドレイン・ソース間電流Idsのばらつきを小さくすることができることが確認された。その理由は、n+型ソース領域35aのコンタクト部51aによって、ソース電極とn+型ソース領域35aとのコンタクト抵抗を小さくすることができ、かつオーミック接触を安定して得ることができるからである。
また、上述した実施例の逆回復耐量について検討した。図17は、実施例の逆回復耐量による遮断電流の電流量を示す特性図である。上述した実施例のメイン半導体素子11と、従来例(半導体装置220)とで、ターンオフ時にp型ベース領域34a,234を通ってソースパッド21a,221へ引き抜かれる正孔電流(遮断電流)の電流量を比較した結果を図17に示す。
図17に示すように、実施例は、従来例と比べて、ターンオフ時にp型ベース領域34aを通ってソースパッド21aへ引き抜かれる正孔電流の電流量が多くなることが確認された。p++型コンタクト領域36aのp型不純物濃度がソース電極との接触部(コンタクト部52a)で高くなっていることで、ソース電極とp++型コンタクト領域36aとのコンタクト抵抗が低減されるからである。
一方、従来例では、ソース電極と半導体基板210とのコンタクト面積が小さいことで、ソース電極とp++型コンタクト領域236とのコンタクト抵抗が高く、かつ単位セルごとにオン抵抗のばらつきが大きい。このため、n-型ドリフト領域232中の少数キャリアである正孔がターンオフ時にソース電極側に吐き出されるときに流れる変位電流である正孔電流の電流量が少なく、寄生BJTがオンしやすいことで、アバランシェ降伏による破壊が生じやすいことが確認された。
以上において本発明は、上述した各実施の形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、メイン無効領域にゲートパッドのみを配置した構成としてもよい。また、炭化珪素を半導体材料にすることに代えて、炭化珪素以外のワイドバンドギャップ半導体とした場合においても本発明を適用可能である。また、本発明は、導電型(n型、p型)を反転させても同様に成り立つ。
以上のように、本発明にかかる半導体装置および半導体装置の製造方法は、高電圧や大電流を制御するパワー半導体装置に有用である。
1 活性領域
1a メイン有効領域
1b メイン無効領域
2 エッジ終端領域
10 半導体基板
11 メイン半導体素子
12 電流センス部
12a センス有効領域
12b センス無効領域
13 温度センス部
14 ゲートパッド部
20 半導体装置
21a ソースパッド(電極パッド)
21b ゲートパッド(電極パッド)
22 OCパッド(電極パッド)
23a アノードパッド(電極パッド)
23b カソードパッド(電極パッド)
31 n+型ドレイン領域
32 n-型ドリフト領域
32a n-型領域
33a,33b n型電流拡散領域
34a,34b p型ベース領域
35a,35b n+型ソース領域
36a,36b p++型コンタクト領域
37a,37b ゲートトレンチ
38a,38b ゲート絶縁膜
39a,39b ゲート電極
40,83 層間絶縁膜
40a,40b,83a,83b コンタクトホール
41a,41b Ti膜
42a,42b TiN膜
43a,43b バリアメタル
44a,44b W膜
45a~45d めっき膜
46a~46d 端子ピン
47a~47c 第1保護膜
48a~48c 第2保護膜
49 ドレイン電極
50a,50b コンタクトトレンチ
51a,51b n+型ソース領域のコンタクト部
52a,52b p++型コンタクト領域のコンタクト部
61a,61b,62a,62b,91,93 p+型領域
71 n+型出発基板
72 n-型炭化珪素層
72a n-型炭化珪素層の厚さを増した部分
73 p型炭化珪素層
81 p型ポリシリコン層
82 n型ポリシリコン層
92,94 n型領域
95 マスク
96~99 斜めイオン注入
d1 p+型領域の深さ
d2 互いに隣り合うp+型領域間の距離
d3 n型領域の深さ
t1 n-型炭化珪素層の、n+型出発基板上に最初に積層する厚さ
t2 n-型炭化珪素層の、厚さを増した部分の厚さ
t3 p型炭化珪素層の厚さ
w1,w1’ セルピッチ
X 半導体基板のおもて面に平行な方向(第1方向)
Y 半導体基板のおもて面に平行でかつ第1方向と直交する方向(第2方向)
Z 深さ方向
θ1~θ4 斜めイオン注入の注入角度

Claims (8)

  1. シリコンよりもバンドギャップの広い半導体からなる半導体基板と、
    前記半導体基板の内部に設けられた第1導電型の第1半導体領域と、
    前記半導体基板の第1主面と前記第1半導体領域との間に設けられた第2導電型の第2半導体領域と、
    前記半導体基板の第1主面と前記第2半導体領域との間に選択的に設けられた第1導電型の第3半導体領域と、
    前記半導体基板の第1主面から前記第3半導体領域および前記第2半導体領域を貫通して前記第1半導体領域に達するゲートトレンチと、
    前記ゲートトレンチの内部にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極と、
    前記ゲートトレンチと離れて設けられ、前記半導体基板の第1主面から前記第3半導体領域を貫通して前記第2半導体領域に達するコンタクトトレンチと、
    前記半導体基板の内部において前記第3半導体領域よりも前記半導体基板の第1主面から離れた深さ位置に、前記ゲートトレンチと離れて設けられ、前記第2半導体領域に接し、かつ前記コンタクトトレンチの側壁および底面に露出する第2導電型の第4半導体領域と、を有する複数の単位セルと、
    前記コンタクトトレンチの側壁で前記第3半導体領域に電気的に接続され、かつ前記コンタクトトレンチの側壁および底面で前記第4半導体領域に電気的に接続された第1電極と、
    前記半導体基板の第2主面に設けられた第2電極と、
    を備え、
    前記第3半導体領域は、前記コンタクトトレンチの側壁に露出する第1部分で、前記第1部分を除く第2部分よりも第1導電型不純物濃度が高く、
    前記コンタクトトレンチの側壁と前記第3半導体領域との間の全域に前記第1部分が設けられ、
    前記第4半導体領域は、前記コンタクトトレンチの側壁から底面に露出する第3部分で、前記第3部分を除く第4部分よりも第2導電型不純物濃度が高く、
    前記第1部分に接して、前記コンタクトトレンチの側壁と前記第4半導体領域との間の全域に前記第3部分が設けられ、
    前記第1電極は、前記第1部分で前記第3半導体領域に接し、前記第3部分で前記第4半導体領域に接することを特徴とする半導体装置。
  2. 前記第3半導体領域の前記第1部分の第1導電型不純物濃度は深さ方向に一様であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記第3半導体領域は、さらに前記半導体基板の第1主面で前記第1電極に接することを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
  4. 前記単位セルは、互いに隣り合う前記ゲートトレンチの中心間の部分で構成され、
    前記単位セルのピッチは、2μm以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の半導体装置。
  5. シリコンよりもバンドギャップの広い半導体からなる半導体基板の内部に第1導電型の第1半導体領域を形成する第1工程と、
    前記半導体基板の第1主面と前記第1半導体領域との間に、前記第1半導体領域に接して、第2導電型の第2半導体領域を形成する第2工程と、
    前記半導体基板の第1主面と前記第2半導体領域との間に、前記第2半導体領域に接して、第1導電型の第3半導体領域を選択的に形成する第3工程と、
    前記半導体基板の第1主面から前記第3半導体領域および前記第2半導体領域を貫通して前記第1半導体領域に達するゲートトレンチを形成する第4工程と、
    前記ゲートトレンチの内部にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する第5工程と、
    前記ゲートトレンチと離れて、前記半導体基板の第1主面から前記第3半導体領域を貫通して前記第2半導体領域に達するコンタクトトレンチを形成する第6工程と、
    前記半導体基板の第1主面に対して斜めの方向から前記コンタクトトレンチの側壁に第1導電型不純物をイオン注入して、前記第3半導体領域の第1導電型不純物濃度を、前記コンタクトトレンチの側壁に露出する第1部分で、前記第1部分を除く第2部分よりも高くする第7工程と、を行って複数の単位セルを形成するセル形成工程と、
    前記セル形成工程の後、前記コンタクトトレンチの側壁で前記第1部分に接して前記第3半導体領域に電気的に接続され、かつ前記コンタクトトレンチの側壁および底面で前記第2半導体領域に電気的に接続された第1電極を形成する第8工程と、
    前記セル形成工程の後、前記半導体基板の第2主面に設けられた第2電極を形成する第9工程と、
    を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  6. 前記第2半導体領域の内部に第2導電型不純物をイオン注入して、前記ゲートトレンチと離れた第2導電型の第4半導体領域を選択的に形成する工程をさらに含み、
    前記第8工程では、前記第4半導体領域に接する前記第1電極を形成することを特徴とする請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
  7. 前記第4半導体領域を選択的に形成する工程では、前記コンタクトトレンチの側壁および底面にイオン注入することを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
  8. 前記第4半導体領域を選択的に形成する工程は、
    前記第6工程よりも前に、前記第3半導体領域の下部の前記第2半導体領域に、前記第4半導体領域を形成する第10工程と、
    前記第6工程よりも後に、前記半導体基板の第1主面に対して斜めの方向から前記コンタクトトレンチの側壁にイオン注入して、前記第4半導体領域の第2導電型不純物濃度を、前記コンタクトトレンチの側壁から底面に露出する第3部分で、前記第3部分を除く第4部分よりも高くする第11工程と、
    を含み、
    前記第6工程では、前記半導体基板の第1主面から前記第3半導体領域を貫通して前記第4半導体領域に達する前記コンタクトトレンチを形成することを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
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