JP7326734B2 - 光学積層体、該光学積層体の製造方法、積層部材及び表示装置 - Google Patents
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Description
例えば特許文献1には、支持体上にバインダー及び透光性微粒子を含有する防眩層を有し、該透光性微粒子の平均粒子径が3μm以上15μm以下であり、防眩層中の透光性微粒子の含有量が防眩層の全固形分に対し0.1質量%以上1.0質量%以下であり、かつ透光性微粒子が防眩層の支持体側界面に接地し、透光性微粒子同士で防眩層の膜厚方向に多段に積まれているものが実質的にない光学フィルムが開示されている。該光学フィルムは黒色再現性と防眩性の両方が良好で、干渉ムラや粗大粒子による点欠陥がなく、防眩層の密着性にも優れることが記載されている。
また上記防眩層は、バインダー及び透光性微粒子を含有する塗布組成物からなる層と、該バインダーを含有するが透光性微粒子を含まない塗布組成物からなる層(オーバーコート層)を積層して形成できることも開示されている。
特許文献1に開示された防眩性光学フィルムの用途は、液晶TVに用いられる偏光膜の保護フィルムや、ディスプレイ表面のカバーガラスに貼着して用いられる防眩性フィルムである。これに対し、タッチパネルの最表面を構成するカバーガラス代替部材においては、指やタッチペンを接触させて表示画面を操作するような用途において繰り返し使用に耐えうる十分な耐擦傷性を有する必要がある。
表示装置の中でも、TVモニターは画質を向上させることが優先され、特に、遠い距離から広視野角で画面を見た場合の像鮮明性が重要になる。またTVモニターは屋内使用が主となることもあり、高画質を維持できる範囲で防眩性を付与すればよい。これに対しタッチパネルを搭載したモバイル型の情報端末機器の場合は、手元で表示画面を見ながらタッチパネルの操作を行うので、表示画面から約30cmまでの距離(明視距離)から見た際の画像が鮮明であることが最も重要である。さらに、モバイル型の情報端末機器は屋外で使用する頻度が高いことから、外光の映り込みを少なくするために高いレベルの防眩性が必須であり、屋内で使用する表示装置向けの防眩性フィルムでは性能が十分ではなかった。
すなわち本発明は、以下の[1]~[4]の光学積層体、該光学積層体の製造方法、積層部材及び表示装置を提供する。
[2]上記[1]に記載の光学積層体と、偏光素子とを有する積層部材。
[3]前記透明基材上に前記バインダー樹脂又はその前駆体と前記有機粒子とを含む塗布液を用いて防眩樹脂層を形成し、次いで、該防眩樹脂層上に前記バインダー樹脂又はその前駆体を含み、かつ前記有機粒子を含まない塗布液を用いて表面樹脂層を形成して、該透明基材上に前記樹脂層を形成する工程を有する、上記[1]に記載の光学積層体の製造方法。
[4]表示素子の観察者側に上記[1]に記載の光学積層体又は上記[2]の積層部材を備えた表示装置。
本発明の光学積層体は、透明基材の少なくとも一方の面にバインダー樹脂及び有機粒子を含む樹脂層を有する光学積層体である。該樹脂層はその上面に凹凸形状を有し、該樹脂層の上面には前記有機粒子が露出しておらず、該樹脂層中の、該有機粒子よりも上面側に存在するバインダー樹脂の厚みが0.5μm以上であり、該樹脂層を上面から観察した際の0.1mm×0.1mmの範囲に含まれる該有機粒子の個数が20個以上であり、JIS K7374:2007に準拠して測定した、光学櫛の幅が2.0mmの透過像鮮明度が20.0~55.0%であることを特徴とする。ここで「樹脂層の上面」とは、樹脂層において、透明基材との界面とは反対側の面を意味する。
樹脂層の上面2aには有機粒子4は露出していない。すなわち、樹脂層2において、樹脂層の上面2aはバインダー樹脂3で覆われており、有機粒子4は樹脂層の上面2aよりも透明基材1側に存在している。また、樹脂層2中、有機粒子4よりも上面側に存在するバインダー樹脂の厚みは図1のtで表され、tは0.5μm以上である。
従来、防眩性フィルムの分野においては、該フィルム表面の耐擦傷性は表面硬度を基準として評価されてきた。しかしながら、タッチパネルの最表面を構成する防眩性フィルムにおいては、その表面に指やタッチペンを接触させて使用するため、該フィルムの表面硬度(例えば表面の鉛筆硬度)を向上させるだけでは十分な耐久性が得られないことが判明した。さらに、フィルムの表面硬度と、フィルム表面に対し水平方向に力を加えた場合に表面に傷がつきやすいかどうかという評価とは必ずしも結果が一致するものではないことを本発明者らは見出した。例えば防眩性フィルムにおいて防眩性と鉛筆硬度とを両立させるため、透明基材と防眩層との間にクリアハードコート層を設ける方法が知られている(例えば国際公開第2008/020613号を参照)。上記クリアハードコート層が防眩層よりも内側(透明基材側)に位置することで、該クリアハードコート層により防眩性フィルムの防眩性が妨げられることがないので、良好な防眩性を発揮することができる。また鉛筆硬度は表面の硬さだけでなくベースの硬さの影響を受けるため、防眩性フィルムを上記構成とすることによって鉛筆硬度は向上させることができる。しかしながら防眩性フィルムを上記構成としても、フィルム表面に対し水平方向に力を加えて擦った場合の耐久性には何ら影響しないため、鉛筆硬度を向上させることはできるが、スチールウール耐性を向上させることはできなかった。
そこで、本発明者らは防眩性を有する光学積層体において、単に表面硬度を向上させるだけでなく、その表面がスチールウール耐性試験によっても傷がつきにくいものとなるよう鋭意検討し、本発明の光学積層体を完成するに至ったものである。
上記の点に着目し、本発明の光学積層体は、特にタッチパネルのカバーガラス代替となるような防眩性部材として最適な防眩性と像鮮明性を同時に達成したものである。
まず本発明の光学積層体においては、当該樹脂層がバインダー樹脂及び有機粒子を含む構成であり、かつ、該樹脂層がその上面に凹凸形状を有することにより、良好な防眩性を付与できる。さらに防眩性の点からは、樹脂層が、有機粒子の平均粒子径を超える厚み部分と、有機粒子の平均粒子径未満の厚み部分とを有することが好ましい。これについては詳細を後述する。
また樹脂層の上面には有機粒子が露出しておらず、該樹脂層をその上面側から観察した際の0.1mm×0.1mmの範囲に含まれる有機粒子の個数が20個以上である。有機粒子が樹脂層の上面に露出していると、有機粒子が樹脂層から脱落しやすいだけでなく、特にスチールウール耐性試験において傷がつきやすくなり、該樹脂層を有する光学積層体はタッチパネル表示装置の最表面に用いるには不適である。しかしながら、有機粒子が樹脂層の上面に露出せずにバインダー樹脂で被覆されていれば、往復1500回以上のスチールウール耐性試験を行っても表面に傷がつかず、タッチパネル表示装置の最表面に使用しても実用上耐えうる高い耐擦傷性を付与できる。一方で、樹脂層中に有機粒子が埋没していると防眩性が低下する傾向があるが、樹脂層中の有機粒子の個数を上記範囲とすることで、優れた防眩性と耐擦傷性とを両立できる。
さらに、本発明の光学積層体において、上記光学櫛の幅が2.0mmの透過像鮮明度が20.0~55.0%の範囲であれば、本発明の光学積層体を表示装置の最表面に設置した際に、表示画面を明視距離付近から見た際の像鮮明性が良好であり、かつ、上記防眩性及び耐擦傷性とのバランスも最適である。
本明細書において、上記16の測定箇所は、測定サンプルの外縁から1cmの領域を余白として、該余白よりも内側の領域に関して、縦方向及び横方向を5等分する線を引いた際の、交点の16箇所を測定の中心とすることが好ましい。例えば、測定サンプルが四角形の場合、四角形の外縁から1cmの領域を余白として、該余白よりも内側の領域を縦方向及び横方向に5等分した点線の交点の16箇所を中心として測定を行い、その平均値でパラメータを算出することが好ましい。なお、測定サンプルが円形、楕円形、三角形、五角形等の四角形以外の形状の場合、これら形状に内接する四角形を描き、該四角形に関して、上記手法により16箇所の測定を行うことが好ましい。
<透明基材>
本発明の光学積層体に用いる透明基材としては、光透過性、平滑性、耐熱性を備え、機械的強度に優れたものであることが好ましい。このような透明基材を構成する樹脂材料としては、ポリエステル、アクリル、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリウレタン及び非晶質オレフィン(Cyclo-Olefin-Polymer:COP)等からなるプラスチックフィルムが挙げられ、複数樹脂を混合したものでもよい。透明基材は、2枚以上のプラスチックフィルムを貼り合わせたものであってもよい。
上記の中でも、TAC、アクリルは光透過性、光学的等方性の観点で好適である。また、COP、ポリエステルは耐候性に優れる点で好適である。また、折りたたみ性を付与したい場合には、ポリイミド、ポリアミドイミド、COPなどが好ましい。また、機械的強度や寸法安定性の観点からは、延伸加工、特に二軸延伸加工されたポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)が好ましい。なお、本明細書において、「アクリル」とは、アクリル系のもの及び/又はメタクリル系のものを意味する。
透明基材の表面には、接着性向上のために、コロナ放電処理、酸化処理等の物理的な処理の他、アンカー剤又はプライマーと呼ばれる塗料の塗布を予め行ってもよい。
本発明の光学積層体が有する樹脂層は、バインダー樹脂及び有機粒子を含み、防眩層として機能する層である。
該樹脂層はその上面に凹凸形状を有しており、これによって良好な防眩性を付与できる。当該凹凸形状は、樹脂層に含まれる有機粒子の形状に追従して形成された形状であることが好ましい。このような凹凸形状を有する樹脂層は、前記透明基材上に、バインダー樹脂又はその前駆体と有機粒子とを含む塗布液を塗布することにより形成できる。塗布方法としてはグラビアコーティング、バーコーティング等の公知の塗布方法を使用することができる。該塗布液を塗布して得られた塗膜は、必要に応じて乾燥、硬化して、凹凸形状を有する樹脂層を形成することができる。
ここで「バインダー樹脂の前駆体」とは、例えばバインダー樹脂が硬化性樹脂組成物の硬化物である場合、該硬化性樹脂組成物を意味する。
樹脂層中の上記有機粒子の個数は光学顕微鏡観察により測定でき、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
防眩樹脂層に含まれるバインダー樹脂と、表面樹脂層に含まれるバインダー樹脂とは同一でもよく異なっていてもよいが、これらの層を積層した際に界面反射が少なく密着性にも優れる点から、同一のバインダー樹脂を含むことが好ましい。本発明において「同一種のバインダー樹脂を含む」とは、防眩樹脂層を構成するバインダー樹脂と、表面樹脂層を構成するバインダー樹脂の全部又は一部が重複していることをいう。また上記界面反射を少なくする観点から、防眩樹脂層を構成するバインダー樹脂と、表面樹脂層を構成するバインダー樹脂との屈折率差は小さいことが好ましく、例えば屈折率差が0.02以下であることが好ましい。
樹脂層に含まれるバインダー樹脂は、機械的強度の観点から、硬化性樹脂組成物の硬化物であることが好ましい。
硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂組成物又は電離放射線硬化性樹脂組成物が挙げられ、機械的強度をより良好にする観点から、電離放射線硬化性樹脂組成物が好適である。すなわち、樹脂層に含まれるバインダー樹脂は、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物であることがより好ましい。
熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら硬化性樹脂に、必要に応じて硬化剤が添加される。
なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」は、メタクリレート及びアクリレートを指すものである。
また、本明細書において電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート(PETTA)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリレート系モノマーは、分子骨格の一部を変性しているものでもよく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものも使用することができる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
また、好ましいエポキシ(メタ)アクリレートは、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と多塩基酸と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、及び2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等とフェノール類と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。
電離放射線硬化性化合物として1~3官能のメタ(アクリレート)モノマーを用いる場合、樹脂層の機械的強度を向上するために、電離放射線硬化性樹脂組成物中には、さらに4官能以上のメタ(アクリレート)モノマー及び/又はオリゴマーを含むことが好ましく、4~6官能のメタ(アクリレート)モノマー及び/又はオリゴマーを含むことがより好ましい。この場合、電離放射線硬化性化合物中の1~3官能のメタ(アクリレート)モノマーの含有量は、好ましくは0~60質量%、より好ましくは0~30質量%である。
バインダー樹脂を構成する電離放射線硬化性樹脂組成物中の電離放射線硬化性化合物の含有量は、電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分中の50~100質量%であることが好ましく、75~100質量%であることがより好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α-ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α-アシルオキシムエステル、チオキサンソン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
上記光重合開始剤、光重合促進剤は、それぞれ、1種を単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
電離放射線硬化性樹脂組成物が光重合開始剤又は光重合促進剤を含む場合、その含有量は、それぞれ、電離放射線硬化性樹脂組成物の全固形分に対して1~10質量%であることが好ましく、2~8質量%であることがより好ましい。
有機粒子は、樹脂層の上面に凹凸形状を形成し、防眩性を付与するために用いられる。有機粒子はバインダー樹脂との硬度差が少ないため、無機粒子と比較して粒子とバインダー樹脂との界面でのクラックが発生し難いので、スチールウール耐性が良好になる。樹脂層の上面に凹凸形状を形成するための粒子として無機粒子を用いた場合、鉛筆硬度は向上しても、バインダー樹脂との硬度差が大きいため界面でクラックが発生し易く、スチールウール耐性が低下する。
樹脂層が防眩樹脂層と表面樹脂層とを有する構成である場合、該有機粒子は、樹脂層の中でも防眩樹脂層のみに含まれ、かつ表面樹脂層には含まれないことが好ましい。これにより、より高いスチールウール耐性を付与できる。
有機粒子は、光透過性を有するものであればよい。また、有機粒子は、球形、円盤状、ラグビーボール状、不定形等の形状が挙げられ、また、これら形状の中空粒子、多孔質粒子及び中実粒子等が挙げられる。スチールウール耐性を良好にする観点からは、有機粒子は球状の中実粒子であることが好ましい。
有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート、アクリル-スチレン共重合体、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ベンゾグアナミン-メラミン-ホルムアルデヒド縮合物、シリコーン、フッ素系樹脂、及びポリエステル系樹脂等からなる粒子が挙げられる。上述の有機粒子の中でも、アクリル-スチレン共重合体粒子及びポリスチレン粒子から選ばれる1種以上が好ましい。ポリスチレン粒子は疎水性の度合いが強いため、後述する無機微粒子を併用すると、樹脂層内で該無機微粒子の代表例であるシリカ微粒子と密集することなく均一に分散される。したがって樹脂層上面に形成される凹凸形状にバラツキが少なくなると考えられる。また、アクリル-スチレン共重合体粒子は、屈折率及び親疎水の程度の制御が容易であることから、内部ヘイズ、及び凝集/分散の制御がしやすい点で良好である。
有機粒子は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
したがって本発明においては、有機粒子として2種類以上の異なる屈折率を有する粒子を用いてもよい。この場合には、第1の有機粒子と第2の有機粒子との屈折率の差を0.03以上、0.10以下とすることが好ましい。上記屈折率差が0.03以上であれば、両者を混合した場合に屈折率の制御の自由度が大きくなり、屈折率差が0.10以下であれば、バインダー樹脂との屈折率差の大きい有機粒子により光拡散が生じるおそれが少ない。なお、上記屈折率差は、0.04以上、0.09以下がより好ましく、0.04以上、0.07以下がさらに好ましい。
また本発明においては、有機粒子の粒子径が揃っていることが好ましい。有機粒子の粒子径が揃っていると、該有機粒子の形状に追従して形成される凹凸形状の高さが揃うため、より高いスチールウール耐性を付与できるためである。この観点から、好ましくは有機粒子全体の80%以上、より好ましくは90%以上の有機粒子の粒径が、平均粒子径±300nmの範囲内にあることが好ましい。
(1)本発明の光学積層体を光学顕微鏡にて透過観察画像を撮像する。倍率は500~2000倍が好ましい。
(2)観察画像から任意の10個の粒子を抽出し、個々の粒子の長径及び短径を測定し、長径及び短径の平均から個々の粒子の粒子径を算出する。長径は、個々の粒子の画面上において最も長い径とする。また、短径は、長径を構成する線分の中点に直交する線分を引き、該直交する線分が粒子と交わる2点間の距離をいうものとする。
(3)同じサンプルの別画面の観察画像において同様の作業を5回行って、合計50個分の粒子径の数平均から得られる値を粒子の平均粒子径とする。
また、後述する無機微粒子の平均粒子径は、まず、本発明の光学積層体の断面をTEM又はSTEMで撮像し、撮像後、上記(2)及び(3)と同様の手法を行うことにより、無機微粒子の平均粒子径を算出できる。TEM又はSTEMの加速電圧は10kV~30kV、倍率は5万~30万倍とすることが好ましい。
樹脂層を上面から観察した際の0.1mm×0.1mmの範囲に含まれる有機粒子の個数を20個以上とするためには、樹脂層中の有機粒子の含有量は、通常、樹脂層中の1.0質量%超であり、5.0~30質量%であることが好ましく、10~20質量%であることがより好ましい。
樹脂層が防眩樹脂層と表面樹脂層とを有する構成である場合、該無機微粒子は、防眩樹脂層のみに含まれ、かつ表面樹脂層には含まれないことが好ましい。防眩樹脂層は前記有機粒子を含むため、該層がさらに無機微粒子を含むことにより樹脂層上面に形成される凹凸形状のバラツキが少なくなるという効果が得られる。一方で、表面樹脂層は、無機微粒子を含まない方がより高いスチールウール耐性を達成できる。また、無機微粒子に由来する微細な凹凸形状が形成されないので、無機微粒子による拡散の影響が少なくなり、明視距離での像鮮明度も良好になる。
なお、乾式法によるシリカ微粒子は、フュームドシリカ(平均粒子径5nm~40nm)として知られており、防眩樹脂層形成用の組成物の粘度を調整したり、形成される樹脂層上面の凹凸形状の制御をする場合に好ましく用いることができる。物体の輪郭をぼかす程度の軽度の防眩性を付与すればよく、像鮮明性、色のクリア感を重要視する場合には、この乾式法シリカ微粒子を用いることによって樹脂層上面の凹凸形状をなだらかにし、防眩性を調整することができる。
疎水化処理に使用する疎水性化合物としては、疎水性基と、上記活性基と反応性の高い官能基とを有する、シラン系材料、シロキサン系材料、シラザン系材料などが用いられる。シラン系材料としては、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、n-ブチルトリクロロシラン等の、直鎖アルキル基又は分岐アルキル基を1つ有するクロロシラン;ジエチルジクロロシラン、ジ-n-ブチルジクロロシラン、エチルジメチルクロロシラン等の、直鎖アルキル基又は分岐アルキル基を2つ以上有するクロロシラン等が挙げられる。シロキサン系材料及びシラザン系材料としては、直鎖アルキル基又は分岐アルキル基を少なくとも1つ有するシロキサン化合物やシラザン化合物が挙げられる。
反応性無機微粒子は、上記反応性基を有するシランカップリング剤で表面処理した無機微粒子を挙げることができる。無機微粒子の表面をシランカップリング剤で処理するには、無機微粒子にシランカップリング剤をスプレーする乾式法や、無機微粒子を溶剤に分散させてからシランカップリング剤を加えて反応させる湿式法等が挙げられる。
また、樹脂層中の無機微粒子及び有機粒子の含有量の比(無機微粒子の含有量/有機粒子の含有量)は、高い防眩性を得る観点から、質量比で0.001~1.0であることが好ましく、0.01~0.8であることがより好ましく、0.04~0.5であることがさらに好ましい。
一般に、スチールウール耐性を向上させるためには表面の滑り性を向上させることが好ましいことは知られている。表面の滑り性を向上させるための添加剤としては、通常、フッ素を含有しないシリコーン系化合物が好適に用いられるが、本発明の光学積層体においては、フッ素を含有しないシリコーン系化合物よりもフッ素含有化合物を用いた方が、スチールウール耐性が向上することを本発明者らは見出した。このような効果が得られる理由は定かではないが、樹脂層表面に脂質などが付着すると、スチールウールで擦った際の摩擦力が変化又は不均一化してスチールウール耐性が低下するが、フッ素含有化合物は防汚性が高いためにこの現象を回避できると考えられる。
当該フッ素含有化合物としては、フッ素系レベリング剤として知られている化合物が好適である。バインダー樹脂がフッ素系レベリング剤を含むことにより、樹脂層上面のスチールウール耐性と防汚性を向上させるとともに、樹脂層上面に、有機粒子の形状に追従した凹凸形状を形成することができるためである。中でも、上記効果を得る観点から、フッ素シリコーン系レベリング剤がより好ましい。
このようなフッ素シリコーン系レベリング剤としては、具体的には下記一般式(1)で表される化合物を挙げることができる。
フッ素シリコーン系レベリング剤の具体例としては、信越化学工業(株)製のX-70-090、X-70-091、X-70-092、X-70-093、DIC社製のメガファックR-08、XRB-4等を挙げることができる。
樹脂層の厚みは、例えば、走査型透過電子顕微鏡(STEM)を用いて撮影した断面の画像から20箇所の厚みを測定し、20箇所の値の平均値から算出できる。STEMの加速電圧は10kV~30kV、倍率は1000~7000倍とすることが好ましい。
また本発明においては、樹脂層中の、有機粒子よりも上面側に存在するバインダー樹脂の厚みが0.5μm以上である。該厚みが0.5μm未満であると、該樹脂層のスチールウール耐性が低下する。該厚みは、より好ましくは1.0μm以上、さらに好ましくは1.5μm以上である。また、高い防眩性を付与する観点からは、該厚みは、好ましくは3.5μm以下、より好ましくは3.0μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下である。
樹脂層中の、有機粒子よりも上面側に存在するバインダー樹脂の厚みは、前述した樹脂層の厚みと同様の方法で算出できる。
本発明の光学積層体は、JIS K7374:2007に準拠して測定した、光学櫛の幅が2.0mmの透過像鮮明度が20.0~55.0%である。当該像鮮明度がこの範囲であると、高い防眩性を達成しつつ、表示画面を明視距離付近から見た際の像鮮明性も良好である。当該像鮮明度は、好ましくは20.0~50.0%、より好ましくは25.0~40.0%、さらに好ましくは30.0~40.0%である。
また本発明の光学積層体においては、光学櫛の幅が2.0mmの透過像鮮明度が重要であるが、光学櫛の幅が2.0mm以外での透過像鮮明度としては、例えば光学櫛の幅が1.0mmの透過像鮮明度は1.0~20.0%程度であればよい。
スチールウール耐性試験:スチールウール#0000を使用し、荷重250g/cm2、移動速度100mm/秒、往復移動距離100mmで1500回往復させる。
スチールウール#0000としては、日本スチールウール(株)製の「ボンスター B-204」を使用できる。
本発明の光学積層体はスチールウール耐性が高いため、タッチパネル表示装置の最表面に使用しても実用上十分に耐えうる耐擦傷性を有する。上記スチールウール耐性試験では、スチールウールを3000回往復させても傷がつかないことがより好ましい。
全光線透過率は、90.5%以上であることが好ましく、90.7%以上であることがより好ましく、91.0%以上であることがさらに好ましい。
ヘイズは、15~50%であることが好ましく、20~40%であることがより好ましく、20~30%であることがさらに好ましい。
一方、光学積層体における樹脂層のスチールウール耐性や鉛筆硬度等の機械特性、並びに樹脂層中の有機粒子の個数については、該樹脂層が最表面に積層されていれば、上記前処理を行わずに直接測定することができる。なお、当該樹脂層は好ましくは前述したスチールウール耐性及び鉛筆硬度を有し、機械強度が高いものである。したがって当該樹脂層の上面側に更に他の部材を積層しても、該樹脂層の機械特性及び樹脂層中の有機粒子の個数は、通常は他の部材を積層する前の状態が維持される。
本発明の光学積層体は、所定の大きさにカットした枚葉状の形態でもよいし、長尺シートをロール状に巻き取ったロール状の形態であってもよい。また、枚葉の大きさは特に限定されないが、最大径が2~500インチ程度である。「最大径」とは、光学積層体の任意の2点を結んだ際の最大長さをいうものとする。例えば、光学積層体が長方形の場合は、該領域の対角線が最大径となる。また、光学積層体が円形の場合は、直径が最大径となる。
光学積層体がロール状の形態である場合、ロール状に巻き取られる長尺シートの幅及び長さは特に限定されないが、一般的には、幅は300~3000mm、長さは50~5000m程度である。ロール状の形態の光学積層体は、表示装置等の大きさに合わせて、枚葉状にカットして用いることができる。カットする際、物性が安定しないロール端部等は除外することが好ましい。
また、枚葉の形状も特に限定されず、例えば、多角形(三角形、四角形、五角形等)や円形であってもよいし、ランダムな不定形であってもよい。より具体的には、光学積層体が四角形状である場合には、縦横比は表示画面として問題がなければ特に限定されない。例えば、縦:横=1:1、3:4、10:16、9:16、1:2等が挙げられるが、デザイン性に富む車載用途やデジタルサイネージにおいては、このような縦横比に限定されない。
本発明の光学積層体の製造方法は特に限定されないが、前述したように、透明基材上に、バインダー樹脂又はその前駆体と有機粒子とを含む塗布液を塗布し、必要に応じて乾燥、硬化させることにより、上面に凹凸形状を有する樹脂層を形成する方法が挙げられる。
本発明の光学積層体の製造方法は、透明基材上にバインダー樹脂又はその前駆体と有機粒子とを含む塗布液を用いて防眩樹脂層を形成し、次いで、該防眩樹脂層上にバインダー樹脂又はその前駆体を含み、かつ前記有機粒子を含まない塗布液を用いて表面樹脂層を形成して、該透明基材上に前記樹脂層を形成する工程を有することが好ましい。この方法により、透明基材上に、該透明基材側から順に、前述した防眩樹脂層と表面樹脂層とを有する樹脂層を形成できる。該樹脂層は上面に凹凸形状を有し、かつ、該樹脂層の上面は表面保護層で構成されているので、樹脂層の上面には有機粒子が露出しない。
硬化性樹脂組成物、無機微粒子、及びこれらの好ましい態様は前述の通りである。
具体的には、溶剤は、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、アルコール類(ブタノール、シクロヘキサノール等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が例示でき、これらの混合物であってもよい。
このような溶剤としては、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、1-ブタノール)が好ましく、その他の各溶剤種類においては炭素数がより多いものが良好な傾向があり、その中でも蒸発速度が速いものが良好な傾向がある。例えば、ケトン類であれば、メチルイソブチルケトン、芳香族炭化水素類であればトルエン、グリコール類であればプロピレングリコールモノメチルエーテル等が例示でき、これらの混合溶剤であってもよい。
上記溶剤の中でも、とりわけメチルイソブチルケトン、イソプロパノール及び1-ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルから選択される1種以上を含むものが好ましい。
また、TAC基材を膨潤ないしは溶解する溶剤としては、MEK、シクロヘキサノン、MIBK等が挙げられる。
耐擦傷性を向上させる観点から、表面樹脂層形成用の塗布液に含まれる電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性化合物として4官能以上のメタ(アクリレート)モノマー及び/又はオリゴマーを含むことが好ましく、4~6官能のメタ(アクリレート)モノマー及び/又はオリゴマーを含むことがより好ましい。電離放射線硬化性化合物中の4官能以上のメタ(アクリレート)モノマー及び/又はオリゴマーの含有量は、好ましくは40~100質量%、より好ましくは60~100質量%、さらに好ましくは90~100質量%である。電離放射線硬化性化合物として1~3官能のメタ(アクリレート)モノマーを用いてもよいが、その場合の電離放射線硬化性化合物中の1~3官能のメタ(アクリレート)モノマーの含有量は、好ましくは0~60質量%、より好ましくは0~30質量%、さらに好ましくは0~10質量%である。
また表面樹脂層形成用の塗布液は、さらにフッ素含有化合物を含むことが好ましい。
上記以外の、硬化性樹脂組成物、有機粒子、フッ素含有化合物、及びこれらの好ましい態様は前述の通りである。
また表面樹脂層形成用の塗布液は、粘度調節、及び、上記各成分を溶解又は分散可能とするために溶剤を含むことが好ましい。溶剤としては、防眩樹脂層形成用の塗布液において例示したものと同様の溶剤が挙げられる。表面樹脂層形成用塗布液中の溶剤の含有量としては特に限定されないが、表面樹脂層形成用塗布液中の固形分100質量部に対して、50~250質量部が好ましく、100~200質量部であることがより好ましい。
まず、透明基材上に、前述した防眩樹脂層形成用の塗布液を塗布する。防眩樹脂層形成用の塗布液は、例えば、前記の電離放射線硬化性化合物を含む樹脂組成物、有機粒子、及び必要に応じ用いられる無機微粒子、溶剤等を、それぞれ所定の割合で均質に混合して調製できる。
防眩樹脂層形成用の塗布液の塗布方法としては、グラビアコーティング、バーコーティング等の公知の塗布方法を使用することができる。さらに、必要に応じて乾燥させて、透明基材上に未硬化樹脂層を形成する。
バラツキの少ない凹凸形状を形成する観点からは、防眩樹脂層を形成する際、乾燥条件を制御することが好ましい。乾燥条件は、乾燥温度及び乾燥機内の風速により制御することができる。具体的な乾燥温度としては、30~120℃、乾燥風速では0.2~50m/sとすることが好ましい。また、乾燥条件により防眩樹脂層のレベリングを制御するために、電離放射線の照射は乾燥後に行うことが好適である。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、通常波長190~380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
本発明の積層部材は、前述した本発明の光学積層体と、偏光素子とを有するものである。
積層部材の層構成としては、偏光素子の少なくとも一方の面に、前記光学積層体が積層された構成であればよい。具体的には、偏光素子の一方の面に本発明の光学積層体が積層され、他方の面に偏光素子保護フィルムが積層されている構成や、偏光素子の両面に偏光素子保護フィルムが積層され、一方の偏光素子保護フィルム上に、さらに本発明の光学積層体が積層された構成等が挙げられる。光学積層体は、通常、透明基材側が偏光素子側の面を向くように積層される。
本発明の積層部材は、偏光板として用いることもできる。当該積層部材は、偏光素子以外に、さらに位相差フィルム等の他の光学部材を有していてもよい。
なお、本発明の積層部材を液晶表示装置等の表示装置に適用する場合は、枚葉状又はロール状の形態の積層部材を後述する表示素子等と貼り合わせた後に、表示装置の大きさに合わせてカットしてもよい。カットする際、物性が安定しないロール端部等は除外することが好ましい。
本発明の表示装置は、前述した光学積層体又は積層部材を備えたものであることを特徴とする。本発明の効果をより有効に得る観点から、表示装置は、表示素子の観察者側(表示装置の出光面側)に前述した光学積層体又は積層部材を備えたものであることが好ましい。より詳細には、表示素子の観察者側の最表面に前述した光学積層体又は積層部材を備え、かつ、該光学積層体における樹脂層の上面(凹凸形状を有する面)が観察者側となるよう配置された表示装置であることが好ましい。
表示装置の大きさは特に限定されないが、最大径が2~500インチ程度である。「最大径」とは、表示装置の任意の2点を結んだ際の最大長さをいうものとする。例えば、表示装置が長方形の場合は、該領域の対角線が最大径となり、円形の場合は、直径が最大径となる。
表示素子の具体的な構成は特に制限されない。例えば液晶表示素子の場合、下部ガラス基板、下部透明電極、液晶層、上部透明電極、カラーフィルター及び上部ガラス基板を順に有する基本構成からなり、超高精細の液晶表示素子では、該下部透明電極及び上部透明電極が高密度にパターニングされている。
抵抗膜式タッチパネルは、導電膜を有する上下一対の透明基板の導電膜同士が対向するようにスペーサーを介して配置されてなる構成を基本構成として、該基本構成に回路が接続されてなるものである。
静電容量式タッチパネルは、表面型及び投影型等が挙げられ、投影型が多く用いられている。投影型の静電容量式タッチパネルは、X軸電極と、該X軸電極と直交するY軸電極とを絶縁体を介して配置した基本構成に、回路が接続されてなるものである。該基本構成をより具体的に説明すると、(1)1枚の透明基板上の別々の面にX軸電極及びY軸電極を形成する態様、(2)透明基板上にX軸電極、絶縁体層、Y軸電極をこの順で形成する態様、(3)透明基板上にX軸電極を形成し、別の透明基板上にY軸電極を形成し、接着剤層等を介して積層する態様等が挙げられる。また、これら基本態様に、さらに別の透明基板を積層する態様が挙げられる。
なお、実施例における各測定及び評価時の雰囲気は、温度は23℃±5℃、湿度40~65%とした。また、各測定及び評価の開始前に、対象サンプルを前記雰囲気に30分以上晒してから測定及び評価を行った。
以下のように、実施例及び比較例の光学積層体の物性測定及び評価を行った。結果を表1に示す。全ての測定や評価では、サンプルの皺や汚れのない部分を用い、また、製造サンプルの端部ではなく、比較的安定な塗膜と考えられる中央部付近から測定サンプルとしている。
100mm×100mmにカットした光学積層体の四辺をメンディングテープ(3M社製、商品名「810-3-18」)で光学顕微鏡((株)キーエンス製、商品名「デジタルマイクロスコープ VHX-5000」)のステージに貼り合わせた。樹脂層の上面側から光学顕微鏡にて倍率1000倍、透過法で観察し、0.1mm四方領域内の粒子の個数を16箇所において測定し、測定値の最小値及び最大値を除外した14箇所の測定値の平均値を有機粒子の個数とした。
100mm×100mmにカットした光学積層体をスガ試験機(株)製の写像性測定器(商品名:ICM-1T)を用いて、JIS K7374:2007に従って、光学櫛の幅が2.0mmの透過像鮮明度を測定した。光入射面は透明基材側とした。
100mm×100mmにカットした光学積層体の透明基材側に、透明粘着剤(日立化成(株)製、商品名「DA-1000」)を介して黒色アクリル板((株)クラレ製、商品名「コモグラス 502K」)を貼り合わせた評価用サンプルを水平面に置き、評価用サンプルから2m上方に蛍光灯を配置した。評価用サンプル上に蛍光灯を移しこませ、かつ評価用サンプル上の照度が800~1200Lxとした環境下で、様々な角度から目視で観察し、以下の基準に従って評価した。
AA:サンプル全面に白い反射がみられ、明確な明暗が認識できないもの。
A:蛍光灯の反射領域を明部としては、認識できるが、形状が蛍光灯とは認識できないもの。
B:蛍光灯の反射領域の中心付近(蛍光灯の芯に相当する部分)とその周辺部との境界がぼやけ、該境界が認識できないもの。さらに、蛍光灯の反射領域と非反射領域との境界がぼやけ、該境界が認識できないもの。
C:蛍光灯の反射領域の中心付近(蛍光灯の芯に相当する部分)とその周辺部との境界が明確に認識できるもの。あるいは、蛍光灯の反射領域と非反射領域との境界が明確に認識できるもの。
50mm×150mmにカットした光学積層体の裏面に黒テープ(ヤマト製、商品名「ヤマトビニールテープNo.200」)を貼付した。光学積層体の樹脂層を上面にし、メンディングテープ(3M社製、商品名「810-3-18」)を光学積層体裏面の短辺に貼り、学振摩耗試験機(テスター産業(株)製、商品名「AB-301」)土台に貼り合わせた。スチールウール#0000(日本スチールウール(株)製、商品名「ボンスター B-204」)をセットして樹脂層上面に接触させ、荷重250g/cm2、移動速度100mm/秒、往復移動距離100mmで、1500回及び3000回往復させた。樹脂層上面の傷の度合いを蛍光灯反射で目視観察し、スチールウール耐性を下記の基準で評価した。
A:3000回往復でも傷が確認されなかった。
B:1500回往復では傷が確認されなかったが、3000回往復では傷が確認された。C:1500回往復で傷が確認された。
50mm×100mmにカットした光学積層体を、JIS K5600-5-4:1999に準拠して荷重500g、速度1.4mm/秒で光学積層体の樹脂層上面の鉛筆硬度を測定し、得られた光学積層体のハードコート性を評価した。
測定には、鉛筆硬度試験機((株)東洋精機製作所製)を用いた。カットしたサンプルの両端部にメンディングテープ(3M社製、商品名「810-3-18」)を貼り合わせ、鉛筆硬度試験機の土台に貼り合わせた。鉛筆硬度は、5回の鉛筆硬度試験を行い、3回以上の傷等の外観異常が認められなかった場合に使用した鉛筆の硬度とした。外観異常については、変色は含まず、傷や凹み等について確認を行った。例えば、2Hの鉛筆を用いて、5回の試験を行い、3回外観異常が生じなければ、その光学積層体の鉛筆硬度は2Hである。
50mm×100mmにカットした光学積層体をヘイズメーター(HM-150、(株)村上色彩技術研究所製)を用いて、JIS K-7136:2000に従ってヘイズを測定した。樹脂層面側を光入射面とした。
市販のタブレット(7~13インチ)の表面に50mm×100mmにカットした光学積層体を樹脂層を上面にしてメンディングテープ(3M社製、商品名「810-3-18」)で貼付し、タブレットに大きさ「標準」で新聞記事の文字を表示させ、文字の読み取りやすさを下記基準により評価した。
A:文字がクリアに見え、文章がクリアに読み取れる
B:文字がややぼやけて見えるが文章の読み取りに問題ない
C:文字がぼやけて見え、文章が読み取りづらい
2mm×5mmにカットした光学積層体をシリコーン系の包埋板に入れ、包埋樹脂としてエポキシ系樹脂を流し込み、光学積層体全体を樹脂にて包埋した。包埋樹脂を65℃で12時間以上放置して、硬化させた後、ウルトラミクロトーム(ライカ マイクロシステムズ社製、商品名「ウルトラミクロトーム EM UC7」)を用いて、送り出し厚み100nmに設定し、超薄切片を作製した。作製した超薄切片をコロジオン膜付メッシュ(150)にて採取し、走査透過型電子顕微鏡(STEM)観察用サンプルとした。なお、このサンプルにおいて導通が得られないとSTEMによる観察像が見えにくい場合があるため、Pt-Pdを20秒程度スパッタすることが好ましい。スパッタ時間は、適宜調整できるが、10秒では少なく、100秒では多すぎるためスパッタした金属が粒子状の異物像になるため注意する必要がある。
樹脂層の最も厚い部分の厚み及び有機粒子上に存在するバインダー樹脂の厚みは以下のようにして測定した。まず、走査透過型電子顕微鏡(STEM)((株)日立ハイテクノロジーズ製、商品名「S-4800(TYPE2)」)を用いて、STEM用サンプルの断面写真を撮影した。この断面写真の撮影の際には、検出器(選択信号)を「TE」、加速電圧を30kV、エミッションを「10μA」にしてSTEM観察を行う倍率については5000倍~20万倍でフォーカスを調節し、コントラスト及び明るさを各層が見分けられるよう適宜調節した。好ましい倍率は、1万倍~10万倍、さらに好ましい倍率は1万倍~5万倍であり、最も好ましい倍率2.5万倍~5万倍である。なお、断面写真の撮影の際には、さらに、アパーチャーをビームモニタ絞り3、対物レンズ絞りを3にし、また作動距離(W.D.)を8mmにしてもよい。得られた断面画像の20箇所の厚みを測定し、20箇所の値の平均値から算出した。
実施例1
透明基材(トリアセチルセルロース系基材(TAC)、富士フイルム(株)製「TD80UL」、厚み80μm、200mm×600mm)に、下記処方の防眩樹脂層形成用塗布液Aを乾燥後の塗布量が5g/m2になるように塗布し、70℃で30秒間乾燥した後、紫外線を窒素雰囲気(酸素濃度200ppm以下)下にて積算光量が70mJ/cm2になるように照射して、防眩樹脂層を形成した。
次いで、防眩樹脂層上に、下記処方の表面樹脂層形成用塗布液Aを乾燥後の塗布量が5g/m2となるよう塗布し、70℃で30秒間乾燥した後、紫外線を窒素雰囲気(酸素濃度200ppm以下)下にて積算光量が100mJ/cm2になるように照射して、表面樹脂層を形成し、光学積層体を得た。防眩樹脂層と表面樹脂層とからなる樹脂層全体の最も厚い部分の厚みは11μmであった。
得られた光学積層体を用いて、前記評価を行った。結果を表1に示す。
・3官能アクリレートモノマー(PETA) 60部
・6官能アクリレートモノマー(DPHA) 40部
・光重合開始剤 3.5部
(BASF社製、イルガキュア184)
・光重合開始剤 0.5部
(BASF社製、イルガキュア907)
・シリコーン系レベリング剤 0.025部
・有機粒子A(球状アクリル-スチレン共重合体粒子(単分散)、屈折率n=1.55、平均粒子径9μm) 30部
・有機粒子B(球状アクリル-スチレン共重合体粒子(単分散)、屈折率n=1.59、平均粒子径9μm) 15部
・無機微粒子 5部
(湿式法(沈殿法)シリカ、平均粒子径1μm)
・溶剤(トルエン) 86部
・溶剤(シクロヘキサノン) 12部
・溶剤(MIBK) 2部
・6官能アクリレートモノマー(DPHA) 100部
・光重合開始剤 4部
(BASF社製、イルガキュア184)
・フッ素シリコーン系レベリング剤 0.2部
・溶剤(MIBK) 150部
実施例1の防眩樹脂層形成塗布液Aにおいて、有機粒子Aを20部、有機粒子Bを10部に変更した防眩樹脂層形成塗布液Bを調製し、これを用いたこと以外は、実施例1と同様にして光学積層体を得た。前記評価を行った結果を表1に示す。
実施例3
実施例1の表面樹脂層を、乾燥後の塗布量が4g/m2となるようにした以外は、実施例1と同様にして光学積層体を得た。前記評価を行った結果を表1に示す。
実施例1の防眩樹脂層形成塗布液Aにおいて、有機粒子Aを3部、有機粒子Bを2部に変更した防眩樹脂層形成塗布液Cを調製し、これを用いたこと以外は、実施例1と同様にして光学積層体を得た。前記評価を行った結果を表1に示す。
透明基材に下記処方の防眩樹脂層形成用塗布液Dを乾燥後の塗布量が7g/m2となるように塗布し、70℃で30秒間乾燥した後、紫外線を窒素雰囲気(酸素濃度200ppm以下)下にて積算光量が100mJ/cm2になるように照射して、防眩樹脂層を形成し、光学積層体を得た。
<防眩樹脂層形成用塗布液D>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA) 50部
・ウレタンアクリレート 30部
・光重合開始剤 5部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.025部
・有機粒子C(球状アクリル-スチレン共重合体粒子、屈折率n=1.55、平均粒子径3.5μm) 14部
・無機微粒子 60部
(日産化学工業(株)製、表面に反応性官能基が導入されたシリカ微粒子(分散液)、溶剤:トルエン、固形分:60質量%、平均粒子径5nm)
・溶剤(トルエン) 135部
・溶剤(シクロヘキサノン) 55部
透明基材に下記処方の中間樹脂層形成用塗布液Aを乾燥後の塗布量が20g/m2となるように塗布し、70℃で30秒間乾燥した後、紫外線を窒素雰囲気(酸素濃度200ppm以下)下にて積算光量が70mJ/cm2になるように照射して、中間樹脂層を形成した。その後、比較例2と同様にして防眩樹脂層を形成し、光学積層体を得た。
<中間樹脂層形成用塗布液A>
・6官能アクリレートモノマー(DPHA) 100部
・無機微粒子 80部
(日産化学工業(株)製、表面に反応性官能基が導入されたシリカ微粒子(分散液)、溶剤:トルエン、固形分:60質量%、平均粒子径5nm)
・光重合開始剤 5部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.1部
・溶剤(トルエン) 150部
実施例1の防眩樹脂層形成塗布液Aにおいて、有機粒子Aを40部、有機粒子Bを20部に変更した防眩樹脂層形成塗布液Eを調製し、これを用いたこと以外は、実施例1と同様にして光学積層体を得た。前記評価を行った結果を表1に示す。
これに対し、比較例1の光学積層体は0.1mm×0.1mmの範囲に含まれる有機粒子の個数が20個未満であり、光学櫛の幅が2.0mmの透過像鮮明度が50.0%を超えるため防眩性が不十分であった。比較例2の光学積層体は有機粒子上に存在するバインダー樹脂の厚みが薄く、樹脂層全体の厚みも薄いため、スチールウール耐性及び鉛筆硬度が低下した。比較例3の光学積層体は、中間樹脂層を有するために鉛筆硬度は良好であるが、有機粒子上に存在するバインダー樹脂の厚みが薄いためスチールウール耐性が低下した。また比較例4は、光学櫛の幅が2.0mmの透過像鮮明度が20.0%未満であるため、明視距離からの像鮮明性が不十分であった。
1 透明基材
2 樹脂層
2a 樹脂層の上面
3 バインダー樹脂
4 有機粒子
Claims (13)
- 透明基材の少なくとも一方の面にバインダー樹脂及び有機粒子を含む樹脂層を有する光学積層体であって、
前記樹脂層はその上面に凹凸形状を有し、前記有機粒子の平均粒子径を超える厚み部分と、前記有機粒子の平均粒子径未満の厚み部分とを有し、
該樹脂層の上面には前記有機粒子が露出しておらず、該樹脂層中の、該有機粒子よりも上面側に存在するバインダー樹脂の厚みが0.5μm以上であり、該樹脂層を上面から観察した際の0.1mm×0.1mmの範囲に含まれる該有機粒子の個数が20個以上であり、
JIS K7374:2007に準拠して測定した、光学櫛の幅が2.0mmの透過像鮮明度が20.0~55.0%である、光学積層体。 - 前記有機粒子の平均粒子径が7μm以上である、請求項1に記載の光学積層体。
- 前記バインダー樹脂が電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物である、請求項1又は2に記載の光学積層体。
- 前記樹脂層が下記のスチールウール耐性試験により傷がつかないことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の光学積層体。
スチールウール耐性試験:スチールウール#0000を使用し、荷重250g/cm2、移動速度100mm/秒、往復移動距離100mmで1500回往復させる。 - JIS K5600-5-4:1999に準拠して荷重500g、速度1.4mm/秒で測定される前記樹脂層の鉛筆硬度が4H以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の光学積層体。
- 前記樹脂層がフッ素含有化合物を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の光学積層体。
- 前記樹脂層が前記透明基材側から順に防眩樹脂層と表面樹脂層とを有する構成であり、該防眩樹脂層が前記有機粒子を含み、該表面樹脂層が該有機粒子を含まない、請求項1~6のいずれか1項に記載の光学積層体。
- 前記防眩樹脂層が無機粒子を含み、前記表面樹脂層が無機粒子を含まない、請求項7に記載の光学積層体。
- JIS K7136:2000に準拠して測定されるヘイズが、15~50%である、請求項1~8のいずれか1項に記載の光学積層体。
- 請求項1~9のいずれか1項に記載の光学積層体と、偏光素子とを有する積層部材。
- 前記透明基材上に前記バインダー樹脂又はその前駆体と前記有機粒子とを含む塗布液を用いて防眩樹脂層を形成し、次いで、該防眩樹脂層上に前記バインダー樹脂又はその前駆体を含み、かつ前記有機粒子を含まない塗布液を用いて表面樹脂層を形成して、該透明基材上に前記樹脂層を形成する工程を有する、請求項1~9のいずれか1項に記載の光学積層体の製造方法。
- 表示素子の観察者側に請求項1~9のいずれか1項に記載の光学積層体又は請求項10に記載の積層部材を備えた表示装置。
- タッチパネルを搭載した表示装置である、請求項12に記載の表示装置。
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