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JP7506753B2 - 金属充填微細構造体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、陽極酸化膜の厚み方向に貫通し、互いに電気的に絶縁された状態で設けられた複数の導体が、陽極酸化膜の厚み方向における少なくとも一方の面から突出し、導体が突出する陽極酸化膜の面を覆う樹脂層を加熱後に除去する金属充填微細構造体の製造方法に関し、特に、樹脂層の加熱を、酸素分圧が10000Pa以下の雰囲気で行う金属充填微細構造体の製造方法に関する。
絶縁性基材に設けられた複数の貫通孔に金属等の導電性物質が充填されてなる構造体は、近年ナノテクノロジーでも注目されている分野のひとつであり、例えば、異方導電性部材としての用途が期待されている。
異方導電性部材は、半導体素子等の電子部品と回路基板との間に挿入し、加圧するだけで電子部品と回路基板間の電気的接続が得られるため、半導体素子等の電子部品等の電気的接続部材、及び機能検査を行う際の検査用コネクタ等として広く使用されている。
特に、半導体素子等の電子部品は、ダウンサイジング化が顕著である。従来のワイヤーボンディングのような配線基板を直接接続する方式、フリップチップボンディング、及びサーモコンプレッションボンディング等では、電子部品の電気的な接続の安定性を十分に保証することができない場合があるため、電子接続部材として異方導電性部材が注目されている。
異方導電性部材の製造方法として、例えば、特許文献1には、アルミニウム基板の片側の表面に陽極酸化処理を施し、アルミニウム基板の片側の表面に、厚み方向に存在するマイクロポアとマイクロポアの底部に存在するバリア層とを有する陽極酸化膜を形成する陽極酸化処理工程と、陽極酸化処理工程の後に、アルミニウムよりも水素過電圧の高い金属M1を含むアルカリ水溶液を用いて、陽極酸化膜のバリア層を除去するバリア層除去工程と、バリア層除去工程の後に、電解めっき処理を施してマイクロポアの内部に金属M2を充填する金属充填工程と、金属充填工程の後に、アルミニウム基板を除去し、金属充填微細構造体を得る基板除去工程と、を有する金属充填微細構造体の製造方法が記載されている。特許文献1では、金属充填工程の後であって基板除去工程の前に、陽極酸化膜のアルミニウム基板が設けられていない側の表面に、樹脂層を設ける樹脂層形成工程を有する。
特許第6535098号公報
上述の特許文献1では、陽極酸化膜のアルミニウム基板が設けられていない側の表面に樹脂層が設けられている。金属充填微細構造体は、例えば、2つの半導体チップの電気的な接続に利用される。この場合、上述の樹脂層を剥がす必要がある。特許文献1の金属充填微細構造体を、上述のように2つの半導体チップの電気的な接続に利用した場合、半導体チップ間の電気伝導性が十分ではないことがある。電気伝導性が良好な金属充填微細構造体が望まれている。
本発明の目的は、電気伝導性が良好な金属充填微細構造体の製造方法を提供することにある。
上述の目的を達成するために、本発明の一態様は、絶縁膜を厚み方向に貫通し、互いに電気的に絶縁された状態で設けられた、複数の導体とを有し、導体が絶縁膜の厚み方向における少なくとも一方の面から突出しており、導体が突出している絶縁膜の面を覆う樹脂層を有する構造体を用意する準備工程と、酸素分圧が10000Pa以下の雰囲気にて、少なくとも樹脂層を加熱する加熱工程と、加熱工程により加熱された樹脂層を、絶縁膜から除去する除去工程とを有し、樹脂層は、熱剥離性接着剤を含む、金属充填微細構造体の製造方法を提供するものである。
加熱工程は、雰囲気の酸素分圧が1.0Pa以下であることが好ましい。
加熱工程は、雰囲気の不活性ガスの分圧が、雰囲気の全圧の85%以上であることが好ましい。
加熱工程は、雰囲気の還元性ガスの分圧が、雰囲気の全圧の85%以上であることが好ましい。
加熱工程は、雰囲気の全圧が5.0Pa以下であることが好ましい。
導体は、卑金属を含むことが好ましい。
複数の導体は、導体の長手方向に対して垂直な断面における断面積が20μm以下の導体を有することが好ましい。
加熱工程における樹脂層の到達温度が150℃以下であることが好ましい。
導体は、絶縁膜の厚み方向における両面から、それぞれ突出しており、樹脂層は、絶縁膜の厚み方向における両面に、それぞれ設けられていることが好ましい。
絶縁膜は、陽極酸化膜であることが好ましい。
本発明によれば、電気伝導性が良好な金属充填微細構造体を得ることができる。
本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の一例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の一例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の一例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の一例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の一例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の一例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の一例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の一例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の他の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の他の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の他の例の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の異方導電性部材の供給形態の一例を示す模式的斜視図である。 本発明の実施形態の異方導電性部材の供給形態の一例を示す模式的斜視図である。 本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた接合体の一例を示す模式図である。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の金属充填微細構造体の製造方法を詳細に説明する。
なお、以下に説明する図は、本発明を説明するための例示的なものであり、以下に示す図に本発明が限定されるものではない。
なお、以下において数値範囲を示す「~」とは両側に記載された数値を含む。例えば、εが数値α~数値βとは、εの範囲は数値αと数値βを含む範囲であり、数学記号で示せばα≦ε≦βである。
温度及び時間について、特に記載がなければ、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。
また、平行等も特に記載がなければ、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。
[金属充填微細構造体]
図1~図8は本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の一例を工程順に示す模式的断面図である。
金属充填微細構造体10は、例えば、図8に示すように、電気的な絶縁性を有する絶縁膜12と、絶縁膜12を厚み方向Dtに貫通し、互いに電気的に絶縁された状態で設けられた、複数の導体14とを有する。導体14は、絶縁膜12の厚み方向Dtにおける少なくとも一方の面から突出している。導体14が、絶縁膜12の厚み方向Dtにおける少なくとも一方の面から突出する場合、片側の面から突出する構成では、表面12a又は裏面12bから突出することが好ましい。金属充填微細構造体10において、絶縁膜12は、例えば、陽極酸化膜15で構成される。
複数の導体14は、絶縁膜12に、互いに電気的に絶縁された状態で配置されている。この場合、例えば、絶縁膜12は、厚み方向Dtに貫通する複数の細孔13を有する。複数の細孔13に導体14が設けられている。導体14は、絶縁膜12の厚み方向Dtにおける表面12aから突出している。
金属充填微細構造体10は、導体14が互いに電気的に絶縁された状態で配置された、異方導電性を有するものである。金属充填微細構造体10は、厚み方向Dtに導電性を有するが、絶縁膜12の表面12aに平行な方向における導電性が十分に低い。
金属充填微細構造体10の外形は、特に限定されるものではなく、例えば、四角形、又は円形である。金属充填微細構造体10の外形は、用途、作製しやすさ等に応じた形状とすることができる。
[金属充填微細構造体の製造方法]
金属充填微細構造体の製造方法の一例では、絶縁膜がアルミニウムの陽極酸化膜で構成されるものを例にして説明する。アルミニウムの陽極酸化膜を形成するために、アルミニウム基板を用いる。このため、構造体の製造方法の一例では、まず、図1に示すように、アルミニウム基板30を用意する。
アルミニウム基板30は、最終的に得られる金属充填微細構造体10(図8参照)の絶縁膜12の厚み、加工する装置等に応じて大きさ及び厚みが適宜決定されるものである。アルミニウム基板30は、例えば、四角形状の板材である。なお、アルミニウム基板に限定されるものではなく、電気的に絶縁な絶縁膜12を形成できる金属基板を用いることができる。
次に、アルミニウム基板30の片側の表面30a(図1参照)を陽極酸化処理する。これにより、アルミニウム基板30の片側の表面30a(図1参照)が陽極酸化されて、図2に示すように、アルミニウム基板30の厚み方向Dtに延在する複数の細孔13を有する絶縁膜12、すなわち、陽極酸化膜15が形成される。各細孔13の底部にはバリア層31が存在する。上述の陽極酸化する工程を陽極酸化処理工程という。
複数の細孔13を有する絶縁膜12には、上述のようにそれぞれ細孔13の底部にバリア層31が存在するが、図2に示すバリア層31を除去する。これにより、バリア層31のない、複数の細孔13を有する絶縁膜12(図3参照)を得る。なお、上述のバリア層31を除去する工程をバリア層除去工程という。
バリア層除去工程において、アルミニウムよりも水素過電圧の高い金属M1のイオンを含むアルカリ水溶液を用いることにより、絶縁膜12のバリア層31を除去すると同時に、細孔13の底部32c(図3参照)の面32d(図3参照)に金属(金属M1)からなる金属層35a(図3参照)を形成する。これにより、細孔13に露出したアルミニウム基板30は金属層35aにより被覆される。これにより、細孔13へめっきによる金属充填の際に、めっきが進行しやすくなり、細孔に金属が十分に充填されないことが抑制され、細孔への金属の未充填等が抑制され、導体14の形成不良が抑制される。
なお、上述の金属M1のイオンを含むアルカリ水溶液は更にアルミニウムイオン含有化合物(アルミン酸ソーダ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム等)を含んでもよい。アルミニウムイオン含有化合物の含有量は、アルミニウムイオンの量に換算して0.1~20g/Lが好ましく、0.3~12g/Lがより好ましく、0.5~6g/Lが更に好ましい。
次に、厚み方向Dtに延在する複数の細孔13を有する絶縁膜12の表面12aからめっきを行う。この場合、金属層35aを電解めっきの電極として用いることができる。めっきには金属35bを用い、細孔13の底部32c(図3参照)の面32d(図3参照)に形成された金属層35aを起点にして、めっきが進行する。これにより、図4に示すように、絶縁膜12の細孔13の内部に、導体14を構成する金属35bが充填される。細孔13の内部に金属35bを充填することにより、導電性を有する導体14が形成される。なお、金属層35aと金属35bとをまとめて充填した金属35という。
絶縁膜12の細孔13に金属35bを充填する工程を、金属充填工程という。上述のように、導体14は金属で構成することに限定されるものではなく、導電性物質を用いることができる。金属充填工程には、電解めっきが用いられ、金属充填工程については後に詳細に説明する。なお、絶縁膜12の表面12aが絶縁膜12の一方の面に相当する。
金属充填工程の後に、図5に示すように、金属充填工程の後に絶縁膜12のアルミニウム基板30が設けられていない側の表面12aを厚み方向Dtに一部除去し、金属充填工程で充填した金属35を絶縁膜12の表面12aよりも突出させる。すなわち、導体14を絶縁膜12の表面12aよりも突出させる。これにより、突出部14aが得られる。導体14を絶縁膜12の表面12aよりも突出させる工程を、表面金属突出工程という。
表面金属突出工程の後に、導体14の突出部14aが形成された、絶縁膜12の表面12aに、図6に示すように樹脂層16を形成する。これにより、導体が突出している絶縁膜の面が樹脂層で覆われて、構造体18が得られる。構造体18を用意する工程を準備工程という。
また、導体14が突出している絶縁膜12の面を覆う樹脂層16を形成する工程を、樹脂層形成工程という。樹脂層16は熱剥離性接着剤を含む。
樹脂層形成工程の後に、構造体18に対して、図7に示すようにアルミニウム基板30を除去する。アルミニウム基板30を除去する工程を基板除去工程という。
次に、構造体18に対して、酸素分圧が10000Pa以下の雰囲気にて、少なくとも樹脂層16を加熱する。樹脂層16を加熱する工程を加熱工程という。
加熱工程には、半導体素子の製造に用いられる、半導体ウエハの加熱装置を用いることができる。
加熱工程は、例えば、半導体製造装置のうち、半導体ウエハの加熱に用いる金属製の容器内で行われる。容器内に、基板除去後の構造体18を配置し、容器内の酸素分圧を10000Pa以下にする。
なお、加熱工程における雰囲気の全圧、及び分圧は、例えば、圧力ゲージを用いて測定できる。これにより、上述の酸素分圧を測定できる。また、後述の不活性ガスの分圧、及び還元性ガスの分圧も測定できる。
酸素分圧については、例えば、脱気により酸素分圧を調整することができる。
なお、加熱工程は、酸素分圧が10000Pa以下の雰囲気に限定されるものではない。加熱工程における樹脂層の到達温度が150℃以下であることが好ましい。加熱工程における樹脂層の到達温度が150℃以下であると、電気伝導性が良好になる。
次に、加熱工程により加熱された樹脂層16を、図8に示すように絶縁膜12から除去する。これにより、金属充填微細構造体10が得られる。
なお、樹脂層16を、絶縁膜12から除去する工程を除去工程という。除去工程では、樹脂層16の除去方法は、特に限定されるものではなく、例えば、ピンセット等の工具を使って除去する。除去工程では、ピンセット等の工具使って、絶縁膜12を樹脂層16から剥離してもよい。なお、除去工程の雰囲気は、加熱工程の雰囲気と同じである必要はなく、例えば、大気雰囲気でもよい。
図9~図11は本発明の実施形態の金属充填微細構造体の製造方法の他の例を工程順に示す模式的断面図である。
また、図7に示す基板除去工程の後に、図9に示すように、基板除去工程の後に絶縁膜12のアルミニウム基板30が設けられていた側の面、すなわち、裏面12bを厚み方向Dtに一部除去し、金属充填工程で充填した金属35、すなわち、導体14を絶縁膜12の裏面12bよりも突出させてもよい。これにより、突出部14bが得られる。
上述の表面金属突出工程及び裏面金属突出工程は、両方の工程を有する態様であってもよいが、表面金属突出工程及び裏面金属突出工程のうち、一方の工程を有する態様であってもよい。表面金属突出工程及び裏面金属突出工程が「突出工程」に該当しており、表面金属突出工程及び裏面金属突出工程はいずれも突出工程である。
構造体18としては、図9に示すように、絶縁膜12の表面12a及び裏面12bから、すなわち、絶縁膜12の厚み方向Dtにおける両面から、それぞれ導体14が突出した、突出部14aと突出部14bとを有する構成でもよい。
図9に示す絶縁膜12の裏面12bに、図10に示すように、樹脂層16を形成して、陽極酸化膜の厚み方向Dtにおける両面に、それぞれ樹脂層16を設ける。
次に、構造体18に対して、上述の加熱工程及び樹脂層16の除去工程を実施して、図11に示す突出部14aと突出部14bとを有する金属充填微細構造体10が得られる。
なお、上述のバリア層除去工程において、アルミニウムよりも水素過電圧の高い金属M1のイオンを含むアルカリ水溶液を用いてバリア層を除去することにより、バリア層31を除去するだけでなく、細孔13の底部に露出したアルミニウム基板30にアルミニウムよりも水素ガスが発生しにくい金属M1の金属層35aが形成される。その結果、金属充填の面内均一性が良好となる。これは、めっき液による水素ガスの発生が抑制され、電解めっきによる金属充填が進行しやすくなったと考えられる。
また、バリア層除去工程において、陽極酸化処理工程における電圧の30%未満の範囲から選択される電圧(保持電圧)の95%以上105%以下の電圧に通算5分以上保持する保持工程を設け、金属M1のイオンを含むアルカリ水溶液を適用することを組み合わせることにより、めっき処理時の金属充填の均一性が大きく良化することを見出している。このため、保持工程があることが好ましい。
詳しいメカニズムは不明だが、バリア層除去工程において、金属M1のイオンを含むアルカリ水溶液を用いることでバリア層下部に金属M1の層が形成され、これによりアルミニウム基板と陽極酸化膜との界面がダメージを受けることを抑制することができ、バリア層の溶解の均一性が向上したためと考えられる。
なお、バリア層除去工程において、細孔13の底部に金属(金属M1)からなる金属層35aを形成したが、これに限定されるものではなく、バリア層31だけを除去し、細孔13の底にアルミニウム基板30を露出させる。アルミニウム基板30を露出させた状態で、アルミニウム基板30を電解めっきの電極として用いてもよい。
〔陽極酸化膜〕
陽極酸化膜は、上述のように、所望の平均径を有する細孔が形成され、導体を形成しやすいという理由から、例えば、アルミニウムの陽極酸化膜が用いられる。しかしながら、アルミニウムの陽極酸化膜に限定されるものではなく、バルブ金属の陽極酸化膜を用いることができる。このため、金属基板は、バルブ金属が用いられる。
ここで、バルブ金属としては、具体的には、例えば、上述のアルミニウム、これ以外に、タンタル、ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモン等が挙げられる。これらのうち、寸法安定性がよく、比較的安価であることからアルミニウムの陽極酸化膜であることが好ましい。このため、アルミニウム基板を用いて、構造体を製造することが好ましい。
陽極酸化膜の厚みは、上述の絶縁膜12の厚みhtと同じである。
〔金属基板〕
金属基板は、構造体の製造に用いられるものであり、陽極酸化膜を形成するための基板である。金属基板は、例えば、上述のように、陽極酸化膜が形成できる金属基板が用いられ、上述のバルブ金属で構成されるものを用いることができる。例えば、金属基板には、上述のように、陽極酸化膜として陽極酸化膜を形成しやすいという理由から、アルミニウム基板が用いられる。
〔アルミニウム基板〕
絶縁膜12を形成するために用いられるアルミニウム基板は、特に限定されず、その具体例としては、純アルミニウム板;アルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板;低純度のアルミニウム(例えば、リサイクル材料)に高純度アルミニウムを蒸着させた基板;シリコンウエハ、石英、ガラス等の表面に蒸着、スパッタ等の方法により高純度アルミニウムを被覆させた基板;アルミニウムをラミネートした樹脂基板;等が挙げられる。
アルミニウム基板のうち、陽極酸化処理により陽極酸化膜を形成する片側の表面は、アルミニウム純度が、99.5質量%以上であることが好ましく、99.9質量%以上であるのがより好ましく、99.99質量%以上であるのが更に好ましい。アルミニウム純度が上述の範囲であると、マイクロポア配列の規則性が十分となる。
アルミニウム基板は、陽極酸化膜を形成することができれば、特に限定されるものでなく、例えば、JIS(Japanese Industrial Standards) 1050材が用いられる。
アルミニウム基板のうち陽極酸化処理される片側の表面は、予め熱処理、脱脂処理及び鏡面仕上げ処理が施されていることが好ましい。
ここで、熱処理、脱脂処理及び鏡面仕上げ処理については、特開2008-270158号公報の[0044]~[0054]段落に記載された各処理と同様の処理を施すことができる。
陽極酸化処理の前の鏡面仕上げ処理は、例えば、電解研磨であり、電解研磨には、例えば、リン酸を含有する電解研磨液が用いられる。
〔陽極酸化処理工程〕
陽極酸化処理は、従来公知の方法を用いることができるが、マイクロポア配列の規則性を高くし、構造体の異方導電性を担保する観点から、自己規則化法又は定電圧処理を用いることが好ましい。
ここで、陽極酸化処理の自己規則化法及び定電圧処理については、特開2008-270158号公報の[0056]~[0108]段落及び[図3]に記載された各処理と同様の処理を施すことができる。
〔保持工程〕
構造体の製造方法は保持工程を有してもよい。保持工程は、上述の陽極酸化処理工程の後に、1V以上かつ上述の陽極酸化処理工程における電圧の30%未満の範囲から選択される保持電圧の95%以上105%以下の電圧に通算5分以上保持する工程である。言い換えると、保持工程は、上述の陽極酸化処理工程の後に、1V以上かつ上述の陽極酸化処理工程における電圧の30%未満の範囲から選択される保持電圧の95%以上105%以下の電圧で通算5分以上電解処理を施す工程である。
ここで、「陽極酸化処理における電圧」とは、アルミニウムと対極間に印加する電圧であり、例えば、陽極酸化処理による電解時間が30分であれば、30分の間に保たれている電圧の平均値をいう。
陽極酸化膜の側壁厚み、すなわち、細孔の深さに対してバリア層の厚みを適切な厚みに制御する観点から、保持工程における電圧が、陽極酸化処理における電圧の5%以上25%以下であることが好ましく、5%以上20%以下であることがより好ましい。
また、面内均一性がより向上する理由から、保持工程における保持時間の合計が、5分以上20分以下であることが好ましく、5分以上15分以下であることがより好ましく、5分以上10分以下であることが更に好ましい。
また、保持工程における保持時間は、通算5分以上であればよいが、連続5分以上であることが好ましい。
更に、保持工程における電圧は、陽極酸化処理工程における電圧から保持工程における電圧まで連続的又は段階的に降下させて設定してもよいが、面内均一性が更に向上する理由から、陽極酸化処理工程の終了後、1秒以内に、上述の保持電圧の95%以上105%以下の電圧に設定することが好ましい。
上述の保持工程は、例えば、上述の陽極酸化処理工程の終了時に電解電位を降下させることにより、上述の陽極酸化処理工程と連続して行うこともできる。
上述の保持工程は、電解電位以外の条件については、上述の従来公知の陽極酸化処理と同様の電解液及び処理条件を採用することができる。
特に、保持工程と陽極酸化処理工程とを連続して施す場合は、同様の電解液を用いて処理することが好ましい。
複数のマイクロポアを有する陽極酸化膜には、上述のようにマイクロポアの底部にバリア層(図示せず)が存在する。このバリア層を除去するバリア層除去工程を有する。
〔バリア層除去工程〕
バリア層除去工程は、例えば、アルミニウムよりも水素過電圧の高い金属M1のイオンを含むアルカリ水溶液を用いて、陽極酸化膜のバリア層を除去する工程である。
上述のバリア層除去工程により、バリア層が除去され、かつ、マイクロポアの底部に、金属M1からなる導電体層が形成されることになる。
ここで、水素過電圧(hydrogen overvoltage)とは、水素が発生するのに必要な電圧をいい、例えば、アルミニウム(Al)の水素過電圧は-1.66Vである(日本化学会誌,1982、(8),p1305-1313)。なお、アルミニウムの水素過電圧よりも高い金属M1の例及びその水素過電圧の値を以下に示す。
<金属M1及び水素(1N H2SO4)過電圧>
・白金(Pt):0.00V
・金(Au):0.02V
・銀(Ag):0.08V
・ニッケル(Ni):0.21V
・銅(Cu):0.23V
・錫(Sn):0.53V
・亜鉛(Zn):0.70V
本発明においては、後述する陽極酸化処理工程において充填する金属M2と置換反応を起こし、マイクロポアの内部に充填される金属の電気的な特性に与える影響が少なくなる理由から、上述のバリア層除去工程で用いる金属M1は、後述する金属充填工程で用いる金属M2よりもイオン化傾向が高い金属であることが好ましい。
具体的には、後述する金属充填工程の金属M2として銅(Cu)を用いる場合には、上述のバリア層除去工程で用いる金属M1としては、例えば、Zn、Fe、Ni、Sn等が挙げられ、中でも、Zn、Niを用いるのが好ましく、Znを用いるのがより好ましい。
また、後述する金属充填工程の金属M2としてNiを用いる場合には、上述のバリア層除去工程で用いる金属M1としては、例えば、Zn、Fe等が挙げられ、中でも、Znを用いるのが好ましい。
このような金属M1を含むアルカリ水溶液を用いてバリア層を除去する方法は特に限定されず、例えば、従来公知の化学的エッチング処理と同様の方法が挙げられる。
<化学エッチング処理>
化学エッチング処理によるバリア層の除去は、例えば、上述の陽極酸化処理工程後の構造物をアルカリ水溶液に浸漬させ、マイクロポアの内部にアルカリ水溶液を充填させた後に、陽極酸化膜のマイクロポアの開口部側の表面にpH緩衝液に接触させる方法等により、バリア層のみを選択的に溶解させることができる。
ここで、上述の金属M1を含むアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。また、アルカリ水溶液の濃度は0.1~5質量%であるのが好ましい。アルカリ水溶液の温度は、10~60℃が好ましく、更に15~45℃が好ましく、更に20~35℃であるのが好ましい。
具体的には、例えば、50g/L、40℃のリン酸水溶液、0.5g/L、30℃の水酸化ナトリウム水溶液、0.5g/L、30℃の水酸化カリウム水溶液等が好適に用いられる。
なお、pH緩衝液としては、上述したアルカリ水溶液に対応した緩衝液を適宜使用することができる。
また、アルカリ水溶液への浸せき時間は、5~120分であるのが好ましく、8~120分であるのがより好ましく、8~90分であるのが更に好ましく、10~90分であるのが特に好ましい。なかでも、10~60分であるのが好ましく、15~60分であるのがより好ましい。
細孔13は、マイクロポアを拡径し、かつバリア層を除去して形成することもできる。この場合、マイクロポアの拡径には、ポアワイド処理が用いられる。ポアワイド処理は、陽極酸化膜を、酸水溶液又はアルカリ水溶液に浸漬させることにより、陽極酸化膜を溶解させ、マイクロポアの孔径を拡大する処理である、ポアワイド処理には、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等の無機酸又はこれらの混合物の水溶液、又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウム等の水溶液を用いることができる。
なお、ポアワイド処理でも、マイクロポアの底部のバリア層を除去することができ、ポアワイド処理において水酸化ナトリウム水溶液を用いることにより、マイクロポアが拡径され、かつバリア層が除去される。
〔金属充填工程〕
<金属充填工程に用いられる金属>
金属充填工程において、導体を形成するために、上述の細孔13の内部に導電体として充填される金属、及び金属層を構成する金属は、電気抵抗率が103Ω・cm以下の材料であることが好ましい。上述の金属の具体例としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)、及び亜鉛(Zn)が好適に例示される。
なお、導電体としては、電気伝導性、及びめっき法による形成の観点から、銅(Cu)、金(Au)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)が好ましく、銅(Cu)、金(Au)がより好ましく、銅(Cu)が更に好ましい。
<めっき法>
細孔の内部に金属を充填するめっき法としては、例えば、電解めっき法又は無電解めっき法を用いることができる。
ここで、着色等に用いられる従来公知の電解めっき法では、選択的に孔中に金属を高アスペクトで析出(成長)させることは困難である。これは、析出金属が孔内で消費され一定時間以上電解を行なってもめっきが成長しないためと考えられる。
そのため、電解めっき法により金属を充填する場合は、パルス電解又は定電位電解の際に休止時間をもうける必要がある。休止時間は、10秒以上必要で、30~60秒であることが好ましい。
また、電解液のかくはんを促進するため、超音波を加えることも望ましい。
更に、電解電圧は、通常20V以下であって望ましくは10V以下であるが、使用する電解液における目的金属の析出電位を予め測定し、その電位+1V以内で定電位電解を行なうことが好ましい。なお、定電位電解を行なう際には、サイクリックボルタンメトリを併用できるものが望ましく、Solartron社、BAS株式会社、北斗電工株式会社、IVIUM社等のポテンショスタット装置を用いることができる。
(めっき液)
めっき液は、従来公知のめっき液を用いることができる。
具体的には、銅を析出させる場合には硫酸銅水溶液が一般的に用いられるが、硫酸銅の濃度は、1~300g/Lであることが好ましく、100~200g/Lであるのがより好ましい。また、電解液中に塩酸を添加すると析出を促進することができる。この場合、塩酸濃度は10~20g/Lであることが好ましい。
また、金を析出させる場合、テトラクロロ金の硫酸溶液を用い、交流電解でめっきを行なうのが望ましい。
めっき液は、界面活性剤を含むことが好ましい。
界面活性剤としては公知のものを使用することができる。従来メッキ液に添加する界面活性剤として知られているラウリル硫酸ナトリウムをそのまま使用することもできる。親水性部分がイオン性(カチオン性・アニオン性・双性)のもの、非イオン性(ノニオン性)のものいずれも利用可能であるが、メッキ対象物表面への気泡の発生等を回避する点でカチオン線活性剤が望ましい。めっき液組成における界面活性剤の濃度は1質量%以下であることが望ましい。
なお、無電解めっき法では、アスペクトの高い細孔からなる孔中に金属を完全に充填には長時間を要するので、電解めっき法を用いて細孔に金属を充填することが望ましい。
〔基板除去工程〕
基板除去工程は、金属充填工程の後に、上述のアルミニウム基板を除去する工程である。アルミニウム基板を除去する方法は特に限定されず、例えば、溶解により除去する方法等が好適に挙げられる。
<アルミニウム基板の溶解>
上述のアルミニウム基板の溶解は、陽極酸化膜を溶解しにくく、アルミニウムを溶解しやすい処理液を用いることが好ましい。
このような処理液は、アルミニウムに対する溶解速度が、1μm/分以上であることが好ましく、3μm/分以上であることがより好ましく、5μm/分以上であることが更に好ましい。同様に、陽極酸化膜に対する溶解速度が、0.1nm/分以下となることが好ましく、0.05nm/分以下となるのがより好ましく、0.01nm/分以下となるのが更に好ましい。
具体的には、アルミよりもイオン化傾向の低い金属化合物を少なくとも1種含み、かつ、pH(水素イオン指数)が4以下又は8以上となる処理液であることが好ましく、そのpHが3以下又は9以上であることがより好ましく、2以下又は10以上であることが更に好ましい。
アルミニウムを溶解する処理液としては、酸又はアルカリ水溶液をベースとし、例えば、マンガン、亜鉛、クロム、鉄、カドミウム、コバルト、ニッケル、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、銅、水銀、銀、パラジウム、白金、金の化合物(例えば、塩化白金酸)、これらのフッ化物、これらの塩化物等を配合したものであることが好ましい。
中でも、酸水溶液ベースが好ましく、塩化物をブレンドすることが好ましい。
特に、塩酸水溶液に塩化水銀をブレンドした処理液(塩酸/塩化水銀)、塩酸水溶液に塩化銅をブレンドした処理液(塩酸/塩化銅)が、処理ラチチュードの観点から好ましい。
なお、アルミニウムを溶解する処理液の組成は、特に限定されるものではく、例えば、臭素/メタノール混合物、臭素/エタノール混合物、及び王水等を用いることができる。
また、アルミニウムを溶解する処理液の酸又はアルカリ濃度は、0.01~10mol/Lが好ましく、0.05~5mol/Lがより好ましい。
更に、アルミニウムを溶解する処理液を用いた処理温度は、-10℃~80℃が好ましく、0℃~60℃が好ましい。
また、上述のアルミニウム基板の溶解は、上述のめっき工程後のアルミニウム基板を上述の処理液に接触させることにより行う。接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸漬法、スプレー法が挙げられる。中でも、浸漬法が好ましい。このときの接触時間としては、10秒~5時間が好ましく、1分~3時間がより好ましい。
なお、絶縁膜12に、例えば、支持体を設けてもよい。支持体は絶縁膜12と同じ外形状であることが好ましい。支持体を取り付けることにより、取扱い性が増す。
〔突出工程〕
上述の絶縁膜12の一部除去には、例えば、導体14を構成する金属を溶解せず、絶縁膜12、すなわち、酸化アルミニウム(Al)を溶解する酸水溶液又はアルカリ水溶液が用いられる。上述の酸水溶液又はアルカリ水溶液を、金属が充填された細孔13を有する絶縁膜12に接触させることにより、絶縁膜12を一部除去する。上述の酸水溶液又はアルカリ水溶液を絶縁膜12に接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸漬法及びスプレー法が挙げられる。中でも浸漬法が好ましい。
酸水溶液を用いる場合は、硫酸、リン酸、硝酸及び塩酸等の無機酸又はこれらの混合物の水溶液を用いることが好ましい。中でもクロム酸を含有しない水溶液が安全性に優れる点で好ましい。酸水溶液の濃度は1~10質量%であることが好ましい。酸水溶液の温度は、25~60℃であることが好ましい。
また、アルカリ水溶液を用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液の濃度は0.1~5質量%であることが好ましい。アルカリ水溶液の温度は、20~35℃であることが好ましい。
具体的には、例えば、50g/L、40℃のリン酸水溶液、0.5g/L、30℃の水酸化ナトリウム水溶液又は0.5g/L、30℃の水酸化カリウム水溶液が好適に用いられる。
酸水溶液又はアルカリ水溶液への浸漬時間は、8~120分であることが好ましく、10~90分であるのがより好ましく、15~60分であるのが更に好ましい。ここで、浸漬時間は、短時間の浸漬処理を繰り返した場合には、各浸漬時間の合計をいう。なお、各浸漬処理の間には、洗浄処理を施してもよい。
また、金属35、すなわち、導体14を絶縁膜12の表面12a又は裏面12bより突出させる程度であるが、導体14を絶縁膜12の表面12a又は裏面12bよりも10nm~1000nm突出させることが好ましく、50nm~500nm突出させることがより好ましい。すなわち、突出部14aの絶縁膜12の表面12aからの突出量、突出部14bの絶縁膜12の裏面12bからの導体14の突出量は、それぞれ10nm~1000nmが好ましく、より好ましくは50nm~500nmである。
導体14の突出部14a,14bの高さは、金属充填微細構造体10の断面を電解放出形走査型電子顕微鏡により2万倍の倍率で観察し、導体の突出部の高さを10点で測定した平均値をいう。
導体14の突出部の高さを厳密に制御する場合は、細孔13の内部に、金属等の導電性物質を充填した後、絶縁膜12と、金属等の導電性物質の端部とを同一平面状になるように加工した後、陽極酸化膜を選択的に除去することが好ましい。
また、上述の金属の充填後、又は突出工程の後に、金属の充填に伴い発生した導体14内の歪みを軽減する目的で、加熱処理を施すことができる。
加熱処理は、金属の酸化を抑制する観点から還元性雰囲気で施すことが好ましく、具体的には、酸素濃度が20Pa以下で行うことが好ましく、真空下で行うことがより好ましい。ここで、真空とは、大気よりも、気体密度及び気圧のうち、少なくとも一方が低い空間の状態をいう。
また、加熱処理は、矯正の目的で、絶縁膜12に応力を加えながら行うことが好ましい。
〔樹脂層形成工程〕
上述のように、導体が突出している絶縁膜の面を覆う樹脂層を形成する工程である。樹脂層は、導体の保護、更には搬送性の向上から設ける。
樹脂層形成工程は、上述の金属充填工程の後、表面金属突出工程の後であって、基板除去工程の前に、実施する工程である。
樹脂層は、上述のように熱剥離性接着剤を含むものである。樹脂層は、搬送性の観点と、異方導電性部材として使用しやすくする観点から、加熱処理により粘着性が弱くなり、剥離可能となる粘着層付きフィルムであるのがより好ましい。
上述の粘着層付きフィルムを貼り付ける方法は特に限定されず、従来公知の表面保護テープ貼付装置又はラミネーターを用いて貼り付けることができる。
上述の加熱処理により粘着性が弱くなり、剥離可能となる粘着層付きフィルムとしては、熱剥離型の樹脂層が挙げられる。
ここで、熱剥離型の樹脂層は、常温では粘着力があり、加熱するだけで容易に剥離可能なもので、主に発泡性のマイクロカプセル等を用いたものが多い。
また、粘着層を構成する粘着剤としては、具体的には、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、及びスチレン-ジエンブロック共重合体系粘着剤等が挙げられる。
熱剥離型の樹脂層の市販品としては、例えば、WS5130C02、WS5130C10等のインテリマー〔登録商標〕テープ(ニッタ株式会社製);ソマタック〔登録商標〕TEシリーズ(ソマール株式会製);No.3198、No.3198LS、No.3198M、No.3198MS、No.3198H、No.3195、No.3196、No.3195M、No.3195MS、No.3195H、No.3195HS、No.3195V、No.3195VS、No.319Y-4L、No.319Y-4LS、No.319Y-4M、No.319Y-4MS、No.319Y-4H、No.319Y-4HS、No.319Y-4LSC、No.31935MS、No.31935HS、No.3193M、No.3193MS等のリバアルファ〔登録商標〕シリーズ(日東電工株式会社製);等が挙げられる。
〔加熱工程〕
加熱工程は、樹脂層を除去するために、樹脂層を除去しやすくするための工程である。しかも、樹脂層を単に加熱した場合、導体を構成する金属種によっては酸化されて電気抵抗の上昇してしまうことがある。このため、金属充填微細構造体を異方導電性部材に用いて、半導体チップを電気的に接続した場合、電気伝導性が低下することがある。しかしながら、加熱工程を、酸素分圧が10000Pa以下の雰囲気で実施することにより、電気抵抗の上昇が抑制され、半導体チップを電気的に接続した場合、電気伝導性が良好になる。
加熱工程は、雰囲気の酸素分圧が10000Pa以下であるが、1.0Pa以下であること好ましい。酸素分圧が10000Pa以下であれば、導体の酸化が抑制されるが、酸素分圧が小さい程、導体の金属種によらずに酸化が抑制されるため好ましい。
加熱工程は、以下に示す雰囲気とすることができる。例えば、雰囲気の全圧を100%とするとき、雰囲気の不活性ガスの分圧が、雰囲気の全圧の85%以上であることが好ましい。雰囲気における不活性ガスの分圧が、全圧の85%以上であれば、相対的に酸素分圧を小さくでき、しかも導体の酸化も抑制できる。
なお、不活性ガスの分圧については、例えば、加熱工程を実施する容器内への不活性ガスの供給量を調整することにより不活性ガスの分圧を調整できる。
また、加熱工程において、例えば、雰囲気の全圧を100%とするとき、雰囲気の還元性ガスの分圧が、雰囲気の全圧の85%以上であることが好ましい。雰囲気における還元性ガスの分圧が、全圧の85%以上であれば、相対的に酸素分圧を小さくでき、しかも導体の酸化も抑制できる。なお、還元性ガスは導体との反応が小さいガスであることが好ましい。
なお、還元性ガスの分圧については、例えば、加熱工程を実施する容器内への還元性ガスの供給量を調整することにより還元性ガスの分圧を調整できる。
<不活性ガス>
不活性ガスは、特に限定されるものではないが、例えば、ヘリウムガス、ネオンガス、及びアルゴンガス等の希ガス、又は窒素ガス等である。不活性ガスとしては、上述の各種のガスを単独で用いてもよいが、少なくとも2つのガスを混合してもよい。
<還元性ガス>
還元性ガスは、特に限定されるものではないが、例えば、水素ガス、一酸化炭素ガス、又は、CH、C、もしくはC10等の炭化水素ガスである。還元性ガスとしては、上述の各種のガスを単独で用いてもよいが、少なくとも2つのガスを混合してもよい。
また、加熱工程の雰囲気の全圧は5.0Pa以下であることが好ましい。加熱工程の雰囲気の全圧が5.0Pa以下であれば、雰囲気の酸素分圧が小さくなり、導体の酸化を抑制できるため好ましい。雰囲気の全圧は、例えば、真空ポンプを用いて容器内の圧力を小さくすることにより5.0Pa以下にできる。
<加熱工程の雰囲気>
加熱工程の雰囲気は、上述のように脱気により酸素分圧を下げてもよいし、不活性ガス又は還元性ガスにより大気を置換してもよいし、不活性ガス及び還元性ガスにより大気を置換してもよい。
加熱工程における加熱条件は、温度が80~350℃であることが好ましく、温度が90~250℃であることがより好ましく、温度が100~200℃であることが最も好ましい。なお、加熱工程における樹脂層の到達温度が150℃以下であることが好ましい。加熱工程において、上述の温度範囲よりも温度が低いと、樹脂層を剥離しにくくなる。一方、温度が高いと充填金属の酸化が進行、すなわち、導体の酸化が進行したり、構造体のヒビ又は割れ等の欠陥の原因となる。
〔除去工程〕
加熱工程後に、樹脂層を除去する工程である。除去工程は、樹脂層を除去することができれば、特に限定されるものではない。
また、除去工程は、加熱工程と同じ雰囲気である必要はなく、樹脂層を加熱した後、例えば、加熱工程に用いた容器から取り出し、大気雰囲気で実施してもよい。
<他の製造工程>
所望の形状のマスク層を用いてアルミニウム基板の表面の一部に陽極酸化処理を施してもよい。
〔巻取工程〕
なお、基板除去された、図7に示す構造体18は、図12に示すように、巻き芯21にロール状に巻き取られた状態で供給することを意図した態様である。例えば、金属充填微細構造体10を異方導電性部材として使用する時に、上述の加熱工程及び樹脂層16の除去工程を実施して、樹脂層16(図13参照)を除去する。これにより、例えば、金属充填微細構造体10を異方導電性部材として使用することができる。
金属充填微細構造体10の搬送性が更に向上する理由から、上述の任意の樹脂層形成工程の後に上述の樹脂層16を有する状態で金属充填微細構造体10をロール状に巻き取る巻取工程を有していることが好ましい。
ここで、上述の巻取工程における巻き取り方法は特に限定されず、例えば、所定径及び所定幅の巻き芯21(図12参照)に巻き取る方法が挙げられる。
また、上述の巻取工程における巻き取りやすさの観点から、樹脂層16(図13参照)を除く金属充填微細構造体10の平均厚みが30μm以下であることが好ましく、5~20μmであることがより好ましい。なお、平均厚みは、樹脂層を除く金属充填微細構造体10を厚さ方向に対してFIB(Focused Ion Beam)で切削加工し、その断面を電界放射型走査電子顕微鏡(FE-SEM)により表面写真(倍率50000倍)を撮影し、10点測定した平均値とする等の方法で算出できる。
〔その他の処理工程〕
本発明の製造方法は、上述の各工程以外に、国際公開第2015/029881号の[0049]~[0057]段落に記載された研磨工程、表面平滑化工程、保護膜形成処理、水洗処理を有していてもよい。
また、製造上のハンドリング性、及び金属充填微細構造体10を異方導電性部材として用いる観点から、以下に示すような、種々のプロセス及び形式を適用することができる。
<仮接着剤を使用したプロセス例>
本発明においては、上述の基板除去工程の後に、金属充填微細構造体を仮接着剤(Temporary Bonding Materials)を用いてシリコンウエハ上に固定し、研磨により薄層化する工程を有していてもよい。
次いで、薄層化の工程の後、表面を十分に洗浄した後に、上述の表面金属突出工程を行うことができる。
次いで、金属を突出させた表面に、先の仮接着剤よりも接着力の強い仮接着剤を塗布してシリコンウエハ上に固定した後、先の仮接着剤で接着していたシリコンウエハを剥離し、剥離した金属充填微細構造体側の表面に対して、上述の裏面金属突出工程を行うことができる。
<WAXを使用したプロセス例>
本発明においては、上述の基板除去工程の後に、金属充填微細構造体をワックスを用いてシリコンウエハ上に固定し、研磨により薄層化する工程を有していてもよい。
次いで、薄層化の工程の後、表面を十分に洗浄した後に、上述の表面金属突出工程を行うことができる。
次いで、金属を突出させた表面に、仮接着剤を塗布してシリコンウエハ上に固定した後、加熱により先のワックスを溶解させてシリコンウエハを剥離し、剥離した金属充填微細構造体側の表面に対して、上述の裏面金属突出工程を行うことができる。
なお、固形ワックスを使っても構わないが、スカイコート(日化精工社製)等を使うと塗布厚均一性の向上を図ることができる。
<基板除去処理を後から行うプロセス例>
本発明においては、上述の金属充填工程の後であって上述の基板除去工程の前に、アルミニウム基板を仮接着剤、ワックス又は機能性吸着フィルムを用いて剛性基板(例えば、シリコンウエハ、ガラス基板等)に固定した後に、上述の陽極酸化膜の上述のアルミニウム基板が設けられていない側の表面を研磨により薄層化する工程を有していてもよい。
次いで、薄層化の工程の後、表面を十分に洗浄した後に、上述の表面金属突出工程を行うことができる。
次いで、金属を突出させた表面に、絶縁性材料である樹脂材料(例えば.エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等)を塗布したのち、その表面に上述と同様の手法で剛性基板を貼り付けることができる。樹脂材料による貼り付けは、接着力が仮接着剤等による接着力よりも大きくなるようなものを選択し、樹脂材料による貼り付けの後に、最初に貼り付けた剛性基板は剥離し、上述した基板除去工程、研磨工程及び裏面金属突出処理工程を順に行うことができる。
なお、機能性吸着フィルムとしては、Q-chuck(登録商標)(丸石産業株式会社製)等を使用することができる。
本発明においては、金属充填微細構造体が剥離可能な層によって剛体基板(例えば、シリコンウエハ、ガラス基板等)に貼り付けられた状態で製品として供されることが好ましい。
このような供給形態においては、金属充填微細構造体を接合部材として利用する場合には、金属充填微細構造体の表面をデバイス表面に仮接着し、剛体基板を剥離した後に接続対象となるデバイスを適切な場所に設置し、加熱圧着することで上下のデバイスを金属充填微細構造体によって接合することができる。
また、剥離可能な層には、熱剥離層を用いても構わないし、ガラス基板との組合せで光剥離層を用いても構わない。
また、本発明の製造方法においては、上述した各工程は、各工程を枚葉で行うことも可能であるし、アルミニウムのコイルを原反としてウェブで連続処理することもできる。
また、連続処理する場合には各工程間に適切な洗浄工程、乾燥工程を設置することが好ましい。
このような各処理工程を有する本発明の製造方法により、アルミニウム基板の陽極酸化膜からなる絶縁性基材に設けられたマイクロポア由来の貫通孔の内部に金属が充填されてなる金属充填微細構造体が得られる。
具体的には、本発明の製造方法により、例えば、特開2008-270158号公報に記載された異方導電性部材、すなわち、絶縁性基材(マイクロポアを有するアルミニウム基板の陽極酸化膜)中に、導電性部材(金属)からなる複数の導通路が、互いに絶縁された状態で上述の絶縁性基材を厚み方向に貫通し、かつ、上述の各導通路の一端が上述の絶縁性基材の一方の面において露出し、上述の各導通路の他端が上述の絶縁性基材の他方の面において露出した状態で設けられる異方導電性部材を得ることができる。
以下、金属充填微細構造体の構成についてより具体的に説明する。
〔絶縁膜〕
絶縁膜12は、導電体で構成された、複数の導体14を互いに電気的に絶縁された状態にするものである、絶縁膜は、電気的な絶縁性を有する。また、絶縁膜12は、導体14が形成される複数の細孔13を有する。
絶縁膜は、例えば、無機材料からなる。絶縁膜は、例えば、1014Ω・cm程度の電気抵抗率を有するものを用いることができる。
なお、「無機材料からなり」とは、高分子材料と区別するための規定であり、無機材料のみから構成された絶縁性基材に限定する規定ではなく、無機材料を主成分(50質量%以上)とする規定である。絶縁膜は、上述のように、例えば、陽極酸化膜で構成される。
また、絶縁膜は、例えば、金属酸化物、金属窒化物、ガラス、シリコンカーバイド、シリコンナイトライド等のセラミックス、ダイヤモンドライクカーボン等のカーボン基材、ポリイミド、これらの複合材料等により構成することもできる。絶縁膜としては、これ以外に、例えば、貫通孔を有する有機素材上に、セラミックス材料又はカーボン材料を50質量%以上含む無機材料で成膜したものであってもよい。
絶縁膜12の厚み方向Dtにおける長さ、すなわち、絶縁膜12の厚みは、1~1000μmの範囲内であるのが好ましく、5~500μmの範囲内であるのがより好ましく、10~300μmの範囲内であるのが更に好ましい。絶縁膜12の厚みがこの範囲であると、絶縁膜12の取り扱い性が良好となる。
絶縁膜12の厚みhtは、巻き取りやすさの観点から、30μm以下であることが好ましく、5~20μmであることがより好ましい。
なお、陽極酸化膜の厚みは、陽極酸化膜を厚み方向Dtに対して集束イオンビーム(FIB)で切削加工し、その断面を電界放射型走査電子顕微鏡(FE-SEM)により表面写真(倍率5万倍)を撮影し、10点測定した平均値として算出した値である。
絶縁膜12における各導体14の間隔は、5nm~800nmであることが好ましく、10nm~200nmであることがより好ましく、20nm~60nmであることが更に好ましい。絶縁膜12における各導体14の間隔が上述の範囲であると、絶縁膜12が、導体14の電気絶縁性の隔壁として十分に機能する。
ここで、各導体の間隔とは、隣接する導体間の幅をいい、金属充填微細構造体10の断面を電解放出形走査型電子顕微鏡により20万倍の倍率で観察し、隣接する導体間の幅を10点で測定した平均値をいう。
<細孔の平均直径>
細孔の平均直径は、1μm以下であることが好ましく、5~500nmであることがより好ましく、20~400nmであることが更に好ましく、40~200nmであることがより一層好ましく、50~100nmであることが最も好ましい。細孔13の平均直径dが1μm以下であり、上述の範囲であると、上述の平均直径を有する導体14を得ることができる。
細孔13の平均直径は、走査型電子顕微鏡を用いて絶縁膜12の表面を真上から倍率100~10000倍で撮影し撮影画像を得る。撮影画像において、周囲が環状に連なっている細孔を少なくとも20個抽出し、その直径を測定し開口径とし、これら開口径の平均値を細孔の平均直径として算出する。
なお、倍率は、細孔を20個以上抽出できる撮影画像が得られるように上述した範囲の倍率を適宜選択することができる。また、開口径は、細孔部分の端部間の距離の最大値を測定した。すなわち、細孔の開口部の形状は略円形状に限定はされないので、開口部の形状が非円形状の場合には、細孔部分の端部間の距離の最大値を開口径とする。したがって、例えば、2以上の細孔が一体化したような形状の細孔の場合にも、これを1つの細孔とみなし、細孔部分の端部間の距離の最大値を開口径とする。
〔導体〕
複数の導体14は、上述のように、陽極酸化膜において、互いに電気的に絶縁された状態で設けられている。
複数の導体14は、電気導電性を有する。導体は、導電性物質で構成される。導電性物質は、特に限定されるものではなく、金属が挙げられる。金属の具体例としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、及びニッケル(Ni)等が好適に例示される。電気伝導性の観点から、銅、金、アルミニウム、及びニッケルが好ましく、銅及び金がより好ましく、銅が最も好ましい。金属のうち、銅は卑金属であるが、卑金属でもよい。卑金属は、空気中で酸化されやすいが、金属充填微細構造体の製造方法では、導体を卑金属で構成しても、電気伝導性が良好な金属充填微細構造体を得ることができる。
金属以外に、酸化物導電物質が挙げられる。酸化物導電物質としては、例えば、インジウムがドープされたスズ酸化物(ITO)等が例示される。しかしながら、金属は酸化物導電体に比して延性等に優れ変形しやすく、接合際の圧縮でも変形しやすいため、金属で構成することが好ましい。
また、例えば、Cu又はAg等のナノ粒子を含有する導電性樹脂で導体を構成することもできる。
厚み方向Dtにおける導体14の高さHは、10~300μmであることが好ましく、20~30μmであることがより好ましい。
<導体の形状>
複数の導体は、導体の長手方向、すなわち、絶縁膜12の厚み方向Dtに対して垂直な断面における断面積が20μm以下の導体を有することが好ましい。断面積が20μm以下の導体は、直径dで約3.99μm以下である。
また、導体14の平均直径dは1μm以下であることがより好ましく、5~500nmであることが更に好ましく、20~400nmであることが更により好ましく、40~200nmであることがより一層好ましく、50~100nmであることが最も好ましい。
導体14の密度は、2万個/mm2以上であることが好ましく、200万個/mm2以上であることがより好ましく、1000万個/mm2以上であることが更に好ましく、5000万個/mm2以上であることが特に好ましく、1億個/mm2以上であることが最も好ましい。
更に、隣接する各導体14の中心間距離pは、20nm~500nmであることが好ましく、40nm~200nmであることがより好ましく、50nm~140nmであることが更に好ましい。
導体の平均直径は、走査型電子顕微鏡を用いて陽極酸化膜の表面を真上から倍率100~10000倍で撮影し撮影画像を得る。撮影画像において、周囲が環状に連なっている導体を少なくとも20個抽出し、その直径を測定し開口径とし、これら開口径の平均値を導体の平均直径として算出する。
なお、倍率は、導体を20個以上抽出できる撮影画像が得られるように上述した範囲の倍率を適宜選択することができる。また、開口径は、導体部分の端部間の距離の最大値を測定した。すなわち、導体の開口部の形状は略円形状に限定はされないので、開口部の形状が非円形状の場合には、導体部分の端部間の距離の最大値を開口径とする。従って、例えば、2以上の導体が一体化したような形状の導体の場合にも、これを1つの導体とみなし、導体部分の端部間の距離の最大値を開口径とする。
<突出部>
突出部は導体の一部であり、柱状である。突出部は、接合対象との接触面積を大きくできることから、円柱状であることが好ましい。
突出部14aの平均突出長さ及び突出部14bの平均長さは、30nm~500nmが好ましく、上限値としては100nm以下であることがより好ましい。
突出部14aの平均突出長さ及び突出部14bの平均長さは、上述のように電界放出形走査型電子顕微鏡を用いて突出部の断面画像を取得し、断面画像に基づき、突出部の高さを、それぞれ10点測定し、測定した平均値である。
〔樹脂層〕
樹脂層は、上述のように陽極酸化膜の表面及び裏面のうち、少なくとも一方の面に設けられており、例えば、導体の突出部を埋設するものである。すなわち、樹脂層は、陽極酸化膜から突出した導体の端部を被覆し、突出部を保護する。
樹脂層は、上述の機能を発揮するために、例えば、50℃~200℃の温度範囲で流動性を示し、200℃以上で硬化するものであることが好ましい。樹脂層については後に詳細に説明する。
導体14の平均突出長さは、樹脂層16の平均厚さ未満であることが好ましい。導体14の突出部14aの平均突出長さ及び突出部14bの平均長さは、いずれも樹脂層16の平均厚さ未満であれば、突出部14a、14bは、いずれも樹脂層16の樹脂層部20aに埋設され、導体14が樹脂層16により保護される。
樹脂層16の平均厚さは、絶縁膜12の表面12aからの平均距離、又は絶縁膜12の裏面12bからの平均距離である。上述の樹脂層16の平均厚さは、樹脂層を金属充填微細構造体10の厚み方向Dtに切断し、電界放射型走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて切断断面の断面観察を行い、樹脂層に該当する、10箇所について絶縁膜12の表面12aからの距離を測定し、10点の測定値の平均値である。また、樹脂層に該当する、10箇所について絶縁膜12の裏面12bからの距離を測定し、10点の測定値の平均値である。
樹脂層の平均厚さは、200~1000nmであることが好ましく、より好ましくは400~600nmである。樹脂層の平均厚さが上述の200~1000nmであれば、導体14の突出部を保護する効果が十分に発揮できる。
なお、金属充填微細構造体10の各部位の大きさについては、特に断りがなければ、金属充填微細構造体10を厚み方向Dtに切断し、電界放射型走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて切断断面の断面観察を行い、各サイズに該当する箇所を10点測定した平均値である。
[積層デバイス]
図14は本発明の実施形態の金属充填微細構造体を用いた積層デバイスの一例を示す模式図である。なお、図14に示す積層デバイス40は、上述の金属充填微細構造体10(図8、及び図11参照)を、異方導電性を示す異方導電性部材45として用いたものである。
図14に示す積層デバイス40は、例えば、半導体素子42と異方導電性部材45と半導体素子44とがこの順で積層方向Dsに接合され、かつ電気的に接続されたものである。異方導電性部材45は、金属充填微細構造体10(図8、及び図11参照)の導体14(図8、及び図11参照)が積層方向Dsと平行に配置されており、積層デバイス40は積層方向Dsに導電性を有する。
積層デバイス40は、1つの半導体素子42に対して1つの半導体素子44を接合する形態であるが、これ限定されるものではない。異方導電性部材45を介して、3つの半導体素子を接合する形態でもよい。この場合、3つの半導体素子と2つの異方導電性部材45とにより積層デバイスが構成される。
積層デバイス40は、半導体素子を有するものに限定されるものではなく、電極を有する基板であってもよい。電極を有する基板は、例えば、配線基板、及びインターポーザー等である。
なお、積層デバイスの形態は、特に限定されるものではなく、例えば、SoC(System on a chip)、SiP(System in Package)、PoP(Package on Package)、PiP(Package in Package)、CSP(Chip Scale Package)、TSV(Through Silicon Via)等が挙げられる。
積層デバイス40は、光学センサーとして機能する半導体素子を有するものでもよい。例えば、半導体素子とセンサチップ(図示せず)とが積層方向Dsに積層されている。センサチップにはレンズが設けられていてもよい。
この場合、半導体素子は、ロジック回路が形成されたものであり、センサチップで得られる信号を処理することができれば、その構成は特に限定されるものではない。
センサチップは、光を検出する光センサーを有するものである。光センサーは、光を検出することができれば、特に限定されるものではなく、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサー又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサーが用いられる。
レンズは、センサチップに光を集光することができれば、その構成は特に限定されるものではなく、例えば、マイクロレンズと呼ばれるものが用いられる。
なお、上述の半導体素子42、半導体素子44及び半導体素子46は、素子領域(図示せず)を有するものを用いることができる。素子領域については後述の通りである。素子領域は素子構成回路等が形成されており、半導体素子には、例えば、再配線層(図示せず)が設けられている。
積層デバイスでは、例えば、論理回路を有する半導体素子と、メモリ回路を有する半導体素子の組合せとすることができる。また、半導体素子を全てメモリ回路を有するものとしてもよく、また、全て論理回路を有するものとしてもよい。また、積層デバイス40における半導体素子の組合せとしては、センサー、アクチュエーター及びアンテナ等と、メモリ回路と論理回路との組み合わせでもよく、積層デバイス40の用途等に応じて適宜決定されるものである。
〔構造体の接合対象物〕
構造体の接合対象物は、上述のように半導体素子を例示したが、例えば、電極又は素子領域を有するものである。電極を有するものとしては、例えば、単体で特定の機能を発揮する半導体素子等が例示されるが、複数のものが集まって特定の機能を発揮するものも含まれる。更には、配線部材等の電気信号を伝達するだけのものも含まれ、プリント配線板等も電極を有するものに含まれる。
素子領域とは、電子素子として機能するための各種の素子構成回路等が形成された領域である。素子領域には、例えば、フラッシュメモリ等のようなメモリ回路、マイクロプロセッサ及びFPGA(field-programmable gate array)等のような論理回路が形成された領域、無線タグ等の通信モジュールならびに配線が形成された領域である。素子領域には、これ以外にMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)が形成されてもよい。MEMSとしては、例えば、センサー、アクチュエーター及びアンテナ等が挙げられる。センサーには、例えば、加速度、音、及び光等の各種のセンサーが含まれる。
上述のように、素子領域は素子構成回路等が形成されており、半導体チップを外部と電気的に接続するために電極(図示せず)が設けられている。素子領域は電極が形成された電極領域を有する。なお、素子領域の電極とは、例えば、Cuポストである。電極領域とは、基本的には、形成された全ての電極を含む領域のことである。しかしながら、電極が離散して設けられていれば、各電極が設けられている領域のことも電極領域という。
構造体の形態としては、半導体チップのように個片化されたものでも、半導体ウエハのような形態でもよく、配線層の形態でもよい。
また、構造体は、接合対象物と接合されるが、接合対象物は、上述の半導体素子等に特に限定されるものではなく、例えば、ウエハ状態の半導体素子、チップ状態の半導体素子、プリント配線板、及びヒートシンク等が接合対象物となる。
〔半導体素子〕
上述の半導体素子42、及び半導体素子44は、上述のもの以外に、例えば、ロジックLSI(Large Scale Integration)(例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASSP(Application Specific Standard Product)等)、マイクロプロセッサ(例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等)、メモリ(例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、HMC(Hybrid Memory Cube)、MRAM(MagneticRAM:磁気メモリ)とPCM(Phase-Change Memory:相変化メモリ)、ReRAM(Resistive RAM:抵抗変化型メモリ)、FeRAM(Ferroelectric RAM:強誘電体メモリ)、フラッシュメモリ(NAND(Not AND)フラッシュ)等)、LED(Light Emitting Diode)、(例えば、携帯端末のマイクロフラッシュ、車載用、プロジェクタ光源、LCDバックライト、一般照明等)、パワー・デバイス、アナログIC(Integrated Circuit)、(例えば、DC(Direct Current)-DC(Direct Current)コンバータ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、(例えば、加速度センサー、圧力センサー、振動子、ジャイロセンサ等)、ワイヤレス(例えば、GPS(Global Positioning System)、FM(Frequency Modulation)、NFC(Nearfieldcommunication)、RFEM(RF Expansion Module)、MMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuit)、WLAN(WirelessLocalAreaNetwork)等)、ディスクリート素子、BSI(Back Side Illumination)、CIS(Contact Image Sensor)、カメラモジュール、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)、Passiveデバイス、SAW(Surface Acoustic Wave)フィルタ、RF(Radio Frequency)フィルタ、RFIPD(Radio Frequency Integrated Passive Devices)、BB(Broadband)等が挙げられる。
半導体素子は、例えば、1つで完結したものであり、半導体素子単体で、回路又はセンサー等の特定の機能を発揮するものである。半導体素子は、インターポーザー機能を有するものであってもよい。また、例えば、インターポーザー機能を有するデバイス上に、論理回路を有する論理チップ、及びメモリーチップ等の複数のデバイスを積層することも可能である。また、この場合、それぞれのデバイスごとに電極サイズが異なっていても接合することができる。
なお、積層デバイスとしては、1つの半導体素子に複数の半導体素子を接合する形態である1対複数の形態に限定されるものではなく、複数の半導体素子と複数の半導体素子とを接合する形態である複数対複数の形態でもよい。
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明の金属充填微細構造体の製造方法について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良又は変更をしてもよいのはもちろんである。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、及び、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例では、実施例1~実施例12の金属充填微細構造体及び比較例1の金属充填微細構造体を作製した。実施例1~実施例12及び比較例1の金属充填微細構造体について、導電性を評価した。導電性の評価結果を下記表1に示す。以下、導電性の評価について説明する。
<導電性>
株式会社ウォルツ製のTEGチップ(デイジーチェインパターン)及びインターポーザーを用意し、これらをチップボンダーの上下に設置し、予めアライメントを調整した。
アライメント調整後、下側に設置したインターポーザーのCuポスト側に、作製した各金属充填微細構造体を重ね合わせ、常温接合装置(WP-100(型式)、株式会社PMT社製)を用いて、温度250℃、1分間、6MPaの条件で加熱圧着をし、接合した。接合後のサンプルについて、チップ配線間の電気抵抗を測定した。
以下、実施例1~実施例12及び比較例1について説明する。
(実施例1)
実施例1の金属充填微細構造体について説明する。
[金属充填微細構造体]
<アルミニウム基板の作製>
Si:0.06質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0.005質量%、Mn:0.001質量%、Mg:0.001質量%、Zn:0.001質量%、Ti:0.03質量%を含有し、残部はAlと不可避不純物のアルミニウム合金を用いて溶湯を調製し、溶湯処理及びろ過を行った上で、厚さ500mm、幅1200mmの鋳塊をDC(Direct Chill)鋳造法で作製した。
次いで、表面を平均10mmの厚さで面削機により削り取った後、550℃で、約5時間均熱保持し、温度400℃に下がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの圧延板とした。
更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を500℃で行った後、冷間圧延で、厚さ1.0mmに仕上げ、JIS(Japanese Industrial Standards) 1050材のアルミニウム基板を得た。
このアルミニウム基板を幅1030mmにした後、以下に示す各処理を施した。
<電解研磨処理>
上述のアルミニウム基板に対して、以下組成の電解研磨液を用いて、電圧25V、液温度65℃、液流速3.0m/minの条件で電解研磨処理を施した。
陰極はカーボン電極とし、電源は、GP0110-30R(株式会社高砂製作所社製)を用いた。また、電解液の流速は渦式フローモニターFLM22-10PCW(アズワン株式会社製)を用いて計測した。
(電解研磨液組成)
・85質量%リン酸(和光純薬社製試薬) 660mL
・純水 160mL
・硫酸 150mL
・エチレングリコール 30mL
<陽極酸化処理工程>
次いで、電解研磨処理後のアルミニウム基板に、特開2007-204802号公報に記載の手順にしたがって自己規則化法による陽極酸化処理を施した。
電解研磨処理後のアルミニウム基板に、0.50mol/Lシュウ酸の電解液で、電圧40V、液温度16℃、液流速3.0m/minの条件で、5時間のプレ陽極酸化処理を施した。
その後、プレ陽極酸化処理後のアルミニウム基板を、0.2mol/L無水クロム酸、0.6mol/Lリン酸の混合水溶液(液温:50℃)に12時間浸漬させる脱膜処理を施した。
その後、0.50mol/Lシュウ酸の電解液で、電圧40V、液温度16℃、液流速3.0m/minの条件で、3時間45分の再陽極酸化処理を施し、膜厚30μmの陽極酸化膜を得た。
なお、プレ陽極酸化処理及び再陽極酸化処理は、いずれも陰極はステンレス電極とし、電源はGP0110-30R(株式会社高砂製作所製)を用いた。また、冷却装置にはNeoCool BD36(ヤマト科学株式会社製)、かくはん加温装置にはペアスターラー PS-100(EYELA東京理化器械株式会社製)を用いた。更に、電解液の流速は渦式フローモニターFLM22-10PCW(アズワン株式会社製)を用いて計測した。
<バリア層除去工程>
次いで、陽極酸化処理工程後に、水酸化ナトリウム水溶液(50g/l)に酸化亜鉛を2000ppmとなるように溶解したアルカリ水溶液を用いて、30℃で150秒間浸漬させるエッチング処理を施し、陽極酸化膜のマイクロポア(細孔)の底部にあるバリア層を除去し、かつ、露出したアルミニウム基板の表面に同時に亜鉛を析出させた。
また、バリア層除去工程後の陽極酸化膜の平均厚みは30μmであった。
<金属充填工程>
次いで、アルミニウム基板を陰極にし、白金を正極にして電解めっき処理を施した。
具体的には、以下に示す組成の銅めっき液を使用し、定電流電解を施すことにより、マイクロポアの内部にニッケルが充填された金属充填微細構造体を作製した。ここで、定電流電解は、株式会社山本鍍金試験器社製のめっき装置を用い、北斗電工株式会社製の電源(HZ-3000)を用い、めっき液中でサイクリックボルタンメトリを行って析出電位を確認した後に、以下に示す条件で処理を施した。
(銅めっき液組成及び条件)
・硫酸銅 100g/L
・硫酸 50g/L
・塩酸 15g/L
・温度 25℃
・電流密度 10A/dm
マイクロポアに金属を充填した後の陽極酸化膜の表面をFE-SEMで観察し、1000個のマイクロポアにおける金属による封孔の有無を観察して封孔率(封孔マイクロポアの個数/1000個)を算出したところ、98%であった。
また、マイクロポアに金属を充填した後の陽極酸化膜を厚さ方向に対してFIBで切削加工し、その断面をFE-SEMにより表面写真(倍率50000倍)を撮影し、マイクロポアの内部を確認したところ、封孔されたマイクロポアにおいては、その内部が金属で完全に充填されていることが分かった。
<表面金属突出工程>
金属充填工程後の構造体を、水酸化ナトリウム水溶液(濃度:5質量%、液温度:20℃)に浸漬させ、突出部分の高さが400nmとなるように浸漬時間を調整してアルミニウムの陽極酸化膜の表面を選択的に溶解し、充填金属である銅を突出させた構造体を作製した。
<樹脂層形成工程>
アルミニウム基板が設けられていない側の表面に、熱剥離型の粘着層付き樹脂基材(リバアルファ 3195MS、日東電工株式会社製)を貼り付けた。
<基板除去工程>
次いで、塩化銅/塩酸の混合溶液に浸漬させることによりアルミニウム基板を溶解して除去し、平均厚み30μmの金属充填微細構造体を作製した。
作製された金属充填微細構造体における導通路の直径は60nmであり、導通路間のピッチは100nmであり、導通路の密度は5770万個/mmであった。
<裏面金属突出工程>
金属充填工程後の構造体を、水酸化ナトリウム水溶液(濃度:5質量%、液温度:20℃)に浸漬させ、突出部分の高さが400nmとなるように浸漬時間を調整してアルミニウムの陽極酸化膜の表面を選択的に溶解し、充填金属である銅を突出させた構造体を作製した。
<加熱工程及び除去工程>
容器内に構造体を配置した。その後、容器内の雰囲気について、全圧を100%とするとき、各気体の分圧を窒素80%、酸素20%とし、全圧を4.0×10-2Paの雰囲気にした。樹脂層を、ヒータを用いて温度120℃で2分間加熱した後、樹脂層を剥離した。真空ポンプを用いて容器内の圧力を減圧して、全圧を調整した。
なお、混合ガスについては所望の全圧に対してガス比と同じになるよう注入した。例えば、ガス比がN:O=80:20で、全圧を4.0Paとすると、Nパージ(窒素パージ)した後、真空ポンプを用いて3.2Paまで減圧して調整した後、Oガスを注入して全圧を4.0Paとした。
また、樹脂層の剥離は、大気雰囲気で行った。
(実施例2)
実施例2は、加熱工程の雰囲気について、全圧を100%とするとき、各気体の分圧が窒素80%、酸素20%であり、全圧が4.0Paであること以外は実施例1と同様に作製した。
(実施例3)
実施例3は、加熱工程の雰囲気について、全圧を100%とするとき、各気体の分圧が窒素80%、酸素20%であり、全圧が1.0×10Paであること以外は実施例1と同様に作製した。
(実施例4)
実施例4は、加熱工程の雰囲気について、全圧を100%とするとき、各気体の分圧が窒素99.8%、酸素0.2%であり、全圧が1.0×10Paであること以外は実施例1と同様に作製した。
(実施例5)
実施例5は、加熱工程の雰囲気について、全圧を100%とするとき、各気体の分圧がアルゴン99.8%、酸素0.2%であり、全圧が1.0×10Paであること以外は実施例1と同様に作製した。
(実施例6)
実施例6は、加熱工程の雰囲気について、全圧を100%とするとき、各気体の分圧が水素99.8%、酸素0.2%であり、全圧が1.0×10Paであること以外は実施例1と同様に作製した。
(実施例7)
実施例7は、加熱工程の雰囲気について、全圧を100%とするとき、各気体の分圧が窒素99.998%、酸素0.002%であり、全圧が4.0Paであること以外は実施例1と同様に作製した。
(実施例8)
実施例8は、加熱工程の雰囲気について、全圧を100%とするとき、各気体の分圧がアルゴン99.998%、酸素0.002%であり、全圧が4.0Paであること以外は実施例1と同様に作製した。
(実施例9)
実施例9は、加熱工程の雰囲気について、全圧を100%とするとき、各気体の分圧が水素99.998%、酸素0.002%であり、全圧が4.0Paであること以外は実施例1と同様に作製した。
(実施例10)
実施例10は、樹脂層形成工程において熱剥離型の粘着層付き樹脂基材をリバアルファ(登録商標)3195VS(日東電工株式会社製)に変更した。加熱工程の雰囲気について、全圧を100%とするとき、各気体の分圧を窒素80%、酸素20%とし、全圧を1.0×10Paとした。樹脂層を温度170℃で2分間、加熱して、樹脂層を剥離したこと以外は実施例1と同様に作製した。
(実施例11)
実施例11は、加熱工程の雰囲気について、全圧を100%とするとき、各気体の分圧が窒素99.998%、酸素0.002%であり、全圧が4.0Paであること以外は実施例10と同様に作製した。
(実施例12)
実施例12は、樹脂層形成工程において熱剥離型の粘着層付き樹脂基材をソマタックTE PS-2021TE(株式会社ソマール社製)に変更した以外は実施例3と同様に作製した。
(比較例1)
比較例1は、加熱工程の雰囲気の全圧を1.0×10Paとした以外は実施例12と同様に作製した。
表1に示すように、実施例1~実施例12は、比較例1に比して、電気抵抗が小さく、電気伝導性が良好であった。
比較例1は、加熱工程の雰囲気において、酸素分圧が10000Paを超えており、電気抵抗が大きくなった。
実施例1、2、7~9、11は、酸素分圧が1.0Pa以下であり、電気抵抗が更に小さく、電気伝導性が更に良好であった。
実施例1~3から、全圧は低い方が、電気抵抗が小さく、電気伝導性が良好であった。
実施例3、10と、実施例7、11とから、加熱温度は低い方が、電気抵抗が小さく、電気伝導性が良好であった。
10 金属充填微細構造体
12 絶縁膜
12a 表面
12b 裏面
13 細孔
14 導体
14a 突出部
14b 突出部
15 陽極酸化膜
16 樹脂層
18 構造体
21 巻き芯
30 アルミニウム基板
30a 表面
31 バリア層
32c 底部
32d 面
35 金属
35a 金属層
35b 金属
40 積層デバイス
42 半導体素子
44 半導体素子
45 異方導電性部材
Ds 積層方向
Dt 厚み方向
H 高さ
d 平均直径
ht 厚み
p 中心間距離

Claims (10)

  1. 絶縁膜と、前記絶縁膜を厚み方向に貫通し、互いに電気的に絶縁された状態で設けられた、複数の導体とを有し、前記導体が前記絶縁膜の前記厚み方向における少なくとも一方の面から突出しており、前記導体が突出している前記絶縁膜の前記面を覆う樹脂層を有する構造体を用意する準備工程と、
    酸素分圧が10000Pa以下の雰囲気にて、少なくとも前記樹脂層を加熱する加熱工程と、
    前記加熱工程により加熱された前記樹脂層を、前記絶縁膜から除去する除去工程とを有し、
    前記樹脂層は、熱剥離性接着剤を含む、金属充填微細構造体の製造方法。
  2. 前記加熱工程は、前記雰囲気の前記酸素分圧が1.0Pa以下である、請求項1に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
  3. 前記加熱工程は、前記雰囲気の不活性ガスの分圧が、前記雰囲気の全圧の85%以上である、請求項1又は2に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
  4. 前記加熱工程は、前記雰囲気の還元性ガスの分圧が、前記雰囲気の全圧の85%以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
  5. 前記加熱工程は、前記雰囲気の全圧が5.0Pa以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
  6. 前記導体は、卑金属を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
  7. 複数の前記導体は、前記導体の長手方向に対して垂直な断面における断面積が20μm以下の導体を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
  8. 前記加熱工程における前記樹脂層の到達温度が150℃以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
  9. 前記導体は、前記絶縁膜の前記厚み方向における両面から、それぞれ突出しており、
    前記樹脂層は、前記絶縁膜の前記厚み方向における両面に、それぞれ設けられている、請求項1~8のいずれか1項に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
  10. 前記絶縁膜は、陽極酸化膜である、請求項1~9のいずれか1項に記載の金属充填微細構造体の製造方法。
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