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JP7369631B2 - 偏摩耗量推定システム、偏摩耗量推定方法、配置決定方法およびプログラム - Google Patents

偏摩耗量推定システム、偏摩耗量推定方法、配置決定方法およびプログラム Download PDF

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本発明は、偏摩耗量推定システム、偏摩耗量推定方法、配置決定方法およびプログラムに関する。
鉄道車両の車輪の偏摩耗の検出に関連して、特許文献1に記載の車両偏摩耗度合い判定システムは、車両の通過に伴う線路構造物の振動を測定し、測定した振動から取り出した特定周波数範囲の成分と、振動加速度レベルを偏摩耗量に換算するための基準データとに基づいて、車両の車輪の偏摩耗度合いの判定を行う。
また、特許文献2に記載の車両偏摩耗度合い判定システムは、線路構造物の振動測定値に基づいて車両の速度を算出し、算出した速度に応じた周波数成分に基づいて車両または車両の部分が所定位置を通過する通過タイミングを判定する。そして、この車両偏摩耗度合い判定システムは、検出した通過タイミングに応じた時間範囲のデータに基づいて、車輪の偏摩耗度合いの判定を行う。
特開2014-237348号公報 特許第6245466号公報
振動センサを高架橋等の線路構造物ではなくレールに設置する場合、レールでの振動の減衰が偏摩耗量の推定に影響する。このレールでの振動の減衰の偏摩耗度量推定への影響を低減させることで、偏摩耗度量をより高精度に推定できることが好ましい。
本発明は、振動センサをレールに設置する場合に、レールでの振動の減衰の偏摩耗量推定への影響を低減させることができるシステム及び方法を提供する。
本発明の第1の態様によれば、偏摩耗量推定システムは、レールの長さ方向に間隔をおいて設けられ、前記レール上を通過する車輪により生じる振動をそれぞれ検出する少なくとも3つの振動センサと、前記振動センサが検出する振動のパワー和を算出するパワー和算出部と、前記パワー和を車輪の偏摩耗量に換算する換算部と、を備える。
前記振動センサは、前記車輪の偏摩耗部分が前記レールに接する位置による前記パワー和の相違が、所定の相違以内になるように配置されるようにしてもよい。
本発明の第2の態様によれば、偏摩耗量推定方法は、レールの長さ方向に間隔をおいて設けられた少なくとも3つの振動センサが、前記レール上を通過する車輪により生じる振動をそれぞれ検出する工程と、前記振動センサが検出する振動のパワー和を算出する工程と、前記パワー和を車輪の偏摩耗量に換算する工程と、を含む。
本発明の第4の態様によれば、プログラムは、コンピュータに、レールの長さ方向に間隔をおいて設けられた少なくとも3つの振動センサが、前記レール上を通過する車輪により生じる振動をそれぞれ検出する振動のパワー和を算出する工程と、前記パワー和を車輪の偏摩耗量に換算する工程と、を実行させるためのプログラムである。
本発明によれば、振動センサをレールに設置する場合に、レールでの振動の減衰の偏摩耗量推定への影響を低減させることができる。
実施形態に係る偏摩耗量推定システムの機能構成を示す概略ブロック図である。 実施形態に係る加速度センサのレールへの設置例を示す図である。 実施形態に係る偏摩耗量推定装置が車輪の偏摩耗量を推定する処理手順の例を示す図である。 実施形態に係るセンサの位置と車輪の偏摩耗に起因する振動との関係の例を示す図である。 実施形態に係る加速度センサをレールに1つ設置する場合の第1例を示す図である。 実施形態に係る加速度センサをレールに1つ設置する場合の第2例を示す図である。 実施形態に係る加速度センサをレールに2つ設置する場合の第1例を示す図である。 実施形態に係る加速度センサをレールに2つ設置する場合の第2例を示す図である。 実施形態で、レールに2つの加速度センサを配置する場合の、2つの加速度センサの距離、および、加速度センサの位置と偏摩耗部分接触位置との距離の例を示す図である。 実施形態に係る2つのセンサの距離、および、偏摩耗部分接触位置から加速度センサまでの距離と、偏摩耗量推定精度との関係の例を示す図である。 実施形態で、レールに3つの加速度センサを配置する場合の、加速度センサ間の距離、および、加速度センサの位置と偏摩耗部分接触位置との距離の例を示す図である。 実施形態に係る加速度センサの位置と基準値とのレベル差の例を示す図である。 実施形態に係る加速度センサの配置の検討例を示す図である。 実施形態に係る加速度センサの配置の第1例を示す図である。 実施形態に係る加速度センサの配置の第2例を示す図である。 実施形態に係る加速度センサを3つ配置した場合のセンサの配置とパワー和との関係の例を示す図である。
以下、本発明の実施形態を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本発明の実施形態に係る偏摩耗量推定システムの機能構成を示す概略ブロック図である。図1に示すように、偏摩耗量推定システム1は、加速度センサ100と、偏摩耗量推定装置200とを備える。偏摩耗量推定装置200は、通信部210と、表示部220と、操作入力部230と、記憶部280と、制御部290とを備える。制御部290は、偏摩耗成分抽出部291と、補正部292と、パワー和算出部293と、換算部294と、車輪到達検出部295とを備える。
偏摩耗量推定システム1は、鉄道車両の車輪の偏摩耗量を推定する。ここでいう鉄道車両は、偏摩耗の生じ得る車輪を備えてレールの上を走行する車両であればよい。偏摩耗量推定システム1が偏摩耗量を推定する対象の鉄道車両は、単体の車両で運用されていてもよいし、複数台の車両を連結して運用されていてもよい。
偏摩耗量推定システム1が偏摩耗量を推定する対象の鉄道車両を、対象車両と称する。
加速度センサ100は、レールの長さ方向に間隔をおいて設けられ、レール上を車輪が通過することによって生じる加速度をそれぞれ検出する。但し、偏摩耗量推定システム1が備える振動センサは加速度センサに限定されず、レールの振動の大きさを測定可能なセンサを用いることができる。例えば、偏摩耗量推定システム1が、振動センサとして変位センサまたは速度センサを備えるようにしてもよい。
偏摩耗量推定システム1が備える加速度センサ100の数は、3つまたはそれ以上であればよい。レール上に加速度センサ100を3つ以上配置することで、以下に説明するように、車輪の偏摩耗部分がレールに接する位置にかかわらず、おおよそ一定の大きさの振動を測定できる。
図2は、加速度センサ100のレールへの設置例を示す図である。
図2の例で、3つの加速度センサ100がレールの長さ方向に間隔を置いて設けられている。車輪のどの位置に偏摩耗が生じた場合でも、加速度センサ100が偏摩耗に起因する振動を拾えるように、車輪の周長からずれた間隔で加速度センサ100が配置されていることが好ましい。
偏摩耗量推定装置200は、加速度センサ100によるセンシングデータ(加速度の測定データ)を用いて車輪の偏摩耗量を推定する。偏摩耗量推定装置200は、例えばパソコン(Personal Computer;PC)またはワークステーション(Workstation)等のコンピュータを用いて構成される。
通信部210は、他の装置と通信を行う。特に、通信部210は、加速度センサ100の各々が送信するセンシングデータを受信する。
表示部220は、液晶パネルまたはLED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)パネル等の表示画面を有し、各種画像を表示する。例えば、表示部220は、偏摩耗量推定装置200が推定する偏摩耗量を表示する。
操作入力部230は、キーボード及びマウス等の入力デバイスを備え、ユーザ操作を受け付ける。
記憶部280は、各種データを記憶する。記憶部280は、偏摩耗量推定装置200が備える記憶デバイスを用いて構成される。例えば、記憶部280は、偏摩耗量推定装置200が加速度センサ100のセンシングデータから算出するパワー和を車輪の偏摩耗量に換算する換算式を予め記憶する。この換算式は、例えば試験によって予め設定される。例えば、鉄道関係者等の人が、鉄道車両を用いた試験を行ってデータを採取し、パワー和と偏摩耗量との相関関係を線形近似して換算式を設定する。
但し、記憶部280がパワー和と偏摩耗量との相関関係を記憶する方法は、式の形式で記憶する方法に限定されない。例えば、記憶部280が、パワー和を偏摩耗量に換算するための換算テーブル(表)を記憶するようにしてもよい。
制御部290は、偏摩耗量推定装置200の各部を制御して各種処理を行う。制御部290は、偏摩耗量推定装置200が備えるCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)が、記憶部280からプログラムを読み出して実行することで構成される。
偏摩耗成分抽出部291は、加速度センサ100それぞれのセンシングデータから、偏摩耗成分を抽出する。ここでいう偏摩耗成分は、加速度センサ100のセンシングデータに含まれる、車輪の偏摩耗を示す成分である。
例えば、偏摩耗成分抽出部291は、加速度センサ100毎に、センシングデータを周波数変換する。そして、偏摩耗成分抽出部291は、得られた周波数成分のうち、偏摩耗を示す周波数として対象車両の速度に応じて予め定められている周波数成分を抽出する。偏摩耗成分抽出部291が抽出する周波数成分は、偏摩耗成分の例に該当する。偏摩耗成分抽出部291が加速度センサ100のセンシングデータを周波数変換する方法は、特定の方法に限定されない。例えば、偏摩耗成分抽出部291が、FFT(Fast Fourier Transform、高速フーリエ変換)等のフーリエ変換によって、センシングデータを周波数変換するようにしてもよい。
あるいは、偏摩耗成分抽出部291が、加速度センサ100のセンシングデータにフィルタを適用して、対象車両の速度に応じた特定の周波数成分を抽出するようにしてもよい。
補正部292は、偏摩耗成分抽出部291が抽出する偏摩耗成分に対し、対象車両の速度に応じた補正を行う。対象車両の速度が速いほど加速度センサ100のセンサ値(加速度の測定値)が大きくなる。このため、偏摩耗成分抽出部291が抽出する偏摩耗成分は、車輪の偏摩耗量が同じでも、対象車両の速度が速いほど大きくなる。
これに対し、補正部292は、偏摩耗成分の大きさに対する対象車両の速度の影響を低減させる補正を行う。具体的には、補正部292は、対象車両の速度が速いほど偏摩耗成分の値を小さくするように補正係数を乗算する。
補正部292が補正を行った偏摩耗成分を、補正後偏摩耗成分と称する。
パワー和算出部293は、加速度センサ100が検出する加速度のパワー和を算出する。具体的には、パワー和算出部293は、加速度センサ100毎の補正後偏摩耗成分を全ての加速度センサ100について合計する。ここでは、周波数変換した各周波数の加速度振幅と基準加速度振幅との比の2乗をパワー比と称し、デシベル変換前のパワー比そのままを足し合わせたものがパワー和である。
換算部294は、パワー和算出部293が算出したパワー和を車輪の偏摩耗量に換算する。例えば、換算部294は、パワー和算出部293が算出するパワー和を記憶部280が記憶する換算式に入力して偏摩耗量を算出する。換算部294が取得する偏摩耗量は、偏摩耗量推定システム1による偏摩耗量の推定値として用いられる。
車輪到達検出部295は、車輪が偏摩耗量推定開始の基準位置に到達したタイミングを検出し、そのタイミングを示す信号を出力する。偏摩耗量推定開始の基準位置は、加速度センサ100が、その基準位置に到達した車輪の偏摩耗量推定のために適切なデータを取得可能な位置として予め定められる。例えば、3個の加速度センサ100がレールに沿って配置され、3個のうち真ん中の加速度センサ100の真上の位置が偏摩耗量推定開始の基準位置と定められていてもよいが、これに限定されない。偏摩耗量推定開始の基準位置を、単に基準位置とも称する。
車輪到達検出部295が、加速度センサ100の出力信号(センシングデータ)を用いて車輪が基準位置に到達したことを検出するようにしてもよい。あるいは、車輪到達検出部295が、加速度センサ100の出力信号以外の情報を用いて車輪が基準位置に到達したことを検出するようにしてもよい。例えば、偏摩耗量推定システム1が光電センサを備えていてもよい。車輪が基準位置に到達して光電センサの光を遮光すると、光電センサが光を遮断されたことを示す信号を出力し、車輪到達検出部295が、光電センサからの信号を用いて、車輪が基準位置に到達したことを検出するようにしてもよい。
ここで、偏摩耗量推定システム1がリアルタイムで車輪の偏摩耗量を推定するようにしてもよい。あるいは、偏摩耗量推定システム1がバッチ処理で車輪の偏摩耗量を推定するなど、データ取得に対して時間遅れで偏摩耗量推定処理を行うようにしてもよい。
偏摩耗量推定システム1がリアルタイムで車輪の偏摩耗量を推定する場合、車輪到達検出部295は、車輪が基準位置に到達したことをリアルタイムで検出し、検出したことを示す信号をリアルタイムで出力する。
一方、偏摩耗量推定システム1がバッチ処理で車輪の偏摩耗量を推定する場合、車輪到達検出部295は、例えば、車輪が基準位置に到達した時刻を出力する。車輪到達検出部295が、車輪が基準位置に到達したことをリアルタイムで検出し、そのときの時刻を記憶部280が記憶しておくようにしてもよい。あるいは、車輪到達検出部295が、データ解析によって事後的に、車輪が基準位置に到達した時刻を検出するようにしてもよい。
車輪到達検出部295が、車輪が基準位置に到達したことを検出することで、偏摩耗量推定システム1は、車輪単位で偏摩耗量の推定を行うことができる。例えば、車輪到達検出部295が、車輪が基準位置に到達したことを検出した回数をカウントするようにしてもよい。これにより、車輪到達検出部295は、列車または車両の前から何番目の車輪が基準位置に到達したか、したがって、前から何番目の車輪が偏摩耗量推定の対象となっているかを把握できる。
一方、偏摩耗量推定システム1は、レールでの振動の減衰の偏摩耗量推定への影響を比較的受けにくい。これにより、偏摩耗量推定システム1が偏摩耗量を推定する際の車輪の位置には許容幅がある。したがって、車輪到達検出部295による、車輪が基準位置に到達したことの検出には誤差が許容される。例えば、車輪到達検出部295が、車輪の基準位置への到達を検出してから、偏摩耗量推定システム1が偏摩耗量推定を開始するまでにタイムラグがあるなど、偏摩耗量推定時の車輪の位置が基準位置からずれていても、偏摩耗量の推定に対する影響は比較的小さい。
図3は、偏摩耗量推定装置200が車輪の偏摩耗量を推定する処理手順の例を示す図である。上記のように、偏摩耗量推定装置200が車輪の偏摩耗量の推定をリアルタイムで行うようにしてもよいし、バッチ処理などデータ取得に対して時間遅れで行うようにしてもよい。したがって、偏摩耗量推定装置200が、図3の処理をリアルタイムで行うようにしてもよいし、バッチ処理で行うなど、データ取得に対して時間遅れで行うようにしてもよい。
(ステップS10)
車輪到達検出部295は、車輪が基準位置に到達したタイミングを検出し、そのタイミングを示す信号を出力する。
偏摩耗量推定装置200がリアルタイムで車輪の偏摩耗量を推定する場合、車輪到達検出部295は、車輪が基準位置に到達したことをリアルタイムで検出し、検出したことを示す信号をリアルタイムで出力する。この信号は、偏摩耗量推定装置200が車輪の偏摩耗量を推定する処理(図3の例では、ステップS11~S15の処理)を開始するトリガとして用いられる。
一方、偏摩耗量推定装置200がバッチ処理で車輪の偏摩耗量を推定する場合、車輪到達検出部295は、例えば、車輪が基準位置に到達した時刻を出力する。この時刻は、偏摩耗量推定装置200が車輪の偏摩耗量の推定に用いるデータの開始位置を示す情報として用いられる。例えば、偏摩耗量推定装置200は、記憶部280が記憶している加速度センサ100の加速度測定値の履歴データのうち、車輪到達検出部295が出力する時刻から一定時間分のデータを、1つの車輪の偏摩耗量の推定用データとして用いる。
(ステップS11)
偏摩耗成分抽出部291は、加速度センサ100のセンシングデータ(時系列データ)を周波数変換する。偏摩耗成分抽出部291は、ステップS11の処理を加速度センサ100毎に行う。
ステップS11の後、処理がステップS12へ進む。
(ステップS12)
偏摩耗成分抽出部291は、ステップS11で得られたデータ(周波数変換後のセンシングデータ)から偏摩耗成分を抽出する。偏摩耗成分抽出部291は、ステップS12の処理を加速度センサ100毎に行う。
ここで、対象車両の速度が速いほど、車輪の回転数が速くなる。車輪に偏摩耗がある場合、対象車両の速度が速いほど、偏摩耗している部分がレールにあたる時間間隔が短くなり、偏摩耗成分の周波数が高くなる。そこで、偏摩耗成分抽出部291は、対象車両の速度情報を取得し、偏摩耗を示す周波数として対象車両の速度に応じて予め定められている周波数成分を抽出する。
対象車両の速度と、偏摩耗成分抽出部291が抽出する周波数との関係については、例えば人が予め計算しておく。車輪が100ミリメートル(mm)~1000ミリメートル程度進むのに要する時間の逆数をとることで、この周波数が求まる。
ステップS12の後、処理がステップS13へ進む。
(ステップS13)
補正部292は、偏摩耗成分抽出部291が抽出した偏摩耗成分に対して、対象車両の速度に応じた補正を行う。補正部292は、ステップS13の処理を加速度センサ100毎に行う。
上述したように、補正部292は、対象車両の速度が速いほど偏摩耗成分の値を小さくするように補正係数を乗算する。これにより、補正部292は、偏摩耗成分の大きさに対する対象車両の速度の影響を低減させる。
ステップS13の後、処理がステップS14へ進む。
(ステップS14)
パワー和算出部293は、加速度センサ100毎の補正後偏摩耗成分を全ての加速度センサ100について合計してパワー和を算出する。
なお、加速度センサ100が左右のレールそれぞれに設けられている場合、パワー和算出部293は、レール毎に全ての加速度センサ100の補正後偏摩耗成分を合計してレール毎のパワー和を算出する。
ステップS14の後、処理がステップS15へ進む。
(ステップS15)
換算部294は、パワー和算出部293が算出したパワー和と換算式に入力して、偏摩耗量の推定値を算出する。
なお、加速度センサ100が左右のレールそれぞれに設けられている場合、換算部294は、パワー和算出部293がレール毎に算出したパワー和を用いて、レール毎に偏摩耗量の推定値を算出する。これにより、加速度センサ100は、対象車両の左右それぞれの車輪について、偏摩耗量を推定する。
ステップS15の後、偏摩耗量推定装置200は、図3の処理を終了する。
次に、加速度センサ100の数および配置について説明する。
図4は、センサの位置と車輪の偏摩耗に起因する振動との関係の例を示す図である。
図4では、レール910の上部と、対象車両の車輪920とが示されている。図4では、同じ車輪920が2周分回転して、偏摩耗部分(偏摩耗している部分)がレール910に3回接する様子が示されている。矢印B11およびB12は、車輪920の進行方向(従って、対象車両の進行方向)を示している。
図4の横軸は、レール910の長さ方向における位置を示している。図4では、位置X11~X15が示されている。車輪920の偏摩耗部分は、位置X11、X13、X15のそれぞれでレール910に接する。位置X12は、位置X11と位置X13との中間の位置であり、後の説明で用いられる。位置X14は、位置X13と位置X15との中間の位置であり、後の説明で用いられる。
車輪920の摩耗部分がレール910に接する位置を偏摩耗部分接触位置と称する。
線L11は、車輪920の偏摩耗部分が位置X11でレール910に接したときの、レール910の振動の例を示している。線L12は、車輪920の偏摩耗部分が位置X13でレール910に接したときの、レール910の振動の例を示している。線L13は、車輪920の偏摩耗部分が位置X15でレール910に接したときの、偏摩耗に起因するレール910の振動の例を示している。
図4の縦軸は加速度を示すが、線L11、L12およびL13を区別できるよう、振動の中心(加速度0の位置)をずらして、線L11、L12およびL13を示している。
以下では、レール910の距離減衰率が10デシベル毎メートル(dB/m)であり、車輪920の周長が2.7メートル(m)である場合を例に説明する。距離減衰率が10デシベル毎メートルで車輪920の周長が2.7メートルである場合、車輪920の半回転に相当する1.35メートルで、振動の大きさ(加速度センサ100で測定した場合の加速度の振幅)は、約5分の1になる。車輪920の1回転に相当する2.7メートルで、振動の大きさは、約20分の1になる。
但し、偏摩耗量推定システム1が対象とするレールの距離減衰率および車輪の周長は、特定のものに限定されない。
図5は、図4の例で加速度センサ100をレール910に1つ設置する場合の第1例を示す図である。図5の例では、位置X13に加速度センサ100が設置されている。この場合、加速度センサ100は、車輪920の偏摩耗部分が位置X13でレール910に接したときに、線L12で示されるように比較的大きい加速度を測定する。この点で、加速度センサ100のセンシングデータから偏摩耗成分を抽出して、偏摩耗量を比較的高精度に推定することが可能である。
図6は、図4の例で加速度センサ100をレール910に1つ設置する場合の第2例を示す図である。図6の例では、位置X12に加速度センサ100が設置されている。この場合、加速度センサ100は、車輪920の偏摩耗部分が位置X11、X13およびX15の何れでレール910に接したときも、位置X12では振動が減衰しており、加速度センサ100は、十分な大きさの加速度を測定できない。この点で、加速度センサ100のセンシングデータから偏摩耗量を推定する精度が低くなる。
このように、レール910に加速度センサ100を1つ設置したのでは、加速度センサ100の位置と、偏摩耗部分接触位置との関係によっては、偏摩耗量の推定精度が低下する。そこで、レール910に加速度センサ100を複数設置して偏摩耗量の推定精度を高める。
図7は、図4の例で加速度センサ100をレール910に2つ設置する場合の第1例を示す図である。図7の例では、位置X13、X15のそれぞれに加速度センサ100が設置されている。
以下では、符号100a、100bを用いて2つの加速度センサ100を区別する。さらに3つの加速度センサ100を区別する場合は、符号100a、100b、100cを用いる。
図7の例では、位置X13の加速度センサ100を加速度センサ100aと称し、位置X15の加速度センサ100を加速度センサ100bと称する。
図7の例では、車輪920の偏摩耗部分が位置X13でレール910に接したときに、加速度センサ100aが比較的大きい加速度を測定する。また、車輪920の偏摩耗部分が位置X15でレール910に接したときに、加速度センサ100bが比較的大きい加速度を測定する。
図3を参照して説明した処理のように、時系列のセンシングデータを周波数変換する場合、加速度センサ100aのセンシングデータ、加速度センサ100bのセンシングデータ共に、比較的大きい偏摩耗成分が抽出される。これらの補正後偏摩耗成分を合計すると、パワー和が実際値よりも大きくなり、偏摩耗量の推定値が実際の偏摩耗量よりも大きくなる。
図8は、図4の例で加速度センサ100をレール910に2つ設置する場合の第2例を示す図である。図8の例では、位置X12、X14のそれぞれに加速度センサ100が設置されている。図8の例では、位置X12の加速度センサ100を加速度センサ100aと称し、位置X14の加速度センサ100を加速度センサ100bと称する。
図8の例では、加速度センサ100a、100b共に、車輪920の偏摩耗部分が位置X11、X13、X15の何れでレール910に接したときも、図6の場合と同様、振動が減衰して十分大きな加速度を測定できない。これら2つの加速度センサ100の補正後偏摩耗成分を合計しても、パワー和が実際値よりも小さくなり、偏摩耗量の推定値が実際の偏摩耗量よりも小さくなる。
このように、偏摩耗量を過大評価する場合と過小評価する場合とがある。偏摩耗量を高精度に推定するために、偏摩耗量を過大評価する場合、過小評価する場合の両方に留意して、加速度センサ100の数および配置を決定する必要がある。
以下では、まず、レール910に加速度センサ100を2つ設置する場合について、2つの加速度センサ100の距離(間隔)、および、加速度センサ100の位置と偏摩耗部分接触位置との距離と、偏摩耗量の推定精度との関係について説明する。次に、レール910に加速度センサ100を3つ設置する場合について、2つの加速度センサ100の距離、および、加速度センサ100の位置と偏摩耗部分接触位置との距離と、偏摩耗量の推定精度との関係について説明する。
図9は、レールに2つの加速度センサ100を配置する場合の、2つの加速度センサ100の距離、および、加速度センサ100の位置と偏摩耗部分接触位置との距離の例を示す図である。図9の横軸は、レール910の長さ方向における位置を示し、対象車両の進行方向が+(正)となっている。図9に示す2つの加速度センサ100のうち、対象車両の進行方向手前側(位置の値が小さいほう)の加速度センサ100を加速度センサ100aとし、奥側(位置の値が大きい方)の加速度センサ100を加速度センサ100bとする。
図9に示すように、2つの加速度センサ100の間の距離をdと表記する。また、偏摩耗部分接触位置を基準として、加速度センサ100aの位置との差をxaと表記する。|xa|(xaの絶対値)は、加速度センサ100aと偏摩耗部分接触位置との距離を示す。加速度センサ100aの位置の方が偏摩耗部分接触位置よりも、位置の値が大きいとき(すなわち、対象車両の進行方向奥側のとき)、xaの符号は+である。加速度センサ100aの位置のほうが偏摩耗部分接触位置よりも、位置の値が小さいとき(すなわち、対象車両の進行方向手前側のとき)、xaの符号は-である。
この、偏摩耗部分接触位置を基準とした、加速度センサ100aの位置との差である符号付きの距離を、偏摩耗部分接触位置から加速度センサ100aまでの距離とも称する。
図10は、2つのセンサの距離、および、偏摩耗部分接触位置から加速度センサ100aまでの距離と、偏摩耗量推定精度との関係の例を示す図である。図10の横軸は、偏摩耗部分接触位置から加速度センサ100aまでの距離xa(単位:メートル)を示す。縦軸は、2つの加速度センサ100の距離d(単位:メートル)を示す。
図10では、車輪920の偏摩耗量を一定とし、いろいろな距離xaおよび距離dについて、2つの加速度センサ100のセンシングデータから算出されるパワー和の、基準値からのレベル差をデシベル表示の等高線で示している。図10の例では、図3を参照して説明した方法で、2つの加速度センサ100のセンシングデータからパワー和を算出している。また、偏摩耗部分接触位置から加速度センサ100aまでの距離xaが0の場合(すなわち、偏摩耗部分接触位置が加速度センサ100aの直上である場合)に、図3を参照して説明した方法で、加速度センサ100aのセンシングデータから算出される補正後偏摩耗成分を基準値とし、この基準値を0デシベル(dB)としている。
偏摩耗量を高精度に推定するためには、偏摩耗部分接触位置から加速度センサ100aまでの距離xaにかかわらず、パワー和が一定であることが好ましい。パワー和と基準値との差が±2デシベル以内であることを目標とすると、線L21で囲まれた範囲が目標を満たす範囲となる。
図10では、線L22に例示されるような、横軸に平行な線をどの位置にとっても、この線全体を目標の範囲内に含めることは出来ない。従って、2つの加速度センサ100の距離dをどのようにしても、偏摩耗部分接触位置から加速度センサ100aまでの距離xaによっては、パワー和と基準値との差が目標の±2デシベルの範囲内に収まらない。
図11は、レールに3つの加速度センサ100を配置する場合の、加速度センサ100間の距離、および、加速度センサ100の位置と偏摩耗部分接触位置との距離の例を示す図である。図11の横軸は、レール910の長さ方向における位置を示し、対象車両の進行方向が+(正)となっている。図11に示す3つの加速度センサ100のうち2つについては、図9の場合と同様とする。具体的には、2つの加速度センサ100のうち、対象車両の進行方向手前側(位置の値が小さいほう)の加速度センサ100を加速度センサ100aとし、奥側(位置の値が大きい方)の加速度センサ100を加速度センサ100bとする。
図9の場合と同様、加速度センサ100aと100bとの間の距離をdと表記する。また、偏摩耗部分接触位置を基準として、加速度センサ100aの位置との差(すなわち、偏摩耗部分接触位置から加速度センサ100aまでの距離)をxaと表記する。
また、3つ目の加速度センサ100を加速度センサ100cと表記する。加速度センサ100aの位置を基準として、加速度センサ100cの位置との差をdと表記する。
|d|(dの絶対値)は、加速度センサ100aと加速度センサ100cとの距離を示す。加速度センサ100cの位置の方が加速度センサ100aの位置よりも、位置の値が大きいとき(すなわち、対象車両の進行方向奥側のとき)、dの符号は+である。加速度センサ100cの位置のほうが加速度センサ100aの位置よりも、位置の値が小さいとき(すなわち、対象車両の進行方向手前側のとき)、dの符号は-である。
この、加速度センサ100aの位置を基準とした、加速度センサ100cの位置との差である符号付きの距離を、加速度センサ100aから加速度センサ100cまでの距離とも称する。
図12は、加速度センサ100cの位置と基準値とのレベル差の例を示す図である。図12の横軸は、偏摩耗部分接触位置から加速度センサ100aまでの距離xaを示す。縦軸は、加速度センサ100cのセンシングデータに基づく補正後偏摩耗成分の、基準値からのレベル差をデシベル表示で示す。
線L31は、加速度センサ100aから加速度センサ100cまでの距離dが1メートルである場合の例を示す。線L32は、加速度センサ100aから加速度センサ100cまでの距離dが0である場合の例を示す。線L33は、加速度センサ100aから加速度センサ100cまでの距離dが-1メートルである場合の例を示す。
図13は、加速度センサ100cの配置の検討例を示す図である。図13の横軸は、偏摩耗部分接触位置から加速度センサ100aまでの距離xa(単位:メートル)を示す。縦軸は、加速度センサ100aと100bとの距離d(単位:メートル)を示す。図13では、図10の場合と同じく、車輪920の偏摩耗量を一定とし、いろいろな距離xaおよび距離dについて、加速度センサ100aおよび100bのセンシングデータから算出するパワー和の、基準値からのレベル差をデシベル表示の等高線で示している。
図12および図13に基づいて、加速度センサ100の配置を以下のようにする。
(1) 領域A11から、加速度センサ100aと100bとの距離dは、0.25~2.4メートルの範囲にする。
(2) 領域A11で、3つの加速度センサ100のセンシングデータによるパワー和が大きくなりすぎないように、加速度センサ100aから加速度センサ100cまでの距離dを設定する。具体的には、加速度センサ100cが-8デシベル以下になるようにする。図12より、加速度センサ100aから加速度センサ100cまでの距離dを0.8メートル以上、または、-0.8メートル以下にする。
(3) 加速度センサ100cを付加することで、領域A13およびA14では、図13に示すパワー和に0デシベルが加わる。このとき、領域A12で、3つの加速度センサ100のセンシングデータによるパワー和が±2デシベル以内になるようにする。そこで、加速度センサ100aから加速度センサ100cまでの距離dを0.8~1.07メートル、または、-1.05~-0.8メートル程度にする。
A:加速度センサ100aから加速度センサ100cまでの距離dを0.8~1.07メートルにする場合、
・領域A15で、3つの加速度センサ100のセンシングデータによるパワー和が大きくなりすぎること、
・領域A13の左上端で、3つの加速度センサ100のセンシングデータによるパワー和が小さくなりすぎること、
・領域A14で、3つの加速度センサ100のセンシングデータによるパワー和が-2デシベル以上であること、
の3つを考慮して、加速度センサ100aと100bとの距離dを1.7~1.8メートルにする。なお、図13でd=1.7メートルとなる箇所を線で示している。
B:加速度センサ100aから加速度センサ100cまでの距離dを-1.05~-0.8メートルにする場合、
・領域A16で、3つの加速度センサ100のセンシングデータによるパワー和が大きくなりすぎること、
・領域A14の右下端で、3つの加速度センサ100のセンシングデータによるパワー和が小さくなること、
・領域A13で、3つの加速度センサ100のセンシングデータによるパワー和が-2デシベル以上であること、
の3つを考慮して、加速度センサ100aと100bとの距離dを1メートル程度にする。なお、図13でd=1メートルとなる箇所を線で示している。
Bの場合、厳密には、3つの加速度センサ100のセンシングデータによるパワー和が±2デシベル以内との条件をわずかに満足しない部分が生じるが、ほぼ満足する。
(4) 加速度センサ100aから加速度センサ100cまでの距離dが1.07メートルを超えると、領域A12に、3つの加速度センサ100のセンシングデータによるパワー和が-2デシベル未満になる領域が出現する。加速度センサ100aから加速度センサ100cまでの距離dが1.15メートル程度までは、その領域は小さく、それを避ければ、3つの加速度センサ100のセンシングデータによるパワー和が±2デシベル以内となる。このとき、加速度センサ100aと100bとの距離dは、2~2.4メートルである。このときの距離dの下限値は、加速度センサ100aから加速度センサ100cまでの距離dに依存する。
図14は、加速度センサ100の配置の第1例を示す図である。
図14に示す配置で、加速度センサ100aから加速度センサ100cまでの距離dを、0.8~1.15メートルの範囲内にする。
加速度センサ100aから加速度センサ100cまでの距離dが1.07メートル以下の場合、加速度センサ100aと100bとの距離dを、1.7~1.8メートルの範囲内にする。
加速度センサ100aから加速度センサ100cまでの距離dが1.07メートルより大きい場合、加速度センサ100aと100bとの距離dを、2~2.4メートルの範囲内にする。なお、この場合、加速度センサ100aと100bとの距離dの下限値は、加速度センサ100aから加速度センサ100cまでの距離dに応じて変化する。
図15は、加速度センサ100の配置の第2例を示す図である。
図15に示す配置で、加速度センサ100aから加速度センサ100cまでの距離dを、-1.07~-0.8メートルの範囲内にする。また、加速度センサ100aと100bとの距離dを、1メートルにする。
上記のように、図15の配置では、厳密には、3つの加速度センサ100のセンシングデータによるパワー和が±2デシベル以内との条件をわずかに満足しない。この点からすると、図14の配置の方が好ましい。
誤差をさらに許容すれば(すなわち、3つの加速度センサ100のセンシングデータによるパワー和の許容範囲を広くすれば)、加速度センサ100の設置間隔の範囲は広がる。逆に、誤差を小さくすれば(すなわち、3つの加速度センサ100のセンシングデータによるパワー和の許容範囲を狭くすれば)、条件を満たす配置がなくなる。
図16は、加速度センサ100を3つ配置した場合のセンサの配置とパワー和との関係の例を示す図である。図16の横軸は、偏摩耗部分接触位置から加速度センサ100aまでの距離xa(単位:メートル)を示す。縦軸は、加速度センサ100aと100bとの距離d(単位:メートル)を示す。
図16では、車輪920の偏摩耗量を一定とし、いろいろな距離xaおよび距離dについて、2つの加速度センサ100のセンシングデータから算出されるパワー和の、基準値からのレベル差をデシベル表示の等高線で示している。また、センサ100aからセンサ100cまでの距離は1.09メートルで一定としている。
図16は、図10に示すセンサ100が2つの場合の例からセンサ100をさらに1個加えてセンサ100が3つの場合の例を示している。センサが3つある点以外は、図16の例は図10の例の場合と同様である。
図16の例で、d=1.875メートルの場合に、わずかに±2デシベルを超えている部分があるが、おおよそ±2デシベルの範囲に収まっている。センサ100の間隔をさらに調整すると±2デシベルの範囲内に収めることができる。
なお、図16でd=1.875メートルとなる箇所を線で示している。
以上のように、少なくとも3つの加速度センサ100は、レールの長さ方向に間隔をおいて設けられ、レール910上を通過する車輪920により生じる加速度をそれぞれ検出する。パワー和算出部293は、加速度センサ100が検出する加速度のパワー和を算出する。換算部294は、パワー和算出部293が算出したパワー和を車輪の偏摩耗量に換算する。
偏摩耗量推定システム1によれば、少なくとも3つの加速度センサ100がレール910の長さ方向に間隔をおいて設けられることで、車輪920の偏摩耗部分がレール910に接する位置にかかわらず、おおよそ一定の大きさの振動を測定できる。これにより、偏摩耗量推定システム1では、レール910での振動の減衰の偏摩耗量推定への影響を低減させることができ、この点で偏摩耗量を高精度に推定できる。
また、加速度センサ100は、車輪920の偏摩耗部分がレール910に接する位置によるパワー和の相違が、所定相違以内になるように配置される。これにより、偏摩耗量推定システム1では、車輪920の偏摩耗部分がレール910に接する位置にかかわらず、おおよそ一定の大きさのパワー和を得られる。偏摩耗量推定システム1によれば、レールでの振動の減衰の偏摩耗量推定への影響を低減させることができ、この点で偏摩耗量を高精度に推定できる。
また、2つの加速度センサ100のセンシングデータによるパワー和の基準値との差を、2つの加速度センサ100の距離、および、基準となる加速度センサ100と車輪920の偏摩耗部分がレール910に接する位置との距離のグラフに等高線で示す。そして、等高線で示されたグラフ、および、基準となる加速度センサ100と車輪920の偏摩耗部分がレール910に接する位置との距離と、3つめの加速度センサ100が測定する加速度の大きさとの関係に基づいて、加速度センサ100配置を決定する。
この配置決定方法によれば、車輪920の偏摩耗部分がレール910に接する位置にかかわらず、おおよそ一定の大きさのパワー和を得られる。この配置決定方法を用いれば、レールでの振動の減衰の偏摩耗量推定への影響を低減させることができ、この点で偏摩耗量を高精度に推定できる。
なお、偏摩耗量推定装置200が行う処理、および、加速度センサ100の配置を決定するための処理の全部または一部の機能を実現するためのプログラムを、コンピュータまたはハードウェアが読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムまたはハードウェアに読み込ませ、実行することで各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
以上、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
1 偏摩耗量推定システム
100 加速度センサ
200 偏摩耗量推定装置
210 通信部
220 表示部
230 操作入力部
280 記憶部
290 制御部
291 偏摩耗成分抽出部
292 補正部
293 パワー和算出部
294 換算部
295 車輪到達検出部

Claims (4)

  1. レールの長さ方向に間隔をおいて設けられ、前記レール上を通過する車輪により生じる振動をそれぞれ検出する少なくとも3つの振動センサと、
    前記振動センサが検出する振動のパワー和を算出するパワー和算出部と、
    前記パワー和を車輪の偏摩耗量に換算する換算部と、
    を備える偏摩耗量推定システム。
  2. 前記振動センサは、前記車輪の偏摩耗部分が前記レールに接する位置による前記パワー和の相違が、所定の相違以内になるように配置される、請求項1に記載の偏摩耗量推定システム。
  3. レールの長さ方向に間隔をおいて設けられた少なくとも3つの振動センサが、前記レール上を通過する車輪により生じる振動をそれぞれ検出する工程と、
    前記振動センサが検出する振動のパワー和を算出する工程と、
    前記パワー和を車輪の偏摩耗量に換算する工程と、
    を含む偏摩耗量推定方法。
  4. コンピュータに、
    レールの長さ方向に間隔をおいて設けられた少なくとも3つの振動センサが、前記レール上を通過する車輪により生じる振動をそれぞれ検出する振動のパワー和を算出する工程と、
    前記パワー和を車輪の偏摩耗量に換算する工程と、
    を実行させるためのプログラム。
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