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JP7427392B2 - インダクタ部品 - Google Patents

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Description

本発明は、インダクタ部品に関する。
従来、インダクタ部品としては、特開2002-217016号公報(特許文献1)に記載されたものがある。このインダクタ部品は、素体と、素体内に、素体の第1主面と平行に配置された第1コイル配線および第2コイル配線と、素体の側面から端面が露出するように素体に埋め込まれ、第1コイル配線に電気的に接続された第1引出配線および第2引出配線、および、素体の側面から端面が露出するように素体に埋め込まれ、第2コイル配線に電気的に接続された第3引出配線および第4引出配線とを備える。
特開2002-217016号公報
ところで、前記従来のようなインダクタ部品を実際に製造すると、次の問題があることが分かった。
インダクタ部品の製造工程において、素体の静電破壊が発生することがあり、この場合、従来のようなインダクタ部品では、第1コイル配線と第2コイル配線の間で素体の静電破壊が発生することが分かった。そして、第1コイル配線と第2コイル配線が並走する距離は長いため、素体の静電破壊が発生する場所を特定することが困難である。
そこで、本開示は、素体に静電破壊が発生した場合に、素体の破壊の場所を特定し易く、その破壊の場所の修正が容易になるインダクタ部品を提供することにある。
前記課題を解決するため、本開示の一態様であるインダクタ部品は、
素体と、
前記素体内に、前記素体の第1主面と平行に配置された第1コイル配線および第2コイル配線と、
前記素体の第1主面から端面が露出するように前記素体に埋め込まれ、前記第1コイル配線に電気的に接続された第1柱状配線および第2柱状配線、および、前記素体の第1主面から端面が露出するように前記素体に埋め込まれ、前記第2コイル配線に電気的に接続された第3柱状配線および第4柱状配線と
を備え、
前記第1柱状配線は、前記第4柱状配線よりも前記第3柱状配線の近くに位置し、
前記第1柱状配線と前記第3柱状配線の間の最短距離X1は、前記第1主面に垂直な方向から見て前記第1柱状配線と前記第2柱状配線の間に位置する前記第1コイル配線の第1部分と、前記第1主面に垂直な方向から見て前記第3柱状配線と前記第4柱状配線の間に位置する前記第2コイル配線の第2部分との間の最短距離Yよりも短い。
前記態様によれば、第1柱状配線と第3柱状配線の間の最短距離X1は、第1コイル配線の第1部分と第2コイル配線の第2部分との間の最短距離Yよりも短いので、素体の静電破壊が、第1コイル配線の第1部分と第2コイル配線の第2部分との間でなく、第1柱状配線と第3柱状配線の間で発生する確率を高められる。
また、第1柱状配線と第3柱状配線の間で静電破壊が発生すると、素体の破壊された場所をレーザ等を用いて貫通後、アクリル樹脂等の絶縁樹脂を再封入することで、その破壊の場所の修正が容易になる。
したがって、素体に静電破壊が発生した場合に、素体の破壊の場所を特定し易く、その破壊の場所の修正が容易になる。
また、インダクタ部品の一実施形態では、前記最短距離X1は、前記最短距離Yの0.8倍以下である。
前記実施形態によれば、素体の静電破壊を、第1柱状配線と第3柱状配線の間でより確実に発生させることができる。
また、インダクタ部品の一実施形態では、前記最短距離Yを満たす前記第1コイル配線の前記第1部分と前記第2コイル配線の前記第2部分が並走する距離Lyは、前記最短距離X1を満たす前記第1柱状配線と前記第3柱状配線が並走する距離L1よりも長い。
前記実施形態によれば、距離Lyが長いと第1コイル配線と第2コイル配線の間で絶縁破壊が起こった場合に、破壊箇所の特定が難しくなるが、静電破壊が第1柱状配線と第3柱状配線の間で発生しやすくなるため、破壊箇所の特定が容易となる。
また、インダクタ部品の一実施形態では、前記距離Lyは、前記距離L1の5倍以上である。
前記実施形態によれば、LyがL1の5倍以上であることで、静電破壊が第1柱状配線と第3柱状配線の間で発生しやすくなるという効果がより効果的になる。
また、インダクタ部品の一実施形態では、前記素体は、少なくとも前記第1コイル配線の前記第1部分と前記第2コイル配線の前記第2部分との間に、金属磁性粉を含有する樹脂からなる磁性層を有する。
前記実施形態によれば、金属磁性粉を含む磁性層では絶縁破壊しやすいため、静電破壊が第1柱状配線と第3柱状配線の間で発生しやすくなるという効果がより効果的になる。
また、インダクタ部品の一実施形態では、前記素体は、前記第1コイル配線の前記第1部分と前記第2コイル配線の前記第2部分との間に、磁性体を含有しない絶縁層を有する。
前記実施形態によれば、第1コイル配線の第1部分と第2コイル配線の第2部分との間に絶縁層を有するので、第1コイル配線の第1部分と第2コイル配線の第2部分との間の静電破壊をより一層防止できる。
また、インダクタ部品の一実施形態では、前記第2柱状配線と前記第4柱状配線の間の最短距離X2は、前記第1コイル配線の前記第1部分と前記第2コイル配線の前記第2部分との間の最短距離Yよりも短い。
前記実施形態によれば、第2柱状配線および第4柱状配線側から静電気が印加されても、静電破壊が第2柱状配線と第4柱状配線との間で起こりやすく、破壊箇所の特定が容易となるので、より自由な配線引き回しができる。
また、インダクタ部品の一実施形態では、前記第1コイル配線および前記第2コイル配線は、0.1atom%以上1atom%以下の硫黄原子または塩素原子を含む。
前記実施形態によれば、第1コイル配線および第2コイル配線が、セミアディティブ工法で形成されているため、形成位置および形状の精度が高く、ばらつきが少ない。
また、インダクタ部品の一実施形態では、前記第1柱状配線、前記第2柱状配線、前記第3柱状配線および前記第4柱状配線は、前記第1主面に直交する方向に伸びる。
前記実施形態によれば、柱状配線間の最短距離を満たす領域を大きくすることができ、静電破壊を柱状配線間でより確実に発生させることができる。
本開示の一態様であるインダクタ部品によれば、素体の破壊の場所を特定し易く、その破壊の場所の修正が容易になる。
インダクタ部品の第1実施形態を示す透視平面図である。 図1AのA-A断面図である。 インダクタ部品における距離を説明する平面図である。
以下、本開示の一態様であるインダクタ部品を図示の実施の形態により詳細に説明する。なお、図面は一部模式的なものを含み、実際の寸法や比率を反映していない場合がある。
(第1実施形態)
(構成)
図1Aは、インダクタ部品の第1実施形態を示す透視平面図である。図1Bは、図1AのA-A断面図である。
インダクタ部品1は、例えば、パソコン、DVDプレーヤー、デジタルカメラ、TV、携帯電話、カーエレクトロニクスなどの電子機器に搭載され、例えば全体として直方体形状の部品である。ただし、インダクタ部品1の形状は、特に限定されず、円柱状や多角形柱状、円錐台形状、多角形錐台形状であってもよい。
図1Aと図1Bに示すように、インダクタ部品1は、素体10と、素体10内に配置された第1コイル配線21および第2コイル配線22と、素体10の第1主面10aから端面が露出するように素体10に埋め込まれた第1柱状配線31、第2柱状配線32、第3柱状配線33および第4柱状配線34と、素体10の第1主面10aに設けられた第1外部端子41、第2外部端子42、第3外部端子43および第4外部端子44と、素体10の第1主面10aに設けられた絶縁膜50とを備える。図中、インダクタ部品1の厚み方向をZ方向とし、順Z方向を上側、逆Z方向を下側とする。インダクタ部品1のZ方向に直交する平面において、インダクタ部品1の長さ方向をX方向とし、インダクタ部品1の幅方向をY方向とする。
素体10は、絶縁層61と、絶縁層61の下面61aに配置された第1磁性層11と、絶縁層61の上面61bに配置された第2磁性層12とを有する。素体10の第1主面10aは、第2磁性層12の上面に相当する。素体10は、絶縁層61、第1磁性層11および第2磁性層12の3層構造であるが、磁性層を設けない構造であってもよい。
絶縁層61は、主面が長方形の層状であり、絶縁層61の厚みは、例えば、10μm以上100μm以下である。絶縁層61は、例えば、低背化の観点からガラスクロスなどの基材を含まないエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂などの絶縁樹脂層であることが好ましいが、NiZn系やMnZn系などのフェライトのような磁性体層や、アルミナ、ガラスのような非磁性体層などのような焼結体であってもよく、ガラスエポキシなどの基材を含む樹脂層であってもよい。なお、絶縁層61が焼結体である場合は、絶縁層61の強度や平坦性を確保でき、絶縁層61上の積層物の加工性が向上する。また、絶縁層61が焼結体である場合は、低背化の観点から研磨加工されていることが好ましく、特に積層物のない下側から研磨されていることが好ましい。
第1磁性層11及び第2磁性層12は、金属磁性粉を含有する樹脂からなる磁性樹脂層である。樹脂は、例えば、エポキシ系樹脂やビスマレイミド、液晶ポリマ、ポリイミドなどからなる有機絶縁材料である。金属磁性粉の平均粒径は、例えば0.1μm以上5μm以下である。インダクタ部品1の製造段階においては、金属磁性粉の平均粒径を、レーザ回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%に相当する粒径として算出することができる。金属磁性粉は、例えば、FeSiCrなどのFeSi系合金、FeCo系合金、NiFeなどのFe系合金、または、それらのアモルファス合金である。金属磁性粉の含有率は、好ましくは、磁性層全体に対して、20Vol%以上70Vol%以下である。金属磁性粉の平均粒径が5μm以下である場合、直流重畳特性がより向上し、微粉によって高周波での鉄損を低減できる。なお、金属磁性粉でなく、NiZn系やMnZn系などのフェライトの磁性粉を用いてもよい。
第1コイル配線21、第2コイル配線22は、素体10の第1主面10aと平行に配置されている。これにより、第1コイル配線21および第2コイル配線22を第1主面10aと平行な方向で構成でき、インダクタ部品1の低背化を実現できる。第1コイル配線21と第2コイル配線22は、素体10内の同一平面上に配置されている。具体的に述べると、第1コイル配線21と第2コイル配線22は、絶縁層61の上方側、つまり、絶縁層61の上面61bにのみ形成され、第2磁性層12に覆われている。
第1、第2コイル配線21,22は、平面状に巻回されている。具体的に述べると、第1、第2コイル配線21,22は、Z方向から見たときに、半楕円形の弧状である。すなわち、第1、第2コイル配線21,22は、約半周分巻回された曲線状の配線である。また、第1、第2コイル配線21,22は、中間部分で直線部を含んでいる。
第1、第2コイル配線21,22の厚みは、例えば、40μm以上120μm以下であることが好ましい。第1、第2コイル配線21,22の実施例として、厚みが45μm、配線幅が40μm、配線間スペースが10μmである。配線間スペースは3μm以上20μm以下が好ましい。
第1、第2コイル配線21,22は、導電性材料からなり、例えばCu、Ag,Au,Alなどの低電気抵抗な金属材料からなる。本実施形態では、インダクタ部品1は、第1、第2コイル配線21,22を1層のみ備えており、インダクタ部品1の低背化を実現できる。
第1コイル配線21は、第1端、第2端がそれぞれ外側に位置する第1柱状配線31、第2柱状配線32に電気的に接続され、第1柱状配線31および第2柱状配線32からインダクタ部品1の中心側に向かって孤を描く曲線状である。つまり、第1コイル配線21は、その両端にスパイラル形状部分よりも線幅の大きいパッド部を有し、パッド部において、第1、第2柱状配線31,32と直接接続されている。
同様に、第2コイル配線22は、第1端、第2端がそれぞれ外側に位置する第3柱状配線33、第4柱状配線34に電気的に接続され、第3柱状配線33および第4柱状配線34からインダクタ部品1の中心側に向かって孤を描く曲線状である。
ここで、第1、第2コイル配線21,22のそれぞれにおいて、第1、第2コイル配線21,22が描く曲線と、第1、第2コイル配線21,22の両端を結んだ直線とに囲まれる範囲を内径部分とする。このとき、Z方向からみて、いずれの第1、第2コイル配線21,22についても、その内径部分同士は重ならない。一方、第1、第2コイル配線21,22は、それぞれの弧部分において、互いに離隔している。
第1、第2コイル配線21,22の第1から第4柱状配線31~34との接続位置からチップの外側に向かってさらに配線が伸びて、この配線はチップの外側に露出している。つまり、第1、第2コイル配線21,22は、インダクタ部品1の積層方向に平行な側面から外部に露出している露出部200を有する。
この配線は、インダクタ部品1の製造過程において、第1、第2コイル配線21,22の形状を形成後、追加で電解めっきを行う際の給電配線と接続される配線である。この給電配線によりインダクタ部品1を個片化する前のインダクタ基板状態において、追加で電解めっきを容易に行うことができ、配線間距離を狭くすることができる。また、追加で電解めっきを行うことで、第1、第2コイル配線21,22の配線間距離を狭くすることにより、第1、第2コイル配線21,22の磁気結合を高めることができる。
また、第1、第2コイル配線21,22は、露出部200を有するので、インダクタ基板の加工時の静電気破壊耐性を確保できる。各コイル配線21,22において、露出部200の露出面200aの厚みは、好ましくは、各コイル配線21,22の厚み以下で、かつ、45μm以上である。これによれば、露出面200aの厚みがコイル配線21,22の厚み以下であることにより、磁性層11,12の割合を増やすことができ、インダクタンスを向上できる。また、露出面200aの厚みが45μm以上であることにより、断線の発生を低減できる。露出面200aは、好ましくは、酸化膜である。これによれば、インダクタ部品1とその隣接部品との間でショートを抑制できる。
第1から第4柱状配線31~34は、各コイル配線21,22からZ方向に延在し、第2磁性層12の内部を貫通している。第1柱状配線31は、第1コイル配線21の一端の上面から上側に延在し、第1柱状配線31の端面が、素体10の第1主面10aから露出する。第2柱状配線32は、第1コイル配線21の他端の上面から上側に延在し、第2柱状配線32の端面が、素体10の第1主面10aから露出する。
第3柱状配線33は、第2コイル配線22の一端の上面から上側に延在し、第3柱状配線33の端面が、素体10の第1主面10aから露出する。第4柱状配線34は、第2コイル配線22の他端の上面から上側に延在し、第4柱状配線34の端面が、素体10の第1主面10aから露出する。第1柱状配線31は、第4柱状配線34よりも第3柱状配線33の近くに位置する。
したがって、第1柱状配線31、第2柱状配線32、第3柱状配線33、第4柱状配線34は、第1コイル配線21、第2コイル配線22から上記第1主面10aから露出する端面まで、第1主面10aに直交する方向に直線状に伸びる。これにより、第1外部端子41、第2外部端子42、第3外部端子43、第4外部端子44と、第1コイル配線21、第2コイル配線22とをより短い距離で接続することができ、インダクタ部品1の低抵抗化や高インダクタンス化を実現できる。第1から第4柱状配線31~34は、導電性材料からなり、例えば、コイル配線21,22と同様の材料からなる。なお、第1から第4柱状配線31~34は、図示しないビア導体を介して、第1、第2コイル配線21,22に電気的に接続されていてもよい。
第1から第4外部端子41~44は、素体10の第1主面10a(第2磁性層12の上面)に設けられている。第1から第4外部端子41~44は、導電性材料からなり、例えば、低電気抵抗かつ耐応力性に優れたCu、耐食性に優れたNi、はんだ濡れ性と信頼性に優れたAuが内側から外側に向かってこの順に並ぶ3層構成である。
第1外部端子41は、第1柱状配線31の素体10の第1主面10aから露出する端面に接触し、第1柱状配線31と電気的に接続されている。これにより、第1外部端子41は、第1コイル配線21の一端に電気的に接続される。第2外部端子42は、第2柱状配線32の素体10の第1主面10aから露出する端面に接触し、第2柱状配線32と電気的に接続されている。これにより、第2外部端子42は、第1コイル配線21の他端に電気的に接続される。
同様に、第3外部端子43は、第3柱状配線33の端面に接触し、第3柱状配線33と電気的に接続されて、第2コイル配線22の一端に電気的に接続される。第4外部端子44は、第4柱状配線34の端面に接触し、第4柱状配線34と電気的に接続されて、第2コイル配線22の他端に電気的に接続される。第1外部端子41は、第4外部端子44よりも第3外部端子43の近くに位置する。
インダクタ部品1では、第1主面10aは、長方形状の辺に相当する直線状に伸びる第1端縁101、第2端縁102を有する。第1端縁101、第2端縁102は、それぞれ素体10の第1側面10b、第2側面10cに続く第1主面10aの端縁である。第1外部端子41と第3外部端子43は、素体10の第1側面10b側の第1端縁101に沿って配列され、第2外部端子42と第4外部端子44は、素体10の第2側面10c側の第2端縁102に沿って配列されている。なお、素体10の第1主面10aに直交する方向からみて、素体10の第1側面10b,第2側面10cは、Y方向に沿った面であり、第1端縁101、第2端縁102と一致する。第1外部端子41と第3外部端子43の配列方向は、第1外部端子41の中心と第3外部端子43の中心を結ぶ方向とし、第2外部端子42と第4外部端子44の配列方向は、第2外部端子42の中心と第4外部端子44の中心を結ぶ方向とする。
絶縁膜50は、素体10の第1主面10aにおける第1から第4外部端子41~44が設けられていない部分に設けられている。ただし、絶縁膜50は第1から第4外部端子41~44の端部が乗り上げることで、第1から第4外部端子41~44と重なっていてもよい。絶縁膜50は、例えば、アクリル樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド等の電気絶縁性が高い樹脂材料から構成される。これにより、第1から第4外部端子41~44の間の絶縁性を向上できる。また、絶縁膜50が第1から第4外部端子41~44のパターン形成時のマスク代わりとなり、製造効率が向上する。また、絶縁膜50は、樹脂から金属磁性粉が露出していた場合に、当該露出する金属磁性粉を覆うことで、金属磁性粉の外部への露出を防止することができる。なお、絶縁膜50は、絶縁材料からなるフィラーを含有してもよい。
図2に示すように、第1柱状配線31と第3柱状配線33の間の最短距離X1は、第1主面10aに垂直な方向から見て第1柱状配線31と第2柱状配線32の間に位置する第1コイル配線21の第1部分21aと、第1主面10aに垂直な方向から見て第3柱状配線33と第4柱状配線34の間に位置する第2コイル配線22の第2部分22aとの間の最短距離Yよりも短い。
これによれば、素体10の静電破壊が、第1コイル配線21の第1部分21aと第2コイル配線22の第2部分22aとの間でなく、第1柱状配線31と第3柱状配線33の間で発生する確率を高められる。また、第1柱状配線31と第3柱状配線33の間で静電破壊が発生すると、素体10の破壊された場所をレーザ等を用いて貫通後、アクリル樹脂等の絶縁樹脂を再封入することで、その破壊の場所の修正が容易になる。したがって、素体10に静電破壊が発生した場合に、素体10の破壊の場所を特定し易く、その破壊の場所の修正が容易になる。
また、第1柱状配線31と第3柱状配線33の間は、第1コイル配線21と第2コイル配線22の間に比べて、特性への影響が比較的小さいので、絶縁樹脂を再封入してもインダクタンス値への影響が小さい。
なお、第1、第2コイル配線21,22のうちの第1、第3柱状配線31,33より外側の露出部200は、電流が流れる主経路ではないため、静電破壊が起こり難いため、第1コイル配線21の露出部200と第2コイル配線22の露出部200との間の最短距離が、第1柱状配線31と第3柱状配線33の間の最短距離X1よりも短くてもよい。
好ましくは、第1柱状配線31と第3柱状配線33の間の最短距離X1が、第1コイル配線21の露出部200と第2コイル配線22の露出部200と間の最短距離よりも短ければよく、配線形成時のフォトレジストのアスペクト比が、露出部200側においても大きくなり過ぎないため、製造上の歩留まりの低下を抑制できる。
好ましくは、最短距離X1は、最短距離Yの0.8倍以下である。これによれば、素体10の静電破壊を第1柱状配線31と第3柱状配線33の間でより確実に発生させることができる。
好ましくは、最短距離Yを満たす第1コイル配線21の第1部分21aと第2コイル配線22の第2部分22aが並走する距離Lyは、最短距離X1を満たす第1柱状配線31と第3柱状配線33が並走する距離L1よりも長い。距離Lyは、第1、第3柱状配線31,33側の距離Ly1と第2、第4柱状配線32,34側の距離Ly2とを合算した値である。第1柱状配線31と第3柱状配線33の形状は、Z方向からみて、矩形であるので、距離L1は、矩形の一辺の長さに相当する。第1柱状配線31と第3柱状配線33の形状は、Z方向からみて、矩形であるので、距離L1は、矩形の一辺の長さに相当する。これによれば、距離Lyが長いと第1コイル配線21と第2コイル配線22の間で絶縁破壊が起こった場合に、破壊箇所の特定が難しくなるが、静電破壊が第1柱状配線31と第3柱状配線33の間で発生しやすくなるため、破壊箇所の特定が容易となる。
好ましくは、距離Lyは、距離L1の2倍以上であり、より好ましくは5倍以上である。これによれば、LyがL1の2倍以上好ましくは5倍以上であることで、静電破壊が第1柱状配線31と第3柱状配線33の間で発生しやすくなるという効果がより効果的になる。なお、距離Lyが長すぎると、インダクタ部品1が大型となる。
好ましくは、素体10は、第1コイル配線21の第1部分21aと第2コイル配線22の第2部分22aとの間に、金属磁性粉を含有する樹脂からなる第2磁性層12を有する。これによれば、金属磁性粉を含む第2磁性層12では絶縁破壊しやすいため、静電破壊が第1柱状配線31と第3柱状配線33の間で発生しやすくなるという効果がより効果的になる。なお、第2磁性層12は、第1コイル配線21の第1部分21aと第2コイル配線22の第2部分22aとの間の少なくとも一部に配置されていてもよい。
好ましくは、素体10は、第1コイル配線21の第1部分21aと第2コイル配線22の第2部分22aとの間に、磁性体を含有しない絶縁層を有する。これによれば、第1コイル配線21の第1部分21aと第2コイル配線22の第2部分22aとの間の静電破壊をより一層防止できる。なお、絶縁層は、第1コイル配線21の第1部分21aと第2コイル配線22の第2部分22aとの間の少なくとも一部に配置されていればよい。また、絶縁層は、第1コイル配線21と第2コイル配線22に接触する必要なない。
好ましくは、第2柱状配線32と第4柱状配線34の間の最短距離X2は、第1コイル配線21の第1部分21aと第2コイル配線22の第2部分22aとの間の最短距離Yよりも短い。これによれば、第2柱状配線32および第4柱状配線34側から静電気が印加されても、静電破壊が第2柱状配線32と第4柱状配線34との間で起こりやすく、破壊箇所の特定が容易となるので、より自由な配線引き回しができる。
好ましくは、最短距離X2は、最短距離Yの0.8倍以下であり、これにより、素体10の静電破壊を第2柱状配線32と第4柱状配線34の間でより確実に発生させることができる。
好ましくは、最短距離Yを満たす第1コイル配線21の第1部分21aと第2コイル配線22の第2部分22aが並走する距離Lyは、最短距離X2を満たす第2柱状配線32と第4柱状配線34が並走する距離L2よりも長い。これによれば、距離Lyが長いと第1コイル配線21と第2コイル配線22の間で絶縁破壊が起こった場合に、破壊箇所の特定が難しくなるが、静電破壊が第2柱状配線32と第4柱状配線34の間で発生しやすくなるため、破壊箇所の特定が容易となる。
好ましくは、距離Lyは、距離L2の2倍以上であり、より好ましくは5倍以上である。これによれば、LyがL2の2倍以上好ましくは5倍以上であることで、静電破壊が第2柱状配線32と第4柱状配線34の間で発生しやすくなるという効果がより効果的になる。
好ましくは、第1柱状配線31、第2柱状配線32、第3柱状配線33および第4柱状配線34は、第1主面10aに直交する方向に伸びる。これによれば、柱状配線間の最短距離X1,X2を満たす領域を大きくすることができ、静電破壊を柱状配線間でより確実に発生させることができる。
(製造方法)
次に、インダクタ部品1の製造方法について説明する。
絶縁層61の上面61b上に、スパッタリングや無電解めっきなどによりコイル配線21,22を形成し、また、コイル配線21,22から上方に延びる柱状配線31~34を形成する。ここで、コイル配線21,22および柱状配線31~34は、セミアディティブ工法によって形成することが好ましく、形成位置および形状の精度が高く、ばらつきが少ない。このとき、コイル配線および柱状配線は、0.1atom%以上1atom%以下の硫黄原子または塩素原子を含む。
その後、磁性体材料からなる磁性シートを絶縁層61の上面61bに圧着して、コイル配線21,22と柱状配線31~34を覆うように絶縁層61上に第2磁性層12を形成する。第2磁性層12を研磨し、柱状配線31~34の端面を露出させる。
その後、第2磁性層12の上面に、絶縁膜50を形成する。絶縁膜50における外部端子を形成する領域に、柱状配線31~34の端面および第2磁性層12が露出する貫通孔を形成する。
その後、絶縁層61を研磨により除去する。このとき、絶縁層61を完全に除去せず、一部を残す。磁性体材料からなる磁性シートを絶縁層61の研磨側の下面61aに圧着し適切な厚みに研磨して、第1磁性層11を形成する。
その後、無電解めっきにより、柱状配線31~34から絶縁膜50の貫通孔内に成長する金属膜を形成して、外部端子41~44を形成する。
なお、本開示は上述の実施形態に限定されず、本開示の要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。
前記実施形態では、素体10内には第1コイル配線21および第2コイル配線22の2つが配置されたが、3つ以上のコイル配線が配置されてもよく、このとき、外部端子および柱状配線は、それぞれ、6つ以上となる。そして、コイル配線が3つ以上のとき、少なくとも一組の隣り合うコイル配線において、少なくとも一組の隣り合う柱状配線の最短距離が、第1コイル配線の第1部分と第2コイル配線の第2部分との間の最短距離よりも短ければよい。
前記実施形態では、「コイル配線(インダクタ配線)」とは、電流が流れた場合に磁性層に磁束を発生させることによって、インダクタ部品にインダクタンスを付与させるものであって、その構造、形状、材料などに特に限定はない。特に、実施の形態のような平面上を延びる曲線(スパイラル=二次元曲線)に限られず、ミアンダ配線などの公知の様々な配線形状を用いることができる。また、コイル配線の総数は、1層に限られず、2層以上の多層構成であってもよい。また、柱状配線の形状は、Z方向からみて、矩形であるが、円形や楕円形や長円形であってもよい。
前記実施形態では、距離Lyは、距離L1、L2の両方よりも長いが、距離L1、L2の少なくとも一方よりも短くてもよく、このとき、素体の静電破壊が発生する場所を、隣り合う柱状配線の間に一層制御することができる。
(実施例)
前記実施形態のインダクタ部品を実際に製造した。インダクタ部品のサイズは、図2に示すように、Y方向の寸法は、0.5mmであり、X方向の寸法は、2mmであり、Z方向の寸法は、0.3mmであった。最短距離X1、X2を同一として最短距離Xとし、最短距離Xの値を以下の表1のように変化させ、実施例1-7および比較例となるインダクタ部品を製造した。最短距離Yは、100μmであり、距離L1、L2は、100μmであった。
また、実施例1-7および比較例においては、コイル配線をZ方向からみて直線形状にして、ESD(Electrostatic Discharge:静電気放電)試験を行った。ESD評価結果を表1に示す。ESD試験は、東京電子交易社製のECDM-400ECを使用した。試験方法は、JEITA規格ED-4701/302に準拠し、評価電圧は4kVの接触放電であり、隣接するコイル配線の間にESDを印加した。
[表1]
Figure 0007427392000001
表1の実施例1-7に示すように、最短距離Xが最短距離Yよりも小さいとき、10個のインダクタ部品の40%以上において、柱状配線の間で破壊が確認された。このように、柱状配線間の破壊の発生確率が向上することが確認された。さらに、実施例1-6に示すように、Xが80μm以下であるとき、つまり、XがYの0.8倍以下であるとき、10個のインダクタ部品の全て(100%)において、柱状配線の間で破壊が確認され、確実に柱状配線間破壊を発生させることができることを確認できた。
一方、比較例に示すように、Xが100μmであるとき、つまり、XがYと同じであるとき、10個のインダクタ部品の10%において、柱状配線の間で破壊が確認された。つまり、比較例では、10個のインダクタ部品の90%において、コイル配線の間で破壊が確認された。
したがって、XをYよりも小さくすることで、素体の静電破壊を、柱状配線の間で発生させることができた。
1 インダクタ部品
10 素体
10a 第1主面
11 第1磁性層
12 第2磁性層
21 第1コイル配線
21a 第1部分
22 第2コイル配線
22a 第2部分
31 第1柱状配線
32 第2柱状配線
33 第3柱状配線
34 第4柱状配線
41 第1外部端子
42 第2外部端子
43 第3外部端子
44 第4外部端子
50 絶縁膜
61 絶縁層
X1 第1柱状配線と第3柱状配線の間の最短距離
X2 第2柱状配線と第4柱状配線の間の最短距離
Y 第1コイル配線の第1部分と第2コイル配線の第2部分との間の最短距離
L1 最短距離X1を満たす第1柱状配線と第3柱状配線が並走する距離
L2 最短距離X2を満たす第2柱状配線と第4柱状配線が並走する距離
Ly 最短距離Yを満たす第1コイル配線の第1部分と第2コイル配線の第2部分が並走する距離

Claims (8)

  1. 素体と、
    前記素体内に、前記素体の第1主面と平行に配置された第1コイル配線および第2コイル配線と、
    前記素体の第1主面から端面が露出するように前記素体に埋め込まれ、前記第1コイル配線に電気的に接続された第1柱状配線および第2柱状配線、および、前記素体の第1主面から端面が露出するように前記素体に埋め込まれ、前記第2コイル配線に電気的に接続された第3柱状配線および第4柱状配線と
    を備え、
    前記第1柱状配線は、前記第4柱状配線よりも前記第3柱状配線の近くに位置し、
    前記第1柱状配線と前記第3柱状配線の間の最短距離X1は、前記第1主面に垂直な方向から見て前記第1柱状配線と前記第2柱状配線の間に位置する前記第1コイル配線の第1部分と、前記第1主面に垂直な方向から見て前記第3柱状配線と前記第4柱状配線の間に位置する前記第2コイル配線の第2部分との間の最短距離Yよりも短く、
    前記最短距離X1は、前記最短距離Yの0.8倍以下である、インダクタ部品。
  2. 前記最短距離Yを満たす前記第1コイル配線の前記第1部分と前記第2コイル配線の前記第2部分が並走する距離Lyは、前記最短距離X1を満たす前記第1柱状配線と前記第3柱状配線が並走する距離L1よりも長い、請求項1に記載のインダクタ部品。
  3. 前記距離Lyは、前記距離L1の5倍以上である、請求項に記載のインダクタ部品。
  4. 前記素体は、少なくとも前記第1コイル配線の前記第1部分と前記第2コイル配線の前記第2部分との間に、金属磁性粉を含有する樹脂からなる磁性層を有する、請求項1からの何れか一つに記載のインダクタ部品。
  5. 前記素体は、前記第1コイル配線の前記第1部分と前記第2コイル配線の前記第2部分との間に、磁性体を含有しない絶縁層を有する、請求項1からの何れか一つに記載のインダクタ部品。
  6. 前記第2柱状配線と前記第4柱状配線の間の最短距離X2は、前記第1コイル配線の前記第1部分と前記第2コイル配線の前記第2部分との間の最短距離Yよりも短い、請求項1からの何れか一つに記載のインダクタ部品。
  7. 前記第1コイル配線および前記第2コイル配線は、0.1atom%以上1atom%以下の硫黄原子または塩素原子を含む、請求項1からの何れか一つに記載のインダクタ部品。
  8. 前記第1柱状配線、前記第2柱状配線、前記第3柱状配線および前記第4柱状配線は、前記第1主面に直交する方向に伸びる、請求項1からの何れか一つに記載のインダクタ部品。
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