JP7318883B2 - (メタ)アクリル系樹脂組成物 - Google Patents
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Description
(式中、Raは水素原子又は炭素数1~20の有機基を表わす)で表される基を1分子あたり2個以上有し、かつ、そのうち分子末端に前記一般式(1)で表される基を1個以上有するビニル系重合体、(B)レドックス系開始剤を含有してなる接着剤組成物が開示されている。
酸性基を有さない(メタ)アクリル系ビニルモノマー(b)、および、
酸性基を有する(メタ)アクリル系ビニルモノマー(c)を含有することを特徴とする。
酸性基を有さない(メタ)アクリル系ビニルモノマー(b)、および、
酸性基を有する(メタ)アクリル系ビニルモノマー(c)を含有することを特徴とする。
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、エポキシ基を有する(メタ)アクリル系ビニルモノマーに由来する構造単位を有するAブロックと、一般式(2)で表される構造単位を有するBブロックとを含有するABA型トリブロック共重合体(a)(以下「(a)成分」という)、酸性基を有さない(メタ)アクリル系ビニルモノマー(b)(以下「(b)成分」という)、酸性基を有する(メタ)アクリル系ビニルモノマー(c)(以下「(c)成分」という)を含有する。
本発明で使用される(a)成分は、エポキシ基を有する(メタ)アクリル系ビニルモノマーに由来する構造単位を有するAブロックと、一般式(2)で表される構造単位を有するBブロックとを含有するABA型トリブロック共重合体である。前記(a)成分は、本発明の硬化物に強靭性を付与すると考えられる。
前記Aブロックを構成するエポキシ基を有する(メタ)アクリル系ビニルモノマーは、(メタ)アクリロイル基とエポキシ基とを有する化合物であれば特に限定されない。(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基(CH2=CHCO-)もしくはメタクリロイル基(CH2=C(CH3)CO-)、あるいは、アクリロイル基とメタクリロイル基の両方を意味する。
後述する酸性基を有しない(メタ)アクリル系ビニルモノマー(b)と同一のものを例示することができる。これらの中でも、鎖状アルキル基(直鎖アルキル基または分岐鎖状アルキル基)を有する(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。
前記Bブロックは、一般式(2)で表される構造単位を有するポリマーブロックである。
ABA型トリブロック共重合体におけるAブロックの含有率は、ブロック共重合体全体100質量%中において、10質量%以上が好ましく、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上であり、90質量%以下が好ましく、より好ましくは75質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。
前記ABA型トリブロック共重合体の製造方法としては、(メタ)アクリル系ビニルモノマーの重合反応によって、Aブロックを製造し、AブロックにBブロックの(メタ)アクリル系ビニルモノマーを重合してABブロックを製造し、ABブロックにさらにAブロックの(メタ)アクリル系ビニルモノマーを重合してABAブロックを製造してもよく;または、ABブロックを製造した後、ABブロックのBブロック同士をカップリングさせてABAブロックを製造してもよい。
本発明で使用される(b)成分は、後述する(c)成分を除く(メタ)アクリル系ビニルモノマーであり、即ち、酸性基を有さない(メタ)アクリル系ビニルモノマーである。(b)成分は、単独で使用してもよいし、または、2種以上を併用してもよい。
本発明で使用される(c)成分は、酸性基を有する(メタ)アクリル系ビニルモノマーである。前記酸性基としては、カルボキシ基(-COOH)、スルホン酸基(-SO3H)、リン酸基(-OPO3H2)、ホスホン酸基(-PO3H2)、ホスフィン酸基(-PO2H2)が挙げられ、好ましくはカルボキシ基(-COOH)である。(c)成分は、単独で又は2種以上を併せて使用することができる。
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、(d)硬化剤(以下、「(d)成分」という場合がある)を含有することが好ましい。(d)硬化剤としては、有機過酸化物が好ましい。(d)硬化剤は、加熱によりラジカルを発生し、(b)成分および(c)成分の重合反応を開始する。(d)成分の具体例としては、クメンハイドロパーオキサイド、p-メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、t-ヘキシルハイドロパーオキサイド、t-アミルハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、(e)還元剤(以下、「(e)成分」という場合がある)を含有することが好ましい。(d)硬化剤と(e)還元剤とを組み合わせて使用することにより、低温から常温でラジカルが発生する。(d)成分と(e)成分とを併用することにより、本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物を常温硬化することができる。
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を含んでもよい。その他の成分の具体例としては、ビニル系モノマー等の(メタ)アクリル系以外のラジカル重合性単量体、各種添加剤(酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、消泡剤、重合禁止剤、無機微粒子等)が挙げられる。また、硬化時間の短縮化のために、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジイソプロピル-p-トルイジン、N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)-p-トルイジン等の第3級アミン化合物、トリフェニルフォスフィン等のリン化合物等を加えても良い。さらに、硬化物の強度をより向上するために、熱重合開始剤((d)成分以外の過酸化物、アゾ化合物等)、光重合開始剤(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等)を加えてもよい。
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物が、(a)~(e)成分を含む場合、(d)成分と(e)成分が混合しないように分離した二剤の状態で製造されることが好ましい。(d)成分と(e)成分とを混合しないようにしておくことにより、(メタ)アクリル系樹脂組成物が常温硬化することを防止することができる。具体的には、(a)~(c)成分に(d)成分を配合した第一剤と、(a)~(c)成分に(e)成分を配合した第二剤から成る二剤型、或いは、(a)~(c)成分に(e)成分を配合した第一剤と、(d)成分からなる第二剤から成る二剤型等が挙げられる。
本発明の硬化物は、本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物を硬化することにより得られる。硬化反応は、例えば、(a)成分~(c)成分の混合物に(d)硬化剤を加えて、加熱硬化する方法、あるいは、(d)硬化剤と(e)還元剤とを併用して常温硬化する方法が挙げられる。
(重合率)
核磁気共鳴(NMR)測定装置(Bruker社製、型式:AVANCE500(周波数500MHz))を用いて、1H-NMRを測定(溶媒:重水素化クロロホルム、内部標準:テトラメチルシラン)した。得られたNMRスペクトルについて、モノマー由来のビニル基と、ポリマー由来のエステル側鎖のピークの積分比を求め、モノマーの重合率を算出した。
高速液体クロマトグラフ(東ソー製、型式:HLC-8320)を用いて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めた。カラムはTSKgel SuperMultipore HZ-H(Φ4.6×150,TOSOH Co.Tokyo,Japan)(東ソー社製)を2本、移動相にテトラヒドロフラン、検出器に示差屈折計を使用した。測定条件は、カラム温度を40℃、試料濃度を10mg/mL、試料注入量を10μL、流速を0.35mL/minとした。標準物質としてポリスチレン(分子量2,890,000、1,090,000、706,000、427,000、190,000、96,400、37,900、10,200、2,630、440)を使用して検量線(校正曲線)を作成し、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を測定した。これらの測定値から分子量分布(PDI=Mw/Mn)を算出した。
MMA:メチルメタクリレート
GMA:グリシジルメタクリレート
LMA:ラウリルメタクリレート(ドデシルメタクリレート)
BTEE:エチル-2-メチル-2-n-ブチルテラニル-プロピオネート
DBDT:ジブチルジテルリド
ADVN:2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル
PMA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
MeOH:メタノール
(合成例1):リビングラジカル重合によるABA型ブロック共重合体No.1の合成
アルゴン置換された撹拌機付き500mL反応器中に、予めアルゴン置換したGMA40.00g、MMA16.00g、BTEE0.960g、DBDT0.590g、ADVN0.159g、PMA104.00gを仕込み、50℃で24時間反応させた。重合率は97%であった。
アルゴン置換された撹拌機付き500mL反応器中に、予めアルゴン置換したGMA16.00g、MMA40.00g、BTEE0.960g、DBDT0.590g、ADVN0.159g、PMA104.00gを仕込み、50℃で24時間反応させた。重合率は97%であった。
(b)成分として、メチルメタクリレート(MMA)と(c)成分として、メタクリル酸(MAA)を用い、モル比でMMA:MAA=97:3となるように混合して、メタクリレートモノマー混合液を得た。このメタクリレートモノマー混合液に対し、上記で得られたABA型ブロック共重合体(a)を添加し、23℃で2時間撹拌した。なお、メタクリレートモノマー混合液とABAブロック型共重合体の配合比は、メタクリレートモノマー混合液:ABAブロック型共重合体=95:5(質量比)とした。ABA型ブロック共重合体(a)がメタクリレートモノマー混合液に溶解したのを確認し、常温まで冷却し、(a)成分~(c)成分を混合したabc混合液を得た。
得られた(メタ)アクリル系樹脂組成物No.1~No.3を型に流し込み、常温(23℃)で硬化させて破壊靱性試験用の試験体を成形した。破壊靱性試験は、ASTM D5045-93に準じて行った。結果を表3および図1に示した。KIcは、亀裂進行抵抗を意味する破壊靱性であり、値が大きくなるほど破壊靭性が高いことを意味する。図1の結果より、本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物No.1~No.2は、すぐれた破壊靭性を有していることが分かる。
(メタ)アクリル系樹脂組成物No.1~No.3をアルミ板(200mm×25mm×0.5mm)に塗布し、2枚のアルミ板を貼り合せた。接着層には、120μmのスペーサを挟んだ。塗布後、室温(23℃)で8時間静置し、60℃で4時間処理して(メタ)アクリル系樹脂組成物No.1~No.3の硬化反応を行いT型剥離試験用の試験片を作製した。島津製作所社製力学試験機オートグラフAGS-Jを用いて、ヘッドスピード100mm/分の条件でT型剥離試験を行った。T型剥離接着強力の結果を表4および図2に示した。図2の結果より、本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物No.1~No.2は、優れた接着強度を示すことが分かる。
Claims (13)
- エポキシ基を有する(メタ)アクリル系ビニルモノマーに由来する構造単位を有するAブロックと、一般式(2)で表される構造単位を有するBブロックとを含有するABA型トリブロック共重合体(a)、
酸性基を有さない(メタ)アクリル系ビニルモノマー(b)、および
酸性基を有する(メタ)アクリル系ビニルモノマー(c)を含有し、
前記(b)成分と前記(c)成分との比率は、モル比((b)/(c))で80/20以上、99/1以下であり、
前記ABA型トリブロック共重合体が有するエポキシ基のモル濃度(モル/g)は、0.0005以上、0.004以下であり、
前記(c)成分が有する酸性基のモル数に対する前記(a)成分が有するエポキシ基のモル数の比(エポキシ基/酸性基)は、0.1以上、0.6以下であることを特徴とする(メタ)アクリル系樹脂組成物。 - 硬化剤(d)を含有する請求項1に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
- 還元剤(e)を含有する請求項1または2に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
- 第一剤および第二剤とからなり、
第一剤は、前記ABA型トリブロック共重合体(a)、
前記酸性基を有さない(メタ)アクリル系ビニルモノマー(b)、
前記酸性基を有する(メタ)アクリル系ビニルモノマー(c)、および
(d)硬化剤を含有し、
第二剤は、前記ABA型トリブロック共重合体(a)、
前記酸性基を有さない(メタ)アクリル系ビニルモノマー(b)、
前記酸性基を有する(メタ)アクリル系ビニルモノマー(c)、および
(e)還元剤を含有する請求項1に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。 - 前記Bブロックにおける一般式(2)で表される構造単位の含有率が、50質量%~100質量%である請求項1~4のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
- 前記Aブロックにおけるエポキシ基を有する(メタ)アクリル系ビニルモノマーに由来する構造単位の含有率が、10質量%~90質量%である請求項1~5のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
- 前記ABA型トリブロック共重合体(a)中のAブロックとBブロックとの質量比(Aブロック/Bブロック)が10/90~90/10である請求項1~7のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
- 前記ABA型トリブロック共重合体(a)の分子量分布(PDI)が1.0~3.0である請求項1~8のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
- 前記酸性基を有さない(メタ)アクリル系ビニルモノマー(b)が、炭素数1以上6未満の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートおよび炭素数3以上6未満の分岐鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートよりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1~9のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
- 酸性基を有する(メタ)アクリル系ビニルモノマー(c)が、(メタ)アクリル酸である請求項1~10のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
- 請求項1~11のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物の硬化物。
- 2以上の被着体が請求項12に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物の硬化物により接着されていることを特徴とする接着体。
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