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JP7318883B2 - (メタ)アクリル系樹脂組成物 - Google Patents

(メタ)アクリル系樹脂組成物 Download PDF

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JP7318883B2
JP7318883B2 JP2019097000A JP2019097000A JP7318883B2 JP 7318883 B2 JP7318883 B2 JP 7318883B2 JP 2019097000 A JP2019097000 A JP 2019097000A JP 2019097000 A JP2019097000 A JP 2019097000A JP 7318883 B2 JP7318883 B2 JP 7318883B2
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Description

本発明は、(メタ)アクリル系樹脂組成物に関するものである。
硬化性(メタ)アクリル系樹脂組成物は、例えば、接着剤として使用されている。第二世代の(メタ)アクリル系接着剤(以下「SGA」という)は、複数種類の(メタ)アクリルモノマー成分に、重合開始剤としての有機過酸化物と、有機過酸化物と反応してラジカルを発生させる還元剤とを加えて、重合、硬化することにより接着強度が発現する接着剤である。SGAは、耐久性、透明性に優れ、環境に優しいことから、構造部材の接着剤、自動車部品の接着剤、電気電子部品の接着剤、フラットパネルディスプレイの接着剤等に使用されている。
例えば、特許文献1には、(メタ)アクリレートモノマー、平均粒子径が5.0μm以下の酸化チタン、重合開始剤、硬化促進剤及びエラストマー成分を含有してなる硬化性樹脂組成物が開示されている。
特許文献2には、(A)一般式(1):-OC(O)C(Ra)=CH (1)
(式中、Raは水素原子又は炭素数1~20の有機基を表わす)で表される基を1分子あたり2個以上有し、かつ、そのうち分子末端に前記一般式(1)で表される基を1個以上有するビニル系重合体、(B)レドックス系開始剤を含有してなる接着剤組成物が開示されている。
特許文献3には、エラストマー成分(A)、(メタ)アクリル系重合性単量体(B)、(B)成分以外の(メタ)アクリル系重合性単量体(C)、重合開始剤(D)及び還元剤(E)を含有する接着剤組成物が開示されている。
特開2000-355647号公報 特開2006-299257号公報 特開2014-88458号公報
硬化性の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、短時間で接着強度を発現し、作業性に優れた接着剤であるが、破壊靱性が劣るという欠点を有している。本願発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、破壊靭性に優れる新規な(メタ)アクリル系樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、エポキシ基を有する(メタ)アクリル系ビニルモノマーに由来する構造単位を有するAブロックと、一般式(2)で表される構造単位を有するBブロックとを含有するABA型トリブロック共重合体(a)、
Figure 0007318883000001
[一般式(2)において、R21は、置換基を有していてもよい鎖状もしくは環状の炭化水素基を表す。R22は水素原子またはメチル基を表す。]
酸性基を有さない(メタ)アクリル系ビニルモノマー(b)、および、
酸性基を有する(メタ)アクリル系ビニルモノマー(c)を含有することを特徴とする。
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物を硬化すると、(b)成分と(c)成分とが重合してなる(メタ)アクリル系樹脂に(a)成分が相分離した相構造が得られる。その結果、本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物の硬化物は、優れた破壊靱性を有する。
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物の硬化物は、破壊靭性に優れる。その結果、接着剤として好適に使用することができる。
(メタ)アクリル系樹脂組成物の硬化物の破壊靭性を示すグラフ。 (メタ)アクリル系樹脂組成物の接着強度を示すグラフ。
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、エポキシ基を有する(メタ)アクリル系ビニルモノマーに由来する構造単位を有するAブロックと、一般式(2)で表される構造単位を有するBブロックとを含有するABA型トリブロック共重合体(a)、
Figure 0007318883000002
[一般式(2)において、R21は、置換基を有していてもよい鎖状もしくは環状の炭化水素基を表す。R22は水素原子またはメチル基を表す。]
酸性基を有さない(メタ)アクリル系ビニルモノマー(b)、および、
酸性基を有する(メタ)アクリル系ビニルモノマー(c)を含有することを特徴とする。
<(メタ)アクリル系樹脂組成物>
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、エポキシ基を有する(メタ)アクリル系ビニルモノマーに由来する構造単位を有するAブロックと、一般式(2)で表される構造単位を有するBブロックとを含有するABA型トリブロック共重合体(a)(以下「(a)成分」という)、酸性基を有さない(メタ)アクリル系ビニルモノマー(b)(以下「(b)成分」という)、酸性基を有する(メタ)アクリル系ビニルモノマー(c)(以下「(c)成分」という)を含有する。
本発明において、「Aブロック」は、例えば「Aセグメント」と言い換えることができ、「Bブロック」は、例えば「Bセグメント」と言い換えることができる。本発明において、「ビニルモノマー」とは分子中にラジカル重合可能な炭素-炭素二重結合を有するモノマーのことをいう。「(メタ)アクリル系ビニルモノマーに由来する構造単位」とは、(メタ)アクリル系ビニルモノマーのラジカル重合可能な炭素-炭素二重結合が、重合して炭素-炭素単結合になった構造単位をいう。「(メタ)アクリル」は「アクリルもしくはメタクリル、または、アクリルおよびメタクリルの両方」を意味する。「(メタ)アクリレート」は「アクリレートもしくはメタクリレート、または、アクリレートおよびメタクリレートの両方」を意味する。「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイルもしくはメタクリロイル、または、アクリロイルおよびメタクリロイルの両方」を意味する。
((a)成分)
本発明で使用される(a)成分は、エポキシ基を有する(メタ)アクリル系ビニルモノマーに由来する構造単位を有するAブロックと、一般式(2)で表される構造単位を有するBブロックとを含有するABA型トリブロック共重合体である。前記(a)成分は、本発明の硬化物に強靭性を付与すると考えられる。
Aブロック
前記Aブロックを構成するエポキシ基を有する(メタ)アクリル系ビニルモノマーは、(メタ)アクリロイル基とエポキシ基とを有する化合物であれば特に限定されない。(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基(CH=CHCO-)もしくはメタクリロイル基(CH=C(CH)CO-)、あるいは、アクリロイル基とメタクリロイル基の両方を意味する。
エポキシ基を有する(メタ)アクリル系ビニルモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート(例えば、ダイセル化学工業社製の「サイクロマーA400」等)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート(例えば、ダイセル化学工業社製の「サイクロマーM100」等)などを挙げることができる。エポキシ基を有する(メタ)アクリル系ビニルモノマーは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記Aブロックにおけるエポキシ基を有する(メタ)アクリル系ビニルモノマーに由来する構造単位の含有率は、10質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましく、90質量%以下が好ましく、75質量%以下がより好ましい。
Aブロックにおけるエポキシ基を有する(メタ)アクリル系ビニルモノマーに由来する構造単位は、一般式(1)で表される構造単位であることが好ましい。
Figure 0007318883000003
[一般式(1)において、R11は、置換基を有していてもよいアルキレン基またはアリーレン基を表す。R12は水素原子またはメチル基を表す。]
11は、炭素数が1~12のアルキレン基またはアリーレン基であることが好ましく、炭素数が1~6のアルキレン基またはアリーレン基であることがより好ましい。
前記Aブロックにおける一般式(1)で表される構造単位の含有率は、10質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましく、90質量%以下が好ましく、75質量%以下がより好ましい。
前記Aブロックは、前記式(1)で表される構造単位以外の他の構造単位を有していてもよい。Aブロックに含まれ得る他の構造単位は、式(1)で表される構造単位を形成する(メタ)アクリル系ビニルモノマー、および後述のBブロックを形成する(メタ)アクリル系ビニルモノマーの両方と共重合し得る(メタ)アクリル系ビニルモノマーにより形成されるものであれば特に制限はない。Aブロックの他の構造単位を形成し得る(メタ)アクリル系ビニルモノマーは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記Aブロック中の前記式(1)で表される構造単位以外の他の構造単位の含有率は、10質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましく、90質量%以下が好ましく、75質量%以下がより好ましい。
Aブロックの他の構造単位を形成し得る(メタ)アクリル系ビニルモノマーとしては、
後述する酸性基を有しない(メタ)アクリル系ビニルモノマー(b)と同一のものを例示することができる。これらの中でも、鎖状アルキル基(直鎖アルキル基または分岐鎖状アルキル基)を有する(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。
鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートの鎖状アルキル基としては、炭素数1~10の鎖状アルキル基であることが好ましく、炭素数1~10の直鎖アルキル基がより好ましく、炭素数1以上6未満の直鎖アルキル基が更に好ましい。鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明では、Aブロックとして、グリシジル(メタ)アクリレートの構造単位とメチル(メタ)アクリレートの構造単位とを有するブロックが好ましい。
Bブロック
前記Bブロックは、一般式(2)で表される構造単位を有するポリマーブロックである。
Figure 0007318883000004
[一般式(2)において、R21は、置換基を有していてもよい鎖状もしくは環状の炭化水素基を表す。R22は水素原子またはメチル基を表す。]
前記R21は鎖状もしくは環状の炭化水素基であり、例えば、鎖状アルキル基(直鎖アルキル基または分岐鎖状アルキル基)、環状アルキル基(単環構造)、芳香環基等を挙げることができる。R21としては、炭素数6以上12以下の炭化水素基であることが好ましく、炭素数6以上12以下の鎖状アルキル基(直鎖アルキル基または分岐鎖状アルキル基)、炭素数6以上12以下の環状アルキル基(単環構造)および炭素数6以上12以下の芳香環基よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
前記鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートの鎖状アルキル基としては、ヘキシル基(C6)、ヘプチル基(C7)、オクチル基(C8)、ノニル基(C9)、デシル基(C10)、ウンデシル基(C11)、ドデシル基(C12)等が挙げられる。
Bブロックを構成し得る鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートの具体例として、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記環状アルキル基を有する(メタ)アクリレートの環状アルキル基としては、炭素数6~12の環状アルキル基であることが好ましい。Bブロックを構成し得る環状アルキル基を有する(メタ)アクリレートの具体例としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記芳香環基を有する(メタ)アクリレートの芳香環としては、炭素数6~12の芳香環であることが好ましい。Bブロックを構成し得る芳香環基を有する(メタ)アクリレートの具体例としては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記Bブロックにおける一般式(2)で表される構造単位の含有率は、50質量%以上が好ましく、75質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、100質量%以下が好ましく、95質量%以下であることがより好ましい。前記Bブロックは、一般式(2)で表される構造単位のみからなることも好ましい。
前記Bブロックには、ブロックAが含有するエポキシ基を有する(メタ)アクリル系ビニルモノマーに由来する構造単位は、実質的に含まれないことが好ましい。
ABA型トリブロック共重合体
ABA型トリブロック共重合体におけるAブロックの含有率は、ブロック共重合体全体100質量%中において、10質量%以上が好ましく、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上であり、90質量%以下が好ましく、より好ましくは75質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。
ABA型トリブロック共重合体がAブロックとして、A1ブロックとA2ブロックを有する場合、これらの質量比(A1/A2)は、0.4以上が好ましく、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.8以上であり、2.3以下が好ましく、より好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.2以下である。
ABA型トリブロック共重合体中のAブロックとBブロックとの質量比(Aブロック/Bブロック)は、10/90以上が好ましく、より好ましくは30/70以上、さらに好ましくは50/50以上であり、90/10以下が好ましく、より好ましくは75/25以下、さらに好ましくは60/40以下である。AブロックとBブロックとの質量比が前記範囲内であれば、得られる硬化物において破壊靱性がより良好となる。
ABA型トリブロック共重合体が有するエポキシ基のモル濃度(モル/g)は、0.0005以上が好ましく、0.001以上がより好ましく、0.004以下が好ましく、0.003以下がより好ましい。エポキシ基のモル濃度(モル/g)が前記範囲であれば、得られる硬化物において相分離構造が形成されやすくなるからである。
ABA型トリブロック共重合体の分子量は、ゲルパーミエーショングラフィー(以下「GPC」という。)法により測定される。前記トリブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は30,000以上が好ましく、より好ましくは40,000以上、さらに好ましくは50,000以上であり、500,000以下が好ましく、より好ましくは300,000以下、さらに好ましくは100,000以下である。重量平均分子量が上記範囲内にあれば、得られる硬化物において破壊靱性がより良好となる。
前記ABA型トリブロック共重合体の分子量分布(PDI)は、3.0以下であることが好ましく、2.0以下であることがより好ましい。なお、本発明において、分子量分布(PDI)とは、(ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw))/(ブロック共重合体の数平均分子量(Mn))によって求められるものである。PDIが小さいほど分子量分布の幅が狭い、分子量のそろった共重合体となり、その値が1.0のとき最も分子量分布の幅が狭い。即ち、PDIの下限値は1.0である。ブロック共重合体の分子量分布(PDI)が、3.0を超えると、分子量の小さいものや、分子量の大きいものが含まれることになる。
ABA型トリブロック共重合体の製造方法
前記ABA型トリブロック共重合体の製造方法としては、(メタ)アクリル系ビニルモノマーの重合反応によって、Aブロックを製造し、AブロックにBブロックの(メタ)アクリル系ビニルモノマーを重合してABブロックを製造し、ABブロックにさらにAブロックの(メタ)アクリル系ビニルモノマーを重合してABAブロックを製造してもよく;または、ABブロックを製造した後、ABブロックのBブロック同士をカップリングさせてABAブロックを製造してもよい。
重合法は特に限定されないが、リビングラジカル重合が好ましい。すなわち、前記ブロック共重合体としては、リビングラジカル重合により重合されたものが好ましい。従来のラジカル重合法は、開始反応、成長反応だけでなく、停止反応、連鎖移動反応により成長末端の失活が起こり、様々な分子量、不均一な組成のポリマーの混合物となり易い傾向がある。これに対してリビングラジカル重合法は、従来のラジカル重合法の簡便性と汎用性を保ちながら、停止反応や、連鎖移動が起こりにくく、成長末端が失活することなく成長するため、分子量分布の精密制御、均一な組成のポリマーの製造が容易である点で好ましい。
前記ABA型ブロック共重合体をリビングラジカル重合法で製造する場合、具体的には、2つのAブロックのうち第1のブロックAを構成する(メタ)アクリル系ビニルモノマーを重合して、第1のAブロックを重合する工程と、第1のAブロックを重合した後、Bブロックを構成する(メタ)アクリル系ビニルモノマーを重合して、Bブロックを重合する工程と、Bブロックを重合した後、2つのAブロックのうちの第2のAブロックを構成する(メタ)アクリル系ビニルモノマーを重合して、第2のAブロックを重合する工程とを備えた重合方法が挙げられる。
リビングラジカル重合法には、重合成長末端を安定化させる手法の違いにより、遷移金属触媒を用いる方法(ATRP法);硫黄系の可逆的連鎖移動剤を用いる方法(RAFT法);有機テルル化合物を用いる方法(TERP法)等の方法がある。ATRP法は、アミン系錯体を使用するため、酸性基を有するビニルモノマーの酸性基を保護せず使用することができない場合がある。RAFT法は、多種のモノマーを使用した場合、低分子量分布になりづらく、かつ硫黄臭や着色等の不具合がある場合がある。これらの方法のなかでも、使用できるモノマーの多様性、高分子領域での分子量制御、均一な組成、あるいは着色の観点から、TERP法を用いることが好ましい。
TERP法とは、有機テルル化合物を連鎖移動剤として用い、ラジカル重合性化合物(ビニルモノマー)を重合させる方法であり、例えば、国際公開第2004/14848号、国際公開第2004/14962号、国際公開第2004/072126号、および国際公開第2004/096870号に記載された方法である。
((b)成分)
本発明で使用される(b)成分は、後述する(c)成分を除く(メタ)アクリル系ビニルモノマーであり、即ち、酸性基を有さない(メタ)アクリル系ビニルモノマーである。(b)成分は、単独で使用してもよいし、または、2種以上を併用してもよい。
(b)成分の具体例としては、鎖状アルキル基(直鎖アルキル基または分岐鎖アルキル基)を有する(メタ)アクリレート、環状アルキル基を有する(メタ)アクリレート、多環式構造を有する(メタ)アクリレート、芳香族基を有する(メタ)アクリレート、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート、アルコキシ基を有する(メタ)アクリレート等を挙げることができ、好ましくは、炭素数1以上6未満の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートおよび炭素数3以上6未満の分岐鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートよりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは、直鎖アルキル基の炭素数が1以上6未満である直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートである。
前記直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、直鎖アルキル基の炭素数が1~20である直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートが好ましく、直鎖アルキル基の炭素数が1以上6未満である直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートがより好ましい。前記直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレート、n-ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記分岐鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、分岐鎖アルキル基の炭素数が3~20である分岐鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートが好ましく、分岐鎖アルキル基の炭素数が3以上6未満である分岐鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートが好ましい。前記分岐鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記環状アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、環状アルキル基の炭素数が6~12の環状アルキル基を有する(メタ)アクリレートであることが好ましい。環状アルキル基としては、単環構造を有する環状アルキル基(例えば、シクロアルキル基)が挙げられる。単環構造の環状アルキル基を有する(メタ)アクリレートの具体例としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記多環式構造を有する(メタ)アクリレートとしては、多環式構造の炭素数が6~12の多環式構造を有する(メタ)アクリレートであることが好ましい。多環式構造としては、橋かけ環構造を有する環状アルキル基(例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基)が挙げられる。多環式構造を有する(メタ)アクリレートの具体例としては、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記芳香族基を有する(メタ)アクリレートとしては、芳香族基の炭素数が6~12の芳香族基を有する(メタ)アクリレートであることが好ましい。芳香族基としては、アリール基、アルキルアリール基、アラルキル基、アリールオキシ基、アリールオキシアルキル基、アルキルアリールオキシ基、アラルキルオキシ基等が挙げられ、特にフェニル基、ベンジル基、トリル基、フェノキシエチル基が好ましい。芳香族基を有する(メタ)アクリレートの具体例としては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12-ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記アルコキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(b)成分の配合量は、高温時の接着強度の点から、(a)~(c)成分の合計100質量%に対して50質量%~99質量%が好ましく、70質量%~95質量%がより好ましい。
((c)成分)
本発明で使用される(c)成分は、酸性基を有する(メタ)アクリル系ビニルモノマーである。前記酸性基としては、カルボキシ基(-COOH)、スルホン酸基(-SOH)、リン酸基(-OPO)、ホスホン酸基(-PO)、ホスフィン酸基(-PO)が挙げられ、好ましくはカルボキシ基(-COOH)である。(c)成分は、単独で又は2種以上を併せて使用することができる。
(c)成分の酸性基は、本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物を硬化する際に、(a)ABA型ブロック共重合体が有するエポキシ基と反応し、得られる硬化物に相分離構造が形成されやすくなると考えられる。
(c)成分の具体例としては、(メタ)アクリル酸;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸等の酸無水物を反応させたモノマー等のカルボキシ基を有する(メタ)アクリレート;スルホン酸エチル(メタ)アクリレート等のスルホン酸基を有する(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸2-(ホスホノオキシ)エチル等のリン酸基を有する(メタ)アクリレート等を挙げることでき、好ましくは(メタ)アクリル酸、カルボキシ基を有する(メタ)アクリレートおよびリン酸基を有する(メタ)アクリレートよりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは(メタ)アクリル酸である。
((d)硬化剤)
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、(d)硬化剤(以下、「(d)成分」という場合がある)を含有することが好ましい。(d)硬化剤としては、有機過酸化物が好ましい。(d)硬化剤は、加熱によりラジカルを発生し、(b)成分および(c)成分の重合反応を開始する。(d)成分の具体例としては、クメンハイドロパーオキサイド、p-メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、t-ヘキシルハイドロパーオキサイド、t-アミルハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
((e)還元剤)
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、(e)還元剤(以下、「(e)成分」という場合がある)を含有することが好ましい。(d)硬化剤と(e)還元剤とを組み合わせて使用することにより、低温から常温でラジカルが発生する。(d)成分と(e)成分とを併用することにより、本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物を常温硬化することができる。
(e)成分としては、遷移金属塩、チオ尿素化合物等が挙げられる。遷移金属塩の具体例としては、バナジルアセチルアセトネート、バナジウムアセチルアセトネート、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト等が挙げられる。チオ尿素化合物の具体例としては、チオ尿素、エチレンチオ尿素、N,N’-ジメチルチオ尿素、N,N’-ジエチルチオ尿素、N,N’-ジプロピルチオ尿素、N,N’-ジ-n-ブチルチオ尿素、N,N’-ジラウリルチオ尿素、N,N’-ジフェニルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、1-アセチル-2-チオ尿素、1-ベンゾイル-2-チオ尿素等が挙げられる。
(その他の成分)
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を含んでもよい。その他の成分の具体例としては、ビニル系モノマー等の(メタ)アクリル系以外のラジカル重合性単量体、各種添加剤(酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、消泡剤、重合禁止剤、無機微粒子等)が挙げられる。また、硬化時間の短縮化のために、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジイソプロピル-p-トルイジン、N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)-p-トルイジン等の第3級アミン化合物、トリフェニルフォスフィン等のリン化合物等を加えても良い。さらに、硬化物の強度をより向上するために、熱重合開始剤((d)成分以外の過酸化物、アゾ化合物等)、光重合開始剤(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等)を加えてもよい。
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物において、(a)成分の配合量は(a)~(c)成分の合計100質量%に対して、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。(a)成分の配合量を、0.1質量%~20質量%とすることで、得られる硬化物において、硬化物の特性を損なうことなく破壊靱性が良好となるからである。
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物において、(b)成分と(c)成分との比率は、モル比((b)/(c))で80/20以上が好ましく、90/10以上がより好ましく、99/1以下が好ましく、98/2以下がより好ましい。(b)成分と(c)成分との比率を前記範囲とすることにより、得られる硬化物において相分離構造が形成されやすくなるからである。
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物において、(c)成分が有する酸性基のモル数に対する(a)成分が有するエポキシ基のモル数の比(エポキシ基/酸性基)は、0.1以上が好ましく、0.15以上がより好ましく、0.6以下が好ましく、0.5以下がより好ましい。(c)成分の酸性基のモル数に対する(a)成分のエポキシ基のモル数の比(エポキシ基/酸性基)が、前記範囲内であれば、得られる硬化物において、相分離構造が形成されやすくなる。
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物において、(d)成分の配合量は、(b)~(c)成分の合計量を100質量部としたとき、0.001質量部以上が好ましく、0.002質量部以上がより好ましく、10質量部以下が好ましく、1質量部以下がより好ましい。(d)成分の配合量が、前記範囲内であれば、硬化反応を効率的に行うことができ、得られる硬化物の破壊靭性が向上する。
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物において、(e)成分の配合量は、(b)~(c)成分の合計量を100質量部としたとき、0.001質量部以上が好ましく、0.002質量部以上がより好ましく、10質量部以下が好ましく、1質量部以下がより好ましい。(e)成分の配合量が、前記範囲内であれば、硬化反応を効率的に行うことができ、得られる硬化物の破壊靭性が向上する。
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物において、その他の成分の含有量は特に限定されないが、(a)~(c)成分の合計100質量部に対して、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
((メタ)アクリル系樹脂組成物の製造方法)
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物が、(a)~(e)成分を含む場合、(d)成分と(e)成分が混合しないように分離した二剤の状態で製造されることが好ましい。(d)成分と(e)成分とを混合しないようにしておくことにより、(メタ)アクリル系樹脂組成物が常温硬化することを防止することができる。具体的には、(a)~(c)成分に(d)成分を配合した第一剤と、(a)~(c)成分に(e)成分を配合した第二剤から成る二剤型、或いは、(a)~(c)成分に(e)成分を配合した第一剤と、(d)成分からなる第二剤から成る二剤型等が挙げられる。
本発明の(メタ)アクリル系樹脂剤組成物の製造方法としては、まず、(a)~(c)成分を混合し撹拌して、abc混合液を製造する。(a)~(c)成分を加温しながら混合することも好ましい。(a)~(c)成分を混合する温度は、例えば、40℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、120℃以下が好ましく、110℃以下がより好ましい。また、撹拌時間は、特に限定されないが、1分間以上が好ましく、180分間以下が好ましい。
(a)~(c)成分の混合は、(b)成分および(c)成分である液状の(メタ)アクリル系ビニルモノマーに、ABA型ブロック共重合体(a)を溶解あるいは微細に分散させるまで行うことが好ましい。ABA型ブロック共重合体(a)が溶解あるいは微細に分散したのち、abc混合液を常温まで冷却する。(a)~(c)成分をプラネタリーミキサー等でせん断力を加えることで相溶してabc混合液を製造してもよい。次いで、常温に冷却したabc混合液を二つに分け、一方には(d)成分を混合して第一剤を製造し、他方には(e)成分を配合して第二剤を製造する。
<硬化物>
本発明の硬化物は、本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物を硬化することにより得られる。硬化反応は、例えば、(a)成分~(c)成分の混合物に(d)硬化剤を加えて、加熱硬化する方法、あるいは、(d)硬化剤と(e)還元剤とを併用して常温硬化する方法が挙げられる。
(d)硬化剤と(e)還元剤とを併用する方法では、例えば、(d)成分を含有する前記一剤と(e)成分を含有する前記二剤とを混合し、(メタ)アクリル系樹脂組成物を常温硬化させる。第一剤と第二剤とを混合すると、第一剤に含まれる(d)成分と第二剤に含まれる(e)成分とが、酸化還元反応によりラジカルを生成する。ラジカルが生成することにより、(b)成分と(c)成分との重合反応が進行し、硬化物が得られる。硬化反応は、常温で行うことができるが、必要に応じて、加熱をして硬化反応を促進してもよい。
本発明の硬化物は、(b)成分と(c)成分とが重合してなる(メタ)アクリル系樹脂に、(a)成分が相分離した構造を有することが好ましい。このような相分離構造を有することにより、得られる硬化物の破壊靭性が高くなると考えられる。前記相分離構造としては、例えば、(b)成分と(c)成分とが重合してなる(メタ)アクリル系樹脂(マトリックス樹脂)に、サブミクロン~ミクロンサイズの球状の(a)成分が分離したマクロ相分離構造、或いは、(b)成分と(c)成分とが重合してなる(メタ)アクリル系樹脂(マトリックス樹脂)に、数十ナノメートルサイズの線状の(a)成分が分離したミクロ相分離構造が観察されている。
本発明の硬化性(メタ)アクリル系樹脂組成物は、常温硬化できることから、接着剤として好適に使用することができる。具体的には、構造部材の接着剤、自動車部品の接着剤、電気電子部品の接着剤、フラットパネルディスプレイの接着剤等に好適に用いられる。
本発明には、2以上の被着体が本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物の硬化物により接着されていることを特徴とする接着体が含まれる。接着体は、例えば、2つの被着体の一方に二剤を混合したものを塗布して他方に貼り合せる接着方法や、二剤を別々に塗布した被接着体同士を貼り合わせる接着方法等で製造することができる。
以下、本発明について、具体的な実施例に基づいて、さらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
[評価方法]
(重合率)
核磁気共鳴(NMR)測定装置(Bruker社製、型式:AVANCE500(周波数500MHz))を用いて、1H-NMRを測定(溶媒:重水素化クロロホルム、内部標準:テトラメチルシラン)した。得られたNMRスペクトルについて、モノマー由来のビニル基と、ポリマー由来のエステル側鎖のピークの積分比を求め、モノマーの重合率を算出した。
(重量平均分子量(Mw)および分子量分布(PDI))
高速液体クロマトグラフ(東ソー製、型式:HLC-8320)を用いて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めた。カラムはTSKgel SuperMultipore HZ-H(Φ4.6×150,TOSOH Co.Tokyo,Japan)(東ソー社製)を2本、移動相にテトラヒドロフラン、検出器に示差屈折計を使用した。測定条件は、カラム温度を40℃、試料濃度を10mg/mL、試料注入量を10μL、流速を0.35mL/minとした。標準物質としてポリスチレン(分子量2,890,000、1,090,000、706,000、427,000、190,000、96,400、37,900、10,200、2,630、440)を使用して検量線(校正曲線)を作成し、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を測定した。これらの測定値から分子量分布(PDI=Mw/Mn)を算出した。
本発明の実験例で使用する原料の略語は、以下の通りである。
MMA:メチルメタクリレート
GMA:グリシジルメタクリレート
LMA:ラウリルメタクリレート(ドデシルメタクリレート)
BTEE:エチル-2-メチル-2-n-ブチルテラニル-プロピオネート
DBDT:ジブチルジテルリド
ADVN:2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル
PMA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
MeOH:メタノール
<ABA型ブロック共重合体の製造>
(合成例1):リビングラジカル重合によるABA型ブロック共重合体No.1の合成
アルゴン置換された撹拌機付き500mL反応器中に、予めアルゴン置換したGMA40.00g、MMA16.00g、BTEE0.960g、DBDT0.590g、ADVN0.159g、PMA104.00gを仕込み、50℃で24時間反応させた。重合率は97%であった。
この反応液に、予めアルゴン置換したLMA9.60g、トルエン17.60g、ADVN0.037gを加え、50℃で1時間反応させた。次に、予めアルゴン置換したLMA19.20g、トルエン5.60gを追加で加え、50℃で1時間反応させた。次に、予めアルゴン置換したLMA67.20g、トルエン100.80g、ADVN0.159gを追加で加え、50℃で40時間反応させた。重合率は96%であった。
この反応液に、予めアルゴン置換したGMA40.00g、MMA16.00g、PMA30.00g、ADVN0.159gを加え、50℃で24時間反応させた。重合率は96%であった。また、反応液に残存していた重合1段目、2段目のモノマーも重合し、これらの反応液に残存していた重合1段目、2段目のモノマーの重合率は100%であった。
反応終了後、反応液をトルエンで希釈し、撹拌下のメタノール中に注いだ。析出したポリマーを吸引濾過、乾燥し、ABA型ブロック共重合体No.1を得た。ABA型ブロック共重合体No.1のMwは86,565であり、PDIは1.73だった。
(合成例2):リビングラジカル重合によるABA型ブロック共重合体No.2の合成
アルゴン置換された撹拌機付き500mL反応器中に、予めアルゴン置換したGMA16.00g、MMA40.00g、BTEE0.960g、DBDT0.590g、ADVN0.159g、PMA104.00gを仕込み、50℃で24時間反応させた。重合率は97%であった。
この反応液に、予めアルゴン置換したLMA9.60g、トルエン17.60g、ADVN0.037gを加え、50℃で1時間反応させた。次に、予めアルゴン置換したLMA19.20g、トルエン5.60gを追加で加え、50℃で1時間反応させた。次に、予めアルゴン置換したLMA67.20g、トルエン100.80g、ADVN0.159gを追加で加え、50℃で40時間反応させた。重合率は96%であった。
この反応液に、予めアルゴン置換したGMA16.00g、MMA40.00g、PMA30.00g、ADVN0.159gとを加え、50℃で24時間反応させた。重合率は96%であった。また、反応液に残存していた重合1段目、2段目のモノマーも重合し、これらの反応液に残存していた重合1段目、2段目のモノマーの重合率は100%であった。反応終了後、反応液をトルエンで希釈し、撹拌下のメタノール中に注いだ。析出したポリマーを吸引濾過、乾燥し、ABA型ブロック共重合体No.2を得た。ABA型ブロック共重合体No.2のMwは63,123であり、PDIは1.50だった。
ABA型ブロック共重合体No.1~No.2の製造条件および性状を表1に示した。
Figure 0007318883000005
<硬化性(メタ)アクリル系樹脂組成物の製造>
(b)成分として、メチルメタクリレート(MMA)と(c)成分として、メタクリル酸(MAA)を用い、モル比でMMA:MAA=97:3となるように混合して、メタクリレートモノマー混合液を得た。このメタクリレートモノマー混合液に対し、上記で得られたABA型ブロック共重合体(a)を添加し、23℃で2時間撹拌した。なお、メタクリレートモノマー混合液とABAブロック型共重合体の配合比は、メタクリレートモノマー混合液:ABAブロック型共重合体=95:5(質量比)とした。ABA型ブロック共重合体(a)がメタクリレートモノマー混合液に溶解したのを確認し、常温まで冷却し、(a)成分~(c)成分を混合したabc混合液を得た。
上記で得られたabc溶液を二つに分け、一方には、(d)成分として、クメンヒドロパーオキシドを添加し第一剤を調製した。他方には、(e)成分として、トリメチルチオ尿素を添加し、第二剤を調製した。(d)成分の添加量は、(b)~(c)成分の合計量100質量部に対して0.005質量部とした。(e)成分の添加量は、(b)~(c)成分の合計量100質量部に対して0.011質量部とした。
得られた第一剤と第二剤とを質量比で1:1となるように配合して、(メタ)アクリル系樹脂組成物No.1~No.2を調製した。なお、比較として、ABA型ブロック共重合体を配合しない(メタ)アクリル系樹脂組成物No.3を調製した。(メタ)アクリル系樹脂組成物No.1~No.3の組成を表2に示した。
Figure 0007318883000006
<破壊靱性試験>
得られた(メタ)アクリル系樹脂組成物No.1~No.3を型に流し込み、常温(23℃)で硬化させて破壊靱性試験用の試験体を成形した。破壊靱性試験は、ASTM D5045-93に準じて行った。結果を表3および図1に示した。KIcは、亀裂進行抵抗を意味する破壊靱性であり、値が大きくなるほど破壊靭性が高いことを意味する。図1の結果より、本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物No.1~No.2は、すぐれた破壊靭性を有していることが分かる。
Figure 0007318883000007
<接着強度試験>
(メタ)アクリル系樹脂組成物No.1~No.3をアルミ板(200mm×25mm×0.5mm)に塗布し、2枚のアルミ板を貼り合せた。接着層には、120μmのスペーサを挟んだ。塗布後、室温(23℃)で8時間静置し、60℃で4時間処理して(メタ)アクリル系樹脂組成物No.1~No.3の硬化反応を行いT型剥離試験用の試験片を作製した。島津製作所社製力学試験機オートグラフAGS-Jを用いて、ヘッドスピード100mm/分の条件でT型剥離試験を行った。T型剥離接着強力の結果を表4および図2に示した。図2の結果より、本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物No.1~No.2は、優れた接着強度を示すことが分かる。
Figure 0007318883000008

Claims (13)

  1. エポキシ基を有する(メタ)アクリル系ビニルモノマーに由来する構造単位を有するAブロックと、一般式(2)で表される構造単位を有するBブロックとを含有するABA型トリブロック共重合体(a)、
    Figure 0007318883000009
    [一般式(2)において、R21、鎖状もしくは環状の炭素数が6以上12以下の炭化水素基を表す。R22は水素原子またはメチル基を表す。]
    酸性基を有さない(メタ)アクリル系ビニルモノマー(b)、および
    酸性基を有する(メタ)アクリル系ビニルモノマー(c)を含有し、
    前記(b)成分と前記(c)成分との比率は、モル比((b)/(c))で80/20以上、99/1以下であり、
    前記ABA型トリブロック共重合体が有するエポキシ基のモル濃度(モル/g)は、0.0005以上、0.004以下であり、
    前記(c)成分が有する酸性基のモル数に対する前記(a)成分が有するエポキシ基のモル数の比(エポキシ基/酸性基)は、0.1以上、0.6以下であることを特徴とする(メタ)アクリル系樹脂組成物。
  2. 硬化剤(d)を含有する請求項1に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
  3. 還元剤(e)を含有する請求項1または2に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
  4. 第一剤および第二剤とからなり、
    第一剤は、前記ABA型トリブロック共重合体(a)、
    前記酸性基を有さない(メタ)アクリル系ビニルモノマー(b)、
    前記酸性基を有する(メタ)アクリル系ビニルモノマー(c)、および
    (d)硬化剤を含有し、
    第二剤は、前記ABA型トリブロック共重合体(a)、
    前記酸性基を有さない(メタ)アクリル系ビニルモノマー(b)、
    前記酸性基を有する(メタ)アクリル系ビニルモノマー(c)、および
    (e)還元剤を含有する請求項1に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
  5. 前記Bブロックにおける一般式(2)で表される構造単位の含有率が、50質量%~100質量%である請求項1~4のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
  6. 前記Aブロックにおけるエポキシ基を有する(メタ)アクリル系ビニルモノマーに由来する構造単位の含有率が、10質量%~90質量%である請求項1~5のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
  7. 前記Aブロックにおけるエポキシ基を有する(メタ)アクリル系ビニルモノマーに由来する構造単位が、一般式(1)で表される構造単位である請求項1~6のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
    Figure 0007318883000010
    [一般式(1)において、R11は、置換基を有していてもよいアルキレン基またはアリーレン基を表す。R12は水素原子またはメチル基を表す。]
  8. 前記ABA型トリブロック共重合体(a)中のAブロックとBブロックとの質量比(Aブロック/Bブロック)が10/90~90/10である請求項1~7のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
  9. 前記ABA型トリブロック共重合体(a)の分子量分布(PDI)が1.0~3.0である請求項1~8のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
  10. 前記酸性基を有さない(メタ)アクリル系ビニルモノマー(b)が、炭素数1以上6未満の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートおよび炭素数3以上6未満の分岐鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートよりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1~9のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
  11. 酸性基を有する(メタ)アクリル系ビニルモノマー(c)が、(メタ)アクリル酸である請求項1~10のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
  12. 請求項1~11のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物の硬化物。
  13. 2以上の被着体が請求項12に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物の硬化物により接着されていることを特徴とする接着体。
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