以下に、本発明における空気弁の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1においては、本発明の空気弁の第1実施形態を示している。
図1に示すように、本発明の空気弁は、弁箱1、案内筒体2、フロート弁体3、遊動弁体4、ユニット61、固定蓋7を有しており、例えば、図示しない水道本管の配管路などに設けられ、水道水に含まれる空気泡や空気溜まりによる空気を外部に排出可能に設けられる。また、凍結破損防止型空気弁として、ユニット61を装着した状態で、寒冷地や冬期など、空気弁の使用中に弁箱1内の水が凍結し得る環境において用いる。なお、特に好ましい設置場所としては、管路の敷設勾配が変化するときの最頂部、直線状の水平管路に対して一定間隔(例えば、300~500m)ごと、水管路の中央部、管路のバルブ前後の空気の供給や排気の必要な箇所等がある。
図1において、弁箱1は、例えばダクタイル鋳鉄製からなり、この弁箱1内には、例えばエボナイトなどの樹脂製のフロート弁体3と、ポリプロピレンなどの樹脂製の遊動弁体4とを収納した、例えばABS樹脂などの樹脂製からなる案内筒体2が配設され、弁箱1の上方には開口部6が形成されている。この開口部6には、後述するユニット61が、適宜の固定手段11を介して常時固定された状態になっており、このユニット61には大空気孔12が設けられている。この空気弁において、必要に応じてユニット61と、フロート弁体3と遊動弁体4とを収納した案内筒体2を弁箱1の開口部6より取り出し、かつ、取り出した状態の弁箱1の開口部6に大空気孔12を有するユニット61が固定される。
図1において、上記弁箱1は、略筒状に形成され、上方に開口部6、下部に流入口20が設けられ、これらの間には収納室21が設けられる。弁箱1の開口部6側にはこの開口部6よりも縮径した嵌合部22が形成され、この嵌合部22の上部に環状凹溝23が形成されている。環状凹溝23には、例えばシリンダ用の材料で形成されたUパッキン24が装着されている。開口部6と嵌合部22との間には段部25が設けられ、この段部25にはスラストリング26が装着され、開口部6の上面には、ボルト部材27のおねじ28を螺着するためのめねじ29が複数箇所に芯出し加工により設けられる。
図1において、弁箱1下部の流入口20は、所定の流入面積が確保されるように設けられ、この流入口20の周囲にはこの流入口の所定の流入面積を確保可能に、例えば、略90°の間隔で突起30が突出形成されている。突起30は、フロート弁体3、遊動弁体4の直径よりも内径側に設けられ、この突起30にフロート弁体3、遊動弁体4が係止することで、清掃或は点検時に誤って落とした場合であっても、これらの落下が防止される。弁箱1の外周下部にはフランジ31が設けられ、このフランジ31を介して図示しない補修弁等が着脱可能に設けられる。
収納室21は、案内筒体2を収納可能な内径に設けられ、この収納室21の下部には案内筒体2載置用の案内台座32が内方に向けて突出形成されている。収納室21の内周側には複数の側面ガイド33が突出形成され、この側面ガイド33は、案内筒体2を芯出し状態でガイド可能に、案内筒体2の外周に当接可能な適宜の高さに設けられる。
案内筒体2は、上部がユニット61の下面側に配設され、下部側が案内台座32に載置可能に設けられ、案内台座32とユニット61の下端面との間に挟み込まれるように収納室21に収納される。案内筒体2の上部には、流体を連通させるための連通部35が複数形成され、底面側の略中央位置には所定径の孔36が設けられる。連通部35は、複数の切欠き部位により等間隔に設けられ、この連通部35により流体通過時の面積が決定される。
図1に示した仮連結部62、63は、ユニット61と案内筒体2とを接続保持できる構造に設けられており、この仮連結部62、63の分離時にユニット61を開口部6より取り出す際に、ユニット61とともにフロート弁体3と遊動弁体4とを収納した案内筒体2を引き上げて、取り出すことができるように設けられる。
仮連結部62、63の構造は、フロート弁体3と遊動弁体4とを収納した案内筒体2の自重を支えて保持でき、かつ開口部6より取り出した後は、ユニット61と案内筒体2とを簡単に取り外せる保持力を備えた構造になっている。
具体的には、図1において、仮連結部62、63はユニット61の固定筒64の下部内周と案内筒体2の上部外周に設けたプレスフィット構造にて芯出ししながら連結可能な凹凸部位であり、これらの仮連結部62、63を嵌合させることで着脱可能になっている。本実施形態においては、仮連結部62、63を構成する凹凸部位として、案内筒体2の上部に配置された複数の切欠き部13によって上部に凸状部14が形成される。これにより、複数の凸状部14の弾性を利用して、ユニット61の係合着脱を容易におこなうことができる。
図2においては、図1に示したフロート弁体3と遊動弁体4との斜視図を示している。図2(a)の分離斜視図に示すように、フロート弁体3、遊動弁体4は、ともに短円柱形状で偏平形状に設けられ、図2(b)の積み重ね状態に示すように、案内筒体2の内部にフロート弁体3の上方に遊動弁体4が配設された状態でそれぞれ着脱可能に設けられる。
遊動弁体4の偏心位置には、上下に貫通した小空気孔37が形成され、この偏心構造の小空気孔37を空気が移動可能になっている。遊動弁体4の上面側には、この遊動弁体4が浮上したときにユニット61の下端面に当接シール可能なシールリング38が装着されている。これらフロート弁体3、遊動弁体4は、弁箱1内の水位に応じて浮力を受けて案内筒体2に案内されてスムーズに上下移動可能であり、その動作により水道水に含まれる空気が空気弁の外部に排出される。
図1、3において、本発明の凍結破損防止用ユニット61は、大空気孔12と膨張吸収室65とを有しており、大空気孔12を有するピストン66と、このピストン66の上方外周に設けたピストンケース67とで包囲した膨張吸収室65内にスプリング(皿バネ68)を収納し、ピストンケース67の固定筒64の下方外周には、開口部6に装着する固定手段11を設けて構成している。
図1、3において、ピストンケース67は、略筒形状のカバー体69と固定筒64とを同心状に接合して形成されており、本例では、カバー体69下端部内周面に設けられたメネジ部と、固定筒64の上端部外周面に設けられたオネジ部とを螺着するようにしている。カバー体69は、上面側の中央位置に穴部70が開口され、この穴部70には、ピストン66の上端側が摺動可能に嵌合でき、この摺動の際のシール部材として、内周の摺動部位にはOリング71が設けられる。カバー体69の内周には、ピストン66の外周との間で包囲形成される膨張吸収室65が確保され、この膨張吸収室65内には、ピストン66を弾発付勢するスプリングとして、皿バネ68がピストン66外周を包囲するように収納され、この皿バネ68の一端は、カバー体69の受け部72を弾発する。
図1、3において、固定筒64は、略筒状に形成され、カバー体69との接合側となる上方の内周段部面には、ピストン66の弾発移動を係止する係合部73が形成され、下方側の断面略円形状の内周面は、略円柱形状のピストン66の筒状部74の外周面と摺動可能に嵌合できる。また、固定筒64の下方外周には、弁箱1の装着溝52と係合するアーム係合片50が形成され、後述の固定手段11を構成している。さらに、下端部には、前述した仮連結部62が設けられ、案内筒体2と連結可能となっている。
図1、3において、ピストン66は、内部に所定径の大空気孔12がストレートに貫通した略筒形状を呈しており、ユニット61においては、ピストンケース67に同心状に嵌装される。ピストン66の外周面の一部には、皿バネ68の弾発の他端を受ける受け部75が鍔状に形成されていると共に、この受け部75は、固定筒64の段部状の係合部73と係合可能となっている。また、筒状部74の外周面の一部には、固定筒64内周面と嵌合して摺動する際のシール部材となるOリング76が環状装着溝に設けられている。
図1、3において、ピストン66の下端面77は、ユニット61として空気弁に固定された際には、遊動弁体4が密着して着座できる大空気孔12の弁座面となることができるように、所定の肉厚で環状のフラット面として形成されており、また、後述の凍結破損防止作用において、収納室21内の水の体積膨張やこれに伴って上昇する遊動弁体4などに当接して動きを吸収する受け面となる。このように、ユニット61においては、カバー体69内側に確保された膨張吸収室65は、ピストン66の上方外周を内側、カバー体69内周を外側として包囲されている空間であり、この空間に、ピストン66を包囲するように皿バネ68が収納されている。
上記ユニット61には、ボルト等を用いて案内筒体2が直接固定されることなく、取り外し時にこの案内筒体2をフロート弁体3と遊動弁体4とともに弁箱1から着脱可能になっている。その際、必要に応じてユニット61と、フロート弁体3と遊動弁体4とを収納した案内筒体2を開口部6より取り出し、かつ、取り出した状態の開口部6に大空気孔12を有するユニット61を固定することが可能になる。
図1、4において、本例の固定手段11は、ピストン66の下方外周に設けた固定筒64の外周に係止部50を突設し、この係止部50を開口部6に設けた装着溝52に係止させ、この係止部50と開口部6の求心方向に突出する止具54とで係止固定させるようにしている。
図1、4において、この固定手段11は、弁箱1に設けられた段部25、固定筒64の下方外周に設けられた係止部としてのアーム係合片50、開口部6の内周側に向けて形成された装着溝52とストッパ53、ロックピン装置(止具)54を有しており、これらにより固定筒64が弁箱1に着脱可能に設けられる。アーム係合片50は、固定筒64の下部側面に等間隔に突出形成され、段部25に当接可能に設けられている。
図4において、ストッパ53は、後述のように、固定蓋7を弁箱1の上面1aに被蓋した際に装着溝52内に嵌り込めるように、固定蓋7の下面側に突出形成された部分であり、本例では、アーム係合片50に合わせて、周方向120度間隔で3箇所設けられている。ストッパ53の側面には、アーム係合片50の形状に適合するように、周方向に面した急傾斜面53aと、内方に面した緩傾斜面53bが形成されており、また、ストッパ53の外周面は、装着溝52の内周面の形状に適合している。
なお、図示していないが、ストッパ53は、実質的に1箇所で足りるため、図4に示した3箇所のストッパ53を何れかの1箇所のみに形成した固定蓋を用いてもよい。
一方で、アーム係合片50は前後側で異なる傾斜角度に形成され、一方側に緩傾斜面50b、他方側に急傾斜面50aが形成されている。これらの異なる傾斜角度により、緩傾斜面50bにおいては、ロックピン装置54のピンを没入方向に移動させながら固定筒64の回動が可能になり、一方、急傾斜面50aにおいては、ロックピン装置54のピンが開口部6の求心方向に完全に突出して両者が係合することで固定筒64の回動ができなくなるようになっている。なお、図4においては、アーム係合片50の緩傾斜面50bが、ストッパ53の緩傾斜面53bに近接して対向した状態が示されており、後述するアーム係合片50の回動は、このような状態に係止されることになる。
図1、4において、ロックピン装置54は弁箱1に取付けられ、図示しないスプリングの付勢力で固定筒64に係合してこの固定筒64を所定の位置決め状態に装着可能に設けられる。ロックピン装置54は、手指で把持して外方に引っ張ることで固定筒64への係止を外し、この状態で固定筒64を回転することで弁箱1からユニット61を着脱可能になっている。
図4に示した固定蓋7は、固定筒64を位置決め固定可能に弁箱1の上面1aに取付け可能に設けられる。固定蓋7の中央には穴部55が形成され、この穴部55に固定筒64を挿入可能になっている。固定蓋7のめねじ29が対応する位置には貫通孔56が形成されている。穴部55の一部には、アーム係合片50が通過するための切欠き状の装着溝52が内周側に形成され、この装着溝52に続けて下方に突出するストッパ53が形成されており、このストッパ53により固定筒64の回動範囲が設定される。
固定蓋7は弁箱上面1aに載置され、貫通孔56からめねじ29におねじ28が螺着されることでボルト部材27が弁箱1に固定される。この場合、めねじ29が芯出し加工されていることにより、芯ずれが防止された状態で固定蓋7が固定される。
また、図1に示すように、弁箱1の上方側を包囲したカバー60の下端部に鍔部片78と弁箱1に設けた取付片79とをボルト80を介してカバー60を着脱自在に取り付けている。カバー60は、例えばステンレスなどの金属製からなり、弁箱1の上部を包囲可能な形状となるように上方に膨出形成されており、ユニット61の大空気孔12と大気とを連通させた状態で被覆するようにユニット61の上部又は弁箱1の上部に着脱可能に設けられる。
図1において、カバー60の下端外周には、ロックピン装置54を隠すことができる位置に鍔部片78が設けられ、この鍔部片78を、ブラケット81の取付片79に固着させることによって、弁箱1の上部外周位置で取り付け可能となっている。ブラケット81は、薄板により略環状に形成されて固定蓋7上面に設置可能となっており、その外周の2ヶ所には断面略L字状に下方に曲折された取付片79が形成されている。さらに、カバー60の鍔部片78は、図示しない弁箱1の側面に内部と連通する開閉用コックを上から覆って保護する機能がある。
図1において、ブラケット81は、弁箱1上部の固定蓋7の上に配置され、固定蓋7とともにボルト部材27で弁箱1に位置決め固着されている。この状態で取付片79に鍔部片78を載置してカバー60を弁箱1の上部に位置決めし、鍔部片78と取付片79の先端側とをボルト80で螺着する。これによって、ブラケット81を介して弁箱1の外周側でカバー60を固着させ、このカバー体60により弁箱1の上部側を被覆できる。また、図示していないが、鍔部片78には、ボルト80の頭部を挿抜可能なネジ孔部が形成され、このネジ孔部に続けて、頭部を係止可能なボルト孔部より細い長穴状の案内孔部が形成されている。
この場合は、ブラケット81を用いてカバー60を弁箱1に着脱する際に、弁箱1外周側のみで取り付けることができ、カバー60の上面側を扱う必要は一切ない。一方で、図示しないが、このカバー60の上面領域で弁箱1にボルト等で固着させることもできるが、このような場合、弁箱1上面側にカバー上面を支持するための支持部材が不可避となるので、その分空気弁構造が複雑化すると共に、後述の第2実施形態においては、カバー60の取り外し後に、口金84への消防用ホース等の接続や取り外す際に支障が生じるおそれがある。例えば、オス型の町野式口金84に図示しないメス型の消防用ホースを接続する場合、このメス型の受け口が外径側に大きいことから、支持部材を設けた場合には、これと干渉して接続できなくなるおそれがある。これに対し、本例のブラケット81を用いたカバー60の着脱構造の場合には、このような干渉を回避できる。さらに、誤って上面側に設けられているボルトを抜いてしまうことも防止できる。
さらに、カバー60の上部とこれが被覆する部材(ユニット61)の上部との間に支持部を設ける必要が無いから、これらの間を最小限の距離に抑えることができ、よって、カバー60の長さ、或は、このカバー60で被蓋下状態他の空気弁の高さを、抑制することができる。しかも、ロックピン装置54が隠れる位置で鍔部片78を固定していることで、このロックピン装置54が樹脂製である場合にも耐候性を向上できる。
また、図示しないが、弁箱1の側面には内部と連通する開閉用コックが設けられていてもよい。コックは、空気弁の分解時において残圧を抜くために設けられる。
また、空気弁の弁箱1の下部に図示しない補修弁を取付けて通水機能を発揮させるようにしてもよい。この場合、補修弁は一般に用いられているものであればよく、例えば、ボール弁を用いることができ、この場合、ボール弁のステムの90°の回動による開閉が可能になる。ボール弁は、例えば、フランジ31に取付用のボルトで取付けられるが、フランジ以外の部分にボール弁を取付けてもよい。ボール弁を使用する場合、そのボール口径を空気弁の内部流路の口径と略同じにすることが望ましい。
さらに、図1、4に示されているように、本例では固定手段11を介して、固定蓋7を固定した弁箱1に、ユニット61を回転することで、ユニット61とフロート弁体3、遊動弁体4を収納した案内筒体2を着脱するようにしているが、これ以外のユニット61の着脱構造(固定手段)により案内筒体2等を収納してもよい。
例えば、図示しないが、凹状の係合溝を有する一体型のユニット(固定筒)と、この係合溝に係合可能な係合部、操作部を有する回転可能なレバーを有する弁箱とを設け、弁箱に固定筒を仮着した状態でレバーを回転させて係合部を係合溝に圧接状態で係合させるか、或はこの状態からレバーを回転させて係合を係合溝から離反させることにより、フロート弁体、遊動弁体を収納した案内体を仮着したユニットを弁箱に着脱できる。このようなレバーによる係合部と係合溝との着脱構造によりこれらをワンタッチで着脱可能になり、ユニットと案内体との間にガスケット又はOリング等が装着されている場合には、このガスケット又はOリング等も固定筒等とともに一体に着脱することもできる。また、この場合にも、前述と同様に口金とユニットとを一体に設けることができる。
また、本発明の凍結破損防止用ユニット61は、上述のような固定手段11(装着溝52)を有していない空気弁に対しても、その開口部(弁箱上部)に新たに適宜の固定手段を設けるだけで、その空気弁を容易に凍結破損防止型にすることも可能である。すなわち、弁箱側である開口部と、ユニット側であるユニット下部に、互いに着脱自在な固定手段(係合、嵌合、圧着、螺着など)を、一体又は別体として、それぞれ設けることにより、本発明の凍結破損防止ユニット61を大空気孔の機能と共に備えることが可能となる。
上記空気弁は、水道本管の配管路に設けられ、水道水内に含まれる空気を排出しているが、対象となる流体を水道水以外の液体としてもよく、この液体に含まれる余分な空気などを排出することもできる。この空気弁は、例えば、洗管作業、圧力測定、臨時給水等に適している。
次に、本発明の空気弁の第2実施形態の構造を説明する。図5は、この第2実施形態に適用される凍結破損防止用ユニット85の縦断面図であり、図6は、この第2実施形態において後述のように皿バネ87を圧縮してピストン90が上昇した状態の一例を示した縦断面図である。
本例では、凍結破損防止用ユニット85の構造が第1実施形態と異なっており、本例では、ユニット85の上部には取付部82が設けられ、この取付部82には大空気孔83と連通する口金84を装着していることにより、本例の空気弁を口金一体型の凍結破損防止用としている。なお、図6には示していないが、図1と同様に、ピストン90が皿バネ87に弾発付勢されて係合部95に係止された状態では、案内筒体2は収納室21内で図1と同じ位置に収納された状態となる。上記第1実施形態と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
図5、6において、本例の凍結破損防止用ユニット85も、前述のユニット61の構成と同様に、ピストンケース86は、略筒形状のカバー体86aと固定筒88とを同心状に接合して形成されているが、本例では、カバー体86a外周面に設けられたオネジ部と、固定筒88の上部内周面に設けられたメネジ部とを螺着するようにしている。カバー体86aは、中央位置に穴部89が開口されており、この穴部89には、ピストン90の上端側が摺動可能に嵌合でき、この摺動の際のシール部材として、内周の摺動部位にはOリング91が設けられる。カバー体86aの内周には、ピストン90の外周との間で包囲形成される膨張吸収室92が確保され、この膨張吸収室92内には、ピストン90を弾発付勢するスプリングとして、皿バネ87がピストン90外周を包囲するように収納され、この皿バネ87の一端は、カバー体86aの受け部93を弾発する。
図5、6において、本例のカバー体86aには、口金84を取り付ける取付部82が形成されている。取付部82は、環状にカバー体86aの上方に向けて突設形成されており、穴部89を同心状に包囲しており、この取付部82の内周側に、Oリング94を介して口金84の下部外周側が螺着又は内嵌状に接合される。取付部82の内径は、この口金84の径に合わせて設けられる。
図5、6において、固定筒88は、略筒状に形成され、カバー体86aとの接合側となる上方側の内周段部には、ピストン90の弾発移動を係止する係合部95が環状に形成され、下方側の断面略円形状の内周面は、略円柱形状のピストン90の筒状部96の外周面と摺動可能に嵌合できる。また、前述した第1実施形態と同様に、固定筒88の下方外周には、弁箱1の装着溝52と係合するアーム係合片97(図4においては、急傾斜面97a、緩傾斜面97bが示されている)が形成され、固定手段11を構成している。さらに、下端部には、前述した仮連結部98が設けられ、案内筒体2と連結可能となっている。
図5、6において、ピストン90は、内部に所定径の大空気孔83がストレートに貫通した略筒形状を呈しており、ユニット85においては、ピストンケース86に同心状に嵌装される。ピストン90の外周面の一部には、皿バネ87の弾発の他端を受ける受け部99が環状に突設されていると共に、この受け部99は、固定筒88の段部状の係合部95と係合可能となっている。また、筒状部96の外周面の一部には、固定筒88内周面と嵌合して摺動する際のシール部材となるOリング100が設けられている。
図5、6において、ピストン90の下端面101は、ユニット85として空気弁に固定された際には、遊動弁体4が密着して着座できる大空気孔83の弁座面となることができるように、所定の肉厚で環状のフラット面として形成されており、後述する凍結破損防止作用において、収納室21内の水の体積膨張やこれに伴って上昇する遊動弁体4等に当接して動きを吸収する受け面となる。このように、ユニット85においては、カバー体86a内側に確保された膨張吸収室92は、ピストン90の上方外周を内側、カバー体86a内周を外側として包囲されている空間であり、この空間に、ピストン90を包囲するように皿バネ87が収納されている。
一方で、口金84の基部の中央には大空気孔83が貫通して形成され、この大空気孔83を介して弁箱1内に空気等の流体が吸入排出可能に設けられている。口金84は、例えば、図示しない消防用ホースの結合金具に属し、前述の町野式口金であれば、図5、6に示すように、差し金具102と押し輪103とを用いて構成される。
これら差し金具102と押し輪103とは、例えば、何れもステンレスなどの金属製からなっている。押し輪103は、差し金具102の外周と、差し金具102が螺合された取付部82との間に形成された外周溝104に、上下動可能に装着される。外周溝104を構成する取付部82の上端は、押し輪103の下方位置を決める止め輪に相当する、押し輪103の位置保持機能を有している。取付部82の上端に位置保持された押し輪103と固定蓋7との間には、押し輪103の操作スペースが形成される。口金84から消防用ホースを外す際には、作業者が上記の操作スペースに手を入れて、押し輪103を押し上げることにより、ホースを外すことができる。
図5、6において、口金84は、取付部82と必ずしも別体に設けられている必要はなく、一体に設けられていてもよい。この場合、口金と取付部とを一体成形する以外にも、例えば、取付部と口金とを螺合や嵌合により組み込み可能に設け、これらの間にOリング94を装着するか或は装着を省略した状態で、接着剤でこれらをシール接着すればよい。また、差し金具102の内径は、後述の凍結防止作用において、ピストン90の上端側を穴部89から突出可能とするため、ピストン90の外径より大きいものが用いられている。
続いて、本発明の第1実施形態に係る空気弁における作用及び組み立て・分解動作を説明する。本例の空気弁は、弁箱1内にフロート弁体3と遊動弁体4とを収納した案内筒体2を配設し、弁箱1の上方開口部6には、大空気孔12を有する凍結破損防止用ユニット61を適宜の固定手段11を介して常時固定状態にすると共に、必要に応じてユニット61と、フロート弁体3と遊動弁体4とを収納した案内筒体2を弁箱1の開口部6より取り出し、かつ、開口部6に大空気孔12を有するユニット61を固定しているので、弁箱1が大型化したり、内部構造が複雑化することを防ぎ、かつ別部品が増えることなく、簡易分解型の性能を維持しながら凍結破損防止型として空気弁機能を発揮させることができる。
本例の空気弁からフロート弁体3、遊動弁体4、案内筒体2を取外す場合には、先ず、流水路から空気弁への流路を遮断する。このとき、空気弁内には残圧があるためユニット61が押し上げられて固定蓋7の底面側に密着した状態になり、回動が阻止された状態になる。この状態から弁箱1に設けた図示しないコックを開操作すれば、空気弁内の残圧が抜かれ、ユニット61への押し上げ力が開放されることで分解可能になる。
次いで、カバー60を弁箱1から取外すようにする。この場合、ドライバーなどで六角ネジであるボルト80を緩めた後、このカバー60を、ボルト80の頭部の位置にボルト孔部を合わせるように案内孔部に沿って回転させ、この状態でカバー60を上方に引き抜くようにすれば取り外すことができる。
凍結破損防止用ユニット61を取り外す際には、ロックピン54を把持して引っ張って急傾斜面50aへの係止を外しながら、固定筒64(ユニット61)を取り出し方向に所定角度回転させる。この場合、アーム係合片50が段部25に当接した状態で、スラストリング26により支持されていることで回転がスムーズになる。アーム係合片50の急傾斜面50aが固定蓋7のストッパ53の急傾斜面53aに当接したときに、固定筒64(ユニット61)を引き上げるようにすれば抜き取りできる。
このとき、ユニット61と案内筒体2とを仮連結部62、63を介して接続保持し、分離時にユニット61を開口部6より取り出す際に、ユニット61とともにフロート弁体3と遊動弁体4とを収納した案内筒体2を引き上げて取り出すことができるため、ユニット61と、案内筒体2、フロート弁体3、遊動弁体4を別々に弁箱1から取り外す必要がなく、簡単な手順でこれらを一体に取り外し可能となる。この状態で各部品のゴミなどを取り除いたり清掃や点検などを実施すればよい。この清掃、点検時には、固定蓋7を取り外す必要はない。
図7は、上述のようにして、本例の空気弁を分解し、カバー60、凍結破損防止用ユニット61、及びフロート弁体3と遊動弁体4とを収納した案内筒体2を、弁箱1から分離した状態を示した分離断面図である。同図に示すように、本発明の空気弁においては、凍結破損防止用ユニットには大空気孔を有した弁箱の蓋部材としての機能を持たせることで、フロート部材などのメンテナンスに必要最小限の構成部品を効率よく交換可能な簡易分解型空気弁となっている。
一方で、ユニット61を弁箱1に取付ける場合には、先ず、フロート弁体3、遊動弁体4を案内筒体2に収納し、この案内筒体2を固定筒64に嵌め込むようにしながら連結する。このとき、仮連結部62、63が、固定筒64の下部内周又は下部外周と案内筒体2の上部外周又は上部内周とをワンタッチで着脱可能なプレスフィット構造により連結されていることで着脱が容易になり、これらの間のガタツキが抑えられ、案内筒体2が安定した状態で固定筒に取付けられることで、相対的に遊動弁体4、フロート弁体3のガタツキも抑えられ、動作が安定する。
次いで、ユニット61を弁箱1の上方より被せ、アーム係合片50の急傾斜面50aと装着溝52(固定蓋7の急傾斜面53a)との位置を合わせながら固定筒64を差し込み、ストッパ53に対してアーム係合片50を係合させる方向に固定筒64(ユニット61)を所定角度回転させる。この回転により、アーム係合片50(係止部)が装着溝52に係止状態となると共に、ロックピン54がアーム係合片50の緩傾斜面50bにより自動的に没入方向に移動する。固定筒64(ユニット61)がセット位置まで達すると、急傾斜面50aがロックピン54の位置に到達することで、ロックピン54がスプリングの付勢力で突出して急傾斜面50a側に係合する。このとき、緩傾斜面50bがストッパ53の緩傾斜面53bに衝突することから、アーム係合片50が両側から挟まれて固定保持される。
なお、仮連結部62、63を有さない別体構造の場合には、弁箱へユニットを固定する前に、フロート弁体3、遊動弁体4を案内筒体2に収納し、この案内筒体2を開口部6から挿入した上で、収納室21に収納させておけばよい。
これによって、大空気孔12の径を大きく拡げるようにユニット61を形成することが可能になり、例えば、プレスフィット構造を設けることなく案内体とユニットとを弁箱内に配設したときの大空気孔12の入り口側がφ42mmになる場合に比較して、プレスフィット構造の仮連結部62、63とした場合には大空気孔12の入り口側をφ44mm程度まで拡径しながら設けることができ、その結果、流入部をなだらかにして圧力損失を小さくすることもできるため、流体の排出効率が高まる。
さらには、プレスフィット構造をUパッキン24の周面シール部分と略同じ高さ付近まで設定できるため、この仮連結部62、63を周面シール位置からずらす必要がなくなり、仮連結部62、63の分だけ高さ方向に寸法が延びることを抑えることができる。そのため、同じ案内筒体2の高さを確保しつつ弁箱1を低く形成でき、空気弁全体のコンパクト化が可能になる。
これにより、ユニット61とともにフロート弁体3、遊動弁体4を収納した案内筒体2が弁箱1の所定位置に装着される。アーム係合片50がストッパ53に係合すると固定筒64の基部が嵌合部22に嵌合され、弁箱1にユニット61が抜け止めされた状態になる。ユニット61の装着後には、固定筒64の基部の外周にUパッキン24が装着されていることで、弁箱1とユニット61との間の漏れが防がれる。ユニット61は、例えば、固定蓋7に対して60°の範囲で回転して着脱される。
さらに、本発明の空気弁は凍結破損防止機能がユニット化されているから、例えば特許文献1、2に示されるような既存の簡易分解型空気弁に対し、その簡易分解性を損なうことなく、極めて容易に凍結破損防止機能をその空気弁に持たせることも可能である。図示していないが、既存の空気弁の弁箱を、本発明のユニットとは別構造の蓋体が、上記のような固定手段を介して上部から被蓋している場合において、その蓋体を弁箱から外し、弁箱内のフロート体などを取り出した後、本発明のユニット61を取り付けようとした際には、図7に示された状態となるので、このユニット61を弁箱1に固定手段11を介して固定させるだけで、空気弁に凍結破損防止機能を備えることができる。
空気弁として用いる場合は、先ず、図1において、弁箱1内に水が無いときにはフロート弁体3、遊動弁体4は降下して大空気孔12が開放した状態になり、この状態から急速排気や急速吸気の動作がおこなわれる。この場合、フロート弁体3、遊動弁体4は、ともに短円柱形状で偏平形状であることで案内筒体2内周に対する接触抵抗が少なくなり、確実に落下するようになっている。
急速排気は、図示しない水道本管の管路に充水するときに、管路内の空気を大空気孔12を介して急速に多量に排気するときの動作となる。急速排気時には、遊動弁体4、フロート弁体3はともに浮き上がることなく案内筒体2の下方に位置するため、大空気孔12が全開状態になり、管路内の空気が空気弁を介して効率的に外部に排出される。
急速吸気は、管路内の水を排出するときに、空気弁を介して急速に管路内に多量の吸気をおこなうときの動作である。急速吸気時には、遊動弁体4、フロート弁体3が降下した状態となる。この場合、大空気孔12が開口し、この大空気孔12から効率的に吸気して管路内の排水が迅速におこなわれる。このとき、孔36から案内筒体2内に蓄積した水も排水される。この急速吸気時には、フロート弁体3、遊動弁体4、案内筒体2が上昇することはない。これらの急速排気、急速吸気により、水道本管への最初の送水や、水道本管からの排水などの作業を短時間でおこなうことができる。
空気弁内への充水が完了し、管路内が満水状態になって弁箱1内が水で満たされているときには、フロート弁体3、遊動弁体4が浮力によって上昇し、遊動弁体4のシールリング38がピストン66の下端面に密着して大空気孔12を塞ぎ、かつ、フロート弁体3が遊動弁体4の小空気孔37を塞ぐ。これにより、弁箱1内が完全に遮蔽された状態になり、外部への水の流出が防がれる。
この充水時の圧力下において、水道本管内に混入している空気は徐々に空気弁に集まり、弁箱1内に溜まっていく。この空気量が一定に達すると、先ずフロート弁体3のみが降下し、遊動弁体4の小空気孔37が開いた状態になる。これは、大空気孔12と小空気孔37とにおける孔径の大小関係により、遊動弁体4が大空気孔12を有するピストン66の下端面から離れないためであり、その結果フロート弁体3のみが自重により降下する。
その際、図2に示すように、遊動弁体4の小空気孔37がフロート弁体3の偏心位置に配置されていることで、まず、負圧が発生している小空気孔37の反対側から降下し、フロート弁体3には傾斜する方向の力が加わり、さらに上記のようにフロート弁体3が短円柱状で、かつ偏平形状であることで案内筒体2内周に対する接触抵抗が少ない。これらのことから、フロート弁体3が遊動弁体4に対して傾きやすくなり、遊動弁体4から離間させて確実に降下させることができる。これにより、フロート弁体3と遊動弁体4との吸着を防いで、開口させた遊動弁体4の小空気孔37から空気弁内の空気をスムーズに外部に排出できる。さらに、フロート弁体3の下部側の角部位をアール状に形成していることで、フロート弁体3がより傾斜しやすくなり、降下しやすくなっている。
空気の排出により弁箱1内の空気量が少なくなると、フロート弁体3が上昇して再び小空気孔37を塞ぐ。以上の動作を繰り返すことにより、空気弁を介して本管内に溜まった空気を自動的に弁外に排出する。
この場合、前述したように案内筒体2は仮連結部62、63によって固定筒64に保持されており、さらに、案内台座32、側面ガイド33及びユニット61で上下左右が取り囲まれた状態で収納されていることにより、弁箱1の中心からずれることがない。また、円筒部分の上部で均等に力を受けるため、例えば、図示しない上部側に挟着用の鍔部を設けた案内体と比較した場合、曲げ応力が加わりにくく、水撃などによる衝撃荷重に対して非常に強い形状になっている。
次いで、本例における凍結破損防止作用を説明する。水栓や通水配管などの通水構造を寒冷地や冬期において使用した場合、いわゆる凍結破損の問題があり、この問題は空気弁にも従来から知られている。水は凍結に伴い体積膨張する性質が有り、例えば屋外の1気圧下0度で氷結した場合は、氷結前後で不連続的に約9%の体積膨張が生じる。
従来の一般的な空気弁構造において、凍結前の空気を溜めている使用状態では、遊動弁体は大空気孔を密着閉塞していると共に、フロート弁体も水面に浮遊状態で小空気孔を密着閉塞しているが、この状態で例えば水面付近から凍結が進行していった場合は、フロート弁体は徐々に氷結固体に包囲されて水面付近に拘束されながらフロート機能を失っていくと共に、氷結に伴う体積膨張に応じて徐々に上方へ押し上げられていき、小空気孔に密着していたフロート弁体は直ちに遊動弁体を押し上げていくことになる。弁箱内では、このような氷結体積膨張分の逃げ場は、実質的には空気溜まりの空間のみとなるので、氷結の進行具合に拘わらず、氷結分に応じてフロート弁体が押し上げられ、これに伴い遊動弁体も押し上げられることになると共に、空気溜まりの内圧上昇も生じ得る。或は、弁箱内の氷塊自身が体積膨張に伴い遊動弁体や内壁に当たって押圧したり、蓋体やガイド部材を押し上げて遊動弁体や内壁を押圧し得る。
しかしながら、この際の押し上げ力、つまり体積膨張圧力は、例えばコンクリート破砕技術に利用されるほど強力であり、例えば10度程度から-0.5度程度までの体積膨張圧は約24.1Mpa程度(-22.3度で最大約209Mpa程度まで増大する)といった性質が知られている。よって、このような内部構造の変形圧力に対する変形代(膨張吸収代)が実質的には確保されていない従来の空気弁構造においては、たとえ僅かな変形(膨張)であっても、極めて強力な応力が作用して破壊(凍結破損)を生じる虞がある。これに対し、本発明の凍結破損防止用ユニットは、このような膨張で生じる弁箱内の変形・負荷に伴う動きを吸収して空気弁の破損を防止する機能を有すると共に、着脱容易にユニット化されたASSYであるから、交換や取り換え・メンテナンスなど、いつでも容易に空気弁の凍結破損防止機能を独立して取り扱うことができる。
本例の空気弁では、空気を溜めている通常の使用状態、つまり弁箱1内部の水が凍結し得るある程度の長時間安定状態においては、水が凍結すると、これに伴い弁箱内の構成部品のせり上がり動作や、空気溜まりの内圧の上昇が生じ、結果として、大空気孔12に密着している遊動弁体4やピストン66の下端面77に対して、上方へ押し上げる力が作用することになる。
一方、ユニット61の下端面77では、このような押し上げ力を受け止め、これにより、ピストン66に上昇力が作用する。ピストン66は、係合部73で係止された状態で皿バネ68により収納室21内へ向けて弾発された状態であるから、この上昇力が皿バネ68による付勢力やピストン66の自重を上回って、ピストン66を上方へスライドさせる力に達した際には、ピストン66は皿バネ68を圧縮しながら上方へ摺動し、これにより遊動弁体4に作用する押し上げ力など、収納室21内における構成部品の移動や内圧が吸収され、収納室21内の構成部品や弁箱1の凍結破損が防止できる。皿バネ68の弾発力やピストン66のストロークは、少なくとも上記のように変形代として作用することで空気弁の凍結破損を防止するために十分な特性が確保されている。
次に、本発明の第2実施形態に係る空気弁における作用及び組み立て・分解動作を説明する。本例の空気弁においても、凍結破損防止用ユニット85の着脱、或は、別構造の蓋体で被蓋された既存の簡易分解型空気弁における蓋体と凍結破損防止用ユニットとの交換などに伴う空気弁の分解・組み立て動作や、急速吸排気、或は、空気弁としての作用や、凍結破損防止の作用は、上述の第1実施形態と同様である。
なお、図6は、本発明の凍結破損防止作用の一例を示しており、例えば、収納室21内の図示しない氷塊や内圧などの作用によって、フロート弁体3が遊動弁体4と略平行の姿勢で小空気孔37を密着閉塞すると共に、遊動弁体4のシールリング38もピストン90の下端面101に密着して大空気孔83を閉塞し、さらに、これらがピストン90を上死点付近まで押し上げた状態を示している。この状態では、カバー体86aの係合部95からピストン90の受け部99が離れて皿バネ87が圧縮されており、また、ピストン90の穴部89を挿通している上端部は、ピストン90の上昇分だけ穴部89より突出して口金84の内周側へ収容される。この際のピストン90の外周面の摺動において、穴部89内周と間はOリング91で、固定筒88の下方側内周面との間はOリング100で、それぞれシールされる。上述のように、このようなピストンの上昇作用は、図1、3に示した第1実施形態のユニット61においても同様である。
図6に示すように、ピストン90が昇降動する際に固定筒88の内周面にガイドされる筒状部96の長さは、昇降動の最大ストローク分(同図における係合部95と受け部99との距離)に対して十分な長さが確保されているので、昇降動の際にピストン90がスムーズに移動でき、よって、確実な凍結破損防止効果が得られる。このことは、図1、3に示した第1実施形態におけるピストン66の筒状部74においても同様である。
図5、6において、上記の作用・動作に加え、本例ではさらに、口金84を用いて、以下のように、口金用途にも直ちに兼用可能な空気弁として構成されている。
本例の空気弁を、口金84を介して洗管用や臨時の消火栓として通水機能を発揮させる場合、予めフロート弁体3、遊動弁体4、案内筒体2を抜き出した弁箱1に、口金84を有する凍結破損防止用ユニット85を取付ける。この場合、固定筒88を弁箱1の上方より挿入し、アーム係合片97と装着溝52との位置を合わせながら固定筒88を差し込んで所定角度回転させる。この回転により、ロックピン54がアーム係合片97の緩傾斜面97bにより自動的に没入方向に移動する。固定筒88がセット位置まで達すると、急傾斜面97aがロックピン54の位置に到達することでこのロックピン54がスプリングの付勢力で突出して急傾斜面97a側に係合する。このとき、緩傾斜面97bがストッパ53の緩傾斜面53bに衝突することから、アーム係合片97が両側から挟まれて固定保持される。
このように口金84を有するユニット85を弁箱1に装着することにより、このユニット85とは別のあらたな口金を必要とすることなく、ユニット85の大空気孔83によって通水機能を発揮できる。そのため、空気弁の設置場所に別の部品を持ち運ぶ必要もなく、フロート弁体3、遊動弁体4、案内筒体2を弁箱1に着脱することで簡単に空気弁と消火栓等とを切換えて使用できる。このとき、一般的な玉形弁構造の消火栓では圧力損失が大きくなることに比較して、この実施形態の空気弁では流路がストレート構造になっていることで、消火栓等に使用する際に圧力損失を小さくできる。
ユニット85の口金84には、ホース等を接続可能であり、このホースを介して管路内を洗管したり臨時の消火栓として利用可能になる。更に、管路内の水圧測定などの各種の用途にも利用可能となる。ユニット85を取付けて消火栓等として使用する場合、口金84により、例えば日本水道協会規格JWWA B 103(水道用地下式消火栓)の消火栓と同等の流量を確保できる。
さらに、フランジ31に補修弁としてボール弁を設けた場合、この補修弁の開閉により流路を確保しながら洗管用や臨時の消火栓に適したものを提供できる。このとき、弁箱1の下部に案内台座32を設けていることで、補修弁を介して流れ込む噴流がこの案内台座32に当たり、直接弁外に噴出することが防止される。
なお、上記実施形態においては、空気弁の下部にフランジ31が一体に設けられた空気弁の例を説明したが、空気弁の下部に流路開閉用のボール弁が一体に設けられた空気弁、いわゆるボール弁付き空気弁と呼ばれる空気弁であってもよく、この場合にも上記と同様の機能を発揮することができる。
更に、本発明は、材質等を含め、前記実施の形態の記載に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲に記載されている発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。