以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態は車両に搭載された車両制御装置を例示して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る車両制御装置100を含む車両システム200の一例を示す構成図である。本実施形態の車両システム200は、車両に搭載されている。車両システム200は、車両が自動的に車線変更を行うためのシステムである。
図1に示すように、本実施形態に係る車両システム200は、周辺環境センサ群10と、車両センサ群20と、ナビゲーションシステム30と、地図データベース40と、HMI50と、アクチュエータ制御装置60と、車両制御アクチュエータ群70と、方向指示器80と、車両制御装置100とを含む。これらの装置又はシステムは、相互に情報の授受を行うためにCAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続されている。
周辺環境センサ群10は、自車両の周辺の状態(外部状態)を検出するセンサ群であって、自車両に設けられている。図1に示すように、周辺環境センサ群10としては、例えば、レーダー11、撮像装置12が挙げられるが、これらに限定されない。
レーダー11は、自車両の周辺に存在する物体を検出する。レーダー11としては、例えば、ミリ波レーダー、レーザーレーダー、超音波レーダー、レーザレンジファインダーなどが挙げられるが、これらに限定されない。レーダー11は、例えば、電波を自車両の周辺に送信し、物体で反射された電波を受信することで、物体を検出する。具体的には、レーダー11は、物体が存在する方向及び物体までの距離を検出する。また、レーダー11は、物体が存在する方向及び物体までの距離の時間変化に基づいて、自車両に対する物体の相対速度(移動方向を含む)を検出する。レーダー11により検出された検出結果は、車両制御装置100に出力される。
本実施形態では、レーダー11は自車両を中心としたときの全方位を検出対象としている。例えば、レーダー11は、自車両の前方、側方、及び後方それぞれに備えられ、自車両の前方に存在する物体を検出する前方レーダー、自車両の側方に存在する物体を検出する側方レーダー、及び自車両の後方に存在する物体を検出する後方レーダーで構成される。なお、自車両が備えるレーダー11の数及び種別は特に限定されない。
撮像装置12は、自車両の周辺に存在する物体を撮像する。撮像装置12としては、例えば、CCD又はCMOSの撮像素子を備えるカメラが挙げられるが、これに限定されない。撮像装置12により撮像された撮像画像は、車両制御装置100に出力される。
本実施形態では、撮像装置12は自車両を中心としたときの全方位を撮像対象としている。例えば、撮像装置12は、自車両の前方、側方、及び後方それぞれに備えられ、自車両の前方に存在する物体を撮像する前方カメラ、自車両の側方に存在する物体を撮像する側方カメラ、自車両の後方に存在する物体を検出する後方カメラで構成される。なお、自車両が備える撮像装置12の数及び種別は特に限定されない。
周辺環境センサ群10が検出する物体としては、例えば、自転車、バイク、自動車(以降、他車両ともいう)、路上障害物、交通信号機、路面標示(車線境界線を含む)、横断歩道が挙げられる。例えば、自車両の進行方向に沿って走行する他車両が自車両の周辺に存在する場合、レーダー11は、自車両の位置を基準として他車両が存在する方向及び他車両までの距離と、自車両に対する他車両の相対速度を検出する。また、撮像装置12は、他車両の車種、他車両の大きさ、及び他車両の形状が特定可能な画像を撮像する。
また、例えば、自車両が複数の車線のうち特定の車線を走行している場合、レーダー11は、自車両が走行している車線と、この車線の側方に位置する車線とを区切っている車線境界線を検出するとともに、自車両から車線境界線までの距離を検出する。また、撮像装置12は、車線境界線の種別が特定可能な画像を撮像する。なお、自車線の両側に車線境界線が存在する場合、レーダー11は、それぞれの車線境界線について、自車両から車線境界線までの距離を検出する。また、以降の説明においては、自車両が走行している車線を自車線、自車線の側方に位置する車線を隣接車線ともいう。
車両センサ群20は、自車両の状態(内部状態)を検出するセンサ群である。図1に示すように、車両センサ群20としては、例えば、車速センサ21、加速度センサ22、ジャイロセンサ23、操舵角センサ24、アクセルセンサ25、ブレーキセンサ26が挙げられるが、これらに限定されない。
車速センサ21は、ドライブシャフトなどの駆動系の回転速度を計測し、計測結果に基づいて自車両の走行速度を検出する。車速センサ21は、例えば、自車両の車輪又は車輪と一体に回転するドライブシャフトに設けられている。加速度センサ22は、自車両の加速度を検出する。加速度センサ22には、自車両の前後方向の加速度を検出する前後加速度センサと、自車両の横加速度を検出する横加速度センサが含まれる。ジャイロセンサ23は、自車両が回転する速度、すなわち、単位時間あたりの自車両の角度の移動量(角速度)を検出する。操舵角センサ24は、ステアリングホイールの操舵角を検出する。操舵角センサ24は、例えば、自車両のステアリングシャフトに設けられている。アクセルセンサ25は、アクセルペダルの踏み込み量(アクセルペダルの位置)を検出する。アクセルセンサ25は、例えば、アクセルペダルのシャフト部分に設けられている。ブレーキセンサ26は、ブレーキペダルの踏み込み量(ブレーキペダルの位置)を検出する。ブレーキセンサ26は、例えば、ブレーキペダルのシャフト部分に設けられている。
車両センサ群20により検出された検出結果は、車両制御装置100に出力される。検出結果には、例えば、自車両の車速、加速度(前後加速度及び横加速度を含む)、角速度、アクセルペダルの踏み込み量、ブレーキペダルの踏み込み量が含まれる。
ナビゲーションシステム30は、自車両の現在位置の情報に基づいて、自車両の現在位置から目的地までの経路を示して自車両の乗員(運転者を含む)を誘導するシステムである。ナビゲーションシステム30には、後述する地図データベース40から地図情報が入力されるとともに、自車両の乗員からHMI50を介して目的地の情報が入力される。ナビゲーションシステム30は、これらの入力情報に基づいて自車両の走行経路を生成する。そして、ナビゲーションシステム30は、自車両の走行経路の情報を車両制御装置100に出力するとともに、HMI50を介して自車両の乗員に自車両の走行経路の情報を提示する。これにより、乗員には現在位置から目的地までの走行経路が提示される。
図1に示すように、ナビゲーションシステム30は、GPS31と、通信装置32と、ナビコントローラ33とを備える。
GPS31は、現在の自車両の位置を示す位置情報を取得する(Global Positioning System, GPS)。GPS31は、複数の衛星通信から送信される電波を受信機で受信することで、自車両の位置情報を取得する。また、GPS31は、周期的に複数の衛星通信から送信される電波を受信することで、自車両の位置情報の変化を検出することができる。
通信装置32は、外部から自車両の周辺状況を取得する。通信装置32は、例えば、自車両の外部に設けられたサーバ又はシステム、他車両に搭載された通信装置と通信可能な装置である。
例えば、通信装置32は、道路に設けられた情報発信装置(ビーコン)又はFM多重放送等により、道路交通情報通信システム(Vehicle Information and Communication System, VICS(登録商標)、以下同じ)から道路交通情報を取得する。道路交通情報には、例えば、車線単位の渋滞情報、事故情報、故障車情報、工事情報、速度規制情報、車線規制情報などが含まれる。なお、道路交通情報には、上記の各情報が必ず含まれているわけではなく、少なくとも何れか一つの情報が含まれていればよい。
渋滞情報としては、例えば、渋滞が発生しているエリア、渋滞の距離、渋滞を抜けるまでの所要時間が挙げられるが、これらに限定されない。事故情報としては、例えば、事故が発生したエリア、事故の内容、事故が発生した地点を抜けるまでの所要時間が挙げられるが、これらに限定されない。故障車情報としては、例えば、故障車が存在するエリア、故障車の台数、故障車が発生した地点を抜けるまでの所要時間が挙げられるが、これらに限定されない。速度規制情報としては、例えば、速度規制対象のエリア、速度規制の時間帯が挙げられるが、これらに限定されない。工事情報としては、例えば、工事中のエリア、工事が行われる時間帯、工事中のエリアを抜けるまでの所要時間が挙げられるが、これらに限定されない。
また、例えば、通信装置32は、他車両に搭載された通信装置から、自車両に対する他車両の相対速度の情報、自車両に対する他車両の相対的な位置の情報等を取得する。このような自車両と他車両で行われる通信は、車車間通信と称されている。通信装置32は、車車間通信により、他車両の車速等の情報を自車両の周辺情報として取得する。
なお、他車両の相対速度等の情報については、車車間通信による取得に限られない。例えば、通信装置32は、VICSから、他車両の位置、車速、進行方向を含む情報を自車両の周辺情報として取得することもできる。なお、通信装置32が取得する情報の種別は上記の種別に限られない。例えば、通信装置32は、天気情報を配信するサーバから、自車両が走行するエリアの天気情報を取得することもできる。
ナビコントローラ33は、自車両の現在位置から目的地までの走行経路を生成するコンピュータである。例えば、ナビコントローラ33は、走行経路を生成するためのプログラムを格納したROM(Read Only Memory)と、このROMに格納されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)とから構成される。
ナビコントローラ33には、GPS31から自車両の現在位置の情報が入力され、通信装置32から道路交通情報が入力され、地図データベース40から地図情報が入力され、HMI50から自車両の目的地の情報が入力される。例えば、自車両の乗員がHMI50を介して自車両の目的地を設定したとする。ナビコントローラ33は、自車両の位置情報、自車両の目的地の情報、地図情報、及び道路交通情報に基づいて、現在位置から目的地までの経路であって車線単位の経路を、自車両の走行経路として生成する。ナビコントローラ33は、生成した走行経路の情報を、車両制御装置100に出力するとともに、HMI50を介して自車両の乗員に提示する。
なお、本実施形態では、自車両の走行経路は、自車両が現在位置から目的地に到着可能な経路であればよく、その他の条件については限定されない。例えば、ナビコントローラ33は、乗員により設定された条件に従って、自車両の走行経路を生成してもよい。例えば、乗員が有料道路を優先的に使用して目的地まで到着するような設定を行った場合、ナビコントローラ33は、地図情報に基づいて、有料道路を使用した走行経路を生成してもよい。また、例えば、ナビコントローラ33は、道路交通情報に基づいて、自車両の走行経路を生成してもよい。例えば、目的地までの最短経路の途中で渋滞が発生している場合、ナビコントローラ33は、迂回経路を探索し、探索された複数の迂回経路のうち所要時間が最短となる経路を、走行経路として生成してもよい。
地図データベース40は、地図情報を格納している。地図情報には、道路情報と交通規則情報が含まれている。道路情報及び交通規則情報は、ノードと、ノード間を接続するリンク(道路リンクともいう)により定義される。リンクは車線レベルで識別される。
道路情報は、車両が走行可能な道路に関する情報である。各道路リンクには、例えば、道路の種別、道路幅、道路形状、直進の可否、進行の優先関係、追い越しの可否(隣接車線への進入の可否)、車線変更の可否その他の道路に関する情報が紐づけられているが、道路リンクに紐づけられる情報はこれらに限定されない。その他にも、各道路リンクには、例えば、信号機の設置位置、交差点の位置、交差点の進入方向、交差点の種別その他の交差点に関する情報が紐づけられている。
交通規則情報は、車両が走行時に遵守すべき交通に関する規則である。交通規則としては、例えば、経路上における一時停止、駐車/停車禁止、徐行、制限速度、車線変更禁止が挙げられるが、これらに限定されるものではない。各道路リンクには、道路リンクで定義される区間における交通規則の情報が紐づけられている。例えば、車線変更禁止区間における道路リンクには、車線変更禁止の情報が紐づけられている。なお、交通規則の情報は、道路リンクだけでなく、例えば、ノード又は地図上の特定の地点(緯度、経路)に紐づけられていてもよい。
また、交通規則情報には、交通規則に関する情報だけでなく、信号機に関する情報が含まれていてもよい。例えば、信号機が設置されている交差点の道路リンクには、信号機が現在表示している色の情報、及び/又は信号機の表示が切り替わる周期の情報が紐づけられていてもよい。信号機に関する情報は、例えば、通信装置32によって、VICSから取得されたり、あるいは、道路上に設けられた情報発信装置(例えば、光ビーコン)から取得されたりする。信号機の表示情報は、時間の経過とともに変化する。そのため、交通規則情報は所定の周期毎に更新される。
なお、地図データベース40に格納される地図情報は、自動運転に適した高精度地図情報でもよい。高精度地図情報は、例えば、自車両の外部に設けられたサーバ又はシステムとの通信により取得される。また、高精度地図情報は、周辺環境センサ群10を用いてリアルタイムに取得した情報(例えば、レーダー11により検出された物体の情報、撮像装置12により撮像された自車両の周辺の画像)に基づいて、随時生成されてもよい。
ここで、本実施形態における自動運転について説明する。本実施形態では、自動運転とは、運転主体が運転者のみで構成された運転形態以外を示す。例えば、運転主体に運転者とともに、運転操作を支援するコントローラ(図示しない)が含まれている場合、又は運転者に代わり運転操作を実行するコントローラ(図示しない)が含まれている場合が自動運転に該当する。
また、本実施形態では、車両システム200が地図データベース40を備える構成を例に挙げて説明するが、車両システム200の外部に設けられていてもよい。例えば、地図情報は、可搬型の記憶装置(例えば、外付けHDD、フラッシュメモリ)に予め記憶されていてもよい。この場合、車両制御装置100と地図情報を記憶する記憶装置とを電気的に接続することで、記憶装置が地図データベース40として機能する。
HMI50は、自車両の乗員と車両システム200との間で情報の出力及び入力を行うためのインターフェースである(Human Machine Interface, HMI)。HMI50としては、例えば、文字又は画像情報を表示するディスプレイと、音楽又は音声など音を出力するスピーカが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
HMI50を介した情報の授受について説明する。例えば、目的地を設定するために、乗員がHMI50に対して目的地を入力すると、目的地の情報は、HMI50からナビゲーションシステム30に出力される。これにより、ナビゲーションシステム30は、自車両の目的地の情報を取得することができる。また、例えば、ナビゲーションシステム30が目的地までの走行経路を生成すると、走行経路の情報は、ナビゲーションシステム30からHMI50へ出力される。そして、HMI50は、走行経路の情報をディスプレイ及び/又はスピーカから出力する。これにより、自車両の乗員には、目的地までの走行経路の情報が提示される。目的地までの走行経路の情報としては、例えば、ルートの案内、目的地までの所要時間が挙げられるが、これらに限定されない。
また、例えば、自車両を車線変更させるために、乗員がHMI50に対して車線変更の実行指令を入力すると、車線変更の実行指令は、HMI50から車両制御装置100に出力される。これにより、車両制御装置100は、車線変更の制御処理を開始することができる。また、例えば、車両制御装置100が車線変更のための目標軌跡を設定すると、目標軌跡の情報は、車両制御装置100からHMI50へ出力される。そして、HMI50は、目標軌跡の情報をディスプレイ及び/又はスピーカから出力する。これにより、自車両の乗員には、車線変更のための目標軌跡の情報が提示される。車線変更のための目標軌跡の情報としては、例えば、隣接車線上で特定された進入位置、車線変更する際の目標軌跡が挙げられるが、これらに限定されない。なお、目標軌跡及び進入位置については後述する。
アクチュエータ制御装置60は、自車両の走行を制御する。アクチュエータ制御装置60は、ステアリング制御機構、アクセル制御機構、ブレーキ制御機構、エンジン制御機構等を備えている。アクチュエータ制御装置60には、後述する車両制御装置100から制御信号が入力される。アクチュエータ制御装置60は、車両制御装置100からの制御信号に応じて、車両制御アクチュエータ群70を制御することで、自車両の自動運転を実現する。例えば、アクチュエータ制御装置60に自車両を自車線から隣接車線へ移動させるための制御信号が入力されると、アクチュエータ制御装置60は、制御信号に応じて、自車両の移動に必要な操舵角、移動速度に応じたアクセル踏み込み量又はブレーキ踏み込み量を算出する。アクチュエータ制御装置60は、算出した各種パラメータを車両制御アクチュエータ群70に出力する。
なお、各機構の制御は、完全に自動で行われてもよいし、運転者の運転操作を支援する態様で行われてもよい。各機構の制御は、運転者の介入操作により中断又は中止させることができる。アクチュエータ制御装置60による走行制御方法は、上記の制御方法に限られず、その他の周知の方法を用いることもできる。
車両制御アクチュエータ群70は、自車両を駆動するための各種アクチュエータである。図1に示すように、車両制御アクチュエータ群70としては、例えば、ステアリングアクチュエータ71、アクセル開度アクチュエータ72、ブレーキ制御アクチュエータ73が挙げられるが、これらに限定されない。
ステアリングアクチュエータ71は、アクチュエータ制御装置60から入力される信号に応じて、自車両のステアリングの操舵方向及び操舵量を制御する。アクセル開度アクチュエータ72は、アクチュエータ制御装置60から入力される信号に応じて、自車両のアクセル開度を制御する。ブレーキ制御アクチュエータ73は、アクチュエータ制御装置60から入力される信号に応じて、自車両のブレーキ装置の制動動作を制御する。
方向指示器80は、点滅を行うランプを内部に有しており、自車両の運転者が方向指示スイッチ(図示しない)を操作すると、橙色で点灯する。方向指示器80は、自車両が右左折する際又は車線変更する際に、その方向を周囲に示すための装置である。方向指示器80は、例えば、自車両の前端及び後端の左右に一体的に設けられる。例えば、方向指示器80は、左側方向指示器と右側方向指示器で構成される。
また、本実施形態では、方向指示器80には車両制御装置100から制御信号が入力される。制御信号としては、例えば、消灯している方向指示器80を点滅させる信号(点滅信号ともいう)、点滅している方向指示器80を消灯させる信号(消灯信号ともいう)が挙げられる。例えば、方向指示器80に左側方向指示器を点滅させる点滅信号が入力されると、方向指示器80は、左側方向指示器を点灯させる。その後、方向指示器80に左側方向指示器を消灯させる消灯信号が入力されると、方向指示器80は、左側方向指示器を消灯させる。このように、方向指示器80は、自車両の運転者に加えて、車両制御装置100により制御される。
次に、車両制御装置100について説明する。本実施形態の車両制御装置100は、ハードウェア及びソフトウェアを備えたコンピュータにより構成され、プログラムを格納したROM(Read Only Memory)と、このROMに格納されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)とから構成されている。なお、動作回路としては、CPUに代えて又はこれとともに、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いることができる。図1に示す制御装置101はCPUに相当する。図1に示す記憶装置109はROM及びRAMに相当する。
なお、本実施形態では、制御装置101により実行されるプログラムが記憶装置109に予め記憶されている構成を例に挙げて説明するが、プログラムが記憶される場所は記憶装置109に限定されない。例えば、プログラムは、コンピュータが読み取ることができ、かつ、可搬型のコンピュータ読み取り可能な記録媒体(例えば、ディスクメディア、フラッシュメモリなど)に記憶されていてもよい。この場合、制御装置101は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体からダウンロードしたプログラムを実行する。言い換えると、車両制御装置100が動作回路のみを備え、プログラムを外部からダウンロードする構成であってもよい。
図1に示すように、制御装置101には、情報取得部102と、状況認識部103と、特定部104と、接近度算出部105と、制御設定部106と、スペース有無判定部107と、走行制御部108が含まれる。これらのブロックは、ROMに確立されたソフトウェアによって、後述する各機能を実現する。なお、本実施形態では、制御装置101が有する機能を、7つの機能ブロックとして分けた上で、各機能ブロックの機能を説明しているが、制御装置101の機能は必ずしも7つのブロックで分ける必要なく、6つ以下の機能ブロック、あるいは、8つ以上の機能ブロックで分けてもよい。また、制御装置101が有する機能は、以下で説明する機能ブロックの機能に限らず、例えばナビゲーションシステムの制御機能等も有している。
情報取得部102の機能について説明する。情報取得部102は、周辺環境センサ群10、車両センサ群20、ナビゲーションシステム30、地図データベース40、HMI50のそれぞれから、各種情報を取得する。
情報取得部102は、周辺環境センサ群10により検出された、自車両の周辺情報(自車両の外部情報ともいう)を取得する。自車両の周辺情報には、レーダー11により検出された検出結果、及び撮像装置12により撮像された撮像画像が含まれる。また、情報取得部102は、車両センサ群20により検出された、自車両の状態を示す情報(自車両の内部情報ともいう)を取得する。自車両の内部情報には、自車両の車速、加速度、角速度、アクセルペダルの踏み込み量、及びブレーキペダルの踏み込み量が含まれる。また、情報取得部102は、ナビゲーションシステム30から、自車両の現在位置、自車両の走行経路、及び道路交通情報を取得する。また、情報取得部102は、地図データベース40から、地図情報(道路情報及び交通規則情報を含む)を取得する。また、情報取得部102は、HMI50から、車線変更の実行指令を取得する。情報取得部102により取得された各種情報は、後述する各機能で用いられる。
状況認識部103の機能について説明する。状況認識部103は、情報取得部102により取得された各種情報に基づいて、自車両の周辺の状況を認識するとともに、自車両の車線変更箇所を特定する。
また、状況認識部103は、車自車両の車線変更箇所が特定された場合、以下に示す機能も実行可能になる。状況認識部103は、自車両に後続する後続車両が存在するか否かを判定する。また、状況認識部103は、自車線を走行する車両の車速と隣接車線を走行する車両の車速との大小関係を判定する。
状況認識部103は、自車両の周辺の状況を認識する。例えば、状況認識部103は、レーダー11により検出された検出結果、及び撮像装置12により撮像された撮像画像から、自車両の周辺に存在する障害物の存否、障害物が存在する方向、障害物までの距離、自車両に対する障害物の相対速度を認識する。これにより、状況認識部103は、障害物の数、各障害物と自車両との位置関係、障害物の移動速度を把握することができる。
また、例えば、状況認識部103は、レーダー11により検出された検出結果、及び撮像装置12により撮像された撮像画像から、自車両と車線境界線までの距離を認識する。これにより、状況認識部103は、車線の車幅方向において、自車両が自車線のどの位置を走行しているかを把握することができる。以降では、車線のうち車幅方向における自車両の位置を、車線に対する自車両の横位置とも称する。なお、自車両のどの部分を、車線に対する自車両の横位置とするかは特に限定されないが、例えば、状況認識部103は、車体中心線上の特定の位置を車線に対する自車両の横位置とする。
また、例えば、状況認識部103は、レーダー11により検出された検出結果、撮像装置12により撮像された撮像画像、及び地図データベース40に格納されている地図情報に基づいて、自車両が走行している道路の車線数を特定する。自車両の進行方向と同じ方向に沿う複数の車線が特定された場合、状況認識部103は、複数の車線のうち自車両が走行している車線を特定する。
状況認識部103は、自車両の周辺状況が認識された後、自車両の周辺状況と自車両の走行経路に基づいて、車線変更箇所を特定する。状況認識部103は、ナビゲーションシステム30から、自車両の現在位置及び自車両の走行経路を取得し、自車両の現在位置及び走行経路に基づき、車線変更箇所を特定する。車線変更箇所は、走行経路に走行する際に、自車線から隣接車線に車両を移動させる必要がある箇所を示している状況認識部103は、自車両の走行経路を参照し、走行経路において車線が変更されている箇所を特定する。
状況認識部103は、自車両の走行経路から、交差点等、進行方向を切り替える地点や、インターチェンジなど、車両の進行方向とは異なる方向に進路を変える地点を目標地点として特定する。次に、状況認識部103は、目標地点で自車両の進行方向を変えるために、自車線から隣接車線に車両を移動する必要がある箇所を、車線変更箇所として特定する。
例えば、現在位置の先にある交差点で右折するような走行経路が設定されており、自車両が複数車線のうち最も左側の車線を走行している場合には、自車両は右折に備えて、左側の車線から右側の車線に移動する必要がある。このようなシーンにおいて、状況認識部103は、右折を必要とする交差点を目標地点として特定する。状況認識部103は、走行経路上で、右折すべき交差点(目標地点)から所定距離、前の位置を車線変更箇所として特定する。車線変更箇所は、例えば、走行経路上で、目標地点から数100m手前の箇所に設定される。車線変更箇所は、必ずしも点で設定される必要はなく、所定の区間でされてもよい。他の例として、車線変更箇所は、高速道路上に設けられた分岐点手前の所定区間、高速道路上に設けられた合流地点手前の所定区間、自車両の目的地の手前にある所定区間が挙げられる。高速道路上に設けられた分岐点には、各方面への分岐点と、本線と出口との分岐点が含まれる。なお、本実施形態では、車線変更箇所が区間で特定する場合に、区間の長さは特に限定されない。
状況認識部103は、自車両の周辺情報に基づいて、自車線上で、自車両の後方に位置する所定領域内に自車両に後続する後続車両が存在するか否かを判定する。後続車両とは、自車両の後に続いて自車線を走行する他車両である。例えば、状況認識部103は、レーダー11により検出された検出結果、及び撮像装置12により撮像された撮像画像に基づいて、自車両に対して自車線の後方を走行する他車両が存在するか否かを判定する。また、自車両に対して自車線の後方には複数の他車両が存在すると判定された場合、状況認識部103は、複数の他車両のうち自車両に対して最も近くに位置する他車両を、後続車両として特定する。なお、後続車両の存否の判定にあたり、状況認識部103は、自車線上で自車両の後方に位置する所定領域を予め指定し、所定領域内に後続車両が存在するか否かを判定してもよい。例えば、状況認識部103は、自車両の進行方向に沿う方向の長さであって、自車両の車速に応じた長さを有する領域を所定領域として指定する。所定領域は、特に限定されない。所定領域は、予め定められ、ROM等の記憶装置に記憶された領域であってもよい。
また、状況認識部103は、一旦後続車両として認識した他車両が後続車両の要件に該当しなくなった場合、新たな他車両を対象にして後続車両が存在するか否かを判定する。後続車両の要件に該当しなくなった場合としては、例えば、後続車両が自車線から隣接車線へ車線変更した場合が挙げられる。このような場合、状況認識部103は、再度、自車線上に、自車両に後続する他車両が存在するか否かを判定する。自車線を走行し、自車両に後続する他車両が存在すると判定された場合、状況認識部103は、この他車両を後続車両として認識する。これにより、自車両の後方の状況が変化しても、その影響を受けることなく、後続車両を適切に認識することができる。
状況認識部103は、車線変更するに際して、予め自車両を減速させる必要があるか否かの判定を行う。本実施形態では、状況認識部103は、自車線の所定区間を走行する車両の車速と、隣接車線の所定区間を走行する車両の車速との大小関係を判定することで、車線変更前に自車両を減速させるか否かを判定する。自車線と隣接車線における所定区間は同じ区間である。所定区間としては、例えば、自車両が現在位置から、自車両の車線変更制御が開始される位置までの区間が挙げられるが、これに限定されない。また、車速の判定の対象となる車両は、自車両に限られず、他車両も含まれる。すなわち、状況認識部103は、自車線及び隣接車線を含む所定区間を走行している車両全般を対象にして、自車線を走行する車両の車速と隣接車線を走行する車両の大小関係を判定する。状況認識部103は、以下に説明する方法のうち少なくとも何れか一つを用いて、この2つの車速の大小関係及び速度差を認識する。
例えば、状況認識部103は、レーダー11により検出された検出結果、又は車車間通信により取得された情報に基づいて、隣接車線を走行する複数の他車両のうち、自車両に対して最も近くに位置する他車両を特定する。また、状況認識部103は、自車両に対する他車両の相対速度を、他車両に対する自車両の相対速度に変換する。状況認識部103は、自車両の相対速度が高い、すなわち、自車両の車速が他車両の車速よりも速い場合、自車線を走行する車両の車速が隣接車線を走行する車両の車速よりも速いと認識する。また、状況認識部103は、自車線を走行する車両の車速が隣接車線を走行する車両の車速に比べてどの程度速いか(速度差)も認識する。
なお、相対速度を用いた上記方法において、対象となる他車両の台数は一台に限られず、複数台であってもよい。例えば、状況認識部103は、所定の時間内に、複数の他車両それぞれから自車両に対する他車両の相対速度を取得する。状況認識部103は、取得した相対速度それぞれについて、各他車両の車速を基準とした自車両の相対速度に変換する。そして、状況認識部103は、複数の自車両の相対速度から平均値を算出し、算出した平均値に基づいて、自車線を走行する車両の車速が隣接車線を走行する車両の車速よりも速いか否かを判定してもよい。
また、例えば、状況認識部103は、所定時間内に自車両が追い抜いた他車両の台数、又は所定時間内に自車両を追い抜いた他車両の台数に基づいて、自車線を走行する車両の車速と、隣接車線を走行する車両の車速との大小関係を判定する。例えば、状況認識部103は、所定時間内に自車両が追い抜いた他車両の台数と、この時間内に自車両を追い抜いた他車両の台数を比較する。状況認識部103は、自車両が追い抜いた他車両の台数が自車両を追い抜いた他車両の台数よりも多い場合、自車線を走行する車両の車速が隣接車線を走行する車両の車速よりも速いと認識する。
また、例えば、状況認識部103は、VICSから取得した情報に基づいて、自車線を走行する車両の車速と、隣接車線を走行する車両の車速との大小関係を判定する。例えば、状況認識部103は、VICSから、自車線の所定区間における平均車速と、隣接車線の所定区間における平均車速の情報を取得する。状況認識部103は、2つの平均車速を比較し、自車線における平均車速が隣接車線における平均車速がよりも速い場合、自車線を走行する車両の車速が隣接車線を走行する車両の車速よりも速いと認識する。
本実施形態では、状況認識部103により車線変更箇所が特定され、自車両が当該車線変更箇所に到達した時、又は乗員により車線変更の実行指令が入力されると、自車両が自動的に車線変更する車線変更処理を、以下で説明する機能で実行する。
次に、特定部104の機能について説明する。特定部104は、自車両の周辺情報に基づいて、自車両が走行する自車線に対して隣接する隣接車線上に位置し、自車両の進入先の位置を示す進入位置を特定する。例えば、特定部104は、レーダー11により検出された結果及び撮像装置12により撮像された撮像画像に基づいて、隣接車線上において車両の進行方向に沿った距離が所定距離以上ある場所を進入位置として特定する。所定距離は予め設定された距離であって、実験的に求められた距離である。本実施形態では、所定距離は、渋滞中の隣接車線に対して進入位置を特定できるように設定されている。
次に、接近度算出部105の機能について説明する。状況認識部103により後続車両の存在が認識されると、接近度算出部105は、自車両の周辺情報に基づいて、自車両と後続車両との接近度を算出する。例えば、接近度算出部105は、自車両と後続車両の車間距離に基づいて、THW(Time Headway)又はTTC(Time to Collision)を算出する。THWは、自車両と後続車両の車間距離を自車両の車速で除算した値である。TTCは、自車両と後続車両の車間距離を自車両に対する後続車両の相対速度で除算した値である。接近度算出部105は、自車両と後続車両の車間距離、THW、及びTTCのうち少なくとも何れか一つを用いて、自車両と後続車両との接近度を算出する。THWを例に挙げて説明すると、接近度算出部105は、THWの値が大きいほど、自車両と後続車両との接近度を高くする。なお説明を省略するが、接近度算出部105は、車間距離及びTTCを用いた場合も同様に自車両と後続車両との接近度を算出する。
次に、制御設定部106の機能について説明する。制御設定部106は、後述する走行制御部108が実行する複数の制御について、制御の実行順序及び各制御の開始位置を設定する。走行制御部108が実行する制御とは、自車両を減速させる減速制御、自車線の進行方向に沿う自車線の中心線に対して隣接車線側へ自車両を移動させる幅寄せ制御、隣接車線側に設けられた方向指示器80を点灯させる方向指示器の点灯制御、隣接車線上で特定された進入位置に向けて自車線から自車両を移動させる車線変更制御である。制御設定部106は、これらの複数の制御について、制御を実行する順序及び制御の実行を開始する位置(実行するタイミング)を設定する。なお、上記の各制御は、車線変更箇所(車線変更区間)において実行される制御である。また、以降では、説明の便宜上、減速制御の実行を開始する位置を減速開始位置、幅寄せ制御の実行を開始する位置を幅寄せ開始位置、方向指示器の点灯制御の実行を開始する位置を点灯開始位置、車線変更制御の実行を開始する位置を車線変更開始位置と称して説明する。
制御設定部106は、自車両の現在位置及び進入位置に基づき、車線変更開始位置を設定する。車線変更開始位置は、進入位置に対する相対的な位置で表される。車線変更開始位置は、自車線上に設定される。制御設定部106は、車線変更開始位置を基準とした相対的な位置として、減速開始位置、幅寄せ開始位置、幅寄せ開始位置、点灯開始位置を設定する。
制御設定部106は、後続車両が存在するか否かに応じて、各制御の実行順序を設定する。具体的には、制御設定部106は、状況認識部103により後続車両が存在しないと判定された場合、制御の実行順序を、減速制御、方向指示器の点灯制御、幅寄せ制御、及び車線変更制御の順序で設定する。一方、制御設定部106は、後続車両が存在しないと判定された場合、制御の実行順序を、幅寄せ制御、減速制御、方向指示器の点灯制御、及び車線変更制御の順序で設定する。
一般的に、幅寄せ制御は、車線変更前に予め隣接車線側に自車両を移動させるために行われる制御である。そのため、一般的には、幅寄せ制御、車線変更制御の順で実行される。既述のとおり、後続車両が存在しない場合には、幅寄せ制御が車線変更制御よりも前に実行するように制御の順序は設定される。一方、後続車両が存在する場合には、幅寄せ制御が各制御のうち最も早く実行されるように制御の実行順序は設定される。
また、制御設定部106は、後続車両が存在する場合には、自車両と後続車両との接近度、及び隣接車線を走行する車両に対する自車両の相対速度のうち少なくとも何れか一つに基づいて、幅寄せ開始位置を設定する。幅寄せ開始位置とは、車線変更開始位置を基準とした位置である。
本実施形態では、制御設定部106は、自車両と後続車両との接近度が高いほど、車線変更開始位置までの距離が長くなるように、幅寄せ開始位置を設定する。これにより、後続車両が自車両に接近しているほど、幅寄せ制御は走行制御部108によって早く実行される。
また、本実施形態では、制御設定部106は、隣接車線を走行する車両に対する自車両の相対速度が高いほど、車線変更開始位置までの距離が長くなるように、幅寄せ開始位置を設定する。これにより、自車両の車速が隣接車線を走行する車両の車速よりも速い場合、2つの車速の速度差が大きいほど、幅寄せ制御は走行制御部108によって早く実行される。なお、隣接車線を走行している車両とは、隣接車線のうち所定区間を走行している他車両全般を示すものであり、他車両の台数は限定されない。
また、本実施形態では、制御設定部106は、後続車両の存在の有無にかかわらず、車線変更開始位置までの距離が一定の位置を、点灯開始位置として設定する。例えば、制御設定部106は、交通規則で定められた方向指示器の点灯タイミングで、方向指示器80が点灯するように点灯開始位置を設定する。なお、点灯開始位置とは、車線変更開始位置を基準とした位置である。
次に、スペース有無判定部107の機能について説明する。スペース有無判定部107は、自車両の周辺情報に基づいて、特定部104により特定された進入位置には自車両が進入するスペース(以降、進入スペースともいう)が存在するか否かを判定する。進入スペースとは、前方車両と後方車両の間のスペースであって、自車両の進行方向に沿う方向の長さが所定距離以上あるスペースである。
スペース有無判定部107は、前方車両と後方車両の車間距離に基づいて、進入位置には進入スペースが存在するか否かを判定する。前方車両とは、進入位置の前方に位置する車両である。また、後方車両とは、進入位置の後方に位置する車両である。例えば、スペース有無判定部107は、前方車両と後方車両の車間距離が所定距離以上の場合、進入位置には進入スペースが存在すると判定する。一方、スペース有無判定部107は、前方車両と後方車両の車間距離が所定距離未満の場合、進入位置には進入スペースが存在しないと判定する。所定距離は、前方車両及び後方車両の運転者が自車両の進入時に不安を感じない程度の距離であって、予め設定された距離である。所定距離としては、自車両の進行方向に沿った方向の自車両の前端部と後端部の間の距離(進行方向の車両長)にマージンを加えた値が挙げられるが、これに限定されない。
次に、走行制御部108の機能について説明する。走行制御部108は、車線変更の制御処理における自車両の走行を制御する。
走行制御部108は、制御設定部106により設定された制御の実行順序に従いながら、既述の各制御を実行することで、自車両の走行を制御する。また、走行制御部108は、自車両が各制御の開始位置に到達した時点で、対応する制御の実行を開始する。以降では、各制御について詳細な説明を行う。
走行制御部108は、自車両を減速させる減速制御を実行する。例えば、走行制御部108は、隣接車線を走行する車両に対する自車両の相対速度と、車線変更開始位置までの距離に基づいて、車線変更制御開始位置での目標車速を算出する。また、走行制御部108は、目標車速に到達するために必要な単位時間あたりの減速量を算出する。走行制御部108は、目標車速及び単位時間あたりの減速量を含む制御信号をアクチュエータ制御装置60に出力する。
走行制御部108は、自車両の進行方向に沿う自車線の中心線に対して隣接車線側へ自車両を移動させる幅寄せ制御を実行する。例えば、走行制御部108は、自車両の横位置が隣接車線側の車線境界線と自車両の進行方向に沿う自車線の中心線の間に位置にするように、自車両の操舵を制御する。走行制御部108は、現在の自車両の横位置から幅寄せに必要な移動距離を算出するとともに、移動するために必要な操舵角を設定する。そして、走行制御部108は、設定した内容を含む制御信号をアクチュエータ制御装置60に出力する。
走行制御部108は、隣接車線側に設けられた方向指示器80を点灯させる方向指示器の点灯制御を実行する。例えば、走行制御部108は、隣接車線側に設けられた方向指示器80を点灯させる制御信号(点灯信号)を生成し、点灯信号を方向指示器80に出力する。
走行制御部108は、自車線から隣接車線上に設定された進入位置に向けて、自車両を移動させる車線変更制御を実行する。走行制御部108は、自車両の現在位置を始点とし、進入位置を終点として、自車両が車線変更するための目標軌跡を生成する。走行制御部108は、目標軌跡に沿って自車両が走行する際の車速及び操舵角を設定する。走行制御部108は、各種制御信号をアクチュエータ制御装置60に出力する。そして、自車両の位置が進入位置に到達した場合には、走行制御部108は、方向指示器80の点滅を終了して、車線変更制御を終える。
スペース有無判定部107により進入位置には進入スペースが存在しないと判定された場合、走行制御部108は、進入位置に到達する前の所定位置で自車両を待機させる。例えば、走行制御部108は、目標軌跡と車線境界線が交差する位置を待機位置として設定する。走行制御部108は、待機位置へ自車両を移動させる。例えば、走行制御部108は、待機位置までの車速及び操舵角、待機位置での車速、待機位置において自車両の前端部が向いている角度などを設定し、設定した内容を含む制御信号をアクチュエータ制御装置60に出力する。
また、走行制御部108は、スペース有無判定部107により進入位置には進入スペースが存在すると判定された場合、目標軌跡に沿って自車両が走行する際の車速及び操舵角を設定する。走行制御部108は、各種制御信号をアクチュエータ制御装置60に出力する。これにより、自車両は、目標軌跡に沿って自車線から隣接車線への車線変更を行い、その結果、前方車両と後方車両の間のスペースに進入することができる。なお、進入位置へ自車両を移動させる処理を実行するタイミングは制限されていない。走行制御部108は、進入位置には進入スペースが存在すると判定された時点で、自車両を進入位置へ移動させることができる。
次に、図2A~図2Cを用いて、本実施形態に係る制御装置101の制御フローについて説明する。図2A~図2Cは、制御装置101により実行される制御処理のフローチャートを示す。なお、以下の各制御フローは、完全に自動で行われてもよいし、運転者の運転操作を支援する態様で行われてもよい。
ステップS1では、制御装置101は、自車両の周辺情報を取得する。例えば、制御装置101は、周辺環境センサ群10から、他車両が存在する方向及び他車両までの距離、自車両に対する他車両の相対速度、他車両の車種、他車両の大きさ、及び他車両の形状の情報を、自車両の周辺情報として取得する。また、例えば、制御装置101は、通信装置32から、自車線が含まれる道路の交通渋滞情報を自車両の周辺情報として取得する。なお、制御装置101は、ステップS2以降の制御処理を実行している間、自車両の外部情報及び内部情報を所定の周期で取得する。走行状態は、車両の位置、車両の車速等で表される。
ステップS2では、制御装置101は、ステップS1で取得した自車両の周辺情報に基づいて、自車両の周辺の状況を認識する。
ステップS3では、制御装置101は、自車両が車線変更するための区間(車線変更箇所)を特定する。また、制御装置101は、自車両の現在位置と車線変更箇所とを比較し、自車両が車線変更箇所に到達しかか否かを判定する。自車両が車線変更箇所に到達したと判定された場合、ステップS4に進む。一方、自車両が車線変更箇所に到達していないと判定された場合、ステップS3で待機する。
ステップS4では、制御装置101は、自車両の周辺情報に基づいて、隣接車線上に位置し、自車両の進入先の位置を示す進入位置を特定する。例えば、特定部104は、隣接車線上において車両の進行方向に沿う距離が所定距離以上ある場所を進入位置として特定する。また、進入位置を挟む前方車両及び後方車両が存在する場合には、制御装置101は、進入位置の前方に位置する車両を前方車両として特定し、進入位置の後方に位置する車両を後方車両として特定する。
ステップS5では、制御装置101は、自車両の周辺情報とステップS4で設定した進入位置に基づいて、自車両の現在位置から車線変更開始位置までの距離を認識する。例えば、制御装置101は、自車両の現在位置と進入位置までの間の距離を計測することで、車線変更開始位置までの距離を認識することができる。
ステップS6では、制御装置101は、自車両の周辺情報に基づいて、隣接車線を走行する車両に対する自車両の相対速度を認識する。例えば、制御装置101は、所定の時間内に、複数の他車両それぞれから自車両に対する他車両の相対速度を取得する。制御装置101は、取得した相対速度それぞれについて、各他車両の車速を基準とした自車両の相対速度に変換する。制御装置101は、複数の自車両の相対速度から平均値を算出し、算出した平均値に基づいて、隣接車線を走行する車両に対する自車両の相対速度を認識する。
ステップS7では、制御装置101は、ステップS6で認識された自車両の相対速度に基づいて、自車線を走行する車両の車速が隣接車線を走行する車両の車速よりも速いか否かを判定する。制御装置101は、ステップS6で認識された隣接車線を走行する車両に対する自車両の相対速度が高い場合、自車線を走行する車両の車速が隣接車線を走行する車両の車速よりも速いと判定する。自車線を走行する車両の車速が隣接車線を走行する車両の車速よりも速いと判定された場合、ステップS8に進む。一方、自車線を走行する車両の車速が隣接車線を走行する車両の車速以下と判定された場合、ステップS9に進む。
ステップS7において、自車線を走行する車両の車速が隣接車線を走行する車両の車速よりも速いと判定された場合、ステップS8に進む。ステップS8では、制御装置101は、ステップS2で認識された自車両の周辺の状況から、自車両に後続する後続車両が存在するか否かを判定する。後続車両が存在すると判定された場合、ステップS10に進む。一方、後続車両が存在しないと判定された場合、ステップS11に進む。
ステップS8において、後続車両が存在すると判定された場合、ステップS10に進む。ステップS10では、制御装置101は、自車両とステップS8で存在すると判定された後続車両との接近度を算出する。例えば、制御装置101は、自車両と後続車両の車間距離、THW、及びTTCのうち少なくとも何れか一つに基づいて、自車両と後続車両との接近度を算出する。
図3(A)は、片側2車線(車線L1、車線L2)の道路において自車両Vが車線L2から車線L1へ車線変更する前の場面の一例である。車線L2は、車線L1に対して自車両Vの進行方向右側に隣接する車線である。車線L1と車線L2の間には車線境界線L12が設けられている。また、図3(A)では、自車両Vの前方において、道路の分岐点が存在する。分岐点以降は、車線L1と車線L2が分離帯L3により分離される。車線L2には、自車両Vと、自車両Vに後続する他車両Y1が走行する。渋滞中の車線L1を走行する車両、他車両X1~他車両X9である。なお、図3(A)に示す場面は、図2Aに示す処理が実行された後の場面の一例である。図3(A)を用いた説明において、カッコ内は、図2Aに示すフローチャートにおいて対応した処理を示す。また、中心線C1は、自車両Vの進行方向に沿う車線L1の中心線を示し、中心線C2は、自車両Vの進行方向に沿う車線L2の中心線を示す。
図3(A)に示す場面では、制御装置101は、自車両Vが車線変更箇所(図示しない)に到達したと判定するとともに(ステップS3でYESと判定)、他車両X2と他車両X3の間の位置を進入位置として特定する(ステップS4)。また、制御装置101は、現在位置から車線変更開始位置までの距離を認識する(ステップS5)。
また、制御装置101は、車線L1を走行する車両に対する自車両Vの相対速度を認識する(ステップS6)。図3(A)の場面では、例えば、制御装置101は、他車両X7~他車両X9それぞれに対する自車両Vの相対速度を認識する。他車両X7~他車両X9は、車線L1(隣接車線)を走行する車両であって、自車両Vが追い抜いた車両である。そして、制御装置101は、他車両X7~他車両X9それぞれに対する自車両Vの相対速度の平均値を算出する。制御装置101は、算出した平均値から、車線L1を走行する車両の車速が車線L2を走行する車両の車速よりも速いと判定する(ステップS7でYesと判定)。
次に、制御装置101は、自車両Vに後続する後続車両が存在するか否かを判定する(ステップS8)。図3(A)の場面では、制御装置101は、自車両Vに対して車線L2の後方に位置する他車両Y1を後続車両として認識する(ステップS8でYesと判定)。さらに、制御装置101は、例えば、自車両Vと他車両Y1の車間距離に基づいて、自車両Vと他車両Y1との接近度を算出する(ステップS10)。
再び、図2Aに戻り、車線変更処理のフローチャートについて説明する。ステップS12では、制御装置101は、各走行制御の実行を開始する開始位置を設定する。制御装置101は、幅寄せ制御、減速制御及び方向指示器の点灯制御のそれぞれについて、開始位置を設定する。なお、各制御の開始位置は、車線変更開始位置を基準とした相対的な位置で表される。
また、このステップにおいて、制御装置101は、ステップS10にて算出された自車両と後続車両との接近度、及び隣接車線を走行する車両に対する自車両の相対速度のうち少なくとも何れか一つに基づいて、幅寄せ開始位置を設定する。例えば、制御装置101は、接近度が高いほど、車線変更開始位置までの距離が長くなるように、幅寄せ開始位置を設定する。
ここで、図5及び図6を用いて、幅寄せ開始位置を設定する方法の一例について説明する。図5(A)は、自車両と後続車両との接近度と、幅寄せ開始位置から車線変更開始位置までの距離との関係性の一例である。図5(A)において、横軸は自車両と後続車両との接近度を示す。縦軸は幅寄せ開始位置から車線変更開始位置までの距離(距離D)を示す。横軸について、左側ほど自車両と後続車両との接近度が高いことを示す。縦軸について、上側ほど距離Dが長いことを示す。図5(A)に示すように、制御装置101は、接近度が高いほど距離Dが長くなるように、幅寄せ開始位置を設定する。なお、図5(A)の例では、自車両と後続車両との接近度と距離Dは比例の関係で表されているが、比例定数が負の値であればよく、その大きさは特に限定されない。
図5(B)は、隣接車線を走行する車両に対する自車両の相対速度と、幅寄せ開始位置から車線変更開始位置までの距離との関係性の一例である。図5(B)において、横軸は隣接車線を走行する車両に対する自車両の相対速度を示す。縦軸は幅寄せ開始位置から車線変更開始位置までの距離(距離D)を示す。横軸について、右側ほど隣接車線を走行する車両に対する自車両の相対速度が高いことを示す。縦軸について、上側ほど距離Dが長いことを示す。図5(B)に示すように、制御装置101は、自車両の相対速度が高いほど、距離Dが長くなるように、幅寄せ開始位置を設定する。なお、図5(B)の例では、隣接車線を走行する車両に対する自車両の相対速度と距離Dは反比例の関係で表されているが、比例定数の大きさは特に限定されない。
図6(A)及び図6(B)は、制御装置101により設定された幅寄せ開始位置の一例である。図6(B)の例は、図6(A)の例に比べて、自車両Vと他車両Y1(後続車両)との接近度が高い点が異なっている以外は、図6(A)と同じ場面を示す。図6(A)において、P1は幅寄せ開始位置を示す。P2は車線変更開始位置を示す。また、図6(B)において、P1
’は幅寄せ開始位置を示し、P2は車線変更開始位置を示す。図6(A)及び図6(B)において、車線変更開始位置(P2)は同じ位置とする。なお、図6(A)及び図6(B)において、軌跡Rは自車両Vが走行する予定の軌跡(目標軌跡)を示す。
図6(B)の例は、図6(A)の例に比べて、自車両Vと他車両Y1(後続車両)との接近度が高いため、幅寄せ開始位置(P1
’)は幅寄せ開始位置(P1)に比べて車線変更開始位置(P2)からの距離が長くなるように設定される。なお、幅寄せ開始位置から車線変更開始位置までの距離について、図6(B)に示す距離D2、図6(A)に示す距離D1よりも長い。
再び、図2Aに戻り、車線変更処理のフローチャートについて説明する。ステップS13では、制御装置101は、自車両の現在位置と幅寄せ開始位置を比較し、自車両が幅寄せ開始位置に到達したか否かを判定する。自車両が幅寄せ開始位置に到達したと判定された場合、ステップS14に進む。一方、自車両が幅寄せ開始位置に到達したと判定されない場合、ステップS13で待機する。
ステップS13において、自車両が幅寄せ開始位置に到達したと判定された場合、ステップS14に進む。ステップS14では、制御装置101は、幅寄せ制御の実行を開始する。例えば、制御装置101は、隣接車線側の車線境界線と自車両の間の距離が所定距離まで縮まるように、自車両の操舵角を設定する。制御装置101は、自車両の操舵角を含む制御信号をアクチュエータ制御装置60に出力する。
ステップS15では、制御装置101は、減速制御の実行を開始する。例えば、制御装置101は、隣接車線を走行する車両に対する自車両の相対速度と、車線変更開始位置までの距離に基づいて、車線変更開始位置での目標車速を算出する。また、制御装置101は、この目標車速に到達するために必要な単位時間あたりの減速量を算出する。制御装置101は、目標車速及び単位時間あたりの減速量を含む制御信号をアクチュエータ制御装置60に出力する。
ステップS16では、制御装置101は、自車両の現在位置と点灯開始位置を比較し、自車両が点灯開始位置に到達したか否かを判定する。自車両が点灯開始位置に到達したと判定された場合、ステップS17に進む。一方、自車両が点灯開始位置に到達してないと判定された場合、ステップS16で待機する。
ステップS16において、自車両が点灯開始位置に到達したと判定された場合、ステップS17に進む。ステップS17では、制御装置101は、方向指示器の点灯制御の実行を開始する。例えば、制御装置101は、隣接車線側に設けられた方向指示器80を点灯させる点灯信号を方向指示器80に出力する。
ステップS18では、制御装置101は、自車両の現在位置と車線変更開始位置を比較し、自車両が車線変更開始位置に到達したか否かを判定する。自車両が車線変更開始位置に到達したと判定された場合、ステップS19に進む。一方、自車両が車線変更開始位置に到達してないと判定された場合、ステップS18で待機する。
ステップS12~ステップS18の処理について、図3及び図4を用いて説明する。図3(B)は、図3(A)に示す場面から所定時間が経過した場面であり、図2Aに示す処理が実行された後の場面の一例である。なお、軌跡Rは自車両Vが走行する予定の軌跡(目標軌跡)を示す。図3及び図4を用いた説明において、カッコ内に記載されたステップは、図2Aに示すフローチャートにおいて対応した処理を示す。
図3(B)に示す場面では、制御装置101は、幅寄せ開始位置(P1)、減速開始位置(P2)、点灯開始位置(P3)、及び車線変更開始位置(P4)を設定する(ステップS12)。制御装置101は、自車両Vが幅寄せ開始位置(P1)に到達したと判定する(ステップS13でYesと判定)。そして、制御装置101は、幅寄せ制御を実行する(ステップS14)。
図3(C)は、図3(B)に示す場面から所定時間が経過した場面であり、図2Bに示す処理が実行された後の場面の一例である。自車両Vは、車線境界線L12側に幅寄せした状態で走行している。図3(C)に示す場面では、制御装置101は、減速制御を実行して、自車両を減速させる(ステップS15)。
図4(A)は、図3(C)に示す場面から所定時間が経過した場面であり、図2Bに示す処理が実行された後の場面の一例である。
図4(A)に示す場面では、制御装置101は、自車両Vが点灯開始位置(P3)に到達したと判定する(ステップS16においてYesと判定)。そして、制御装置101は、車線L1側に設けられた方向指示器80を点灯させる(ステップS17)。
図4(B)は、図4(A)に示す場面から所定時間が経過した場面であり、図2Bに示す処理が実行された後の場面の一例である。図4(B)に示す場面では、制御装置101は、自車両Vが車線変更開始位置(P4)に到達したと判定する(ステップS18においてYesと判定)。なお、図4(B)の例では、自車両Vに後続する他車両Y1は、自車両を追い抜くために、車線L2の中心線C2に対して車線L1(隣接車線)と反対側を走行している。自車両Vは、図3(C)に示す場面から、車線L2の中心線C2に対して車線L1側を走行しているため、他車両Y1の運転者は、自車両Vが車線変更開始位置(P4)に到達する手前の早い段階から、自車両Vを追い越すための運転操作をすることができる。
再び、図2Bに戻り、車線変更処理のフローチャートについて説明する。ステップS18において、自車両が車線変更開始位置に到達したと判定された場合、ステップS19に進む。ステップS19では、制御装置101は、ステップS4で設定した進入位置には進入スペースが存在するか否かを判定する。例えば、制御装置101は、前方車両と後方車両の車間距離が所定距離以上の場合、進入位置には進入スペースが存在すると判定する。一方、例えば、制御装置101は、前方車両と後方車両の車間距離が所定距離未満の場合、進入位置には進入スペースが存在しないと判定する。進入位置には進入スペースが存在すると判定された場合、ステップS20に進み、制御装置101は、自車線から隣接車線への車線変更制御を実行し、車両変更処理を終了させる。一方、進入位置にはスペースが存在しないと判定された場合、ステップS21に進む。
ステップS19において、進入位置には進入スペースが存在しないと判定された場合、ステップS21に進む。ステップS21では、制御装置101は、進入位置に到達する前の所定位置で自車両を待機させるよう自車両の走行を制御する。例えば、制御装置101は、自車線と隣接車線との車線境界線と進入位置までの目標軌跡との交差する位置で自車両を待機させる。
ステップS22では、制御装置101は、所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過したと判定された場合、ステップS23に進み、所定時間内と判定された場合、ステップS19へ戻る。所定時間は実験的に求められた時間であり、特に限定される時間ではない。制御装置101は、所定時間を適宜変更することができる。
ステップS22において、所定時間が経過したと判定された場合、ステップS23に進む。ステップS23では、制御装置101は、自車両の走行位置を設定する。例えば、制御装置101は、自車両の走行位置を自車線の中心付近の所定位置に設定するとともに、ステップS21で設定した待機位置から自車線の中心付近まで自車両を移動させる。ステップS23での処理が終了すると、ステップS1に戻り、ステップS1以降の処理が再び実行される。これにより、ステップS19において進入位置にスペースが存在しないと判定され、自車両が車線変更できない場面であっても、再び車線変更処理を実行することができる。
また、ステップS7において、自車線を走行する車両の車速が隣接車線を走行する車両の車速以下と判定された場合、ステップS9に進む。ステップS9では、制御装置101は、各走行制御の実行を開始する開始位置を設定する。制御装置101は、点灯開始位置を設定する。ステップS9での処理が終了すると、ステップS16に進む。そして、制御装置101は、ステップS16以降の処理を実行して、自動的に自車両を車線変更させる。ステップS7において自車線を走行する車両の車速が隣接車線を走行する車両の車速以下と判定された場合、幅寄せ制御及び減速制御は実行されない。
また、ステップS8において、後続車両が存在しないと判定された場合、ステップS11に進む。ステップS11では、制御装置101は、各走行制御の実行を開始する開始位置を設定する。制御装置101は、幅寄せ制御、減速制御及び方向指示器の点灯制御のそれぞれについて、開始位置を設定する。ステップS11での処理が終了すると、ステップS24に進む。
ステップS24では、制御装置101は、減速制御の実行を開始する。このステップは、ステップS15に対応する。ステップS25では、制御装置101は、自車両の現在位置と点灯開始位置とを比較し、自車両が点灯開始位置に到達したか否かを判定する。このステップは、ステップS16に対応する。自車両が点灯開始位置に到達したと判定された場合、ステップS26に進む。一方、自車両が点灯開始位置に到達してないと判定された場合、ステップS25で待機する。
ステップS25において、自車両が点灯開始位置に到達したと判定された場合、ステップS26に進む。ステップS26では、制御装置101は、方向指示器の点灯制御の実行を開始する。このステップは、ステップS17に対応する。
ステップS27では、制御装置101は、自車両の現在位置と幅寄せ開始位置とを比較し、自車両が幅寄せ開始位置に到達したか否かを判定する。このステップは、ステップS13に対応する。自車両が幅寄せ開始位置に到達したと判定された場合、ステップS28に進む。一方、自車両が幅寄せ開始位置に到達してないと判定された場合、ステップS27で待機する。
ステップS27において、自車両が幅寄せ開始位置に到達したと判定された場合、ステップS28に進む。このステップは、ステップS14に対応する。ステップS28では、制御装置101は、幅寄せ制御の実行を開始する。ステップS28の処理が終了すると、ステップS18に進む。以降のステップについては、既述の説明を援用する。
ステップS8において、後続車両が存在しないと判定された場合の処理について、図7及び図8を用いて説明する。
図7(A)は、片側2車線(車線L1、車線L2)の道路において自車両Vが車線L2から車線L1へ車線変更する前の場面の一例である。図7及び図8は、図3及び図4と比べて、自車両Vに対する後続車両が存在しない点が異なっている以外は同じ場面を示す。そのため、図3及び図4と同様の構成については、同一の符号を付している。なお、図7(A)に示す場面は、図2Aに示す処理が実行された後の場面の一例である。図7及び図8を用いた説明において、カッコ内に記載されたステップは、図2A~図2Cに示すフローチャートにおいて対応した処理を示す。また、中心線C1は、自車両Vの進行方向に沿う車線L1の中心線を示し、中心線C2は、自車両Vの進行方向に沿う車線L2の中心線を示す。
図7(A)に示す場面では、制御装置101は、自車両Vに後続する後続車両が存在するか否かを判定する(ステップS8)。図7(A)の場面では、制御装置101は、自車両Vに対する後続車両が存在しないと判定する(ステップS8でNoと判定)。
図7(B)は、図7(A)に示す場面から所定時間が経過した場面であり、図2Aに示す処理が実行された後の場面の一例である。なお、軌跡R’は自車両Vが走行する予定の軌跡(目標軌跡)を示す。
図7(B)に示す場面では、制御装置101は、減速開始位置(P1
’)、点灯開始位置(P2
’)、幅寄せ開始位置(P3
’)、及び車線変更開始位置(P4
’)を設定する(ステップS11)。また、減速制御を実行して、自車両を減速させる(ステップS24)。
図7(C)は、図7(B)に示す場面から所定時間が経過した場面であり、図2Cに示す処理が実行された後の場面の一例である。図7(C)に示す場面では、制御装置101は、自車両Vが点灯開始位置(P2
’)に到達したと判定する(ステップS25においてYesと判定)。そして、制御装置101は、車線L1側に設けられた方向指示器80を点灯させている(ステップS26)。
図8(A)は、図7(C)に示す場面から所定時間が経過した場面であり、図2Cに示すステップS27の処理が実行された後の場面の一例である。図8(A)に示す場面では、制御装置101は、自車両Vが幅寄せ開始位置(P3
’)に到達したと判定する(ステップS16においてYesと判定)。
図8(B)は、図8(A)に示す場面から所定時間が経過した場面であり、図2Aに示すステップS18の処理が実行された後の場面の一例である。図8(B)に示す場面では、制御装置101は、自車両Vが車線変更開始位置(P4
’)に到達したと判定する(ステップS18においてYesと判定)。その後、制御装置101により進入位置には進入スペースが存在するか否かが判定される(ステップS19)。
以上のように、本実施形態に係る車両制御装置100が実行する車両制御方法では、自車両に設けられた周辺環境センサ群10から、自車両の周辺情報を取得し、取得した自車両の周辺情報に基づいて、自車両が走行する自車線上には自車両に後続する後続車両が存在するか否かを判定し、自車線から隣接車線への自車両の車線変更に際して、後続車両が存在すると判定され、かつ、自車両を減速させる場合、幅寄せ制御を実行した後、減速制御の実行を開始する。例えば、後続車両の運転者は、自車両が幅寄せしたことで発生したスペースを利用して自車両を追い抜くため、回避操作の大きさを低減できる。即ち、自車両が減速するより前に幅寄せをするので、後続車両は車間が詰まる前に自車両の側方スペースを見つけることができ、減速する程度や操舵する程度を減らすことができる。
また、本実施形態では、隣接車線を走行する車両に対する自車両の相対速度が高い場合、自車線を走行する車両の車速が隣接車線を走行する車両の車速よりも速いと判定する。これにより、車線変更する場面において予め自車両が減速する必要があるか否かの判定を適切に行うことができる。
さらに、本実施形態では、自車両と後続車両との接近度を算出し、接近度に基づいて、幅寄せ開始位置を設定する。これにより、幅寄せ開始位置は、自車両と後続車両との接近度に応じて変わるため、接近度に応じた適切な位置で自車両を幅寄せさせることができる。
加えて、本実施形態では、自車両と後続車両との接近度が高いほど、車線変更開始位置までの距離が長くなるように、幅寄せ開始位置を設定する。これにより、接近度が高いほど、自車両はより早いタイミングで隣接車線側に幅寄せする。自車両に接近した後続車両の運転者に対して、早いタイミングで自車両がこれから車線変更をする予定であることを伝えることができる。また、自車両が幅寄せを行ってから車線変更を行うまでの時間の観点からは、当該時間は、接近度が高いほどより長くなる。後続車両の運転者に対して自車両を追い抜く機会をより長く与えることができるため、後続車両の運転者は、後続車両を減速させず又は過度な減速をさせることなく、自車両を追い抜くための運転操作を行うことができる。
また、本実施形態では、隣接車線を走行する車両に対する自車両の相対速度に基づいて、幅寄せ開始位置を設定する。これにより、幅寄せ開始位置は、隣接車線を走行する車両に対する自車両の相対速度に応じて変わるため、相対速度に応じた適切な位置で自車両を幅寄せさせることができる。
さらに、本実施形態では、自車両の相対速度が高いほど、車線変更開始位置までの距離が長くなるように、幅寄せ開始位置を設定する。これにより、相対速度が高いほど、すなわち、自車両の減速量が多いほど、自車両はより早いタイミングで隣接車線側に幅寄せする。自車両が幅寄せを行ってから車線変更を行うまでの時間の観点からは、当該時間は、相対速度が高いほどより長くなる。減速量が多いほど減速するための時間を長く確保することができるため、減速するための時間が短い場合に比べて、単位時間あたりの自車両の減速量を減らすことができる。その結果、後続車両の運転者に不安感、不快感を与えることを防ぐことができる。
加えて、本実施形態では、車線変更開始位置までの距離が一定の所定位置で、隣接車線側に設けられた前記自車両の方向指示器を点灯させる。これにより、進入位置の周辺に位置する車両の運転者に対して、自車両が進入したい位置を的確に伝えることができる。
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、上述の実施形態の変形例として、車両制御装置100は、以下に説明する機能を備えていてもよい。
例えば、後続車両が存在する場合、車両制御装置100は、自車両と後続車両との接近度を算出し、算出した接近度が所定の閾値よりも高い場合、自車両を加速させる加速制御を実行した後、自車線から隣接車線へ自車両を移動させる車線変更制御を実行してもよい。すなわち、後続車両との接近度が閾値を超えるほど高い場合には、自車両を一旦加速させて、自車両と後続車両の間の距離を確保したうえで、車線変更制御の実行を開始する。これにより、閾値を超えるほど後続車両と接近している場面において、例えば、自車両の減速によって後続車両に過度な減速をさせることを防ぎ、後続車両の運転者に不安感、不快感を与えることを防ぐことができる。なお、閾値は、後続車両の運転者が自車両に対して接近していると感じる距離であって、実験的に求められた距離である。例えば、閾値は、車速に応じて定められ、予めROM等の記憶装置に記憶される。
また、上述の実施形態では、幅寄せ制御の開始タイミングと方向指示器80の点灯制御の開始タイミングが異なる構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、車両制御装置100は、幅寄せ制御の実行を開始する際に、隣接車線側に設けられた方向指示器80の点灯制御を実行してもよい。これにより、幅寄せの目的が車線変更するためであることを、後続車両の運転者により明確に伝えることができる。その結果、後続車両の運転者に自車両の挙動に対する不安感、不快感を与えることを防ぐことができる。なお、この制御において、車両制御装置100は、幅寄せ制御の開始タイミングとは別に、車線変更制御の実行を開始する前に、改めて方向指示器の点灯制御を実行してもよい。
また、例えば、車両制御装置100により、各制御の開始位置が設定された後、車両制御装置100は、隣接車線の状況が変化したか否かを判定し、状況が変化したと判定した場合、設定した制御の実行順序及び/又は開始位置を変更してもよい。例えば、車両制御装置100は、幅寄せ開始位置から車線変更開始位置までの区間において、進路変更により隣接車線から離れた他車両が存在するか否かを判定する。そして、車両制御装置100は、進路変更した他車両(いわゆる離脱車両)が存在すると判定された場合、幅寄せ制御を実行しつつ、減速制御を実行してもよい。離脱車両が隣接車線から自車線へ車線変更した場合であっても、自車両を予定していたタイミングよりもより早いタイミングで減速させて、離脱車両に接近するリスクを低減させることができる。
また、上述の実施形態では、車線変更する前に予め自車両を減速させるか否かの判定に、自車線を走行する車両の車速と隣接車線を走行する車両の車速との大小関係を用いたが、自車両を減速させるか否かの判定は、その他の方法であってもよい。例えば、高速道路上で本線から出口に向かう分岐点では、自車両は制限速度が速い車線から制限速度が遅い車線へ車線変更する必要がある。このような場面において、車両制御装置100は、例えば、地図情報に基づいて車線変更前後における制限速度の大小関係を判定し、車線変更する前に予め自車両を減速させるか否かを判定してもよい。
また、例えば、本明細書では、本発明に係る車両制御装置を、車両制御装置100を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本明細書では、本発明に係る第1車線を、自車線を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本明細書では、本発明に係る第2車線を、隣接車線を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本明細書では、本発明に係る取得部を、情報取得部102を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本明細書では、本発明に係る判定部を、状況認識部103を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本明細書では、本発明に係る走行制御部を、走行制御部108を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。