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JP7447881B2 - 作業車両 - Google Patents

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Description

本発明は、作業車両に関する。
従来、苗の植え付け作業を行う場合に、畔付近において、走行車体を後進させた後に、旋回させるバックターンを実行する苗移植機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005-185129号公報
バックターンを自動旋回によって実行する場合、圃場に合った自動旋回を実行できないおそれがあり、改善の余地がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、自動旋回によってバックターンを実行する場合に、適切に自動旋回させる作業車両を提供することを目的とする。
上記した課題を解決し、目的を達成するために、実施形態の一態様に係る作業車両(1)は、走行車体(2)と、走行車体(2)に設けられた苗植付部(4)と、走行車体(2)の操舵輪(10)の舵角を制御し、走行車体(2)を自動旋回させる制御装置(100)と、を備える。制御装置(100)は、自動旋回を実行する場合に、走行車体(2)が直進状態となるように舵角を制御して走行車体(2)を所定距離後進させて、走行車体(2)を停止させた後に、舵角を制御して走行車体(2)を旋回させ、舵角を所定舵角として走行車体(2)の旋回を開始させ、走行車体(2)の角速度が所定角速度となるように、舵角を所定舵角から、走行車体(2)が直進状態となる基準舵角側に変更する。所定距離は変更可能である。
実施形態の一態様によれば、作業車両は、自動旋回によってバックターンを実行する場合に、適切に自動旋回させることができる。
図1は、作業車両を示す側面図である。 図2は、作業車両を示す平面図である。 図3は、苗移植機の制御装置を中心とした制御系を示すブロック図である。 図4は、実施形態に係るティーチング走行による作業領域の設定方法を示す図である。 図5は、作業領域において往復工程の端まで走行した走行車体を示す図である。 図6は、所定距離を設定するメータパネルの一例を示す図である。 図7は、自動旋回を説明する図である。 図8は、実施形態に係る自動旋回処理を説明するフローチャートである。
(作業車両の概要)
まず、図1および図2を参照して実施形態に係る作業車両1の概要について説明する。図1は、作業車両1を示す側面図である。図2は、作業車両1を示す平面図である。
なお、以下の説明では、前後方向とは、作業車両1の直進時における進行方向であり、進行方向の前方側を「前」、後方側を「後」と規定する。作業車両1の進行方向とは、直進時において、操縦席41からハンドル35(ステアリング装置)に向かう方向である(図1および図2参照)。
左右方向とは、前後方向に対して水平に直交する方向であり、「前」側へ向けて左右を規定する。すなわち、操縦者(作業者ともいう。)が操縦席41に着席して前方を向いた状態で、左手側が「左」、右手側が「右」である。
上下方向とは、鉛直方向である。前後方向、左右方向および上下方向は互いに直交する。各方向は説明の便宜上定義したものであり、これらの方向によって本発明が限定されるものではない。
実施形態では、作業車両1を、圃場作業装置として苗植付部4を備え、圃場に苗を受け付ける乗用型の苗移植機1として説明する。図1および図2に示すように、苗移植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク機構3を介して、圃場に苗を植え付ける昇降可能な苗植付部4を備える。
走行車体2の後部上側には施肥装置5の本体部分が配置される。なお、作業車両1が苗移植機1ではない場合、種子を供給する播種装置などを作業装置として備える場合がある。
走行車体2は、車輪であり駆動輪である、左右の前輪10および後輪11を備える四輪駆動車両である。走行車体2の車体骨格を構成するメインフレーム15の前側には、苗植付部4などに駆動力を伝達するミッションケース13と、エンジン30から供給される駆動力、すなわち、エンジン30で発生した回転をミッションケース13に出力する油圧式の無段変速装置14とが設けられる。
無段変速装置14は、いわゆるHST(Hydro Static Transmission)と呼ばれる静油圧式の無段変速機である。以下では、無段変速装置がHST14である場合を説明する。
ミッションケース13内には、高速モードでの路上走行時や、低速モードでの苗の植え付け時などにおける走行車体2の走行モードを切り替える副変速機構16が設けられる。ミッションケース13の左右側方には、前輪ファイナルケース10aが設けられ、左右の前輪ファイナルケース10aの操向方向を変更可能な前輪支持部からそれぞれ外向きに突出する左右の前車軸10bに前輪10が取り付けられる。
また、メインフレーム15の後部側には、横方向に設けられた後部フレーム22(図2参照)の左右両側に後輪ギヤケース11aが取付けられ、後輪ギヤケース11aからそれぞれ外向きに突出する左右の後車軸11bに後輪11がそれぞれ取り付けられる。
また、後部フレーム22の上部には、昇降リンク機構3を支持する左右のリンク支持フレーム23が上方に向けて突設される。左右のリンク支持フレーム23の下部側で、かつ、左右の間には、左右一対のロワリンクアーム24が設けられる。左右のロワリンクアーム24の左右の間に、油圧により作動する昇降シリンダ25が設けられる。
昇降シリンダ25の上方には、アッパリンクアーム26が設けられ、平行リンク機構である昇降リンク機構3が構成される。なお、それぞれ一端が走行車体2側に連結された、左右のロワリンクアーム24と、昇降シリンダ25と、アッパリンクアーム26の他端側とは、苗植付部4の前部に装着される。
また、メインフレーム15上には、エンジン30が搭載される。エンジン30の回転動力が、ベルト伝動装置21およびHST14を介してミッションケース13に伝達される。ミッションケース13に伝達された回転動力は、ミッションケース13内の副変速機構16により変速された後、走行動力と外部取り出し動力に分けられる。
また、エンジン30の回転動力は、図示しない油圧ポンプに伝達される。油圧ポンプで発生した油圧は、HST14や、ハンドル35のパワーステアリング機構88(図3参照)や、昇降シリンダ25などに供給される。
ミッションケース13に伝達された回転動力から取り出される外部取り出し動力は、走行車体2の後部に設けられた植付クラッチケース27に伝達され、植付クラッチケース27から植付伝動軸67によって苗植付部4に伝達される。
一方、ミッションケース13の後部には、左右のドライブシャフト42が設けられる。エンジン30からの回転動力は、ミッションケース13およびドライブシャフト42を介して左右の後輪ギヤケース11aに伝動される。
なお、左右のドライブシャフト42よりも伝動方向上手側には、左右のドライブシャフト42に対する動力伝達を入切するサイドクラッチ44(図3参照)が配置される。図1に示すように、操縦席41の前側下部であり、かつ、左右一側には、左右のサイドクラッチ44を入切操作するサイドクラッチペダル43aが設けられる。
左右のサイドクラッチペダル43aのうち、旋回内側のサイドクラッチペダル43aを踏み込んでサイドクラッチ44を切状態にしてからハンドル35を操作して旋回走行すると、旋回内側の後輪11の駆動回転を完全に遮断することができる。
走行車体2の前側上部には、各部の操作を行う操縦パネル38を上部に配置されたボンネット39が設けられる。操縦パネル38には、モニタ86(図3参照)などが設けられる。
また、ボンネット39には、走行車体2を操舵するハンドル35、HST14や苗植付部4を操作する変速操作レバー36、副変速機構16を操作する副変速操作レバー37などが設けられる。
また、ボンネット39の前側には、開閉可能なフロントカバー40が設けられる。フロントカバー40の内部には、燃料タンクやバッテリ、ハンドル35の操舵に左右の前輪10および左右の前輪ファイナルケース10aの下部側を回動させる連動機構が設けられる。前輪10は、例えば、ハンドル35の操舵に応じて転舵する操舵輪である。
ボンネット39よりも後側で、かつ、エンジン30の上方位置には、エンジン30の上部および側部を覆うエンジンカバー30aが設けられ、エンジンカバー30aの上部には操縦者が着席する操縦席41が設けられる。
操縦席41の後側であって、メインフレーム15の後端側には、施肥装置5が設けられる。施肥装置5の駆動力は、左右の後輪ギヤケース11aの左右一側から施肥装置5に臨むように設けられる、施肥伝動機構によって伝達される。
エンジンカバー30aおよびボンネット39の下部における左右両側は、略水平なフロアステップ33が形成される。フロアステップ33は、図2に示すように、一部格子状であり、たとえば、フロアステップ33を歩く操縦者の靴などについた泥が落ちても、落ちた泥などが圃場に落下する。
また、フロアステップ33の後方には、図2に示すように、リヤステップ330が連接される。リヤステップ330の表面には、作業時に足が滑りにくくなるように、たとえば、複数の突起パターンが形成された滑り止め加工が施されることが好ましい。
また、走行車体2の前側であり、かつ、左右両側には、苗枠支柱51に複数の予備苗載せ台52を上下方向に間隔を空けて配置する予備苗枠50がそれぞれ設けられ、苗植付部4に補充される苗や肥料袋などの作業資材が載置可能となっている。
また、昇降リンク機構3の後端部には、圃場に植え付ける苗を積載する苗タンク53が、左右方向に摺動させる摺動機構と共に装着されている。苗タンク53には、上下方向に長い苗仕切フェンス54が左右方向に所定間隔を空けてそれぞれ配置される。苗タンク53の下方には、積載された苗を掻き取って圃場に植え付ける苗植付装置55が配置される。
苗植付装置55は、苗仕切フェンス54により区切られた植付作業条数と同数、すなわち、8条同時に植え付けるものであり、植付伝動ケース56が苗タンク53の下方に間隔を空けて4つ配置され、植付伝動ケース56の左右両側に回転しながら植込杆58により苗を取って圃場に植え付ける植付ロータリ57がそれぞれ装着される。
施肥装置5は、肥料が貯留される施肥ホッパ70が、苗植付部4の作業条数と同数(図2に示す例では、8条分)に仕切られている。なお、8条分の施肥ホッパ70は、左右方向に長いため肥料の投入や着脱の利便性が低下するので、4条ずつに仕切られたものを左右にそれぞれ並べる、いわゆるサイド施肥構造であってもよい。
施肥ホッパ70の下部には、肥料を設定量ずつ供給する繰出装置71が1条ごとに設けられる。繰出装置71の下方には、肥料を移動させる搬送風が通過する通風ダクト72が左右方向に設けられる。繰出装置71の下方には、苗植付部4の苗植付位置の近傍に肥料を案内する施肥ホース73が設けられる。また、通風ダクト72の一側端部には、ブロア用電動モータ76により作動して搬送風を発生するブロア74が設けられる。
図1および図2に示すように、苗植付部4の下方には、圃場面に接地して滑走するセンターフロート62Cと、左右2つずつのサイドフロート62L、62Rとが、軸まわりに回動自在に設けられる。なお、センターフロート62Cおよび左右のサイドフロート62L、62Rを総称してフロート62という場合がある。
また、苗植付部4の下方において、フロート62よりも前側には、圃場面の凹凸を整地する整地ロータ63が設けられる。など、整地ロータ63には、左右他側の後輪ギヤケース11aからロータ伝動シャフト63aを介して駆動力が伝達される。
また、図1に示すように、苗植付部4の左右両側には、左右いずれか一方が圃場面に接地して、次の作業条(次工程)における走行の目安とする溝を形成する線引きマーカ65がそれぞれ設けられる。左右の線引きマーカ65は、左右一側が接地すると他側が上方に離間し、旋回時に苗植付部4を上昇させたときには左右両側共に上方に離間し、旋回後に苗植付部4が下降すると、左右一側が上方に離間して他側が接地する。
また、図1および図2に示すように、走行車体2の左右中央部であり、かつ、ボンネット39の前方には、上下方向に長いセンターマスコット66が設けられる。センターマスコット66を左右の線引きマーカ65により圃場に形成された溝に合わせることにより、直前の作業条の作業位置に合わせた走行が可能になり、作業精度の向上や、非作業の発生防止を図ることができる。
なお、圃場の土質によっては、左右の線引きマーカ65により形成されたガイド線がすぐに埋もれてしまい、直進の目安が消えてしまうことがある。このような場合には、左右の線引きマーカ65よりも前側に設けられた左右のサイドマーカ19を用いるとよい。すなわち、左右のサイドマーカ19を外側方向に移動させ、植え付けられた苗の上方にサイドマーカ19を位置させることで、前の作業条の苗の植え付けに合わせた植付作業が可能になる。
また、図1に示すように、苗移植機1は、位置取得装置150を備える。位置取得装置150は、苗移植機1の現在の位置、および方位を取得する。位置取得装置150は、例えば、方位センサや、GPS(Global Positioning System)やGNSS(Global Navigation Satellite System)などの測位手段を含む。位置取得装置150は、複数の装置によって構成されてもよい。位置取得装置150は、カメラや、超音波センサを含んでもよく、圃場における旋回位置を取得し、旋回位置までの距離を検出してもよい。
例えば、位置取得装置150は、測位手段から測位情報を受け取り、受け取った測位情報に基づいて走行車体2の現在の位置情報、および方位情報を作成し、現在の位置、および方位を取得する。位置取得装置150は、たとえば、取付ステー59に取り付けられ、走行車体2の上方に配置される。
位置取得装置150による位置情報に基づいて作成される、直進制御用プログラムと、旋回制御用プログラムとは、互いに別の場所に格納される。直進制御用プログラムは、たとえば、位置取得装置150内の直進制御用ECU(Electronic Control Unit)100aに格納され、旋回制御用プログラムは、たとえば、ボンネット39に収容された旋回制御用ECU100bに格納される。なお、直進制御用ECU100aおよび旋回制御用ECU100bは、後述する制御装置100(図3参照)に含まれる。直進制御用ECU100aおよび旋回制御用ECU100bは、同一のECUに格納されてもよい。
(苗移植機の制御系)
次に、図3を参照して苗移植機1の制御系について説明する。図3は、苗移植機1の制御装置100を中心とした制御系を示すブロック図である。苗移植機1は、電子制御によって各部を制御することが可能なものであり、各部を制御する制御装置(以下、コントローラという。)100を備える。
コントローラ100は、CPU(Central Processing Unit)などを有する処理部や、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの記憶部、さらには入出力部が設けられ、これらは、互いに接続されて互いに信号の受け渡しが可能である。記憶部には、苗移植機1を制御するコンピュータプログラムなどが格納される。コントローラ100は、記憶部に格納されたコンピュータプログラムなどを読み出すことで、各機能を発揮させる。
コントローラ100には、たとえば、アクチュエータ類として、スロットルモータ80、油圧制御弁81、82、植付クラッチ作動ソレノイド83、サイドクラッチ作動ソレノイド84、HST14モータ85、線引きマーカ昇降モータ87、ステアリングモータ95、デフロック切替モータ96などが接続される。
スロットルモータ80は、エンジン30の吸気量を調節するスロットルを作動させることにより、エンジン30の出力軸の回転数を増減させる。油圧制御弁81は、昇降シリンダ25の伸縮動作を制御する。油圧制御弁82は、パワーステアリング機構88を制御する。植付クラッチ作動ソレノイド83は、植付クラッチ27aを作動させる。
サイドクラッチ作動ソレノイド84は、後輪11(図1参照)への動力伝達状態を切り替えるサイドクラッチ44を作動させる。なお、サイドクラッチ44は、左右の後輪11にそれぞれ設けられ、サイドクラッチ作動ソレノイド84は、各サイドクラッチ44に対応して2つ設けられる。
HST14モータ85は、HST14のトラニオンの回動角度を変更することで、HST14の斜板の傾斜角を変更する。ステアリングモータ95は、自動旋回制御が行われる場合に、前輪10(図1参照)の操舵量(舵角)を調整するステアリング装置であるハンドル35を駆動するモータである。ステアリングモータ95は、ハンドル35を回動させる。線引きマーカ昇降モータ87は、線引きマーカ65を昇降させる。
デフロック切替モータ96は、左右の走行車輪、具体的には、左右の前輪10を同じ回転速度で回転させるデファレンシャルロック機構97(以下、デフロック機構と称する。)の作動、および作動停止を切り替えるモータである。デフロック機構97が入り状態になることで、左右の走行車輪が同じ回転速度で回転する。
コントローラ100には、検出装置である、回転数センサ90、操舵量センサ91、傾斜センサ92などが接続される。回転数センサ90は、左右の後輪11に対応して2つ設けられ、左右の後輪11の回転数をそれぞれ検出する。なお、回転数センサ90は、左右の前輪10の回転数を検出してもよい。
操舵量センサ91は、ステアリング装置であるハンドル35の操作量、すなわち、前輪10の操舵量(舵角)を検出する。操舵量センサ91は、例えば、ピットマンアームに連結する軸上に設けられる。なお、操舵量は、ハンドル35が予め設定された直進位置になった場合の値を基準値として、左右方向それぞれに検出される。傾斜センサ92は、走行車体2の傾きである傾斜角を検出する。
また、コントローラ100には、操作信号として、変速操作レバー36、副変速操作レバー37、自律走行切替スイッチ46、植付部昇降スイッチ47、自動直進切替スイッチ45、自動旋回切替スイッチ48、線引きマーカ自動昇降スイッチ49などから信号が入力される。
自律走行切替スイッチ46は、自律走行を実行するか否かを切り替えるスイッチである。具体的には、自律走行切替スイッチ46は、走行モードを自律走行モード、または手動走行モードに切り替えるスイッチである。例えば、自律走行切替スイッチ46が「ON」である場合、走行モードが自律走行モードに設定される。自律走行切替スイッチ46が「OFF」である場合、走行モードが手動走行モードに設定される。自律走行切替スイッチ46が「ON」にされると、自動直進切替スイッチ45、および自動旋回切替スイッチ48が「ON」になる。すなわち、走行モードが自律走行モードになると、なお、自動直進切替スイッチ45、および自動旋回切替スイッチ48は、いったん「ON」になった場合であっても、操縦者の操作によって「OFF」に変更可能である。
植付部昇降スイッチ47は、苗植付部4を昇降させるか否かを切り替えるスイッチである。植付部昇降スイッチ47は、「上昇」、および「降下」位置に変更される。
植付部昇降スイッチ47が「上昇」位置にある場合には、苗植付部4は、所定の非作業位置まで上昇し、苗植付装置55が停止する非作業状態となる。植付部昇降スイッチ47が「降下」位置にある場合には、苗植付部4は、所定の作業位置まで降下し、苗植付装置55が作動する作業状態となる。すなわち、植付部昇降スイッチ47は、苗植付部4の作業状態を検知するスイッチである。なお、苗植付部4の作業状態を検知するスイッチが別途設けられてもよい。
線引きマーカ自動昇降スイッチ49は、ハンドル35の操作量、すなわち、前輪10の操舵量に連動して線引きマーカ65を自動的に昇降させるか否かを切り替えるスイッチである。線引きマーカ自動昇降スイッチ49が「ON」の場合には、操舵量に連動して線引きマーカ65を自動的に昇降させる制御が実行される。一方、線引きマーカ自動昇降スイッチ49が「OFF」の場合には、操舵量に連動して線引きマーカ65を自動的に昇降させる制御は、実行されない。
自動直進切替スイッチ45は、自動直進の実行を可能とするか否かを切り替えるスイッチである。自動直進切替スイッチ45が「ON」にされている場合には、後述する走行アシスト機能が有効となり、自動直進を実行可能となる。自動直進切替スイッチ45が「OFF」にされている場合には、走行アシスト機能が無効となり、自動直進を実行不能となる。
自動旋回切替スイッチ48は、自動旋回の実行を可能とするか否かを切り替えるスイッチである。自動旋回切替スイッチ48が「ON」にされている場合には、後述する旋回アシスト機能が有効となり、自動旋回を実行可能となる。自動旋回切替スイッチ48が「OFF」にされている場合には、旋回アシスト機能が無効となり、自動旋回を実行不能となる。自動旋回切替スイッチ48が「OFF」にされている場合には、自動旋回を実行する条件が成立している場合であっても、自動旋回は実行されない。
また、コントローラ100には、位置取得装置150から走行車体2の現在の位置情報などが入力される。コントローラ100は、走行車体2が自動で走行しながら作業を行う自律走行モードを実行する。
また、コントローラ100には、遠隔操作装置170(以下、「リモコン」と称する。)から各種情報が入力される。例えば、コントローラ100は、受信機180(図1参照)を介して、リモコン170から各種情報が入力される。受信機180は、例えば、取付ステー59(図1参照)に取り付けられ、走行車体2の前方側の上方に配置される。なお、受信機180は、複数設けられてもよい。
リモコン170は、苗移植機1を遠隔操作可能である。リモコン170は、スマートフォンなどの端末装置であってもよい。リモコン170は、作業者の操作に応じた制御信号を送信する。リモコン170は、Wi-fi(登録商標)や、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)などの近距離無線通信によってコントローラ100と通信可能に接続されるが、これに限られず、近距離無線通信に加えて、あるいは代えて通信ネットワークなどを介して通信可能に接続されてもよい。
リモコン170は、例えば、方位センサや、GPSやGNSSなどの測位手段を含んでもよい。リモコン170は、リモコン170の位置情報をコントローラ100に送信してもよい。
リモコン170は、複数設けられてもよい。すなわち、コントローラ100は、複数のリモコン170から、各リモコン170の位置情報を取得可能であってもよい。
(自律走行モード)
ここで、苗移植機1による、圃場における自律走行(自動走行)について説明する。コントローラ100(図3参照)は、前輪10(図1参照)の操舵量をフィードバックしながらステアリングモータ95(図3参照)を制御してハンドル35(図3参照)を操作する自律走行モードを有する。自律走行モードは、自動直進モードと、自動旋回モードとを含む。
自動直進モードは、走行車体2が予め設定された直進経路に沿うように、ステアリングモータ95が制御され、直進するモードである。自動直進モードでは、苗植付部4によって圃場に苗を植え付けつつ、走行車体2が操縦者の操作によらず直進する。すなわち、走行車体2を自動直進させつつ、圃場に苗を移植する走行アシスト機能が有効となり、走行アシスト機能が実行される。
自動旋回モードは、走行車体2が所定の植付終了位置に到達すると、苗植付部4による苗の植え付けを停止し、走行車体2が予め設定された旋回経路に沿うように、ステアリングモータ95が制御され、旋回するモードである。所定の植付終了位置は、例えば、作業を行った工程の走行距離や、作業を行った工程に関する位置情報などによって設定される。
自動旋回モードでは、例えば、苗植付部4が上昇し、非作業状態にされ、走行車体2が操縦者の操作によらず旋回する。すなわち、苗植付部4による苗の植え付けを行わずに、走行車体2を旋回させる旋回アシスト機能が有効となり、旋回アシスト機能が実行される。
なお、図4に示すように、圃場の3辺La~Lcを操縦者の操作によって走行するティーチング走行がされることで、自律走行モードが実行される作業領域が設定される。図4は、実施形態に係るティーチング走行による作業領域の設定方法を示す図である。
例えば、作業領域設定ボタン(不図示)が操作されて、走行を開始すると、走行車体2の位置情報が辺Laの始点として記録され、走行中における走行車体2の位置情報が記録される。そして、ハンドル35が操縦者によって所定旋回角度以上回動されると、辺Laの終点が記録され、辺Laが設定される。また、辺Lbの始点における走行車体2の位置情報が記録される。所定旋回角度は、予め設定された値であり、走行車体2が畔に沿って旋回したと判定可能な角度である。
さらに、走行車体2が直進した後、ハンドル35が操縦者によって所定旋回角度以上回動されると、辺Lbの終点が記録され、辺Lbが設定される。また、辺Lcの始点における走行車体2の位置情報が記録される。
走行車体2が直進した後に、作業領域設定ボタンが操作されると、走行車体2の位置情報が、辺Lcの終点として記録され、辺Lcが設定される。3つの辺La~Lcが設定されることで、作業領域が設定される。なお、ティーチング走行では、走行車体2の直進走行時に、苗植付部4によって苗が圃場に植え付けられる。ティーチング走行は、圃場の外周に沿って植え付け作業が行われる外周工程である。作業領域は、走行車体2が往復する往復工程によって、圃場に苗が植え付けられる領域である。
作業領域が設定された圃場では、自律走行モードが実行可能となる。例えば、圃場において、辺La、または辺Lcに平行な直進走行経路に沿って自動直進が可能となる。また、辺Lb側の畔付近における旋回時に、自動旋回が可能となる。ティーチング走行において走行されなかった、圃場の辺、すなわち辺Lbと向かい合う側の畔付近における旋回時には、リモコン操作による旋回が可能である。
また、ティーチング走行が終了し、作業領域が設定された場合であっても、走行モードが手動走行モードである場合には、苗移植機1は、操縦者の操作によって走行し、圃場に苗を移植することができる。
走行モードが手動走行モードであり、操縦者の操作によって苗移植機1が走行している場合に、自動直進切替スイッチ45が「ON」にされると、苗移植機1は、自動直進を実行する。すなわち、苗移植機1は、走行モードが手動走行モードであっても、走行アシスト機能を実行可能となる。
また、走行モードが手動走行モードであり、操縦者の操作によって苗移植機1が走行している場合に、自動旋回切替スイッチ48が「ON」にされると、苗移植機1は、自動旋回を実行可能となる。すなわち、苗移植機1は、走行モードが手動走行モードであっても、旋回アシスト機能を実行可能となる。
コントローラ100は、走行モードが自律走行モードから手動走行モードに変更された場合には、走行車体2を自律走行させるための走行情報を記憶する。例えば、コントローラ100は、直進経路に関する情報、旋回経路に関する情報を記憶する。走行モードが手動走行モードになった場合には、記憶した走行情報に基づいて、走行アシスト機能、および旋回アシスト機能が実行可能となる。
コントローラ100は、旋回アシスト機能を実行し、走行車体2を自動旋回させる場合には、以下の手順で自動旋回を実行する。例えば、コントローラ100は、自動旋回において、バックターンを実行する。バックターンとは、旋回を行う場合に、走行車体2を一旦後進させて、旋回を開始するターンである。
コントローラ100は、図5に示す作業領域の端、すなわち往復工程の端まで走行車体2が走行すると、走行車体2を停止させる。図5は、作業領域において往復工程の端まで走行した走行車体2を示す図である。
例えば、コントローラ100は、自動直進によって往復工程に沿って走行し、圃場に苗を植え付けている場合に、所定の植付終了位置である往復工程の端まで走行すると、走行車体2を停止させる。コントローラ100は、走行車体2の停止位置を、外周工程による走行範囲に重複するように設定される。
コントローラ100は、停止位置から走行車体2を所定距離後進させる。具体的には、コントローラ100は、走行車体2が直進状態となるように、ハンドル35の操作量を制御し、走行車体2を後進させる。そして、走行車体2が、停止位置から所定距離後進すると、走行車体2を停止させる。
所定距離は、コントローラ100によって変更可能な距離である。所定距離は、前工程(往復工程)において植付作業が行われ、苗植付部4によって植え付けられた苗と、少なくとも後輪11が、側面視において重なる距離である。
所定距離は、例えば、図6に示すように、操縦パネル38における作業者などの操作によって設定可能である。図6は、所定距離を設定する操縦パネル38の一例を示す図である。例えば、操縦パネル38には、自動旋回におけるバックターンにおける旋回を「広く」、または「狭く」することを示す目盛り38aが表示され、作業者の操作によって、バックターン位置が変更される。
例えば、基準位置に対して、バックターン位置が「狭く」の方に設定されると、バックターン位置が早い側に設定され、所定距離が基準位置における距離よりも短くなる。また、基準位置に対して、バックターン位置が「広く」の方に設定されると、バックターン位置が遅い側に設定され、所定距離が基準位置における距離よりも長くなる。
例えば、圃場におけるスリップが多い場合、走行車体2のバック量が少なくなったり、旋回が小回りになったりするおそれがある。また、圃場におけるスリップ量が少ない場合、走行車体2のバック量が多くなったり、旋回が大回りになったりするおそれがある。
バックターンにおいて、バック量が少ない場合には、旋回時に、例えば、走行車体2が畔にぶつかったり、外周工程で植えた苗を、走行車体2が踏んだりするおそれがある。また、バックターンにおいて、バック量が多い場合には、次回の往復工程と、今回の往復工程との距離が長くなり、植え残しの領域が発生するおそれがある。
コントローラ100は、作業者などによる操縦パネル38の操作に応じて、バックターン位置、すなわち所定距離を変更することで、自動旋回における走行車体2の旋回を設定する。
コントローラ100は、走行車体2を所定距離後進させて、停止させた後に、旋回を開始させる。コントローラ100は、ハンドル35の操作量を所定量(所定舵角)として走行車体2の旋回を開始させる。所定量は、予め設定された値である。なお、コントローラ100は、自動旋回では、ハンドル35の操作量が、所定量よりも大きくなることを禁止する。また、コントローラ100は、自動旋回における走行車体2の車速を所定車速に規制する。所定車速は、予め設定された車速である。
コントローラ100は、旋回を開始させてから、走行車体2が、旋回開始時の走行車体2の方位から、第1所定方位となる位置まで旋回した後に、角速度ωpに基づいた旋回を実行させる。すなわち、コントローラ100は、旋回を開始してから走行車体2の方位が、第1所定方位となるまでは、ハンドル35の操作量を所定量に固定して旋回を行う。
第1所定方位は、予め設定された方位であり、例えば、図7に示すように、旋回開始時の方位を基準とする方位である。第1所定方位は、例えば、旋回開始時の方位に対して、30度旋回した位置の方位である。図7は、自動旋回を説明する図である。
コントローラ100は、走行車体2の方位が、第1所定方位になると、走行車体2の角速度ωpが所定角速度ωiとなるように、ハンドル35の操作量を制御する角速度制御を実行する。
例えば、所定角速度ωi[deg/s]は、操舵量センサ91から検出される舵角θa[deg](ハンドル35の操作量)と、走行車体2の車速V[m/s]に基づいて、式(1)から算出される。なお、車速Vは、例えば、走行車体2の位置情報に基づいて算出される。
ωi=A×V×θa・・・(1)
「A」は、走行車体2によって設定される値であり、走行車体2の種類などによって設定される。これにより、走行車体2の種類に応じた所定角速度ωiが算出される。所定角速度ωiは、走行車体2の大きさ、ホイルベース、補助車輪の有無などにより、設定されてもよい。
また、走行車体2の角速度ωpは、例えば、データ周期を0.1秒とし、10×(θp-θ(p-1))の0.5秒移動平均によって算出される。「θ(p-1)」は、現在の走行車体2の方位に対して、1つ前に取得される走行車体2の方位である。走行車体2の方位は、位置取得装置150によって取得される。なお、苗移植機1は、角速度センサを設けてもよい。コントローラ100は、角速度センサによって走行車体2の角速度ωpを検出してもよい。
コントローラ100は、走行車体2の角速度ωpが所定角速度ωiからずれた場合に、走行車体2の角速度ωpが所定角速度ωiとなるように、ハンドル35の操作量を変更する。すなわち、コントローラ100は、前輪10の舵角を変更する。コントローラ100は、ハンドル35の操作量を所定量から、走行車体2が直進状態となる基準操作量(基準舵角)側に変更する。すなわち、角速度制御において、ハンドル35の操作量は、所定量よりも大きくなることはない。
例えば、ハンドル35の操作量(前輪10の目標となる舵角)θdiは、式(2)によって算出される。
θdi=θd-(ωp-ωi)×sinθp×cos(θp/2)×(10+B)・・・(2)
「θd」は、旋回開始時に、ハンドル35の操作量を所定量とした場合の前輪10の舵角である。「B」は、基準操作量側へ戻す操作量を補正するレベル(補正値)である。「B」は、例えば、「0」を基準に、「-10」~「+10」まで設定可能である。「B」は、例えば、モニタ86や、リモコン170を介して設定可能である。
レベルが「-10」に近くなるほど、基準操作量側へ戻す操作量が小さくなる。具体的には、操作量のレベルが「-10」に設定されると、ハンドル35の操作量θdiは、「0」になり、角速度ωpに基づいたハンドル35の操作量の基準操作量側への変更は行われない。すなわち、ハンドル35の操作量は所定量に固定される。また、レベルが「+10」になるほど、基準操作量側へ戻す操作量が大きくなる。
このように、コントローラ100は、角速度制御において、ハンドル35の操作量を所定値から基準操作量側へ戻す操作量を変更可能である。
コントローラ100は、ハンドル35の操作量を基準操作量側に戻しつつ、走行車体2の角速度ωpが所定角速度ωiとなるように角速度制御を実行する。コントローラ100は、走行車体2の角速度ωpが所定角速度ωiからずれた場合に、ハンドル35の操作量を所定量から、基準操作量側に戻す。そして、コントローラ100は、走行車体2の角速度ωpが所定角速度ωiになると、ハンドル35の操作量を再び所定量とする。
このようにして、コントローラ100は、角速度制御による自動旋回を実行する。
コントローラ100は、走行車体2が、旋回開始時の方位から第2所定方位となる位置まで旋回すると、走行車体2の角速度ωpに基づいた角速度制御を終了する。すなわち、コントローラ100は、走行車体2の方位が、第1所定方位から第2所定方位となるまで、走行車体2の角速度ωpが所定角速度ωiとなるように、ハンドル35の操作量を制御しつつ、旋回を実行する。
第2所定方位は、予め設定された方位であり、第1所定方位よりも、走行車体2の旋回が進んだ位置の方位である。例えば、図7に示すように、旋回開始時の方位を基準とする方位である。第2所定方位は、例えば、旋回開始時の方位に対して、120度旋回した位置の方位である。
コントローラ100は、走行車体2の方位が第2所定方位になると、ハンドル35の操作量を所定量に固定して旋回を行う。
コントローラ100は、走行車体2が、第3所定方位になる位置まで旋回すると、走行車体2の車速を所定車速から減速させて、次の往復工程における直進制御へ移行する。コントローラ100は、走行車体2の方位が第3所定方位になると、ハンドル35の操作量を基準位置に徐々に戻し、次の往復工程への直線制御へ移行させる。
第3所定方位は、予め設定された方位であり、次の往復工程において直進状態を示す方位に対し、例えば、50度傾いた方位である。
(自動旋回処理)
次に、実施形態に係る自動旋回処理について図8を参照し説明する。図8は、実施形態に係る自動旋回処理を説明するフローチャートである。ここでは、自動直進モードによって走行車体2が走行しているものとする。
コントローラ100は、往復工程の端まで走行車体2が走行したか否かを判定する(S100)。コントローラ100は、往復工程の端まで走行車体2が走行していない場合(S100:No)、直進走行を継続する。
コントローラ100は、往復工程の端まで走行車体2が走行した場合(S100:Yes)、走行車体2を停止させた(S101)後に、走行車体2を後進させる(S102)。コントローラ100は、走行車体2が直進状態となるように、ハンドル35の操作量を制御し、走行車体2を所定距離後進させる。
コントローラ100は、走行車体2が所定距離後進したか否かを判定する(S103)。コントローラ100は、走行車体2が所定距離後進していない場合(S103:No)、後進を継続する(S102)。
コントローラ100は、走行車体2が所定距離後進した場合(S103:Yes)、走行車体2を停止させる(S104)。
コントローラ100は、旋回を開始させる(S105)。具体的には、コントローラ100は、ハンドル35の操作量を所定量とし、走行車体2の車速を所定車速として、旋回を開始させる。
コントローラ100は、走行車体2の方位が第1所定方位となったか否かを判定する(S106)。コントローラ100は、走行車体2の方位が第1所定方位ではない場合(S106:No)、走行車体2の方位が第1所定方位となるまで、ハンドル35の操作量を所定量とする旋回を継続する。
コントローラ100は、走行車体2の方位が第1所定方位になると(S106:Yes)、走行車体2の角速度ωpが所定角速度ωiとなるように、ハンドル35の操作量を制御する角速度制御を実行する(S107)。
コントローラ100は、走行車体2の方位が第2所定方位となったか否かを判定する(S108)。コントローラ100は、走行車体2の方位が第2所定方位となっていない場合(S108:No)、角速度制御を継続する(S107)。
コントローラ100は、走行車体2の方位が第2所定方位になると(S108:Yes)、角速度制御を終了する(S109)。コントローラ100は、ハンドル35の操作量を所定量として旋回を継続する。
コントローラ100は、走行車体2の方位が第3所定方位になったか否かを判定する(S110)。コントローラ100は、走行車体2の方位が第3所定方位となっていない場合(S110:No)、ハンドル35の操作量を所定量とする旋回を継続する。
コントローラ100は、走行車体2の方位が第3所定方位なると(S110:Yes)、次の往復工程への直線制御へ移行させる(S111)。具体的には、コントローラ100は、走行車体2の車速を所定車速から減速させて、ハンドル35の操作量を基準位置に徐々に戻す。
苗移植機1は、走行車体2と、苗植付部4と、コントローラ100とを備える。苗植付部4は、走行車体2に設けられる。コントローラ100は、走行車体2のハンドル35の操作量(前輪10の舵角)を制御し、走行車体2を自動旋回させる。コントローラ100は、自動旋回を実行する場合に、走行車体2が直進状態となるようにハンドル35の操作量を制御して走行車体2を所定距離後進させて、走行車体2を停止させた後に、ハンドル35の操作量を制御して走行車体2を旋回させる。所定距離は、変更可能である。
これにより、苗移植機1は、自動旋回を行う場合に、圃場の状態に合わせて、走行車体2を後進させて自動旋回を実行させることができる。そのため、苗移植機1は、自動旋回によってバックターンを実行する場合に、旋回を開始する位置を圃場に合わせて設定し、適切に自動旋回を実行することができる。例えば、苗移植機1は、外周工程によって植えた苗を、自動旋回時に踏むことや、畔への接触を抑制することができる。
コントローラ100は、バックターン位置が早い側に設定された場合には、所定距離を短くし、バックターン位置が遅い側に設定された場合には、所定距離を長くする。
これにより、苗移植機1は、バックターン位置の設定に合わせて、所定距離を設定することができる。そのため、圃場の状態に合わせたバックターンを容易に設定することができる。
所定距離は、少なくとも走行車体2に設けられた後輪11が、苗植付部4によって植え付けられた苗と、側面視において重なる距離である。
これにより、苗移植機1は、自動旋回を行う場合に、外周工程によって植えた苗を、自動旋回時に踏むことや、畔への接触を抑制することができる。
コントローラ100は、圃場の外周に沿って植え付け作業が行われる外周工程によるティーチングが実行された場合に、圃場における往復工程による作業範囲を設定する。コントローラ100は、往復工程における自動直進の停止位置を、外周工程による走行範囲に重複するように設定する。
これにより、苗移植機1は、往復工程において、外周工程側まで苗を植え付けることができる。
コントローラ100は、ハンドル35の操作量を所定量(前輪10の舵角を所定舵角)として走行車体2の旋回を開始させ、走行車体2の角速度ωpが所定角速度ωiとなるように、ハンドル35の操作量を所定量から、走行車体2が直進状態となる基準操作量(基準舵角)側に変更する。
これにより、苗移植機1は、自動旋回におけるハンドル35の操作制御が複雑化することを抑制することができる。苗移植機1は、設定された所定量に応じたハンドル35の操作に沿って自動旋回することができ、精度よく自動旋回させることができる。
コントローラ100は、走行車体2の旋回を開始させてから、走行車体2が旋回開始時の方位から第1所定方位となる位置まで旋回した後に、角速度ωpに基づいた旋回を実行させる。
これにより、苗移植機1は、旋回を開始した直後に走行車体2の旋回がふらつくことを抑制し、安定した状態で旋回を開始させることができる。
コントローラ100は、走行車体2が旋回開始時の方位から第2所定方位となる位置まで旋回すると、角速度ωpに基づいた旋回を終了させる。
これにより、苗移植機1は、次の往復工程における直進制御への移行を容易に行うことができる。
コントローラ100は、走行車体2が、次の往復工程において直進状態を示す方位に対して第3所定方位となる位置まで旋回すると、走行車体2を減速させて、次の植付工程への直進制御へ移行させる。
これにより、苗移植機1は、次の往復工程における苗の植え付け開始位置に、精度よく到達させることができる。
(変形例)
また、第3所定方位は、走行車体2の角速度ωpに応じて設定されてもよい。例えば、第3所定方位は、式(3)に基づいて設定されてもよい。
第3所定方位=180-1.2×ωp・・・(3)
また、上記した角速度制御は、苗移植機1における条数に応じて、実行の有無が変更されてもよい。例えば、条数が6条の苗移植機1においては、上記した角速度制御は、実行されない。この場合、苗移植機1は、ハンドル35の操作量を所定量として自動旋回を実行する。また、例えば、条数が8条の苗移植機1においては、上記した角速度制御は、実行される。
なお、条数が6条の苗移植機1では、第3所定方位を式(4)に基づいて設定してもよい。
第3所定方位=183-1.38×ωp+B・・・(4)
これにより、条数が6条の苗移植機1において、自動旋回における旋回の補正を実行することができる。
バックターン時に後進する所定距離は、走行車体2の種類に応じて設定されてもよい。
苗移植機1は、植付クラッチ27aが「入」の状態で、苗タンク53の苗減少を検知した場合、例えば、苗減少スイッチが「ON」になった場合、HST14を中立位置にし、走行車体2を停止させてもよい。
これにより、作業者に苗が減少していることを知らせることができる。また、植付クラッチ27aが「入」の状態であることを条件とすることで、通常の走行時に影響を与えることを抑制することができる。
苗移植機1は、副変速機構16が植付速の状態で、苗タンク53の苗減少を検知した場合、例えば、苗減少スイッチが「ON」になった場合、HST14を中立位置にし、走行車体2を停止させてもよい。
これにより、作業者に苗が減少していることを知らせることができる。また、副変速機構16が植付速の状態であることを条件とすることで、通常の走行時に影響を与えることを抑制することができる。
なお、苗移植機1は、上記条件によってHST14を中立位置にし、走行車体2を停止させる場合、徐々に減速させて、走行車体2を停止させる。これにより、作業者の安全性を向上させることができる。
苗移植機1は、上記条件によってHST14を中立位置にし、走行車体2を停止させた場合、変速操作レバー36が中立位置に戻されない場合、変速操作レバー36を走行位置にする操作を受け付けない。
これにより、作業者の安全性を向上させることができる。
苗移植機1は、苗タンク53の苗減少を検知し、走行車体2を停止させた場合、苗減少が解消された後でなければ、苗タンク53の苗減少による走行車体2の停止を実行しなくてもよい。
苗移植機1は、苗減少スイッチが「OFF」から「ON」に変化した場合に、HST14を中立位置にし、走行車体2を停止させてもよい。
これにより、苗が空の状態でエンジン30が始動された場合に、走行車体2が停止することを抑制することができる。
苗移植機1は、苗減少スイッチが「ON」になった場合に、モニタ86のポップ表示や、ブザーによる警告を行ってもよい。苗移植機1は、警告を行って、さらに苗減少が解消しないまま、所定走行距離進む場合に、HST14を中立位置にし、走行車体2を停止させてもよい。
これにより、苗減少スイッチが「ON」になると直ぐに走行車体2が停止することを抑制することができる。なお、所定走行距離のカウントは、植付クラッチ27aが「切」になるとリセットされる。所定走行距離のカウントは、副変速機構16が植付速以外になるとリセットされる。所定走行距離のカウントは、苗減少が解消されるとリセットされる。
また、上記する苗減少による走行車体2の停止制御は、操縦パネル38などの操作に応じて、ON、またはOFFに変更可能であってもよい。
また、上記する走行車体2の停止制御は、肥料の減少時に適用されてもよい。
このように、コントローラ100は、自動旋回時に、ハンドル35の操作量を基準操作量側へ戻す操作量を変更可能とすることで、圃場にあった自動旋回を実行することができる。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
1 苗移植機(作業車両)
2 走行車体
4 苗植付部
10 前輪(操舵輪)
11 後輪
35 ハンドル
91 操舵量センサ
100 コントローラ(制御装置)

Claims (7)

  1. 走行車体と、
    前記走行車体に設けられた苗植付部と、
    前記走行車体の操舵輪の舵角を制御し、前記走行車体を自動旋回させる制御装置と、
    を備え、
    前記制御装置は、
    前記自動旋回を実行する場合に、前記走行車体が直進状態となるように前記舵角を制御して前記走行車体を所定距離後進させて、前記走行車体を停止させた後に、前記舵角を制御して前記走行車体を旋回させ、
    前記舵角を所定舵角として前記走行車体の前記旋回を開始させ、前記走行車体の角速度が所定角速度となるように、前記舵角を前記所定舵角から、前記走行車体が直進状態となる基準舵角側に変更し、
    前記所定距離は変更可能である、
    ことを特徴とする作業車両。
  2. 前記所定距離は、少なくとも前記走行車体に設けられた後輪が、前記苗植付部によって植え付けられた苗と、側面視において重なる距離である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
  3. 前記制御装置は、
    圃場の外周に沿って植え付け作業が行われる外周工程によるティーチングが実行された場合に、前記圃場における往復工程による作業範囲を設定し、
    前記往復工程における自動直進の停止位置を、前記外周工程による走行範囲に重複するように設定する、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の作業車両。
  4. 前記制御装置は、
    前記走行車体の前記旋回を開始させてから、前記走行車体が旋回開始時の方位から第1所定方位となる位置まで旋回した後に、前記角速度に基づいた旋回を実行させる、
    ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の作業車両。
  5. 前記制御装置は、
    前記走行車体が旋回開始時の方位から第2所定方位となる位置まで旋回すると、前記角速度に基づいた旋回を終了させる、
    ことを特徴とする請求項4に記載の作業車両。
  6. 前記制御装置は、前記走行車体が、次の植付工程において直進状態を示す方位に対して第3所定方位となる位置まで旋回すると、前記走行車体を減速させて、前記次の植付工程への直進制御へ移行させる、
    ことを特徴とする請求項に記載の作業車両。
  7. 前記制御装置は、
    前記角速度に基づいて前記舵角を前記所定舵角から前記基準舵角側へ変更する操作量を変更可能である、
    ことを特徴とする請求項のいずれか1つに記載の作業車両。
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