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JP7318608B2 - 放電イオン化検出器 - Google Patents

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Description

本発明は、放電イオン化検出器に関する。
近年、ガスクロマトグラフ(GC)用の新しい検出器として誘電体バリア放電プラズマによるイオン化を利用した誘電体バリア放電イオン化検出器(Dielectric Barrier Discharge Ionization Detector、以下「BID」と略す)が実用化されている(特許文献1、非特許文献1など参照)。
BIDでは、誘電体である石英ガラス製の管路に周設された放電用電極に低周波の交流高電圧を印加することで、該管路中に供給された不活性ガス(例えば、ヘリウム又はアルゴンなど)を電離して非平衡大気圧プラズマを形成する。そして、主として、このプラズマから発する光の作用により、その管路中に導入された試料ガスに含まれる試料成分をイオン化し、生成されたイオンを収集電極により収集して、イオンの量つまりは試料成分の量に応じた検出信号を生成する。なお、一般に放電イオン化検出器における試料成分のイオン化のメカニズムは、プラズマから照射される高エネルギーの真空紫外光による光イオン化と、プラズマによって生成された準安定原子によるペニングイオン化とであると言われているが、非特許文献1に記載されているように、BIDにおいては、真空紫外光による光イオン化が試料成分のイオン化に主として寄与していることが実験的に確認されている。
国際公開第2012/169419号公報 特開2016-217926号公報
品田ほか4名、「誘電体バリア放電を応用したガスクロマトグラフ用新規イオン化検出器の開発」、島津評論、第69巻、第3・4号、2013年3月29日発行
上述したBIDでは一般に、管路中に試料ガスを供給しない状態、つまりは管路中にプラズマ生成用の不活性ガス(以下、「プラズマ生成用ガス」とよぶ)及び試料導入用のキャリアガスのみが流れている状態であっても、ベースライン電流やバックグラウンド電流とよばれる定常的な電流(以下、この電流を「ベースライン電流」という)が検出される。このベースライン電流が変動すると検出信号におけるノイズやドリフトの大きな要因となるため、ベースライン電流は極力小さいことが望ましい。
ベースライン電流が発生する原因は様々であるが、He(ヘリウム)をプラズマ生成用ガスとして用いたBIDでは、上述したようにHeプラズマの光エネルギーが高く殆どの化合物をイオン化することができるために、プラズマ生成用ガスやキャリアガスに含まれる微量な不純物をもイオン化してしまい、それによって流れるイオン電流がベースライン電流の主たる原因である。そこで、ベースライン電流を低減するには、純度の高いHeをプラズマ生成用ガスやキャリアガスとして用いることが有効である。また、放電用電極の表面を被覆している誘電体から放出されるH(水素)やO(酸素)がベースライン電流の原因である不純物の一つであることから、特許文献1に記載のBIDでは、誘電体として水酸基含有量の少ない材料を選定している。さらに、収集電極とバイアス電極を隔てる絶縁体を高抵抗の材料とすることで、絶縁体を通してバイアス電極から収集電極に直接流入するリーク電流を抑制し、ベースライン電流の低減を図ることも行われている。
一方、Ar(アルゴン)プラズマの光エネルギーはHeプラズマのそれに比べてかなり低いため、Arをプラズマ生成用ガスとして用いたBIDでは、ガス中の不純物のイオン化の程度は小さく、そのイオン電流の影響はかなり小さいと推測される。しかしながら、現実には、Arをプラズマ生成用ガスとして用いたBIDにおいても、検出器感度に比べて無視できない程度のベースライン電流が観測され、これが検出信号のSN比の向上と検出下限の改善を阻む一因となっている。この原因は,バイアス電極と収集電極を隔てる絶縁体の表面抵抗が,放電光によって低下して生じる表面リーク電流と考えられる。そこで、流路の一部を狭めて絶縁体表面に照射される放電光を一部遮光するという工夫(特許文献2)や、バイアス電極と収集電極の間に接地された電極を挿入して表面リーク電流を吸収させるという工夫によって、低いベースライン電流を実現している。
しかし、このように低いベースライン電流を実現した検出器において、図7に示すような異常なピーク出力が観測される場合があった。同図の例では、試料成分に由来する正常なピークである正のピークが出た後に、異常な負のピーク(負出力)が出ている。こうした負出力は、Heをプラズマ生成用ガスとして用いた場合でもわずかに発生するが、特に、Arをプラズマ生成用ガスとして用いた場合に顕著に表れる。このような負出力は、特に低濃度試料に対する小さなピークでは相対的に無視できない大きさとなり、ピーク面積の再現性を低下させて検出器性能の低下につながる。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、放電イオン化検出器におけるピーク出力の異常を抑制することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、収集電極に電圧を印加することでピーク出力の異常を抑制できることを見出し、本願発明に至った。
すなわち、上記課題を解決するために成された本発明に係る放電イオン化検出器は、
放電用ガスが流通するガス流路と、
前記ガス流路中に放電を生起させ、該放電により前記放電用ガスから前記ガス流路にプラズマを生成するプラズマ生成用電極と、
前記ガス流路に試料ガスを導入する試料ガス導入部と、
前記ガス流路に設けられ、前記プラズマの作用によって前記試料ガス中の試料成分から生成された荷電粒子を収集する収集電極と、
前記プラズマ生成用電極と前記収集電極との間に配置され、前記荷電粒子を前記収集電極に導く電場を前記ガス流路中に形成するバイアス電極と、
前記バイアス電極に印加されるバイアス電極電圧と、前記収集電極に印加される収集電極電圧とを、それぞれ独立に変更可能な直流電源ユニットと、
を有するものである。
上記構成を有する本発明に係る放電イオン化検出器によれば、ピーク出力の異常を抑制することが可能となる。
本発明の第1の実施形態に係るガスクロマトグラフ装置の概略構成図。 同実施形態におけるBIDの概略構成図。 同実施形態におけるBIDの別の構成例を示す概略構成図。 本発明の第2の実施形態に係るDIDの概略構成図。 本発明の第3の実施形態に係るチップ型DIDの概略構成図。 本発明に係るガスクロマトグラフ装置を用いて取得されたクロマトグラムピークを示す図。 従来のBIDにおけるクロマトグラムピークを示す図。 従来のBIDにおいてピーク形状の異常が生じる理由を説明する第1の模式図。 従来のBIDにおいてピーク形状の異常が生じる理由を説明する第2の模式図。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。
[実施形態1]
図1は本実施形態に係るガスクロマトグラフ装置(以下、適宜「GC装置」と略す)の概略構成図である。このGC装置は、キャピラリカラム1を収容するカラムオーブン2と、キャピラリカラム1の入口端に接続される試料気化室3と、試料気化室3にキャリアガスを供給するキャリアガス供給部5と、試料気化室3中に液体試料を注入するインジェクタ6と、キャピラリカラム1の出口端に接続されるBID7(本発明における「放電イオン化検出器」に相当)と、を有している。カラムオーブン2内には、その内部空間を温調するためのヒータ8や図示しないファンが設けられている。キャリアガス供給部5は、キャリアガス(He等)が充填されたガスボンベ9と、ガスボンベ9から出たキャリアガスを試料気化室3へと導くキャリアガス供給管10と、キャリアガス供給管10の中途に設けられたフローコントローラ(FC)11とを含んでいる。
このGC装置において、試料気化室3はヒータ4によって加熱されており、測定が開始されてインジェクタ6により微量の液体試料が試料気化室3内に滴下されると、この液体試料は短時間で気化してキャリアガス流に乗りキャピラリカラム1に送り込まれる。試料に含まれる各種の化合物(試料成分)は、キャピラリカラム1を通過する過程で互いに分離され、順次、BID7に導入されて検出される。
本実施形態におけるGC装置は、更に、パーソナルコンピュータ等のコンピュータから成る制御・処理部12を備えている。制御・処理部12は、上記のFC11、ヒータ4、8、及びBID7等の動作を制御する制御部13と、BID7からの出力信号に基づいてクロマトグラムを作成するデータ処理部14(本発明における「クロマトグラム生成部」に相当)とを備えている。制御部13は、FC11を制御する流量制御部21と、インジェクタ6を制御する試料導入制御部22と、試料気化室3のヒータ4並びにカラムオーブン2に設けられたヒータ8及びファン(図示略)を制御する温度制御部23と、BID7を制御する検出器制御部24と、を含んでいる。制御・処理部12には、ユーザからの指示を受け付ける入力部15と、ユーザが入力した情報を確認したりクロマトグラムを表示したりするための表示部16とが接続されている。なお、制御・処理部12の機能の少なくとも一部は、前記コンピュータに予めインストールされた専用の制御ソフトウェアを、該コンピュータ上で実行することによって実現されるものとすることができる。
上記GC装置におけるBID7の概略構成を図2に示す。このBID7は、大きく分けて、放電部101と、電荷収集部102と、イオン電流検出部103と、を備えている。
放電部101は、その内部が第1ガス流路104となっている誘電体円筒管105と、誘電体円筒管105の外壁面に互いに所定距離離して配設された3個の円環状の電極と、励起用高圧交流電源109と、を含む。以下、前記3個の円環状の電極を上から順に、上流側接地電極106、高圧電極107、及び下流側接地電極108とよび、これらを総称してプラズマ生成用電極106~108とよぶ。プラズマ生成用電極106~108は、例えばSUSや銅などの導電体で構成されている。誘電体円筒管105は、典型的には石英から成るものであるが、セラミック、ガラス、ポリマーなど他の誘電体から成るものでもよい。以下では説明の便宜上、誘電体円筒管105内におけるガスの流通方向(図2中の下向きの矢印で示す方向)における上流側を上、下流側を下として上下方向を定義するが、これによりBID7の使用時の方向が限定されるものではない。
高圧電極107には励起用高圧交流電源109が接続され、上流側接地電極106及び下流側接地電極108はいずれも接地されている。本実施形態に係るBID7では、上記のように、高圧電極107を上流側接地電極106と下流側接地電極108とで挟む構成とすることにより、放電で発生したプラズマがガス上流側及びガス下流側に拡がるのを抑え、実質的なプラズマ生成領域を二つの接地電極106、108の間に制限することができる。励起用高圧交流電源109は、周波数が1 kHz~100 kHzの範囲、好ましくは5 kHz~30 kHz程度(低周波数)で、電圧が5 kV~10 kV程度である高圧交流電圧を発生する。
誘電体円筒管105の上端にはガス供給管110が接続され、このガス供給管110を通して第1ガス流路104中に希釈ガスを兼ねるプラズマ生成用ガス(本発明における「放電用ガス」に相当)が供給される。プラズマ生成用電極106~108と第1ガス流路104との間には誘電体円筒管105の壁面が存在するから、この壁面自体がプラズマ生成用電極106~108の表面を被覆する誘電体被覆層として機能し、後述する誘電体バリア放電を可能としている。
電荷収集部102には、誘電体円筒管105の下端に接続された接続部材111と、第1絶縁性部材112と、バイアス電極113と、第2絶縁性部材114と、追加電極115と、第3絶縁性部材116と、収集電極117と、第4絶縁性部材118と、管路末端部材119とが、上から順にこの順序で配置されている。第1絶縁性部材112、第2絶縁性部材114、第3絶縁性部材116、及び第4絶縁性部材118は、それぞれ超高純度アルミナやサファイアなどの高抵抗材料によって構成されている。これらの部材はいずれも円筒形状を有しており、これらの内側には第1ガス流路104に連続する第2ガス流路120が形成されている。なお、第1ガス流路104及び第2ガス流路120が本発明における「ガス流路」に相当する。接続部材111の周面には、プラズマ生成ガスの一部を外部に排出するバイパス排気管121が接続されている。また、管路末端部材119の下端は閉鎖されており、その周面には試料排気管122が接続されている。管路末端部材119の下面には貫通孔が形成され、該貫通孔にはシール部123を介して細径の試料導入管124が挿通されている。試料導入管124の下端は、図示しないジョイント等を介してキャピラリカラム1の出口端と接続されており、キャピラリカラム1から溶出する試料成分を含むガス(以下「試料ガス」とよぶ)は、この試料導入管124を通して第2ガス流路120中に供給される。なお、試料導入管124を設けず、キャピラリカラム1の出口端を、直接、前記貫通孔に挿通するようにしてもよい。
バイアス電極113はイオン電流検出部103に含まれるバイアス電極用直流電源131に接続され、収集電極117は同じくイオン電流検出部103に含まれる電流アンプ132に接続されている。追加電極115は接地されており、この追加電極115によって、絶縁体表面(すなわち第2絶縁性部材114の内周面及び第3絶縁性部材116の内周面)を通ってバイアス電極113から収集電極117へと流れるリーク電流が吸収される。つまり、追加電極115は、バイアス電極113から収集電極117にリーク電流が流れるのを防止するものである。
イオン電流検出部103には、更に、収集電極117に直流電圧を印加するための収集電極用直流電源133が設けられている。電流アンプ132の非反転入力端子(図中の「+」の入力端子)は収集電極117に接続され、電流アンプ132の反転入力端子(図中の「-」の入力端子)はグランド(GND)に接続されている。収集電極用直流電源133は、このGNDと前記反転入力端子との間に配設され、電流アンプ132を介して収集電極117に接続された状態となっている。このような構成とすることにより、電流アンプ132からの信号出力に影響を与えることなく、収集電極117と電流アンプ132の全体を、GND(基準電位)から一定の高さの電位とすることができる。なお、バイアス電極用直流電源131及び収集電極用直流電源133は、いずれも電圧可変式の電源である。これらの電源131、133は、上述の検出器制御部24によって制御される。これらのバイアス電極用直流電源131及び収集電極用直流電源133が本発明における「直流電源ユニット」に相当する。
このBID7において、上述のキャピラリカラム1から吐出される試料ガス中の試料成分を検出する際の動作を概略的に説明する。図2中に矢印で示すように、第1ガス流路104中にはガス供給管110を通してプラズマ生成用ガスが所定流量で以て供給される。プラズマ生成用ガスは電離され易いガスであり、例えば、ヘリウム、アルゴン、窒素、ネオン、キセノン、クリプトンのいずれか一つ、又はそれらの混合ガスなどを用いることができる。プラズマ生成用ガスは第1ガス流路104中を下向きに流れ、一部はバイパス排気管121を通して外部に排出され、その残りは希釈ガスとして第2ガス流路120中を下向きに流れて試料排気管122を介して外部に排出される。一方、試料ガスはキャピラリカラム1の出口端から試料導入管124に流入し、その末端の吐出口から第2ガス流路120中に吐き出される。試料ガスは希釈ガスの流れ方向とは逆方向に吐き出されるが、図2中に破線の矢印で示すように、試料ガスはすぐに希釈ガスによって押し返され、希釈ガスと合流して下方向に進む。
上述したようにプラズマ生成用ガスが第1ガス流路104中に流通しているときに、励起用高圧交流電源109は高圧交流電圧をプラズマ生成用電極106~108に印加する。これにより、第1ガス流路104中において接地電極106、108で挟まれるプラズマ生成領域に誘電体バリア放電が起こり、プラズマ生成用ガスが広く電離されてプラズマ(大気圧非平衡マイクロプラズマ)が発生する。プラズマから放出された光は、第1ガス流路104及び第2ガス流路120中を通って試料ガスが存在する部位まで到達し、その試料ガス中の試料成分をイオン化する。こうして生成されたイオン(又は電子)は、バイアス電極113に印加されている直流電圧によって形成される電場の作用によって収集電極117に近づくように移動し、収集電極117において電荷を授受する。また、収集電極117はプラズマ生成領域から離隔した位置に設けられている。
以上により、生成された試料成分由来のイオン(又は電子)の量つまりは試料成分の量に応じたイオン電流が電流アンプ132に入力され、電流アンプ132はこれを増幅して検出信号を出力する。このようにして、このBID7では試料ガスに含まれる試料成分の量(濃度)に応じた検出信号が出力される。該検出信号はデータ処理部14に送られ、データ処理部14によって前記検出信号の時間変化を示すクロマトグラムが生成され、表示部16に表示される。
本実施形態に係るGC装置では、BID7におけるピーク形状の異常を低減するため、以下のような手順で収集電極用直流電源133から収集電極117への印加電圧(収集電極117の電位)が調整される。なお、こうした印加電圧の調整は、BID7に試料ガスを導入しない状態、すなわち、BID7中をプラズマ生成用ガス及び試料導入用のキャリアガスのみが流れている状態で行う。以下、バイアス電極用直流電源131からバイアス電極113に印加される電圧を「バイアス電極電圧」とよび、収集電極用直流電源133から収集電極117に印加される電圧を「収集電極電圧」とよぶ。
(1)まず、バイアス電極電圧を0Vとする。
(2)次に、電流アンプ132からの信号出力をモニターしながら、収集電極電圧の値を掃引し、前記信号出力が0Aとなるときの収集電極電圧を記録する(以下、この電圧をVとする)。
(3)その後、収集電極電圧をVから変化させて、電流アンプ132からの信号出力が正の値となるように調整する(以下、このときの収集電極電圧をVとする)。
(4)続いて、収集電極電圧をVで固定し、バイアス電極電圧を、通常のイオン収集時(すなわち試料成分の検出時)の電圧として予め定められている値に設定する。
なお、上記の説明では、測定対象が正イオンであることを前提としており、測定対象が負イオン又は電子である場合には、(3)において信号出力が負の値となるよう収集電極電圧を調整する。すなわち、(3)では、収集電極117によって収集しようとするイオン(又は電子)の電荷と、電流アンプからの信号出力とが同符号となるように調整を行う。
なお、上記(3)において電圧Vは、電流アンプ132からの信号出力がわずかでも0を上回るように調整すればよいが、ベースライン電流の変動を考慮してある程度余裕を持たせて設定することが望ましい。
また、上記の(4)で設定するバイアス電極電圧の値は、正イオンを収集する場合は、例えば数V~200V程度(望ましくは3V~200V)、負イオン又は電子を収集する場合は、例えば-数V~-200V程度(望ましくは-3V~-200V)とする。
なお、本実施形態における収集電極電圧の調整は、上記のように、BID7に試料ガスを導入しない状態で、バイアス電極電圧を0Vとしたときの電流アンプ132の信号出力が正(検出対象が負イオン又は電子の場合は負)となるように調整するほか、上記GC装置による試料(例えば標準試料)の分析を行いつつ(すなわち、BID7に試料ガスを導入しつつ)、その際の信号出力に基づいて生成されたクロマトグラムを観察し、当該クロマトグラム上に現れるピーク形状の異常(例えば、上述の負出力)が低減されるように、収集電極電圧を徐々に調整していくようにしてもよい。
このように、収集電極117に直流電圧を印加して出力補正を行うことにより、上記のようなピーク形状の異常を抑制することができる。
ここで、従来のBIDにおける上記負出力の発生機序について説明する。BIDでは、放電部101のプラズマから発せられた強い光(特に紫外線)が電荷収集部102に設けられた絶縁性部材(すなわち第1絶縁性部材112、第2絶縁性部材114、第3絶縁性部材116、及び第4絶縁性部材118)に当たることによって負電荷が発生し、これらの絶縁性部材の内表面が負に帯電(チャージアップ)する。このとき、収集電極117の上端付近は、正にバイアスされたバイアス電極113に近いために、隣接する絶縁性部材(すなわち第3絶縁性部材116)の内表面における負電荷の影響よりもバイアス電極113による電場の影響を強く受ける。一方、収集電極117の下端付近では、バイアス電極113から遠いために、隣接する絶縁性部材(すなわち第4絶縁性部材118)の内表面における負電荷の影響を相対的に強く受ける。すなわち、収集電極117の長さ方向に沿って電場分布が不均一となる。その結果、収集電極117の上端付近には正イオンが引き寄せられ、収集電極の下端付近には負イオン(又は電子)が引き寄せられることとなる。ここで、単純化のため、収集電極117からの出力電流は、当該電極117の上端付近の位置Aで収集された電流と当該電極117の下端付近の位置Bで収集された電流との積算のみから成ると仮定する。このとき、試料ガスによるクロマトグラムピーク(正規分布)を位置Aと位置Bで個別に測定できるとすると、位置Aからの出力(出力A)によるクロマトグラムピークは正のピークとなり、位置Bからの出力(出力B)によるクロマトグラムピークは負のピークとなる。位置Aと位置Bにおける試料ガスの濃度変化が同時に起こるのであれば、図8に示すように、出力Aと出力Bとは同時にピークに到達し、その結果、両者を積算したピークは、同図の出力Cのように、出力Aのピークをやや低くした形状となるはずである。しかし、実際には、試料ガスは図2中の上から下に向かう方向(すなわち位置Aから位置Bに向かう方向)に流れるため、出力Bのピーク到達時刻は、出力Aのピーク到達時刻よりもわずかに遅くなる。その結果、図9に示すように、出力Aと出力Bを積算したピーク(出力C)では、ピークテールに負の出力が発生することとなる。
これに対し、本実施形態に係るBID7では、収集電極用直流電源133によって収集電極117に直流電圧Vを印加することによって、上記のような、収集電極117の長さ方向における不均一な電場分布を解消することができ、その結果、上記のようなクロマトグラムのピークテールにおける負出力を始めとする異常なピーク出力の発生を抑制することができる。
なお、上記の通り、放電部101に導入されるプラズマ生成用ガスとしては各種のガスを用いることができるが、図7で示したような負出力は、プラズマ生成用ガスとしてアルゴンを用いた場合に顕著にみられる。そのため、本発明は、プラズマ生成用ガスとしてアルゴンを使用するBID7に特に好適に適用することができる。
また、上記のような収集電極電圧の調整は、原則的に、製造メーカからの出荷時又はユーザ納品直後のセットアップ時に行えばよいが、その後、ユーザが必要と判断したタイミングで(例えば、異常なピーク出力がみられたときなどに)、適宜再調整を行うようにしてもよい。また、上記収集電極電圧の調整は、装置メーカの担当者又はユーザ(以下、「ユーザ等」とよぶ)が手作業で行うようにしてもよく、あるいは、ユーザ等が入力部15から所定の操作を行うことにより、検出器制御部24がバイアス電極用直流電源131及び収集電極用直流電源133を制御することで自動的に実行されるものとしてもよい。その場合、検出器制御部24は、試料導入制御部22からキャピラリカラム1に試料が導入されていない旨を示す信号(すなわち、第2ガス流路120に試料ガスを導入しない状態を示す信号)を受け、前記バイアス電極電圧を0Vとし、その状態で収集電極117から得られる信号出力が測定対象とする前記荷電粒子の電荷と同符号となるように前記収集電極電圧を調整した上で、前記バイアス電極電圧を試料測定時の電圧として予め定められた値に変更するように、バイアス電極用直流電源131及び収集電極用直流電源133を制御する。
また、本実施形態におけるBID7は、上記のようにバイアス電極113に直流電圧を印加するための電源(バイアス電極用直流電源131)と、収集電極117に直流電圧を印加するための電源(収集電極用直流電源133)とを個別に設けた構成とするほか、単一の電源装置によってバイアス電極113と収集電極117の双方に直流電圧を印加する構成としてもよい。その場合、前記単一の電源装置からバイアス電極113への印加電圧の値と、当該電源装置から収集電極117への印加電圧の値とは、それぞれ独立に変更可能な構成とする。
また、上記では試料ガスを第2ガス流路120の下流側から上流側に向かって供給する逆流型の電荷収集部102を備えたBIDを例示したが、これに限らず、順流型のイオン収集部を備えたBIDに本発明を適用することもできる。このような場合の構成例を図3に示す。なお、図2で示したものと同一又は対応する構成要素には下二桁が共通する符号を付し、適宜説明を省略する。このBIDでは、管路末端部材219の下面に接続された希釈ガス供給管225を通して第2ガス流路220に希釈ガスが供給され、管路末端部材219の周面に挿通された試料導入管224から第2ガス流路220に試料ガスが供給される。図3中に矢印で示すように、このBIDでは、第2ガス流路220中における希釈ガスの流通方向が、図2で示したBIDとは反対になる。すなわち、希釈ガスは第2ガス流路220中を上向きに流れ、第1ガス流路204を流れて来たプラズマ生成用ガスと合流して排気管221を通して外部に排出される。なお、イオン電流検出部203の構成及び収集電極電圧の調整方法については、上記と同様であるためここでは説明を省略する。
[実施形態2]
本発明は、BIDに限らず、放電によって生成したプラズマから発せられる光を主に利用して試料をイオン化し、該イオンに起因する電流を検出する各種の放電イオン化検出器に適用することができる。
以下、本発明を、他の種類の放電イオン化検出器(Discharge ionization Detector;以下「DID」と略す)に適用した実施形態について図4を参照しつつ説明する。なお、実施形態1に係るBIDと同一又は対応する構成要素については下二桁が共通する符号を付し、適宜説明を省略する。
このDIDは、棒状の電極である高圧電極307と接地電極326を有しており、これらの電極307、326の先端は、誘電体円筒管305の内部に露出している。高圧電極307は励起用高圧交流電源309に接続され、接地電極326は接地されている。DIDでは、高電圧のパルス放電によってプラズマ生成用ガスを励起し、その励起状態にある分子が基底状態に戻る際に発生する光エネルギーを利用して試料分子をイオン化する。そして、生成された荷電粒子(イオン又は電子)を収集電極317で収集し、試料成分の量(濃度)に応じた検出信号を得る。
このようなDIDにおいても収集電極317に直流電圧を印加して出力補正を行うことにより、上述のようなピーク形状の異常を抑制することができる。なお、イオン電流検出部303の構成及び収集電極電圧の調整方法については、実施形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。また、図4では逆流型の電荷収集部302を備えたDIDを示したが、順流型の電荷収集部を備えたDIDにも同様に本発明を適用することができる。
[実施形態3]
本発明は、上記のような円筒状の電極及び絶縁性部材を積層して成る電荷収集部を備えた放電イオン化検出器に限らず、絶縁体基板上に電極パターンを形成して成るチップ型の放電イオン化検出器にも適用可能である。
以下、本発明をチップ型のDIDに適用した実施形態について図5を参照しつつ説明する。なお、図4に示したものと同一又は対応する構成要素については下二桁が共通する符号を付し、適宜説明を省略する。本実施形態に係るDIDは、いずれも絶縁体から成る第1基板441及び第2基板442を備えている。第1基板441の上面には溝状の凹部443が設けられており、凹部443の内底面には高圧電極407、接地電極426、バイアス電極413、追加電極415、及び収集電極417が形成されている。高圧電極407は励起用高圧交流電源409に接続され、接地電極426は接地されている。また、バイアス電極413はバイアス電極用直流電源431に接続され、追加電極415は接地されている。更に、収集電極417は電流アンプ432の非反転入力端子(+側の入力端子)に接続され、電流アンプ432の反転入力端子(-側の入力端子)には収集電極用直流電源433が接続されている。
また、凹部443の中央には試料ガス導入用の開口444が形成されており、該開口444には第1基板441の下方から試料導入管424が接続されている。第1基板441の上面には、平坦な下面を有する第2基板442が貼り付けられ、これにより、第1基板441の凹部443と第2基板442の下面とによって囲繞されたガス流路が形成される。このガス流路の両端は、第1基板441の対向する2つの側面においてそれぞれ開口している。以下、このうちの一方の開口をガス導入口445とよび、他方の開口をガス排出口446とよぶ。
このDIDでは、ガス導入口445からプラズマ生成用ガスを導入すると共に、試料導入管424を通じてガス流路内に試料ガスを導入する。そして、励起用高圧交流電源409によって高圧電極407と接地電極426の間にパルス状の高電圧を印加することにより、ガス流路の上流領域(放電部に相当)においてプラズマを発生させる。これにより、前記プラズマが発する光のエネルギー等によって、ガス流路の下流領域(電荷収集部に相当)にて試料ガスがイオン化され、該イオンに起因する電荷が収集電極417で収集される。
このようなチップ型のDIDにおいても収集電極417に直流電圧を印加して出力補正を行うことにより、上記のようなピーク形状の異常を抑制することができる。なお、収集電極電圧の調整方法については、実施形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。また、本発明は、図5に示したものに限らず、チップ型に構成されたその他の放電イオン化検出器(例えばBID)にも同様に適用することができる。
本発明の効果を確認するために行った実施例について説明する。ここでは、実施形態1に係るGC装置(すなわち、検出器として図2に示すようなBIDを備えたGC装置)を使用し、プラズマ生成用ガスとしてアルゴンを使用した。
まず、キャピラリカラムに試料を導入しない状態で、バイアス電極電圧を0Vとし、電流アンプからの信号出力をモニターしながら、収集電極電圧の値を掃引したところ、前記信号出力が0Aとなるときの電圧Vは-0.08Vであった。更に、そこから収集電極電圧を変化させて電流アンプ132からの信号出力が正の値となるよう調整した。このときの収集電極用直流電源133の電圧Vは-0.1Vであった。その後、バイアス電極電圧を試料測定用の電圧(ここでは10V)に設定した上で、前記GC装置によるクロマトグラフ測定を行った。なお、試料としてはドデカンを使用した。また、比較のために、収集電極電圧を0Vとした状態及び-0.04Vとした状態でも同様の測定を行った。
各測定で得られたクロマトグラムピークを図6に示す。なお、図6ではピーク形状の比較が容易となるよう、各クロマトグラムを上下方向及び左右方向にずらして描写している。同図から明らかなように、バイアス電極電圧が0Vで、信号出力が負の値だった収集電極電位(0Vと-0.04V)の場合は、正のピークの後にわずかな負出力が見られるが、収集電極電位を-0.1Vに設定することで、負出力が消失し、正常なクロマトグラムピークが得られている。
[種々の態様]
上述した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
(第1項)本発明の一態様に係る放電イオン化検出器は、
放電用ガスが流通するガス流路と、
前記ガス流路中に放電を生起させ、該放電により前記放電用ガスから前記ガス流路にプラズマを生成するプラズマ生成用電極と、
前記ガス流路に試料ガスを導入する試料ガス導入部と、
前記ガス流路に設けられ、前記プラズマの作用によって前記試料ガス中の試料成分から生成された荷電粒子を収集する収集電極と、
前記プラズマ生成用電極と前記収集電極との間に配置され、前記荷電粒子を前記収集電極に導く電場を前記ガス流路中に形成するバイアス電極と、
前記バイアス電極に印加されるバイアス電極電圧と、前記収集電極に印加される収集電極電圧とを、それぞれ独立に変更可能な直流電源ユニットと、
を有するものである。
(第2項)第1項に記載の放電イオン化検出器は、更に、
記収集電極から得られる信号出力が測定対象とする前記荷電粒子の電荷と同符号となるように前記収集電極電圧を自動で調整し、且つ前記バイアス電極電圧を、試料測定時の電圧として予め定められた値に変更するよう前記直流電源ユニットを制御するように動作可能な制御部を有するものであってもよい。
(第3項)本発明の一態様に係る放電イオン化検出器の調整方法は、
放電用ガスが流通するガス流路と、
前記ガス流路中に放電を生起させ、該放電により前記放電用ガスから前記ガス流路にプラズマを生成するプラズマ生成用電極と、
記ガス流路に設けられ、前記プラズマの作用によって試料ガス中の試料成分から生成された荷電粒子を収集する収集電極と、
記荷電粒子を前記収集電極に導く電場を発生させるバイアス電極と、
有する放電イオン化検出器を調整する方法であって、
前記ガス流路に前記試料ガスを導入しない状態において、前記バイアス電極に印加される直流電圧であるバイアス電極電圧を0Vとするステップと
前記バイアス電極電圧を0Vとした状態で前記収集電極から得られる信号出力が測定対象とする前記荷電粒子の電荷と同符号となるように前記収集電極に印加される直流電圧である収集電極電圧を調整するステップと
前記バイアス電極電圧を、試料測定時の電圧として予め定められた値に変更するステップと、を含むものである。
(第4項)本発明の一態様に係るガスクロマトグラフ装置は、カラムと、前記カラムによって分離された試料を検出する検出器を有し、前記検出器を、第1項又は第2項に記載の放電イオン化検出器としたものである。
(第5項)本発明の一態様に係るガスクロマトグラフ装置の調整方法は、
カラムと、
前記カラムによって分離された試料を検出する検出器と、
該検出器からの出力信号に基づいてクロマトグラムを生成するクロマトグラム生成部と、
を有し、前記検出器が、
放電用ガスが流通するガス流路と、
前記ガス流路中に放電を生起させ、該放電により前記放電用ガスから前記ガス流路にプラズマを生成するプラズマ生成用電極と、
記ガス流路に設けられ、前記プラズマの作用によって試料ガス中の試料成分から生成された荷電粒子を収集する収集電極と、
記荷電粒子を前記収集電極に導くための電場を発生させるバイアス電極と、
有する放電イオン化検出器であるガスクロマトグラフ装置を調整する方法であって、
前記ガスクロマトグラフ装置による試料分析を実行しつつ、前記クロマトグラム生成部によって生成されるクロマトグラム上のピーク形状の異常が低減されるように前記収集電極に印加される直流電圧である収集電極電圧を調整するものである。
第1項若しくは第2項に記載の放電イオン化検出器、第3項に記載の放電イオン化検出器の調整方法、第4項に記載のガスクロマトグラフ装置、又は第5項に記載のガスクロマトグラフ装置の調整方法によれば、収集電極に直流電圧を印加して出力補正を行うことにより、上述のようなピーク形状の異常を抑制することが可能となる。
1…キャピラリカラム
7…BID
101…放電部
104…第1ガス流路
106…上流側接地電極
107…高圧電極
108…下流側接地電極
109…励起用高圧交流電源
102…電荷収集部
120…第2ガス流路
113…バイアス電極
115…追加電極
117…収集電極
124…試料導入管
103…イオン電流検出部
131…バイアス電極用直流電源
132…電流アンプ
133…収集電極用直流電源
12…制御・処理部
13…制御部
24…検出器制御部
14…データ処理部

Claims (5)

  1. 放電用ガスが流通するガス流路と、
    前記ガス流路中に放電を生起させ、該放電により前記放電用ガスから前記ガス流路にプラズマを生成するプラズマ生成用電極と、
    前記ガス流路に試料ガスを導入する試料ガス導入部と、
    前記ガス流路に設けられ、前記プラズマの作用によって前記試料ガス中の試料成分から生成された荷電粒子を収集する収集電極と、
    前記プラズマ生成用電極と前記収集電極との間に配置され、前記荷電粒子を前記収集電極に導く電場を前記ガス流路中に形成するバイアス電極と、
    前記バイアス電極に印加されるバイアス電極電圧と、前記収集電極に印加される収集電極電圧とを、それぞれ独立に変更可能な直流電源ユニットと、
    を有する放電イオン化検出器。
  2. 更に、
    記収集電極から得られる信号出力が測定対象とする前記荷電粒子の電荷と同符号となるように前記収集電極電圧を自動で調整し、且つ前記バイアス電極電圧を試料測定時の電圧として予め定められた値に変更するよう前記直流電源ユニットを制御するように動作可能な制御部、
    を有する請求項1に記載の放電イオン化検出器。
  3. 放電用ガスが流通するガス流路と、
    前記ガス流路中に放電を生起させ、該放電により前記放電用ガスから前記ガス流路にプラズマを生成するプラズマ生成用電極と、
    記ガス流路に設けられ、前記プラズマの作用によって試料ガス中の試料成分から生成された荷電粒子を収集する収集電極と、
    記荷電粒子を前記収集電極に導く電場を発生させるバイアス電極と、
    有する放電イオン化検出器を調整する方法であって、
    前記ガス流路に前記試料ガスを導入しない状態において、前記バイアス電極に印加される直流電圧であるバイアス電極電圧を0Vとするステップと
    前記バイアス電極電圧を0Vとした状態で前記収集電極から得られる信号出力が測定対象とする前記荷電粒子の電荷と同符号となるように前記収集電極に印加される直流電圧である収集電極電圧を調整するステップと
    前記バイアス電極電圧を、試料測定時の電圧として予め定められた値に変更するステップと、
    を含む放電イオン化検出器の調整方法。
  4. カラムと、
    前記カラムによって分離された試料を検出する検出器と、
    を有し、
    前記検出器が、請求項1又は2に記載の放電イオン化検出器であるガスクロマトグラフ装置。
  5. カラムと、
    前記カラムによって分離された試料を検出する検出器と、
    該検出器からの出力信号に基づいてクロマトグラムを生成するクロマトグラム生成部と、
    を有し、
    前記検出器が、
    放電用ガスが流通するガス流路と、
    前記ガス流路中に放電を生起させ、該放電により前記放電用ガスから前記ガス流路にプラズマを生成するプラズマ生成用電極と、
    記ガス流路に設けられ、前記プラズマの作用によって試料ガス中の試料成分から生成された荷電粒子を収集する収集電極と、
    記荷電粒子を前記収集電極に導く電場を発生させるバイアス電極と、
    有する放電イオン化検出器であるガスクロマトグラフ装置を調整する方法であって、
    前記ガスクロマトグラフ装置による試料分析を実行しつつ、前記クロマトグラム生成部によって生成されるクロマトグラム上のピーク形状の異常が低減されるように前記収集電極に印加される直流電圧である収集電極電圧を調整するガスクロマトグラフ装置の調整方法。
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