実施の形態1.
図1は実施の形態1に係るレーダ装置の構成を示す図であり、図2は図1の処理部の機能を実現するハードウェア構成例を示す図である。図3は実施の形態1に係るレーダ装置のアンテナ配置の第一例を示す図であり、図4は図3のアンテナ配置の詳細を示す図である。図5は実施の形態1に係るレーダ装置の測角方法を説明する図であり、図6は実施の形態1に係るレーダ装置の変調パターンの一例を示す図である。図7は図3のアンテナ配置に対応した仮想受信アンテナ群を示す図であり、図8は実施の形態1に係るレーダ装置の処理を示すフローチャートである。図9は、実施の形態1に係るレーダ装置のアンテナ配置の第二例を示す図である。図10は図9のアンテナ配置の詳細を示す図であり、図11は図9のアンテナ配置に対応した仮想受信アンテナ群を示す図である。図12は、実施の形態1に係るレーダ装置のアンテナ配置の第三例を示す図である。図13は図12のアンテナ配置に対応した仮想受信アンテナ群の第一例を示す図であり、図14は図12のアンテナ配置に対応した仮想受信アンテナ群の第二例を示す図である。図15は実施の形態1に係るレーダ装置のアンテナの第一例を示す図であり、図16は実施の形態1に係るレーダ装置のアンテナの第二例を示す図である。図17は実施の形態1に係るレーダ装置のアンテナの第三例を示す図であり、図18は実施の形態1に係るレーダ装置のアンテナの第四例を示す図である。図19は実施の形態1に係るレーダ装置のアンテナの第五例を示す図であり、図20は実施の形態1に係るレーダ装置のアンテナの第六例を示す図である。図21は実施の形態1に係るレーダ装置のアンテナ配置の第四例を示す図であり、図22は図21のアンテナ配置に対応した仮想受信アンテナ群を示す図である。図23は実施の形態1に係るレーダ装置のアンテナ配置の第五例を示す図であり、図24は実施の形態1に係るレーダ装置のアンテナ配置の第六例を示す図である。図25は実施の形態1に係るレーダ装置のアンテナ配置の第七例を示す図であり、図26は図25のアンテナ配置に対応した仮想受信アンテナ群を示す図である。各図において、同一又は相当する構成については、同一符号を付して示し、重複する説明については省略する。
実施の形態1のレーダ装置1は、処理部11、送信回路12、受信回路13、複数の送信アンテナTx1、Tx2、及び、複数の受信アンテナRx1、Rx2、Rx3、Rx4を備えている。これらTx1、Tx2、Rx1、Rx2、Rx3、Rx4のように一つのアンテナとして処理する構成単位をチャンネルと呼ぶこととする。以下では、送信アンテナTx1、Tx2をまとめて呼ぶ場合は、送信アンテナTxと呼び、同様に、受信アンテナRx1、Rx2、Rx3、Rx4をまとめて呼ぶ場合は、受信アンテナRxと呼ぶこととする。
レーダ装置1は、移動体に搭載される。移動体が車両の場合、レーダ装置1は、車両のECU(Electronic Control Unit)2に接続される。
なお、図1に示したレーダ装置1では、送信アンテナTxの個数が2個、受信アンテナRxの個数が4個の場合を例として挙げている。しかしながら、実施の形態1のレーダ装置1は、図12に示したレーダ装置1のアンテナ配置の第三例のように、隣接するアンテナ間のアンテナ間隔D1が予め定められた基本距離である距離dで配置された2個の送信アンテナ又は受信アンテナである第一アンテナAt1a、At1bを備え、第一アンテナと逆動作の第二アンテナが2以上の任意のチャンネル数を持つ構成であればよい。第一アンテナが送信アンテナTxの場合は第二アンテナが受信アンテナRxであり、第一アンテナが受信アンテナRxの場合は第二アンテナが送信アンテナTxである。図12では、4個の第二アンテナAt2a、At2b、At2c、At2dを備えた例を示した。第一アンテナAt1a、At1bをまとめて呼ぶ場合は、第一アンテナAt1と呼び、同様に、第二アンテナAt2a、At2b、At2c、At2dをまとめて呼ぶ場合は、第二アンテナAt2と呼ぶこととする。
レーダ装置1は、送信回路12で生成した送信信号を送信アンテナTx1又は送信アンテナTx2から対象物体33に向けて放射する(図5参照)。当該送信信号は、検出対象である対象物体33で反射される。反射された信号である反射信号は、受信アンテナRxで受信される。受信された信号は、受信信号として、受信回路13を介して、処理部11に入力される。処理部11は、当該受信信号を信号処理することで、対象物体33までの距離、対象物体33の相対速度、及び、対象物体33が存在する角度(以下、対象物体の距離、相対速度、及び、角度と呼ぶ)を算出する。以下、レーダ装置1の各部の構成について説明する。
処理部11は、レーダ装置1を構成する送信アンテナTx、受信アンテナRx、送信回路12、受信回路13などの各部の動作を制御する。また、処理部11は、送信アンテナTxから送信される送信信号を生成し、受信アンテナRxで受信された受信信号を信号処理することで、対象物体の距離、相対速度、及び、角度を算出する。
処理部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)機能を有するワンチップマイコン、あるいは、FPGA(Field-Programmable Gate Array)のようなPLD(Programmable Logic Device)から構成されるプロセッサ98と、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)から構成されるメモリ99とを備えて構成される。処理部11の機能は、プロセッサ98がメモリ99に記憶されたプログラムを実行することにより、実現される。また、複数のプロセッサ98及び複数のメモリ99が連携して各機能を実行してもよい。処理部11の動作の詳細については、後述する。
送信回路12は、電圧生成回路121、電圧制御発振器122、分配回路123、及び、送信切替スイッチ124を備えて構成される。電圧生成回路121は、処理部11が制御するタイミングで、所望の電圧波形を生成する。電圧制御発振器122は、電圧生成回路121で生成された電圧波形に基づいて、送信信号を生成して発振する。図6に送信信号の変調パターン61の一例を示した。所望の電圧波形は、設計により設定された電圧波形すなわち設計された電圧波形である。
分配回路123は、電圧制御発振器122から発振された送信信号を適宜増幅する。分配回路123は、増幅した送信信号を、送信切替スイッチ124に対して出力すると共に、受信回路13に設けられた後述する混合器131、132、133、134に対して出力する。
送信切替スイッチ124は、送信アンテナTx1と送信アンテナTx2とに接続されており、処理部11の制御により、出力先を送信アンテナTx1と送信アンテナTx2との間で切替える。従って、分配回路123から出力された送信信号は、電磁波からなるビームとして、送信切替スイッチ124の状態に応じて、送信アンテナTx1又はTx2から放射される。
放射された電磁波は、対象物体33で反射される。対象物体33で反射された電磁波は、受信アンテナRx1、Rx2、Rx3、Rx4でそれぞれ受信される。受信アンテナRx1、Rx2、Rx3、Rx4で受信された受信信号は、受信回路13に入力される。
受信回路13は、混合器131、132、133、134、フィルタ回路141、142、143、144、及び、アナログデジタル変換器151、152、153、154を備えて構成されている。アナログデジタル変換器は、適宜ADC(Analog-to-Digital Converter)とする。
混合器131、132、133、134、フィルタ回路141、142、143、144、及び、ADC151、152、153、154は、それぞれ、各受信アンテナRx1、Rx2、Rx3、Rx4に対して1つずつ設けられている。
混合器131、132、133、134には、各受信アンテナRx1、Rx2、Rx3、Rx4で受信された受信信号が入力される。また、前述したように、混合器131、132、133、134には、送信回路12の分配回路123から送信信号が入力される。各混合器131、132、133、134は、それぞれ、各受信アンテナRx1、Rx2、Rx3、Rx4で受信した受信信号と、送信回路12の分配回路123から入力された送信信号とを混合して出力する。
フィルタ回路141、142、143、144は、所望の周波数帯域の信号を抽出するバンドパスフィルタ、及び、信号を増幅する増幅回路を備えて構成されている。フィルタ回路141、142、143、144は、それぞれ、混合器131、132、133、134から出力された混合波から、所望の周波数帯域の信号のみを抽出して増幅し、受信信号電圧として出力する。所望の周波数帯域は、設計により設定された周波数帯域すなわち設計された周波数帯域である。
ADC151、152、153、154は、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換を行う変換器を備えて構成されている。ADC151、152、153、154は、処理部11が制御するタイミングで、フィルタ回路141、142、143、144から出力された受信信号電圧をA/D変換してデジタル電圧データに変換する。デジタル電圧データは、処理部11に入力され、処理部11のメモリ99内に記憶され、後述する演算処理で使用される。
次に、送信アンテナTx及び受信アンテナRxについて説明する。送信アンテナTx1、Tx2、及び、受信アンテナRx1、Rx2、Rx3、Rx4は、それぞれ、複数の素子アンテナ19及び給電回路25を備えており、図3、図4に示されるように、平面状に配置されている。素子アンテナ19は、例えばパッチアンテナである。
送信アンテナTx及び受信アンテナRxは、基板23の表面に配置されている。送信アンテナTx及び受信アンテナRxは、図4のように同一の基板23に配置してもよいし、あるいは、図24のように送信アンテナTxを1つの基板に配置し、受信アンテナRxを別の1つの基板に配置するようにしてもよい。図24では、送信アンテナTxが基板23aに配置され、受信アンテナRxが基板23bに配置されている例を示した。
実施の形態1のレーダ装置1においては、各送信アンテナTx及び各受信アンテナRxは、それぞれ、複数の素子アンテナ19の組み合わせによって形成されている。例えば、図3、図4のアンテナ配置の第一例において、白い四角形を1個の素子アンテナ19とすると、各送信アンテナTxは、それぞれ、4個の素子アンテナ19から構成されている。また、各受信アンテナRxは、それぞれ、4個の素子アンテナ19から構成されている。なお、素子アンテナ19の個数は、4個に限定されず、適宜、任意の個数に設定してよい。
送信アンテナTx1及び送信アンテナTx2は、互いにほぼ同じ放射特性を持つように設計されている。同様に、受信アンテナRx1、Rx2、Rx3、Rx4は、互いにほぼ同じ放射特性を持つように設計されている。ほぼ同じ放射特性とは、許容される差の範囲内の放射特性である。但し、送信アンテナTxの放射特性と受信アンテナRxの放射特性とは互いに異なっていてもよい。なお、送信アンテナTxから放射される電波の放射方向は、基板23の平面すなわち表面又は裏面に対して垂直な方向である。図4において紙面に垂直な方向である。
送信アンテナTx1は、位相中心Ct1を通過する位相中心線28aに沿って配置された複数の素子アンテナ19を備えている。送信アンテナTx2は、位相中心Ct2を通過する位相中心線28bに沿って配置された複数の素子アンテナ19を備えている。送信アンテナTxの複数の素子アンテナ19が位相中心を通過する位相中心線に沿って配置されている。受信アンテナRx1、Rx2、Rx3、Rx4も送信アンテナTxと同様に、それぞれの複数の素子アンテナ19が位相中心を通過する位相中心線に沿って配置されている。受信アンテナRx1は位相中心Cr1を通過する位相中心線27aに沿って配置された複数の素子アンテナ19を備えており、受信アンテナRx2は位相中心Cr2を通過する位相中心線27bに沿って配置された複数の素子アンテナ19を備えている。受信アンテナRx3は位相中心Cr3を通過する位相中心線27cに沿って配置された複数の素子アンテナ19を備えており、受信アンテナRx4は位相中心Cr4を通過する位相中心線27dに沿って配置された複数の素子アンテナ19を備えている。送信アンテナTx、受信アンテナRxのそれぞれの位相中心線の延伸方向は、複数の素子アンテナ19の延伸方向でもある。
図3、図4に示すように、送信アンテナTxは、互いに平行になるようにすなわち位相中心線が平行になるように、基板23の表面に並んで配置されている。以下では、送信アンテナTxの配列方向を、第一配列方向dr1と呼ぶ。第一配列方向dr1は、送信信号の送信方向に垂直な方向であり、位相中心線28a、28bに垂直な方向である。また、レーダ装置1の所望の視野範囲に応じて定められる後述する或る距離を、距離dとすると、2個の送信アンテナTx1と送信アンテナTx2との間の送信アンテナ間隔Dtxすなわち位相中心線28aと位相中心線28bとの間隔は、距離dと等しい間隔となっている。所望の視野範囲は、要求される視野範囲を満たすように設計により設定された視野範囲すなわち設計された視野範囲である。
また、図3、図4に示すように、受信アンテナRxは、互いに平行になるようにすなわち位相中心線が平行になるように、基板23の表面に並んで配置されている。以下では、受信アンテナRxの配列方向を、第二配列方向dr2と呼ぶ。第二配列方向dr2は、送信信号の送信方向に垂直な方向であり、位相中心線27a~27dに垂直な方向である。第一配列方向dr1と第二配列方向dr2とは互いに平行になっている。図3、図4では、送信アンテナTxの位相中心Ct1、Ct2と受信アンテナRxの位相中心Cr1、Cr2、Cr3、Cr4が同一軸上に配置されている例を示した。送信アンテナTx1、Tx2は第一配列方向dr1の正側に向かって順に配置されており、受信アンテナRx1、Rx2、Rx3、Rx4は第二配列方向dr2の正側に向かって順に配置されている。図3、図4では、各受信アンテナRx1、Rx2、Rx3、Rx4の隣接する受信アンテナ間隔Drxは、距離dの2倍すなわち2dとなっている。
送信アンテナTx1、Tx2は、各素子アンテナ19へ電力を給電する給電回路25を備えている。同様に、受信アンテナRx1、Rx2、Rx3、Rx4は、各素子アンテナ19へ電力を給電する給電回路25を備えている。図3、図4では、給電回路25の例として各素子アンテナ19への配線長が等しくなるように形成される並列給電方式の給電回路を示した。送信アンテナTx1、Tx2は給電回路25が第一配列方向dr1の正側又は負側に配置されており、受信アンテナRx1、Rx2、Rx3、Rx4は給電回路25が第二配列方向dr2の正側又は負側に配置されている。送信アンテナTx1、Tx2は、他の送信アンテナと隣接する領域に給電回路25が配置されないように、素子アンテナ19が対向するように配置されている。受信アンテナRx1、Rx2、Rx3、Rx4は、他の受信アンテナと隣接する領域に給電回路25が配置されており、素子アンテナ19が対向しないように配置されている。ここで、アンテナ間隔が距離d以下になっているアンテナの組を含むアンテナ群を第一アンテナ群Gr1とし、アンテナ間隔が距離d以下になっているアンテナの組を含まないアンテナ群を第二アンテナ群Gr2とする。図3、図4に示したアンテナ配置の第一例では、送信アンテナTx1、Tx2が第一アンテナ群Gr1のアンテナであり、受信アンテナRx1、Rx2、Rx3、Rx4が第二アンテナ群Gr2のアンテナである。
実施の形態1のレーダ装置1においては、送信アンテナTxと受信アンテナRxとは、仮想受信アンテナを形成している。仮想受信アンテナとは、MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術によって形成される仮想の受信アンテナを指す。一般に、第一間隔で配置された複数の送信アンテナと、第一間隔よりも狭い第二間隔で配置された複数の受信アンテナとで構成されることが多く、各送信アンテナからの送信信号を各受信アンテナで受信して信号処理を施すことで、間隔が広い送信アンテナ間を受信アンテナで補間するように構成される。複数の仮想受信アンテナによって仮想受信アンテナ群が構成される。このような複数の仮想受信アンテナを形成しているレーダ装置では、仮想受信アンテナの数が受信アンテナ数×送信アンテナ数となり、送信アンテナが1個の場合と比べて少ない個数の受信アンテナで所望のアンテナ指向性を実現することができる。所望のアンテナ指向性は、設計により設定されたアンテナ指向性すなわち設計されたアンテナ指向性である。
図3、図4のアンテナ配置の第一例における送信アンテナTx及び受信アンテナRxで形成される仮想受信アンテナ群50を図7に示した。仮想受信アンテナ群50は、複数の仮想受信アンテナを備えており、複数の仮想受信アンテナから構成されている。2個の送信アンテナTx1、Tx2と、4個の受信アンテナRx1、Rx2、Rx3、Rx4により、8個の仮想受信アンテナVR1、VR2、VR3、VR4、VR5、VR6、VR7、VR8が形成される。実施の形態1のレーダ装置1においては、仮想受信アンテナVR1、VR2、VR3、VR4、VR5、VR6、VR7、VR8における隣接アンテナ間隔が距離dで等間隔になるように構成される。なお、各仮想受信アンテナは、円で表示した。円の中心は、送信アンテナTx、受信アンテナRxの位相中心に相当する。仮想受信アンテナVR1~VR8をまとめて呼ぶ場合は、仮想受信アンテナVRと呼び、仮想受信アンテナVRの配列方向を、第三配列方向dr3と呼ぶ。仮想受信アンテナ群50の各仮想受信アンテナは、等間隔の距離dで、第三配列方向dr3に配列されている。図3、図4のアンテナ配置の第一例では送信アンテナTx、受信アンテナRxの位相中心が同一軸上に配置されているので、仮想受信アンテナ群50の各仮想受信アンテナVRは同一軸上に配置されている。第三配列方向dr3は、送信信号の送信方向に垂直な方向であり、第一配列方向dr1及び第二配列方向dr2に平行な方向である。
図7の例では、仮想受信アンテナVR1、VR2、VR3、VR4、VR5、VR6、VR7、VR8が、それぞれ第三配列方向dr3の正側に向かって、VR1、VR5、VR2、VR6、VR3、VR7、VR4、VR8の順で配置されることとなる。これらの仮想受信アンテナ群50のうち、実線円で示したVR1、VR2、VR3、VR4が送信アンテナTx1で送信して受信アンテナRx1、Rx2、Rx3、Rx4で受信した信号で形成される仮想受信アンテナであり、破線円で示したVR5、VR6、VR7、VR8が送信アンテナTx2で送信して受信アンテナRx1、Rx2、Rx3、Rx4で受信した信号で形成される仮想受信アンテナである。
次に、距離dの決定方法、並びに、送信アンテナTxにおける隣接する送信アンテナ間の間隔である送信アンテナ間隔Dtx、受信アンテナRxにおける隣接する受信アンテナ間の間隔である受信アンテナ間隔Drx、及び、仮想受信アンテナ群50における隣接する仮想受信アンテナVR間の間隔である仮想受信アンテナ間隔Dvrの決定方法について説明する。
前述したように、図3、図4に示したアンテナ配置の第一例では、送信アンテナTx1と送信アンテナTx2との送信アンテナ間隔Dtxが距離dで第一配列方向dr1に配置されており、各受信アンテナRx1、Rx2、Rx3、Rx4の隣接する受信アンテナ間隔Drxは、距離dの2倍すなわち2dで第二配列方向dr2に配置されている。
実施の形態1のレーダ装置1においては、処理部11の制御により、例えば後述する図6に示す変調パターン61に従って、送信アンテナTx1と送信アンテナTx2とから交互に送信信号を放射するとする。このとき、レーダ装置1は、送信アンテナTx1から送信して受信アンテナRx1、Rx2、Rx3、Rx4で受信した信号の4チャンネルと、送信アンテナTx2から送信して受信アンテナRx1、Rx2、Rx3、Rx4で受信した信号の4チャンネルとを含む、合計8チャンネル分の仮想受信チャンネルの信号を受信することができる。仮想受信チャンネルは、図7に示す通り、仮想受信アンテナVR1、VR2、VR3、VR4、VR5、VR6、VR7、VR8でそれぞれ受信される合計8チャンネルである。仮想受信アンテナVR1、VR2、VR3、VR4、VR5、VR6、VR7、VR8の仮想受信チャンネルは、仮想受信チャンネルVRC1、VRC2、VRC3、VRC4、VRC5、VRC6、VRC7、VRC8とする。
前述したように、実施の形態1のレーダ装置1では、仮想受信アンテナVR1、VR2、VR3、VR4、VR5、VR6、VR7、VR8の仮想受信アンテナ間隔Dvrを、距離dに設定した。距離dは、レーダ装置1の視野範囲において、グレーティングローブを発生しないように決定される値である。一般に、電波の波長をλとした場合に、第三配列方向dr3にλ/2間隔で複数の仮想受信アンテナVRで配置すれば、第三配列方向dr3に垂直な方向すなわち放射方向に対してビームを±90°範囲内に振ったとしても、グレーティングローブを生じないようなアンテナ(仮想受信アンテナ群50)を設計できる。レーダ装置1の視野範囲を、曖昧さなく測角可能な視野範囲すなわち高精度の測角可能な視野範囲として考えることもできる。すなわち、距離dをλ/2にすることで、グレーティングローブが発生しない高精度の測角ができる±90°範囲の視野範囲を有するレーダ装置を実現することができる。
例えば、位相モノパルス方式のレーダ装置を考える。この場合、図5に示す通り、例えば、或る2個の仮想受信アンテナVR1とVR5との間の仮想受信アンテナ間隔Dvrをd、送信信号の波長をλ、当該2個の仮想受信アンテナVR1とVR5との間の位相差をφとすると、位相差φと対象物体33の角度θとには、以下の関係が成り立つ。ここで、角度θは、図5に示すように、送信信号の放射方向をθ=0とした場合の対象物体33の角度である。
φ=(2πd/λ)・sinθ ・・・(1)
θ=sin-1(φλ/2πd) ・・・(2)
いま、位相差φは±πの範囲になる。そのため、距離dが大きい場合は、レーダ装置1の視野範囲、すなわち、測角できる角度θの範囲が狭くなる。一方、距離dが小さい場合は、レーダ装置1の視野範囲、すなわち、測角できる角度θの範囲が広くなる。式(1)及び式(2)から明らかなように、例えば、-90°≦θ≦+90°の視野範囲内の角度θを測角するためには、距離dをd≦λ/2の範囲になるように設定する必要がある。
このように、距離dは、レーダ装置1に要求される所望の視野範囲、すなわち、測角したい角度θの範囲に応じて定められる値である。言い換えれば、隣接する仮想受信アンテナVR間の仮想受信アンテナ間隔Dvrが距離dよりも大きい場合には、レーダ装置1の所望の広い視野範囲を確保することができない。従って、レーダ装置1の所望の広い視野範囲での測角処理を実現したい場合には、隣接する仮想受信アンテナVR間の仮想受信アンテナ間隔Dvrが、距離d以下の間隔になるように設定する必要がある。隣接する仮想受信アンテナVR間の仮想受信アンテナ間隔Dvrが距離dで等間隔になるように設定する場合は、必要な値で最大になるので送信アンテナTx、受信アンテナRxの給電回路25の配置、素子アンテナ19のサイズ等の自由度を増すことができる。
また、距離dは、式(2)の関係から、送信信号の波長λによっても変化する。そのため、送信信号の波長λが可変の場合には、距離dはレーダ装置1の所望の視野範囲及び送信信号の波長λに基づいて決定される。
次に、レーダ装置1の動作について説明する。まず、送信回路12において、電圧生成回路121が、処理部11が制御するタイミングで、所望の電圧波形を生成する。電圧制御発振器122は、生成された電圧波形に基づいて、送信信号を生成して出力する。分配回路123は、当該送信信号を、送信切替スイッチ124に出力するとともに、受信回路13の混合器131、132、133、134に出力する。当該送信信号は、送信切替スイッチ124の状態に応じて、送信アンテナTx1又はTx2から放射される。
放射された送信信号は対象物体33で反射される。対象物体33から反射された送信信号である反射信号は、各受信アンテナRx1、Rx2、Rx3、Rx4で受信され、受信信号として、受信回路13に入力される。
受信回路13では、各受信アンテナRx1、Rx2、Rx3、Rx4に対して、混合器131、132、133、134、フィルタ回路141、142、143、144、及び、ADC151、152、153、154が、それぞれ、接続されている。
受信回路13では、各混合器131、132、133、134が、分配回路123からの送信信号と、受信アンテナRx1、Rx2、Rx3、Rx4からの受信信号とを混合する。次に、フィルタ回路141、142、143、144が、混合された信号から、所望の周波数帯域の信号のみを抽出する。ADC151、152、153、154は、処理部11が制御するタイミングで、フィルタ回路141、142、143、144の出力である受信信号電圧をA/D変換してデジタル電圧データを得る。当該デジタル電圧データは、処理部11に入力され、メモリ99に記憶される。処理部11は、メモリ99から当該デジタル電圧データを読み出して、後述する演算処理で使用する。
次に、処理部11の動作の詳細について説明する。実施の形態1のレーダ装置1が例えば、FCM(Fast Chirp Modulation)方式で、送信アンテナTx1、Tx2を時間的に切替えて送信するようなレーダ装置(時分割MIMO)の場合を説明する。なお、実施の形態1のレーダ装置1は、FCM方式のレーダ方式に限定されるものではなく、FM-CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式、パルス・ドップラー方式など、種々のレーダ方式に適用が可能である。
図6に、FCM方式で、送信アンテナTx1、Tx2を時間的に切替えて送信する場合の変調パターンの例を示す。図6に示す通り、FCM方式では、周波数が一定の傾きで上昇(アップ)又は下降(ダウン)する変調を行った電磁波を繰り返し送信する。横軸は時間であり、縦軸は送信信号の電圧である。以下、1つの変調をチャープと呼び、繰り返し送信するチャープの固まりをチャープシーケンスと呼ぶ。周期Tcでチャープシーケンスを繰り返している。図6は、ダウンチャープで構成されるチャープシーケンスの例を示している。この例では、時分割MIMOの一例として、チャープ毎に送信アンテナをTx1とTx2との間で切替えて送信を行っている。また、チャープの数は、送信アンテナTx1、Tx2あわせてN個としている。
図6では、変調パターン61と共に送信切替スイッチによる送信する送信アンテナ、チャープ番号を示した。各チャープシーケンスにおいて、初めのチャープすなわちチャープ番号が1のチャープでは送信アンテナTx1から変調パターン61のチャープを送信している。チャープ番号が2のチャープでは送信アンテナTx2から変調パターン61のチャープを送信している。チャープ番号が奇数の場合に送信アンテナTx1から変調パターン61のチャープが送信され、チャープ番号が偶数の場合に送信アンテナTx2から変調パターン61のチャープが送信されている。図6では、チャープ番号が1、2、3、N-2、N-1、Nの場合を示した。なお、実施の形態1のレーダ装置1は、図6に示す、チャープの傾き、変調幅等、チャープシーケンスの各種パラメータに限定することなく、適用可能である。
変調パターン61により、前述したように、送信アンテナTx1から送信信号を送信して受信アンテナRx1、Rx2、Rx3、Rx4で受信した受信信号と、送信アンテナTx2から送信信号を送信して受信アンテナRx1、Rx2、Rx3、Rx4で受信した受信信号の合計8チャンネル分の仮想受信チャンネルの信号を受信することができる。仮想受信チャンネルは、図7に示す通り、仮想受信アンテナVR1、VR2、VR3、VR4、VR5、VR6、VR7、VR8に対応する仮想受信チャンネルVRC1、VRC2、VRC3、VRC4、VRC5、VRC6、VRC7、VRC8の合計8チャンネルである。
処理部11は、8チャンネル分の仮想受信チャンネルのデータを入力として、FCM方式における対象物体33の距離及び相対速度の測定を行う。FCM方式における距離及び相対速度の測定原理は、特許文献2に記載されている通り、公知の技術である。以下、図8を用いて、処理部11の動作について説明する。図8は、処理部11の対象物体の距離、相対速度及び角度の測定を行う処理の流れを示したフローチャートである。但し、図8は一例であり、実施の形態1のレーダ装置1は、図8に示す信号処理方式に限定されるものではない。
まず、ステップST1で、処理部11は、得られた8チャンネル分の仮想受信チャンネルVRC1~VRC8のデータを入力として、周波数変換処理を行う(周波数変換処理工程)。ここでは、周波数変換処理として、例えば特許文献2に記載のように、2次元FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)を用いることとして説明する。
具体的には、図6の各チャープのデータに対して、1回目のFFT処理を実行して、パワースペクトルを生成する。次に、その処理結果を、すべてのチャープに渡って周波数ビン毎に集めて、2回目のFFT処理を実行する。ここで、同一の対象物体33で反射された送信信号により各チャープで検出されるビート信号、すなわち、パワースペクトルでピークとなる成分の周波数は、いずれも同じである。
しかしながら、対象物体33とレーダ装置1が搭載された車両とが相対速度を持つ場合、ビート信号の位相は、チャープ毎に少しずつ異なったものとなる。つまり、2回目のFFT処理の結果では、位相の回転速度に応じた周波数成分を周波数ビン、すなわち、速度ビンとするパワースペクトルが、1回目のFFT処理の結果として得られた周波数ビン、すなわち、距離ビン毎に求められることになる。以下では、2回目のFFT処理で得られるパワースペクトルを、2次元のパワースペクトルと呼ぶ。
次いで、ステップST2で、処理部11は、2次元のパワースペクトルからピークを抽出することでピークを検出する(ピーク検出工程)。ピークを検出する方法は、例えば公知のCFAR(Constant False Alarm)などが挙げられる。あるいは、別の方法として、例えば、周波数ビンのうち、予め設定した閾値を超えていて、且つ、極大値になるような周波数ビンを抽出する方法でもよく、対象物体からの反射が検出できる方法であればどのような方法でも良い。
また、ピーク検出の前段で、仮想受信チャンネルVRC1~VRC8のデータを加算するようにしても良い。例えば、8個の仮想受信チャンネルの振幅値を加算して平均化してからピークを検出するようにしても良いし、公知のDBF(Digital Beam Forming)処理によって、予め設定された方向にビームを向けてからピークを検出するようにしても良い。
次いで、ステップST3で、処理部11は、検出したピークに対して、例えば特許文献2に記載のような公知のFCM方式の原理に基づいて、対象物体33の距離及び相対速度を算出する(距離速度算出工程)。なお、実施の形態1においては、対象物体の距離及び相対速度の算出方法は、この場合に限定されるものではなく、どのような方法でも良い。
次いで、ステップST4で、処理部11は、対象物体33の角度の測定を行う(測角処理工程)。角度の測定方法は、ビームフォーマ法、超分解能測角方式、最尤推定法式など様々なものがあり、実施の形態1は、測角方法を限定するものではない。ここでは、前述の位相モノパルス方式で測角する場合を例に説明する。
例えば、図7の仮想受信チャンネル間の間隔すなわち仮想受信アンテナ間隔Dvrが距離dとなるようなすべての受信チャンネル間、すなわち、VR1-VR5間、VR5-VR2間、VR2-VR6間、VR6-VR3間、VR3-VR7間、VR7-VR4間、VR4-VR8間の7つの間隔のそれぞれの仮想受信チャンネルの信号を対象として、式(2)に従って位相モノパルス測角を行う。それにより得られた7つの角度の平均値を求めて、当該平均値を対象物体33の角度として出力する。
以上の方法により、処理部11は、レーダ装置1において、対象物体33の距離、相対速度、及び、角度の算出を行う。以上の処理を、図6に示すように、予め設定された時間間隔(周期Tc)で繰り返されるチャープシーケンス毎に処理フローを実行することによって、対象物体33の距離、相対速度、及び、角度が、当該時間間隔で繰り返し計算される。
レーダ装置1で求められた、対象物体33の距離、相対速度、及び、角度などの検知結果は、車両のECU2に伝送される。車両のECU2は、当該検知結果を、各種車両用アプリケーションの制御などに用いる。
なお、処理部11において、時系列的な処理、いわゆる追尾処理などと呼ばれる技術によって、時系列で相関を取り、距離、相対速度、角度などの検知結果を時系列で平滑化するなどによって、各検知結果の誤差を平滑化するような処理を行っても良い。
実施の形態1では、時分割MIMO方式の場合を例に説明したが、送信アンテナTx1とTx2との信号が分離できるような方法であれば、他の方法でもよい。例えば、送信アンテナTx1とTx2とを異なる送信周波数で送信する方法、送信アンテナTx1とTx2とで直交するような符号を乗算して送信する方法、送信アンテナTx1とTx2との信号を分離するような方法等を適用しても良い。
実施の形態1のレーダ装置1は、予め定められた距離dのアンテナ間隔D1で配置された複数の第一アンテナを有する第一アンテナ群Gr1と、2以上の任意の数の第一アンテナと逆動作の第二アンテナを有する第二アンテナ群Gr2を備え、間隔が距離dよりも広い各第二アンテナの間を第一アンテナで補間することで距離dの等間隔で配置するように構成された複数の仮想受信アンテナVRを有する仮想受信アンテナ群50を備えているので、給電回路25によって距離dの等間隔に物理的に3チャネル以上のアンテナを配置ができないような場合であっても、サイドローブを低減し誤検出を抑制することができる。実施の形態1のレーダ装置1は、隣接する仮想受信アンテナVRの間隔が距離dで配置されるので、サイドローブを低減し誤検出を抑制することができる。図3の受信アンテナRxで示したように、給電回路25がアンテナの横方向(隣接方向)に存在する場合には、距離dの等間隔に物理的に3チャネル以上のアンテナを並べることはできない。そこで、実施の形態1のレーダ装置1は、MIMO等を適用して距離dの等間隔で配置するように構成された複数の仮想受信アンテナVRを有する仮想受信アンテナ群50を実現するように、第一アンテナ群Gr1及び第二アンテナ群Gr2の配置方法を工夫した。
実施の形態1のレーダ装置1は、アンテナの給電回路25を並列給電方式にすることで比帯域が2%以上10%以下である広帯域のアンテナ周波数特性を実現しており、この給電回路25によって距離dの等間隔に物理的に3チャネル以上のアンテナを配置ができない。しかし、実施の形態1のレーダ装置1は、距離dの間隔で配置する2個の第一アンテナAt1を1組とした第一アンテナAt1の組を備え、距離dの2倍の間隔で配置する複数の第二アンテナAt2を備え、MIMO等を適用して距離dの等間隔で配置するように構成された複数の仮想受信アンテナVRを有する仮想受信アンテナ群50を実現したので、広帯域のアンテナ周波数特性を確保しながらサイドローブを低減し誤検出を抑制することができる。広帯域のアンテナ周波数特性を実現しているアンテナは、広帯域のアンテナである。
アンテナ配置の第一例で配置された送信アンテナTx及び受信アンテナRxを備えた実施の形態1のレーダ装置1は、アンテナ配置の第一例のアンテナを備えた実施の形態1のレーダ装置1である。アンテナ配置の第一例のアンテナを備えた実施の形態1のレーダ装置1は、予め定められた距離dのアンテナ間隔D1で配置された複数の第一アンテナすなわち送信アンテナTxを有する第一アンテナ群Gr1と、2以上の任意の数の第一アンテナと逆動作の第二アンテナすなわち受信アンテナRxを有する第二アンテナ群Gr2を備え、間隔が距離dよりも広い各第二アンテナの間を第一アンテナで補間することで距離dの等間隔で配置するように構成された複数の仮想受信アンテナVRを有する仮想受信アンテナ群50を備えているので、給電回路25によって距離dの等間隔に物理的に3チャネル以上のアンテナを配置ができないような場合であっても、サイドローブを低減し誤検出を抑制することができる。アンテナ配置の第一例におけるアンテナ間隔D1は、送信アンテナ間隔Dtxである。
図3、図4に示したアンテナ配置の第一例では、第一アンテナ群Gr1の第一アンテナが送信アンテナTx、第二アンテナ群Gr2の第二アンテナが受信アンテナRxの例であった。しかし、図9、図10に示すように、第一アンテナ群Gr1の第一アンテナが受信アンテナRx、第二アンテナ群Gr2の第二アンテナが送信アンテナTxであっても構わない。図9、図10に示したアンテナ配置の第二例では、送信アンテナTxの個数が4個、受信アンテナRxの個数が2個の場合である。アンテナ配置の第二例のアンテナを備えたレーダ装置1は、送信回路12の送信切替スイッチ124は、送信アンテナTx1、Tx2、Tx3、Tx4を切替えるように構成されている。また、受信回路13は、受信アンテナRx1、Rx2に対応する、混合器131、132、フィルタ回路141、142、アナログデジタル変換器151、152を備えた構成になっている。変調パターン61は、Tx1、Tx2、Tx3、Tx4の順で繰り返すパターンになる。アンテナ配置の第二例における送信アンテナTx及び受信アンテナRxで形成される仮想受信アンテナ群50を図11に示した。2個の受信アンテナRx1、Rx2と、4個の送信アンテナTx1、Tx2、Tx3、Tx4により、8個の仮想受信アンテナVR1~VR8が形成される。
受信アンテナRx1は、位相中心Cr1を通過する位相中心線27aに沿って配置された複数の素子アンテナ19を備えている。受信アンテナRx2は、位相中心Cr2を通過する位相中心線27bに沿って配置された複数の素子アンテナ19を備えている。受信アンテナRxの複数の素子アンテナ19が位相中心を通過する位相中心線に沿って配置されている。送信アンテナTx1、Tx2、Tx3、Tx4も受信アンテナRxと同様に、それぞれの複数の素子アンテナ19が位相中心を通過する位相中心線に沿って配置されている。送信アンテナTx1は位相中心Ct1を通過する位相中心線28aに沿って配置された複数の素子アンテナ19を備えており、送信アンテナTx2は位相中心Ct2を通過する位相中心線28bに沿って配置された複数の素子アンテナ19を備えている。送信アンテナTx3は位相中心Ct3を通過する位相中心線28cに沿って配置された複数の素子アンテナ19を備えており、送信アンテナTx4は位相中心Ct4を通過する位相中心線28dに沿って配置された複数の素子アンテナ19を備えている。送信アンテナTx、受信アンテナRxのそれぞれの位相中心線の延伸方向は、複数の素子アンテナ19の延伸方向でもある。
送信アンテナTxは互いに平行になるようにすなわち位相中心線28a~28dが平行になるように、基板23の表面に並んで配置され、受信アンテナRxは、互いに平行になるようにすなわち位相中心線27a、27bが平行になるように、基板23の表面に並んで配置されている。2個の受信アンテナRx1と受信アンテナRx2との間の受信アンテナ間隔Drxすなわち位相中心線27aと位相中心線27bとの間隔は、距離dと等しい間隔となっている。各送信アンテナTx1、Tx2、Tx3、Tx4の隣接する送信アンテナ間隔Dtxは、距離dの2倍すなわち2dとなっている。図10に示したアンテナ配置の第二例では、受信アンテナ間隔Drxが距離dと等しい間隔なので、受信アンテナRx1、Rx2が第一アンテナ群Gr1のアンテナである。また、送信アンテナ間隔Dtxが距離dの2倍すなわち2dなので、送信アンテナTx1~Tx4が第二アンテナ群Gr2のアンテナである。
受信アンテナRxは第一配列方向dr1に並んで配置され、送信アンテナTxは第二配列方向dr2に並んで配置されている。第一配列方向dr1は位相中心線27a、27bに垂直な方向であり、第二配列方向dr2は位相中心線28a~28dに垂直な方向である。図10では、送信アンテナTxの位相中心Ct1~Ct4と受信アンテナRxの位相中心Cr1、Cr2が同一軸上に配置されている例を示した。受信アンテナRx1、Rx2は第一配列方向dr1の正側に向かって順に配置されており、送信アンテナTx1、Tx2、Tx3、Tx4は第二配列方向dr2の正側に向かって順に配置されている。
図11の例では、仮想受信アンテナVR1~VR8が、それぞれ第三配列方向dr3の正側に向かって、VR1、VR2、VR3、VR4、VR5、VR6、VR7、VR8の順で配置されることとなる。これらの仮想受信アンテナ群50のうち、実線円で示したVR1、VR3、VR5、VR7が送信アンテナTx1~Tx4で送信して受信アンテナRx1で受信した信号で形成される仮想受信アンテナであり、破線円で示したVR2、VR4、VR6、VR8が送信アンテナTx1~Tx4で送信して受信アンテナRx2で受信した信号で形成される仮想受信アンテナである。
アンテナ配置の第二例で配置された送信アンテナTx及び受信アンテナRxを備えた実施の形態1のレーダ装置1は、アンテナ配置の第二例のアンテナを備えた実施の形態1のレーダ装置1である。アンテナ配置の第二例のアンテナを備えた実施の形態1のレーダ装置1は、予め定められた距離dのアンテナ間隔D1で配置された複数の第一アンテナすなわち受信アンテナRxを有する第一アンテナ群Gr1と、2以上の任意の数の第一アンテナと逆動作の第二アンテナすなわち送信アンテナTxを有する第二アンテナ群Gr2を備え、間隔が距離dよりも広い各第二アンテナの間を第一アンテナで補間することで距離dの等間隔で配置するように構成された複数の仮想受信アンテナVRを有する仮想受信アンテナ群50を備えているので、給電回路25によって距離dの等間隔に物理的に3チャネル以上のアンテナを配置ができないような場合であっても、サイドローブを低減し誤検出を抑制することができる。アンテナ配置の第二例におけるアンテナ間隔D1は、受信アンテナ間隔Drxである。
アンテナ配置の第一例、第二例で説明したように、予め定められた距離dのアンテナ間隔D1で配置された複数の第一アンテナは送信アンテナTxでも受信アンテナRxでもよい。前述したように、第一アンテナ、第二アンテナを送信アンテナTx、受信アンテナRxに特定しない、アンテナ配置の第三例を図12に示した。第一アンテナ群Gr1の第一アンテナAt1a、At1bは、予め定められた距離dのアンテナ間隔D1で配置されている。第一アンテナと逆動作である4個の第二アンテナAt2a、At2b、At2c、At2dが距離dの2倍すなわち2dのアンテナ間隔D2で配置されている。アンテナ間隔D1は、隣接する第一アンテナ間のアンテナ間隔である。アンテナ間隔D2は、隣接する第二アンテナ間のアンテナ間隔である。アンテナ配置の第三例のアンテナを備えたレーダ装置1は、第一アンテナが送信アンテナTxの場合には図1に示した構成になっており、第一アンテナが受信アンテナRxの場合にはアンテナ配置の第二例のアンテナを備えたレーダ装置1と同じ構成になっている。
アンテナ配置の第三例における第一アンテナAt1及び第二アンテナAt2で形成される仮想受信アンテナ群50を図13、図14に示した。図13に示した仮想受信アンテナ群50は第一アンテナAt1が送信アンテナTxの場合であり、図14に示した仮想受信アンテナ群50は第一アンテナAt1が受信アンテナRxの場合である。第一アンテナAt1が送信アンテナTxの場合における変調パターン61は、Tx1、Tx2の順で繰り返すパターンになる。第一アンテナAt1が受信アンテナRxの場合における変調パターン61は、Tx1、Tx2、Tx3、Tx4の順で繰り返すパターンになる。
第一アンテナAt1aは、位相中心C1aを通過する位相中心線31aに沿って配置された複数の素子アンテナ19を備えている。第一アンテナAt1bは、位相中心C1bを通過する位相中心線31bに沿って配置された複数の素子アンテナ19を備えている。第一アンテナAt1の複数の素子アンテナ19が位相中心を通過する位相中心線に沿って配置されている。第二アンテナAt2a、At2b、At2c、At2dも第一アンテナAt1と同様に、それぞれの複数の素子アンテナ19が位相中心を通過する位相中心線に沿って配置されている。第二アンテナAt2aは位相中心C2aを通過する位相中心線32aに沿って配置された複数の素子アンテナ19を備えており、第二アンテナAt2bは位相中心C2bを通過する位相中心線32bに沿って配置された複数の素子アンテナ19を備えている。第二アンテナAt2cは位相中心C2cを通過する位相中心線32cに沿って配置された複数の素子アンテナ19を備えており、第二アンテナAt2dは位相中心C2dを通過する位相中心線32dに沿って配置された複数の素子アンテナ19を備えている。第一アンテナAt1、第二アンテナAt2のそれぞれの位相中心線の延伸方向は、複数の素子アンテナ19の延伸方向でもある。
図12に示すように、第一アンテナAt1は、互いに平行になるようにすなわち位相中心線が平行になるように、基板23の表面に並んで配置されている。第一アンテナAt1の配列方向は第一配列方向dr1である。第一配列方向dr1は、位相中心線31a、31bに垂直な方向である。2個の第一アンテナAt1aと第一アンテナAt1bとの間のアンテナ間隔D1すなわち位相中心線31aと位相中心線31bとの間隔は、距離dと等しい間隔となっている。
また、図12に示すように、第二アンテナAt2は、互いに平行になるようにすなわち位相中心線が平行になるように、基板23の表面に並んで配置されている。第二アンテナAt2の配列方向は第二配列方向dr2である。第二配列方向dr2は、位相中心線32a~32dに垂直な方向である。第一配列方向dr1と第二配列方向dr2とは互いに平行になっている。図12では、第一アンテナAt1の位相中心C1a、C1bと第二アンテナAt2の位相中心C2a、C2b、C2c、C2dが同一軸上に配置されている例を示した。第一アンテナAt1a、At2aは第一配列方向dr1の正側に向かって順に配置されており、第二アンテナAt2a、At2b、At2c、At2dは第二配列方向dr2の正側に向かって順に配置されている。
図13の例では、仮想受信アンテナVR1~VR8が、それぞれ第三配列方向dr3の正側に向かって、VR1、VR5、VR2、VR6、VR3、VR7、VR4、VR8の順で配置されることとなる。これらの仮想受信アンテナ群50のうち、実線円で示したVR1、VR2、VR3、VR4が送信アンテナとしての第一アンテナAt1aで送信して、受信アンテナとしての第二アンテナAt2a、At2b、At2c、At2dで受信した信号で形成される仮想受信アンテナであり、破線円で示したVR5、VR6、VR7、VR8が送信アンテナとしての第一アンテナAt1bで送信して、受信アンテナとしての第二アンテナAt2a、At2b、At2c、At2dで受信した信号で形成される仮想受信アンテナである。
図14の例では、仮想受信アンテナVR1~VR8が、それぞれ第三配列方向dr3の正側に向かって、VR1、VR2、VR3、VR4、VR5、VR6、VR7、VR8の順で配置されることとなる。これらの仮想受信アンテナ群50のうち、実線円で示したVR1、VR3、VR5、VR7が送信アンテナとしての第二アンテナAt2a~At2dで送信して、受信アンテナとしての第一アンテナAt1aで受信した信号で形成される仮想受信アンテナであり、破線円で示したVR2、VR4、VR6、VR8が送信アンテナとしての第二アンテナAt2a~At2dで送信して、受信アンテナとしての第一アンテナAt1bで受信した信号で形成される仮想受信アンテナである。
アンテナ配置の第三例で配置された第一アンテナAt1及び第二アンテナAt2を備えた実施の形態1のレーダ装置1は、アンテナ配置の第三例のアンテナを備えた実施の形態1のレーダ装置1である。アンテナ配置の第三例のアンテナを備えた実施の形態1のレーダ装置1は、予め定められた距離dのアンテナ間隔D1で配置された複数の送信アンテナ又は受信アンテナである第一アンテナAt1を有する第一アンテナ群Gr1と、2以上の任意の数の第一アンテナAt1と逆動作の第二アンテナAt2を有する第二アンテナ群Gr2を備え、間隔が広い第二アンテナ間を第一アンテナAt1で補間するように構成された複数の仮想受信アンテナVRを有する仮想受信アンテナ群50を備えているので、給電回路25によって距離dの等間隔に物理的に3チャネル以上のアンテナを配置ができないような場合であっても、サイドローブを低減し誤検出を抑制することができる。
第一アンテナAt1のチャンネル数すなわちアンテナ数が2で制限されるような場合は、第一アンテナAt1が送信機能を有する送信アンテナTxであり、第二アンテナAt2が受信機能を有する受信アンテナRxである配置であるアンテナ配置の第一例を適用する方が好適である。理由は次の通りである。
第二アンテナAt2が送信アンテナTxの場合、すなわちアンテナ配置の第二例では、送信アンテナTxの数が受信アンテナRxの数よりも多くなっている。送信アンテナTxの数が多ければ多いほど、レーダ装置1内に送信回路12の規模が大きくなる。電波を送信する機能を持つ回路である送信回路12は、受信回路13に比べて発熱量が大きくなりやすい。第一アンテナAt1のチャンネル数すなわちアンテナ数が2で制限され、第二アンテナAt2のチャンネル数すなわちアンテナ数が第一アンテナAt1よりも大きい場合、第一アンテナAt1を送信アンテナTxとすることで、発熱量の少ないレーダ装置1を実現することができる。
送信アンテナTx、受信アンテナRxの給電回路25として各素子アンテナ19への配線長が等しくなるように形成される並列給電方式の例を説明したが、給電回路25はこれに限定されない。図15~図20に第一例~第六例のアンテナを示した。図15に示したアンテナの第一例における給電回路25aが並列給電方式の給電回路である。図15に示したアンテナの第一例は、4個の素子アンテナ19及び給電回路25aを備えている。図16に示したアンテナの第二例は4個の素子アンテナ19及び給電回路25bを備えており、図17に示したアンテナの第三例は4個の素子アンテナ19及び給電回路25cを備えている。図18に示したアンテナの第四例は、8個の素子アンテナ19、給電回路25dを備えている。図19に示したアンテナの第五例は、4個の素子アンテナ19及び給電回路25eを備えている。図20に示したアンテナの第六例は、4個の素子アンテナ19及び給電回路25fを備えている。給電回路の符号は総括的に25を用い、区別する場合に25a、25b、25c、25d、25e、25fを用いる。
図15に示したアンテナの第一例の給電回路25aは、素子アンテナ19の接続部分が第一アンテナ群Gr1の第一アンテナAt1の第一配列方向dr1又は第二アンテナ群Gr2の第二アンテナAt2の第二配列方向dr2に対して平行になっている例である。複数の素子アンテナ19の延伸方向は第一配列方向dr1又は第二配列方向dr2に垂直なので、図15に示したアンテナの第一例の給電回路25aは、素子アンテナ19との接続部分が複数の素子アンテナ19の延伸方向に対して垂直になっている例ということもできる。図16に示したアンテナの第二例の給電回路25bは、素子アンテナ19との接続部分が複数の素子アンテナ19の延伸方向になっている例である。図17に示したアンテナの第三例の給電回路25cは、素子アンテナ19との接続部分が複数の素子アンテナ19の延伸方向に対して斜めになっている例である。アンテナの第二例、第三例も第一例と同様に、各素子アンテナ19への配線長が等しくなるように形成される並列給電方式である。アンテナの第二例、第三例を備えた実施の形態1のレーダ装置1は、予め定められた距離dの間隔に物理的に3チャンネル以上の受信アンテナ又は送信アンテナを並べられない場合でも、サイドローブを低減し誤検出を抑制することができる。
また、素子アンテナ19の形状を四角形で表現したが、素子アンテナ19の形状は任意の形状で良い。図18に示したアンテナの第四例のように、1つのチャンネルを構成するアンテナの列数は2列以上に増やしても良い。図18では、8個の素子アンテナ19及び給電回路25dを備え、4個の素子アンテナ19を有する2組が第一配列方向dr1又は第二配列方向dr2に垂直な方向に延伸している例を示した。
実施の形態1のレーダ装置1は、予め定められた距離dの間隔で配置する第一アンテナAt1が2個で1組になっており、この1組の第一アンテナAt1を備えた例である。後述する実施の形態2~6のレーダ装置1、図25に示すアンテナ配置の第七例で配置されたアンテナを備えたレーダ装置1は、予め定められた距離dの間隔で配置する第一アンテナAt1が2個で1組になっており、第一アンテナAt1の組を複数備えた例である。したがって、実施の形態1のレーダ装置1及び実施の形態2~6のレーダ装置1は、送信アンテナTx又は受信アンテナRxを予め定められた距離dの間隔に物理的に3チャンネル以上配置しない例である。この場合、例えば比帯域が2%以上10%以下である広帯域のアンテナを実現するために、完全なトーナメント型すなわち給電回路25a、25b、25cのような並列給電方式の給電回路でなくても、図19、図20に示したアンテナの第五例の給電回路25e、アンテナの第六例の給電回路25fでもよい。図19、図20に示したアンテナの第五例、第六例のようにすべての素子アンテナ19への給電線路が等長ではないような場合でも、所望のアンテナ特性を必要な比帯域で実現できていれば、予め定められた距離の間隔に物理的に3チャンネル以上の受信アンテナ又は送信アンテナを並べられない場合でも、必要な比帯域を確保しながらサイドローブを低減し誤検出を抑制することができる。所望のアンテナ特性は、設計により設定されたアンテナ特性すなわち設計されたアンテナ特性である。
第一配列方向dr1、第二配列方向dr2、第三配列方向dr3は、位相中心間の方向ではなく、隣接するアンテナの配列方向を示している。例えば、図21に示したアンテナ配置の第四例のように、複数のアンテナのうち一部が素子アンテナ19の延伸方向にずれていてもよい。図21では、第一アンテナ群Gr1における受信アンテナRx1、Rx2が互いに素子アンテナ19の延伸方向又は位相中心線の延伸方向にずれている例を示した。図21に示したアンテナ配置の第四例で配置された第一アンテナ群Gr1、第二アンテナ群Gr2を備えたレーダ装置1は、第一配列方向dr1、第二配列方向dr2、第三配列方向dr3だけでなく、これに垂直なアンテナの位相中心線の延伸方向にも対象物体33の角度を測定することができる。図21に示したアンテナ配置の第四例のアンテナを備えたレーダ装置1は、アンテナ配置を除いて、アンテナ配置の第二例のアンテナを備えたレーダ装置1と同じ構成になっている。
図21に示したアンテナ配置の第四例における送信アンテナTx及び受信アンテナRxで形成される仮想受信アンテナ群50を図22に示した。アンテナ配置の第四例は、図11に示したアンテナ配置の第二例とは、第一アンテナ群Gr1における受信アンテナRx1、Rx2が互いに素子アンテナ19の延伸方向又は位相中心線の延伸方向にずれている点で異なっている。このため、アンテナ配置の第四例により形成される仮想受信アンテナ群50は、破線円で示した仮想受信アンテナVR2、VR4、VR6、VR8がアンテナの位相中心線の延伸方向にずれている。図21における位相中心線27a、27bの紙面上側から下側の方向を位相中心線の延伸方向の正側とする。受信アンテナRx2は受信アンテナRx1よりも位相中心線の延伸方向の正側にずれているので、仮想受信アンテナ群50も、受信アンテナRx2にて受信された信号で形成された仮想受信アンテナVR2、VR4、VR6、VR8が受信アンテナRx1にて受信された信号で形成された仮想受信アンテナVR1、VR3、VR5、VR7よりも位相中心線の延伸方向の正側にずれている。
図21に示したアンテナ配置の第四例で配置された送信アンテナTx及び受信アンテナRxを備えた実施の形態1のレーダ装置1は、アンテナ配置の第四例のアンテナを備えた実施の形態1のレーダ装置1である。アンテナ配置の第四例のアンテナを備えた実施の形態1のレーダ装置1は、予め定められた距離dのアンテナ間隔D1で配置された複数の第一アンテナすなわち受信アンテナRxを有する第一アンテナ群Gr1と、2以上の任意の数の第一アンテナと逆動作の第二アンテナすなわち送信アンテナTxを有する第二アンテナ群Gr2を備え、間隔が距離dよりも広い各第二アンテナの間を第一アンテナで補間することで距離dの等間隔で配置するように構成された複数の仮想受信アンテナVRを有する仮想受信アンテナ群50を備えているので、給電回路25によって距離dの等間隔に物理的に3チャネル以上のアンテナを配置ができないような場合であっても、サイドローブを低減し誤検出を抑制することができる。
レーダ装置1は、第一アンテナ群Gr1、第二アンテナ群Gr2以外のアンテナを備えてもよい。図23に示したアンテナ配置の第五例は、図10に示したアンテナ配置の第二例の第一アンテナ群Gr1、第二アンテナ群Gr2と、送信アンテナFTx、受信アンテナFRx1、FRx2とが配置された例である。例えば、遠距離を検出するような場合は、遠距離を検出するためのアンテナは必ずしも広帯域のアンテナにする必要はない。このため、遠距離用には従来の帯域の狭いアンテナである送信アンテナFTx、受信アンテナFRx1、FRx2を用いることができる。図23に示したアンテナ配置の第五例のアンテナを備えたレーダ装置1は、アンテナ配置の第二例のアンテナを備えたレーダ装置1に、送信アンテナFTx、受信アンテナFRx1、FRx2用の送信回路、受信回路を備えた構成になっている。図23に示したアンテナ配置の第五例で配置された送信アンテナTx、受信アンテナRx、送信アンテナFTx、受信アンテナFRx1、FRx2を備えたレーダ装置1は、近距離の対象物体33及び遠距離の対象物体33を検出できる。アンテナ配置の第五例のアンテナを備えたレーダ装置1は、アンテナ配置の第二例のアンテナを備えた実施の形態1のレーダ装置1を含んでいるので、アンテナ配置の第二例のアンテナを備えた実施の形態1のレーダ装置1と同様の効果を奏する。
図24に示したアンテナ配置の第六例は、図10に示したアンテナ配置の第二例の第一アンテナ群Gr1、第二アンテナ群Gr2と、送信アンテナTx5とが配置された例である。図24では、第一アンテナ群Gr1の受信アンテナRx1、Rx2が基板23bの表面に配置され、第二アンテナ群Gr2の送信アンテナTx1~Tx4及び送信アンテナTx5が基板23aの表面に配置されている例を示した。図24に示したアンテナ配置の第六例のアンテナを備えたレーダ装置1は、送信アンテナTx5の追加に伴って、アンテナ配置の第二例のアンテナを備えたレーダ装置1から送信切替スイッチ124が送信アンテナTx1、Tx2、Tx3、Tx4、Tx5を切替えるように構成されている。送信アンテナTx5は、位相中心Ct5を通過する位相中心線28eに沿って配置された複数の素子アンテナ19を備えている。図24では、送信アンテナTx5と隣接する第二アンテナ群Gr2の送信アンテナTx4との間の送信アンテナ間隔Dtxaが送信アンテナ間隔Dtxよりも長い例を示した。アンテナ配置の第六例のアンテナを備えたレーダ装置1は、アンテナ配置の第二例のアンテナを備えた実施の形態1のレーダ装置1を含んでいるので、アンテナ配置の第二例のアンテナを備えた実施の形態1のレーダ装置1と同様の効果を奏する。
第一アンテナ群Gr1、第二アンテナ群Gr2のアンテナは、位相中心線の延伸方向に複数組配置されていてもよい。図25に示したアンテナ配置の第七例は、図4に示したアンテナ配置の第一例の第一アンテナ群Gr1、第二アンテナ群Gr2を2組備えたアンテナ配置に相当する。第一アンテナ群Gr1は、4個の送信アンテナTx1、Tx2、Tx3、Tx4を備えており、第二アンテナ群Gr2は、8個の受信アンテナRx1、Rx2、Rx3、Rx4、Rx5、Rx6、Rx7、Rx8を備えている。送信アンテナTxはアンテナ間隔が距離d以下になっているアンテナの組を含んでおり、受信アンテナRxはアンテナ間隔が距離d以下になっているアンテナの組を含んでいない。送信アンテナTx1、Tx2は第一アンテナ組22aを構成し、送信アンテナTx3、Tx4は第一アンテナ組22bを構成している。受信アンテナRx1~Rx4は第二アンテナ組24aを構成し、受信アンテナRx5~Rx8は第二アンテナ組24bを構成している。第一アンテナ組22b、第二アンテナ組24bは図4に示したアンテナ配置の第一例になっている。第一アンテナ組22a、第二アンテナ組24aは図4に示したアンテナ配置の第一例における送信アンテナTxと受信アンテナRxが位相中心線の延伸方向にずれたアンテナ配置になっている。
なお、図25では、第一アンテナ群Gr1の第一配列方向dr1に配置された第一アンテナ組が1個であり、第二アンテナ群Gr2の第二配列方向dr2に配置された第二アンテナ組が1個である例を示した。しかし、第一アンテナ群Gr1の第一配列方向dr1に配置された第一アンテナ組が2個以上であり、第二アンテナ群Gr2の第二配列方向dr2に配置された第二アンテナ組が2個以上である場合もある。このような場合、第一アンテナ群Gr1は、第一配列方向dr1に配置された複数の第一アンテナAt1を有するA群と、A群と同一構成を有しており、第一配列方向dr1に垂直な方向である第四配列方向dr4に配置されたB群と、を備えているということもできる。図25の場合、A群は第一アンテナ組22aであり、B群は第一アンテナ組22bである。また、第二アンテナ群Gr2は、第二配列方向dr2に配置された複数の第二アンテナAt2を有するC群と、C群と同一構成を有しており、第二配列方向dr2に垂直な方向である第五配列方向dr5に配置されたD群と、を備えているということもできる。図25の場合、C群は第二アンテナ組24aであり、D群は第二アンテナ組24bである。
図25に示したアンテナ配置の第七例のアンテナを備えたレーダ装置1は、送信回路12の送信切替スイッチ124が、送信アンテナTx1、Tx2、Tx3、Tx4を切替えるように構成されている。また、受信回路13は、受信アンテナRx1、Rx2、Rx3、Rx4、Rx5、Rx6、Rx7、Rx8に対応する、8個の混合器131、8個のフィルタ回路141、8個のアナログデジタル変換器151を備えた構成になっている。アンテナ配置の第七例のアンテナを備えたレーダ装置1は、Tx1、Tx2、Tx3、Tx4の順で繰り返す変調パターン61を有する送信信号を送信する。
送信アンテナTx1、Tx3は位相中心線28aに沿って配置された複数の素子アンテナ19を備えており、送信アンテナTx2、Tx4は位相中心線28bに沿って配置された複数の素子アンテナ19を備えている。受信アンテナRx1、Rx5は位相中心線27aに沿って配置された複数の素子アンテナ19を備えており、受信アンテナRx2、Rx6は位相中心線27bに沿って配置された複数の素子アンテナ19を備えている。受信アンテナRx3、Rx7は位相中心線27cに沿って配置された複数の素子アンテナ19を備えており、受信アンテナRx4、Rx8は位相中心線27dに沿って配置された複数の素子アンテナ19を備えている。送信アンテナTx1、Tx3と送信アンテナTx2、Tx4とは、互いに平行になるようにすなわち位相中心線が平行になるように、基板23の表面に並んで配置されている。受信アンテナRx1、Rx5と、受信アンテナRx2、Rx6と、受信アンテナRx3、Rx7と、受信アンテナRx4、Rx8とは、互いに平行になるようにすなわち位相中心線が平行になるように、基板23の表面に並んで配置されている。
第一アンテナ組22aにおける送信アンテナTx1、Tx2は第一配列方向dr1に配置され、第一アンテナ組22bにおける送信アンテナTx3、Tx4は第一配列方向dr1に配置されている。第二アンテナ組24aにおける受信アンテナRx1~Rx4は第二配列方向dr2に配置され、第二アンテナ組24bにおける受信アンテナRx5~Rx8は第二配列方向dr2に配置されている。図25では、第二アンテナ組24bにおける受信アンテナRx5~Rx8の各位相中心と第一アンテナ組22bにおける送信アンテナTx3、Tx4の各位相中心とが同一軸である破線29aに配置されている例を示した。第一アンテナ組22a、第一アンテナ組22bは、第一配列方向dr1に垂直な第四配列方向dr4の正側に向かって順に配置されている。第二アンテナ組24a、第二アンテナ組24bは、第二配列方向dr2に垂直な第五配列方向dr5の正側に向かって順に配置されている。第一アンテナ組22aにおける送信アンテナTx1、Tx2の位相中心は同一軸である破線29bに配置されている。第二アンテナ組24aの受信アンテナRx1~Rx4の位相中心は同一軸である破線29cに配置されている。破線29a、29b、29cは互いに平行である。
第一アンテナ組22aにおける送信アンテナTx1と送信アンテナTx2との間の送信アンテナ間隔Dtx、第一アンテナ組22bにおける送信アンテナTx3と送信アンテナTx4との間の送信アンテナ間隔Dtx、すなわち位相中心線28aと位相中心線28bとの間隔は、距離dと等しい間隔となっている。第二アンテナ組24aにおける受信アンテナRx1~Rx4の隣接する受信アンテナRx間の受信アンテナ間隔Drx、第二アンテナ組24bにおける受信アンテナRx5~Rx8の隣接する受信アンテナRx間の受信アンテナ間隔Drx、すなわち位相中心線27a~27dの隣接する位相中心線間の間隔は、距離dの2倍すなわち2dとなっている。第一アンテナ組22aと第一アンテナ組22bとの間の第一アンテナ組間隔である送信アンテナ組間隔Dtxsvは、破線29bと破線29aとの間隔である。第二アンテナ組24aと第二アンテナ組24bとの間の第二アンテナ組間隔である受信アンテナ組間隔Drxsvは、破線29cと破線29aとの間隔である。
図25のアンテナ配置の第七例における送信アンテナTx及び受信アンテナRxで形成される仮想受信アンテナ群50を図26に示した。仮想受信アンテナ群50は、4個の送信アンテナTx1~Tx4と8個の受信アンテナRx1~Rx8によって、32個の仮想受信アンテナVR1~VR32が形成される。白抜き実線円で示したVR1、VR2、VR3、VR4、VR5、VR6、VR7、VR8が送信アンテナTx1で送信して受信アンテナRx1~Rx8で受信した信号で形成される仮想受信アンテナであり、白抜き破線円で示したVR9、VR10、VR11、VR12、VR13、VR14、VR15、VR16が送信アンテナTx2で送信して受信アンテナRx1~Rx8で受信した信号で形成される仮想受信アンテナである。パターン有の実線円で示したVR17、VR18、VR19、VR20、VR21、VR22、VR23、VR24が送信アンテナTx3で送信して受信アンテナRx1~Rx8で受信した信号で形成される仮想受信アンテナであり、パターン有の破線円で示したVR25、VR26、VR27、VR28、VR29、VR30、VR31、VR32が送信アンテナTx4で送信して受信アンテナRx1~Rx8で受信した信号で形成される仮想受信アンテナである。
図26に示した仮想受信アンテナ群50は、第一配列方向dr1及び第二配列方向dr2に平行な第三配列方向dr3に配列された8個の仮想受信アンテナVRの組が第三配列方向dr3に垂直な第六配列方向dr6に4組配列されている。第六配列方向dr6は、第四配列方向dr4及び第五配列方向dr5に平行な方向である。第六配列方向dr6の正側に向かって順に第一組、第二組、第三組、第四組とする。第一組の仮想受信アンテナVR1、VR9、VR2、VR10、VR3、VR11、VR4、VR12における隣接する仮想受信アンテナ間隔Dvrが距離dで等間隔になるように構成される。仮想受信アンテナVR1~VR4は送信アンテナTx1で送信して受信アンテナRx1~Rx4で受信した信号で形成される第一組の仮想受信アンテナであり、仮想受信アンテナVR9~VR12は送信アンテナTx2で送信して受信アンテナRx1~Rx4で受信した信号で形成される第一組の仮想受信アンテナである。
第二組の仮想受信アンテナVR5、VR13、VR6、VR14、VR7、VR15、VR8、VR16における隣接する仮想受信アンテナ間隔Dvrが距離dで等間隔になるように構成される。仮想受信アンテナVR5~VR8は送信アンテナTx1で送信して受信アンテナRx5~Rx8で受信した信号で形成される第二組の仮想受信アンテナであり、仮想受信アンテナVR13~VR16は送信アンテナTx2で送信して受信アンテナRx5~Rx8で受信した信号で形成される第二組の仮想受信アンテナである。第三組の仮想受信アンテナVR17、VR25、VR18、VR26、VR19、VR27、VR20、VR28における隣接する仮想受信アンテナ間隔Dvrが距離dで等間隔になるように構成される。仮想受信アンテナVR17~VR20は送信アンテナTx3で送信して受信アンテナRx1~Rx4で受信した信号で形成される第三組の仮想受信アンテナであり、仮想受信アンテナVR25~VR28は送信アンテナTx4で送信して受信アンテナRx1~Rx4で受信した信号で形成される第三組の仮想受信アンテナである。第四組の仮想受信アンテナVR21、VR29、VR22、VR30、VR23、VR31、VR24、VR32における隣接する仮想受信アンテナ間隔Dvrが距離dで等間隔になるように構成される。仮想受信アンテナVR21~VR24は送信アンテナTx3で送信して受信アンテナRx5~Rx8で受信した信号で形成される第四組の仮想受信アンテナであり、仮想受信アンテナVR29~VR32は送信アンテナTx4で送信して受信アンテナRx5~Rx8で受信した信号で形成される第四組の仮想受信アンテナである。
第一組の仮想受信アンテナと第二組の仮想受信アンテナとの第六配列方向dr6における間隔は受信アンテナ組間隔Drxsvであり、第三組の仮想受信アンテナと第四組の仮想受信アンテナとの第六配列方向dr6における間隔は受信アンテナ組間隔Drxsvである。第一組の仮想受信アンテナと第三組の仮想受信アンテナとの第六配列方向dr6における間隔は送信アンテナ組間隔Dtxsvである。アンテナ配置の第七例のアンテナを備えたレーダ装置1は、アンテナ配置の第一例のアンテナを2組備えた実施の形態1のレーダ装置1に相当するので、アンテナ配置の第一例のアンテナを備えた実施の形態1のレーダ装置1と同様の効果を奏する。また、アンテナ配置の第七例のアンテナを備えたレーダ装置1は、第三配列方向dr3とこれに垂直な第六配列方向dr6の2次元で対象物体33の距離、相対速度、及び、角度を測定することができる。
実施の形態1のレーダ装置1は、予め定められた距離dの間隔に物理的に3チャンネル以上の第一アンテナAt1が配置できないために、距離dの間隔に物理的に2チャンネルの第一アンテナAt1が配置された例である。しかし、実施の形態1のレーダ装置1は、第一アンテナAt1及び第二アンテナAt2の送受信により形成される複数の仮想受信アンテナVRが距離dの等間隔で配置できるので、サイドローブを低減し誤検出を抑制することができる。
以上のように、実施の形態1のレーダ装置1は、送信信号を対象物体33に向けて放射する複数の送信アンテナTxと、送信信号が対象物体33にて反射された反射信号を受信して受信信号として出力する複数の受信アンテナRxと、複数の受信アンテナRxのそれぞれから出力された受信信号を処理する処理部11と、を備えている。当該レーダ装置1に要求される視野範囲に基づいて決定される、隣接するアンテナ間のアンテナ間隔を基本距離(距離d)とし、複数の送信アンテナTxか複数の受信アンテナRxのいずれかを備えたアンテナ群であり、隣接するアンテナ間のアンテナ間隔D1が基本距離(距離d)である複数の第一アンテナAt1を有する第一アンテナ組を備えたアンテナ群を第一アンテナ群Gr1とし、第一アンテナ群Gr1の第一アンテナAt1と異なる他方の複数のアンテナを備えたアンテナ群であり、隣接するアンテナ間のアンテナ間隔D2が基本距離(距離d)の2倍である複数の第二アンテナAt2を有する第二アンテナ組を備えたアンテナ群を第二アンテナ群Gr2とする。第一アンテナAt1及び第二アンテナAt2は、複数の素子アンテナ19と素子アンテナ19に電力を給電する給電回路25とを備えている。複数の第一アンテナAt1は、送信信号の送信方向に垂直な第一配列方向dr1に並べて配置されており、それぞれの給電回路25を第一配列方向dr1の正側又は負側に有している。複数の第二アンテナAt2は、送信信号の送信方向に垂直で第一配列方向dr1に平行な第二配列方向dr2に並べて配置されており、給電回路25を第二配列方向dr2の正側又は負側に有している。第一アンテナ組における隣接するアンテナ間に給電回路25が配置されていない。第一アンテナ群Gr1の複数の第一アンテナAt1及び第二アンテナ群Gr2の複数の第二アンテナAt2によって形成される複数の仮想受信アンテナVRから構成される仮想受信アンテナ群50は、送信信号の送信方向に垂直で第一配列方向dr1及び第二配列方向dr2に平行な第三配列方向dr3に並べて配置されており、第三配列方向dr3における隣接する仮想受信アンテナVRの間隔(仮想受信アンテナ間隔Dvr)が基本距離(距離d)である。実施の形態1のレーダ装置1は、この構成により、第一アンテナ群Gr1が隣接するアンテナ間のアンテナ間隔D1が基本距離(距離d)である複数の第一アンテナAt1を有する第一アンテナ組を備え、第二アンテナ群Gr2が隣接するアンテナ間のアンテナ間隔D2が基本距離(距離d)の2倍である複数の第二アンテナAt2を有する第二アンテナ組を備え、複数の第一アンテナAt1及び複数の第二アンテナAt2の送受信により形成される複数の仮想受信アンテナVRの隣接する仮想受信アンテナVRの間隔(仮想受信アンテナ間隔Dvr)が基本距離(距離d)であるので、予め定められた距離dの間隔に物理的に3チャンネル以上の受信アンテナRx又は送信アンテナTxである第一アンテナAt1を並べられない場合でも、サイドローブを低減し誤検出を抑制することができる。
実施の形態2.
図27は実施の形態2に係るレーダ装置のアンテナ配置を示す図であり、図28は図27のアンテナ配置に対応した仮想受信アンテナ群を示す図である。実施の形態1のレーダ装置1では、第一アンテナ群Gr1が第一配列方向dr1に2個で1組のアンテナ組を1個のみ備える例を説明した。実施の形態2のレーダ装置1は、第一アンテナ群Gr1が第一配列方向dr1に2個で1組のアンテナ組を複数備える例である。実施の形態1のレーダ装置1と異なる部分を主に説明する。図27のアンテナ配置のアンテナを備えた実施の形態2のレーダ装置1は、2個の送信アンテナTx1、Tx2、4個の受信アンテナRx1、Rx2、Rx3、RX4、図1に示した送信回路12、受信回路13、処理部11を備えている。図27のアンテナ配置のアンテナを備えたレーダ装置1は、Tx1、Tx2の順で繰り返す変調パターン61を有する送信信号を送信する。
送信アンテナTx、受信アンテナRxについて説明する。図27に示したアンテナ配置では、受信アンテナRxが第一アンテナ群Gr1のアンテナすなわち第一アンテナAt1であり、送信アンテナTxが第二アンテナ群Gr2のアンテナすなわち第二アンテナAt2である。受信アンテナRx1、Rx2、RX3、RX4は第一配列方向dr1の正側に向かって順に配置されており、送信アンテナTx1、Tx2は第二配列方向dr2の正側に向かって順に配置されている。受信アンテナRx1、Rx2は、受信アンテナ間隔Drxすなわち位相中心線27aと位相中心線27bとの間隔が距離dと等しい間隔となっている。同様に、受信アンテナRx3、Rx4は、受信アンテナ間隔Drxすなわち位相中心線27cと位相中心線27dとの間隔が距離dと等しい間隔となっている。受信アンテナ間隔Drxは、第一アンテナAt1における距離dのアンテナ間隔D1(図12参照)である。受信アンテナRx1、Rx2は第一アンテナ組22aを構成し、受信アンテナRx3、Rx4は第一アンテナ組22bを構成している。第一アンテナ組22aと第一アンテナ組22bとの第一アンテナ組間隔Dg1sすなわち位相中心線27aと位相中心線27cとの間隔が距離dの4倍すなわち4dとなっている。なお、第一アンテナ組間隔Dg1sは、位相中心線27bと位相中心線27dとの間隔であってもよい。第一アンテナ組間隔Dg1sは、隣接する第一アンテナ組間の間隔である。
送信アンテナTx1、Tx2は、送信アンテナ間隔Dtxすなわち位相中心線28aと位相中心線28bとの間隔が距離dの2倍すなわち2dとなっている。送信アンテナ間隔Dtxは、第二アンテナAt2における距離dの2倍のアンテナ間隔D2(図12参照)である。送信アンテナTx、受信アンテナRxの給電回路25は、各素子アンテナ19への配線長が等しくなるように形成される並列給電方式の給電回路を示した。送信アンテナTxは第二アンテナ群Gr2の第二アンテナAt2なので、他の送信アンテナと隣接する領域に給電回路25が配置されており、素子アンテナ19が対向しないように配置されている例を示した。受信アンテナRxは第一アンテナ群Gr1の第一アンテナAt1なので、第一アンテナ組22aの受信アンテナRx1、Rx2は、他の受信アンテナと隣接する領域に給電回路25が配置されないように、素子アンテナ19が対向するように配置されている。同様に、第一アンテナ組22bの受信アンテナRx3、Rx4は、他の受信アンテナと隣接する領域に給電回路25が配置されないように、素子アンテナ19が対向するように配置されている。
図27のアンテナ配置における送信アンテナTx及び受信アンテナRxで形成される仮想受信アンテナ群50を図28に示した。仮想受信アンテナ群50は、複数の仮想受信アンテナを備えている。2個の第二アンテナAt2である送信アンテナTx1、Tx2と、4個の第一アンテナAt1である受信アンテナRx1、Rx2、Rx3、Rx4により、8個の仮想受信アンテナVR1、VR2、VR3、VR4、VR5、VR6、VR7、VR8が形成される。8個の仮想受信アンテナVRにおける隣接する仮想受信アンテナVR間の間隔である仮想受信アンテナ間隔Dvrが距離dで等間隔になるように構成される。仮想受信アンテナ群50の各仮想受信アンテナVRは、等間隔の距離dで、第三配列方向dr3に配列されている。第三配列方向dr3は第一配列方向dr1及び第二配列方向dr2に平行な方向である。
図28の例では、仮想受信アンテナVR1~VR8が、それぞれ第三配列方向dr3の正側に向かって、VR1、VR2、VR5、VR6、VR3、VR4、VR7、VR8の順で配置されている。これらの仮想受信アンテナ群50のうち、実線円で示したVR1、VR2、VR3、VR4が送信アンテナTx1で送信して受信アンテナRx1~Rx4で受信した信号で形成される仮想受信アンテナであり、破線円で示したVR5、VR6、VR7、VR8が送信アンテナTx2で送信して受信アンテナRx1~Rx4で受信した信号で形成される仮想受信アンテナである。仮想受信アンテナVR1、VR2は第一アンテナ組22aの受信アンテナRx1、Rx2で受信した信号で形成される仮想受信アンテナであり、仮想受信アンテナVR3、VR4は第一アンテナ組22bの受信アンテナRx3、Rx4で受信した信号で形成される仮想受信アンテナである。このため、第一アンテナ組22aの受信アンテナRx1による仮想受信アンテナVR1と、第一アンテナ組22bの受信アンテナRx3による仮想受信アンテナVR3との間隔は、4dである第一アンテナ組間隔Dg1sとなっている。仮想受信アンテナVR1、VR3は第一アンテナ組22a、22bにおける第三配列方向dr3の負側の受信アンテナRx1、Rx3による仮想受信アンテナである。第一アンテナ組22a、22bにおける第三配列方向dr3の正側の受信アンテナRx2、Rx4による仮想受信アンテナVR2、VR4についても、互いの間隔は4dである第一アンテナ組間隔Dg1sとなっている。
破線円で示したVR5、VR6、VR7、VR8も実線円で示したVR1、VR2、VR3、VR4と同様に、第一アンテナ組22aの受信アンテナRx1による仮想受信アンテナVR5と、第一アンテナ組22bの受信アンテナRx3による仮想受信アンテナVR7との間隔は、4dである第一アンテナ組間隔Dg1sとなっている。つまり、第一アンテナ組22a、22bにおける第三配列方向dr3の負側の受信アンテナRx1、Rx3による仮想受信アンテナVR5、VR7は互いの間隔は4dである第一アンテナ組間隔Dg1sとなっている。第一アンテナ組22a、22bにおける第三配列方向dr3の正側の受信アンテナRx2、Rx4による仮想受信アンテナVR6、VR8についても、互いの間隔は4dである第一アンテナ組間隔Dg1sとなっている。
第一アンテナ群Gr1における距離dの受信アンテナ間隔Drxすなわちアンテナ間隔D1で配置された2個の受信アンテナRxを有する第一アンテナ組22a、22b間の第一アンテナ組間隔Dg1sを、式(3)に従って決定する。
Dg1s=Ng2×D2 ・・・(3)
ここで、Ng2は第二アンテナの数すなわち第二アンテナ数である。図27のアンテナ配置の場合は、第二アンテナ数Ng2が2であり、第二アンテナ群Gr2の第二アンテナAt2が送信アンテナTxであり、第二アンテナ群Gr2の隣接する第二アンテナAt2間のアンテナ間隔D2が距離dの2倍の送信アンテナ間隔Dtxである。
図27のアンテナ配置の場合は、第一アンテナ組間隔Dg1sは2×D2であり、4dになる。前述したように、予め定められた距離dのアンテナ間隔D1で配置された複数の第一アンテナAt1は送信アンテナTxでも受信アンテナRxでもよい。第二アンテナAt2は第一アンテナAt1と逆動作のアンテナである。図27のアンテナ配置では、第一アンテナAt1が4個で、第二アンテナAt2が2個の例であった。しかし、実施の形態2のレーダ装置1におけるアンテナはこれに限定されない。第一アンテナAt1が4個以上の偶数で、第一アンテナ組を2個以上備え、第二アンテナAt2が2個以上あればよい。
実施の形態2のレーダ装置1は、第一アンテナ群Gr1に含まれる第一アンテナAt1の数が4以上の偶数であり、第二アンテナ群Gr2に含まれる第二アンテナAt2の数が2以上であり、送信回路12、受信回路13が、第一アンテナAt1及び第二アンテナAt2の一方である送信アンテナTxの数、第一アンテナAt1及び第二アンテナAt2の他方である受信アンテナRxの数に対応した構成になっている。実施の形態2のレーダ装置1は、予め定められた距離dの間隔で配置された2個の第一アンテナAt1を有する第一アンテナ組における隣接する間隔である第一アンテナ組間隔Dg1sが、第二アンテナAt2の数である第二アンテナ数Ng2と第二アンテナ群Gr2における隣接する第二アンテナAt2間の間隔であるアンテナ間隔D2とを乗算した値になるように、第一アンテナAt1が配置されている。実施の形態2のレーダ装置1は、予め定められた距離dの間隔に物理的に3チャンネル以上の第一アンテナAt1が配置できない場合であるが、第一アンテナAt1及び第二アンテナAt2の送受信により形成される複数の仮想受信アンテナVRが距離dの等間隔で配置できるので、サイドローブを低減し誤検出を抑制することができる。
アンテナ配置の第一例~第六例で配置された第一アンテナAt1及び第二アンテナAt2を備えた実施の形態1のレーダ装置1は、第一アンテナAt1が2チャンネルの場合に好適であった。これに対して、実施の形態2のレーダ装置1は、第一アンテナAt1が2チャンネル以上の偶数の場合に好適である。なお、実施の形態2のレーダ装置1は、図25に示したアンテナ配置の第七例と同様に、第一アンテナ群Gr1、第二アンテナ群Gr2のアンテナが位相中心線の延伸方向に複数組配置されていてもよい。この場合、第三配列方向dr3とこれに垂直な第六配列方向dr6の2次元で対象物体33の距離、相対速度、及び、角度を測定することができる。
実施の形態3.
図29は実施の形態3に係るレーダ装置のアンテナ配置を示す図であり、図30は図29の送信アンテナの配置を示す図である。図31は、図29のアンテナ配置に対応した仮想受信アンテナ群を示す図である。実施の形態2のレーダ装置1では、第一アンテナ群Gr1が第一配列方向dr1に2個で1組のアンテナ組を複数備える例を説明した。実施の形態3のレーダ装置1は、実施の形態2のレーダ装置1と同様に、第一アンテナ群Gr1が第一配列方向dr1に2個で1組のアンテナ組を複数備える例であるが、第二アンテナ群Gr2の第二アンテナAt2の数が2以上の素数である例である。実施の形態2のレーダ装置1と異なる部分を主に説明する。図29、図30のアンテナ配置のアンテナを備えた実施の形態3のレーダ装置1は、第一アンテナ群Gr1のアンテナ組が3組であり、第二アンテナ群Gr2の第二アンテナAt2である送信アンテナTxの数が3である点で、図27のアンテナ配置のアンテナを備えた実施の形態2のレーダ装置1と異なる。具体的には、図29、図30のアンテナ配置のアンテナを備えた実施の形態3のレーダ装置1は、3個の送信アンテナTx1、Tx2、Tx3、6個の受信アンテナRx1、Rx2、Rx3、Rx4、Rx5、Rx6、送信回路12、受信回路13、処理部11を備えている。送信回路12は、送信切替スイッチ124が3個の送信アンテナTx1、Tx2、Tx3を切替える構成になっている。受信回路13は、6個の受信アンテナRx1~Rx6に対応した構成になっている。図29、図30のアンテナ配置のアンテナを備えたレーダ装置1は、Tx1、Tx2、Tx3の順で繰り返す変調パターン61を有する送信信号を送信する。
送信アンテナTx、受信アンテナRxについて説明する。図29、図30に示したアンテナ配置では、受信アンテナRxが第一アンテナ群Gr1のアンテナすなわち第一アンテナAt1であり、送信アンテナTxが第二アンテナ群Gr2のアンテナすなわち第二アンテナAt2である。受信アンテナRx1~Rx6は第一配列方向dr1の正側に向かって順に配置されており、送信アンテナTx1、Tx2、Tx3は第二配列方向dr2の正側に向かって順に配置されている。受信アンテナRx1、Rx2は第一アンテナ組22aを構成し、受信アンテナRx3、Rx4は第一アンテナ組22bを構成し、受信アンテナRx5、Rx6は第一アンテナ組22cを構成している。第一アンテナ組22a、22bは実施の形態2で説明した通りである。第一アンテナ組22cの受信アンテナRx5、Rx6は、受信アンテナ間隔Drxすなわち位相中心線27eと位相中心線27fとの間隔が距離dと等しい間隔となっている。受信アンテナ間隔Drxは、第一アンテナAt1における距離dのアンテナ間隔D1(図12参照)である。第一アンテナ組22a、22b、22cの隣接する第一アンテナ組間の間隔すなわち第一アンテナ組間隔Dg1sは、距離dの6倍すなわち6dとなっている。第一アンテナ組22aと第一アンテナ組22bとの間隔は位相中心線27aと位相中心線27cとの間隔又は位相中心線27bと位相中心線27dとの間隔であり、第一アンテナ組22bと第一アンテナ組22cとの間隔は位相中心線27cと位相中心線27eとの間隔又は位相中心線27dと位相中心線27fとの間隔である。
送信アンテナTx1、Tx2、Tx3は、隣接する送信アンテナTx間の間隔すなわち送信アンテナ間隔Dtxは距離dの2倍すなわち2dとなっている。送信アンテナTx1と送信アンテナTx2との間隔は位相中心線28aと位相中心線28bとの間隔であり、送信アンテナTx2と送信アンテナTx3との間隔は位相中心線28bと位相中心線28cとの間隔である。送信アンテナ間隔Dtxは、第二アンテナAt2における距離dの2倍のアンテナ間隔D2(図12参照)である。送信アンテナTx、受信アンテナRxの給電回路25は、各素子アンテナ19への配線長が等しくなるように形成される並列給電方式の給電回路を示した。送信アンテナTxは第二アンテナ群Gr2の第二アンテナAt2なので、他の送信アンテナと隣接する領域に給電回路25が配置されており、素子アンテナ19が対向しないように配置されている例を示した。受信アンテナRxは第一アンテナ群Gr1の第一アンテナAt1なので、第一アンテナ組22a、22b、22cの2個の受信アンテナRxは他の受信アンテナと隣接する領域に給電回路25が配置されないように、素子アンテナ19が対向するように配置されている。
図29、図30のアンテナ配置における送信アンテナTx及び受信アンテナRxで形成される仮想受信アンテナ群50を図31に示した。仮想受信アンテナ群50は、複数の仮想受信アンテナを備えている。3個の第二アンテナAt2である送信アンテナTx1~Tx3と、6個の第一アンテナAt1である受信アンテナRx1~Rx6により、18個の仮想受信アンテナVR1~VR18が形成される。18個の仮想受信アンテナVRにおける隣接する仮想受信アンテナVR間の間隔である仮想受信アンテナ間隔Dvrが距離dで等間隔になるように構成される。仮想受信アンテナ群50の各仮想受信アンテナVRは、等間隔の距離dで、第三配列方向dr3に配列されている。第三配列方向dr3は第一配列方向dr1及び第二配列方向dr2に平行な方向である。
図31の例では、仮想受信アンテナVR1~VR18が、それぞれ第三配列方向dr3の正側に向かって、VR1、VR2、VR7、VR8、VR13、VR14、VR3、VR4、VR9、VR10、VR15、VR16、VR5、VR6、VR11、VR12、VR17、VR18の順で配置されている。これらの仮想受信アンテナ群50のうち、白抜き実線円で示したVR1、VR2、VR3、VR4、VR5、VR6が送信アンテナTx1で送信して受信アンテナRx1~Rx6で受信した信号で形成される仮想受信アンテナであり、白抜き破線円で示したVR7、VR8、VR9、VR10、VR11、VR12が送信アンテナTx2で送信して受信アンテナRx1~Rx6で受信した信号で形成される仮想受信アンテナである。パターン有実線円で示したVR13、VR14、VR15、VR16、VR17、VR18は、送信アンテナTx3で送信して受信アンテナRx1~Rx6で受信した信号で形成される仮想受信アンテナである。
仮想受信アンテナVR1、VR2は第一アンテナ組22aの受信アンテナRx1、Rx2で受信した信号で形成される仮想受信アンテナであり、仮想受信アンテナVR3、VR4は第一アンテナ組22bの受信アンテナRx3、Rx4で受信した信号で形成される仮想受信アンテナであり、仮想受信アンテナVR5、VR6は第一アンテナ組22cの受信アンテナRx5、Rx6で受信した信号で形成される仮想受信アンテナである。このため、第一アンテナ組22aの受信アンテナRx1、第一アンテナ組22bの受信アンテナRx3、第一アンテナ組22cの受信アンテナRx5による仮想受信アンテナVR1、VR3、VR5における隣接する間隔は、6dである第一アンテナ組間隔Dg1sとなっている。受信アンテナRx1、Rx3、Rx5は第一アンテナ組22a、22b、22cにおける第三配列方向dr3の負側の受信アンテナRxであるが、第一アンテナ組22a、22b、22cにおける第三配列方向dr3の正側の受信アンテナRxである受信アンテナRx2、Rx4、Rx6による仮想受信アンテナVR2、VR4、VR6についても、互いの間隔は6dである第一アンテナ組間隔Dg1sとなっている。
白抜き破線円で示したVR7、VR8、VR9、VR10、VR11、VR12も白抜き実線円で示したVR1~VR6と同様に、第一アンテナ組22aの受信アンテナRx1、第一アンテナ組22bの受信アンテナRx3、第一アンテナ組22cの受信アンテナRx5による仮想受信アンテナVR7、VR9、VR11における隣接する間隔は、6dである第一アンテナ組間隔Dg1sとなっている。第一アンテナ組22a、22b、22cにおける第三配列方向dr3の正側の受信アンテナRxである受信アンテナRx2、Rx4、Rx6による仮想受信アンテナVR8、VR10、VR12についても、互いの間隔は6dである第一アンテナ組間隔Dg1sとなっている。
パターン有実線円で示したVR13、VR14、VR15、VR16、VR17、VR18も白抜き実線円で示したVR1~VR6と同様に、第一アンテナ組22aの受信アンテナRx1、第一アンテナ組22bの受信アンテナRx3、第一アンテナ組22cの受信アンテナRx5による仮想受信アンテナVR13、VR15、VR17における隣接する間隔は、6dである第一アンテナ組間隔Dg1sとなっている。第一アンテナ組22a、22b、22cにおける第三配列方向dr3の正側の受信アンテナRxである受信アンテナRx2、Rx4、Rx6による仮想受信アンテナVR14、VR16、VR18についても、互いの間隔は6dである第一アンテナ組間隔Dg1sとなっている。
第一アンテナ群Gr1における距離dの受信アンテナ間隔Drxすなわちアンテナ間隔D1で配置された2個の受信アンテナRxを有する第一アンテナ組22a、22b、22cの隣接する第一アンテナ組間の間隔すなわち第一アンテナ組間隔Dg1sを、式(3)に従って決定する。図29、図30のアンテナ配置の場合は、第二アンテナ数Ng2が3であり、第二アンテナ群Gr2の第二アンテナAt2が送信アンテナTxであり、第二アンテナ群Gr2の隣接する第二アンテナAt2間のアンテナ間隔D2が距離dの2倍の送信アンテナ間隔Dtxである。図29、図30のアンテナ配置の場合は、第一アンテナ組間隔Dg1sは3×D2であり、6dになる。前述したように、予め定められた距離dのアンテナ間隔D1で配置された複数の第一アンテナAt1は送信アンテナTxでも受信アンテナRxでもよい。第二アンテナAt2は第一アンテナAt1と逆動作のアンテナである。図29、図30のアンテナ配置では、第一アンテナAt1が6個で、第二アンテナAt2が3個の例であった。しかし、実施の形態3のレーダ装置1におけるアンテナはこれに限定されない。第一アンテナAt1の数が4個以上の偶数で、第一アンテナ組を2個以上備え、第二アンテナAt2の数が2以上の素数であればよい。
実施の形態3のレーダ装置1は、第一アンテナ群Gr1に含まれる第一アンテナAt1の数が4以上の偶数であり、第二アンテナ群Gr2に含まれる第二アンテナAt2の数が2以上の素数であり、送信回路12、受信回路13が、第一アンテナAt1及び第二アンテナAt2の一方である送信アンテナTxの数、第一アンテナAt1及び第二アンテナAt2の他方である受信アンテナRxの数に対応した構成になっている。実施の形態3のレーダ装置1は、予め定められた距離dの間隔で配置された2個の第一アンテナAt1を有する第一アンテナ組における隣接する間隔である第一アンテナ組間隔Dg1sが、第二アンテナAt2の数である第二アンテナ数Ng2と第二アンテナ群Gr2における隣接する第二アンテナAt2間の間隔であるアンテナ間隔D2とを乗算した値になるように、第一アンテナAt1が配置されている。実施の形態3のレーダ装置1は、予め定められた距離dの間隔に物理的に3チャンネル以上の第一アンテナAt1が配置できない場合であるが、第一アンテナAt1及び第二アンテナAt2の送受信により形成される複数の仮想受信アンテナVRが距離dの等間隔で配置できるので、サイドローブを低減し誤検出を抑制することができる。
実施の形態3のレーダ装置1は、第一アンテナAt1の数が2チャンネル以上の偶数であり、第二アンテナAt2の数が2以上の素数に好適である。実施の形態3のレーダ装置1は、第二アンテナAt2が2以上の素数になっても、第一アンテナAt1及び第二アンテナAt2の送受信により形成される複数の仮想受信アンテナVRが距離dの等間隔で配置できる。また、第二アンテナAt2が送信アンテナTxの場合には、仮想受信アンテナVRを受信アンテナRxの組すなわち第一アンテナ組22a、22b、22cにおいて送信アンテナTx毎にまとめ配置することで、複数の仮想受信アンテナVRが距離dの等間隔で配置できる。なお、実施の形態3のレーダ装置1は、図25に示したアンテナ配置の第七例と同様に、第一アンテナ群Gr1、第二アンテナ群Gr2のアンテナが位相中心線の延伸方向に複数組配置されていてもよい。この場合、第三配列方向dr3とこれに垂直な第六配列方向dr6の2次元で対象物体33の距離、相対速度、及び、角度を測定することができる。
実施の形態4.
図32は実施の形態4に係るレーダ装置のアンテナ配置を示す図であり、図33は図32の送信アンテナの配置を示す図である。図34は図32のアンテナ配置に対応した仮想受信アンテナ群を示す図であり、図35は図34の第一仮想受信アンテナ群を示す図であり、図36は図34の第二仮想受信アンテナ群を示す図である。実施の形態3のレーダ装置1では、第二アンテナ群Gr2の第二アンテナAt2の数が2以上の素数である場合における実施の形態2のレーダ装置1のアンテナ配置の拡張方法を説明した。実施の形態4のレーダ装置1は、2以上の素数個の第二アンテナAt2を備えた第二アンテナ組を複数備えた例である。実施の形態3のレーダ装置1と異なる部分を主に説明する。図32、図33のアンテナ配置のアンテナを備えた実施の形態4のレーダ装置1は、第二アンテナ群Gr2において3個の第二アンテナAt2である送信アンテナTxを有する第二アンテナ組を2組備えている点で、図29、図30のアンテナ配置のアンテナを備えた実施の形態3のレーダ装置1と異なる。具体的には、図32、図33のアンテナ配置のアンテナを備えた実施の形態4のレーダ装置1は、6個の送信アンテナTx1、Tx2、Tx3、Tx4、Tx5、Tx6、6個の受信アンテナRx1、Rx2、Rx3、Rx4、Rx5、Rx6、送信回路12、受信回路13、処理部11を備えている。送信回路12は、送信切替スイッチ124が6個の送信アンテナTx1~Tx6を切替える構成になっている。受信回路13は、6個の受信アンテナRx1~Rx6に対応した構成になっている。図32、図33のアンテナ配置のアンテナを備えたレーダ装置1は、Tx1、Tx2、Tx3、Tx4、Tx5、Tx6の順で繰り返す変調パターン61を有する送信信号を送信する。
送信アンテナTx、受信アンテナRxについて説明する。図32、図33に示したアンテナ配置では、受信アンテナRxが第一アンテナ群Gr1のアンテナすなわち第一アンテナAt1であり、送信アンテナTxが第二アンテナ群Gr2のアンテナすなわち第二アンテナAt2である。受信アンテナRx1~Rx6は第一配列方向dr1の正側に向かって順に配置されており、送信アンテナTx1~Tx6は第二配列方向dr2の正側に向かって順に配置されている。受信アンテナRx1、Rx2は第一アンテナ組22aを構成し、受信アンテナRx3、Rx4は第一アンテナ組22bを構成し、受信アンテナRx5、Rx6は第一アンテナ組22cを構成している。図32に示した第一アンテナ群Gr1は、図29に示した第一アンテナ群Gr1と同じなので、説明は繰り返さない。
送信アンテナTx1、Tx2、Tx3は第二アンテナ組24aを構成し、送信アンテナTx4、Tx5、Tx6は第二アンテナ組24bを構成する。第二アンテナ組の数すなわち組数をαとし、第二アンテナ組内のアンテナ数すなわち組内アンテナ数をβとすると、図32、図33に示したアンテナ配置における第二アンテナ群Gr2は、組数αが2で組内アンテナ数βが3であり、α×βで計算される6個の第二アンテナAt2を備えている。第二アンテナ組24aは実施の形態3で説明した通りである。第二アンテナ組24bも第二アンテナ組24aと同様の構成である。送信アンテナTx4、Tx5、Tx6は、隣接する送信アンテナTx間の間隔すなわち送信アンテナ間隔Dtxは距離dの2倍すなわち2dとなっている。送信アンテナTx4と送信アンテナTx5との間隔は位相中心線28dと位相中心線28eとの間隔であり、送信アンテナTx5と送信アンテナTx6との間隔は位相中心線28eと位相中心線28fとの間隔である。送信アンテナ間隔Dtxは、第二アンテナAt2における距離dの2倍のアンテナ間隔D2(図12参照)である。送信アンテナTx、受信アンテナRxの給電回路25は、各素子アンテナ19への配線長が等しくなるように形成される並列給電方式の給電回路を示した。送信アンテナTxは第二アンテナ群Gr2の第二アンテナAt2なので、他の送信アンテナと隣接する領域に給電回路25が配置されており、素子アンテナ19が対向しないように配置されている例を示した。受信アンテナRxは第一アンテナ群Gr1の第一アンテナAt1なので、第一アンテナ組22a、22b、22cの2個の受信アンテナRxは他の受信アンテナと隣接する領域に給電回路25が配置されないように、素子アンテナ19が対向するように配置されている。
図32、図33のアンテナ配置における送信アンテナTx及び受信アンテナRxで形成される仮想受信アンテナ群50を図34、図35、図36に示した。仮想受信アンテナ群50は、複数の仮想受信アンテナを備えている。6個の第二アンテナAt2である送信アンテナTx1~Tx6と、6個の第一アンテナAt1である受信アンテナRx1~Rx6により、36個の仮想受信アンテナVR1~VR36が形成される。36個の仮想受信アンテナVRにおける隣接する仮想受信アンテナVR間の間隔である仮想受信アンテナ間隔Dvrが距離dで等間隔になるように構成される。仮想受信アンテナ群50の各仮想受信アンテナVRは、等間隔の距離dで、第三配列方向dr3に配列されている。第三配列方向dr3は第一配列方向dr1及び第二配列方向dr2に平行な方向である。
第二アンテナ群Gr2は2組の第二アンテナ組24a、24bを備えているので、仮想受信アンテナ群50は、第二アンテナ組24aの送信アンテナTxで送信して受信アンテナRx1~Rx6で受信した信号で形成される仮想受信アンテナVR1~VR18を有する仮想受信アンテナ群51aと、第二アンテナ組24bの送信アンテナTxで送信して受信アンテナRx1~Rx6で受信した信号で形成される仮想受信アンテナVR19~VR36を有する仮想受信アンテナ群51bとにより構成されている。図35に示した仮想受信アンテナ群51aは、実施の形態3で説明した図31の仮想受信アンテナ群50と同じ構成になっている。
仮想受信アンテナ群51bは、仮想受信アンテナ群51aと同様の構成である。図36の例では、仮想受信アンテナVR19~VR36が、それぞれ第三配列方向dr3の正側に向かって、VR19、VR20、VR25、VR26、VR31、VR32、VR21、VR22、VR27、VR28、VR33、VR34、VR23、VR24、VR29、VR30、VR35、VR36の順で配置されている。この仮想受信アンテナ群51bのうち、白抜き実線円で示したVR19、VR20、VR21、VR22、VR23、VR24が送信アンテナTx4で送信して受信アンテナRx1~Rx6で受信した信号で形成される仮想受信アンテナであり、白抜き破線円で示したVR25、VR26、VR27、VR28、VR29、VR30が送信アンテナTx5で送信して受信アンテナRx1~Rx6で受信した信号で形成される仮想受信アンテナである。パターン有実線円で示したVR31、VR32、VR33、VR34、VR35、VR36は、送信アンテナTx6で送信して受信アンテナRx1~Rx6で受信した信号で形成される仮想受信アンテナである。
仮想受信アンテナVR19、VR20は第一アンテナ組22aの受信アンテナRx1、Rx2で受信した信号で形成される仮想受信アンテナであり、仮想受信アンテナVR21、VR22は第一アンテナ組22bの受信アンテナRx3、Rx4で受信した信号で形成される仮想受信アンテナであり、仮想受信アンテナVR23、VR24は第一アンテナ組22cの受信アンテナRx5、Rx6で受信した信号で形成される仮想受信アンテナである。このため、第一アンテナ組22aの受信アンテナRx1、第一アンテナ組22bの受信アンテナRx3、第一アンテナ組22cの受信アンテナRx5による仮想受信アンテナVR19、VR21、VR23における隣接する間隔は、6dである第一アンテナ組間隔Dg1sとなっている。受信アンテナRx1、Rx3、Rx5は第一アンテナ組22a、22b、22cにおける第三配列方向dr3の負側の受信アンテナRxであるが、第一アンテナ組22a、22b、22cにおける第三配列方向dr3の正側の受信アンテナRxである受信アンテナRx2、Rx4、Rx6による仮想受信アンテナVR20、VR22、VR24についても、互いの間隔は6dである第一アンテナ組間隔Dg1sとなっている。
白抜き破線円で示したVR25、VR26、VR27、VR28、VR29、VR30も白抜き実線円で示したVR19~VR24と同様に、第一アンテナ組22aの受信アンテナRx1、第一アンテナ組22bの受信アンテナRx3、第一アンテナ組22cの受信アンテナRx5による仮想受信アンテナVR25、VR27、VR29における隣接する間隔は、6dである第一アンテナ組間隔Dg1sとなっている。第一アンテナ組22a、22b、22cにおける第三配列方向dr3の正側の受信アンテナRxである受信アンテナRx2、Rx4、Rx6による仮想受信アンテナVR26、VR28、VR30についても、互いの間隔は6dである第一アンテナ組間隔Dg1sとなっている。
パターン有実線円で示したVR31、VR32、VR33、VR34、VR35、VR36も白抜き実線円で示したVR19~VR24と同様に、第一アンテナ組22aの受信アンテナRx1、第一アンテナ組22bの受信アンテナRx3、第一アンテナ組22cの受信アンテナRx5による仮想受信アンテナVR31、VR33、VR35における隣接する間隔は、6dである第一アンテナ組間隔Dg1sとなっている。第一アンテナ組22a、22b、22cにおける第三配列方向dr3の正側の受信アンテナRxである受信アンテナRx2、Rx4、Rx6による仮想受信アンテナVR32、VR34、VR36についても、互いの間隔は6dである第一アンテナ組間隔Dg1sとなっている。
第一アンテナ群Gr1における距離dの受信アンテナ間隔Drxすなわちアンテナ間隔D1で配置された2個の受信アンテナRxを有する第一アンテナ組22a、22b、22cの隣接する第一アンテナ組間の間隔すなわち第一アンテナ組間隔Dg1sを、式(4)に従って決定する。
Dg1s=β×D2 ・・・(4)
βは、前述したように第二アンテナ組内のアンテナ数すなわち組内アンテナ数である。図32、図33のアンテナ配置の場合は、第二アンテナ組内の組内アンテナ数βが3であり、第二アンテナ群Gr2の第二アンテナAt2が送信アンテナTxであり、第二アンテナ群Gr2の各第二アンテナ組24a、24bにおける、隣接する第二アンテナAt2間のアンテナ間隔D2が距離dの2倍の送信アンテナ間隔Dtxである。図32、図33のアンテナ配置の場合は、第一アンテナ組間隔Dg1sは3×D2であり、6dになる。
第二アンテナ群Gr2における距離dの2倍の送信アンテナ間隔Dtxすなわちアンテナ間隔D2で配置された3個の送信アンテナTxを有する第二アンテナ組24a、24b間の第二アンテナ組間隔Dg2sを、式(5)に従って決定する。第二アンテナ組間隔Dg2sは、隣接する第二アンテナ組間の間隔である。
Dg2s=Dg1s×Ng1/2 ・・・(5)
ここで、Ng1は第一アンテナの数すなわち第一アンテナ数である。図32、図33のアンテナ配置の場合は、第一アンテナ組間隔Dg1sが6dであり、第一アンテナ数Ng1が6である。
図32、図33のアンテナ配置の場合は、第二アンテナ組間隔Dg2sは6d×6/2で算出される18dになる。前述したように、予め定められた距離dのアンテナ間隔D1で配置された複数の第一アンテナAt1は送信アンテナTxでも受信アンテナRxでもよい。第二アンテナAt2は第一アンテナAt1と逆動作のアンテナである。図32、図33のアンテナ配置では、第一アンテナAt1が6個で、第二アンテナAt2が6個の例であった。しかし、実施の形態4のレーダ装置1におけるアンテナはこれに限定されない。第一アンテナAt1の数すなわち第一アンテナ数Ng1が4個以上の偶数で、第一アンテナ組を2個以上備え、第二アンテナAt2の数すなわち第二アンテナ数Ng2がα×βであればよい。ここで、第二アンテナ群Gr2における第二アンテナ組の組数α及び組内アンテナ数βは、いずれも2以上の整数である。
実施の形態4のレーダ装置1は、第一アンテナ群Gr1に含まれる第一アンテナAt1の数が4以上の偶数であり、第二アンテナ群Gr2に含まれる第二アンテナAt2の数がα×βであり、送信回路12、受信回路13が、第一アンテナAt1及び第二アンテナAt2の一方である送信アンテナTxの数、第一アンテナAt1及び第二アンテナAt2の他方である受信アンテナRxの数に対応した構成になっている。実施の形態4のレーダ装置1は、予め定められた距離dの間隔で配置された2個の第一アンテナAt1を有する第一アンテナ組における隣接する間隔である第一アンテナ組間隔Dg1sが、第二アンテナ組24a、24bにおける第二アンテナAt2の数である組内アンテナ数βと第二アンテナ組24a、24bにおける隣接する第二アンテナAt2間の間隔であるアンテナ間隔D2とを乗算した値になるように第一アンテナAt1が配置されている。また、実施の形態4のレーダ装置1は、アンテナ間隔D2で配置された組内アンテナ数β個の第二アンテナAt2を有する組数α個の第二アンテナ組24a、24bにおける隣接する間隔である第二アンテナ組間隔Dg2sが、第一アンテナ組間隔Dg1sと第一アンテナAt1の数である第一アンテナ数Ng1との積を2で除算した値になるように第二アンテナAt2が配置されている。実施の形態4のレーダ装置1は、予め定められた距離dの間隔に物理的に3チャンネル以上の第一アンテナAt1が配置できない場合であるが、第一アンテナAt1及び第二アンテナAt2の送受信により形成される複数の仮想受信アンテナVRが距離dの等間隔で配置できるので、サイドローブを低減し誤検出を抑制することができる。
実施の形態4のレーダ装置1は、第一アンテナAt1の数が2チャンネル以上の偶数であり、第二アンテナAt2の数が組数αと組内アンテナ数βと積であるα×β個の場合に好適である。実施の形態4のレーダ装置1は、予め定められた距離dの間隔に物理的に3チャンネル以上の第一アンテナAt1が配置できない場合でも、第一アンテナAt1及び第二アンテナAt2の送受信により形成される複数の仮想受信アンテナVRが距離dの等間隔で配置できる。また、第二アンテナAt2が送信アンテナTxの場合には、仮想受信アンテナVRを受信アンテナRxの組すなわち第一アンテナ組22a、22b、22cにおいて送信アンテナTx毎にまとめ配置することで、複数の仮想受信アンテナVRが距離dの等間隔で配置できる。なお、実施の形態4のレーダ装置1は、図25に示したアンテナ配置の第七例と同様に、第一アンテナ群Gr1、第二アンテナ群Gr2のアンテナが位相中心線の延伸方向に複数組配置されていてもよい。この場合、第三配列方向dr3とこれに垂直な第六配列方向dr6の2次元で対象物体33の距離、相対速度、及び、角度を測定することができる。
図32、図33のアンテナ配置例では、第一アンテナ群Gr1、第二アンテナ群Gr2が互いに他のアンテナ配列方向に並んで配置されている例、すなわち第二アンテナ群Gr2の第二配列方向dr2の正側に第一アンテナ群Gr1が配置されている例を示した。しかし、第一アンテナ群Gr1、第二アンテナ群Gr2の配置は、図37のように互いの各アンテナの位相中心線の延伸方向に並べて配置してもよい。図37のアンテナ配置例では、第二アンテナ群Gr2の紙面上側に第一アンテナ群Gr1が配置されている。第一アンテナ群Gr1、第二アンテナ群Gr2が互いの各アンテナの位相中心線の延伸方向に並べて配置されている場合には、仮想受信アンテナVRの配置が予め定められた距離dの等間隔で配置でき、レーダ装置1の送信アンテナTx及び受信アンテナRxの長手方向の長さすなわち第一配列方向dr1及び第二配列方向dr2の長さを小さくできる。この場合、送信アンテナTx及び受信アンテナRxの合計数が多くなっても、送信アンテナTx及び受信アンテナRxの長手方向の長さすなわちアンテナ長手方向の長さが、送信回路12、受信回路13、処理部11のアンテナ長手方向の長さに比べて突出して長くなることを防止できる。同一直線上に送信アンテナTx及び受信アンテナRxの合計数が多くなる場合は、レーダ装置1の長手方向の長さがアンテナ長手方向の長さに応じて長くなる。したがって、送信アンテナTx及び受信アンテナRxの合計数が多くなる場合は、送信アンテナTx及び受信アンテナRxのアンテナ長手方向の長さを短くすることで、レーダ装置1の長手方向の長さを短くすることができる。
実施の形態5.
図37は、実施の形態5に係るレーダ装置のアンテナ配置を示す図である、図38は図37のアンテナ配置に対応した仮想受信アンテナ群を示す図であり、図39は図37の第三仮想受信アンテナ群を示す図である。実施の形態5のレーダ装置1は、実施の形態4のレーダ装置1における第二アンテナ群Gr2における第二アンテナ組の組数αが3の例である。実施の形態4のレーダ装置1と異なる部分を主に説明する。図37のアンテナ配置のアンテナを備えた実施の形態5のレーダ装置1は、第二アンテナ群Gr2において3個の第二アンテナAt2である送信アンテナTxを有する第二アンテナ組を3組備えている点で、図32、図33のアンテナ配置のアンテナを備えた実施の形態4のレーダ装置1と異なる。第二アンテナ群Gr2における第二アンテナAt2の組数α、組内アンテナ数βを用いて表現すると、図32、図33のアンテナ配置のアンテナを備えた実施の形態4のレーダ装置1は、組数α及び組内アンテナ数βがそれぞれ2及び3の例であり、図37のアンテナ配置のアンテナを備えた実施の形態5のレーダ装置1は、組数α及び組内アンテナ数βがそれぞれ3及び3の例である。
具体的には、図37のアンテナ配置のアンテナを備えた実施の形態5のレーダ装置1は、9個の送信アンテナTx1、Tx2、Tx3、Tx4、Tx5、Tx6、Tx7、Tx8、Tx9、6個の受信アンテナRx1、Rx2、Rx3、Rx4、Rx5、Rx6、送信回路12、受信回路13、処理部11を備えている。送信回路12は、送信切替スイッチ124が9個の送信アンテナTx1~Tx9を切替える構成になっている。受信回路13は、6個の受信アンテナRx1~Rx6に対応した構成になっている。図37のアンテナ配置のアンテナを備えたレーダ装置1は、Tx1、Tx2、Tx3、Tx4、Tx5、Tx6、Tx7、Tx8、Tx9の順で繰り返す変調パターン61を有する送信信号を送信する。
送信アンテナTx、受信アンテナRxについて説明する。図37に示したアンテナ配置では、受信アンテナRxが第一アンテナ群Gr1のアンテナすなわち第一アンテナAt1であり、送信アンテナTxが第二アンテナ群Gr2のアンテナすなわち第二アンテナAt2である。受信アンテナRx1~Rx6は第一配列方向dr1の正側に向かって順に配置されており、送信アンテナTx1~Tx9は第二配列方向dr2の正側に向かって順に配置されている。受信アンテナRx1、Rx2は第一アンテナ組22aを構成し、受信アンテナRx3、Rx4は第一アンテナ組22bを構成し、受信アンテナRx5、Rx6は第一アンテナ組22cを構成している。図37に示した第一アンテナ群Gr1は、図32に示した第一アンテナ群Gr1と同じなので、説明は繰り返さない。
送信アンテナTx1、Tx2、Tx3は第二アンテナ組24aを構成し、送信アンテナTx4、Tx5、Tx6は第二アンテナ組24bを構成し、送信アンテナTx7、Tx8、Tx9は第二アンテナ組24cを構成する。第二アンテナ群Gr2における第二アンテナAt2の組数α、組内アンテナ数βを用いて表現すると、図37に示したアンテナ配置における第二アンテナ群Gr2は、組数αが3で組内アンテナ数βが3であり、α×βで計算される9個の第二アンテナAt2を備えている。第二アンテナ組24a、24bは実施の形態4で説明した通りである。第二アンテナ組24cも第二アンテナ組24a、24bと同様の構成である。送信アンテナTx7、Tx8、Tx9は、隣接する送信アンテナTx間の間隔すなわち送信アンテナ間隔Dtxは距離dの2倍すなわち2dとなっている。送信アンテナTx7と送信アンテナTx8との間隔は位相中心線28gと位相中心線28hとの間隔であり、送信アンテナTx8と送信アンテナTx9との間隔は位相中心線28hと位相中心線28iとの間隔である。送信アンテナ間隔Dtxは、第二アンテナAt2における距離dの2倍のアンテナ間隔D2(図12参照)である。送信アンテナTx、受信アンテナRxの給電回路25は、実施の形態4のレーダ装置1と同様であり、各素子アンテナ19への配線長が等しくなるように形成される並列給電方式の給電回路を示した。
図37のアンテナ配置における送信アンテナTx及び受信アンテナRxで形成される仮想受信アンテナ群50を図38に示した。図38に示した仮想受信アンテナ群50は、仮想受信アンテナ群51a、51b、51cから構成されている。仮想受信アンテナ群51a、51bは、それぞれ図35、図36に示した仮想受信アンテナ群51a、51bと同じであり、仮想受信アンテナ群51cを図39に示した。9個の第二アンテナAt2である送信アンテナTx1~Tx9と、6個の第一アンテナAt1である受信アンテナRx1~Rx6により、54個の仮想受信アンテナVR1~VR54が形成される。54個の仮想受信アンテナVRにおける隣接する仮想受信アンテナVR間の間隔である仮想受信アンテナ間隔Dvrが距離dで等間隔になるように構成される。仮想受信アンテナ群50の各仮想受信アンテナVRは、等間隔の距離dで、第三配列方向dr3に配列されている。第三配列方向dr3は第一配列方向dr1及び第二配列方向dr2に平行な方向である。
第二アンテナ群Gr2は3組の第二アンテナ組24a、24b、24cを備えているので、仮想受信アンテナ群50は、第二アンテナ組24aの送信アンテナTxで送信して受信アンテナRx1~Rx6で受信した信号で形成される仮想受信アンテナVR1~VR18を有する仮想受信アンテナ群51aと、第二アンテナ組24bの送信アンテナTxで送信して受信アンテナRx1~Rx6で受信した信号で形成される仮想受信アンテナVR19~VR36を有する仮想受信アンテナ群51bと、第二アンテナ組24cの送信アンテナTxで送信して受信アンテナRx1~Rx6で受信した信号で形成される仮想受信アンテナVR37~VR54を有する仮想受信アンテナ群51cと、により構成されている。
仮想受信アンテナ群51cは、仮想受信アンテナ群51a、51bと同様の構成である。図39の例では、仮想受信アンテナVR37~VR54が、それぞれ第三配列方向dr3の正側に向かって、VR37、VR38、VR43、VR44、VR49、VR50、VR39、VR40、VR45、VR46、VR51、VR52、VR41、VR42、VR47、VR48、VR53、VR54の順で配置されている。この仮想受信アンテナ群51cのうち、白抜き実線円で示したVR37、VR38、VR39、VR40、VR41、VR42が送信アンテナTx7で送信して受信アンテナRx1~Rx6で受信した信号で形成される仮想受信アンテナであり、白抜き破線円で示したVR43、VR44、VR45、VR46、VR47、VR48が送信アンテナTx8で送信して受信アンテナRx1~Rx6で受信した信号で形成される仮想受信アンテナである。パターン有実線円で示したVR49、VR50、VR51、VR52、VR53、VR54は、送信アンテナTx9で送信して受信アンテナRx1~Rx6で受信した信号で形成される仮想受信アンテナである。
仮想受信アンテナVR37、VR38は第一アンテナ組22aの受信アンテナRx1、Rx2で受信した信号で形成される仮想受信アンテナであり、仮想受信アンテナVR39、VR40は第一アンテナ組22bの受信アンテナRx3、Rx4で受信した信号で形成される仮想受信アンテナであり、仮想受信アンテナVR41、VR42は第一アンテナ組22cの受信アンテナRx5、Rx6で受信した信号で形成される仮想受信アンテナである。このため、第一アンテナ組22aの受信アンテナRx1、第一アンテナ組22bの受信アンテナRx3、第一アンテナ組22cの受信アンテナRx5による仮想受信アンテナVR37、VR39、VR41における隣接する間隔は、6dである第一アンテナ組間隔Dg1sとなっている。受信アンテナRx1、Rx3、Rx5は第一アンテナ組22a、22b、22cにおける第三配列方向dr3の負側の受信アンテナRxであるが、第一アンテナ組22a、22b、22cにおける第三配列方向dr3の正側の受信アンテナRxである受信アンテナRx2、Rx4、Rx6による仮想受信アンテナVR38、VR40、VR42についても、互いの間隔は6dである第一アンテナ組間隔Dg1sとなっている。
白抜き破線円で示したVR43、VR44、VR45、VR46、VR47、VR48も白抜き実線円で示したVR37~VR42と同様に、第一アンテナ組22aの受信アンテナRx1、第一アンテナ組22bの受信アンテナRx3、第一アンテナ組22cの受信アンテナRx5による仮想受信アンテナVR43、VR45、VR47における隣接する間隔は、6dである第一アンテナ組間隔Dg1sとなっている。第一アンテナ組22a、22b、22cにおける第三配列方向dr3の正側の受信アンテナRxである受信アンテナRx2、Rx4、Rx6による仮想受信アンテナVR44、VR46、VR48についても、互いの間隔は6dである第一アンテナ組間隔Dg1sとなっている。
パターン有実線円で示したVR49、VR50、VR51、VR52、VR53、VR54も白抜き実線円で示したVR37~VR42と同様に、第一アンテナ組22aの受信アンテナRx1、第一アンテナ組22bの受信アンテナRx3、第一アンテナ組22cの受信アンテナRx5による仮想受信アンテナVR49、VR51、VR53における隣接する間隔は、6dである第一アンテナ組間隔Dg1sとなっている。第一アンテナ組22a、22b、22cにおける第三配列方向dr3の正側の受信アンテナRxである受信アンテナRx2、Rx4、Rx6による仮想受信アンテナVR50、VR52、VR54についても、互いの間隔は6dである第一アンテナ組間隔Dg1sとなっている。
第一アンテナ群Gr1における距離dの受信アンテナ間隔Drxすなわちアンテナ間隔D1で配置された2個の受信アンテナRxを有する第一アンテナ組22a、22b、22cの隣接する第一アンテナ組間の間隔すなわち第一アンテナ組間隔Dg1sを、式(4)に従って決定する。第二アンテナ群Gr2における距離dの2倍の送信アンテナ間隔Dtxすなわちアンテナ間隔D2で配置された3個の送信アンテナTxを有する第二アンテナ組24a、24b、24c間の第二アンテナ組間隔Dg2sを、式(5)に従って決定する。
図37のアンテナ配置の場合は、第二アンテナ組内の組内アンテナ数βが3であり、第二アンテナ群Gr2の第二アンテナAt2が送信アンテナTxであり、第二アンテナ群Gr2の各第二アンテナ組24a、24b、24cにおける、隣接する第二アンテナAt2間のアンテナ間隔D2が距離dの2倍の送信アンテナ間隔Dtxである。図37のアンテナ配置の場合は、図32、図33のアンテナ配置の場合と同様に、第一アンテナ組間隔Dg1sは3×D2であり、6dになる。第二アンテナ組間隔Dg2sは、第一アンテナ組間隔Dg1sが6dであり、第一アンテナ数Ng1が6なので、図32、図33のアンテナ配置の場合と同様に、6d×6/2で算出される18dになる。
前述したように、予め定められた距離dのアンテナ間隔D1で配置された複数の第一アンテナAt1は送信アンテナTxでも受信アンテナRxでもよい。第二アンテナAt2は第一アンテナAt1と逆動作のアンテナである。図37のアンテナ配置では、第一アンテナAt1が6個で、第二アンテナAt2が9個の例であった。しかし、実施の形態5のレーダ装置1におけるアンテナは、実施の形態4で述べたように、これに限定されない。第一アンテナAt1の数すなわち第一アンテナ数Ng1が4個以上の偶数で、第一アンテナ組を2個以上備え、第二アンテナAt2の数すなわち第二アンテナ数Ng2がα×βであればよい。
実施の形態5のレーダ装置1は、第一アンテナ群Gr1に含まれる第一アンテナAt1の数が4以上の偶数であり、第二アンテナ群Gr2に含まれる第二アンテナAt2の数がα×βであり、送信回路12、受信回路13が、第一アンテナAt1及び第二アンテナAt2の一方である送信アンテナTxの数、第一アンテナAt1及び第二アンテナAt2の他方である受信アンテナRxの数に対応した構成になっている。実施の形態5のレーダ装置1は、予め定められた距離dの間隔で配置された2個の第一アンテナAt1を有する第一アンテナ組における隣接する間隔である第一アンテナ組間隔Dg1sが、第二アンテナ組24a、24b、24cにおける第二アンテナAt2の数である組内アンテナ数βと第二アンテナ組24a、24b、24cにおける隣接する第二アンテナAt2間の間隔であるアンテナ間隔D2とを乗算した値になるように第一アンテナAt1が配置されている。また、実施の形態5のレーダ装置1は、アンテナ間隔D2で配置された組内アンテナ数β個の第二アンテナAt2を有する組数α個の第二アンテナ組24a、24b、24cにおける隣接する間隔である第二アンテナ組間隔Dg2sが、第一アンテナ組間隔Dg1sと第一アンテナAt1の数である第一アンテナ数Ng1との積を2で除算した値になるように第二アンテナAt2が配置されている。実施の形態5のレーダ装置1は、予め定められた距離dの間隔に物理的に3チャンネル以上の第一アンテナAt1が配置できない場合であるが、第一アンテナAt1及び第二アンテナAt2の送受信により形成される複数の仮想受信アンテナVRが距離dの等間隔で配置できるので、サイドローブを低減し誤検出を抑制することができる。
実施の形態5のレーダ装置1は、実施の形態4のレーダ装置1における第二アンテナ群Gr2の第二アンテナ組の組数αが3である場合であり、実施の形態4のレーダ装置1と同様の効果を奏する。
実施の形態6.
図40は実施の形態6に係るレーダ装置のアンテナ配置を示す図であり、図41は図40のアンテナ配置に対応した仮想受信アンテナ群を示す図である。図42、図43、図44は、それぞれ図41の第一仮想受信アンテナ群、図41の第二仮想受信アンテナ群、図41の第三仮想受信アンテナ群を示す図である。実施の形態6のレーダ装置1は、実施の形態5のレーダ装置1における第二アンテナ群Gr2における第二アンテナ組の組内アンテナ数βが2の例である。実施の形態5のレーダ装置1と異なる部分を主に説明する。図40のアンテナ配置のアンテナを備えた実施の形態6のレーダ装置1は、第二アンテナ群Gr2において2個の第二アンテナAt2である送信アンテナTxを有する第二アンテナ組を3組備えている点で、図37のアンテナ配置のアンテナを備えた実施の形態5のレーダ装置1と異なる。第二アンテナ群Gr2における第二アンテナAt2の組数α、組内アンテナ数βを用いて表現すると、図37のアンテナ配置のアンテナを備えた実施の形態5のレーダ装置1は、組数α及び組内アンテナ数βがそれぞれ3及び3の例であり、図40のアンテナ配置のアンテナを備えた実施の形態6のレーダ装置1は、組数α及び組内アンテナ数βがそれぞれ3及び2の例である。
具体的には、図40のアンテナ配置のアンテナを備えた実施の形態6のレーダ装置1は、6個の送信アンテナTx1、Tx2、Tx3、Tx4、Tx5、Tx6、6個の受信アンテナRx1、Rx2、Rx3、Rx4、Rx5、Rx6、送信回路12、受信回路13、処理部11を備えている。送信回路12は、送信切替スイッチ124が6個の送信アンテナTx1~Tx6を切替える構成になっている。受信回路13は、6個の受信アンテナRx1~Rx6に対応した構成になっている。図40のアンテナ配置のアンテナを備えたレーダ装置1は、Tx1、Tx2、Tx3、Tx4、Tx5、Tx6の順で繰り返す変調パターン61を有する送信信号を送信する。
送信アンテナTx、受信アンテナRxについて説明する。図40に示したアンテナ配置では、受信アンテナRxが第一アンテナ群Gr1のアンテナすなわち第一アンテナAt1であり、送信アンテナTxが第二アンテナ群Gr2のアンテナすなわち第二アンテナAt2である。受信アンテナRx1~Rx6は第一配列方向dr1の正側に向かって順に配置されており、送信アンテナTx1~Tx6は第二配列方向dr2の正側に向かって順に配置されている。受信アンテナRx1、Rx2は第一アンテナ組22aを構成し、受信アンテナRx3、Rx4は第一アンテナ組22bを構成し、受信アンテナRx5、Rx6は第一アンテナ組22cを構成している。図40に示した第一アンテナ群Gr1は、図37に示した第一アンテナ群Gr1と同じなので、説明は繰り返さない。
送信アンテナTx1、Tx2は第二アンテナ組24aを構成し、送信アンテナTx3、Tx4は第二アンテナ組24bを構成し、送信アンテナTx5、Tx6は第二アンテナ組24cを構成する。第二アンテナ群Gr2における第二アンテナAt2の組数α、組内アンテナ数βを用いて表現すると、図40に示したアンテナ配置における第二アンテナ群Gr2は、組数αが3で組内アンテナ数βが2であり、α×βで計算される6個の第二アンテナAt2を備えている。第二アンテナ組24aにおける送信アンテナTx1、Tx2は、隣接する送信アンテナTx間の間隔すなわち送信アンテナ間隔Dtxは距離dの2倍すなわち2dとなっている。送信アンテナTx1と送信アンテナTx2との間隔は位相中心線28aと位相中心線28bとの間隔である。送信アンテナ間隔Dtxは、第二アンテナAt2における距離dの2倍のアンテナ間隔D2(図12参照)である。第二アンテナ組24b、24cも第二アンテナ組24aと同様の構成である。第二アンテナ組24bにおける送信アンテナTx3、Tx4は、隣接する送信アンテナTx間の間隔すなわち送信アンテナ間隔Dtxは距離dの2倍すなわち2dとなっている。送信アンテナTx3と送信アンテナTx4との間隔は位相中心線28cと位相中心線28dとの間隔である。第二アンテナ組24cにおける送信アンテナTx5、Tx6は、隣接する送信アンテナTx間の間隔すなわち送信アンテナ間隔Dtxは距離dの2倍すなわち2dとなっている。送信アンテナTx5と送信アンテナTx6との間隔は位相中心線28eと位相中心線28fとの間隔である。
送信アンテナTx、受信アンテナRxの給電回路25は、各素子アンテナ19への配線長が等しくなるように形成される並列給電方式の給電回路を示した。送信アンテナTxは第二アンテナ群Gr2の第二アンテナAt2であるが、2個の送信アンテナTxは他の送信アンテナと隣接する領域に給電回路25が配置されないように、素子アンテナ19が対向するように配置されている例を示した。受信アンテナRxは第一アンテナ群Gr1の第一アンテナAt1なので、第一アンテナ組22a、22b、22cの2個の受信アンテナRxは他の受信アンテナと隣接する領域に給電回路25が配置されないように、素子アンテナ19が対向するように配置されている。
図40のアンテナ配置における送信アンテナTx及び受信アンテナRxで形成される仮想受信アンテナ群50を図41、図42、図43、図44に示した。仮想受信アンテナ群50は、複数の仮想受信アンテナを備えている。6個の第二アンテナAt2である送信アンテナTx1~Tx6と、6個の第一アンテナAt1である受信アンテナRx1~Rx6により、36個の仮想受信アンテナVR1~VR36が形成される。36個の仮想受信アンテナVRにおける隣接する仮想受信アンテナVR間の間隔である仮想受信アンテナ間隔Dvrが距離dで等間隔になるように構成される。仮想受信アンテナ群50の各仮想受信アンテナVRは、等間隔の距離dで、第三配列方向dr3に配列されている。第三配列方向dr3は第一配列方向dr1及び第二配列方向dr2に平行な方向である。
第二アンテナ群Gr2は3組の第二アンテナ組24a、24b、24cを備えているので、仮想受信アンテナ群50は、第二アンテナ組24aの送信アンテナTxで送信して受信アンテナRx1~Rx6で受信した信号で形成される仮想受信アンテナVR1~VR12を有する仮想受信アンテナ群52aと、第二アンテナ組24bの送信アンテナTxで送信して受信アンテナRx1~Rx6で受信した信号で形成される仮想受信アンテナVR13~VR24を有する仮想受信アンテナ群52bと、第二アンテナ組24cの送信アンテナTxで送信して受信アンテナRx1~Rx6で受信した信号で形成される仮想受信アンテナVR25~VR36を有する仮想受信アンテナ群52cと、により構成されている。
図42に示した仮想受信アンテナ群52aの例では、仮想受信アンテナVR1~VR12が、それぞれ第三配列方向dr3の正側に向かって、VR1、VR2、VR7、VR8、VR3、VR4、VR9、VR10、VR5、VR6、VR11、VR12の順で配置されている。この仮想受信アンテナ群52aのうち、白抜き実線円で示したVR1、VR2、VR3、VR4、VR5、VR6が送信アンテナTx1で送信して受信アンテナRx1~Rx6で受信した信号で形成される仮想受信アンテナであり、白抜き破線円で示したVR7、VR8、VR9、VR10、VR11、VR12が送信アンテナTx2で送信して受信アンテナRx1~Rx6で受信した信号で形成される仮想受信アンテナである。
仮想受信アンテナVR1、VR2は第一アンテナ組22aの受信アンテナRx1、Rx2で受信した信号で形成される仮想受信アンテナであり、仮想受信アンテナVR3、VR4は第一アンテナ組22bの受信アンテナRx3、Rx4で受信した信号で形成される仮想受信アンテナであり、仮想受信アンテナVR5、VR6は第一アンテナ組22cの受信アンテナRx5、Rx6で受信した信号で形成される仮想受信アンテナである。このため、第一アンテナ組22aの受信アンテナRx1、第一アンテナ組22bの受信アンテナRx3、第一アンテナ組22cの受信アンテナRx5による仮想受信アンテナVR1、VR3、VR5における隣接する間隔は、4dである第一アンテナ組間隔Dg1sとなっている。受信アンテナRx1、Rx3、Rx5は第一アンテナ組22a、22b、22cにおける第三配列方向dr3の負側の受信アンテナRxであるが、第一アンテナ組22a、22b、22cにおける第三配列方向dr3の正側の受信アンテナRxである受信アンテナRx2、Rx4、Rx6による仮想受信アンテナVR2、VR4、VR6についても、互いの間隔は4dである第一アンテナ組間隔Dg1sとなっている。
白抜き破線円で示したVR7、VR8、VR9、VR10、VR11、VR12も白抜き実線円で示したVR1~VR6と同様に、第一アンテナ組22aの受信アンテナRx1、第一アンテナ組22bの受信アンテナRx3、第一アンテナ組22cの受信アンテナRx5による仮想受信アンテナVR7、VR9、VR11における隣接する間隔は、4dである第一アンテナ組間隔Dg1sとなっている。第一アンテナ組22a、22b、22cにおける第三配列方向dr3の正側の受信アンテナRxである受信アンテナRx2、Rx4、Rx6による仮想受信アンテナVR8、VR10、VR12についても、互いの間隔は4dである第一アンテナ組間隔Dg1sとなっている。
仮想受信アンテナ群52bは、仮想受信アンテナ群52aと同様の構成である。図43の例では、仮想受信アンテナVR13~VR24が、それぞれ第三配列方向dr3の正側に向かって、VR13、VR14、VR19、VR20、VR15、VR16、VR21、VR22、VR17、VR18、VR23、VR24の順で配置されている。この仮想受信アンテナ群52bのうち、白抜き実線円で示したVR13、VR14、VR15、VR16、VR17、VR18が送信アンテナTx3で送信して受信アンテナRx1~Rx6で受信した信号で形成される仮想受信アンテナであり、白抜き破線円で示したVR19、VR20、VR21、VR22、VR23、VR24が送信アンテナTx4で送信して受信アンテナRx1~Rx6で受信した信号で形成される仮想受信アンテナである。
仮想受信アンテナVR13、VR14は第一アンテナ組22aの受信アンテナRx1、Rx2で受信した信号で形成される仮想受信アンテナであり、仮想受信アンテナVR15、VR16は第一アンテナ組22bの受信アンテナRx3、Rx4で受信した信号で形成される仮想受信アンテナであり、仮想受信アンテナVR17、VR18は第一アンテナ組22cの受信アンテナRx5、Rx6で受信した信号で形成される仮想受信アンテナである。このため、第一アンテナ組22aの受信アンテナRx1、第一アンテナ組22bの受信アンテナRx3、第一アンテナ組22cの受信アンテナRx5による仮想受信アンテナVR13、VR15、VR17における隣接する間隔は、4dである第一アンテナ組間隔Dg1sとなっている。第一アンテナ組22a、22b、22cにおける第三配列方向dr3の正側の受信アンテナRxである受信アンテナRx2、Rx4、Rx6による仮想受信アンテナVR14、VR16、VR18についても、互いの間隔は4dである第一アンテナ組間隔Dg1sとなっている。
白抜き破線円で示したVR19、VR20、VR21、VR22、VR23、VR24も白抜き実線円で示したVR13~VR18と同様に、第一アンテナ組22aの受信アンテナRx1、第一アンテナ組22bの受信アンテナRx3、第一アンテナ組22cの受信アンテナRx5による仮想受信アンテナVR19、VR21、VR23における隣接する間隔は、4dである第一アンテナ組間隔Dg1sとなっている。第一アンテナ組22a、22b、22cにおける第三配列方向dr3の正側の受信アンテナRxである受信アンテナRx2、Rx4、Rx6による仮想受信アンテナVR20、VR22、VR24についても、互いの間隔は4dである第一アンテナ組間隔Dg1sとなっている。
仮想受信アンテナ群52cは、仮想受信アンテナ群52a、52bと同様の構成である。図44の例では、仮想受信アンテナVR25~VR36が、それぞれ第三配列方向dr3の正側に向かって、VR25、VR26、VR31、VR32、VR27、VR28、VR33、VR34、VR29、VR30、VR35、VR36の順で配置されている。この仮想受信アンテナ群52cのうち、白抜き実線円で示したVR25、VR26、VR27、VR28、VR29、VR30が送信アンテナTx5で送信して受信アンテナRx1~Rx6で受信した信号で形成される仮想受信アンテナであり、白抜き破線円で示したVR31、VR32、VR33、VR34、VR35、VR36が送信アンテナTx6で送信して受信アンテナRx1~Rx6で受信した信号で形成される仮想受信アンテナである。
仮想受信アンテナVR25、VR26は第一アンテナ組22aの受信アンテナRx1、Rx2で受信した信号で形成される仮想受信アンテナであり、仮想受信アンテナVR27、VR28は第一アンテナ組22bの受信アンテナRx3、Rx4で受信した信号で形成される仮想受信アンテナであり、仮想受信アンテナVR29、VR30は第一アンテナ組22cの受信アンテナRx5、Rx6で受信した信号で形成される仮想受信アンテナである。このため、第一アンテナ組22aの受信アンテナRx1、第一アンテナ組22bの受信アンテナRx3、第一アンテナ組22cの受信アンテナRx5による仮想受信アンテナVR25、VR27、VR29における隣接する間隔は、4dである第一アンテナ組間隔Dg1sとなっている。第一アンテナ組22a、22b、22cにおける第三配列方向dr3の正側の受信アンテナRxである受信アンテナRx2、Rx4、Rx6による仮想受信アンテナVR26、VR28、VR30についても、互いの間隔は4dである第一アンテナ組間隔Dg1sとなっている。
白抜き破線円で示したVR31、VR32、VR33、VR34、VR35、VR36も白抜き実線円で示したVR25~VR30と同様に、第一アンテナ組22aの受信アンテナRx1、第一アンテナ組22bの受信アンテナRx3、第一アンテナ組22cの受信アンテナRx5による仮想受信アンテナVR31、VR33、VR35における隣接する間隔は、4dである第一アンテナ組間隔Dg1sとなっている。第一アンテナ組22a、22b、22cにおける第三配列方向dr3の正側の受信アンテナRxである受信アンテナRx2、Rx4、Rx6による仮想受信アンテナVR32、VR34、VR36についても、互いの間隔は4dである第一アンテナ組間隔Dg1sとなっている。
第一アンテナ群Gr1における距離dの受信アンテナ間隔Drxすなわちアンテナ間隔D1で配置された2個の受信アンテナRxを有する第一アンテナ組22a、22b、22cの隣接する第一アンテナ組間の間隔すなわち第一アンテナ組間隔Dg1sを、式(4)に従って決定する。第二アンテナ群Gr2における距離dの2倍の送信アンテナ間隔Dtxすなわちアンテナ間隔D2で配置された2個の送信アンテナTxを有する第二アンテナ組24a、24b、24c間の第二アンテナ組間隔Dg2sを、式(5)に従って決定する。
図40のアンテナ配置の場合は、第二アンテナ組内の組内アンテナ数βが2であり、第二アンテナ群Gr2の第二アンテナAt2が送信アンテナTxであり、第二アンテナ群Gr2の各第二アンテナ組24a、24b、24cにおける、隣接する第二アンテナAt2間のアンテナ間隔D2が距離dの2倍の送信アンテナ間隔Dtxである。図40のアンテナ配置の場合は、第一アンテナ組間隔Dg1sは2×D2であり、4dになる。第二アンテナ組間隔Dg2sは、第一アンテナ組間隔Dg1sが4dであり、第一アンテナ数Ng1が6なので、4d×6/2で算出される12dになる。
前述したように、予め定められた距離dのアンテナ間隔D1で配置された複数の第一アンテナAt1は送信アンテナTxでも受信アンテナRxでもよい。第二アンテナAt2は第一アンテナAt1と逆動作のアンテナである。図40のアンテナ配置では、第一アンテナAt1が6個で、第二アンテナAt2が6個の例であった。しかし、実施の形態6のレーダ装置1におけるアンテナは、実施の形態4、5で述べたように、これに限定されない。第一アンテナAt1の数すなわち第一アンテナ数Ng1が4個以上の偶数で、第一アンテナ組を2個以上備え、第二アンテナAt2の数すなわち第二アンテナ数Ng2がα×βであればよい。
実施の形態6のレーダ装置1は、第一アンテナ群Gr1に含まれる第一アンテナAt1の数が4以上の偶数であり、第二アンテナ群Gr2に含まれる第二アンテナAt2の数がα×βであり、送信回路12、受信回路13が、第一アンテナAt1及び第二アンテナAt2の一方である送信アンテナTxの数、第一アンテナAt1及び第二アンテナAt2の他方である受信アンテナRxの数に対応した構成になっている。実施の形態6のレーダ装置1は、予め定められた距離dの間隔で配置された2個の第一アンテナAt1を有する第一アンテナ組における隣接する間隔である第一アンテナ組間隔Dg1sが、第二アンテナ組24a、24b、24cにおける第二アンテナAt2の数である組内アンテナ数βと第二アンテナ組24a、24b、24cにおける隣接する第二アンテナAt2間の間隔であるアンテナ間隔D2とを乗算した値になるように第一アンテナAt1が配置されている。また、実施の形態6のレーダ装置1は、アンテナ間隔D2で配置された組内アンテナ数β個の第二アンテナAt2を有する組数α個の第二アンテナ組24a、24b、24cにおける隣接する間隔である第二アンテナ組間隔Dg2sが、第一アンテナ組間隔Dg1sと第一アンテナAt1の数である第一アンテナ数Ng1との積を2で除算した値になるように第二アンテナAt2が配置されている。実施の形態6のレーダ装置1は、予め定められた距離dの間隔に物理的に3チャンネル以上の第一アンテナAt1が配置できない場合であるが、第一アンテナAt1及び第二アンテナAt2の送受信により形成される複数の仮想受信アンテナVRが距離dの等間隔で配置できるので、サイドローブを低減し誤検出を抑制することができる。
実施の形態6のレーダ装置1は、実施の形態5のレーダ装置1における第二アンテナ群Gr2の第二アンテナ組の組内アンテナ数βが2である場合であり、実施の形態5のレーダ装置1と同様の効果を奏する。
図37に示したアンテナ配置のアンテナを備えた実施の形態5のレーダ装置1は、第二アンテナ群Gr2において、第二アンテナAt2である送信アンテナTxが他の送信アンテナと隣接する領域に給電回路25が配置されており、素子アンテナ19が対向しないように配置されている例であった。この場合、レーダ装置1が送信する送信信号の波長λによっては、給電回路25がアンテナに近くなる場合も考えられる。この場合、給電回路25がアンテナの一部として影響を与え、アンテナの配置パターンに乱れが生じることがある。乱れのないアンテナの配置パターンとは、アンテナの配置パターンを決定するパラメータすなわちアンテナ間隔D1、D2、第一アンテナ組間隔Dg1s、第二アンテナ組間隔Dg2sの値が、アンテナのどの場所でも許容範囲内であり一定値とみなされる場合のアンテナの配置パターンのことである。乱れのあるアンテナの配置パターンとは、アンテナ間隔D1、D2、第一アンテナ組間隔Dg1s、第二アンテナ組間隔Dg2sの値が、場所によって許容範囲を超えて一定値とみなされない場合のアンテナの配置パターンのことである。アンテナの配置パターンに乱れが生じる場合は、対象物体33の距離、相対速度、及び、角度を正確に測定することができない。しかし、図40に示したアンテナ配置のアンテナを備えた実施の形態6のレーダ装置1は、第一アンテナAt1及び第二アンテナAt2すなわち受信アンテナRx及び送信アンテナTxが他のアンテナと隣接する領域に給電回路25が配置されないように、素子アンテナ19が対向するように配置されているので、アンテナの配置パターンを決定するパラメータに乱れがなく、対象物体33の距離、相対速度、及び、角度を正確に測定することができる。
第二アンテナ群Gr2の第二アンテナ組の組内アンテナ数βが2である場合には、図40に示した他のアンテナと隣接する領域に給電回路25が配置されないように、素子アンテナ19が対向するように配置できるので、アンテナの配置パターンの乱れを抑制する対策として有効である。また、給電回路25の幅が広い場合、すなわち第二配列方向dr2の幅が広い場合にも、図40に示した第二アンテナ群Gr2の第二アンテナAt2である送信アンテナTxの配置は、対象物体33の距離、相対速度、及び、角度を正確に測定するのに有効である。
第一アンテナ群Gr1及び第二アンテナ群Gr2のアンテナサイズについて考える。第一アンテナ群Gr1のアンテナサイズすなわち第一アンテナ群サイズDg1tは、第一配列方向dr1の最も負側の位相中心線から最も正側の位相中心線までの長さと定義する。第一アンテナ群Gr1のアンテナサイズと同様に第二アンテナ群Gr2のアンテナサイズすなわち第二アンテナ群サイズDg2tは、第二配列方向dr2の最も負側の位相中心線から最も正側の位相中心線までの長さと定義する。図40に示したアンテナ配置のアンテナを備えた実施の形態6のレーダ装置1は、第一アンテナ数Ng1が6、第二アンテナ数Ng2が6、第二アンテナ群Gr2の組数α及び組内アンテナ数βがそれぞれ3及び2の例である。また、比較のため、第一アンテナ数Ng1及び第二アンテナ数Ng2が図40に示したアンテナ配置のアンテナを備えた実施の形態6のレーダ装置1と同数である、図32、図33に示したアンテナ配置のアンテナを備えた実施の形態4のレーダ装置1についても説明する。図32、図33に示したアンテナ配置のアンテナを備えた実施の形態4のレーダ装置1は、第一アンテナ数Ng1が6、第二アンテナ数Ng2が6、第二アンテナ群Gr2の組数α及び組内アンテナ数βがそれぞれ2及び3の例である。図32、図33、図40から明らかなように、第一アンテナ群サイズDg1tは式(6)で表され、第二アンテナ群サイズDg2tは式(7)で表される。
Dg1t=Dg1s×(Ng1/2-1)+D1
=D2×β×(Ng1/2-1)+D1 ・・・(6)
Dg2t=Dg2s×(α-1)+D2×(β-1)
=Dg1s×Ng1/2×(α-1)+D2×(β-1)
=β×D2×Ng1/2×(α-1)+D2×(β-1)
・・・(7)
なお、図32、図33、図40では、アンテナ間隔D1、D2がd、2dの例である。
図40に示したアンテナ配置のアンテナを備えた実施の形態6のレーダ装置1は、第二アンテナ群Gr2の組数α及び組内アンテナ数βがそれぞれ3及び2であり、式(6)、式(7)から第一アンテナ群サイズDg1t及び第二アンテナ群サイズDg2tがそれぞれ9d及び26dである。図32、図33に示したアンテナ配置のアンテナを備えた実施の形態4のレーダ装置1は、第二アンテナ群Gr2の組数α及び組内アンテナ数βがそれぞれ2及び3であり、式(6)、式(7)から第一アンテナ群サイズDg1t及び第二アンテナ群サイズDg2tがそれぞれ13d及び22dである。いずれの場合も第二アンテナ群サイズDg2tが第一アンテナ群サイズDg1tよりも大きいいので、レーダ装置1の長手方向の幅すなわち第二配列方向dr2の幅を小さくする場合には、第二アンテナ群Gr2の組数αを2に選ぶほうがよい。したがって、アンテナの配置パターンを決定するパラメータに乱れが生じない場合には、第二アンテナ群Gr2の組数αを2に選ぶことでレーダ装置1の長手方向の幅を小さくできる。一方、第二アンテナ群Gr2の組数αを2に選ぶことで、使用する波長λによりアンテナの配置パターンを決定するパラメータに乱れが生じる場合には、第二アンテナ群Gr2の組数αを3に選ぶことで、対象物体33の距離、相対速度、及び、角度を正確に測定することができる。
レーダ装置1が搭載される位置によっては、レーダ装置1の長い方の幅である長手方向の幅に制約がある場合がある。例えば、車両のバンパ付近にレーダ装置1を搭載するような場合、周辺の構造物、バンパの形状の制約などから、長手方向の幅の小型化が求められる場合がある。レーダ装置1の長手方向の幅を小さくするような設計を考える場合、送信アンテナTxと受信アンテナRxとを縦方向すなわち位相中心線の延伸方向に並べるような構成が考えられる。この場合、レーダ装置1の長手方向の幅は、送信アンテナTx全体の長手方向の幅と受信アンテナRx全体の長手方向の幅とのいずれかよりも大きなサイズとなるため、送信アンテナTx全体の長手方向の幅又は受信アンテナRx全体の長手方向の幅がなるべく小さいレーダ装置1が求められる。このような場合には、第二アンテナ群Gr2の組数αを2に選べばよい。
なお、本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、又は複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、又は様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合又は省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。