下階における落下防止材の貼付作業は、高所作業車や脚立、簡易足場に乗った作業者が天井面を見上げながら、天井面に落下防止材を貼付するから、作業者が体力を消耗するとともに、配管が密集する箇所では貫通孔に近づくことも難しくなり、貼付作業の難易度が上がり、作業が繁雑となって作業に手間と時間とを要するのみならず、高所の作業となって作業者が転落や墜落する危険がある。床版の貫通孔と配管との間に形成された間隙に難燃性に穴埋め材を充填する作業では、作業の簡素化を図ることで作業の手間を省き、作業時間を短縮して作業効率を向上させるとともに、転落や墜落の危険を回避して作業の安全性を向上させる必要がある。
本発明の目的は、貫通孔と配管との間の間隙(防火区画貫通部)に難燃性の穴埋め材を充填する穴埋め材充填作業(不燃材充填作業)の簡素化を図ることができ、穴埋め材充填作業を容易に行うことができる穴埋め材支持具及び穴埋め材充填方法を提供することにある。本発明の他の目的は、穴埋め材充填作業の手間を省くことができ、穴埋め材充填作業の作業時間を短縮して作業効率を向上させることができるとともに、高所作業を必要とせず、安全に穴埋め材充填作業を行うことができる穴埋め材支持具及び穴埋め材充填方法を提供することにある。
前記課題を解決するための本発明の第1の前提は、建築躯体に作られた貫通孔と貫通孔に挿通された配管との間に形成された間隙に設置され、間隙に収容する穴埋め材を支持する穴埋め材支持具である。
前記第1の前提における本発明の穴埋め材支持具の特徴としては、穴埋め材支持具が、周り方向へ延びるベルト部材と、ベルト部材の下端縁からベルト部材の径方向外方へ延びていて周り方向へ所定間隔離間して並び、ベルト部材の下端縁から上端縁に向かって旋回可能な複数の第1プレート部材と、ベルト部材から上方へ延びる少なくとも1つの第2プレート部材と、配管の外周長にあわせてベルト部材の周り方向の周長を調節可能な結束バンドとから形成され、結束バンドが、ベルト部材の一端部の外周面に取り付けられたヘッド部と、基端部分がベルト部材の他端部の外周面に取り付けられたストラップ部とから形成され、ヘッド部が、ストラップ部を挿通する挿通孔と係合爪とを有し、ストラップ部が、ベルト部材の他端部から一端部を越えてベルト部材の外周面を回り方向へ延びているとともに、その長さ方向へ並ぶ複数のセレーションを有し、結束バンドでは、ベルト部材の一端部の外周面をベルト部材の他端部の内周面に重ね合わせ、ストラップ部の自由部分をヘッド部の挿通孔に挿通し、ストラップ部の自由部分を周り方向へ引っ張ることで、ストラップ部に形成されたセレーションがヘッド部の係合爪に順に係合し、ストラップ部が所定の位置でヘッド部に固定され、穴埋め材支持具では、結束バンドによってベルト部材の周り方向の周長を配管の外周長にあわせた後、ベルト部材を配管の外周に位置させた状態で、第2プレート部材を支持しつつ第1プレート部材とベルト部材とを間隙に挿入し、それら第1プレート部材が配管から建築躯体に向かって径方向へ展開し、展開したそれら第1プレート部材によって間隙が部分的に塞がれ、建築躯体の上面から上方へ延びる第2プレート部材を所定の箇所に係止することでそれら第1プレート部材による間隙の部分的な閉塞が維持されることにある。
本発明の穴埋め材支持具の一例としては、第1プレート部材の展開状態が、それら第1プレート部材が建築躯体の下面において径方向外方へ延在し、それら第1プレート部材の上面が建築躯体の下面に当接した状態と、それら第1プレート部材が間隙において配管から建築躯体に向かって斜め上方へ延在し、それら第1プレート部材の先端が貫通孔における建築躯体の内周面に当接した状態とのうちのいずれかである。
本発明の穴埋め材支持具の他の一例としては、穴埋め材支持具が、第2プレート部材の縦方向の長さを調節可能な長さ調節機構を有し、長さ調節機構が、結束バンドの機構を利用し、ベルト部材の外周面に取り付けられてベルト部材の周り方向へ所定寸法離間して並ぶ複数のヘッド部材と、第2プレート部材の内面に形成された複数のセレーションとから形成され、長さ調節機構のヘッド部材が、第2プレート部材を挿通する挿通孔と係合爪とを有し、長さ調節機構では、第2プレート部材の一端部をヘッド部材の挿通孔に挿通し、第2プレート部材をベルト部材の下方へ押圧すると、第2プレート部材に形成された複数のセレーションがヘッド部材の係合爪に順に係合し、第2プレート部材が所定の位置でヘッド部材に固定され、穴埋め材支持具では、長さ調節機構によってベルト部材から上方へ延びる第2プレート部材の縦方向の長さを調節した後、第1プレート部材とベルト部材とを間隙に挿入する。
本発明の穴埋め材支持具の他の一例としては、穴埋め材支持具が、第2プレート部材に設置されて径方向外方へ延びる係止部材と、第2プレート部材に対する係止部材の縦方向の取付位置を調節可能な取付位置調節機構とを有し、取付位置調節機構が、結束バンドの機構を利用し、係止部材の基端部に取り付けられて係止部材の基端部において縦方向へ延びるヘッド部材と、第2プレート部材の内面に形成された複数のセレーションとから形成され、取付位置調節機構のヘッド部材が、第2プレート部材を挿通する挿通孔と係合爪とを有し、取付位置調節機構では、第2プレート部材の他端部をヘッド部材の挿通孔に挿通し、係止部材を第2プレート部材の下方へ押圧すると、第2プレート部材に形成された複数のセレーションがヘッド部材の係合爪に順に係合し、係止部材が所定の位置で第2プレート部材に固定されるとともに、係止部材の逆戻りが防止され、穴埋め材支持具では、取付位置調節機構によって第2プレート部材に対する係止部材の取付位置を調節しつつ、係止部材を利用して第2プレート部材を所定の箇所に係止する。
本発明の穴埋め材支持具の他の一例としては、第1プレート部材が、ベルト部材の下端縁から上端縁に向かって弾性変形可能である。
本発明の穴埋め材支持具の他の一例としては、第1プレート部材がベルト部材の下端縁から径方向外方へ展開したときのベルト部材と第1プレート部材とのなす角度が、0°~90°の範囲にある。
前記課題を解決するための本発明の第2の前提は、建築躯体に作られた貫通孔と貫通孔に挿通された配管との間に形成された間隙を部分的に塞ぐ穴埋め材支持具を利用して間隙に穴埋め材を充填する穴埋め材充填方法である。
前記第2の前提における本発明の穴埋め材充填方法の特徴としては、穴埋め材支持具が、周り方向へ延びるベルト部材と、ベルト部材の下端縁からベルト部材の径方向外方へ延びていて周り方向へ所定間隔離間して並び、ベルト部材の下端縁から上端縁に向かって旋回可能な複数の第1プレート部材と、ベルト部材の上端縁からベルト部材の上方へ延びる少なくとも1つの第2プレート部材と、配管の外周長にあわせてベルト部材の周り方向の周長を調節可能な結束バンドとから形成され、結束バンドが、ベルト部材の一端部の外周面に取り付けられたヘッド部と、基端部分がベルト部材の他端部の外周面に取り付けられたストラップ部とから形成され、ヘッド部が、ストラップ部を挿通する挿通孔と係合爪とを有し、ストラップ部が、ベルト部材の他端部から一端部を越えてベルト部材の外周面を回り方向へ延びているとともに、その長さ方向へ並ぶ複数のセレーションを有し、結束バンドでは、ベルト部材の一端部の外周面をベルト部材の他端部の内周面に重ね合わせ、ストラップ部の自由部分をヘッド部の挿通孔に挿通し、ストラップ部の自由部分を周り方向へ引っ張ることで、ストラップ部に形成されたセレーションがヘッド部の係合爪に順に係合し、ストラップ部が所定の位置でヘッド部に固定され、穴埋め材充填方法は、ベルト部材を配管の外周面の外側に配置した後、ベルト部材の一端部の外周面をベルト部材の他端部の内周面に重ね合わせ、結束バンドのストラップ部の自由部分をヘッド部の挿通孔に挿通し、ストラップ部の自由部分を周り方向へ引っ張ってベルト部材の周長を次第に小さくし、ベルト部材の周り方向の周長を配管の外周長にあわせるように、ベルト部材の周り方向の周長を調節する周長調節工程と、ベルト部材を配管の外周面の外側に位置させた状態で、第2プレート部材を支持しつつ第1プレート部材とベルト部材とを間隙に挿入する挿入工程と、間隙に位置する第1プレート部材及びベルト部材を建築躯体の上面から下面に向かって移動させる移動工程と、第1プレート部材及びベルト部材の移動を停止させ、それら第1プレート部材を配管から建築躯体に向かって径方向外方へ展開させ、展開させたそれら第1プレート部材によって間隙を部分的に塞ぐ閉塞工程と、建築躯体の上面から上方へ延びる第2プレート部材を所定の箇所に係止する係止工程と、穴埋め材をベルト部材と第1プレート部材と貫通孔における建築躯体の内周面との間に形成された間隙に充填する充填工程とを有することにある。
本発明の穴埋め材充填方法の一例として、閉塞工程では、それら第1プレート部材を建築躯体の下面において径方向外方へ延在させ、それら第1プレート部材の上面を建築躯体の下面に当接させた状態を作り、又は、それら第1プレート部材を間隙において配管から建築躯体に向かって斜め上方へ延在させ、それら第1プレート部材の先端を貫通孔における建築躯体の内周面に当接させた状態を作る。
本発明の穴埋め材充填方法の他の一例としては、穴埋め材支持具が、第2プレート部材の縦方向の長さを調節可能な長さ調節機構を有し、長さ調節機構が、結束バンドの機構を利用し、ベルト部材の外周面に取り付けられてベルト部材の周り方向へ所定寸法離間して並ぶ複数のヘッド部材と、第2プレート部材の内面に形成された複数のセレーションとから形成され、長さ調節機構のヘッド部材が、第2プレート部材を挿通する挿通孔と係合爪とを有し、長さ調節機構では、第2プレート部材の一端部をヘッド部材の挿通孔に挿通し、第2プレート部材をベルト部材の下方へ押圧すると、第2プレート部材に形成された複数のセレーションがヘッド部材の係合爪に順に係合し、第2プレート部材が所定の位置でヘッド部材に固定され、穴埋め材設置方法が、それら第2プレート部材の一端部をベルト部材の所定の位置のヘッド部材の挿通孔に挿通した後、第2プレート部材をベルト部材11の下方へ押圧し、貫通孔に設置されたスリーブの高さ寸法にあわせるように、長さ調節機構によってそれら第2プレート部材の縦方向の長さを調節する長さ調節工程を含む。
本発明の穴埋め材充填方法の他の一例としては、穴埋め材支持具が、第2プレート部材に設置されて径方向外方へ延びる係止部材と、第2プレート部材に対する係止部材の縦方向の取付位置を調節可能な取付位置調節機構とを有し、取付位置調節機構が、結束バンドの機構を利用し、係止部材の基端部に取り付けられて係止部材の基端部において縦方向へ延びるヘッド部材と、第2プレート部材の内面に形成された複数のセレーションとから形成され、取付位置調節機構のヘッド部材が、第2プレート部材を挿通する挿通孔と係合爪とを有し、取付位置調節機構では、第2プレート部材の他端部をヘッド部材の挿通孔に挿通し、係止部材を第2プレート部材の下方へ押圧すると、第2プレート部材に形成された複数のセレーションがヘッド部材の係合爪に順に係合し、係止部材が所定の位置で第2プレート部材に固定されるとともに、係止部材の逆戻りが防止され、穴埋め材設置方法が、係止部材を第2プレート部材の下方へ押圧し、係止部材を第2プレート部材の下方へ移動させ、取付位置調節機構によって第2プレート部材に対する係止部材の取付位置を調節する取付位置調節工程を含み、係止工程では、取付位置調節機構によって第2プレート部材に対する係止部材の取付位置を調節しつつ、係止部材を利用して第2プレート部材を所定の箇所に係止する。
本発明に係る穴埋め材支持具によれば、建造物の上階(床版)においてベルト部材を配管の外周面の外側に位置させ、少なくとも1つの第2プレート部材を支持しつつ第1プレート部材とベルト部材とを間隙に挿入し、それら第1プレート部材が配管から建築躯体に向かって径方向へ展開することで間隙が部分的に塞がれ、建築躯体の上面から上方へ延びる第2プレート部材を所定の箇所に係止することでそれら第1プレート部材による間隙の閉塞が維持されるから、下階において天井面(床版の下面)に接近し、天井面を見上げながら落下防止材の貼付作業を行う必要はなく、作業者が上階において難燃性の穴埋め材を間隙(防火区画貫通部)に充填する穴埋め材充填作業(不燃材充填作業)を行うことができ、穴埋め材充填作業の簡素化を図ることができるとともに、配管が密集する箇所においても、貫通孔と配管との間の間隙に穴埋め材を容易に充填することができ、穴埋め材によって間隙を容易に埋めることができる。穴埋め材支持具は、それを使用することで、作業者が高所作業車や脚立、簡易足場に乗った状態で作業する必要はなく、下階の天井面からの穴埋め材充填作業の手間を省くことができ、穴埋め材充填作業の作業時間を短縮して作業効率を向上させることができるとともに、作業者が高所作業を行うときの転落や墜落の危険がなく、間隙への穴埋め材の充填作業を安全に行うことができる。穴埋め材支持具は、それら第1プレート部材がベルト部材の周り方向へ所定間隔離間して並んでいるから、隣接する第1プレート部材の間に間隙(スペース)が形成され、貫通孔と配管との間の間隙に充填された穴埋め材を第1プレート部材の間の間隙から目視により確認することができ、間隙に穴埋め材が充填されていることを下階及び上階から確かめることができる。穴埋め材支持具は、建築躯体の貫通孔や配管位置に施工上の誤差(芯ズレ)(不具合)が生じていたとしても、第1プレート部材がベルト部材の下端縁から上端縁に向かって旋回可能であり、第1プレート部材がベルト部材の外周面に当接するように第1プレート部材を窄める(畳む)ことができるから、貫通孔において配管を動かして配管と建築躯体との間に隙間を作り、その隙間に第1プレート部材とベルト部材とを差し入れることができ、又は、配管と建築躯体との間のわずかな隙間に第1プレート部材とベルト部材とを差し入れることができ、芯ズレが生じた貫通孔においてもこの穴埋め材支持具を利用して貫通孔と配管との間の間隙に穴埋め材を充填することができ、穴埋め材によって間隙を埋めることができる。
第1プレート部材の展開状態が、それら第1プレート部材が建築躯体の下面において径方向外方へ延在し、それら第1プレート部材の上面が建築躯体の下面に当接した状態と、それら第1プレート部材が間隙において配管から建築躯体に向かって斜め上方へ延在し、それら第1プレート部材の先端が貫通孔における建築躯体の内周面に当接した状態とのうちのいずれかである穴埋め材支持具は、それら第1プレート部材の上面が建築躯体の下面に当接した第1プレート部材の展開状態、又は、それら第1プレート部材の先端が貫通孔における建築躯体の内周面の側に当接した第1プレート部材の展開状態にすることで、貫通孔と配管との間の間隙がそれら第1プレート部材によって部分的に塞がれるから、それら第1プレート部材によって貫通孔と配管との間の間隙を確実に塞ぐことができ、それら第1プレート部材によって穴埋め材の間隙からの抜け落ちを防ぐことができるとともに、穴埋め材支持具を使用して穴埋め材を間隙に確実に充填することができる。
配管の外周長にあわせてベルト部材の周り方向の周長を調節可能な周長調節機構を有し、周長調節機構によってベルト部材の周り方向の周長を配管の外周長にあわせた後、第1プレート部材とベルト部材とを間隙に挿入する穴埋め材支持具は、周長調節機構によってベルト部材の周り方向の周長を外周長の異なる様々な配管にあわせて調節することができるから、直径が異なる様々な貫通孔に挿通された外周長の異なる様々な配管にベルト部材の周長をあわせることができ、様々な直径の貫通孔と様々な外周長の配管との間に形成された異なる寸法の様々な間隙を穴埋め材支持具によって確実に塞ぐことができるとともに、異なる寸法の様々な間隙に穴埋め材を抜け落ちなく充填することができる。
第2プレート部材の縦方向の長さを調節可能な長さ調節機構を有し、長さ調節機構によってベルト部材から上方へ延びる第2プレート部材の縦方向の長さを調節した後、第1プレート部材とベルト部材とを間隙に挿入する穴埋め材支持具は、長さ調節機構によって第2プレート部材の縦方向の長さをコンクリートの厚さ寸法や貫通孔に設置されたスリーブの高さ寸法にあわせて調節することができるから、厚さ寸法が異なるコンクリート床や高さ寸法が異なるスリーブに第2プレート部材の縦方向の長さをあわせて第2プレート部材を所定の箇所に係止することができ、厚さ寸法が異なるコンクリート床や高さ寸法が異なるスリーブを備えた間隙を穴埋め材支持具によって確実に塞ぐことができるとともに、厚さ寸法が異なるコンクリート床や高さ寸法が異なるスリーブを備えた間隙に穴埋め材を抜け落ちなく充填することができる。
第2プレート部材に設置されて径方向外方へ延びる係止部材と、第2プレート部材に対する係止部材の取付位置を調節可能な取付位置調節機構とを有し、取付位置調節機構によって第2プレート部材に対する係止部材の取付位置を調節しつつ、係止部材を利用して第2プレート部材を所定の箇所に係止する穴埋め材支持具は、取付位置調節機構によって第2プレート部材に対する係止部材の取付位置をコンクリート床の厚さ寸法や貫通孔に設置されたスリーブの高さ寸法にあわせて調節することができるから、第2プレート部材に対する係止部材の取付位置を厚さ寸法が異なるコンクリート床や高さ寸法が異なるスリーブにあわせることができ、厚さ寸法が異なるコンクリート床や高さ寸法が異なるスリーブを備えた間隙を穴埋め材支持具によって確実に塞ぐことができるとともに、厚さ寸法が異なるコンクリート床や高さ寸法が異なるスリーブを備えた間隙に穴埋め材を抜け落ちなく充填することができる。
第1プレート部材がベルト部材の下端縁から上端縁に向かって弾性変形可能である穴埋め材支持具は、第1プレート部材とベルト部材とを間隙に挿入したときに、それら第1プレート部材が間隙において配管から建築躯体に向かって斜め上方へ延在しつつ間隙を移動し、それら第1プレート部材が間隙から露出したときに弾性変形してそれら第1プレート部材が配管から建築躯体に向かって径方向へ展開することで間隙がそれら第1プレート部材によって部分的に塞がれるから、弾性変形可能な第1プレート部材によって貫通孔と配管との間の間隙を確実に塞ぐことができ、それら第1プレート部材によって穴埋め材の間隙からの抜け落ちを防ぐことができるとともに、穴埋め材支持具を使用して穴埋め材を間隙に確実に充填することができる。穴埋め材支持具は、それを貫通孔の途中位置に取り付けた場合であっても、それら第1プレート部材の弾性力によって第1プレート部材が間隙において配管から建築躯体に向かって斜め上方へ延在しつつ間隙を部分的に塞いだ状態が維持され、弾性変形可能な第1プレート部材によって貫通孔と配管との間の間隙を塞ぐことができる。
第1プレート部材がベルト部材の下端縁から径方向外方へ展開したときのベルト部材と第1プレート部材とのなす角度が0°~90°の範囲にある穴埋め材支持具は、第1プレート部材がベルト部材の下端縁から径方向外方へ展開したときのベルト部材と第1プレート部材とのなす角度が前記範囲にあるから、それら第1プレート部材が建築躯体の下面又は貫通孔の途中位置において径方向外方へ延在したときに、それら第1プレート部材の上面が建築躯体の下面に確実に当接し、又は、それら第1プレート部材の先端が貫通孔における建築躯体の内周面の側に確実に当接し、それら第1プレート部材によって貫通孔と配管との間の間隙を確実に塞ぐことができ、それら第1プレート部材によって穴埋め材の間隙からの抜け落ちを防ぐことができるとともに、穴埋め材支持具を使用して穴埋め材を間隙に確実に充填することができる。
本発明に係る穴埋め材充填方法によれば、建造物の上階(床版)において穴埋め材支持具のベルト部材を配管の外周面の外側に位置させた状態で、少なくとも1つの第2プレート部材を支持しつつ第1プレート部材とベルト部材とを間隙に挿入し、間隙に位置する第1プレート部材及びベルト部材を建築躯体の上面から下面に向かって移動させ、第1プレート部材及びベルト部材の移動を停止させ、それら第1プレート部材を配管から建築躯体に向かって径方向外方へ展開させて間隙を部分的に塞ぎ、建築躯体の上面から上方へ延びる第2プレート部材を所定の箇所に係止し、穴埋め材をベルト部材とプレート部材と貫通孔における建築躯体の内周面との間に形成された間隙に充填するから、下階において天井面(床版の下面)に接近し、天井面を見上げながら落下防止材の貼付作業を行う必要はなく、作業者が上階において難燃性の穴埋め材を間隙(防火区画貫通部)に充填する穴埋め材充填作業(不燃材充填作業)を行うことができ、穴埋め材充填作業の簡素化を図ることができるとともに、配管が密集する箇所においても、貫通孔と配管との間の間隙に穴埋め材を容易に充填することができ、穴埋め材によって間隙を容易に埋めることができる。穴埋め材充填方法は、穴埋め材支持具を使用することで、作業者が高所作業車や脚立、簡易足場に乗った状態で作業する必要はなく、穴埋め材充填作業の手間を省くことができ、下階の天井面からの穴埋め材充填作業の作業時間を短縮して作業効率を向上させることができるとともに、作業者が高所作業を行うときの転落や墜落の危険がなく、間隙への穴埋め材の充填作業を安全に行うことができる。穴埋め材充填方法は、穴埋め材支持具の第1プレート部材がベルト部材の周り方向へ所定間隔離間して並んでいるから、隣接する第1プレート部材の間に間隙(スペース)が形成され、貫通孔と配管との間の間隙に収容された穴埋め材を第1プレート部材の間の間隙から目視により確認することができ、間隙に穴埋め材が収容されていることを下階及び上階から確かめることができる。穴埋め材充填方法は、建築躯体の貫通孔や配管位置に施工上の誤差(芯ズレ)(不具合)が生じていたとしても、穴埋め材支持具の第1プレート部材がベルト部材の下端縁から上端縁に向かって旋回可能であり、第1プレート部材がベルト部材の外周面に当接するように第1プレート部材を窄める(畳む)ことができるから、貫通孔において配管を動かして配管と建築躯体との間に隙間を作り、その隙間に第1プレート部材とベルト部材とを差し入れることができ、又は、配管と建築躯体との間のわずかな隙間に第1プレート部材とベルト部材とを差し入れることができ、芯ズレが生じた貫通孔においてもこの穴埋め材支持具を利用して貫通孔と配管との間の間隙に穴埋め材を充填することができ、穴埋め材によって間隙を埋めることができる。
閉塞工程において、それら第1プレート部材を建築躯体の下面において径方向外方へ延在させ、それら第1プレート部材の上面を建築躯体の下面に当接させた状態を作り、又は、それら第1プレート部材を間隙において配管から建築躯体に向かって斜め上方へ延在させ、それら第1プレート部材の先端を貫通孔における建築躯体の内周面に当接させた状態を作る穴埋め材充填方法は、穴埋め材支持具の第1プレート部材の上面が建築躯体の下面に当接した第1プレート部材の展開状態を作り、又は、それら第1プレート部材の先端が貫通孔における建築躯体の内周面の側に当接した第1プレート部材の展開状態を作ることで、貫通孔と配管との間の間隙がそれら第1プレート部材によって部分的に塞がれるから、それら第1プレート部材によって貫通孔と配管との間の間隙を確実に塞ぐことができ、それら第1プレート部材によって穴埋め材の間隙からの抜け落ちを防ぐことができるとともに、穴埋め材支持具を使用して穴埋め材を間隙に確実に収容することができる。
穴埋め材支持具が配管の外周長にあわせてベルト部材の周り方向の周長を調節可能な周長調節機構を有し、周長調節機構によってベルト部材の周り方向の周長を配管の外周長にあわせて調節する周長調節工程を含む穴埋め材充填方法は、周長調節機構によってベルト部材の周り方向の周長を外周長の異なる様々な配管にあわせて調節することができるから、直径が異なる様々な貫通孔に挿通された外周長の異なる様々な配管にベルト部材の周長をあわせることができ、様々な直径の貫通孔と様々な外周長の配管との間に形成された異なる寸法の様々な間隙を穴埋め材支持具によって確実に塞ぐことができるとともに、異なる寸法の様々な間隙に穴埋め材を抜け落ちなく充填することができる。
穴埋め材支持具が第2プレート部材の縦方向の長さを調節可能な長さ調節機構を有し、ベルト部材の上方へ延びるそれら第2プレート部材の縦方向の長さを長さ調節機構によって調節する長さ調節工程を含む穴埋め材充填方法は、長さ調節機構によって第2プレート部材の縦方向の長さをコンクリート床の厚さ寸法や貫通孔に設置されたスリーブの高さ寸法にあわせて調節することができるから、厚さ寸法が異なるコンクリート床や高さ寸法が異なるスリーブに第2プレート部材の縦方向の長さをあわせて第2プレート部材を所定の箇所に係止することができ、厚さ寸法が異なるコンクリート床や高さ寸法が異なるスリーブを備えた間隙を穴埋め材支持具によって確実に塞ぐことができるとともに、厚さ寸法が異なるコンクリート床や高さ寸法が異なるスリーブを備えた間隙に穴埋め材を抜け落ちなく充填することができる。
穴埋め材支持具が第2プレート部材に設置されて径方向外方へ延びる係止部材と第2プレート部材に対する係止部材の取付位置を調節可能な取付位置調節機構とを有し、取付位置調節機構によって第2プレート部材に対する係止部材の取付位置を調節する取付位置調節工程を含み、係止工程において、取付位置調節機構によって第2プレート部材に対する係止部材の取付位置を調節しつつ、係止部材を利用して第2プレート部材を所定の箇所に係止する穴埋め材充填方法は、取付位置調節機構によって第2プレート部材に対する係止部材の取付位置をコンクリート床の厚さ寸法や貫通孔に設置されたスリーブの高さ寸法にあわせて調節することができるから、第2プレート部材に対する係止部材の取付位置を厚さ寸法が異なるコンクリート床や高さ寸法が異なるスリーブにあわせることができ、厚さ寸法が異なるコンクリート床や高さ寸法が異なるスリーブを備えた間隙を穴埋め材支持具によって確実に塞ぐことができるとともに、厚さ寸法が異なるコンクリート床や高さ寸法が異なるスリーブを備えた間隙に穴埋め材を抜け落ちなく充填することができる。
一例として示す穴埋め材支持具10Aの斜視図である図1等の添付の図面を参照し、本発明に係る穴埋め材支持具及び穴埋め材充填方法の詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2は、穴埋め材支持具10Aの上面図であり、図3は、穴埋め材支持具10Aの側面図である。図4は、ベルト部材11及び第1プレート部材12aの拡大側面図であり、図5は、一例として示す周長調節機構15の拡大斜視図である。図6は、一例として示す長さ調節機構16の拡大斜視図である。図2では、第2プレート部材13、係止部材14、周長調節機構15、長さ調節機構16の図示を省略している。図1では、縦方向(略鉛直方向)を矢印X、周り方向を矢印Yで示し、径方向(略水平方向)を矢印Zで示す。
穴埋め材支持具10A(穴埋め材支持具10Bを含む)は、床版44(コンクリートスラブ等の建築躯体)に作られた筒状の貫通孔45と貫通孔45に挿通された筒状の配管46との間に形成された間隙47に設置され、間隙47に充填(収容)する難燃性の穴埋め材48(ロックウールやグラスウール)を支持し、間隙47からの穴埋め材48の抜け落ち(漏れ)を防ぐ。穴埋め材充填方法は、床版44(建築躯体)に作られた筒状の貫通孔45と貫通孔45に挿通された筒状の配管46との間に形成された間隙47を部分的に塞ぐ穴埋め材支持具10A(穴埋め材支持具10Bを含む)を利用して間隙47に穴埋め材48を充填(収容)する。
穴埋め材支持具10Aは、ベルト部材11と複数のプレート部材12aと2本の第2プレート部材13と係止部材14とから形成されている。穴埋め材支持具10Aは、周長調節機構15と長さ調節機構16と取付位置選択機構17と取付位置調節機構18とを有する。ベルト部材11は、可撓性を有するステンレス板やアルミ板等の金属板から作られ、帯状に成形されて周り方向へ環状(リング状)に延びている。ベルト部材11には、図4に示すように、その下部から径方向外方へ延びる複数の蝶番19(フック)が形成されている。
それら蝶番19は、ベルト部材11の下部においてベルト部材11の周り方向へ略等間隔離間して並んでいる。蝶番19は、ベルト部材11に対して略直交している。蝶番19は、ベルト部材11の下部に作られた切り込みに囲まれた部分を径方向外方(ベルト部材11の外周面20の外側)へ略90°折り曲げるとともに、折り曲げられた部分の先端を上方(ベルト部材11の外周面20の側)へ折り曲げる(丸める)ことから作られている。
ベルト部材11には、その下端縁21から径方向外方へ延びる複数の支え部分22(支え板)が形成されている。それら支え部分22は、各蝶番19(フック)の直下に位置し、ベルト部材11の下端縁21においてベルト部材11の周り方向へ略等間隔離間して並んでいる。支え部分22は、ベルト部材11に対して略直交している。支え部分22は、第1プレート部材12aの下面23に当接して第1プレート部材12aを支え、第1プレート部材12aがベルト部材11の下方へ旋回することを防ぐ。支え部分22は、ベルト部材11の下端縁21から下方へ延びる延出部分を上方(ベルト部材11の外周面20の外側)へ折り曲げることから作られている。
周長調節機構15は、ベルト部材11の周り方向の周長を調節する。周長調節機構15の一例としては、図5に示すように、金属製の結束バンド24が利用されている。結束バンド24は、ベルト部材11の一端部25の外周面29に取り付けられた(固定された)ヘッド部26と、基端部分27がベルト部材11の他端部28の外周面20に取り付けられた(固定された)ストラップ部29とから形成されている。ヘッド部26には、ストラップ部29を挿通する挿通孔30と係合爪(図示せず)とが形成されている。ストラップ部29は、ベルト部材11の他端部28から一端部25を越えてベルト部材11の外周面20を回り方向へ延びている。ストラップ部29には、図示はしていないが、その長さ方向へ並ぶ複数のセレーション(凹凸)が形成されている。
周長調節機構15(結束バンド24)では、ベルト部材11の一端部25の外周面20を他端部28の内周面31に重ね合わせ、ストラップ部29の自由部分32をヘッド部26の挿通孔30に挿通し、ストラップ部29の自由部分32を矢印Y1で示す周り方向へ引っ張ると、ストラップ部29に形成されたセレーションがヘッド部26の係合爪に順に係合し、ストラップ部29が所定の位置でヘッド部26に固定される。
ヘッド部26の挿通孔30に挿通されたストラップ部29の自由部分32を周り方向へ引っ張ることで、図5に矢印Y2で示すように、ベルト部材11の周り方向の周長を次第に小さくすることができ、周長調節機構15(結束バンド24)によってベルト部材11の周り方向の周長を調節することができ、ベルト部材11の直径を小さくすることができる。なお、周長調節機構15を省くこともできる。周長調節機構15を省く場合、ベルト部材11に結束バンド24が取り付けられず、ベルト部材11の一端部25と他端部28とが重なり合った状態で、一端部25と他端部28とが溶接や接着剤、接着テープによって固定され、ベルト部材11が環状(リング状)に成形される。
長さ調節機構16は、ベルト部材11から上方へ延びる第2プレート部材13の縦方向の長さを調節する。長さ調節機構16の一例としては、図6に示すように、結束バンドの機構が利用されている。長さ調節機構16は、ベルト部材11の外周面20に取り付けられた(固定された)複数のヘッド部材33と、第2プレート部材13の内面に形成された後記する複数のセレーション(凹凸)とから形成されている。それらヘッド部材33は、ベルト部材11の外周面20においてベルト部材11の周り方向へ所定寸法離間して並んでいる。ヘッド部材33には、第2プレート部材13を挿通する挿通孔34と係合爪(図示せず)とが形成されている。
長さ調節機構16では、第2プレート部材13の一端部36をヘッド部材33の挿通孔34に挿通し、第2プレート部材13をベルト部材11の下方へ押圧すると、第2プレート部材13に形成された複数のセレーション(凹凸)がヘッド部材33の係合爪に順に係合し、第2プレート部材13が所定の位置でヘッド部材33に固定される。ヘッド部材33の挿通孔34に挿通された第2プレート部材13をベルト部材11の下方へ押圧することで、図6に矢印X1で示すように第2プレート部材13がヘッド部材33から下方へ移動し、ベルト部材11から上方へ延びる第2プレート部材13の縦方向の長さを次第に小さくすることができる。
取付位置選択機構17は、ベルト部材11の所定の位置に第2プレート部材13を取り付ける。取付位置選択機構17の一例は、図3に示すように、ベルト部材11の外周面20に取り付けられた(固定された)複数のヘッド部材33から形成されている。取付位置選択機構17では、ベルト部材11の周り方向へ並ぶそれらヘッド部材33の中から所定のヘッド部材33を選択し、選択したヘッド部材33の挿通孔34に第2プレート部材13の一端部35を挿通し、ベルト部材11の所定の位置に第2プレート部材13を取り付ける。なお、長さ調節機構16及び取付位置選択機構17を省くこともできる。長さ調節機構16及び取付位置選択機構17を省く場合、ベルト部材11の外周面20にヘッド部材33が取り付けられず、ベルト部材11の外周面20に溶接や接着剤、接着テープによって第2プレート部材13の一端部35が固定される。
それら第1プレート部材12aは、ステンレス板やアルミ板等の金属板から作られ、その平面形状が径方向へ長い矩形に成形されてベルト部材11の下端縁21から径方向外方へ延びている。なお、第1プレート部材12aの平面形状は図示の矩形に限定されず、あらゆる形の板状に成形することができる。第1プレート部材12aは、ベルト部材11の周り方向へ略等間隔離間して並んでいる。第1プレート部材12aの数に特に限定はない。
第1プレート部材12a材は、ベルト部材11の下端縁21においてベルト部材11に対して略直交するように展開する。第1プレート部材12aの一端部36には、開口37が作られている。第1プレート部材12aでは、図4に示すように、第1プレート部材12aの開口37がベルト部材11に作られた蝶番19(フック)に係入し、第1プレート部材12aの下面23がベルト部材11に作られた支え部分22の先端に当接している。
それら第1プレート部材12aは、図4に矢印X2で示すように、その一端部36(蝶番19)を中心にベルト部材11の下端縁21から上端縁38に向かって縦方向へ旋回する。第1プレート部材12aがベルト部材11の径方向外方へ展開したときに、ベルト部材11に作られた支え部分22の先端が第1プレート部材12aの下面23に当接することで、ベルト部材11の下方への第1プレート部材12aの旋回が防止され、ベルト部材11に対する第1プレート部材12aの直交状態が維持されている。なお、第1プレート部材12aは、穴埋め材48の充填時に所定の圧力が第1プレート部材12aにかかったとしても、その圧力に耐えることが可能な強度を有する。
第1プレート部材12aの径方向外方へ延出する長さ寸法Aは、30mm~40mmの範囲にある。第1プレート部材12aの長さ寸法Aが30mm未満では、第1プレート部材12aの長さ寸法が貫通孔45と配管46との間の間隙47の径方向の寸法よりも短くなり、第1プレート部材12aによって間隙を塞ぐことができない場合がある。第1プレート部材12aの長さ寸法Aが40mmを超過すると、第1プレート部材12aを貫通孔45と配管46との間の間隙47にスムースに収容することができない場合があり、穴埋め材48の充填作業の手間と時間とがかかる場合がある。
第1プレート部材12aがベルト部材11の下端縁21から径方向外方へ展開したときのベルト部材11と第1プレート部材12aとのなす角度αは、0°~90°の範囲にある。ベルト部材11と第1プレート部材12aとのなす角度αが0°未満では、貫通孔45と配管46との間の間隙47に挿入された第1プレート部材12aの先端が貫通孔45における床版44(建築躯体)の内周面53の側に当接しない場合があり、第1プレート部材12aによって間隙を塞ぐことができない場合がある。ベルト部材11と第1プレート部材12aとのなす角度αが90°を超過すると、第1プレート部材12aの上面39が床版44(建築躯体)の下面に当接することができず、第1プレート部材12aによって間隙を塞ぐことができない場合がある。
穴埋め材支持具10Aは、第1プレート部材12aがベルト部材11の下端縁21から径方向外方へ展開したときのベルト部材11と第1プレート部材12aとのなす角度αが前記範囲にあるから、それら第1プレート部材12aが床版44(建築躯体)の下面において径方向外方へ延在したときに、それら第1プレート部材12aの上面39が床版44の下面に確実に当接し、又は、それら第1プレート部材12aの先端が貫通孔45における床版44(建築躯体)の内周面53の側に確実に当接し、それら第1プレート部材12aによって貫通孔45と配管46との間の間隙47を確実に塞ぐことができる。
それら第2プレート部材13は、ステンレス板やアルミ板等の金属板から作られ、その平面形状が縦方向へ長い帯状に成形されてベルト部材11から上方へ延びている。第2プレート部材13は、少なくとも1本のそれが利用されるが、第2プレート部材13の数に特に限定はない。第2プレート部材13の内面には、図示はしていないが、縦方向へ並ぶ複数のセレーション(凹凸)が形成されている。
第2プレート部材13は、その一端部35がヘッド部材33(長さ調節機構16、取付位置選択機構17)の挿通孔34に挿通され、第2プレート部材13のセレーションがヘッド部材33の係合爪に係合することで、ベルト部材11に固定される。第2プレート部材13の一端部35を挿通するヘッド部材33を選ぶことで、ベルト部材11の周り方向に対する第2プレート部材13の取付位置を変えることができる。ヘッド部材33の係合爪に係合する第2プレート部材13のセレーションの位置を変えることで、ベルト部材11から上方へ延びる第2プレート部材13の長さを変えることができる。係止部材14は、ステンレス板やアルミ板等の金属板から作られ、その平面形状が径方向へ長い矩形に成形されている。係止部材14は、第2プレート部材13の所定の位置に固定され、床版44やスリーブ49の所定の位置に係止される。
取付位置調節機構18は、第2プレート部材13に対する係止部材14の縦方向の取付位置を調節する。取付位置調節機構18の一例としては、図3に示すように、結束バンドの機構が利用されている。取付位置調節機構18は、係止部材14の基端部40に取り付けられた(固定された)ヘッド部材41と、第2プレート部材13の内面に形成された複数のセレーション(凹凸)とから形成されている。ヘッド部材41は、係止部材14の基端部40において縦方向へ延びている。ヘッド部材41には、第2プレート部材13を挿通する挿通孔42と係合爪(図示せず)とが形成されている。
取付位置調節機構18では、第2プレート部材13の他端部43をヘッド部材41の挿通孔42に挿通し、係止部材14を第2プレート部材13の下方へ押圧すると、第2プレート部材13に形成された複数のセレーション(凹凸)がヘッド部材41の係合爪に順に係合し、係止部材14が所定の位置で第2プレート部材13に固定されるとともに、係止部材14の逆戻りが防止される。ヘッド部材41の係合爪に係合する第2プレート部材13のセレーションの位置を変えることで、第2プレート部材13に対する係止部材14の取付位置を変えることができる。なお、係止部材14及びヘッド部材41(取付位置調節機構18)を省くこともできる。
図7は、穴埋め材支持具10Aとスリーブ49、配管46の位置関係を示す斜視図であり、図8(a)~(e)は、穴埋め材支持具10Aを使用した穴埋め材48の充填作業の一例を説明する側面図である。図8(a)~(e)では、床版44(床スラブ)及びスリーブ49を断面で示す。なお、床版44に穿孔された貫通孔45には、筒状(パイプ状)の配管46が挿通され、筒状(パイプ状)のスリーブ49が取り付けられている。スリーブ49は、その一部が床版44(床スラブ)の上面50から上方へ延びている。穴埋め材支持具10Aを使用した穴埋め材の充填作業(穴埋め材充填方法)の一例は、以下のとおりである。
ベルト部材11を配管46の外周面52の外側に配置した後、ベルト部材11の一端部25の外周面20を他端部28の内周面31に重ね合わせ、ベルト部材11によってリングを作る。ストラップ部29の自由部分32をヘッド部26の挿通孔30に挿通し、ストラップ部29の自由部分32を周り方向へ引っ張ってベルト部材11の周長を次第に小さくし、ベルト部材11の周り方向の周長を配管46の外周長にあわせるように、周長調節機構15によってベルト部材11の周り方向の周長を調節する(周長調節工程)。
ベルト部材11の周り方向の周長を配管46の外周長にあわせた時点でストラップ部29の自由部分32の引っ張りを止め、ストラップ部29のセレーションがヘッド部26の係合爪に係合することで、ストラップ部29がヘッド部26に固定され、ベルト部材11のリング形状が維持される。穴埋め材支持具10A(穴埋め材充填方法)は、周長調節機構15によってベルト部材11の周り方向の周長を外周長の異なる様々な配管46にあわせて調節することができるから、直径が異なる様々な貫通孔45に挿通された外周長(配管径)の異なる様々な配管46にベルト部材11の周長をあわせることができる。
次に、ベルト部材11の外周面20に取り付けられた(固定された)複数のヘッド部材33(取付位置選択機構17)から所定のヘッド部材33を選択し、ベルト部材11に対する第2プレート部材13の取付位置を選択する(取付位置選択工程)。選択したヘッド部材33の挿通孔34に一方の第2プレート部材13の一端部35を挿通し、選択したヘッド部材33から周り方向へ180°離間した位置のベルト部材11に取り付けられたヘッド部材33の挿通孔34に他方の第2プレート部材13の一端部35を挿通する。穴埋め材支持具10A(穴埋め材充填方法)は、取付位置選択工程17によってベルト部材11に対する第2プレート部材13の取付位置を選択することができるから、第2プレート部材13をベルト部材11の最適な位置に配置することができる。
それら第2プレート部材13の一端部35をベルト部材11の所定の位置のヘッド部材33の挿通孔34に挿通した後、第2プレート部材13をベルト部材11の下方へ押圧し、貫通孔45に設置されたスリーブ49の高さ寸法にあわせるように(貫通孔45にスリーブ49が設置されていない場合は、床版44におけるコンクリート床の厚さ寸法にあわせるように)、長さ調節機構16によってそれら第2プレート部材13の縦方向の長さを調節する(長さ調節工程)。それら第2プレート部材13の縦方向の長さを調節した時点で第2プレート部材13の下方への押圧を止め、第2プレート部材13のセレーションがヘッド部材41の係合爪に係合することで、第2プレート部材13がベルト部材41に固定される。
穴埋め材支持具10A(穴埋め材充填方法)は、長さ調節機構16によって第2プレート部材13の縦方向の長さを貫通孔45に設置されたスリーブ49の高さ寸法(又は、コンクリート床の厚さ寸法)にあわせて調節することができるから、高さ寸法が異なるスリーブ49(又は、厚さ寸法が異なるコンクリート床)に第2プレート部材13の縦方向の長さをあわせて第2プレート部材13をスリーブ49又は床版44の所定の箇所に係止することができる。
周長調節工程15によってベルト部材11の周り方向の周長を調節し、取付位置選択工程17によって第2プレート部材13をベルト部材11の所定の位置に取り付けるとともに、長さ調節工程16によって第2プレート部材13の縦方向の長さを調節した後、図7に示すように、穴埋め材支持具10Aの第1プレート部材12aの下面23をスリーブ49の頂部に対向させた状態で、穴埋め材支持具10Aをスリーブ49の直上に位置させた後、穴埋め材支持具10Aを下方へ移動させ、スリーブ49の内周面51と配管46の外周面52との間に形成された間隙47に第1プレート部材12aとベルト部材11とを挿入する(挿入工程)。
挿入工程では、図8(a)に示すように、ベルト部材11を配管46の外周面52の外側に位置させた状態で、作業者(図示せず)がそれら第2プレート部材13の他端部43を支持(把持)しつつ、それら第プレート部材12aとベルト部材11とを間隙47に挿入する。それら第1プレート部材12aを間隙47に挿入し、第1プレート部材12aがスリーブ49の内周面51と配管46の外周面52との間に形成された間隙47に進入すると、それら第1プレート部材12aの先端がスリーブ49の内周面51に当接し、各第1プレート部材12aがその一端部36(蝶番19)を中心にベルト部材11の下端縁21から上端縁38の側に向かって上方へ旋回し、径方向外方へ展開したそれら第1プレート部材12aが窄む。
次に、作業者は、図8(b)に示すように、スリーブ49と配管46との間に形成された間隙47に位置する第1プレート部材12a及びベルト部材11をスリーブ49の上方から下方へ向かって移動させるとともに、第1プレート部材12a及びベルト部材11を床版44(建築躯体)の内周面53(スリーブ49の内周面51)と配管46の外周面52との間に形成された間隙47に移動させ、第1プレート部材12a及びベルト部材11を床版47の上面50から下面54に向かって下方へ移動させる(移動工程)。移動工程では、作業者がそれら第2プレート部材13の他端部43を支持(把持)しつつ、それら第1プレート部材12aとベルト部材11とを間隙47において上方から下方へ向かって移動させる。間隙47における第1プレート部材12aの移動中、第1プレート部材12aの窄んだ状態が継続する。
第1プレート部材12a及びベルト部材11を間隙47の上方から下方へ移動させ、それら第1プレート部材12aが間隙47から床版44の下面54の下方に露出し、第1プレート部材12aが床版44の下面54の直下に位置すると、図8(c)に示すように、上方へ旋回した各第1プレート部材12aがその一端部36(蝶番19)を中心にベルト部材11の上端縁38の側から下端縁21に向かって下方へ旋回し、窄んだそれら第1プレート部材12aが径方向外方へ展開する。それら第1プレート部材12aを配管46から床版44に向かって径方向外方へ展開させて間隙47(床版44の下面54の間隙47)を部分的に塞ぐ(閉塞工程)。それら第1プレート部材12aが径方向外方へ展開したときに、第1プレート部材12aの下面54がベルト部材11の支え部分22に当接し、ベルト部材11に対する第1プレート部材12aの直交状態が維持される。
第1プレート部材12aが床版44の下面54の下方に位置し、第1プレート部材12aが径方向外方へ展開した後、作業者は、第2プレート部材13を間隙47の上方へわずかに引き上げ、それら第1プレート部材12aの上面39が床版44(建築躯体)の下面54に当接した時点で第1プレート部材12a及びベルト部材11の移動を停止させる。閉塞工程では、それら第1プレート部材12aを床版44(建築躯体)の下面54において径方向外方へ延在させ、それら第1プレート部材12aの上面39を床版44の下面54に当接させた状態を作る。閉塞工程における第1プレート部材12aの展開状態では、それら第1プレート部材12aが床版44(建築躯体)の下面54において径方向外方へ延在し、それら第1プレート部材12aの上面39が床版44の下面54に当接した状態になる。
作業者は、係止部材14を第2プレート部材13の下方へ押圧し、係止部材14を第2プレート部材13の下方へ移動させ、取付位置調節機構18によって第2プレート部材13に対する係止部材14の取付位置を調節する(取付位置調節工程)。係止部材14の下面がスリーブ49の頂部に当接した時点で係止部材14の移動を止める。係止部材14の下面をスリーブ49の頂部に当接させることで、第2プレート部材13(係止部材14)をスリーブ49の頂部(所定の箇所)に係止する(係止工程)。
第2プレート部材13のセレーションがヘッド部材41(取付位置調節機構18)の係合爪に係合することで、図8(d)に示すように、係止部材14が第2プレート部材13に固定されるとともに、それら第1プレート部材12aによる間隙47の部分的な閉塞が維持される。次に、作業者は、図8(e)に示すように、ベルト部材11と第1プレート部材12aと貫通孔45における床版44(建築躯体)の内周面53(配管46の外周面52とスリーブ49の内周面51)との間に形成された間隙47に穴埋め材48(ロックウールやグラスウール)を充填する(充填工程)。なお、穴埋め材48(ロックウールやグラスウール)の充填密度は、150kg/m3以上の密度にすることが望ましいが、この穴埋め材支持具10A(穴埋め材支持具10Aを含む)は、充填工程における穴埋め材48の充填中の圧力に耐えうる強度を備えている。
係止部材14及びヘッド部材41(取付位置調節機構18)を省く場合、作業者は、スリーブ49の頂部から上方へ延びる第2プレート部材13の他端部43を径方向外方へ折り曲げ、第2プレート部材13の他端部43をスリーブ49の頂部に引っ掛けて第2プレート部材13をスリーブ49の頂部(所定の箇所)に係止する(係止工程)。
図9(a),(b)は、穴埋め材支持具10Aを使用した穴埋め材48の充填作業の他の一例を説明する側面図である。図9(a),(b)では、床版44(床スラブ)及びスリーブ49を断面で示す。穴埋め材支持具10Aを使用した穴埋め材48の充填作業(穴埋め材充填方法)の他の一例は、以下のとおりである。凹凸が形成された金属板を有するデッキプレート(波形デッキプレート)を使用して床版44(床スラブ)が作られた場合、床版44(建築躯体)の下面54に凹凸が形成される。この場合、それら第1プレート部材12aを間隙47から床版44の下面54の下方に露出させ、第1プレート部材12aを床版44の下面54の直下に位置させると、床版44の下面54の凹凸によって第1プレート部材12aの上面39を床版44の下面54に当接させることができず、それら第1プレート部材12aによって間隙47を塞ぐことができない。
床版44(建築躯体)の下面54に凹凸が形成されている場合は、それら第1プレート部材12aとベルト部材11とを間隙47に挿入し(挿入工程)、第1プレート部材12a及びベルト部材11を床版44(建築躯体)の上面50から下面54に向かって移動させるが(移動工程)、それら第1プレート部材12aを間隙47から床版44の下面54の下方へ露出させることなく、それら第1プレート部材12aの移動を床版44の下端部で止める。
それら第1プレート部材12aは、図9(a)に示すように、その先端がスリーブ49の内周面51(床版44の内周面53)に当接し、一端部36(蝶番19)を中心にベルト部材11の下端縁21から上端縁38の側に向かって上方へ旋回した各第1プレート部材12aの旋回状態を維持する。それら第1プレート部材12aの旋回状態を維持することで、それら第1プレート部材12aによって間隙47を部分的に塞ぐ(閉塞工程)。
閉塞工程では、貫通孔45及び床版44(スリーブ49)と配管46との間に形成された間隙47においてそれら第1プレート部材12aを配管46から床版44(建築躯体)の内周面53に向かって斜め上方へ延在させ、それら第1プレート部材12aの先端を貫通孔45におけるスリーブ49の内周面51(床版44の内周面53)に当接させた状態を作る。第1プレート部材12aの展開状態では、それら第1プレート部材12aが間隙47において配管46から床版44(建築躯体)に向かって斜め上方へ延在し、それら第1プレート部材12aの先端が貫通孔45の途中位置におけるスリーブ49の内周面51(床版44の内周面53)に当接した状態となる。
作業者は、取付位置調節機構18によって第2プレート部材13に対する係止部材13の取付位置を調節し(取付位置調節工程)、係止部材13の下面をスリーブ49の頂部に当接させ、第2プレート部材13(係止部材14)をスリーブ49の頂部(所定の箇所)に係止する(係止工程)。作業者は、ベルト部材11と第1プレート部材12aと貫通孔45における床版44(建築躯体)の内周面53(配管46の外周面52とスリーブ49の内周面51)との間に形成された間隙47に穴埋め材48(ロックウールやグラスウール)を充填する(充填工程)。
穴埋め材支持具10A(穴埋め材充填方法)は、建造物の上階(床版44)においてベルト部材11を配管47の外周面52の外側に位置させ、第2プレート部材13を支持しつつ第1プレート部材12aとベルト部材11とを間隙47に挿入し、間隙47に位置する第1プレート部材12a及びベルト部材11を床版44(建築躯体)の上面50から下面54に向かって移動させ、それら第1プレート部材12aが配管46から床版44に向かって径方向へ展開することで間隙47が部分的に塞がれ、床版44の上面50から上方へ延びる第2プレート部材13の係止部材14をスリーブ49の頂部に係止する(第2プレート部材13を所定の箇所に係止する)ことでそれら第1プレート部材12aによる間隙47の部分的な閉塞が維持されるとともに、その状態で穴埋め材48(ロックウールやグラスウール)をベルト部材11と第1プレート部材12aと貫通孔45における床版44の内周面53との間に形成された間隙47に充填(収容)するから、下階において高所作業車や簡易足場、脚立を用いて天井面(床版44の下面54)に接近し、無理な体勢で天井面を見上げながら落下防止材の貼付作業を行う必要はなく、作業者が上階において難燃性の穴埋め材48を間隙47(防火区画貫通部)に充填する穴埋め材充填作業(不燃材充填作業)を行うことができ、穴埋め材充填作業の簡素化を図ることができるとともに、配管46が密集する箇所においても、貫通孔45と配管46との間の間隙47に穴埋め材48を容易に充填することができ、高所作業や下階と上階との往来を省略しつつ、穴埋め材48によって間隙47を容易に埋めることができる。
穴埋め材支持具10A(穴埋め材充填方法)は、穴埋め材支持具10Aを使用することで、作業者が高所作業車や脚立、簡易足場に乗った状態で作業する必要はなく、下階の天井面からの穴埋め材充填作業の手間を省くことができ、穴埋め材充填作業の作業時間を短縮して作業効率を向上させることができるとともに、作業者が高所作業を行うときの転落や墜落の危険がなく、間隙47への穴埋め材48(ロックウールやグラスウール)の充填作業を安全に行うことができる。
穴埋め材支持具10A(穴埋め材充填方法)は、穴埋め材支持具10Aのそれら第1プレート部材12aがベルト部材11の周り方向へ所定間隔離間して並んでいるから、隣接する第1プレート部材12aの間に間隙(スペース)が形成され、貫通孔45と配管46との間の間隙47に充填された穴埋め材48(ロックウールやグラスウール)を第1プレート部材12aの間の間隙から目視により確認することができ、間隙に穴埋め材が収容されていることを下階及び上階から確かめることができ、それによって、施工管理作業の効率を高めることができる。
穴埋め材支持具10A(穴埋め材充填方法)は、それら第1プレート部材12aが床版44(建築躯体)の下面54において径方向外方へ延在し、それら第1プレート部材12aの上面39が床版44の下面54に当接した展開状態、又は、それら第1プレート部材12aが間隙47において配管46から床版44に向かって斜め上方へ延在し、それら第1プレート部材12aの先端が貫通孔47の途中位置におけるスリーブ49の内周面51(床版44の内周面53)に当接した展開状態にすることで、貫通孔45と配管46との間の間隙47がそれら第1プレート部材12aによって部分的に塞がれるから、それら第1プレート部材12aによって貫通孔45と配管46との間の間隙47を確実に塞ぐことができ、それら第1プレート部材12aによって穴埋め材48(ロックウールやグラスウール)の間隙47からの抜け落ち(漏れ)を防ぐことができるとともに、穴埋め材支持具10Aを使用して穴埋め材48を間隙47に確実に充填することができる。
穴埋め材支持具10A(穴埋め材充填方法)は、床版44(建築躯体)の貫通孔45や配管位置に施工上の誤差(芯ズレ)(不具合)が生じていたとしても、第1プレート部材12aがベルト部材11の下端縁21から上端縁38に向かって旋回可能であり、第1プレート部材12aがベルト部材11の外周面20に当接するように第1プレート部材12aを窄める(畳む)ことができるから、貫通孔45において配管46を動かして配管46と床版44(建築躯体)との間に隙間を作り、その隙間に第1プレート部材12aとベルト部材11とを差し入れることができ、又は、配管46と床版44(建築躯体)との間のわずかな隙間に第1プレート部材12aとベルト部材11とを差し入れることができ、芯ズレが生じた貫通孔45においてもこの穴埋め材支持具10Aを利用して貫通孔45と配管46との間の間隙47に穴埋め材48を充填することができ、穴埋め材48によって間隙47を埋めることができる。
図10は、他の一例として示す穴埋め材支持具10Bの斜視図であり、図11は、穴埋め材支持具10Bの上面図である。図12は、ベルト部材11の内周面31の側から示す穴埋め材支持具10Bの側面図である。図11では、第2プレート部材13、係止部材14、周長調節機構15、長さ調節機構16の図示を省略している。図10では、縦方向を矢印X、周り方向を矢印Yで示し、径方向を矢印Zで示す。
図10に示す穴埋め材支持具10Bが図1のそれと異なるところは、第1プレート部材12bに板バネ(可撓性を有する板状部材)が使用されている点にあり、穴埋め材支持具10Bのその他の構成は図1の穴埋め材支持具10Aの構成と同一であるから、図1の穴埋め材支持具10Aの説明を援用するとともに図1と同一の符号を付すことで、穴埋め材支持具10Bのその他の構成の詳細な説明は省略する。
穴埋め材支持具10Bは、ベルト部材11と複数の第1プレート部材12bと少なくとも1つの第2プレート部材13と係止部材14とから形成されている。穴埋め材支持具10Bは、周長調節機構15と長さ調節機構16と取付位置選択機構17と取付位置調節機構18とを有する。ベルト部材11や第2プレート部材13、係止部材14は、図1の穴埋め材支持具10Aのそれらと同一である。周長調節機構15や長さ調節機構16、取付位置選択機構17、取付位置調節機構18は、図1の穴埋め材支持具10Aのそれらと同一である。
それら第1プレート部材12bには、金属板バネや非鉄金属板バネが使用されている。第1プレート部材12bは、ベルト部材11の周り方向へ略等間隔離間して並んでいる。第1プレート部材12bは、ベルト部材11に溶接固定される固定部分55と、ベルト部材11の下端縁21から径方向外方へ延びる変形部分56とから形成されている。
固定部分55は、その平面形状が縦方向へ長い矩形に成形され、ベルト部材11の内周面31に溶接によって固定されている。変形部分56は、その平面形状が径方向へ長い矩形に成形され、固定部分55と一体に成形されている。変形部分56は、固定部分55に対して略直交している。なお、変形部分56の平面形状は図示の矩形に限定されず、あらゆる形の板状に成形することができる。
第1プレート部材12bの変形部分56は、その弾性力によってベルト部材11の下端縁21においてベルト部材11に対して略直交するように展開し、ベルト部材11に対する直交状態が維持される。第1プレート部材12bの変形部分56は、その基端部36を中心にベルト部材11の下端縁21から上端縁38に向かって弾性変形可能であり、ベルト部材11の下端縁21から上端縁38に向かって縦方向へ旋回する。
第1プレート部材12bの変形部分56の径方向外方へ延出する長さ寸法Aは、図1の穴埋め材支持具10Aの第1プレート部材12aの長さ寸法Aと同一である。第1プレート部材12bの変形部分56がベルト部材11の下端縁21から径方向外方へ展開したときのベルト部材11と第1プレート部材12bの変形部分56とのなす角度αは、図1の穴埋め材支持具10Aのベルト部材11と第1プレート部材12aとのなす角度αと同一である。
図13(a)~(d)は、穴埋め材支持具10Bを使用した穴埋め材48の充填作業の一例を説明する側面図である。図13(a)~(d)では、コンクリート壁57(建築躯体)を断面で示す。なお、コンクリート壁57に作られた筒状の貫通孔45には、筒状(パイプ状)の配管56が挿通され、筒状(パイプ状)のスリーブ49が取り付けられている。穴埋め材支持具10Bを使用した穴埋め材48の充填作業(穴埋め材充填方法)の一例は、以下のとおりである。なお、周長調節機構15を利用した周長調節工程、取付位置選択機構17を利用した取付位置選択工程、長さ調節機構18を利用した長さ調節工程は、図1の穴埋め材支持具10Aを使用した穴埋め材48の充填作業(穴埋め材充填方法)のそれらと同一であるから、その説明は省略する。
ベルト部材11の周り方向の周長を調節し、第2プレート部材13をベルト部材11の所定の位置に取り付けるとともに、第2プレート部材13の縦方向の長さを調節した後、図13(a)に示すように、穴埋め材支持具10Aの第1プレート部材12bの下面23をコンクリート壁57の内表面58に対向させた状態で、穴埋め材支持具10Bをコンクリート壁57の貫通孔45の側方に位置させた後、穴埋め材支持具10Bを側方へ移動させ、貫通孔45におけるスリーブ49の内周面51(コンクリート壁57の内周面59)と配管46の外周面52との間に形成された間隙47に第1プレート部材12bとベルト部材11とを挿入する(挿入工程)。
挿入工程では、ベルト部材11を配管46の外周面52の外側に位置させた状態で、それら第2プレート部材13の他端部43を支持(把持)しつつ、それら第1プレート部材12bとベルト部材11とを間隙47に挿入する。第1プレート部材12bがスリーブ49の内周面51(コンクリート壁57の内周面59)と配管46の外周面52との間に形成された間隙47に進入すると、それら第1プレート部材12bの変形部分56の先端がスリーブ49の内周面51(コンクリート壁57の内周面59)に当接し、各第1プレート部材12bの変形部分56がその弾性力に抗して基端部36を中心にベルト部材11の下端縁21から上端縁38の側に向かって旋回し、径方向外方へ展開したそれら第1プレート部材12bの変形部分56が窄む。次に、スリーブ49(コンクリート壁57)と配管46との間に形成された間隙47に位置する第1プレート部材12b及びベルト部材11をコンクリート壁57の内表面58から外表面60に向かって側方へ移動させる(移動工程)。間隙47における第1プレート部材12bの移動中、第1プレート部材12bの変形部分56の窄んだ状態が継続する。
第1プレート部材12b及びベルト部材11を側方へ移動させ、それら第1プレート部材12bの変形部分56が間隙47からコンクリート壁57の外表面60の外側に露出し、変形部分56がコンクリート壁57の外表面60に側方に位置すると、図13(b)に示すように、旋回した各第1プレート部材12bの変形部分56がその弾性力によって基端部36を中心にベルト部材11の上端縁38の側から下端縁21に向かって旋回し、窄んだそれら第1プレート部材12bの変形部分56が径方向外方へ展開する。それら第1プレート部材12bの変形部分56を配管46からコンクリート壁57の外表面60に向かって径方向外方へ展開させて間隙47(コンクリート壁57の外表面60の間隙47)を部分的に塞ぐ(閉塞工程)。それら第1プレート部材12bの変形部分56が径方向外方へ展開したときに、第1プレート部材12bの弾性力によってベルト部材11に対する第1プレート部材12bの変形部分56の直交状態が維持される。
第1プレート部材12bがコンクリート壁57(建築躯体)の外表面60の外側に位置し、第1プレート部材12bの変形部分56が径方向外方へ展開した後、第2プレート部材13をコンクリート壁57の内表面58の側方へわずかに移動させ、それら第1プレート部材12bの変形部分56の上面23がコンクリート壁57の外表面60に当接した時点で第1プレート部材12b及びベルト部材11の移動を停止させる。
閉塞工程では、それら第1プレート部材12bの変形部分56をコンクリート壁57の外表面60において径方向外方へ延在させ、それら第1プレート部材12bの変形部分56の上面23をコンクリート壁57の外表面60に当接させた状態を作る。閉塞工程における第1プレート部材12bの変形部分56の展開状態では、それら第1プレート部材12bの変形部分56がコンクリート壁57の外表面60において径方向外方へ延在し、それら第1プレート部材12bの変形部分56の上面23がコンクリート壁47の外表面60に当接した状態になる。
係止部材14を第2プレート部材13の側方へ押圧し、係止部材14を第2プレート部材13の側方へ移動させ、取付位置調節機構18によって第2プレート部材13に対する係止部材14の取付位置を調節する(取付位置調節工程)。係止部材14の下面がコンクリート壁57の内表面58に当接した時点で係止部材14の移動を止める。係止部材14の下面をコンクリート壁57の内表面58に当接させることで、第2プレート部材13(係止部材14)をコンクリート壁57に係止する(係止工程)。
第2プレート部材13のセレーションがヘッド部材41(取付位置調節機構18)の係合爪に係合することで、図13(c)に示すように、係止部材14が第2プレート部材13に固定されるとともに、それら第1プレート部材12bの変形部分56による間隙47の部分的な閉塞が維持される。次に、図13(d)に示すように、ベルト部材11と第1プレート部材12bと貫通孔45におけるコンクリート壁57(建築躯体)の内周面59(配管46の外周面52とコンクリート壁57の内周面59)との間に形成された間隙47に穴埋め材48(ロックウールやグラスウール)を充填する(充填工程)。
穴埋め材支持具10B(穴埋め材充填方法)は、図1の穴埋め材支持具10A(穴埋め材充填方法)が有する効果に加え、以下の効果を有する。穴埋め材支持具10B(穴埋め材充填方法)は、第1プレート部材12bとベルト部材11とを間隙47に挿入したときに、それら第1プレート部材12bの変形部分56が間隙47において配管46から
スリーブ49の内周面51(コンクリート壁57(建築躯体)の内周面59)に向かって斜め上方へ延在しつつ間隙47を移動し、それら第1プレート部材12bの変形部分56が間隙47から露出したときに変形部分56が弾性変形してそれら第1プレート部材12bの変形部分56が配管46からコンクリート壁57に向かって径方向へ展開することで間隙47が部分的に塞がれるから、弾性変形可能な第1プレート部材12bの変形部分56によってスリーブ49の内周面51(コンクリート壁57の内周面59)と配管46の外周面52との間の間隙47を確実に塞ぐことができ、それら第1プレート部材12bの変形部分56によって穴埋め材48(ロックウールやグラスウール)の間隙47からの抜け落ち(漏れ)を防ぐことができるとともに、穴埋め材支持具10Bを使用して穴埋め材48を間隙47に確実に充填することができる。