以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本発明の一態様を示すものであって、本発明の範囲内で任意に変更可能である。各図において同じ符号を付したものは、同一の部材を示しており、適宜説明が省略されている。また、各図においてX、Y、Zは、互いに直交する3つの空間軸を表している。本明細書では、これらの軸に沿った方向をX方向、Y方向、及びZ方向とする。各図の矢印が向かう方向を正(+)方向、矢印の反対方向を負(-)方向として説明する。また、Z方向は、鉛直方向を示し、+Z方向は鉛直下向き、-Z方向は鉛直上向きを示す。
(実施形態1)
本実施形態の液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドについて図1~図5を参照して説明する。なお、図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドのノズル面側から見た平面図である。図2は、図1のA-A′線断面図である。図3は、図2の要部を拡大した図である。
図示するように、本実施形態の液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッド1(以下、単に記録ヘッド1とも言う)は、流路基板として流路形成基板10、連通板15、ノズルプレート20、保護基板30、ケース部材40及びコンプライアンス基板49等の複数の部材を備える。
流路形成基板10は、シリコン単結晶基板からなり、その一方の面には振動板50が形成されている。振動板50は、二酸化シリコン層や酸化ジルコニウム層から選択される単一層又は積層であってもよい。
流路形成基板10には、個別流路200を構成する圧力室12が、複数の隔壁によって区画されて複数設けられている。複数の圧力室12は、インクを吐出する複数のノズル21が並設されるX方向に沿って所定のピッチで並設されている。X方向また、圧力室12がX方向に並設された列が、本実施形態では1列設けられている。また、流路形成基板10は面内方向がX方向及びY方向を含む方向となるように配置されている。なお、本実施形態では、流路形成基板10のX方向に並設された圧力室12の間の部分を隔壁と称する。この隔壁は、Y方向に沿って形成されている。すなわち、隔壁は、流路形成基板10のY方向における圧力室12に重なる部分のことをいう。
なお、本実施形態では、流路形成基板10に圧力室12のみを設けるようにしたが、圧力室12に供給されるインクに流路抵抗を付与するように圧力室12よりも流路を横断する断面積を絞った流路抵抗付与部を設けるようにしてもよい。
このような流路形成基板10の-Z方向の一方面側には、振動板50が形成され、この振動板50上には、第1電極60と圧電体層70と第2電極80とが成膜及びリソグラフィー法によって積層されて圧電アクチュエーター300を構成している。本実施形態では、圧電アクチュエーター300が、圧力室12内のインクに圧力変化を生じさせるエネルギー発生素子となっている。ここで、圧電アクチュエーター300は、圧電素子とも言い、第1電極60、圧電体層70及び第2電極80を含む部分を言う。一般的には、圧電アクチュエーター300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を圧力室12毎にパターニングして構成する。本実施形態では、第1電極60を圧電アクチュエーター300の共通電極とし、第2電極80を圧電アクチュエーター300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。なお、上述した例では、振動板50、第1電極60が、振動板として作用するが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、振動板50を設けずに、第1電極60のみが振動板として作用するようにしてもよい。また、圧電アクチュエーター300自体が実質的に振動板を兼ねるようにしてもよい。
また、このような各圧電アクチュエーター300の第2電極80には、リード電極90がそれぞれ接続され、このリード電極90を介して各圧電アクチュエーター300に選択的に電圧が印加されるようになっている。
また、流路形成基板10の圧電アクチュエーター300側の面には、保護基板30が接合されている。
保護基板30の圧電アクチュエーター300に対向する領域には、圧電アクチュエーター300の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電アクチュエーター保持部31が設けられている。圧電アクチュエーター保持部31は、圧電アクチュエーター300の運動を阻害しない程度の空間を有していればよく、当該空間は密封されていても、密封されていなくてもよい。また、圧電アクチュエーター保持部31は、第1の方向Xに並設された複数の圧電アクチュエーター300の列を一体的に覆う大きさで形成されている。もちろん、圧電アクチュエーター保持部31は、特にこれに限定されず、圧電アクチュエーター300を個別に覆うものであってもよく、第1の方向Xで並設された2以上の圧電アクチュエーター300で構成される群毎に覆うものであってもよい。
このような保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
また、保護基板30には、保護基板30をZ方向に貫通する貫通孔32が設けられている。そして、各圧電アクチュエーター300から引き出されたリード電極90の端部近傍は、貫通孔32内に露出するよう延設されており、貫通孔32内でフレキシブルケーブル120と電気的に接続されている。フレキシブルケーブル120は、可撓性を有する配線基板であって、本実施形態では、半導体素子である駆動回路121が実装されている。なお、フレキシブルケーブル120を介さずに、リード電極90と駆動回路121とを電気的に接続してもよい。また、保護基板30に流路を設けてもよい。
また、保護基板30上には、複数の圧力室12に連通する供給側供給流路を保護基板30と共に画成するケース部材40が固定されている。ケース部材40は、保護基板30の流路形成基板10とは反対面側が接合されると共に、後述する連通板15にも接合して設けられている。
このようなケース部材40には、第1共通液室101の一部を構成する第1液室部41と、第2共通液室102の一部を構成する第2液室部42とが設けられている。第1液室部41と第2液室部42とは、Y方向において、1列の圧力室12を挟んだ両側にそれぞれ設けられている。
第1液室部41及び第2液室部42のそれぞれは、ケース部材40の-Z側の面に開口する凹形状を有し、X方向に並設された複数の圧力室12に亘って連続して設けられている。
また、ケース部材40には、第1液室部41に連通して第1液室部41にインクを導入する導入口43と、第2液室部42に連通して第2液室部42からのインクを排出する排出口44とが設けられている。
さらに、ケース部材40には、保護基板30の貫通孔32に連通して、フレキシブルケーブル120が挿通される接続口45が設けられている。
一方、流路形成基板10の保護基板30とは反対面側である+Z側には、連通板15とノズルプレート20とコンプライアンス基板49とが設けられている。
ノズルプレート20には、外部に連通すると共に圧力室12に連通するノズル21が複数形成されている。本実施形態では、図1に示すように、複数のノズル21はX方向に沿った直線上に配置されることで、1列のノズル列22が形成されている。
ノズル21は、内径の異なる第1穴21aと第2穴21bとを有し、第1穴21aと第2穴21bとがノズルプレート20の板厚方向であるZ方向に並んで配置されている。第1穴21aは、第2穴21bよりも内径が小さい。そして、ノズル21の第1穴21aはノズルプレート20の外部側、すなわち+Z側に配置され、第2穴21bはノズルプレート20の詳しくは後述する第1流路201側である-Z側に配置されている。
このようにノズル21に比較的内径が小さな第1穴21aを設けることでインクの流速を向上して、吐出されるインク滴の吐出速度を向上することができる。また、ノズル21に比較的内径が大きな第2穴21bを設けることで、詳しくは後述する第1共通液室101から第2共通液室102に向かって個別流路200内のインクを流す、所謂、循環が行われた際に循環の流れの影響を受けない部分を少なくすることができる。これにより、速度勾配が大きくなり、ノズル21によって増粘したインクを除去し易くすることができる。
なお、本実施形態では、ノズル21は、第1穴21aと第2穴21bとによって段階的に内径が変化するようにしたが、これに限定されず、ノズル21の内径が連続的に変化することで、ノズル21の内面がZ方向に対して傾斜した傾斜面となるようにしてもよい。また、ノズル21をZ方向から平面視した際の形状は、特に限定されず、円形、楕円形、矩形、多角形状、だるま形等であってもよい。
このようなノズルプレート20は、例えば、ステンレス鋼(SUS)等の金属、ポリイミド樹脂のような有機物、又は、シリコン等の平板材で形成することができる。また、ノズルプレート20の板厚は、60μm以上、100μm以下であることが好ましい。このような板厚のノズルプレート20を用いることで、ノズルプレート20のハンドリング性を向上して、記録ヘッド1の組み立て性を向上することができる。
連通板15は、本実施形態では、第1連通板151と第2連通板152とを有する。第1連通板151と第2連通板152とは、Z方向において流路形成基板10側が第1連通板151、ノズルプレート20側が第2連通板152となるようにZ方向に積層されている。
このような連通板15を構成する第1連通板151及び第2連通板152は、ステンレス鋼等の金属、ガラス、セラミック材料等によって製造することができる。なお、連通板15は、流路形成基板10と熱膨張率が略同一の材料を用いるのが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
連通板15には、ケース部材40の第1液室部41と連通して第1共通液室101の一部を構成する第1連通部16と、ケース部材40の第2液室部42と連通して第2共通液室102の一部を構成する第2連通部17及び第3連通部18とが設けられている。また、連通板15には、詳しくは後述するが、第1共通液室101と圧力室12とを連通する流路と、圧力室12とノズル21とを連通する流路と、ノズル21と第2共通液室102とを連通する流路と、が設けられている。連通板15に設けられたこれらの流路は、個別流路200の一部を構成する。
第1連通部16は、Z方向において、ケース部材40の第1液室部41に重なる位置に設けられており、連通板15の+Z側の面及び-Z側の面の両方に開口して、つまり、連通板15をZ方向に貫通して設けられている。第1連通部16は、-Z側において第1液室部41と連通することで第1共通液室101を構成する。すなわち、第1共通液室101は、ケース部材40の第1液室部41と連通板15の第1連通部16とによって構成されている。また、第1連通部16は、+Z側において圧力室12にZ方向で重なる位置までY方向に延設されている。なお、連通板15に第1連通部16を設けずに、第1共通液室101をケース部材40の第1液室部41によって構成してもよい。
第2連通部17は、Z方向において、ケース部材40の第2液室部42に重なる位置に設けられており、第1連通板151の-Z側の面に開口して設けられている。また、第2連通部17は、+Z側において+Y方向のノズル21に向かって拡幅されて設けられている。
第3連通部18は、第2連通部17の+Z側において+Y方向のノズル21に向かって拡幅された部分に連通する位置に、第2連通板152をZ方向に貫通して設けられている。第3連通部18の+Z側の開口は、ノズルプレート20によって蓋をされている。
このような連通板15に設けられた第2連通部17及び第3連通部18とケース部材40に設けられた第2液室部42とによって第2共通液室102が構成されている。なお、連通板15に第2連通部17及び第3連通部18を設けずに、第2共通液室102をケース部材40の第2液室部42によって構成してもよい。
連通板15の第1連通部16が開口する+Z側の面には、コンプライアンス部494を有するコンプライアンス基板49が設けられている。このコンプライアンス基板49が、第1共通液室101のノズル面20a側の開口を封止している。
このようなコンプライアンス基板49は、本実施形態では、可撓性を有する薄膜からなる封止膜491と、金属等の硬質の材料からなる固定基板492と、を具備する。固定基板492の第1共通液室101に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部493となっているため、第1共通液室101の壁面の一部は可撓性を有する封止膜491のみで封止された可撓部であるコンプライアンス部494となっている。このように第1共通液室101の壁面の一部にコンプライアンス部494を設けることで、第1共通液室101内のインクの圧力変動をコンプライアンス部494が変形することによって吸収することができる。
また、本実施形態では、第1共通液室101をノズル21が開口する+Z側に開口するように設けることで、ノズルプレート20とコンプライアンス部494とは、ノズル面20aの垂線方向であるZ方向において圧力室12及びノズル21を有する個別流路200に対して同じ側である+Z側に配置されている。このように、コンプライアンス部494を個別流路200に対してノズル21と同じ側に配置することで、ノズル21が設けられていない領域にコンプライアンス部494を設けることができ、コンプライアンス部494を比較的広い面積で設けることができる。また、コンプライアンス部494とノズル21とを個別流路200に対して同じ側に配置することで、コンプライアンス部494を個別流路200に近い位置に配置して、個別流路200内のインクの圧力変動をコンプライアンス部494によって効果的に吸収させることができる。
また、流路基板を構成する流路形成基板10、連通板15、ノズルプレート20、コンプライアンス基板49等には、第1共通液室101と第2共通液室102とに連通して、第1共通液室101のインクを第2共通液室102に送る複数の個別流路200が設けられている。ここで、本実施形態の個別流路200は、第1共通液室101と第2共通液室102とに連通して、ノズル21毎に設けられたものであり、ノズル21を含むものである。このようなノズル21の並設方向であるX方向において隣接する3つの個別流路200は、それぞれ第1共通液室101及び第2共通液室102に連通して設けられている。すなわち、ノズル21毎に設けられた複数の個別流路200は、それぞれ第1共通液室101及び第2共通液室102のみで連通して設けられており、複数の個別流路200は、第1共通液室101及び第2共通液室102以外で互いに連通することがない。つまり、本実施形態では、1つのノズル21及び1つの圧力室12が設けられた流路を個別流路200と称し、各個別流路200同士は、第1共通液室101及び第2共通液室102のみで連通するように設けられている。
また、本実施形態では、個別流路200のノズル21よりも第1共通液室101側の流路を上流流路と称し、個別流路200のノズル21よりも第2共通液室102側の流路を下流流路と称する。
図2に示すように、個別流路200は、ノズル21と第3流路を構成する圧力室12と第1流路201と第2流路202と供給路203とを具備する。
圧力室12は、上述のように流路形成基板10に設けられたものであり、第3の方向であるY方向に延設されている。すなわち、圧力室12は、Y方向の一端部に供給路203が接続され、Y方向の他端部に第2流路202が接続されており、圧力室12内をインクがY方向に流れるように設けられている。つまり、圧力室12の延設方向とは、圧力室12内をインクが流れる方向のことである。
本実施形他院お圧力室12は、上述のようにY方向に延設されているため、詳しくは後述する第2流路202が延設された第2の方向であるZ方向以外の方向に延設されていると言える。
また、圧力室12は、Z方向以外の方向に延設された流路である第3流路を構成する。本実施形態の第3流路は、圧力室12のみで構成されている。もちろん、これに限定されず、上述のように、圧力室12の端部に流路抵抗を付与するように圧力室12よりも断面積を絞った流路抵抗付与部を設けた場合には、圧力室12と流路抵抗付与部とが第3流路を構成する。また、本実施形態の圧力室12は、Y方向に延設されたものであるが、第2の方向であるZ方向とは異なる方向に延設されたものであればよく、X方向に延設されていてもよい。
供給路203は、圧力室12と第1共通液室101とを接続するものであり、第1連通板151をZ方向に貫通して設けられている。すなわち、供給路203は、+Z側の一端部が第1共通液室101と連通し、-Z側の他端部が圧力室12と連通する。このような供給路203は、Z方向に延設されている。ここで、供給路203が延設された方向とは、供給路203内をインクが流れる方向のことである。
第1流路201は、ノズルプレート20の面内方向、すなわち、ノズル面20aの面内方向に延設されている。本実施形態では、第1流路201は、ノズル面20aの面内方向であるX方向及びY方向を含む方向のうち、Y方向に延設されている。つまり、本実施形態の第1の方向はY方向である。
また、第1流路201が延設された方向とは、第1流路201内をインクが流れる方向のことである。本実施形態では、第1流路201は、Y方向の一端で第2流路202と連通し、Y方向の他端で第2共通液室102と連通しているため、第1流路201内をY方向にインクが流れる。したがって、第1流路201が延設された方向はY方向である。
このような第1流路201は、第2連通板152とノズルプレート20との間に、Y方向に沿って設けられている。具体的には、第1流路201は、第2連通板152に凹部を設け、この凹部の開口をノズルプレート20で蓋をすることで形成されている。なお、第1流路201は特にこれに限定されず、ノズルプレート20に凹部を設け、ノズルプレート20の凹部を第2連通板152によって蓋をするようにしてもよく、第2連通板152とノズルプレート20との両方に凹部を設けるようにしてもよい。
ここで、本実施形態の第1流路201は、断面積が第1の断面積となる部分である第1部分201aと、断面積が第1部分201aの第1の断面積よりも小さな第2の断面積となる部分である第2部分201bと、を有する。
ここで、流路の断面積とは、当該流路内のインクが流れる方向を横断する断面における面積のことである。したがって、第1流路201の断面積とは、インクの流れる方向であるY方向を横断する断面における面積のことである。つまり、第1流路201のY方向を横断する方向とは、X方向及びZ方向を含む方向であり、第1流路201のX方向及びY方向を含む方向における断面の面積である。
本実施形態では、第1部分201aと第2部分201bとは、X方向に同じ幅で形成されており、ノズル面20aの垂線方向であるZ方向の高さを変更することで、第1部分201aの第1の断面積に比べて、第2部分201bの第2の断面積の方が小さくなるようにした。具体的には、図3に示すように、第2部分201bの高さh2は、第1部分201aの高さh1よりも小さい。本実施形態では、第1部分201aと第2部分201bとの高さの違いは、Z方向において、第2部分201bのノズル21とは反対側の天井を第1部分201aよりもノズルプレート20に近づけた位置とすることで、第2部分201bの高さh2が、第1部分201aの高さh1よりも小さくなるようにした。
このような第1部分201aと第2部分201bとが、インクが流れる方向であるY方向に並んで配置されている。本実施形態では、第1部分201aが第2流路202側に設けられ、第2部分201bが第2共通液室102側に配置されている。
第2流路202は、第1流路201と接続されて、第1流路201の延設された第1の方向であるY方向以外の第2の方向、本実施形態では、Z方向に延設されている。ここで第2流路202が延設された方向とは、第2流路202内をインクが流れる方向のことである。第2流路202は、本実施形態では、連通板15をZ方向に貫通して設けられており、Z方向の一端で圧力室12と連通し、Z方向の他端で第1流路201と連通することで、圧力室12と第1流路201とを連通している。したがって、第2流路202内ではY方向にインクが流れる。
ノズル21は、第1流路201の途中に連通する位置に配置されている。すなわち、ノズル21は、一端が第1流路201の途中に連通し、他端がノズルプレート20の+Z側のノズル面20aに開口することで外部と連通して設けられている。
ここで、ノズル21が第1流路201の途中に連通するように設けられているとは、Z方向から平面視した際に、ノズル21が第1流路201と重なる位置に配置されていることを言う。ちなみに、Z方向から平面視した際に、ノズル21が第2流路202と重なる位置に配置されているものは、第1流路201の途中に連通するように設けられているとは言わない。つまり、本実施形態の第1流路201は、Z方向において第2流路202に重ならない部分である。
また、ノズル21は、第1流路201の第1部分201aに連通する位置に設けられている。すなわち、第1流路201は、ノズル21よりも第2流路202側に第1部分201aと、ノズル21よりも第2流路202とは反対側である第2共通液室102側に第2部分201bと、を具備する。ここで、第1流路201は、ノズル21よりも第2流路202側に第1の断面積を有する第1部分201aを具備するとは、ノズル21が連通する部分も含めて第1部分201aとなっていることを言う。つまり、ノズル21が第2部分201bに連通する位置に設けられているものは含まれない。また、本実施形態では、ノズル21は、第1部分201aにおいて第2部分201b側に連通して設けられている。すなわち、ノズル21の下流側には、第2部分201bが近接して設けられている。
なお、ノズル21が連通する第1流路201の断面積は、第2流路202の断面積よりも小さいことが好ましい。すなわち、第1流路201の第1部分201aの第1の断面積は、第2流路202の断面積よりも小さいことが好ましい。本実施形態では、第1部分201aと第2流路202とは、ノズル21の並設方向であるX方向に同じ幅で形成し、第1流路201の第1部分201aのZ方向の高さh1を、第2流路202のY方向の高さh3よりも低くすることで、第1部分201aの断面積を第2流路202の断面積よりも小さくなるようにした。
このような個別流路200は、第1共通液室101に連通する上流側から第2共通液室102に連通する下流側に向かって順に供給路203、圧力室12、第2流路202、第1流路201を有する。つまり、本実施形態では、個別流路200は、第1共通液室101から第2共通液室102に向かうインクの流れに対して、上流側から下流側に向かって圧力室12とノズル21とがこの順番に配置されている。
そして、このような個別流路200では、第1共通液室101から個別流路200を通り第2共通液室102にインクが流れる、所謂、循環が行われる。また、圧電アクチュエーター300を駆動することによって圧力室12内のインクに圧力変化を生じさせて、ノズル21内のインクの圧力を上昇させることでノズル21から外部にインク滴が吐出される。第1共通液室101から個別流路200を通り第2共通液室102にインクが流れる時に、圧電アクチュエーター300を駆動してもよいし、第1共通液室101から個別流路200を通り第2共通液室102にインクが流れない時に、圧電アクチュエーター300を駆動してもよい。また、圧電アクチュエーター300の駆動による圧力変化により、第2共通液室102から第1共通液室101へのインクの流れが一時的に生じてもよい。
また、本実施形態の記録ヘッド1では、第1流路201の途中にノズル21を連通させることで、ノズル21によって乾燥することで増粘したインクを、第1流路201を流れるインクによって下流側の第2共通液室102に流すことができる。したがって、増粘したインクがノズル21及びその近傍に滞留するのを抑制して、増粘したインクによってノズル21の目詰まりや、ノズル21から吐出されるインク滴の飛翔方向のずれなどの吐出不良が発生するのを抑制することができる。
これに対して、例えば、ノズル21を第2流路202に連通する位置に配置した場合、すなわち、Z方向から平面視した際に、ノズル21を第2流路202に重なる位置に配置した場合、ノズル21によって乾燥することで増粘したインクが、第2流路202とノズルプレート20との角部、特に、Y方向において第1流路201とは反対側の角部に滞留し易い。そして、増粘したインクがノズル21の近傍に滞留することで、増粘したインクによるノズル21の目詰まりや、吐出されるインク滴の飛翔方向のずれなどの吐出不良が発生し易い。
本実施形態では、Y方向の延設された第1流路201にノズル21を連通させることで、インクの滞留が生じ易い第2流路202とノズルプレート20との角部からノズル21を離して配置することができ、ノズル21によって増粘したインクが、ノズル21近傍に滞留し難く、増粘したインクを除去し易い。
また、ノズル21をY方向に延設された第1流路201の途中に連通させることで、ノズル21から侵入した気泡を、第1流路201を流れるインクによって下流側である第2共通液室102側に流すことができる。したがって、ノズル21から侵入した気泡が、圧力室12や第1共通液室101側に入り込むのを抑制して、圧力室12に侵入した気泡によって圧力室12内のインクの圧力変動が吸収されることによるインク滴の吐出不良を抑制することができる。ちなみに、ノズル21を第2流路202に連通する位置に設けた場合、ノズル21から侵入した気泡が、浮力によってインクの流れに逆らって圧力室12側に移動し易い。そして、ノズル21から圧力室12に気泡が侵入すると、圧力室12に侵入した気泡が、圧力室12内のインクの圧力変動を吸収し、インク滴の吐出不良が発生する虞がある。
また、ノズル21よりも第2流路202側に第1の断面積を有する第1部分201aを設けることで、圧力室12からノズル21までの流路抵抗が大きくなるのを抑制して、圧力室12からノズル21までの圧力損失を低減することができ、ノズル21から吐出されるインク滴の重量が低下するのを抑制することができる。ちなみに、第1流路201を第2部分201bのみで構成した場合、圧力室12からノズル21までの流路抵抗が大きく、圧力損失が大きくなるため、ノズル21から吐出するインク滴の重量が小さくなる。このため、圧電アクチュエーター300をより高い駆動電圧で駆動しなくてはならず、吐出効率が低下する。本実施形態では、第1部分201aにノズル21を連通させることで、インク滴の重量が低下するのを抑制することができるため、圧電アクチュエーター300をより低い駆動電圧で駆動することができ吐出効率を向上することができる。また、ノズル21を第1部分201aに連通させることで、第1流路201の途中に連通するノズル21の位置が制限されることがない。つまり、第1流路201が第2部分201bのみで構成されている場合、圧力室12からノズル21までの圧力損失を低減するためには、ノズル21を第2流路202に近い位置に設ける必要があるが、本実施形態では、ノズル21を含みノズル21よりも第2流路202側に第1部分201aを設けることで、圧力損失を低減することができるため、ノズル21を第2流路202に近い位置に配置する必要がなく、ノズル21の配置の自由度を上げることができる。
また、ノズル21よりも下流側に第2部分201bを設けることで、第2部分201bを流れるインクの流速を速くすることができ、ノズル21によって増粘したインクや、ノズル21から侵入した気泡を、第2部分201b内を比較的速い流速で流れるインクによって除去することができる。すなわち、ノズル21によって増粘したインクやノズル21から侵入した気泡は、下流側である第2部分201bに向かって流れ易いと共に、第2部分201bに流れ込んだ気泡は、速い流速で下流側に流れるため、上流側で第2流路202側に向かって逆流し難い。したがって、増粘したインクや気泡がノズル21近傍に滞留し難く、また、上流側に逆流し難い。
また、本実施形態では、ノズル21を第2流路202よりも断面積の小さな第1流路201の第1部分201aに連通させることで、循環時にノズル21直上の第1流路201を流れるインクの流速を、第2流路202を流れるインクに比べて速くすることができるため、ノズル21によって増粘したインクやノズル21から侵入した気泡を、第1流路201内を流れるインクによって下流側である第2共通液室102側に容易に流すことができる。したがって、増粘したインクや侵入した気泡がノズル21近傍に滞留するのを低減して、インク滴の吐出不良が発生するのを抑制することができる。
ちなみに例えば、ノズル21を第2流路202に連通する位置に設け、第2流路202のノズル21側の断面積を圧力室12側の断面積よりも小さくして、第2流路202のノズル21側の流速を速くして増粘したインクを下流に流す構成も考えられるものの、このような構成であっても、ノズル21から侵入した気泡が、浮力によってインクの流れに逆らって圧力室12に侵入してしまう虞がある。本実施形態では、ノズル21が途中で連通する第1流路201の延設された方向が、鉛直方向であるZ方向と交差する方向であるため、気泡が圧力室12に侵入するのを抑制することができる。
なお、本実施形態では、個別流路200の第1流路201と第2共通液室102とを直接、接続するようにしたが、特にこれに限定されず、第1流路201と第2共通液室102との間に他の流路が設けられていてもよい。例えば、第1流路201と第2共通液室102との間に他の流路が設けられている場合には、第1流路201のノズル21から第2流路202までの距離が、第1流路201のノズル21から他の流路までの距離よりも短くなるのが好ましい。
なお、ノズル21から圧力室12までの流路抵抗は、ノズル21から第2共通液室102までの流路抵抗よりも小さいことが好ましい。すなわち、第1流路201のノズル21に連通する位置から上流側と第2流路202との流路抵抗は、第1流路201のノズル21に連通する位置から下流側の流路抵抗よりも小さいことが好ましい。これにより、圧力室12からノズル21までの圧力損失を低減して、ノズル21から吐出されるインク滴の重量が低下するのを抑制することができると共に、吐出効率を向上することができる。
また、個別流路200において、ノズル21から第2共通液室102までの流路抵抗は、ノズル21から第1共通液室101までの流路抵抗に対して、-50%以上、+50%以下であるのが好ましい。
すなわち、ノズル21から第1共通液室101までの流路抵抗とは、第1流路201のノズル21が連通する位置から第2流路202側の部分と、第2流路202と、供給路203との流路抵抗である。また、ノズル21から第2共通液室102までの流路抵抗とは、第1流路201のノズル21が連通する位置から第2共通液室102までの部分の流路抵抗である。そして、個別流路200のノズル21から第2共通液室102までの流路抵抗を、ノズル21から第1共通液室101までの流路抵抗に対して、-50%以上、+50%以下とすることで、ノズル21のインクのメニスカスの位置を管理し易い。例えば、第1共通液室101から第2共通液室102に向かうインクの流れに対して、循環の向きが反転した場合、すなわち、第2共通液室102から第1共通液室101に向かうインクの流れとなった場合であっても、上記の流路抵抗とすることで、ノズル21内のインクのメニスカスの位置が揃い易い。ちなみに、ノズル21から第1共通液室101までの流路抵抗と、ノズル21から第2共通液室102までの流路抵抗とを同じにするのが好適である。これにより、さらにノズル21のインクのメニスカスの位置を揃え易い。
以上説明したように、本実施形態の液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッド1では、ノズルプレート20を含み、流路が形成された流路基板と、流路の液体であるインクに圧力変化を生じさせるエネルギー発生素子である圧電アクチュエーター300と、を備え、流路は、第1共通液室101と、第2共通液室102と、第1共通液室101および第2共通液室102に連通して第1共通液室101から第2共通液室102に向かってインクが流れる複数の個別流路200と、を含み、個別流路200は、外部と連通するノズル21と、ノズル21が途中に配置されて、ノズルプレート20のノズル21が開口するノズル面20aの面内方向である第1の方向であるY方向に延設された第1流路201と、第1流路201と接続されY方向以外の第2の方向であるZ方向に延設された第2流路202と、第2流路202と接続されZ方向以外の第3の方向であるY方向に延設された第3流路と、第3流路に配置され圧電アクチュエーター300により圧力変化が生じる圧力室12と、を備え、第1流路201は、ノズル21より第2流路202側に、第1の断面積の部分である第1部分201aと、ノズル21より第2流路202とは反対側に、第1の断面積よりも小さな断面積である第2の断面積の部分である第2部分201bと、を備える。
このように、Y方向に延設された第1流路201の途中にノズル21を連通させることで、ノズル21によって乾燥することで増粘したインクを、第1流路201を流れるインクによって下流側の第2共通液室102に流すことができる。したがって、第2流路202とノズルプレート20との角部などのインクが滞留する部分からノズル21を離して配置することができ、ノズル21によって増粘したインクが第2流路202とノズルプレート20との角部に滞留するのを抑制して、増粘したインクや気泡によってノズル21の目詰まりや、ノズル21から吐出されるインク滴の飛翔方向のずれなどの吐出不良が発生するのを抑制することができる。また、ノズル21から侵入した気泡が、第2流路202とノズルプレート20との角部に滞留するのを抑制することができると共に、ノズル21から侵入した気泡が圧力室12側に移動するのを抑制して、インク滴の吐出不良を抑制することができる。
また、ノズル21よりも第2流路側の第1の断面積である第1部分201aを設けることで、圧力室12からノズル21までの圧力損失を低減して、ノズル21から吐出されるインク滴の重量が低下するのを抑制することができる。
さらに、ノズル21よりも第2共通液室102側に第2の断面積である第2部分201bを設けることで、第2部分201bを流れるインクの流速を速くすることができ、ノズル21によって増粘したインクや、ノズル21から侵入した気泡を、第2部分201b内を比較的速い流速で流れるインクによって除去することができ、増粘したインクや気泡が上流側に逆流し難い。
また、本実施形態の記録ヘッド1では、第1流路201の断面積は、第2流路202の断面積よりも小さいことが好ましい。すなわち、第1流路201の断面積のうち、小さい第1部分201aの第1の断面積は、第2流路202のインクの流れを横断する断面積よりも小さいことが好ましい。このように、ノズル21を第2流路202よりも断面積の小さな第1流路201の第1部分201aに連通させることで、循環時にノズル21直上の第1流路201を流れるインクの流速を、第2流路202を流れるインクに比べて速くすることができるため、ノズル21によって増粘したインクやノズル21から侵入した気泡を、第1流路201内を流れるインクによって下流側である第2共通液室102側に容易に流すことができる。したがって、増粘したインクや侵入した気泡がノズル21近傍に滞留するのを低減して、インク滴の吐出不良が発生するのを抑制することができる。
また、本実施形態の記録ヘッド1では、第2の断面積の部分である第2部分201bは、第1の断面積の部分である第1部分201aに対して、ノズル21が開口するノズル面20aの垂線方向であるZ方向の高さを絞ることで、第1部分201aよりも小さな断面積で形成されている。このように第2部分201bを、ノズル21の並設方向であるX方向ではなく、Z方向の高さを絞って形成することで、第1部分201aをX方向に幅広に形成することなく、第1流路201をX方向に高密度に配置することができると共に、X方向で隣接する第1流路201の間の壁の剛性を向上して、流路内のインクの圧力によって壁が変形することによるインク滴の吐出特性にばらつきが生じるのを抑制することができる。つまり、インク滴を吐出するノズル21の両側のノズル21からインク滴を同時に吐出する場合に、隣接する第1流路201の間の壁には両側から同じタイミングで圧力が印加される。この場合には、壁の剛性にかかわらず壁の両側から圧力が印加されるため、壁は変形し難い。これに対して、インク滴を吐出するノズル21の両側のノズル21からインク滴を吐出しない場合には、隣接する第1流路201の間の壁には片側のみに圧力が印加される。このとき、壁の剛性が低いと、壁が変形して圧力変動が吸収され、インク滴の吐出特性が低下する。このため、複数のノズル21の何れかからインク滴を吐出させるかの条件の違いによって、インク滴の吐出特性にばらつきが生じてしまう。本実施形態では、第1流路201の第2部分201bは、第1部分201aに対してX方向の幅を変更することなく、Z方向の高さを絞ることで形成しているため、X方向で隣接する第2部分201bの間の壁の剛性が低下するのを抑制することができるため、インク滴の吐出特性にばらつきが生じるのを抑制することができる。
また、本実施形態の記録ヘッド1では、個別流路200において、ノズル21よりも上流側の流路抵抗に対して、下流側の流路抵抗は-50%以上、+50%以下であることが好ましい。このように個別流路200のノズル21よりも上流側の流路抵抗に対して下流側の流路抵抗を-50%以上、+50%以下とすることで、個別流路200を流れるインクの向きに関わらずノズル21のインクのメニスカスの位置を管理し易い。
なお、本実施形態では、第1流路201のZ方向の高さであって、ノズル21とは反対側の一方の高さを絞ることで、第1部分201aを形成すると共に、第1部分201aと第2部分201bとのZ方向の高さが異なる部分にZ方向に沿った面となる段差面が形成されるようにしたが、特にこれに限定されない。ここで、本実施形態の第1流路201の変形例を図4に示す。なお、図4は、本発明の実施形態1に係る第1流路の変形例を示す要部を拡大した断面図であって、図1のA-A′線に準じた要部断面図である。
図4に示すように、第2部分201bは、第1部分201aに比べてZ方向のノズル21とは反対側の天井を絞ることで形成されている。また、第1部分201aと第2部分201bとの高さを絞った接続部分は、ノズル面20aの垂線方向に対して傾斜した傾斜面201cとなっている。すなわち、Y方向において第1部分201aから第2部分201bに向かってZ方向の高さが徐々に低くなるように、天井に傾斜面201cが形成されている。
このように、第1部分201aと第2部分201bとの接続部分の天井に傾斜面201cを設けることで、第2部分201bからの気泡210が浮力によって天井付近に上昇しても、第1流路201を流れるインクによって傾斜面201cに沿って下流側に移動することができ、ノズル21近傍に気泡210が滞留するのを抑制することができる。ちなみに、上述した図3に示す構成では、第1部分201aと第2部分201bとを接続する天井部分には、Z方向に沿った面を有する段差が設けられているため、気泡が浮力によって天井側に移動し、段差に引っかかることで下流側に流れない虞がある。
また、第2部分201bは、Z方向においてノズル21とは反対側の天井を絞ることで形成するようにしたが、特にこれに限定されない。ここで、第1流路201の変形例を図5に示す。なお、図5は、本発明の実施形態1に係る第1流路の変形例を示す要部を拡大した断面図であって、図1のA-A′線に準じた要部断面図である。
図5に示すように、第1流路201の第1部分201aは、ノズル面20aの垂線方向であって、ノズル21側の底面を絞ることで形成されている。すなわち、第1部分201aと第2部分201bとの接続部分の天井部分は、面一となっている。このような第1流路201では、ノズル21から侵入した気泡が浮力によって-Z方向に移動しても、第1部分201aと第2部分201bとの接続部分に気泡が滞留するのを抑制して、ノズル21近傍の気泡の滞留による吐出不良を抑制することができる。
また、本実施形態では、ノズルプレート20とコンプライアンス基板49とを別体で設けた構成としたが、特にこれに限定されない。例えば、ノズルプレート20を第1共通液室101の開口を覆う大きさで設け、ノズルプレート20の一部にコンプライアンス部494を設けるようにしてもよい。このようなコンプライアンス部494が設けられたノズルプレート20は、ポリイミド等の樹脂フィルムや、ステンレス鋼等の金属材料で製造することができる。
(実施形態2)
図6は、本発明の実施形態2に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの断面図であって、図1のA-A′線に準じた断面図である。図7は、図6のB-B′線の要部断面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図6及び図7に示すように、第1流路201は、ノズル21よりも第2流路202側に第1の断面積を有する第1部分201aと、ノズル21よりも第2共通液室102側に第1の断面積よりも小さな第2の断面積を有する第2部分201bと、を有する。
図7に示すように、第2部分201bは、第1部分201aに対して、ノズル21の並設方向であるX方向の幅を絞ることで形成されている。すなわち、第2部分201bのX方向の幅w2は、第1部分201aのX方向の幅w1よりも狭い。また、本実施形態では、第2部分201bのX方向の幅は、第1部分201aをX方向の両側から絞ることで形成されている。
なお、第1部分201aと第2部分201bとは、Z方向の高さが同じ高さで設けられている。
以上説明したように、本実施形態の液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッド1では、ノズルプレート20を含み、流路が形成された流路基板と、流路の液体であるインクに圧力変化を生じさせるエネルギー発生素子である圧電アクチュエーター300と、を備え、流路は、第1共通液室101と、第2共通液室102と、第1共通液室101および第2共通液室102に連通して第1共通液室101から第2共通液室102に向かってインクが流れる複数の個別流路200と、を含み、個別流路200は、外部と連通するノズル21と、ノズル21が途中に配置されて、ノズルプレート20のノズル21が開口するノズル面20aの面内方向である第1の方向であるY方向に延設された第1流路201と、第1流路201と接続されY方向以外の第2の方向であるZ方向に延設された第2流路202と、第2流路202と接続されZ方向以外の第3の方向であるY方向に延設された第3流路と、第3流路に配置され圧電アクチュエーター300により圧力変化が生じる圧力室12と、を備え、第1流路201は、ノズル21より第2流路202側に、第1の断面積の部分である第1部分201aと、ノズル21より第2流路202とは反対側に、第1の断面積よりも小さな断面積である第2の断面積の部分である第2部分201bと、を備える。
このように、Y方向に延設された第1流路201の途中にノズル21を連通させることで、ノズル21によって乾燥することで増粘したインクを、第1流路201を流れるインクによって下流側の第2共通液室102に流すことができる。したがって、第2流路202とノズルプレート20との角部などのインクが滞留する部分からノズル21を離して配置することができ、ノズル21によって増粘したインクが第2流路202とノズルプレート20との角部に滞留するのを抑制して、増粘したインクや気泡によってノズル21の目詰まりや、ノズル21から吐出されるインク滴の飛翔方向のずれなどの吐出不良が発生するのを抑制することができる。また、ノズル21から侵入した気泡が、第2流路202とノズルプレート20との角部に滞留するのを抑制することができると共に、ノズル21から侵入した気泡が圧力室12側に移動するのを抑制して、インク滴の吐出不良を抑制することができる。
また、ノズル21よりも第2流路側の第1の断面積である第1部分201aを設けることで、圧力室12からノズル21までの圧力損失を低減して、ノズル21から吐出されるインク滴の重量が低下するのを抑制することができる。
さらに、ノズル21よりも第2共通液室102側に第2の断面積である第2部分201bを設けることで、第2部分201bを流れるインクの流速を速くすることができ、ノズル21によって増粘したインクや、ノズル21から侵入した気泡を、第2部分201b内を比較的速い流速で流れるインクによって除去することができ、増粘したインクや気泡が上流側に逆流し難い。
また、本実施形態の記録ヘッド1では、第2の断面積の部分である第2部分201bは、第1の断面積の部分である第1部分201aに対して、ノズル21の並設方向であるX方向の幅を絞ることで、第1部分201aの第1の断面積よりも小さな断面積で形成されている。このように、X方向の幅を絞ることで、第2部分201bを設けることで、第1部分201aがZ方向に高くなるのを抑制することができる。したがって、連通板15のZ方向の厚さを比較的薄くすることができる。これにより、第2流路202の流路長を比較的短くして、圧力室12からノズル21までの圧力損失を低減して、ノズル21から吐出されるインク滴の重量が低下するのを抑制することができる。
また、第2部分201bをX方向の幅を絞ることで、第1部分201aと第2部分201bとの接続部分には、Z方向においてノズル21とは反対側の天井に段差が形成されない。したがって、気泡が段差によってノズル21近傍に滞留するのを抑制して、気泡による吐出不良が生じるのを抑制することができる。
なお、本実施形態では、第2部分201bは、第1部分201aのX方向の幅を両側から絞ることで形成するようにしたが、特にこれに限定されず、X方向の幅を片側から絞ることで形成してもよい。ここで連通板15として、表面の面方位が(100)面に優先配向したシリコン単結晶基板を用いた場合の、第1流路201について図8を参照して説明する。なお、図8は、第1流路の変形例を示す断面図であって、図6のB-B′線に準じた断面図である。
図8に示すように、連通板15は、表面の面方位が(110)面に優先配向したシリコン単結晶基板からなる。そして、第1流路201の第1部分201aと第2部分201bとは、連通板15をアルカリ溶液を用いた異方性エッチング(ウェットエッチングとも称する)することで高精度に形成することができる。
ここで、異方性エッチングは、シリコン単結晶基板のエッチングレートの違いを利用して行われる。すなわち、表面の面方位が(110)面のシリコン単結晶基板は、(110)面のエッチングレートと比較して(111)面のエッチングレートが約1/180であるという性質を利用して行われる。すなわち、表面の面方位が(110)面に優先配向したシリコン単結晶基板を水酸化カリウム水溶液(KOH)や、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)等のアルカリ溶液に浸漬すると、徐々に浸食されて(110)面に垂直な第1の(111)面と、この第1の(111)面と70.53度の角度をなし、且つ(110)面と37.5度の角度をなす第2の(111)面とが出現する。かかる異方性エッチングにより、二つの平行する面である第1の(111)面と、二つの平行する面である第2の(111)面とで形成される平行四辺形を基本として精密加工を行うことができる。本実施形態では、第1流路201の第1部分201aと第2部分201bとの接続部分において、鋭角となる角部が形成されないように、第1部分201aのX方向の幅の片側から絞ることで第2部分201bが形成されている。すなわち、第2部分201bは、X方向から平面視した際に、第1部分201aと重なるように形成されていない。これにより、第1部分201aと第2部分201bとの接続部分には、鈍角となる角部が形成されることとなり、気泡210が第1部分201aと第2部分201bとの角部に引っかかるのを抑制して、第1部分201a内に気泡210が滞留するのを抑制して、気泡の排出性を向上することができる。これに対して、例えば、図9に示すように、第1部分201aと第2部分201bとの接続部分に鋭角となる角部が形成されている場合、第1部分201aから気泡210が鋭角となる角部を越えて第2部分201bに移動することが困難となる。したがって、ノズル21近傍に気泡210が滞留し、気泡210によってインク滴の吐出不良が生じる虞がある。
(実施形態3)
図10は、本発明の実施形態3に係る記録ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの平面図である。図11は、図10のC-C′線断面図である。図12は、図10のD-D′線断面図である。図13は、実施形態3に係る流路構成を模式的に示す図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図11及び図12に示すように、流路基板である流路形成基板10、連通板15、ノズルプレート20、コンプライアンス基板49、ケース部材40等には、第1共通液室101と、第2共通液室102と、第1共通液室101からのインクを第2共通液室102に流す複数の個別流路200と、が設けられている。
流路形成基板10には、圧力室12がX方向に並設された列が、Y方向に2列並んで設けられている。また、2列の圧力室12において、一方の列の圧力室12を第1圧力室12Aと称し、他方の列の圧力室12を第2圧力室12Bと称する。第1圧力室12Aと第2圧力室12Bとは、X方向からの平面視において互いに重ならない位置に配置されている。また、第1圧力室12Aと第2圧力室12Bとは、X方向にずらした、いわゆる千鳥配置となっている。本実施形態では、第1圧力室12AがX方向に並設された列と、第2圧力室12BがX方向に並設された列とは、X方向に互いに半ピッチずれた位置に配置されている。なお、第1圧力室12Aの一部と第2圧力室12Bの一部とが、第1の方向Xからの平面視において、互いに重なる位置に配置されていてもよい。
また、本実施形態では、第1圧力室12Aに連通するノズル21を第1ノズル21Aと称し、第2圧力室12Bに連通するノズル21を第2ノズル21Bと称する。本実施形態では、図10に示すように、ノズル列22は、第1ノズル21Aと第2ノズル21BとがX方向に交互に配置されている。また、本実施形態では、第1ノズル21Aと第2ノズル21Bとは、Y方向において同じ位置に配置されている。すなわち、ノズル21は、X方向に沿った直線上に配置されている。なお、第1ノズル21Aと第2ノズル21Bとが、第2の方向Yで同じ位置とならないように配置されていてもよい。すなわち、第1ノズル21Aが並設されたノズル列と、第2ノズル21Bが並設されたノズル列との2列のノズル列が設けられていてもよい。
また、図11及び図12に示すように、連通板15には、第1共通液室101を構成する第1連通部16と、第2共通液室102を構成する第4連通部19とが設けられている。
第1連通部16は、上述した実施形態1と同様であるため重複する説明は省略する。
第4連通部19は、Z方向において、ケース部材40の第2液室部42に重なる位置に設けられており、連通板15の+Z側の面及び-Z側の面の両方に開口して、すなわち、連通板15をZ方向に貫通して設けられている。第4連通部19は、-Z側において第2液室部42と連通することで第2共通液室102を構成する。すなわち、第2共通液室102は、ケース部材40の第2液室部42と連通板15の第4連通部19とによって構成されている。また、第4連通部19は、+Z側において第2圧力室12BにZ方向で重なる位置までY方向に延設されている。
また、第2共通液室102の+Z側の開口する面には、コンプライアンス基板49が設けられており、第2共通液室102の壁面の一部はコンプライアンス部494となっている。本実施形態では、第1共通液室101に設けられたコンプライアンス部494を第1コンプライアンス部494Aと称し、第2共通液室102に設けられたコンプライアンス部494を第2コンプライアンス部494Bと称する。このように第1共通液室101と第2共通液室102とのそれぞれの壁面の一部にコンプライアンス部494を設けることで、第1共通液室101及び第2共通液室102内のインクの圧力変動をコンプライアンス部494が変形することによって吸収することができる。
ちなみに、第2コンプライアンス部494Bを設けずに第1コンプライアンス部494Aのみを設けた場合、圧力室12とノズル21が設けられた個別流路においてインク滴を吐出させた際の圧力変動が、第2共通液室102を介して他の個別流路に伝わり、他の個別流路から吐出されるインク滴の吐出特性が安定せず、複数のノズル21から吐出されるインク滴の吐出特性にばらつきが生じてしまう虞がある。同様に、第1コンプライアンス部494Aを設けずに、第2コンプライアンス部494Bのみを設けた場合、第1共通液室101を介して個別流路の圧力変動が伝わり、インク滴の吐出特性にばらつきが生じてしまう虞がある。本実施形態では、第1共通液室101及び第2共通液室102の両方にコンプライアンス部を設けることで、個別流路の圧力変動が第1共通液室101及び第2共通液室102を介して他の個別流路に伝わり難く、インク滴の吐出特性にばらつきが生じるのを抑制することができる。
また、第2コンプライアンス部494Bを設けずに、第1コンプライアンス部494Aのみを設けた場合、少数のノズル21からインク滴を吐出させた場合には、第1コンプライアンス部494Aの変形によって圧力室12へのインクの供給が十分に間に合うものの、多数のノズル21から同時にインク滴を吐出させた際に第1コンプライアンス部494Aの変形だけでは圧力室12へのインクの供給が十分に行われず、同時に吐出するノズル21の数によってインク滴の吐出特性、特にインク滴の重量にばらつきが生じてしまう虞がある。本実施形態では、第1コンプライアンス部494Aと第2コンプライアンス部494Bとの両方を設けることで、同時にインク滴を吐出するノズル21の数によって圧力室12へのインクの供給不足が生じるのを抑制して、インク滴の吐出特性にばらつきが生じるのを抑制することができる。
また、このように第1共通液室101及び第2共通液室102の両方にコンプライアンス部494を設ける場合、本実施形態では、第1共通液室101及び第2共通液室102をノズル21が開口するZ2側に開口するように設けることで、ノズルプレート20とコンプライアンス部494とは、ノズル面20aの垂線方向であるZ方向において圧力室12及びノズル21を有する個別流路200に対して同じ側であるZ2側に配置されている。このように、コンプライアンス部494を個別流路200に対してノズル21と同じ側に配置することで、ノズル21が設けられていない領域にコンプライアンス部494を設けることができ、コンプライアンス部494を比較的広い面積で設けることができる。また、コンプライアンス部494とノズル21とを個別流路200に対して同じ側に配置することで、コンプライアンス部494を個別流路200に近い位置に配置して、個別流路200内のインクの圧力変動をコンプライアンス部494によって効果的に吸収させることができる。
なお、コンプライアンス部494の位置は、特にこれに限定されず、Z方向において個別流路200に対してノズル21とは反対側に配置するようにしてもよい。すなわち、コンプライアンス部494をケース部材40のZ1側の面や、ケース部材40及び連通板15の側面等に設けることも可能である。ただし、上述のように、コンプライアンス部494をノズル21と同じZ2側に配置した方が、コンプライアンス部494を個別流路200に近い位置に配置して、個別流路200内のインクの圧力変動をコンプライアンス部494によって効果的に吸収することができると共に、コンプライアンス部494を比較的広い面積で形成することができる。
また、本実施形態の2つのコンプライアンス部494は、図10に示すように、1つのコンプライアンス基板49に設けられている。もちろん、コンプライアンス基板49は、これに限定されず、コンプライアンス部494毎に独立したコンプライアンス基板49を設けるようにしてもよい。
また、本実施形態の個別流路200は、第1ノズル21Aを有する第1個別流路200Aと、第2ノズル21Bを有する第2個別流路200Bとを具備する。そして、第1個別流路200Aと第2個別流路200BとがX方向に交互に配置されている。
ここで、第1個別流路200Aは、図11に示すように、第1ノズル21Aと第1圧力室12Aと第1流路201Aと第2流路202Aと第1供給路203Aと第4流路204Aと第5流路205Aとを具備する。
第1供給路203Aは、第1圧力室12Aと第1共通液室101とを連通するものであり、第1連通板151をZ方向に貫通して、すなわち、Z方向に沿って延設されている。
第1圧力室12Aは、Z方向以外の方向に延設された第3流路を構成する。本実施形態の第1個別流路200Aの第3流路は第1圧力室12Aのみで構成されている。この第1圧力室12Aは、上述のように流路形成基板10に設けられたものである。また、第1圧力室12Aは、流路の並ぶ方向であるX方向に第1の解像度で形成されている。なお、第1圧力室12Aと第2圧力室12Bとは、Y方向に異なる位置に配置されているため、第1の解像度とは、第1圧力室12A及び第2圧力室12Bのそれぞれの解像度のことである。また、第1の解像度とは、流路が並ぶ方向であるX方向における流路のピッチのことである。
第1流路201Aは、上述した実施形態1と同様に、ノズルプレート20と連通板15との間に、第1の方向であるY方向に延設されている。本実施形態の第1流路201Aは、第2連通板152に凹部を設け、この凹部の開口をノズルプレート20で蓋をすることで形成されている。なお、第1流路201Aは特にこれに限定されず、ノズルプレート20に凹部を設け、ノズルプレート20の凹部を第2連通板152によって蓋をするようにしてもよく、第2連通板152とノズルプレート20との両方に凹部を設けるようにしてもよい。
そして、第1流路201Aの途中に第1ノズル21Aが連通するように配置されている。
また、第1流路201Aは、第1ノズル21Aよりも第2流路202側に第1の断面積となる第1部分201aと、第1ノズル21Aよりも第2共通液室102側に第1の断面積よりも小さな第2の断面積の第2部分201bとを有する。本実施形態では、第1部分201aは、上述した実施形態1と同様に、第2部分201bに対してZ方向の高さを絞ることで形成されている。もちろん、第1部分201aはこれに限定されず、実施形態2と同様に第1部分201aを第2部分201bのX方向の幅を絞ることで形成してもよい。
第2流路202Aは、上述した実施形態1と同様に、第1流路201Aと接続されて、第1流路201Aの延設された第1の方向であるY方向以外の第2の方向、本実施形態では、Z方向に延設されている。第2流路202Bは、連通板15をZ方向に貫通して設けられており、Z方向の一端で第1圧力室12Aと連通し、Z方向の他端で第1流路201Aと連通して設けられている。
第4流路204Aは、一端が第1流路201Aに連通すると共に、他端が第5流路205Aに連通するように、第2連通板152を第3の方向に貫通して設けられている。すなわち、第4流路204Bは、第1流路201Aの延設された第1の方向であるY方向とは異なるZ方向に延設されている。
第5流路205Aは、第1連通板151と第2連通板152との間に、一端が第4流路204Aに連通し、他端が第2共通液室102に連通するようにノズル面20aの面内方向においてY方向に沿って延設されている。本実施形態の第5流路205Aは、第2連通板152に凹部を設け、凹部を第1連通板151によって蓋をすることで形成されている。もちろん、第5流路205Aは、第1連通板151に凹部を設け、第2連通板152によって蓋をすることで形成してもよく、第1連通板151と第2連通板152との両方に凹部を設けるようにしてもよい。
このように第1個別流路200Aは、第1共通液室101に連通する上流側から第2共通液室102に連通する下流側に向かって順に第1供給路203A、第1圧力室12A、第2流路202、第1流路201A、第1ノズル21A、第4流路204A及び第5流路205Aを有する。つまり、本実施形態では、図13に示すように、第1個別流路200Aは、第1共通液室101から第2共通液室102に向かうインクの流れに対して、上流側から下流側に向かって第1圧力室12Aと第1ノズル21Aとがこの順番に配置されている。
そして、このような第1個別流路200Aでは、第1共通液室101から第1個別流路200Aを通り第2共通液室102にインクが流れる。また、圧電アクチュエーター300を駆動することによって第1圧力室12A内のインクに圧力変化を生じさせて、第1ノズル21A内のインクの圧力を上昇させることで第1ノズル21Aから外部にインク滴が吐出される。第1共通液室101から第1個別流路200Aを通り第2共通液室102にインクが流れる時に、圧電アクチュエーター300を駆動してもよいし、第1共通液室101から第1個別流路200Aを通り第2共通液室102にインクが流れない時に、圧電アクチュエーター300を駆動してもよい。また、圧電アクチュエーター300の駆動による圧力変化により、第2共通液室102から第1共通液室101へのインクの流れが一時的に生じてもよい。
なお、本実施形態では、第1個別流路200Aのうち、第1ノズル21Aよりも上流側、すなわち、第1流路201Aの第1ノズル21Aよりも第2流路202A側と、第2流路202Aと、第1圧力室12Aと、第1供給路203Aとを第1上流流路と称する。また、第1個別流路200Aのうち、第1ノズル21Aよりも下流側、すなわち、第1流路201Aの第1ノズル21Aよりも第4流路204A側と、第4流路204Aと、第5流路205Aとを第1下流流路と称する。
第2個別流路200Bは、図12に示すように、第2ノズル21Bと第2圧力室12Bと第1流路201Bと第2流路202Bと第2供給路203Bと第4流路204Bと第5流路205Bとを具備する。
第2供給路203Bは、第2圧力室12Bと第2共通液室102とを連通するものであり、Z方向に沿って、第1連通板151をZ方向に貫通して、すなわち、Z方向に沿って延設されている。
第2圧力室12Bは、Z方向以外の方向に延設された第3流路を構成する。本実施形態の第2個別流路200Bの第3流路は第2圧力室12Bのみで構成されている。この第2圧力室12Bは、上述のように流路形成基板10に設けられたものである。また、第2圧力室12Bは、第1個別流路200Aの第1圧力室12AとはY方向に異なる位置に配置されており、X方向から平面視した際に、第1圧力室12Aと第2圧力室12Bとは互いに重ならない位置に設けられている。このような第2圧力室12Bは、第1圧力室12Aと同様にX方向に第1の解像度で形成されている。
また、第2圧力室12Bと第1個別流路200Aの第5流路205Aとは、ノズル面20aの垂線方向であるZ方向において異なる位置に配置されている。具体的には、第2圧力室12Bは、第1連通板151の-Z側に設けられ、第5流路205Aは、第1連通板151の+Z側に設けられており、第2圧力室12Bと第5流路205Aとは、Z方向に異なる位置に配置されている。このため、第2圧力室12Bと第5流路205BとをX方向に近接して配置したとしても、第2圧力室12Bと第5流路205Aとは、Z方向に異なる位置に配置されているので、第2圧力室12Bを隔てる隔壁の厚さが薄くなるのを抑制して、第2圧力室12Bの隔壁が変形して圧力吸収することによる吐出特性にばらつきが生じるのを抑制することができる。また、第2圧力室12Bと第5流路205BとをZ方向からの平面視において少なくとも一部が重なるように配置しても、第2圧力室12Bと第5流路205Bとが連通することがない。
第1流路201Bは、上述した実施形態1と同様に、ノズルプレート20と連通板15との間に、第1の方向であるY方向に延設されている。本実施形態の第1流路201Bは、第2連通板152に凹部を設け、この凹部の開口をノズルプレート20で蓋をすることで形成されている。なお、第1流路201Bは特にこれに限定されず、ノズルプレート20に凹部を設け、ノズルプレート20の凹部を第2連通板152によって蓋をするようにしてもよく、第2連通板152とノズルプレート20との両方に凹部を設けるようにしてもよい。
そして、連通板15とノズルプレート20との間には、第1個別流路200Aの第1流路201Aと第2個別流路200Bの第1流路201BとがX方向に交互に配置されている。この第1流路201A、201BがX方向に交互に配置された解像度を第2の解像度と称する。そして、第1流路201A、201Bの第2の解像度は、第1圧力室12A又は第2圧力室12Bの第1の解像度よりも大きい。例えば、第1圧力室12Aが300dpi、第2圧力室12Bが300dpiの第1の解像度で形成されていると、第1流路201A、201Bとは、600dpiの第2の解像度で形成されることになる。したがって、第1圧力室12A及び第2圧力室12Bのそれぞれの第1の解像度を、第1流路201A、201Bの第2の解像度よりも小さくして、第1圧力室12A及び第2圧力室12BのX方向の開口幅を広げることができ、圧力室12の排除体積を増大させることができる。
このような第1流路201Bの途中に第2ノズル21Bが連通するように配置されている。本実施形態では、第2ノズル21Bは、Y方向において第1ノズル21Aと同じ位置、すなわち、X方向から平面視した際に第1ノズル21Aと第2ノズル21Bとが互いに重なる位置に配置されている。
また、本実施形態では、第1流路201Bは、第2ノズル21Bよりも第2流路202側に第1の断面積を有する第3部分201dと、第2ノズル21Bよりも第2共通液室102側に第1の断面積よりも小さな第2の断面積を有する第4部分201eとを具備する。
第4部分201eは、第2部分201bと同様に、第3部分201dのZ方向の高さ、具体的には、ノズル21とは反対側の天井を絞ることで形成されている。
第2流路202Bは、上述した実施形態1と同様に、第1流路201Bと接続されて、第1流路201Bの延設された第1の方向であるY方向以外の第2の方向、本実施形態では、Z方向に延設されている。第2流路202Bは、連通板15をZ方向に貫通して設けられており、Z方向の一端で第2圧力室12Bと連通し、Z方向の他端で第1流路201Bと連通して設けられている。
第4流路204Bは、一端が第1流路201Bに連通すると共に、他端が第5流路205Bに連通するように、第2連通板152を第3の方向に貫通して設けられている。すなわち、第4流路204Bは、第1流路201Bの延設された第1の方向であるY方向とは異なるZ方向に延設されている。
第5流路205Bは、第1連通板151と第2連通板152との間に、一端が第4流路204Bに連通し、他端が第2共通液室102に連通するようにノズル面20aの面内方向においてY方向に沿って延設されている。本実施形態の第5流路205Bは、第2連通板152に凹部を設け、凹部を第1連通板151によって蓋をすることで形成されている。もちろん、第5流路205Bは、第1連通板151に凹部を設け、第2連通板152によって蓋をすることで形成してもよく、第1連通板151と第2連通板152との両方に凹部を設けるようにしてもよい。
このような第2個別流路200Bの第5流路205Bと第1個別流路200Aの第1圧力室12Aとは、ノズル面20aの垂線方向であるZ方向において異なる位置に配置されている。具体的には、第1圧力室12Aは、第1連通板151の-Z側に設けられ、第5流路205Bは、第1連通板151の+Z側に設けられており、第1圧力室12Aと第5流路205Bとは、Z方向に異なる位置に配置されている。このため、第1圧力室12Aと第5流路205BとをX方向に近接して配置したとしても、第1圧力室12Aと第5流路205BとがZ方向に異なる位置に配置されているので、第1圧力室12Aを隔てる隔壁の厚さが薄くなるのを抑制して、第1圧力室12Aの隔壁が変形することで第1圧力室12A内のインクの圧力を吸収するのを抑制し、吐出特性にばらつきが生じるのを抑制することができる。また、第1圧力室12Aと第5流路205BとをZ方向からの平面視において少なくとも一部が重なるように配置したとしても、第1圧力室12Aと第5流路205BとがZ方向に異なる位置に配置されているので、第1圧力室12Aと第5流路205Bとが連通することがない。
このように第2個別流路200Bは、第1共通液室101に連通する上流側から第2共通液室102に連通する下流側に向かって順に第5流路205B、第4流路204B、第1流路201B、第2ノズル21B、第2流路202B、第2圧力室12B、第2供給路203Bを具備する。つまり、本実施形態では、図13に示すように、第2個別流路200Bは、第1共通液室101から第2共通液室102に向かうインクの流れに対して、上流側から下流側に向かって第2ノズル21Bと第2圧力室12Bとがこの順番に配置されている。すなわち、第1個別流路200Aと第2個別流路200Bとでは、第1共通液室101から第2共通液室102に向かうインクの流れに対して圧力室12とノズル21との順番が異なるように配置されている。本実施形態では、各個別流路200に圧力室12とノズル21とが1つずつ設けられているため、第1個別流路200Aと第2個別流路200Bとは、圧力室12とノズル21との順番が、逆転して配置されている。
そして、このような第2個別流路200Bでは、第1共通液室101から第2個別流路200Bを通り第2共通液室102にインクが流れる。また、圧電アクチュエーター300を駆動することによって第2圧力室12B内のインクに圧力変化を生じさせて、第2ノズル21B内の圧力を上昇させることで第2ノズル21Bから外部にインク滴が吐出される。第1共通液室101から第2個別流路200Bを通り第2共通液室102にインクが流れる時に、圧電アクチュエーター300を駆動してもよいし、第1共通液室101から第2個別流路200Bを通り第2共通液室102にインクが流れない時に、圧電アクチュエーター300を駆動してもよい。また、圧電アクチュエーター300の駆動による圧力変化により、第2共通液室102から第1共通液室101へのインクの流れが一時的に生じてもよい。ちなみに、第2ノズル21Bからのインク滴の吐出は、第2ノズル21B内のインクの圧力によって決定される。第2ノズル21B内のインクの圧力は、第1共通液室101から第2共通液室102に向かって流れるインクの圧力、所謂、循環の圧力と、圧電アクチュエーター300の駆動によって第2圧力室12Bから第2ノズル21Bに向かう圧力とによって決定される。
例えば、第1共通液室101から第2共通液室102に向かうインクの流れに対して、第2圧力室12B内のインクの圧力変動によって第2圧力室12Bから第2ノズル21Bに向かってインクが逆流して第2ノズル21Bからインク滴が吐出されてもよい。このように、第2圧力室12Bから第2ノズル21Bに向かってインクが逆流するということは、第1共通液室101から第2共通液室102に向かう循環の圧力が小さいことになるため、循環の圧力を比較的小さくすることで、個別流路200の圧力損失を小さくすることができる。そして、個別流路200の圧力損失を小さくすることで、各個別流路200間での圧力損失の差を減少させることができるため、各ノズル21から吐出されるインク滴の吐出特性のばらつきを低減することができる。
また、例えば、第1共通液室101から第2共通液室102に向かうインクの流れに対して、第2圧力室12B内のインクの圧力変動によって第2圧力室12Bから第2ノズル21Bに向かってインクが逆流することなく第2ノズル21Bからインクが吐出されてもよい。この場合、第2圧力室12Bから第2ノズル21Bに向かうインクの流れが発生しないため、第2圧力室12Bから第2ノズル21Bに向かって気泡が逆流し難く、気泡によって第2ノズル21Bからのインク滴の吐出不良が生じ難い。
なお、本実施形態では、第2個別流路200Bのうち、第2ノズル21Bよりも上流側、すなわち、第1流路201Bの第2ノズル21Bよりも第4流路204B側と、第4流路204Bと第5流路205Bとを第2上流流路と称する。また、第2個別流路200Bのうち、第2ノズル21Bよりも下流側、すなわち、第1流路201Bの第2ノズル21Bよりも第2流路202B側と、第2流路202Bと、第2圧力室12Bと、第2供給路203Bとを第2下流流路と称する。
このような第1個別流路200Aと第2個別流路200Bとが、図13に示すように、X方向に交互に配設されている。すなわち、第1共通液室101から第2共通液室102に向かうインクの流れに対して、圧力室12とノズル21との位置に関係なく、圧力室12内の圧力変動によってノズル21からインク滴を吐出することができる。つまり、第1個別流路200Aのように第1圧力室12Aが上流、第1ノズル21Aが下流に配置されていても、また、第2個別流路200Bのように第2ノズル21Bが上流、第2圧力室12Bが下流に配置されていても、圧力室12内のインクの圧力変動によって第1ノズル21A及び第2ノズル21Bの両者から選択的にインク滴を吐出することができる。このため、上述のように第1共通液室101から第2共通液室102に向かうインクの流れに対して、圧力室12とノズル21との順番が異なる第1個別流路200Aと第2個別流路200BとをX方向に交互に配置することで、第1個別流路200Aと第2個別流路200Bとで圧力室12の位置を変更、すなわち、第1圧力室12Aと第2圧力室12BとをY方向に異なる位置に配置することができる。したがって、各個別流路200の圧力室12をX方向に幅広に形成することや、圧力室12をX方向に高密度に配置することができる。つまり、第1圧力室12Aと第2圧力室12BとをY方向に異なる位置に配置することで、X方向に並設された第1圧力室12Aの間の隔壁を厚くすることができると共に、X方向に並設された第2圧力室12Bの隔壁を厚くすることができる。したがって、第1圧力室12A及び第2圧力室12BをX方向に幅広に形成しても、隔壁の剛性が低下するのを抑制することができ、排除体積を向上してインク滴の吐出特性、すなわち、インク滴の重量を増大させることができると共に、隔壁の剛性が低下することによるクロストークの発生を抑制することができる。また、第1圧力室12A及び第2圧力室12BのそれぞれをX方向に高密度に配置しても、隔壁の剛性が低下するのを抑制することができ、隔壁の剛性が低下することによるクロストークの発生を抑制することができる。
ちなみに、例えば、第2個別流路200Bを設けずに、第1個別流路200AのみをX方向に並設した場合、X方向に第1圧力室12Aを高密度に配置すると、隣接する第1圧力室12Aの間の隔壁の厚さが薄くなり、隔壁の剛性が低下する。このように隔壁の剛性が低下すると、隔壁の変形によるクロストークが発生する。すなわち、インク滴を吐出するノズル21の両側のノズル21からインク滴を同時に吐出する場合には、隣接する第1圧力室12Aの間の隔壁には両側から同じタイミングで圧力が印加される。この場合には、隔壁の剛性にかかわらず隔壁には両側から圧力が印加されるため、隔壁は変形し難い。これに対して、インク滴を吐出するノズル21の両側のノズル21からインク滴を吐出しない場合には、隣接する第1圧力室12Aの間の隔壁には片側のみに圧力が印加される。このとき、隔壁の剛性が低いと、隔壁が変形して圧力変動が吸収され、インク滴の吐出特性が低下する。このため、複数のノズル21の何れかからインク滴を吐出させるかの条件の違いによって、インク滴の吐出特性にばらつきが生じてしまう。したがって、第1圧力室12Aのみを設けた場合には、第1圧力室12AをX方向に幅広に形成することができず、また、第1圧力室12AをX方向に高密度に配置することができない。
本実施形態では、第1圧力室12Aと第2圧力室12Bとは、Y方向に異なる位置に配置されているため、X方向で隣接する第1圧力室12Aの間の隔壁の厚さを比較的厚くすると共に、X方向で隣接する第2圧力室12Bの間の隔壁の厚さを比較的厚くすることができる。このため第1圧力室12A及び第2圧力室12BをそれぞれX方向に幅広に形成しても、第1圧力室12Aの間の隔壁及び第2圧力室12Bの間の隔壁の剛性が低下するのを抑制することができる。したがって、流路基板がX方向に大型化するのを抑制して、第1圧力室12A及び第2圧力室12Bの容積を大きくすることができ、圧電アクチュエーター300の駆動による排除体積を大きくして、インク滴の吐出特性、特にインク滴の重量を向上することができると共に、隔壁の剛性が低下することによるクロストークの発生を抑制することができる。
また、X方向において第1圧力室12Aと第2圧力室12Bとの間隔を短くしても、第1圧力室12Aの間の隔壁及び第2圧力室12Bの間の隔壁の剛性が低下するのを抑制することができるため、第1圧力室12A及び第2圧力室12BをX方向に高密度に配置することが可能である。したがって、流路基板のX方向の小型化を図ると共に圧力室12の排除体積を向上してインク滴吐出特性を向上することや、圧力室12をX方向に高密度に配置してノズル21を高密度に配置することができると共に、隔壁の剛性が低下することによるクロストークの発生を抑制することができる。
また、第1圧力室12A又は第2圧力室12Bの第1の解像度に比べて、第1流路201A、201Bの第2解像度を小さくすることができるため、第1ノズル21Aと第2ノズル21Bとを近づけて配置することができる。すなわち、ノズル21をノズル面20aの面内方向に延設された第1流路201A、201Bの途中に連通する位置に配置することで、第1圧力室12Aと第2圧力室12BとがY方向に異なる位置に配置されていても、ノズル21の位置をY方向に容易に調整することができるため、複数のノズル21をY方向に近づけて配置することができ、複数のノズル21をX方向に沿った直線上に1列に容易に配置することができる。
このような構成では、ノズル21の並設方向であるX方向から平面視した際に、X方向で隣接する2つの個別流路、すなわち、第1個別流路200Aと第2個別流路200Bとにおいて、ノズル21の間隔、すなわち、第1ノズル21Aと第2ノズル21Bとの間隔は、圧力室12の間隔、すなわち第1圧力室12Aと第2圧力室12Bとの間隔よりも小さくなっている。
このように、Y方向において、第1ノズル21Aと第2ノズル21Bとの間隔を第1圧力室12A及び第2圧力室12Bとの間隔よりも小さくすることで、複数のノズル21を近接させて高密度に配置することができると共に、第1圧力室12A及び第2圧力室12BをY方向の離れた位置に配置することができ、第1圧力室12Aの列、及び、第2圧力室12Bの列のそれぞれをノズル21に比べて低密度に配置することができる。したがって、各圧力室12の排除体積を大きくすることや高密度に配置して流路基板の小型化を図ることができる。
また、Y方向で複数のノズル21を同じ位置に配置することで、各ノズル21からインク滴を吐出させるタイミングをずらすように調整する必要がなく、圧電アクチュエーター300の駆動制御を簡略化することができる。ちなみに、記録ヘッド1をY方向に移動させてインク滴を吐出させる際に、Y方向に異なる位置に配置されたノズル21から同じタイミングでインク滴を吐出させると、被噴射媒体へのインク滴の着弾位置がY方向にずれてしまうため、Y方向で同じ位置にインク滴が着弾するように、圧電アクチュエーター300の駆動タイミングを調整する必要があるからである。
また、第1ノズル21Aと第2ノズル21BとがY方向の比較的離れた位置に配置されていると、第1ノズル21A及び第2ノズル21Bのそれぞれから吐出されたインク滴により発生した乱流が互いに影響し、インク滴の飛翔方向にずれが生じる虞がある。本実施形態のように、第1ノズル21Aと第2ノズル21Bとを比較的近い位置に配置することで、互いのノズル21から吐出されるインク滴の乱流による影響を抑制して、インク滴の飛翔方向のばらつきを抑制し、インク滴の被噴射媒体への着弾位置ずれを抑制することができる。
また、本実施形態では、第1ノズル21Aと第2ノズル21BとがX方向に沿った直線上に配置されるようにしたが、特にこれに限定されない。例えば、第1ノズル21A、第2ノズル21Bが、それぞれ第1流路201A、201Bの途中に連通していれば、第1ノズル21Aと第2ノズル21BとがY方向で互いにずれた位置に配置されていてもよい。
以上説明したように、本実施形態の液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッド1では、ノズルプレート20を含み、流路が形成された流路基板と、流路の液体であるインクに圧力変化を生じさせるエネルギー発生素子である圧電アクチュエーター300と、を備え、流路は、第1共通液室101と、第2共通液室102と、第1共通液室101および第2共通液室102に連通して第1共通液室101から第2共通液室102に向かってインクが流れる複数の個別流路200と、を含み、個別流路200は、外部と連通するノズル21と、ノズル21が途中に配置されて、ノズルプレート20のノズル21が開口するノズル面20aの面内方向である第1の方向であるY方向に延設された第1流路201と、第1流路201と接続されY方向以外の第2の方向であるZ方向に延設された第2流路202と、第2流路202と接続されZ方向以外の第3の方向であるY方向に延設された第3流路と、第3流路に配置され圧電アクチュエーター300により圧力変化が生じる圧力室12と、を備え、第1流路201は、ノズル21より第2流路202側に、第1の断面積の部分である第1部分201aと、ノズル21より第2流路202とは反対側に、第1の断面積よりも小さな断面積である第2の断面積の部分である第2部分201bと、を備える。
このように、Y方向に延設された第1流路201の途中にノズル21を連通させることで、ノズル21によって乾燥することで増粘したインクを、第1流路201を流れるインクによって下流側の第2共通液室102に流すことができる。したがって、第2流路202とノズルプレート20との角部などのインクが滞留する部分からノズル21を離して配置することができ、ノズル21によって増粘したインクが第2流路202とノズルプレート20との角部に滞留するのを抑制して、増粘したインクや気泡によってノズル21の目詰まりや、ノズル21から吐出されるインク滴の飛翔方向のずれなどの吐出不良が発生するのを抑制することができる。また、ノズル21から侵入した気泡が、第2流路202とノズルプレート20との角部に滞留するのを抑制することができると共に、ノズル21から侵入した気泡が圧力室12側に移動するのを抑制して、インク滴の吐出不良を抑制することができる。
また、ノズル21よりも第2流路側の第1の断面積である第1部分201aを設けることで、圧力室12からノズル21までの圧力損失を低減して、ノズル21から吐出されるインク滴の重量が低下するのを抑制することができる。
さらに、ノズル21よりも第2共通液室102側に第2の断面積である第2部分201bを設けることで、第2部分201bを流れるインクの流速を速くすることができ、ノズル21によって増粘したインクや、ノズル21から侵入した気泡を、第2部分201b内を比較的速い流速で流れるインクによって除去することができ、増粘したインクや気泡が上流側に逆流し難い。
また、本実施形態の記録ヘッド1では、個別流路200のうち、ノズル21の並設方向であるX方向において隣接する3つの個別流路200は、それぞれ第1共通液室101および第2共通液室102に連通し、X方向において隣接する第1個別流路200A、第2個別流路200Bは、第1共通液室101から第2共通液室102に向かう液体であるインクの流れる方向において、圧力室12とノズル21との並び順が異なる。
このように、圧力室12とノズル21との並び順が異なる個別流路200である第1個別流路200Aと第2個別流路200BとをX方向に隣接するように配置することで、隣接する個別流路200の圧力室12をY方向で異なる位置に配置することができる。したがって、圧力室12とノズル21との順番が同じ個別流路200を並設する場合に比べて、圧力室12の並設方向の幅を広く設けて、圧力室12の圧電アクチュエーター300による排除体積を大きくして、インク滴の吐出重量を大きくすることや、圧力室12をX方向に高密度に並設して、流路基板を小型化することができる。また、隣接する個別流路200の圧力室12をY方向にずらした位置に配置することができるため、X方向で隣接する個別流路200の圧力室12の配設密度を向上して、ノズル21を高密度に配置することができる。
また、個別流路200同士を途中で合流させることなく、個別流路200をそれぞれ独立して第1共通液室101及び第2共通液室102に連通させることで、各個別流路200の間での圧力変動の影響によるクロストークの発生を抑制することができる。つまり、個別流路200同士を第1共通液室101及び第2共通液室102に連通する前に合流してしまうと、一方の個別流路200内のインクの圧力変化が他方の個別流路200に大きく影響し、インク吐出特性にばらつきが生じてしまう。本実施形態では、複数の個別流路200は、比較的大きな容積を有する第1共通液室101及び第2共通液室102のみに連通しているため、複数の個別流路200の間で互いに圧力変動の影響を小さくすることができ、インク吐出特性のばらつきを抑制することができる。
さらに、第1共通液室101と第2共通液室102とが個別流路200だけで連通しているため、第1共通液室101内をインクが個別流路200の並設方向であるX方向に流れることがなく、複数の個別流路200に供給するインクの圧力差が生じ難く、ノズル21から吐出されるインクの吐出特性にばらつきが生じ難い。ちなみに、第1共通液室101をインクがX方向に流れると、第1共通液室101の上流側に連通する個別流路200へ供給するインクの圧力に比べて、下流側に連通する個別流路200へ供給するインクの圧力が低下し、各個別流路200へ供給するインクの圧力のばらつきによってインク吐出特性のばらつきが生じ易くなってしまう。
なお、本実施形態では、個別流路200のノズル21よりも第1共通液室101側の上流流路の流路抵抗に対して、ノズル21よりも第2共通液室102側の下流流路の流路抵抗は、-50%以上、+50%以下であることが好ましい。このように個別流路200のノズル21から第2共通液室102までの流路抵抗を、ノズル21から第1共通液室101までの流路抵抗に対して、-50%以上、+50%以下とすることで、第1個別流路200Aと第2個別流路200Bとを、第1共通液室101から第2共通液室102に向かうインクの流れる方向に対して互いに反転させた形状とした際に、第1ノズル21A及び第2ノズル21B内の圧力を揃え易くして、インク滴の吐出特性にばらつきが生じるのを抑制することができる。
また、個別流路200のノズル21よりも第1共通液室101側の上流流路と、ノズル21よりも第2共通液室102側の下流流路とは、同じ流路抵抗となるように設けられているのがより好適である。これにより、第1個別流路200Aと第2個別流路200Bとを、第1共通液室101から第2共通液室102に向かうインクの流れる方向に対して互いに反転させた形状とした際に、第1個別流路200Aと第2個別流路200Bとで流路抵抗を揃えることができ、インク滴の吐出特性のばらつきをさらに低減することができる。
また、個別流路200の上流流路及び下流流路の流路抵抗は、上述したものに限定されるものではない。例えば、上流流路と下流流路との流路抵抗が異なっていてもよい。このような場合には、ノズル21の並設方向で隣接する個別流路200のそれぞれの圧電アクチュエーター300に印加する電圧を異ならせるようにすればよい。
例えば、第1個別流路200Aと第2個別流路200Bとが反転した構造の場合において、第1上流流路の流路抵抗が第1下流流路よりも大きい場合には、第1ノズル21A内のインクの圧力が小さくなり、第1ノズル21Aから吐出されるインク滴の重量は小さくなる。これに対して、第1個別流路200Aと第2個別流路200Bとが反転した構造の場合には、第2上流流路の流路抵抗が第2下流流路の流路抵抗よりも小さくなり、第2ノズル21B内のインクの圧力は小さくなる。したがって、第2ノズル21Bから吐出されるインク滴の重量は大きくなる。したがって、第1個別流路200Aに対応する圧電アクチュエーター300に印加する電圧を、第2個別流路200Bに対応する圧電アクチュエーター300に印加する電圧よりも相対的に大きくする。なお、第1個別流路200Aに対応する圧電アクチュエーター300に印加する電圧を、第2個別流路200Bに対応する圧電アクチュエーター300に印加する電圧よりも相対的に大きくするには、例えば、第1個別流路200Aに対応する圧電アクチュエーター300に印加する電圧を大きくするようにしてもよく、第2個別流路200Bに対応する圧電アクチュエーター300に印加する電圧を小さくするようにしてもよく、これらの両方を基準となる電圧に対して行うようにしてもよい。これにより、第1ノズル21A内のインクの圧力と第2ノズル21B内のインクの圧力とに比較的大きな差が生じたとしても、圧電アクチュエーター300に印加する電圧を調整することで、第1ノズル21A及び第2ノズル21Bから吐出されるインク滴の重量のばらつきを低減して、印刷品質を向上することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の基本的構成は上述したものに限定されるものではない。
例えば、上述した各実施形態では、連通板15として第1連通板151と第2連通板152とをZ方向に積層したものとしたが、特にこれに限定されず、連通板15は、1枚の基板によって形成されていてもよく、3枚以上の基板を積層することで形成されていてもよい。
また、例えば、上述した各実施形態では、1つの流路基板に第1共通液室101と第2共通液室102とが1つずつ設けられた構成を例示したが、特にこれに限定されるものではない。
ここで、記録ヘッド1の変形例について図14及び図15を参照して説明する。なお、図14は、流路構成を説明する概略断面図であって図10のC-C′線に準じた概略断面図である。図15は、流路構成を説明する概略断面図であって図10のD-D′線に準じた概略断面図である。
図14及び図15に示すように、流路基板400には、第1共通液室101と第2共通液室102とがY方向に交互に繰り返し配置されている。また、第1共通液室101からのインクを第2共通液室102に供給する複数の個別流路200が設けられている。個別流路200は、1つの第1共通液室101と1つの第2共通液室102とで構成される1組に対して、X方向に沿って複数設けられている。Y方向において、個別流路200は、第1共通液室101と第2共通液室102との間に位置している。
個別流路200は、第1ノズル21Aを有する第1個別流路200Aと、第2ノズル21Bを有する第2個別流路200Bとを有する。
図14に示すように、第1個別流路200Aは、第1ノズル21Aと第1圧力室12Aと第1流路201Aと第2流路202Aと第1供給路203Aとを具備し、第1流路201Aの途中に第1ノズル21Aが連通して設けられている。
このように第1個別流路200Aは、第1共通液室101に連通する上流側から第2共通液室102に連通する下流側に向かって順に第1供給路203A、第1圧力室12A、第2流路202A、第1流路201A、第1ノズル21Aを有する。すなわち、本実施形態では、第1個別流路200Aは、第1共通液室101から第2共通液室102に向かうインクの流れに対して、上流側から下流側に向かって第1圧力室12Aと第1ノズル21Aとがこの順番に配置されている。
図15に示すように、第2個別流路200Bは、第2ノズル21Bと第2圧力室12Bと第1流路201Bと第2流路202Bと第2供給路203Bとを具備し、第1流路201Bの途中に第2ノズル21Bが連通して設けられている。
このように第2個別流路200Bは、第1共通液室101に連通する上流側から第2共通液室102に連通する下流側に向かって順に第1流路201B、第2ノズル21B、第2流路202B、第2供給路203Bを具備する。つまり、本実施形態では、第2個別流路200Bは、第1共通液室101から第2共通液室102に向かうインクの流れに対して、上流側から下流側に向かって第2ノズル21Bと第2圧力室12Bとがこの順番に配置されている。すなわち、第1個別流路200Aと第2個別流路200Bとでは、第1共通液室101から第2共通液室102に向かうインクの流れに対して圧力室12とノズル21との順番が異なるように配置されている。本実施形態では、各個別流路200に圧力室12とノズル21とが1つずつ設けられているため、第1個別流路200Aと第2個別流路200Bとは、圧力室12とノズル21との順番が、逆転して配置されている。
そして、本実施形態では、X方向の一直線上に第1ノズル21Aと第2ノズル21Bとが並んでいる。ちなみに、X方向の一直線上に第1ノズル21Aと第2ノズル21Bとが並んでいなくてもよい。また、図14及び図15には、第1共通液室101と第2共通液室102との組を2組のみ示したが、Y方向に3組以上設けられていてもよく、いわゆるマトリックス状に配置されていてもよい。また、3組以上の第1共通液室101と第2共通液室102との組に対応する圧電アクチュエーター300に対して、共通のフレキシブルケーブル120を接続してもよい。
また、図14及び図15の記録ヘッド1の変形例を図16及び図17に示す。なお、図16は、流路構成を説明する概略断面図であって図10のC-C′線に準じた概略断面図である。図17は、流路構成を説明する概略断面図であって図10のD-D′線に準じた概略断面図である。
図16及び図17に示すように、第1共通液室101と第2共通液室102とは、Y方向に交互に配置されている。
また、1つの第1共通液室101からは、2列の個別流路200によってY方向の両側の第2共通液室102にインクが送られる。また、1つの第2共通液室102には、2列の個別流路200によってY方向の両側の第1共通液室101からインクが送られる。すなわち、第1共通液室101と2列の個別流路200とを連通し、1つの第2共通液室102と2列の個別流路200とを連通するようにした。このように、第1共通液室101及び第2共通液室102を個別流路200の2列に対して兼用させることで、ノズル21を高密度に配置して流路基板400の小型化を図ることができる。
また、上述した各実施形態では、Y方向において、第1共通液室101と第2共通液室102との間に個別流路200が設けられた構成を例示したが、特にこれに限定されない。ここで、記録ヘッド1の変形例を図18~図20を参照して説明する。なお、図18は、流路構成を説明する概略断面図であって図10のC-C′線に準じた概略断面図である。図19は、流路構成を説明する概略断面図であって図10のD-D′線に準じた概略断面図である。図20は、流路を模式的に表した図である。
図18及び図19に示すように、第1共通液室101と第2共通液室102とがY方向に並設されている。また、第1共通液室101から第2共通液室102にインクを送る個別流路200の各ノズル21は、Y方向において、第1共通液室101の第2共通液室102とは反対側に配置されている。
具体的には、個別流路200は、第1ノズル21Aを有する第1個別流路200Aと第2ノズル21Bを有する第2個別流路200Bとを具備する。
図18に示すように、第1個別流路200Aは、第1ノズル21Aと第1圧力室12Aと第1流路201Aと第2流路202Aと第1供給路203Aとを具備する。
第1供給路203Aは、第1共通液室101からY方向の第2共通液室102とは反対側に向かってY方向に沿って延設されている。
第1圧力室12Aは、流路基板400の-Z側に配置されている。
第2流路202Aは、Z方向に沿って延設されており、第1圧力室12Aと第1流路201Aとを連通する。
第1流路201Aは、Y方向に沿って延設されており、第2流路202Aと第2共通液室102とを連通する。
すなわち、第1個別流路200Aは、第1共通液室101からY方向の第2共通液室102とは反対側に向かって延設されて、第2共通液室102と連通して設けられている。
このような第1個別流路200Aには、第1共通液室101から第2共通液室102に向かうインクの流れる方向に対して第1圧力室12Aと第1ノズル21Aとがこの順番に配置されている。
図19に示すように、第2個別流路200Bは、第2ノズル21Bと第2圧力室12Bと第1流路201Bと第2流路202Bと第2供給路203Bと第6流路206とを具備する。
第2供給路203Bは、Y方向に沿って延設されており、第2圧力室12Bと第2共通液室102とを連通する。
第2圧力室12Bは、流路基板400の-Z側に配置されている。また、第2圧力室12Bは、第1圧力室12AとはY方向の異なる位置に配置されている。
第2流路202Bは、Z方向に沿って延設されており、第2圧力室12Bと第1流路201Bとを連通する。
第1流路201Bは、Y方向に沿って延設されており、第2流路202Bと第6流路206とを連通する。
第6流路206は、Z方向に沿って延設されており、第1流路201Bと第1共通液室101とを連通する。
すなわち、第2個別流路200Bは、第1共通液室101からY方向の第2共通液室102とは反対側に向かって延設されて、第2共通液室102と連通して設けられている。
このような第2個別流路200Bには、第1共通液室101から第2共通液室102に向かうインクの流れる方向に対して第2ノズル21Bと第2圧力室12Bとがこの順番に配置されている。すなわち、図20に示すように、第1個別流路200Aと第2個別流路200Bとでは、第1共通液室101から第2共通液室102に向かうインクの流れに対して圧力室12とノズル21との順番が異なるように配置されている。本実施形態では、各個別流路200に圧力室12とノズル21とが1つずつ設けられているため、第1個別流路200Aと第2個別流路200Bとは、圧力室12とノズル21との順番が、逆転して配置されている。
このような構成では、第1個別流路200Aと第2個別流路200Bとで、圧力室12とノズル21との順番を異ならせることで、第1圧力室12Aと第2圧力室12BとをY方向で異なる位置に配置することができ、圧力室12の並設方向であるX方向の幅を広げて、排除体積を大きくすることや、圧力室12を高密度に配置することができる。
また、図18及び図19の記録ヘッド1では、Y方向において、第1共通液室101と第2共通液室102とに対して、第1ノズル21Aと第2ノズル21Bとを一方側に配置したが、両側に配置してもよい。すなわち、1つの第1共通液室101に対して、Y方向における両側に個別流路200を設け、1つの第2共通液室102に対して、Y方向における両側に個別流路200を設けてもよい。
また、第1流路201A、201Bのそれぞれの途中に第1ノズル21A、第2ノズル21Bを連通させることで、第1ノズル21A、第2ノズル21Bによって増粘したインクや、侵入した気泡を第1流路201A、201Bを流れる流速の速いインクによって下流に向かって流すことができる。したがって、増粘したインクや気泡によって吐出不良が発生するのを抑制することができる。
なお、上述した図18及び図19に示すノズル面20aの垂線方向であるZ方向からの平面視において第1共通液室101と第2共通液室102との間にノズル21が設けられていない構成に比べて、上述した各実施形態のようにZ方向からの平面視において第1共通液室101と第2共通液室102との間にノズル21が設けられている構成では、個別流路200の構成を簡略化することができ、連通板15の多層化を抑制することができる。
また、上述した各実施形態では、各個別流路200にノズル21と圧力室12とが1つずつ設けられた構成を例示したが、ノズル21と圧力室12との数は特に限定されず、1つの圧力室12に対して2以上の複数のノズル21が設けられていてもよく、また、1つのノズル21に対して2以上の圧力室12が設けられていてもよい。ただし、1つの個別流路200に設けられたノズル21からは、1吐出周期で同時にインク滴が吐出されるものである。つまり、1つの個別流路200に複数のノズル21が設けられていても、複数のノズル21からは同時にインク滴を吐出するか、同時にインク滴を吐出しない非吐出かの何れかのみが行われればよい。すなわち、1つの個別流路200に複数のノズル21を設けた構成では、複数のノズル21からのインク滴の吐出、非吐出が同時に行われればよい。
また、上述した各実施形態では、流路基板は、流路形成基板10、連通板15、ノズルプレート20、コンプライアンス基板49、ケース部材40等を有するものとしたが、特にこれに限定されるものではなく、流路基板は1枚の基板であっても、また、2枚以上の複数の基板が積層されたものであってもよい。例えば、流路基板は、流路形成基板10、と、ノズルプレート20とを含んでいてもよく、連通板15と、コンプライアンス基板49と、ケース部材40とを含んでいなくてもよい。また、複数の流路形成基板10により1つの圧力室12を形成してもよいし、流路形成基板10に圧力室12と第1共通液室101と第2共通液室102とを形成してもよい。
また、上述した各実施形態では、圧力室12に圧力変化を生じさせるエネルギー発生素子として、薄膜型の圧電アクチュエーター300を用いて説明したが、特にこれに限定されず、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型の圧電アクチュエーターや、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型の圧電アクチュエーターなどを使用することができる。また、エネルギー発生素子として、圧力室内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズルから液滴を吐出するものや、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズル開口から液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用することができる。
ここで、本実施形態の液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置の一例について図21を参照して説明する。なお、図21は、本発明のインクジェット式記録装置の概略構成を示す図である。
図21に示すように、液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置Iでは、複数の記録ヘッド1がキャリッジ3に搭載されている。記録ヘッド1を搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。本実施形態では、キャリッジ3の移動方向がY方向となっている。
また、装置本体4には、液体としてインクが貯留された貯留手段であるタンク2が設けられている。タンク2は、チューブ等の供給管2aを介して記録ヘッド1と接続されており、タンク2からのインクは供給管2aを介して記録ヘッド1に供給される。また、記録ヘッド1とタンク2とはチューブ等の排出管2bを介して接続されており、記録ヘッド1から排出されたインクは排出管2bを介してタンク2に戻される、所謂、循環が行われる。なお、タンク2は、複数で構成されていてもよい。
そして、駆動モーター7の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7aを介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッド1を搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4には搬送手段としての搬送ローラー8が設けられており、紙等の被噴射媒体である記録シートSが搬送ローラー8により搬送されるようになっている。なお、記録シートSを搬送する搬送手段は、搬送ローラー8に限られずベルトやドラム等であってもよい。本実施形態では、記録シートSの搬送方向がX方向となっている。
なお、上述したインクジェット式記録装置Iでは、記録ヘッド1がキャリッジ3に搭載されて主走査方向に移動するものを例示したが、特にこれに限定されず、例えば、記録ヘッド1が固定されて、紙等の記録シートSを副走査方向に移動させるだけで印刷を行う、所謂ライン式記録装置にも本発明を適用することができる。
なお、各実施形態では、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを、また液体噴射装置の一例としてインクジェット式記録装置を挙げて説明したが、本発明は、広く液体噴射ヘッド及び液体噴射装置全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドや液体噴射装置にも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられ、かかる液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置にも適用できる。
ここで、本実施形態の液体循環システムの一例について図22を参照して説明する。なお、図22は、本発明の液体噴射装置であるインクジェット式記録装置の液体循環システムを説明するブロック図である。
図22に示すように、液体循環システムは、メインタンク500と、上述した各実施形態の記録ヘッド1と、第1タンク501と、第2タンク502と、コンプレッサー503と、真空ポンプ504と、第1送液ポンプ505と、第2送液ポンプ506と、を具備する。
第1タンク501には、記録ヘッド1及びコンプレッサー503が接続されており、コンプレッサー503によって第1タンク501のインクは所定の正圧で記録ヘッド1に供給される。
第2タンク502は、第1送液ポンプ505を介して第1タンク501と接続されており、第1送液ポンプ505によって第2タンク502のインクが第1タンク501に送液される。
また、第2タンク502には、記録ヘッド1と真空ポンプ504とが接続されており、真空ポンプ504によって記録ヘッド1のインクは所定の負圧で第2タンク502に排出される。
すなわち、第1タンク501から記録ヘッド1にインクが供給され、記録ヘッド1から第2タンク502にインクが排出される。そして、第1送液ポンプ505によって第2タンク502から第1タンク501へインクが送液されることでインクが循環する。
また、第2タンク502には、第2送液ポンプ506を介してメインタンク500が接続されており、記録ヘッド1によって消費された分のインクが、メインタンク500から第2タンク502に補充される。なお、メインタンク500から第2タンク502へのインクの補充は、例えば、第2タンク502内のインクの液面が所定の高さよりも低くなった場合などのタイミングで行えばよい。