JP7489902B2 - 工具ホルダ及び工作機械 - Google Patents
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Description
図11は、従来のすり割り工具ホルダ30の構成を示す概略構成図である。便宜上図11における工具10の先端側(チップ11側)を前方、工具ホルダ30の上側を上方として説明する。図12は、図11の断面C-C(前後上下方向で規定される面での断面)における、すり割り工具ホルダ30の構成を示す概略構成図である。本事例では、旋回タレット21を有する旋盤20に適用した場合となっている。
すり割り工具ホルダ30は、工具10の直径以下の工具挿入穴31と、工具挿入穴31とすり割り工具ホルダ30の外側と繋がり、工具10の長手方向に対して貫通して開口したスリット32を有している。さらに、すり割り工具ホルダ30を旋回タレット21の外周の取付面22に固定するためのホルダ固定用ボルト3と、工具10の円周方向の角度位置をすり割り工具ホルダ30に対して固定するための工具位相固定用ボルト33と、工具10を挿入できるように工具挿入穴31の直径を大きくするためのホルダ拡開用ボルト6とを備えている。
工具設定を行う際には、ホルダ拡開用ボルト6を締め込んでスリット32の下面に押し当てて、工具挿入穴31の直径を大きくして工具10を後端から挿入する。次に、工具10を所望の突き出し長さと角度位置に調整して、工具位相固定用ボルト33を用いて工具10の角度を固定する。最後に、ホルダ拡開用ボルト6を緩めた後で、ホルダ固定用ボルト3を締め込むことで、すり割り工具ホルダ30を旋回タレット21に固定するとともに、工具10に対する接触圧力を高めて工具10を固定する。
そこで、びびりを効果的に抑制するための従来技術として、特許文献1には、工具に減衰構造(制振ピース)を設けて振動減衰性を向上させる発明が開示されている。また、特許文献2には、制御により主軸の回転数を連続的に変動させる発明が開示されている。
前記工具挿入穴の内面は、加工による振動が発生した際に前記工具ホルダに対する前記工具の相対移動を規制する固定力で前記工具を前記固定手段によって固定可能な工具固定部と、
前記工具固定部よりも低い固定力で前記工具を保持可能で、前記加工による振動が発生した際に前記工具ホルダに対する前記工具の相対移動を許容可能な工具接触部と、を含んでなり、
少なくとも前記工具接触部と連通するスリットが、前記工具挿入穴の軸線方向に沿って形成されていることを特徴とする。
第1の発明の別の態様は、上記構成において、前記工具接触部は、前記工具固定部よりも前記工具の先端側に設けられていることを特徴とする。
第1の発明の別の態様は、上記構成において、前記固定手段は、前記工具ホルダへのねじ込みにより前記工具を前記工具挿入穴に押圧固定する工具固定用ボルトであることを特徴とする。
第1の発明の別の態様は、上記構成において、前記スリットは、外部に開口していることを特徴とする。
第1の発明の別の態様は、上記構成において、前記工具接触部を径方向に拡開可能な拡開機構を備えることを特徴とする。
第1の発明の別の態様は、上記構成において、前記工具接触部の横断面形状は、前記工具の横断面形状と形状及び大きさが等しいか、或いは前記工具の横断面形状と形状が同じで大きさが小さいことを特徴とする。
上記目的を達成するために、本発明のうち、第2の発明は、工作機械であって、第1の発明の何れかに記載の工具ホルダを備えることを特徴とする。
図1は、工具ホルダ1の構成を示す概略構成図である。便宜上図1における工具10の先端側(チップ11側)を前方、工具ホルダ1の上側を上方として説明する。図2は、図1の断面A-A(前後上下方向で規定される面での断面)における概略構成図である。図3は、図1の断面B-B(前後左右方向で規定される面での断面)における概略構成図である。本事例では、工具ホルダ1を、工作機械の一例である旋盤20の旋回タレット21に適用している。工具10は、横断面が略円形状で、先端にチップ11を備えている。
工具ホルダ1は、旋回タレット21の外周の取付面22に固定されるブロック状である。工具ホルダ1には、工具10が後端から挿入される工具挿入穴2が、前後方向に貫通形成されている。工具挿入穴2を挟んで工具ホルダ1の左右には、工具ホルダ1を取付面22に固定するホルダ固定用ボルト3,3・・が、前後方向に3本ずつ配置されている。
工具挿入穴2は、後側の工具固定部2Aと、前側の工具接触部2Bとを同軸で有している。工具固定部2Aは、工具10の直径以上となる内径で形成されている。工具接触部2Bは、工具10の直径以下となる内径で形成されている。
工具ホルダ1の前部右側には、工具接触部2Bを工具ホルダ1の外側と連通させるスリット5が、取付面22と平行に形成されている。スリット5の上側で工具ホルダ1には、ねじ込み操作によってスリット5の下面を押圧することで、工具接触部2Bの内径を拡開可能なホルダ拡開用ボルト6(拡開機構)が設けられている。但し、スリット5及びホルダ拡開用ボルト6は、工具ホルダ1の前部左側にあってもよい。
よって、既存のすり割り工具ホルダと同程度の製作コスト、かつ、同程度の設定工数でも、あらゆる工具に対して汎用的に高い減衰性を安定して付与することができる。よって、低コストで汎用的でありながら、安定して高い振動抑制効果を得ることができ、高能率な加工を実現することができる。
図4に示す工具ホルダ1Aのように、工具挿入穴2の開口性を向上させるために、工具接触部2Bを挟んだスリット5の反対側に、工具接触部2Bと連通して外部に開口しないスリット5aを前後方向に設けてもよい。外部に開口しないスリットは複数設けてもよい。
図5に示す工具ホルダ1Bは、工具接触部2Bの上側にも、工具接触部2Bと連通して外部に開口するスリット5bを前後方向に設けている。このようにスリットの数は増やしてもよい。
図6に示す工具ホルダ1Cは、前後方向に加え、スリット5の後端に連続する左右方向のスリット5cを形成している。
図7に示す工具ホルダ1Dは、工具ホルダ1Dの製造を容易にするために、スリット5の上側で工具接触部2Bの形成部分を分離した割り型7とし、割り型7をボルト等で組み付けることで工具ホルダ1Dを形成している。この割り型の数は増やしてもよい。
図9に示す工具ホルダ1Fは、図6と異なり、上面に、スリット5の後端に連続しない左右方向のスリット5eを形成している。図8,9のように工具ホルダの外側に形成するスリットの方向は適宜変更可能である。
図10に示す工具ホルダ1Gは、工具接触部2Bを工具ホルダ1Gの外側と連通させるスリット5を、取付面22と平行でなく、後方へ向かうに従って取付面22へ近づくように下向きに傾斜させて形成している。このようなスリット5の角度変更も可能である。この傾斜は、下向きでなく上向きであってもよい。
各変更例を適宜組み合わせることもできる。
上記形態では、工具ホルダの外部に開口するスリットを設けているが、工具挿入穴に、工具ホルダの外部に開口しないスリットのみを設けて、同様の拡開変形を生じさせてもよい。
上記形態では、ホルダ拡開用ボルトを締め込んで工具挿入穴の直径を大きくして工具を挿入した後、ホルダ拡開用ボルトを緩めて工具を接触させているが、工具挿入穴の直径を工具の直径よりも大きくした上で、ボルトの締め込み等で工具挿入穴を小さくすることで接触させてもよい。
上記形態では、ホルダ拡開用ボルトを用いて工具ホルダを変形させているが、ばねや梃子などを用いて変形させてもよいことはいうまでもない。
上記形態では、工具固定部を後側、工具接触部を前側にそれぞれ配置しているが、前後逆に配置してもよい。工具固定部を工具挿入穴の後部でなく中間部に配置し、その前側又は後側に工具接触部を配置してもよい。
その他、本発明の工具ホルダは、旋盤以外の工作機械にも適用できる。
Claims (7)
- 工作機械に設けられて工具挿入穴を有し、前記工具挿入穴に挿入された工具を固定手段によって固定する工具ホルダであって、
前記工具挿入穴の内面は、加工による振動が発生した際に前記工具ホルダに対する前記工具の相対移動を規制する固定力で前記工具を前記固定手段によって固定可能な工具固定部と、
前記工具固定部よりも低い固定力で前記工具を保持可能で、前記加工による振動が発生した際に前記工具ホルダに対する前記工具の相対移動を許容可能な工具接触部と、を含んでなり、
少なくとも前記工具接触部と連通するスリットが、前記工具挿入穴の軸線方向に沿って形成されていることを特徴とする工具ホルダ。 - 前記工具接触部は、前記工具固定部よりも前記工具の先端側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の工具ホルダ。
- 前記固定手段は、前記工具ホルダへのねじ込みにより前記工具を前記工具挿入穴に押圧固定する工具固定用ボルトであることを特徴とする請求項1又は2に記載の工具ホルダ。
- 前記スリットは、外部に開口していることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の工具ホルダ。
- 前記工具接触部を径方向に拡開可能な拡開機構を備えることを特徴とする請求項4に記載の工具ホルダ。
- 前記工具接触部の横断面形状は、前記工具の横断面形状と形状及び大きさが等しいか、或いは前記工具の横断面形状と形状が同じで大きさが小さいことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の工具ホルダ。
- 請求項1乃至6の何れかに記載の工具ホルダを備える工作機械。
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