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JP7554387B2 - 包装用二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

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JP7554387B2 JP2020144812A JP2020144812A JP7554387B2 JP 7554387 B2 JP7554387 B2 JP 7554387B2 JP 2020144812 A JP2020144812 A JP 2020144812A JP 2020144812 A JP2020144812 A JP 2020144812A JP 7554387 B2 JP7554387 B2 JP 7554387B2
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Description

本発明は食品、医薬品、工業製品等の包装分野に用いられるポリエステルフィルムに関する。さらに詳しくは、薄くても耐破袋性に優れた環境への負担が少ない二軸配向ポリエステルフィルムに関する。
ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す場合がある)は、その優れた透明性、寸法安定性、機械的性質、電気的性質、耐薬品性等から食品包装や工業製品などの幅広い分野に利用されている。
しかしながら、突刺し強度や耐ピンホール性などの力学強度が不十分な場合があり、例えば、比較的重量のある食品用途の包装や鋭利な内容物用途の包装だと、突刺し強度や耐ピンホール性に優れるナイロンフィルム等と積層して使用されることがあった。
ポリブチレンテレフタレート(以下、PBTと略す場合がある)は、力学特性、耐衝撃性はもとよりガスバリア性、耐薬品性に優れることから、従来よりエンジニアリングプラスチックとして用いられてきた。PBTは結晶化速度が速いことによる生産性の良さからエンジニアリングプラスチックとしては有用な材料として用いられてきたが、例えば延伸フィルムとして用いる場合、結晶化による延伸性悪化や透明性の悪化などが生じていた。
例えば特許文献1では、PET樹脂(a)とPBT樹脂(b)の重量比(a/b)が20~60/80~40であり、フィルムの長手方向および幅方向の引張弾性率が2.3~3.5GPaであることを特徴とする缶の内袋用ポリエステルフィルムが開示されている。
しかしながら、ポリエステルフィルムの延伸倍率が比較的低い倍率であるため、突刺し強度が不十分であると予想される。そのため、例えば比較的重量のある食品用途の包装や鋭利な内容物用途の包装だと、袋が破れやすくなってしまう可能性が高い。
特許文献2では、PBT樹脂以外のポリエステル樹脂(a)とPBT樹脂(b)の重量比(a/b)が0~40/60~100であり、フィルムロールの表層の巻き硬度が20以上80以下であることを特徴とする二軸配向ポリエステル系フィルムロールが開示されている。
突刺し強度は高く、例えば比較的重量のある食品用途の包装や鋭利な内容物用途の包装でも袋が破れにくく好適に用いることができると予想される。しかしながら、フィルム中のPBT樹脂組成が高く、フィルム製膜時に結晶化が起こりやすいと考えられる。そのため、フィルムとした時の透明性が悪化し印刷適性等が悪化する可能性が高い。
特許第6195765号 特開2020-12086
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。すなわち本発明の目的は、食品、医薬品、工業製品等の包装分野に用いられるポリエステルフィルムに関する。さらに詳しくは、薄くても耐破袋性に優れ、かつ、透明性に優れる包装用二軸配向ポリエステルフィルムを得ることにある。
本発明は、かかる目的を達成するために鋭意検討した結果、フィルム中のPET樹脂とPBT樹脂の配合比を規定の範囲とし、面配向を規定の範囲とすることで、薄くても耐破袋性に優れ、かつ透明性に優れる包装用二軸配向ポリエステルフィルムを得られることを見出した。
本発明は、以下の構成からなる。
〔1〕ポリエチレンテレフタレート樹脂(A)を80~100質量%、ポリエチレンテレフタレート樹脂(A)以外のポリエステル樹脂(B)を0~20質量%含有し、面配向度が0.17~0.20であり、JIS-Z1707に準じた突刺し試験で測定した突刺し強度が0.76~1.00N/μmであり、フィルムの長手方向の引張破断伸度(a)および幅方向の引張破断伸度(b)の比率a/bが0.65~1.50であることを特徴とする包装用二軸配向ポリエステルフィルム。
〔2〕フィルム厚みが6~10μmであることを特徴とする〔1〕に記載の包装用二軸配向ポリエステルフィルム。
〔3〕ヘイズの値が2%以下であり、フィルムの表面と裏面を接触させて滑らせたときの動摩擦係数の値が0.25~0.95であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の包装用二軸配向ポリエステルフィルム。
〔4〕〔1〕~〔3〕いずれかに記載の包装用二軸配向ポリエステルフィルムにシーラントフィルムを積層した積層フィルム。
〔5〕シーラントフィルムがポリオレフィンフィルムであることを特徴とする〔4〕記載の積層フィルム。
〔6〕〔4〕又は〔5〕に記載の積層フィルムを用いた包装材。
本発明の包装用二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルム中のPET樹脂とPBT樹脂の配合比にし、特定の製膜条件でフィルム面配向を規定の範囲とすることで、薄くても耐破袋性に優れ、かつ透明性に優れる包装用二軸配向ポリエステルフィルムを得られる。
開封性の評価のための4方シール袋の概略図
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の包装用二軸配向ポリエステルフィルムはPET樹脂を主たる構成成分とするものであり、PET樹脂の含有率は80質量%以上であり、好ましくは85質量%であり、より好ましくは90質量%である。80質量%以上とすることで得られる二軸配向ポリエステルフィルムの透明性が良好なものとなり、印刷に好適に用いることが可能となるほか、比較的安価なPET樹脂が主たる構成成分となるのでコストの点からも安価となる。
本発明の包装用二軸配向ポリエステルフィルムに用いられるPET樹脂(A)以外のポリエステル樹脂(B)は、二軸配向ポリエステルフィルムの力学特性や延伸性を調整する目的で含有することができる。
PET樹脂(A)以外のポリエステル樹脂(B)としては、PBT、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)などのポリエステル樹脂、及びイソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのジカルボン酸が共重合されたポリエステル樹脂、エチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカーボネートジオール等のジオール成分が共重合されたポリエステル樹脂が挙げられる。
なかでも、PBTは力学特性に優れ、少量添加することにより延伸性が良くなる。また、PET樹脂との相溶性が良く透明性に優れるので好ましい。
これらPET樹脂(A)以外のポリエステル樹脂(B)の添加量としては20質量%以下であり、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下である。20質量%以下とすることで得られる二軸配向ポリエステルフィルムの透明性が良好なものとなり、印刷に好適に用いることが可能となる。また、上述したように少量添加することにより延伸性が良くなり、高倍率で延伸したとしても安定に製膜が可能となる。
前記PET樹脂(A)の固有粘度の下限は、好ましくは0.45dl/gであり、より好ましくは0.50dl/gであり、最も好ましくは0.55dl/gである。0.45dl/g以上とすることで、得られる二軸配向ポリエステルフィルムの固有粘度も高く維持することができ、突刺し強度等の力学特性を高めることができる。
前記PET樹脂(A)の固有粘度の上限は、好ましくは0.80dl/gであり、より好ましくは0.75dl/gであり、最も好ましくは0.70dl/gである。0.80dl/g以下とすることで、フィルム延伸時の応力が高くなりすぎることを抑制し、良好な製膜性を得ることができる。
本発明の包装用二軸配向ポリエステルフィルムは、前記ポリエステル樹脂組成物以外に、従来公知の添加剤、例えば滑剤、安定剤、着色剤、酸化防止剤、静電防止剤、紫外線吸収剤等を含有していても良い。
本発明の包装用二軸配向ポリエステルフィルム全体を100質量%としたとき、前記ポリエステル樹脂組成物の含有量は、99.5質量%以上が好ましく、より好ましくは99.6質量%であり、最も好ましくは99.7質量%である。
前記滑剤は、フィルムの動摩擦係数を調整することができるものであり、シリカ、炭酸カルシウム、アルミナなどの無機系滑剤のほか、有機系滑剤が挙げられる。シリカ、炭酸カルシウムが好ましく、透明性と滑り性を両立する観点から、中でも多孔質シリカが最も好ましい。
本発明の包装用二軸配向ポリエステルフィルムにおける滑剤含有量の下限は、好ましくは100質量ppmであり、より好ましくは300質量ppmであり、最も好ましくは500質量ppmである。100質量ppm以上とすることで、フィルムの滑り性を良好なものとすることができる。
本発明の包装用二軸配向ポリエステルフィルムにおける滑剤含有量の上限は、好ましくは10000質量ppmであり、より好ましくは6000質量ppmであり、最も好ましくは2000質量ppmである。10000質量ppm以下とすることで、フィルムの透明性を良好なものとすることができる。
本発明の包装用二軸配向ポリエステルフィルムを得るための方法として、特に限定はないが厚み精度の観点からTダイ方式が好ましい。インフレーション方式ではその製造方法に起因して延伸倍率が上がりにくく、幅方向の厚み不良が生じることがある。
押出機内の樹脂溶融温度の上限は好ましくは310℃であり、より好ましくは300℃である。300℃以下であると、樹脂の分解を抑制することができ、フィルムが脆くなってしまうことを防止することができるほか、熱劣化物によるフィルム品位の低下も防止することができる。
押出機内の樹脂溶融温度の下限は好ましくは230℃であり、より好ましくは240℃である。230℃以上であると、樹脂の押出が可能となるほか、吐出が安定して厚み精度が良好なものとなる。
冷却ロール温度の上限は好ましくは40℃であり、より好ましくは20℃以下である。40℃以下であると、溶融したポリエステル樹脂組成物が冷却固化する際の結晶化度が高くなりすぎず、延伸がより容易となるほか、結晶化による透明性の低下も抑制することができる。
冷却ロール温度の下限は好ましくは0℃である。0℃以上であると、溶融したポリエステル樹脂組成物が冷却固化する際の結晶化抑制効果を十分に発揮できる。また、冷却ロールの温度を上記の範囲とする場合、結露防止のため冷却ロール付近の環境の湿度を下げておくことが好ましい。
未延伸シートの厚みは15~2500μmの範囲が好適である。より好ましくは500μm以下であり、最も好ましくは300μm以下である。
次に延伸方法について説明する。延伸方法は、同時二軸延伸でも逐次二軸延伸でも可能であるが、突刺し強度を高めるためには、面配向度を高めておく必要があり、その点においては逐次二軸延伸が好ましい。
長手方向(以下、MD方向ともいう)の延伸温度の下限は好ましくは90℃であり、より好ましくは95℃であり、特に好ましくは100℃である。90℃以上であると、破断をより抑制することができる。
MD方向の延伸温度の上限は好ましくは140℃であり、より好ましくは135℃であり、特に好ましくは130℃である。140℃以下であると、面配向度を高めることができ、突刺し強度を高めることができる。
MD方向の延伸倍率の下限は好ましくは2.8倍であり、より好ましくは2.9倍であり、特に好ましくは3.0倍である。2.8倍以上であると、面配向度を高めることができ、突刺し強度を高めることができる。また、2.8倍以上であると、厚みムラを抑制することができ、フィルムロールの弛みを防止することができる。
MD方向の延伸倍率の上限は好ましくは4.5倍であり、より好ましくは4.4倍であり、特に好ましくは4.3倍である。4.5倍以下であると、力学強度や厚みムラ改善の効果が十分に得られる。
幅方向(以下、TD方向ともいう)の延伸温度の下限は好ましくは100℃であり、より好ましくは105℃であり、特に好ましくは110℃である。100℃以上であると、破断を起こりにくくすることができる。
TD方向の延伸温度の上限は好ましくは140℃であり、より好ましくは135℃であり、特に好ましくは130℃である。140℃以下であると、面配向度を高めることができ、突刺し強度を高めることができる。
TD方向の延伸倍率の下限は好ましくは3.8倍であり、より好ましくは3.9倍であり、特に好ましくは4.0倍である。3.8倍以上であると、面配向度を高めることができ、突刺し強度を高めることができる。
TD方向の延伸倍率の上限は好ましくは5.0倍であり、より好ましくは4.9倍であり、特に好ましくは4.8倍である。5.0倍以下であると、力学強度や厚みムラ改善の効果が十分に得られる。
熱固定温度の下限は好ましくは170℃であり、より好ましくは180℃であり、特に好ましくは190℃である。170℃以上であると熱収縮率をより小さくすることができる。
熱固定温度の上限は好ましくは240℃であり、より好ましくは225℃であり、特に好ましくは210℃である。240℃以下であると、フィルムが融けてしまうことを抑制することができるほか、面配向度を高めることができ、突刺し強度を高めることができる。
リラックス率の下限は好ましくは0.5%であり、より好ましくは1.0%であり、特に好ましくは2.0%である。0.5%以上であるとTD方向の熱収縮率を低く保つことができる。
リラックス率の上限は好ましくは10%であり、より好ましくは8%であり、特に好ましくは6%である。10%以下であると弛みなどが生じることを防止でき、平面性を向上させることができる。
本発明の包装用二軸配向ポリエステルフィルムの厚みの下限は好ましくは3μmであり、より好ましくは5μmであり、特に好ましくは7μmである。3μm以上とすることでフィルムの強度を維持することができる。
本発明の包装用二軸配向ポリエステルフィルムの厚みの上限は好ましくは40μmであり、より好ましくは20μmであり、特に好ましくは10μmである。40μm以下とすることで、本発明の目的とする包装材に利用できる。
本発明の包装用二軸配向ポリエステルフィルムは、包装材の種類によって適切な厚みにすることができるが、従来のポリエステルフィルムに比べると厚みを薄くすることができる。
本発明の包装用二軸配向ポリエステルフィルムの面配向度の下限は好ましくは0.170であり、より好ましくは0.173であり、特に好ましくは0.175である。0.170以上とすることでフィルムの突刺し強度を高めることができ、例えば、比較的重量のある食品用途の包装や鋭利な内容物用途の包装でも好適に用いることができる。
本発明の包装用二軸配向ポリエステルフィルムの面配向度の上限は好ましくは0.200であり、より好ましくは0.190である。0.200以下とすることで熱収縮を抑えることができ、蒸着や印刷等の工程におけるフィルムの収縮による加工トラブルを低減することができる。
本発明の包装用二軸配向ポリエステルフィルムの突刺し強度の下限は0.76N/μmであり、好ましくは0.78N/μmであり、より好ましくは0.80N/μmである。0.76N/μm以上とすることで、例えば、比較的重量のある食品用途の包装や鋭利な内容物用途の包装でも好適に用いることができる。
本発明の包装用二軸配向ポリエステルフィルムの突刺し強度の上限は好ましくは1.00N/μmであり、より好ましくは0.97N/μ、であり、特に好ましくは0.94N/μmである。1.00N/μm以下とすることで熱収縮を抑えることができ、蒸着や印刷等の工程におけるフィルムの収縮による加工トラブルを低減することができる。
本発明の包装用二軸配向ポリエステルフィルムの長手方向の引張破断伸度(a)および幅方向の引張破断伸度(b)の比率a/bの下限は0.65であり、好ましくは0.75であり、より好ましくは0.85である。0.65以上とすることで、例えば製袋品のノッチから開封した際に、裂けめの直進性が良好となり内容物がこぼれることを防ぐことができる。
本発明の包装用二軸配向ポリエステルフィルムの引張破断伸度の比率a/bの上限は1.50である。1.50以下とすることで、例えば製袋品のノッチから開封した際に、裂けめの直進性が良好となり内容物がこぼれることを防ぐことができる。
本発明の包装用二軸配向ポリエステルフィルムのヘイズの上限は好ましくは2.0%であり、より好ましくは1.5%であり、特に好ましくは1.0%である。2.0%以下とすることで、包装体とした時に中身が良く見え、印刷が綺麗に見えるので好ましい。
本発明の包装用二軸配向ポリエステルフィルムの動摩擦係数の下限は好ましくは0.2であり、より好ましくは0.35ある。0.25以上にすることにより、フィルムが滑りが適切でフィルムロールの巻き品質が良好なものとなる。
本発明の包装用二軸配向ポリエステルフィルムの動摩擦係数の上限は好ましくは0.55であり、より好ましくは0.53であり、特に好ましくは0.51である。0.90以下とすることで、結果的に透明性を高くすることができ、外観が良好となる。
本発明の包装用二軸配向ポリエステルフィルムのMD方向の熱収縮率の下限は好ましくは1.0%であり、より好ましくは1.2%であり、特に好ましくは1.4%である。1.0%以上とすることで突刺し強度を高めることができる。
本発明の包装用二軸配向ポリエステルフィルムのMD方向の熱収縮率の上限は好ましくは5.0%であり、より好ましくは4.8%であり、特に好ましくは4.6%である。5.0%以下とすることで、蒸着や印刷等の工程におけるフィルムの収縮による加工トラブルを低減することができる。
本発明の包装用二軸配向ポリエステルフィルムのTD方向の熱収縮率の下限は好ましくは-1.0%であり、より好ましくは-0.8%であり、特に好ましくは-0.6%である。-1.0%以上とすることで突刺し強度を高めることができる。
本発明の包装用二軸配向ポリエステルフィルムのTD方向の熱収縮率の上限は好ましくは4.0%であり、より好ましくは3.8%であり、特に好ましくは3.6%である。4.0%以下とすることで、蒸着や印刷等の工程におけるフィルムの収縮による加工トラブルを低減することができる。
本発明の包装用二軸配向ポリエステルフィルムには、印刷層を積層していても良い。印刷層を形成する印刷インクとしては、水性および溶媒系の樹脂含有印刷インクが好ましく使用できる。ここで印刷インクに使用される樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル共重合樹脂およびこれらの混合物が挙げられる。印刷インクには帯電防止剤、光遮断剤、紫外線吸収、可塑剤、滑剤、フィラー、着色剤、安定剤、潤滑剤、消泡剤、架橋剤、耐ブロッキング剤、酸化防止剤等の公知の添加剤を含有させてもよい。
印刷層を設けるための印刷方法としては、特に限定されず、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等の公知の印刷方法が使用できる。印刷後の溶媒の乾燥には、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線乾燥等の公知の乾燥方法が使用できる。
本発明の包装用二軸配向ポリエステルフィルムには、本発明の目的を損なわない限りにおいてコロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、表面粗面化処理が施されていてもよく、また公知のアンカーコート処理、印刷、装飾などが施されていてもよい。
本発明の包装用二軸配向ポリエステルフィルムには、本発明の目的を損なわない限りにおいて、無機薄膜層やアルミ箔のような金属箔などのガスバリア層を設けることができる。
ガスバリア層として無機薄膜層を用いる場合の無機薄膜層としては、金属または無機酸化物からなる薄膜である。無機薄膜層を形成する材料は、薄膜にできるものなら特に制限はないが、ガスバリア性の観点から酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの混合物等の無機酸化物が好ましく挙げられる。特に、薄膜層の柔軟性と緻密性を両立できる点からは、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの複合酸化物が好ましい。
この複合酸化物において、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの混合比は金属分の質量比でAlが20~70%の範囲であることが好ましい。一方、70%以下であると無機薄膜層を柔らかくすることができ、印刷やラミネートといった二次加工の際に薄膜が破壊されてガスバリア性が低下することを抑制することができる。なお、ここでいう酸化ケイ素とはSiOやSiO等の各種ケイ素酸化物またはそれらの混合物であり、酸化アルミニウムとは、AlOやAL等の各種アルミニウム酸化物またはそれらの混合物である。
無機薄膜層の膜厚は、通常1~100nm、好ましくは5~50nmである。無機薄膜層の膜厚が1nm以下であると、より満足のいくガスバリア性が得られやすくなる。一方、100nm以下であると耐屈曲性や製造コストの点で有利となる。
無機薄膜層を形成する方法としては、特に制限はなく例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法(PVD法)、あるいは化学蒸着法(CVD法)等、公知の蒸着法を適宜採用すればよい。以下、無機薄膜層を形成する典型的な方法を、酸化ケイ素・酸化アルミニウム系薄膜を例に説明する。例えば、真空蒸着法を採用する場合は、蒸着原料としてSiOとAlの混合物、あるいはSiOとAlの混合物等が好ましく用いられる。これら蒸着原料としては通常粒子が用いられるが、その際各粒子の大きさは蒸着時の圧力が変化しない程度の大きさであることが望ましく、好ましい粒子径は1~5mmである。加熱には抵抗加熱、高周波誘導加熱、電子ビーム加熱、レーザー加熱などの方式を採用することができる。また、反応ガスとして酸素、窒素、水素、アルゴン、炭酸ガス、水蒸気等を導入したり、オゾン添加、イオンアシスト等の手段を用いた反応性蒸着を採用することも可能である。さらに、被蒸着体(蒸着に供する積層フィルム)にバイアスを印加したり、被蒸着体を加熱もしくは冷却するなど、成膜条件も任意に変更することができる。このような蒸着材料、反応ガス、被蒸着体のバイアス、加熱・冷却等は、スパッタリング法やCVD法を採用する場合にも同様に変更可能である。さらに、上記無機薄膜層上に印刷層を積層してもよい。
本実施形態においては、前記ガスバリア層の上に保護層を設けることが好ましい。金属酸化物からなるガスバリア層は完全に密な膜ではなく、微小な欠損部分が点在している。金属酸化物層上に後述する特定の保護層用樹脂組成物を塗工して保護層を形成することにより、金属酸化物層の欠損部分に保護相溶樹脂組成物中の樹脂が浸透し、結果としてガスバリア性が安定するという効果が得られる。加えて、保護層そのものにもガスバリア性を持つ材料を使用することで、積層フィルムのガスバリア性能も大きく向上することになる。
前記保護層としては、ウレタン系、ポリエステル系、アクリル系、チタン系、イソシアネート系、イミン系、ポリブタジエン系等の樹脂に、エポキシ系、イソシアネート系、メラミン系等の硬化剤を添加したものが挙げられる。保護層を形成させる際に使用する溶媒(溶剤)としては、例えばベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤;メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコール誘導体等が挙げられる。
本発明の包装用二軸配向ポリエステルフィルムには他素材の層を積層してもよく、その方法として、二軸配向ポリエステルフィルムを製作後に貼り合わせるか、製膜中に貼り合わせることができる。
本発明の包装用二軸配向ポリエステルフィルムは、例えば前記二軸配向ポリエステルフィルムにシーラントと呼ばれるヒートシール性樹脂層(シーラント層ともいう)を形成し、包装材料として使用することができる。ヒートシール性樹脂層の形成は、通常、押出しラミネート法あるいはドライラミネート法によりなされる。ヒートシール性樹脂層を形成する熱可塑性共重合体としては、シーラント接着性が十分に発現できるものであればよく、HDPE、LDPE.LLDPEなどのポリエチレン樹脂類、ポリプロピレン樹脂、エチレンー酢酸ビニル共重合体、エチレンーαーオレフィンランダム共重合体、アイオノマー樹脂等を使用できる。
シーラント層は、単層フィルムであってもよく、多層フィルムであってもよく、必要とされる機能に応じて選択すればよい。例えば、防湿性を付与する点では、エチレンー環状オレフィン共重合体やポリメチルペンテン等の樹脂を介在させた多層フィルムが使用できる。また、シーラント層は難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤等の各種添加剤が配合されてもよい。
シーラント層の厚さは、10~100μmが好ましく、20~60μmがより好ましい。
本発明の包装用二軸配向ポリエステルフィルムは、食品、医薬品、工業製品等の包装分野に用いることができる。特に、包装用積層フィルムの基材フィルム(基材層)として使用することができる。包装用積層フィルムの層構成としては、/で層の境界を表すと、例えば基材層/シーラント層、基材層/ガスバリア層/保護層、基材層/ガスバリア層/保護層/接着層/シーラント層、基材層/ガスバリア層/保護層/接着層/樹脂層/接着剤層/シーラント層、基材層/接着剤層/樹脂層/ガスバリア層/保護層/接着剤層/シーラント層、基材層/ガスバリア層/保護層/印刷層/接着剤層/シーラント層、基材層/印刷層/ガスバリア層/保護層/接着剤層/シーラント層。基材層/ガスバリア層/保護層/接着剤層/樹脂層/印刷層/接着剤層/シーラント層、基材層/接着剤層/樹脂層/印刷層/ガスバリア層/保護層/接着剤層/シーラント層、基材層/印刷層/ガスバリア層/保護層/接着剤層/樹脂層/接着剤層/シーラント層、基材層/印刷層/接着剤層/樹脂層/ガスバリア層/保護層/接着剤層/シーラント層、基材層/接着剤層/樹脂層/ガスバリア層/保護層/印刷層/接着剤層/シーラント層、等が挙げられる。
本発明の包装用二軸配向ポリエステルフィルムにシーラントフィルムを積層した積層フィルムは、包装製品、各種ラベル材料、蓋材、シート成形品、ラミネートチューブ等の包装材に好適に使用することができる。特に包装用袋(例えば、ピロー袋、スタンディングパウチや4方パウチ等のパウチ)に用いられる。積層フィルムの厚さは、その用途に応じて適宜決定することができる。例えば5~500μm、好ましくは10~300μm程度の厚みのフィルムなしシート状の形態で用いられる。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
[フィルムの厚み]
JIS K7130-1999 A法に準拠し、ダイアルゲージを用いて測定した。
[フィルムの面配向度]
JIS K 7142-1996 A法により、ナトリウムD線を光源として接触液としてジヨードメタンを用いてアッベ屈折率計によりフィルムの長手方向の屈折率(Nx)、幅方向の屈折率(Ny)、厚み方向の屈折率(Nz)を測定し、下式によりΔPを算出した。
面配向度=[(Nx+Ny)/2]-Nz
[フィルムの突刺し強度]
JIS-Z1707に準拠した試験法で測定した値を下式により1μm換算で算出した。
突刺し強度(N/μm)=突刺し強度実測値/フィルムの厚み
[フィルムの引張破断伸度]
フィルムから幅15mm、長さ180mmの試料を切り出した。切り出した試料を23℃、65%RHの雰囲気下で12時間放置したあと、23℃、65%RHの雰囲気下、チャック間距離100mm、引張速度200mm/分の条件で測定を行い、5回の測定結果の平均値を用いた。測定装置としては島津製作所社製オートグラフAG―1を用いた。
[フィルムのヘイズ]
JIS K7361-1に準拠し、フィルムを1辺10cmの正方形状に切り出し、日本電飾(株)製ヘイズメーターNDH2000を用い、ヘイズ測定を行った。3か所で実施し、その平均値をヘイズ実測値とした。
[フィルムの動摩擦係数]
JIS K-7125に準拠し、引張試験機(A&D社製テンシロンRTG-1210)を用い、23℃・65%RH環境下で、フィルム表面と裏面とを接合させた場合の動摩擦係数を求めた。なお、上側のフィルムを巻き付けたスレッド(錘)の重量は、1.5Kgであり、スレッドの底面積の大きさは、39.7mmであった。また、摩擦係数の測定の際の引張速度は、200mm/分であった。
[フィルムの熱収縮率]
熱収縮率は試験温度150℃、加熱時間を15分間とした以外は、JIS-C-2318に準拠した寸法変化試験法で実施した。
[耐破袋性の評価]
ポリエステルフィルム上にウレタン系2液硬化型接着剤(三井化学社製「タケラック(登録商標)A525S」と「タケネート(登録商標)A50」を13.5:1.0(質量比)の割合で配合し、ドライラミネート法によりヒートシール性樹脂として厚さ70μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡株式会社製「P1147」)を貼り合わせ、40℃にて4日間エージングを施すことにより、ラミネート積層体を得た。なお、ウレタン系2液硬化型接着剤で形成される接着剤層の乾燥後の厚みはいずれも約4μmであった。
前述のラミネート積層体を15cm四方の大きさにカットし、シーラントが内側になるように2枚重ね合わせ、3方を160℃のシール温度、シール幅1.0cmにてヒートシールすることで内寸13cmの3方シール袋を得た。
得られた3方シール袋に水250mLを充填した後、ヒートシールにて4方目の口を閉じ、水の充填された4方シール袋を作製した。
得られた4方シール袋に対して、130℃の熱水中に30分間保持する湿熱処理を行った後、室温5℃、湿度35%RHの環境下、高さ100cmの位置からコンクリート板の上に落下させ、破れが発生するまでの落下回数を数えた。
落下回数30回以上:〇
落下回数30回未満:×
[開封性の評価]
前述のラミネート積層体を15cm四方の大きさにカットし、シーラントが内側になるように2枚重ね合わせ、4方を160℃のシール温度、シール幅1.0cmにてヒートシールすることで内寸13cmの4方シール袋を得た。
図1に示すようにフィルム長手方向および幅方向の2種類の4方シール袋に対して、それぞれ切り込みを入れ、手で開封を10回ずつ行った。切れ込みの先端から伸びる直線を基準線として、全て開封時の裂け目が基準線から4cm以内の場合を〇、1つでも4cmより離れている場合を×とした。
[実施例1]
一軸押出機を用い、PET樹脂(固有粘度0.62dl/g、シリカ粒子配合)を280℃で溶融させた後、280℃のT-ダイスからキャストし、10℃の冷却ロールに静電密着法により密着させて未延伸シートを得た。なお、樹脂組成物中のシリカ粒子の含有量は、シリカ濃度として0.1質量%にした。
次いで、得られた未延伸シートを115℃の温度でMD方向に4.0倍で延伸し、次いでテンターに通して110℃でTD方向に4.2倍延伸し、200℃で3秒間の熱固定処理と1秒間5%の緩和処理を実施して、厚さ9μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。二軸配向ポリエステルフィルムの樹脂組成、および製膜条件を表1に示した。また、得られたフィルムの物性および評価結果を表1に示した。
[実施例2~5]
実施例1において、原料組成、延伸条件、熱処理条件を表1に記載したとおり変えた以外は実施例1と同様に製膜して厚さ9μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの物性および評価結果を表1に示した。
[比較例1]
実施例1において原料組成および延伸条件を表1に記載のとおり変えた以外は実施例1と同様に行った。得られたフィルムは突刺し強度が低いため、耐破袋性が不足していた。
(比較例2)
実施例1において原料組成および延伸条件を表1に記載した二軸配向ポリエステルフィルムに変えた以外は実施例1と同様に行った。得られたフィルムは突刺し強度が低いため、耐破袋性が不足していた。
(比較例3)
実施例1において原料組成および延伸条件を表1に記載した二軸配向ポリエステルフィルムに変えた以外は実施例1と同様に行った。得られたフィルムは突刺し強度が低いため、耐破袋性が不足していた。
(比較例4)
実施例1において原料組成および延伸条件を表1に記載した二軸配向ポリエステルフィルムに変えた以外は実施例1と同様に行った。得られたフィルムは突刺し強度が低いため、耐破袋性が不足していた。また、引張破断伸度のTD方向に対するMD方向の比率が高いため、引き裂き直進性が不足していた。
(比較例5)
実施例1において原料組成および延伸条件を表1に記載した二軸配向ポリエステルフィルムに変えた以外は実施例1と同様に行った。得られたフィルムは突刺し強度が低いため、耐破袋性が不足していた。また、引張破断伸度のTD方向に対するMD方向の比率が高いため、引き裂き直進性が不足していた。
本発明の包装用二軸配向ポリエステルフィルムは、厚みが薄くても突刺し強度と耐破袋性に優れているので、各種の包装用基材として用いることができる。従来のPETフィルムでは耐破袋性が不足するため使用できなかった分野の包装にも使用できるようになり有用である。また、より薄いフィルムを使うことで省資源となり環境への負荷を少なくできる。

Claims (6)

  1. ポリエチレンテレフタレート樹脂(A)を80~100質量%、及びポリエチレンテレフタレート樹脂(A)以外のポリエステル樹脂(B)を0~20質量%含有し、面配向度が0.17~0.20であり、JIS-Z1707に準じた突刺し試験で測定した突刺し強度が0.76~1.00N/μmであり、フィルムの長手方向の引張破断伸度(a)および直行する幅方向の引張破断伸度(b)の比率a/bが1.33~1.50であることを特徴とする包装用二軸配向ポリエステルフィルム。
  2. フィルム厚みが6~10μmであることを特徴とする請求項1に記載の包装用二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. ヘイズの値が2%以下であり、フィルムの表面と裏面を接触させて滑らせたときの動摩擦係数の値が0.25~0.95であることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装用二軸配向ポリエステルフィルム。
  4. 請求項1~3いずれかに記載の包装用二軸配向ポリエステルフィルムにシーラントフィルムを積層した積層フィルム。
  5. シーラントフィルムがポリオレフィンフィルムであることを特徴とする請求項4に記載の積層フィルム。
  6. 請求項4又は5に記載の積層フィルムを用いた包装材。
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