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JP7316038B2 - 事象予測システム、センサ信号処理システム及びプログラム - Google Patents

事象予測システム、センサ信号処理システム及びプログラム Download PDF

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Description

本開示は、一般に事象予測システム、センサ信号処理システム及びプログラムに関し、より詳細には、対象者の体動に関する体動データを用いる事象予測システム、センサ信号処理システム及びプログラムに関する。
特許文献1に記載の非接触活動量センサ(センサ処理システム)は、ドップラーセンサ(測定部)と、距離センサと、プロセッサと、を備えている。プロセッサは、ドップラーセンサの検出信号の振幅及び周波数の一方又は双方と、距離センサの検出信号と、に基づいて、各センサのセンシング範囲(空調空間)に含まれる対象の活動量を算出する。特許文献1には、算出した活動量に基づいて、空調制御を行なうことが記載されている。
また、特許文献1には、検出した活動量を基に、利用者の健康状態を推定することも記載されている。例えば、利用者の活動量の変化を基に、利用者の体調不良又は怪我等の健康状態を把握する。
特開2017-484号公報
しかし、特許文献1においては、空調制御を基本的な機能としているため、利用者の現在の状態を把握することができればよく、それ以外の推定に、検出した活動量を利用することは想定されていない。
本開示は、対象者に関連する特定事象の発生の予兆まで判定可能な事象予測システム、センサ信号処理システム及びプログラムを提供することを目的とする。
本開示の一態様に係る事象予測システムは、取得部と、予兆判定部と、存在判定部と、を備える。前記取得部は、対象者の体動に関する体動データを出力する測定装置から前記体動データを取得する。前記予兆判定部は、過去の参照期間に取得された前記体動データに基づいて、前記対象者に関連する特定事象の発生の予兆を判定する。前記存在判定部は、前記体動データに基づいて、対象空間における前記対象者の存否を判定する。前記存在判定部は、前記体動データを前記体動データの取得タイミングよりも前に取得された複数個の体動データで表す時系列分析の分析モデルの係数が閾値を超えると、前記対象空間に前記対象者が存在すると判定する。
本開示の一態様に係るセンサ信号処理システムは、取得部と、加速度演算部と、存在判定部と、を備える。前記取得部は、測定装置から体動データを取得する。前記測定装置は、対象者の体動に関する前記体動データを出力する。前記加速度演算部は、前記体動データに基づいて、前記対象者の身体の動きについての加速度を求める。前記存在判定部は、前記体動データに基づいて、対象空間における前記対象者の存否を判定する。前記存在判定部は、前記体動データを前記体動データの取得タイミングよりも前に取得された複数個の体動データで表す時系列分析の分析モデルの係数が閾値を超えると、前記対象空間に前記対象者が存在すると判定する。
本開示の一態様に係るプログラムは、対象者の体動に関する体動データを出力する測定装置から前記体動データを取得し、過去の参照期間に取得された前記体動データに基づいて、前記対象者に関連する特定事象の発生の予兆を判定し、前記体動データを前記体動データの取得タイミングよりも前に取得された複数個の体動データで表す時系列分析の分析モデルの係数が閾値を超えると、対象空間に前記対象者が存在すると判定する事象予測方法を、コンピュータシステムに実行させるためのプログラムである。
本開示によれば、対象者に関連する特定事象の発生の予兆まで判定可能な事象予測システム、センサ信号処理システム及びプログラムを提供できる、という利点がある。
図1は、本開示の実施形態1に係るセンサ信号処理システム及び事象予測システムの構成を示すブロック図である。 図2は、同上の事象予測システムが用いられる施設の説明図である。 図3は、同上の事象予測システムの動作を示すフローチャートである。 図4は、同上の事象予測システムにおける加速度演算処理の具体例を示すフローチャートである。 図5は、同上の事象予測システムにおける予兆判定処理の具体例を示すフローチャートである。 図6は、同上の事象予測システムが適用される体動データの一例を示すグラフである。
(実施形態1)
(1)概要
本実施形態に係るセンサ信号処理システム1及び事象予測システム10の概要について、図1及び図2を参照して説明する。事象予測システム10は、センサ信号処理システム1を備えている。
センサ信号処理システム1は、対象空間100(図2参照)を監視対象とする測定装置2から出力されるセンサ信号について、信号処理を実行するシステムである。測定装置2は、対象空間100に居る対象者(人)の体動に関する体動データを生成するセンサ21(図1参照)を有し、体動データを含むセンサ信号を出力する。センサ信号処理システム1は、体動データに基づいて、対象者の身体の動きについての加速度を求める加速度演算部111(図1参照)を備える。
本開示でいう「対象空間」は、例えば、サービス付き高齢者向け住宅、介護施設又は病院等の施設内の特定の空間である。対象空間100がサービス付き高齢者向け住宅又は介護施設の個室内の空間であれば、「対象者」は個室の入居者(被介護者)である。対象空間100が病院の病室内の空間であれば、「対象者」は病室に入院している患者である。また、本開示でいう「体動」は、人が寝ているときの身体の動き(寝返り等)だけでなく、例えば、立っている状態、座っている状態及び歩行している状態にある人の身体の動き全般を含む。本開示でいう「加速度」は、対象者の身体の少なくとも一部に動きがあった場合において、対象者の身体の少なくとも一部の速度(移動速度)変化の時間に対する割合を意味する。例えば、歩行中の対象者においては、身体全体に動きが生じるため、身体全体の速度変化の時間に対する割合が「加速度」となる。一方、例えば、寝ている状態の対象者において、身体の一部が動いた場合には、動いた身体の一部の速度変化の時間に対する割合が「加速度」となる。
すなわち、センサ信号処理システム1では、測定装置2から取得される体動データに基づいて、対象者の動きを加速度として定量的に分析することが可能である。対象者の身体の動きについての加速度は、例えば、対象者の行動及び健康状態等の対象者の状態の把握、並びに個人の特定等に利用可能である。
本実施形態に係る事象予測システム10は、センサ信号処理システム1の処理結果を用いて、対象者に関連する特定事象の発生の予兆を判定するシステムである。本開示でいう「特定事象」は、対象者に関連して起こり得る種々の事象の中から選択される特定の事象であって、例えば、ターミナルケア(end-of-life care)、歩行時の転倒、入院を要する病気又は怪我、死亡、認知機能の低下(認知障害)、及び徘徊等である。さらに、対象者の日常生活における個々の行動、例えば、寝ている状態からの起き上がり(離床)、排泄、及び就寝等も、「特定事象」に含まれる。
すなわち、事象予測システム10は、測定装置2から取得される体動データに基づいて、これらの特定事象の発生の予兆、つまり、特定事象が発生する前にあらかじめ現れる「きざし」を判定する。言い換えれば、事象予測システム10は、対象者の現在の状態ではなく、将来、発生することが予測される特定事象についての判定を行うことができる。このように、本実施形態に係る事象予測システム10によれば、対象者に関連する特定事象の発生の予兆まで判定可能である、という利点がある。
(2)詳細
以下、実施形態1に係るセンサ信号処理システム1及び事象予測システム10の詳細について図面を参照して説明する。以下では、図2に示すように、対象空間100がサービス付き高齢者住宅の個室50内に設定されている場合を例に説明する。つまり、この場合の「対象者」は個室の入居者である。
(2.1)構成
事象予測システム10は、上述のように、センサ信号処理システム1を備えている。本実施形態では、図1に示すように、事象予測システム10は、第2演算処理部12を更に備えている。センサ信号処理システム1及びそれを備える事象予測システム10は、例えば、対象空間100が設置された施設(ここでは、サービス付き高齢者住宅)の管理人室等に設置されたコンピュータシステムによって実現される。
センサ信号処理システム1は、対象空間100を監視対象とする測定装置2からセンサ信号を受信する。測定装置2は、上述のように、対象空間100に居る対象者(人)の体動に関する体動データを生成するセンサ21を有し、体動データを含むセンサ信号をセンサ信号処理システム1に出力する。
本実施形態では、測定装置2は、センサ信号処理システム1及び事象予測システム10の構成要素に含まれないこととする。そのため、センサ信号処理システム1及び事象予測システム10は、様々な態様の測定装置2と組み合わせて適用可能である。ただし、センサ信号処理システム1及び事象予測システム10の各々は、測定装置2を構成要素に含んでいてもよい。
測定装置2は、センサ21と、信号処理回路22と、を備える。センサ21は、対象者に接触せず、つまり非接触で対象者の体動を検出する非接触式のセンサである。要するに、測定装置2は、非接触で対象者の体動に関する体動データを生成する。そのため、測定装置2は、対象者の動きを妨げることなく体動データを生成することができる。測定装置2は、例えば、電波式のドップラーセンサである。
センサ21は、電気信号と電波とを相互に変換可能なトランスデューサであって、例えば、マイクロ波帯の電波の送信及び受信を行う電波式のセンサである。センサ21は、例えば、所定の時間間隔(一例として1秒間隔)で電波を対象空間100に送信する。センサ21は、対象空間100に存在する人(対象者を含む)等で反射された反射波(電波)を受信する。
信号処理回路22は、反射波を受信したときのセンサ21の出力信号(反射波に対応する電気信号)に対して信号処理を実行し、対象空間100に存在する対象者の体動を示す体動データを生成する。具体的には、信号処理回路22は、受信した電波(反射波)の周波数を、送信した電波の周波数と比較することにより、ドップラー効果を利用して、対象者の身体の移動の速度を求め、体動データを生成する。ここで、信号処理回路22が求める対象者の身体の移動の速度は、正/負の符号を含むことで、センサ21に対して身体が近づく向き又は離れる向きのいずれに移動しているかを表す、「身体の移動の向き」の情報を含んでいる。つまり、信号処理回路22で生成される体動データは、「向き」の成分を含むベクトル値として扱うことができる。これにより、信号処理回路22では、センサ21に対して身体が近づく向き又は離れる向きのいずれに移動しているかを判別して、例えば、対象者の起き上がり(離床)等を検知可能となる。さらに、体動データに基づいて求められる加速度についても同様に、「向き」の成分を含むベクトル値であってもよい。
また、本実施形態では、信号処理回路22は、体動データから特定の周波数成分を抽出することで、対象者の心拍及び呼吸の状態を示す測定データを生成する機能を有している。具体的には、信号処理回路22は、体動データを心拍フィルタにてフィルタリングし、心拍に起因した体動の周波数成分を抽出することで、心拍の状態を示す測定データ(以下、「心拍測定データ」という)を生成する。さらに、信号処理回路22は、体動データを呼吸フィルタにてフィルタリングし、呼吸に起因した体動の周波数成分を抽出することで、呼吸の状態を示す測定データ(以下、「呼吸測定データ」という)を生成する。ここにおいて、信号処理回路22が心拍測定データ及び呼吸測定データを生成する周期は、信号処理回路22が体動データを生成する周期よりも長い。一例として、信号処理回路22は、体動データを1秒ごとに生成し、心拍測定データ及び呼吸測定データを5秒ごとに生成する。
また、信号処理回路22は、体動データ、心拍測定データ及び呼吸測定データを含むセンサ信号を、センサ信号処理システム1に出力する。本実施形態では、信号処理回路22は、例えば、Bluetooth(登録商標)等の無線通信方式に準拠した無線通信により、センサ信号処理システム1と通信可能に構成されている。測定装置2とセンサ信号処理システム1とは、直接的に通信する構成に限らず、例えば、中継器を介して通信する構成であってもよい。
測定装置2は、図2に示すように、対象空間100が設定された個室50内に設置されている。図2の例では、個室50には、例えば、ベッド51、トイレ52、洗面台53、出入口の引き戸54及び窓55等の設備が設けられている。個室50においてベッド51、トイレ52、洗面台53、引き戸54及び窓55等の設備は必須ではなく、適宜省略が可能である。個室50の壁には、個室50内の空気環境を調整する空調設備(エアコンディショナ)20が設置されている。本実施形態では、一例として、空調設備20の横(側方)に、測定装置2が配置されている。
ここでは、一例として、測定装置2は、少なくともベッド51上を含む対象空間100を監視対象とするような姿勢(向き)で設置されている。本実施形態では、対象空間100は、トイレ52を除く個室50内の略全ての空間である。対象空間100は、この例に限らず、例えば、個室50内の全空間であってもよいし、適宜変更可能である。
センサ信号処理システム1は、図1に示すように、第1演算処理部11と、取得部13と、記憶部14と、出力部15と、を備えている。
取得部13は、対象者の体動に関する体動データを取得する。すなわち、取得部13は、測定装置2(の信号処理回路22)との通信機能を有している。本実施形態は、取得部13は、例えば、Bluetooth(登録商標)等の無線通信方式に準拠した無線通信により、測定装置2と通信可能に構成されている。取得部13は、測定装置2との間で定期的に又は不定期に通信を行うことによって、測定装置2から少なくとも体動データを取得する。具体的には、取得部13は、測定装置2からセンサ信号を受信することによって、体動データを、心拍測定データ及び呼吸測定データと共に取得する。取得部13は、測定装置2からデータ(体動データ、心拍測定データ及び呼吸測定データ)を取得すると、取得したデータを第1演算処理部11に出力する。
第1演算処理部11は、少なくとも加速度演算部111及び存在判定部112の機能を有している。第1演算処理部11は、例えば、プロセッサ及びメモリを含むコンピュータシステムで実現されている。第1演算処理部11のプロセッサがプログラムを実行することにより、加速度演算部111及び存在判定部112等の機能が実現される。プログラムは、第1演算処理部11のメモリ若しくは記憶部14にあらかじめ記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
加速度演算部111は、体動データに基づいて、対象者の身体の動きについての加速度を求める。すなわち、対象者の身体の少なくとも一部に動きがあった場合、対象者の身体の少なくとも一部の速度(移動速度)変化の時間に対する割合が、加速度演算部111にて加速度として求められる。ここで、加速度演算部111は、測定装置2から取得部13が取得した体動データに基づいて、所定のアルゴリズムに従って加速度を求めることで、加速度を示すデータ(以下、「加速度データ」という)を生成する加速度演算処理を実行する。加速度演算部111における加速度演算処理について詳しくは「(2.2.2)加速度演算処理」の欄で説明する。
存在判定部112は、体動データに基づいて、対象空間100における対象者の存否を判定する。存在判定部112は、測定装置2から取得部13が取得した体動データを用いて、所定のアルゴリズムに従って、対象者の存否を示すデータ(以下、「存否データ」という)を生成する存在判定処理を実行する。
本実施形態では、存在判定部112は所定のタイミングで取得された体動データを、所定のタイミングよりも前に取得された複数個の体動データで表す時系列分析の分析モデルを求める時系列分析処理を行う。取得部13は、例えば、1秒ごとに測定装置2から測定データを取得している。一例として、時系列分析処理では、所定のタイミングで取得された体動データを、所定のタイミングよりも前の複数個(例えば30個)の体動データで表す時系列分析の分析モデルを求める。本実施形態では、存在判定部112が、例えば、自己回帰(AR:Auto Regressive)モデルを用い、所定のタイミングで取得された体動データを、過去30秒間の30個の体動データで表す自己相関関数の分析モデルを求める。存在判定部112が行う時系列分析の分析モデルは自己回帰モデルに限らず、拡張カルマンモデル等の他の分析モデルでもよく、分析モデルは計算量等を考慮して適宜変更が可能である。
存在判定部112は、時系列分析処理にて求められた分析モデルの係数に関する条件を含む判定条件に基づいて、所定のタイミングにおける対象者の存否を判定する。存在判定部112は、例えば、時系列分析処理にて求められた分析モデルの係数が所定の閾値を超える、又は取得された体動データの大きさが所定の判定値を超える、という判定条件に基づいて、所定のタイミングにおける対象者の存否を判定する。すなわち、存在判定部112は、自己回帰モデルの1次係数が閾値を超えるか、又は体動データの大きさが判定値を超えると、対象空間100に対象者が存在する(在室状態である)と判定する。存在判定部112は、自己回帰モデルの1次係数が閾値以下であり、かつ、測定データの大きさが判定値以下であると、対象空間100に対象者が存在しない(不在状態である)と判定する。
このように、本実施形態に係る事象予測システム10では、存在判定部112が、時系列分析処理にて求められた分析モデルの係数に関する判定条件に基づいて、所定のタイミングにおける対象者の存否を判定している。したがって、存在判定部112は、測定データの一時的な変動等の影響を受けにくくなり、存在判定部112による判定精度の向上を図ることができる。
さらに、存在判定部112は、体動データに代えて又は体動データと共に、心拍測定データ、呼吸測定データ及び加速度データの少なくとも1つのデータを用いて、対象空間100における対象者の存否を判定してもよい。つまり、存在判定部112は、体動データ、心拍測定データ、呼吸測定データ及び加速度データの少なくとも1つのデータに基づいて、対象空間100における対象者の存否を判定する処理を実行してもよい。心拍測定データ、呼吸測定データ及び加速度データは、いずれも体動データに基づくデータである。そのため、例えば、加速度データに基づいて対象者の存否を判定する場合でも、存在判定部112は、間接的に体動データに基づいて、対象空間100における対象者の存否を判定することになる。要するに、存在判定部112は、直接的に又は間接的に、体動データに基づいて、対象空間100における対象者の存否を判定すればよい。
ここで、加速度データに基づいて対象者の存否を判定する場合、存在判定部112は、個人を識別して対象者の存否を判定することも可能である。すなわち、存在判定部112は、加速度データから、対象者(個室50の入居者)であるか否かを識別することが可能である。これにより、対象者以外の者(例えば、施設のスタッフ)が対象空間100に居る場合に、存在判定部112は、対象空間100に対象者は存在しない、又は対象空間100に対象者以外の者が存在する、と判定可能である。
第2演算処理部12は、少なくとも予兆判定部121及び状態判定部122の機能を有している。第2演算処理部12は、第1演算処理部11と同様に、例えば、プロセッサ及びメモリを含むコンピュータシステムで実現されている。第2演算処理部12のプロセッサがプログラムを実行することにより、予兆判定部121及び状態判定部122等の機能が実現される。プログラムは、第2演算処理部12のメモリ若しくは記憶部14にあらかじめ記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。本実施形態では、第2演算処理部12は、第1演算処理部11とは別のコンピュータシステムで構成されている。
第2演算処理部12には、第1演算処理部11の出力データが入力される。本実施形態では、第1演算処理部11の出力データは、測定装置2から取得部13が取得した体動データ、心拍測定データ及び呼吸測定データを含んでいる。さらに、本実施形態では、第1演算処理部11の出力データは、体動データに基づいて加速度演算部111で求められた、対象者の身体の動きについての加速度のデータ(加速度データ)を含んでいる。また、第1演算処理部11の出力データは、存在判定部112の判定結果を示すデータ(存否データ)を含んでいる。そのため、第2演算処理部12には、体動データに加えて、心拍測定データ、呼吸測定データ、加速度データ及び存否データが入力される。心拍測定データ、呼吸測定データ及び加速度データは、いずれも体動データを基にして求められており、言い換えれば、体動データに基づくデータである。
予兆判定部121は、体動データに基づいて、対象者に関連する特定事象の発生の予兆を判定する。すなわち、予兆判定部121は、測定装置2から取得部13が取得した体動データに基づいて、所定のアルゴリズムに従って、例えば、ターミナルケア等の特定事象の発生の予兆を判定する予兆判定処理を実行する。ここで、予兆判定部121は、過去の参照期間に取得された体動データに基づいて、予兆を判定する。本開示でいう「参照期間」は、予兆判定部121が判定を行う時点を基準時点としたときに過去(基準時点よりも前)の期間である。本実施形態では、参照期間は基準時点を終点とする一定時間(一例として、30分、1時間又は1日等)の期間である。言い換えれば、予兆判定部121は、基準時点の一定時間前の時点を始点とし、基準時点を終点とする参照期間に取得部13で取得された体動データの集合、つまり体動データの時系列データに基づいて予兆判定処理を実行する。
さらに、予兆判定部121についても、存在判定部112と同様に、体動データに代えて又は体動データと共に、心拍測定データ、呼吸測定データ及び加速度データの少なくとも1つのデータを用いて、特定事象の発生の予兆を判定してもよい。つまり、予兆判定部121は、第1演算処理部11の出力データに含まれる体動データ、心拍測定データ、呼吸測定データ及び加速度データの少なくとも1つのデータに基づいて、特定事象の発生の予兆を判定する予兆判定処理を実行してもよい。心拍測定データ、呼吸測定データ及び加速度データは、いずれも体動データに基づくデータである。要するに、予兆判定部121は、直接的に又は間接的に、体動データに基づいて、特定事象の発生の予兆を判定すればよい。
予兆判定部121の判定結果は、予兆データとして出力部15に出力される。本実施形態では、予兆判定部121では、特定事象の発生の予兆の有無のみを判定する。言い換えれば、予兆判定部121は、予兆を判定する特定事象の種類を区別せずに、特定事象の発生の予兆の有無を判定する。そのため、予兆判定部121にて生成される予兆データは、特定事象の発生の予兆の有無を表す。
また、予兆判定部121は、体動データを基にした対象者の身体活動量の変化に基づいて、予兆を判定する。本開示でいう「身体活動量」は、身体活動の強さ(強度)と身体活動を行った時間との積で表される。本開示でいう「身体活動」は、対象者が行う活動であって、体力の維持又は向上を目的にした運動に限らず、安静状態に比べて多くのエネルギーを消費する全ての活動(行動)を意味する。予兆判定部121における予兆判定処理について詳しくは「(2.2.3)予兆判定処理」の欄で説明する。
状態判定部122は、体動データに基づいて、対象者の健康状態、睡眠状態及び精神状態等、対象者の現在の状態を判定する。すなわち、状態判定部122は、測定装置2から取得部13が取得した体動データに基づいて、所定のアルゴリズムに従って、例えば、体調良好又は体調不良等の対象者の現在の状態を判定する状態判定処理を実行する。
さらに、状態判定部122についても、予兆判定部121と同様に、体動データに代えて又は体動データと共に、心拍測定データ、呼吸測定データ及び加速度データの少なくとも1つのデータを用いて、対象者の現在の状態を判定してもよい。つまり、状態判定部122は、第1演算処理部11の出力データに含まれる体動データ、心拍測定データ、呼吸測定データ及び加速度データの少なくとも1つのデータに基づいて、対象者の現在の状態を判定する状態判定処理を実行してもよい。要するに、状態判定部122は、直接的に又は間接的に、体動データに基づいて、対象者の現在の状態を判定すればよい。
状態判定部122の判定結果は、状態データとして出力部15に出力される。さらに、第2演算処理部12から出力部15には、第1演算処理部11の出力データ(体動データ、心拍測定データ、呼吸測定データ、加速度データ及び存否データ)も出力される。
記憶部14は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の電気的に書き換え可能な不揮発性メモリ、及びRAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリを含む。記憶部14は、取得部13が取得した体動データ、心拍測定データ及び呼吸測定データ等を記憶する。ここで、記憶部14は、参照期間にわたる体動データを少なくとも記憶する。さらに、記憶部14は、第1演算処理部11の演算結果(加速度データ及び存否データを含む)、及び第2演算処理部12の演算結果(予兆データ及び状態データを含む)等も記憶する。
出力部15は、予兆判定部121の判定結果を出力する。さらに、出力部15は、存在判定部112及び状態判定部122の判定結果を出力する。ここで、出力部15は、例えば、ディスプレイ3及び情報端末4等のデバイスとの通信機能を有している。情報端末4は、例えば、スマートフォン、タブレット端末又はパーソナルコンピュータ等である。出力部15は、第2演算処理部12から入力されたデータを、これらのデバイスに出力する。
すなわち、存在判定部112で生成される存否データ、予兆判定部121で生成される予兆データ、及び状態判定部122で生成される状態データが、出力部15からディスプレイ3及び情報端末4等に出力される。出力部15は、存在判定部112、予兆判定部121又は状態判定部122の判定結果に変化があったときに判定結果を出力してもよいし、例えば、情報端末4から要求があったときに判定結果を出力してもよい。
その結果、ディスプレイ3及び情報端末4等で、管理人に対して、存在判定部112の判定結果、予兆判定部121の判定結果及び状態判定部122の判定結果が提示される。管理人は、ディスプレイ3及び情報端末4等で、存在判定部112、予兆判定部121及び状態判定部122の判定結果を確認できる。ディスプレイ3及び情報端末4での提示の態様は、例えば、表示、音声出力、プリントアウト(印刷)、非一時的記録媒体への書き込み、及び他の情報端末への送信等のいずれであってもよい。
また、出力部15は、加速度演算部111の演算結果(加速度データ)を出力してもよい。さらに、出力部15は、通信により判定結果をディスプレイ3及び情報端末4等のデバイスに出力する構成に限らない。例えば、出力部15自体が、表示、音声出力、プリントアウト(印刷)、非一時的記録媒体への書き込み、及び情報端末への送信等により判定結果を出力してもよい。
(2.2)動作
(2.2.1)全体的な動作
本実施形態に係るセンサ信号処理システム1及びそれを備える事象予測システム10の全体的な動作について図3のフローチャートを参照して説明する。
取得部13は、定期的に又は不定期に、体動データを測定装置2から取得する取得処理を実行する(S1)。本実施形態では一例として、取得部13は、1秒ごとに、体動データ、心拍測定データ及び呼吸測定データを測定装置2から取得する。取得部13は、測定装置2から取得したデータ(体動データ、心拍測定データ及び呼吸測定データ)を第1演算処理部11に出力する。ここで、測定装置2は、1秒ごとに体動データを更新し、5秒ごとに心拍測定データ及び呼吸測定データを更新していると仮定する。したがって、取得部13が測定装置2から取得した心拍測定データ及び呼吸測定データは、5秒ごとに更新される。
第1演算処理部11は、取得部13からデータ(体動データ、心拍測定データ及び呼吸測定データ)が入力されると、これらデータについてノイズカット、及び移動平均演算等の前置処理を実行する(S2)。第1演算処理部11は、前置処理後のデータを記憶部14に記憶する。
第1演算処理部11は、前置処理後の体動データ等に基づいて、加速度演算部111にて加速度演算処理を実行し、加速度を示す加速度データを求める(S3)。加速度演算処理について詳しくは「(2.2.2)加速度演算処理」の欄で説明する。
次に、第1演算処理部11は、前置処理後の体動データ等に基づいて、存在判定部112にて存在判定処理を実行し、時系列分析によって対象空間100における対象者の存否を判定する(S4)。
存在判定処理の結果、対象空間100に対象者が存在すると判定されれば(S5:Yes)、第2演算処理部12は、前置処理後の体動データ等に基づいて、予兆判定部121にて予兆判定処理を実行し、特定事象の発生の予兆を判定する(S6)。予兆判定処理について詳しくは「(2.2.3)予兆判定処理」の欄で説明する。
次に、第2演算処理部12は、前置処理後の体動データ等に基づいて、状態判定部122にて状態判定処理を実行し、対象者の現在の状態を判定する(S7)。
そして、出力部15は、存在判定部112の判定結果、予兆判定部121の判定結果及び状態判定部122の判定結果を出力する、出力処理を実行する(S8)。また、存在判定処理の結果、対象空間100に対象者が存在しない(不在)と判定されれば(S5:No)、予兆判定処理及び状態判定処理がスキップされ、出力処理に移行する。この場合には、出力部15は、出力処理にて存在判定部112の判定結果のみを出力する。
センサ信号処理システム1及びそれを備える事象予測システム10は、例えば、1秒間隔で、ステップS1からステップS8までの処理を行う。
ただし、図3に示す処理の順番は一例に過ぎず、処理の順番は適宜変更可能である。
(2.2.2)加速度演算処理
加速度演算部111が行う加速度演算処理(図3のS3)について説明する。
加速度演算処理では、加速度演算部111は、時系列に並ぶ複数の体動データに微分処理を施すことにより加速度を求める。具体的には、加速度演算部111は、記憶部14に記憶されている時系列に並ぶ複数の体動データに対して微分演算を行うことで、所定期間に生じた対象者の身体の動きについての加速度を求める。
すなわち、加速度は、対象者の身体の少なくとも一部に動きがあった場合における、対象者の身体の少なくとも一部の速度(移動速度)変化の時間に対する割合である。一方、体動データは、対象者の動きの速度を反映したデータである。そこで、加速度演算処理では、加速度演算部111は、体動データの微分値を加速度として求め、加速度データを生成する。これにより、体動データが反映する対象者の動きの速度の時間が無い、つまり動きの速度が一定である場合には、加速度演算処理で求まる加速度はゼロとなる。体動データが反映する対象者の動きの速度の時間変化が大きいほど、加速度演算処理で求まる加速度は大きくなる。
図4は、加速度演算処理の具体例を示すフローチャートである。
図4に示すように、加速度演算処理が開始すると、加速度演算部111は、時系列に並ぶ複数の体動データのうち、隣接する2つの体動データ間の時間差dtを演算する(S31)。ここでは、所定のタイミング「t」で取得された体動データ、及び所定のタイミングの1つ前のタイミング「t-1」で取得された体動データに着目する。この場合、加速度演算部111は、所定のタイミング「t」に相当する「時間(t)」と、その1つ前のタイミング「t-1」に相当する「時間(t-1)」との差分を、時間差dtとする。
次に、加速度演算部111は、隣接する2つの体動データ間における、体動データの値(大きさ)の変化量dvを演算する(S32)。このとき、加速度演算部111は、所定のタイミング「t」で取得された「体動(t)」と、その1つ前のタイミング「t-1」で取得された「体動(t-1)」との差分を、変化量dvとする。
次に、加速度演算部111は、変化量dvを時間差dtで除することにより、加速度データを演算する(S33)。これにより、加速度演算部111では、加速度の絶対値を特定でき(S34)、さらに加速度の正/負(符号)を特定できる(S35)。加速度の絶対値は、対象者の動きの大きさに相当する。加速度の正/負は、対象者の移動する向き(センサ21に対して身体が近づく向き又は離れる向き)及び対象者の加速/減速に依存する。
ただし、図4に示す処理の順番は一例に過ぎず、処理の順番は適宜変更可能である。
ここで、微分処理の対象となる体動データは、前置処理前の体動データであってもよいし、例えば、ノイズカット及び移動平均演算等の前置処理後の体動データであってもよい。前置処理後の体動データを用いて加速度演算処理が実行されることで、ノイズの影響を小さく抑えることができる。
(2.2.3)予兆判定処理
予兆判定部121が行う予兆判定処理(図3のS6)について説明する。
予兆判定処理では、予兆判定部121は、過去の参照期間に取得された体動データに基づいて、特定事象の発生の予兆を判定する。具体的には、予兆判定部121は、記憶部14に記憶されている時系列に並ぶ複数の体動データについて、大きさ、変動量、変化の頻度及び変化の時間帯等を解析し、解析結果から特定事象の発生の予兆を判定する。
すなわち、特定事象が発生する前には、対象者の体動データに特徴的な傾向が現れることが多い。特に、体動データの時系列データには、特徴的な傾向が現れやすい。そこで、予兆判定処理では、予兆判定部121は、体動データの時系列データについて、平均値(大きさ)、変動量、変化の頻度及び変化の時間帯等の解析を行い、特定事象の発生の予兆を判定し、予兆データを生成する。これにより、例えば、体動データの平均値が継続的に著しく低下する等、特徴的な傾向が現れた場合に、予兆判定処理では、ターミナルケアの発生の予兆が有ると判定される。
図5は、予兆判定処理の具体例を示すフローチャートである。
図5に示すように、予兆判定処理が開始すると、予兆判定部121は、まず各種の変数を設定する(S61)。このとき設定される変数は、体動データ等の統計値と対比される閾値V1、予兆判定の開始日、集計期間、及び後述する規定値N1等を含む。
次に、予兆判定部121は、開始日以降の集計期間における、体動データ等の統計値を算出する(S62)。本開示でいう「統計値」は、集計期間における体動データ等(加速度データを含む)の時系列データから統計的に求まる値であって、例えば、体動データ等の平均値(移動平均値)、中央値、最頻値、最小値及び分散等である。
予兆判定部121は、算出した統計値を閾値V1と比較する(S63)。統計値が閾値V1未満であれば(S63:Yes)、予兆判定部121は、アラートフラグの値を「0」から「1」に変更する(S64)。さらに、予兆判定部121は、集計期間内において、値が「1」であるアラートフラグの累計値を算出する(S65)。
予兆判定部121は、算出したアラートフラグの累計値を規定値N1と比較する(S66)。累計値が規定値N1と等しければ(S66:Yes)、予兆判定部121は、特定事象の「予兆有り」と判定する(S67)。一方、統計値が閾値V1以上である場合(S63:No)又は累計値が規定値N1未満である場合(S66:No)、予兆判定部121は、特定事象の「予兆無し」と判定する(S68)。
ただし、図5に示す処理の順番は一例に過ぎず、処理の順番は適宜変更可能である。
図5に示すフローチャートは、例えば、入院を要する病気等の長期的(一例として数日~数週間以上)に発生する特定事象についての予兆判定処理を示している。ただし、この種の特定事象に限らず、例えば、寝ている状態からの起き上がり(離床)等の短期的(一例として数分~数時間以下)に発生する特定事象についての予兆判定処理も実現可能である。短期的(一例として数分~数時間以下)に発生する特定事象については、例えば、統計値を閾値V1と比較する処理(S63)での不等号の向きが、図5の例とは反対になる。さらに、長期的な特定事象と短期的な特定事象とのいずれを予兆判定処理の特定事象とするかは、例えば、処理S61で設定される参照期間の長さを変更することで、切替可能である。一例として、参照期間が60日に設定されると、予兆判定部121は、60日周期の変化点から、長期的な特定事象の発生の予兆の有無を判定できる。一方、参照期間が10秒に設定されると、予兆判定部121は、10秒周期の変化点から、短期的な特定事象の発生の予兆の有無を判定できる。
次に、一例として、図6に例示するケースでの予兆判定処理について説明する。図6は、横軸を時間軸、縦軸を体動データの平均値(移動平均値)とした、体動データの変化を表すグラフである。図6において、横軸は1目盛が「5日」に相当する。
図6の例では、時点t1以前は、体動データの平均値が閾値V1以上を維持しているのに対し、時点t1以降、体動データの平均値が閾値V1未満となる。言い換えれば、時点t1にて、体動データの平均値が閾値V1を下回ることで、時点t1以前とは異なる傾向が現れている。この例の被験者(対象者)においては、時点t1から数日後に、入院を要する病気にかかっている。つまり、入院を要する病気という特定事象の予兆が、時点t1にて、対象者の体動データの特徴的な傾向として現れている。
特に、本実施形態では、上述のように、予兆判定部121は、体動データを基にした対象者の身体活動量の変化に基づいて、予兆を判定することが可能である。ここにおいて、運動方程式(F=ma)より、加速度と質量との積が力(F)であり、対象者の全身を使った身体活動においては、対象者の体重が質量に相当する。対象者の体重の増減が無視できる程度と仮定すると、加速度は、身体活動において対象者が発揮した筋力に相当すると考えられる。よって、加速度演算部111で求められた加速度は、身体活動の強さに相当することになり、一定期間における身体活動量は、一定期間における加速度の累積値で表される。そこで、本実施形態では、予兆判定処理において、予兆判定部121は、加速度演算処理で求まった加速度データに基づいて、特定事象の発生の予兆を判定する。
予兆判定処理における判定条件として、例えば、以下の第1~4条件がある。第1条件は、身体活動量が第1閾値以下となる状態が、第1時間(例えば、数日間又は数週間等)継続することである。第2条件は、第2時間(例えば、数十分間又は数時間等)の間における身体活動量の低下量が第2閾値以上となることである。第3条件は、身体活動量が第3閾値(第1閾値より小さい)以下となることである。第4条件は、睡眠中等の安静時の身体活動量の平均値と、非安静時の身体活動量の平均値と、の差が、第4閾値以下となることである。これらの判定条件を実現するための条件式及びパラメータ(閾値等を含む)等は、例えば、記憶部14に記憶されている。
他の例として、予兆判定処理では、体動データをベクトル値として用いて、特定事象の発生の予兆を判定してもよい。この場合、予兆判定部121は、体動データの平均値等のスカラー量に加えて、「向き」の成分を含むベクトル値としての加速度データを解析する。これにより、予兆判定部121は、例えば、個室50内において個室50から出る向きの対象者の移動が検知された場合に、徘徊又は認知機能の低下等の特定事象の発生の予兆が有ると判定する。
また、予兆判定処理に使用する判定条件(閾値の大きさ、及び期間の長さ等を含む)は、対象者ごとに設定されてもよい。そのため、複数の個室50を有するサービス付き高齢者向け住宅等においては、個室50ごとに、予兆判定処理に使用する判定条件が設定されてもよい。
(3)変形例
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。センサ信号処理システム1と同様の機能は、センサ信号処理方法、(コンピュータ)プログラム又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係るセンサ信号処理方法は、対象者の体動に関する体動データを出力する測定装置2から体動データを取得し(図3のステップS1)、体動データに基づいて、対象者の身体の動きについての加速度を求める(図3のステップS3)。一態様に係るプログラムは、上記センサ信号処理方法をコンピュータシステムに実行させるためのプログラムである。また、事象予測システム10と同様の機能は、事象予測方法、(コンピュータ)プログラム又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係る事象予測方法は、対象者の体動に関する体動データを取得し(図3のステップS1)、体動データに基づいて、対象者に関連する特定事象の発生の予兆を判定する(図3のステップS6)。一態様に係るプログラムは、上記事象予測方法をコンピュータシステムに実行させるためのプログラムである。
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
本開示におけるセンサ信号処理システム1、事象予測システム10、センサ信号処理方法又は事象予測方法の実行主体は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示におけるセンサ信号処理システム1、事象予測システム10、及び、センサ信号処理方法又は事象予測方法の実行主体としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。
また、センサ信号処理システム1における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることはセンサ信号処理システム1に必須の構成ではなく、センサ信号処理システム1の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、センサ信号処理システム1の少なくとも一部の機能は、例えば、サーバ装置及びクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。同様に、事象予測システム10における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは事象予測システム10に必須の構成ではなく、事象予測システム10の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、事象予測システム10の少なくとも一部の機能は、例えば、サーバ装置及びクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。反対に、実施形態1において、複数の装置に分散されている機能、例えば、測定装置2とセンサ信号処理システム1とが、1つの筐体内に集約されていてもよい。
また、対象空間100が設定される施設は、サービス付き高齢者向け住宅、介護施設又は病院等の職員が在住する施設に限らず、保育所等の託児施設であってもよい。この場合、「対象者」は保育される乳幼児又は幼児である。さらに、対象空間100が設定される施設は、一般的な住宅(戸建住宅又は集合住宅)施設であってもよい。この場合、「対象者」は、住宅施設の住人(居住者)である。対象空間100が設定される施設に対象者が一人で居住している状況においては、事象予測システム10の判定結果は、例えば、対象者とは離れて暮らす対象者の家族、又は対象者の住む地域の地域支援者(ケアマネジャー及び生活相談員等)等に通知される。
また、測定装置2は、少なくとも体動データをセンサ信号処理システム1に出力する構成であればよく、体動データ以外のデータ(心拍測定データ及び呼吸測定データ)を出力することは、センサ信号処理システム1に必須の構成でない。
また、測定装置2は、電波式のドップラーセンサに限らず、例えば、超音波を送信する超音波式のドップラーセンサでもよい。さらに、測定装置2は、対象空間100に居る対象者の体動に関する体動データを生成すればよい。そのため、測定装置2は、例えば、周波数変調連続波レーダ方式を用いた電波式センサー、TOF(Time Of Flight)方式又はイメージセンサを用いたセンサ等、ドップラーセンサ以外のセンサであってもよい。さらに、測定装置2は、非接触で対象者の体動に関する体動データを生成する非接触方式のセンサに限らず、例えば、対象者の身体に装着して使用されるウェアラブル端末等の接触式のセンサであってもよい。
また、予兆判定部121は、少なくとも体動データに基づいて特定事象の発生の予兆を判定すればよく、予兆判定部121が加速度データに基づいて特定事象の発生の予兆を判定することは、事象予測システム10に必須の構成ではない。予兆判定部121が加速度データを用いない場合、加速度演算部111は適宜省略可能である。
また、センサ信号処理システム1が取得部13、記憶部14及び出力部15、を備えることは、事象予測システム10に必須の構成ではなく、事象予測システム10は、センサ信号処理システム1とは別に、取得部13、記憶部14及び出力部15を備えてもよい。記憶部14及び出力部15については、事象予測システム10に必須の構成でなく、記憶部14及び出力部15の少なくとも一方が適宜省略されてもよい。
また、加速度演算部111で生成される加速度データは、予兆判定部121及び状態判定部122等で用いられることは必須でなく、例えば、存在判定部112での判定にのみ用いられてもよい。さらに、加速度演算部111の演算結果が出力部15にて出力されるだけでもよい。この場合、予兆判定部121及び状態判定部122については、事象予測システム10に必須の構成でなく、予兆判定部121及び状態判定部122の少なくとも一方が適宜省略されてもよい。
また、測定装置2とセンサ信号処理システム1との間の通信方式は無線通信に限らず、有線通信(電力線搬送通信を含む)でもよい。
また、第1演算処理部11及び第2演算処理部12は、1つのコンピュータシステムで構成されていてもよい。反対に、第1演算処理部11及び第2演算処理部12は、3つ以上のコンピュータシステムで構成されていてもよい。
また、センサ信号処理システム1及び事象予測システム10の一部の処理、例えば、加速度演算処理及び予兆判定処理等について、機械学習等の技術が利用されてもよい。例えば、過去の参照期間に取得された体動データに基づいて、どのような基準で予兆を判定するか、という判定条件において、機械学習等の技術が利用されることが好ましい。
一例として、閾値V1の決定に際して、被験者(対象者)の年齢、身長及び体重等から推定できる基礎代謝量に加えて、測定されている呼吸数又は心拍数等から機械学習を利用して、閾値V1が決定されてもよい。また、閾値V1は一定値に限らず、閾値V1は時間軸に対する勾配を有してもよい。
また、規定値N1又は統計値を算出する時間範囲を、年齢、身長、体重又は食事量等から設定する際に、機械学習を利用してもよい。
実施形態1において、2値の比較において、「以上」としているところは、2値が等しい場合、及び2値の一方が他方を超えている場合との両方を含むが、これに限らず、「より大きい」であってもよい。つまり、2値が等しい場合を含むか否かは、基準値等の設定次第で任意に変更できるので、「より大きい」か「以上」かに技術上の差異はない。同様に、「未満」としているところは「以下」であってもよい。
(実施形態2)
本実施形態に係る事象予測システム10は、予兆判定部121における予兆判定処理の内容が、実施形態1に係る事象予測システム10と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施形態では、予兆判定部121は、予兆を判定する特定事象の種類を区別する。
言い換えれば、予兆判定部121では、単に特定事象の発生の予兆の有無を判定するだけでなく、特定事象の種類まで区別して判定する。すなわち、予兆判定部121は、特定事象の「予兆有り」と判定した場合、対象者に関連して起こり得る種々の事象のうち、いずれの種類の特定事象が「予兆有り」と判定されたかを特定する。
特定事象の種類の一例としては、ターミナルケア、歩行時の転倒、入院を要する病気又は怪我、死亡、認知機能の低下、徘徊、寝ている状態からの起き上がり(離床)、排泄、及び就寝等がある。ただし、特定事象は、ターミナルケア及び歩行時の転倒といった具体的な分類に限らず、例えば、長期的(一例として数日~数週間以上)に発生する事象か短期的(一例として数分~数時間以下)に発生する事象か、といった抽象的な分類でもよい。そのため、予兆判定部121にて生成される予兆データは、特定事象の発生の予兆の有無、及び発生の予兆が有った場合にはその特定事象の種類を表す。
具体的には、予兆判定部121は、特定事象の種類ごとに対応付けられた判定条件を用いて、特定事象の種類まで区別して、特定事象の発生の予兆を判定する。判定条件は、例えば、記憶部14に記憶されている。ここで、予兆判定処理では、判定条件ごとにスコア計算され、複数の判定条件を満たす場合には、例えば、スコアが最も高い判定条件に対応する特定事象が採用されてもよい。
また、予兆判定部121は、特定事象の「予兆有り」と判定した後で、いずれの種類の特定事象が「予兆有り」と判定されたかを特定する構成に限らず、特定事象の種類を区別した上で、特定事象の発生の予兆の有無を判定してもよい。この場合、予兆の有無の判定の対象とする特定事象の絞り込みが可能となる。例えば、ターミナルケアという特定事象を予兆の有無の判定の対象とする場合、認知機能の低下等、対象の特定事象以外の発生の予兆の有無については、予兆判定部121では判定しない。
また、予兆判定処理に使用する判定条件は、対象者の介護度、既往歴及び介護記録等の、事象予測システム10の外部から事象予測システム10に入力される外部情報に関する条件を含んでいてもよい。これにより、予兆判定部121は、介護度、既往歴及び介護記録等の情報に基づき、予兆判定処理の判定精度の向上を図ることができる。
また、上述したような外部情報に基づき、例えば、出力部15において、管理人等に対する、予兆判定部121の判定結果の提示の順序及び態様等を変更してもよい。一例として、出力部15は、複数の対象者について略同時に特定事象の「予兆有り」と判定された場合に、各対象者に関する外部情報に基づいて、優先度の高い対象者から順に、判定結果の提示を行ってもよい。
また、予兆判定部121は、過去の体動データ又は判定結果等に応じて、対象者ごとに予兆判定処理に使用する判定条件を変更してもよい。これにより、予兆判定部121は、対象者ごとに異なる生活リズムの変化、及び体調の変化に合わせて特定事象の発生の予兆を判定でき、予兆判定処理の判定精度の向上を図ることができる。
また、事象予測システム10では、予兆判定処理の判定結果に基づいて、介護者(対象者の介護をする者)が実施したケアの内容、及びケア実施後の対象者の状態の変化等、予兆判定処理の判定結果に起因する事象を、フィードバック情報として使用してもよい。これにより、事象予測システム10では、フィードバック情報に基づいて、例えば、判定結果に対応して実施すべきケアの提案、又は予兆判定処理の判定結果の正否の確認等を実行可能となる。
また、事象予測システム10は、予兆判定処理の判定結果等を、外部介護業務システム等に出力してもよい。さらに、出力部15は、予兆判定処理の判定結果に応じて、予兆判定処理の判定結果の出力先を変更してもよい。これにより、出力部15は、いずれの種類の特定事象が「予兆有り」と判定されたかによって、例えば、医師、看護師又は介護士等、特定事象に合わせて適当な人へ予兆判定処理の判定結果を提示できる。
実施形態2で説明した構成は、実施形態1で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて適用可能である。
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る事象予測システム(10)は、取得部(13)と、予兆判定部(121)と、を備える。取得部(13)は、対象者の体動に関する体動データを取得する。予兆判定部(121)は、体動データに基づいて、対象者に関連する特定事象の発生の予兆を判定する。
この態様によれば、体動データに基づいて、対象者に関連して起こり得る特定事象の発生の予兆、つまり、特定事象が発生する前にあらかじめ現れる「きざし」を判定することができる。したがって、事象予測システム(10)によれば、対象者に関連する特定事象の発生の予兆まで判定可能である、という利点がある。
第2の態様に係る事象予測システム(10)では、第1の態様において、予兆判定部(121)は、過去の参照期間に取得された体動データに基づいて、予兆を判定する。
この態様によれば、過去の参照期間に取得された体動データを用いることで、相対的に予兆を判定できるので、対象者ごとに体動データにばらつきがあっても、予兆の判定精度の低下を抑制できる。
第3の態様に係る事象予測システム(10)では、第1又は2の態様において、予兆判定部(121)は、体動データを基にした対象者の身体活動量の変化に基づいて、予兆を判定する。
この態様によれば、予兆の判定精度の向上を図ることができる。すなわち、特定事象の発生の予兆は対象者の身体活動量の変化に現れやすいので、予兆判定部(121)が、このような身体活動量の変化に基づいて判定を行うことで、判定精度の向上を図ることができる。
第4の態様に係る事象予測システム(10)は、第1~3のいずれかの態様において、存在判定部(112)を更に備える。存在判定部(112)は、体動データに基づいて、対象空間(100)における対象者の存否を判定する。
この態様によれば、体動データを、特定事象の発生の予兆の判定と、対象空間(100)における対象者の存否の判定と、に兼用することができる。
第5の態様に係る事象予測システム(10)は、第1~4のいずれかの態様において、出力部(15)を更に備える。出力部(15)は、予兆判定部(121)の判定結果を出力する。
この態様によれば、予兆判定部(121)の判定結果を、例えば、管理人等に通知することが可能である。
第6の態様に係る事象予測システム(10)では、第1~5のいずれかの態様において、予兆判定部(121)は、予兆を判定する特定事象の種類を区別する。
この態様によれば、特定事象の発生の予兆の有無だけでなく、予兆を判定する特定事象の種類まで区別されるので、予兆判定部(121)の判定結果の解析が容易になる。
第7の態様に係る事象予測方法は、対象者の体動に関する体動データを取得し、体動データに基づいて、対象者に関連する特定事象の発生の予兆を判定する。
この態様によれば、体動データに基づいて、対象者に関連して起こり得る特定事象の発生の予兆、つまり、特定事象が発生する前にあらかじめ現れる「きざし」を判定することができる。したがって、事象予測方法によれば、対象者に関連する特定事象の発生の予兆まで判定可能である、という利点がある。
第8の態様に係るプログラムは、第7の態様に係る事象予測方法を、コンピュータシステムに実行させるためのプログラムである。
この態様によれば、体動データに基づいて、対象者に関連して起こり得る特定事象の発生の予兆、つまり、特定事象が発生する前にあらかじめ現れる「きざし」を判定することができる。したがって、上記プログラムによれば、対象者に関連する特定事象の発生の予兆まで判定可能である、という利点がある。
上記態様に限らず、実施形態1及び実施形態2に係る事象予測システム(10)の種々の構成(変形例を含む)は、事象予測方法、プログラム及びプログラムを記録した非一時的記録媒体にて具現化可能である。
第2~6の態様に係る構成については、第1の態様に係る事象予測システム(10)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
また、第9の態様に係るセンサ信号処理システム(1)は、取得部(13)と、加速度演算部(111)と、を備える。取得部(13)は、測定装置(2)から体動データを取得する。測定装置(2)は、対象者の体動に関する体動データを出力する。加速度演算部(111)は、体動データに基づいて、対象者の身体の動きについての加速度を求める。
この態様によれば、測定装置(2)から取得した体動データに基づいて、対象者の身体の動きについての加速度を求めることができる。運動方程式より、加速度と質量の積が力であり、対象者の全身を使った身体活動においては、対象者の体重が質量に相当する。対象者の体重の増減が無視できる程度と仮定すると、加速度は、身体活動において対象者が発揮した筋力に相当すると考えられる。よって、加速度演算部(111)で求められる加速度は、身体活動の強さに相当することになり、一定期間における身体活動量は、一定期間における加速度の累積値で表される。したがって、センサ信号処理システム(1)では、体動データから加速度を求めることで、身体活動量を定量的に評価でき、身体活動量の検出精度の向上を図ることができる。
第10の態様に係るセンサ信号処理システム(1)では、第9の態様において、加速度演算部(111)は、時系列に並ぶ複数の体動データに微分処理を施すことにより加速度を求める。
この態様によれば、微分処理という比較的簡単な演算により加速度を求めることができ、加速度演算部(111)の処理負荷を軽減できる。
第11の態様に係るセンサ信号処理システム(1)では、第9又は10の態様において、測定装置(2)は、対象者に非接触で体動データを検出する非接触式のセンサ(21)を有する。
この態様によれば、体動データの取得のために対象者の動きを妨げることなく、加速度を求めることができる。
第12の態様に係るセンサ信号処理システム(1)では、第11の態様において、センサ(21)は、電波の送信及び受信を行う電波式のセンサである。
この態様によれば、対象者の微小な動きもセンサ(21)にて検出可能であるので、身体活動量の検出精度の更なる向上を図ることができる。
第13の態様に係るセンサ信号処理システム(1)では、第12の態様において、測定装置(2)は、センサ(21)で送信した電波の周波数と、センサ(21)で受信した電波の周波数と、を比較することにより対象者の移動の速度を求める。
この態様によれば、測定装置(2)にて対象者の移動の速度まで求まるので、センサ信号処理システム(1)では比較的簡単な処理で加速度を求めることが可能である。
第14の態様に係るセンサ信号処理システム(1)は、第9~13のいずれかの態様において、出力部(15)を更に備える。出力部(15)は、加速度演算部(111)の演算結果を出力する。
この態様によれば、加速度演算部(111)の演算結果を、例えば、管理人等に通知することが可能である。
第15の態様に係るセンサ信号処理方法は、対象者の体動に関する体動データを出力する測定装置(2)から体動データを取得し、体動データに基づいて、対象者の身体の動きについての加速度を求める。
この態様によれば、測定装置(2)から取得した体動データに基づいて、対象者の身体の動きについての加速度を求めることができる。運動方程式より、加速度と質量の積が力であり、対象者の全身を使った身体活動においては、対象者の体重が質量に相当する。対象者の体重の増減が無視できる程度と仮定すると、加速度は、身体活動において対象者が発揮した筋力に相当すると考えられる。よって、加速度演算処理で求められる加速度は、身体活動の強さに相当することになり、一定期間における身体活動量は、一定期間における加速度の累積値で表される。したがって、センサ信号処理方法では、体動データから加速度を求めることで、身体活動量を定量的に評価でき、身体活動量の検出精度の向上を図ることができる。
第16の態様に係るプログラムは、第15の態様に係るセンサ信号処理方法を、コンピュータシステムに実行させるためのプログラムである。
この態様によれば、測定装置(2)から取得した体動データに基づいて、対象者の身体の動きについての加速度を求めることができる。運動方程式より、加速度と質量の積が力であり、対象者の全身を使った身体活動においては、対象者の体重が質量に相当する。対象者の体重の増減が無視できる程度と仮定すると、加速度は、身体活動において対象者が発揮した筋力に相当すると考えられる。よって、加速度演算処理で求められる加速度は、身体活動の強さに相当することになり、一定期間における身体活動量は、一定期間における加速度の累積値で表される。したがって、上記プログラムでは、体動データから加速度を求めることで、身体活動量を定量的に評価でき、身体活動量の検出精度の向上を図ることができる。
上記態様に限らず、実施形態1及び実施形態2に係るセンサ信号処理システム(1)の種々の構成(変形例を含む)は、センサ信号処理方法、プログラム及びプログラムを記録した非一時的記録媒体にて具現化可能である。
第10~14の態様に係る構成については、第9の態様に係るセンサ信号処理システム(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
10 事象予測システム
2 測定装置
13 取得部
15 出力部
21 センサ
111 加速度演算部
112 存在判定部
121 予兆判定部

Claims (11)

  1. 対象者の体動に関する体動データを出力する測定装置から前記体動データを取得する取得部と、
    過去の参照期間に取得された前記体動データに基づいて、前記対象者に関連する特定事象の発生の予兆を判定する予兆判定部と、
    前記体動データに基づいて、対象空間における前記対象者の存否を判定する存在判定部と、を備え、
    前記存在判定部は、前記体動データを前記体動データの取得タイミングよりも前に取得された複数個の体動データで表す時系列分析の分析モデルの係数が閾値を超えると、前記対象空間に前記対象者が存在すると判定する
    事象予測システム。
  2. 前記体動データに基づいて、前記対象者の身体の動きについての加速度を求める加速度演算部を更に備え、
    前記予兆判定部は、前記体動データを基にした前記対象者の身体活動量の変化に基づいて、前記予兆を判定する
    請求項1に記載の事象予測システム。
  3. 前記加速度演算部は、時系列に並ぶ複数の前記体動データに微分処理を施すことにより前記加速度を求める
    請求項2に記載の事象予測システム。
  4. 前記加速度演算部の演算結果を出力する出力部を更に備える
    請求項2又は3に記載の事象予測システム。
  5. 前記予兆判定部の判定結果を出力する出力部を更に備える
    請求項1~3のいずれか1項に記載の事象予測システム。
  6. 前記測定装置は、前記対象者に非接触で前記体動データを検出する非接触式のセンサを有する
    請求項1~5のいずれか1項に記載の事象予測システム。
  7. 前記センサは、電波の送信及び受信を行う電波式のセンサである
    請求項6に記載の事象予測システム。
  8. 前記測定装置は、前記センサで送信した電波の周波数と、前記センサで受信した電波の周波数と、を比較することにより前記対象者の移動の速度を求める
    請求項7に記載の事象予測システム。
  9. 前記予兆判定部は、前記予兆を判定する前記特定事象の種類を区別する
    請求項1~8のいずれか1項に記載の事象予測システム。
  10. 対象者の体動に関する体動データを出力する測定装置から前記体動データを取得する取得部と、
    前記体動データに基づいて、前記対象者の身体の動きについての加速度を求める加速度演算部と、
    前記体動データに基づいて、対象空間における前記対象者の存否を判定する存在判定部と、を備え、
    前記存在判定部は、前記体動データを前記体動データの取得タイミングよりも前に取得された複数個の体動データで表す時系列分析の分析モデルの係数が閾値を超えると、前記対象空間に前記対象者が存在すると判定する
    センサ信号処理システム。
  11. 対象者の体動に関する体動データを出力する測定装置から前記体動データを取得し、過去の参照期間に取得された前記体動データに基づいて、前記対象者に関連する特定事象の発生の予兆を判定し、前記体動データを前記体動データの取得タイミングよりも前に取得された複数個の体動データで表す時系列分析の分析モデルの係数が閾値を超えると、対象空間に前記対象者が存在すると判定する事象予測方法を、コンピュータシステムに実行させるための
    プログラム。
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