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JP7218501B2 - 画像形成方法、画像形成装置および印刷物の製造方法 - Google Patents

画像形成方法、画像形成装置および印刷物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、画像形成方法、画像形成装置および印刷物の製造方法に関する。
インクジェット記録方式は、他の記録方式に比べてプロセスが簡単で、かつフルカラー化が容易であり、簡略な構成の装置であっても高解像度の画像が得られるという利点があることから普及し、パーソナルからオフィス用途、商業印刷や工業印刷の分野へと広がりつつある。このようなインクジェット記録方式では、色材として水溶性染料を用いた水系インク組成物が主に使用されているが、耐水性及び耐光性に劣るという欠点があるため、水溶性染料に代わる水不溶性の顔料を用いた顔料インクの開発が進められている。
オフィス用途のインクジェット印刷では、記録媒体として主に普通紙が使用され、高い画像濃度が要求されている。一般に、顔料インクを普通紙に印字した場合、顔料は紙表面に留まることなく紙中へ浸透するため、紙表面の顔料密度が低くなり、画像濃度が低下する。インク中の顔料濃度を高くすれば画像濃度は高くなるが、インクの粘度が増大し、吐出安定性が低下する。そのため顔料の選択については、所望の画像特性のみではなく、使用する機械特性にも大きく影響を受ける。
特許文献1~3には、ジケトピロロピロール系顔料を使用したインク組成物が開示されている。
一般的に、カラー印刷物は、色相が広く、彩度が高い画像が好まれ、それらを達成する性質がインクに求められる。インクは、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色を使用するのが一般的である。
インクに使用する顔料に重要な特性として、分散性が要求される。プラスチックやクレヨンのように混練による物理的な分散が可能な場合は色相や彩度が問題にならない顔料も、インクの場合には溶液中に化学的な分散状態を保つ必要があり、凝集や偏在をしやすい顔料は使用が難しい。シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの中では特にマゼンタ顔料の分散性が困難であるという課題が存在する。
また、各色に対し複数の顔料を併用すると色相は広くなるものの、彩度や鮮明性は低下する傾向にある。色相と彩度を両立する顔料選択方法としては大きく二つが考えられる。一つ目は単独の顔料で色相と鮮明性を中庸的に選択することであり、二つ目は鮮明性の高い複数の顔料を組み合わせることである。
前者の方式では色相、彩度、耐光性の面からキナクリドン系顔料が代表的であるが、分散性に課題があり、官能基で修飾したキナクリドン系顔料等を使用することになる。多数存在するキナクリドン系顔料がどれでも使用できるという訳ではないため、色相の設計自由度が高くない。
後者の方式では色相自由度は高くなる一方、複数顔料を使用することによる別の不具合が懸念される。具体的には、画像特性として、異なる種類の顔料が分離、偏在することによる不均一画像形成などである。
また、アゾ系顔料も代表的なマゼンタ顔料であるが、耐光性が低く、印刷物の用途によっては長い時間をかけて印刷物の変色が生じるなどの問題が存在する。
マゼンタ顔料で特徴的に彩度の高いものとしては、ジケトピロロピロール顔料が存在する。ジケトピロロピロール顔料は耐光性が高く、またキナクリドン系顔料よりも高い彩度を有するが、マゼンタ顔料の中でも黄色味寄りの色相を持ち、マゼンタインクに使用する場合には単独の使用では色特性を満足しない。例えば、ジケトピロロピロール顔料をマゼンタ顔料として用いるには青味を付与する別顔料との併用が必要である。しかし有機結晶の顔料を複数使用すると結晶構造/親和性の違いから分離/偏在が生じやすい。特にインクジェット印刷に使用した場合には、プラスチックや絵の具に比べてインクの粘性が低いため顔料の分離が早く、また形成される画像の膜厚が薄いことで顔料の分離/偏在が視覚的に分かりやすい。したがって同一面内の色相変動による画像品質低下が顕著であり、いわゆるビーディングなどの課題を生じやすいことが問題となる。特に、青味寄りのマゼンタ顔料と黄色味寄りのマゼンタ顔料の混合は、多少でも分離するとその色差が大きいことから視覚的に明確であり、均一性が損なわれた画像が生じやすい。そのため、ジケトピロロピロール系顔料をインクジェット印刷用顔料として用いることは困難であった。
また、安価な置換/修飾ジケトピロロピロールの種類は少ないため色相設計の自由度は低く、インクに使用した例は多くはない。また、キナクリドン系顔料と同様に比較的粗大な有機顔料結晶であり、分散性、偏在等に課題がある。
一方、前記のように特許文献1~3には、ジケトピロロピロール系顔料を使用したインク組成物が開示されているが、前記特許文献1に記載のインク組成物では、有機顔料であるジケトピロロピロール以外に、染料と無機顔料を有する樹脂エマルジョンを併用することが必須であるため、材料偏在による画像不均一性が課題となる。また前記特許文献2~3に記載の組成物では、色相および彩度を両立しているとは言えず、また印刷物面内の色相の変動にも課題がある。
したがって本発明の目的は、耐光性の高い有機顔料結晶を使用しながら、色相、彩度を両立し、かつ印刷物面内の色相、変動が少ない画像形成方法を提供することである。
前記課題は、下記構成1)により解決される。
1)記録媒体にインクを付与するインク付与工程と、前記インク付与工程後の前記記録媒体を乾燥する乾燥工程とを有する画像形成方法において、
前記インク付与工程は、水、ジケトピロロピロール顔料、キナクリドン顔料および樹脂を含有するマゼンタインクを付与するマゼンタインク付与工程を有し、前記乾燥工程が30~150メートル/分の搬送速度及び80~140℃の温度で行われることを特徴とする画像形成方法。
本発明によれば、耐光性の高い有機顔料結晶を使用しながら、色相、彩度を両立し、かつ印刷物面内の色相、変動が少ない画像形成方法を提供することができる。
図1は、インクジェット記録装置の一例を示す斜視説明図である 図2は、インクジェット記録装置におけるメインタンクの一例を示す斜視説明図である。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、インクジェット印刷でもマゼンタ顔料としてジケトピロロピロール系顔料とキナクリドン系顔料を併用し、乾燥機構を備えた高速印刷機等に使用した場合は、高い鮮明性を保ちながら好適な色相の画像が得られるという知見が得られた。
そのメカニズムは定かではないが、高彩度のジケトピロロピロール系顔料とキナクリドンを組み合わせると、一般的には顔料混合によって彩度が落ち、分離が進行することでビーディングが生じるが、インクを記録媒体に例えば高速で定着させることで、顔料凝集物の発生を防止して彩度を低下させず、その好適な色相の混合状態のままビーディングも抑制できるものと考えられる。
以下、本発明に係る画像形成方法、画像形成装置および印刷物の製造方法の実施形態について説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
本発明の画像形成方法および印刷物の製造方法は、記録媒体にインクを付与して画像を形成するインク付与工程と、前記インク付与工程後の前記記録媒体を乾燥する乾燥工程とを有し、前記インク付与工程は、水、ジケトピロロピロール顔料、キナクリドン顔料および樹脂を含有するマゼンタインクを付与するマゼンタインク付与工程を有することを特徴とする。
また本発明の画像形成装置は、記録媒体にインクを付与して画像を形成するインク付与手段と、前記インク付与工程後の前記記録媒体を乾燥する乾燥手段とを有し、前記インク付与手段は、水、ジケトピロロピロール顔料、キナクリドン顔料および樹脂を含有するマゼンタインクを付与するマゼンタインク付与手段を有することを特徴とする。
なお、インク付与工程およびインク付与手段としては、ブラック、シアン、イエローインクを付与する公知の工程および手段を含むことができる。
<インク>
以下、インクに用いる有機溶剤、水、色材、樹脂、添加剤等について説明する。
<有機溶剤>
本発明に使用する有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、エチル-1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ブタントリオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ε-カプロラクタム、γ-ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物も好適に使用される。炭素数8以上のポリオール化合物の具体例としては、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールなどが挙げられる。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物は、記録媒体として紙を用いた場合に、インクの浸透性を向上させることができる。
有機溶剤のインク中における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
<水>
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%~60質量%がより好ましい。
本発明では、公知の各色インクを使用できる。
<色材>
色材としては、マゼンタインクにジケトピロロピロール顔料とキナクリドン顔料を含有することを除き特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。また、混晶を使用しても良い。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料として、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
また、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性の良いものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料があげられる。
さらに、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド(PR)1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、255、264、C.I.ピグメントバイオレット(PV)1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等がある。
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
本発明では、マゼンタインクがジケトピロロピロール顔料およびキナクリドン顔料を含有することを要件とする。
なお、色相、彩度を両立し、かつ印刷物面内の色相、変動が少ない、という観点から、ジケトピロロピロール顔料がC.I.PR254、C.I.PR255およびC.I.PR264から選択された1種または2種以上の顔料であることが好ましい。
また、画像の耐光性、画像濃度を高め、色相、彩度を両立し、かつ印刷物面内の色相、変動が少ない、という観点から、キナクリドン顔料の中でもC.I.PR122、C.I.PR202およびC.I.PV19から選択された1種または2種以上の顔料が好ましい。
インク中の色材の含有量は、画像濃度の向上、良好な定着性や吐出安定性の点から、0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
顔料を分散してインクを得るためには、顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法、顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法、分散剤を用いて分散させる方法、などが挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えばカーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加することで、水中に分散可能とする方法が挙げられる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能とする方法が挙げられる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、インクに配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料がインク中に分散していてもよい。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。
分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。
竹本油脂社製RT-100(ノニオン系界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。
分散剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<顔料分散体>
顔料に、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを得ることが可能である。また、顔料と、その他水や分散剤などを混合して顔料分散体としたものに、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを製造することも可能である。
前記顔料分散体は、水、顔料、顔料分散剤、必要に応じてその他の成分を混合、分散し、粒径を調整して得られる。分散は分散機を用いると良い。
顔料分散体における顔料の粒径については特に制限はないが、顔料の分散安定性が良好となり、吐出安定性、画像濃度などの画像品質も高くなる点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上500nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。顔料の粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記顔料分散体における顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な吐出安定性が得られ、また、画像濃度を高める点から、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
前記顔料分散体は、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
<樹脂>
インク中に含有する樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いても良い。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、色材や有機溶剤などの材料と混合してインクを得ることが可能である。前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。また、これらは、1種を単独で用いても、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
樹脂粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な定着性、高い画像硬度を得る点から、10nm以上1,000nm以下が好ましく、10nm以上200nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が特に好ましい。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着性、インクの保存安定性の点から、インク全量に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
インク中の固形分の粒径については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、吐出安定性、画像濃度などの画像品質を高くする点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上1000nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。固形分は樹脂粒子や顔料の粒子等が含まれる。粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
<添加剤>
インクには、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えても良い。
<界面活性剤>
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S-1)式で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
Figure 0007218501000001
(但し、一般式(S-1)式中、m、n、a、及びbは、それぞれ独立に、整数を表わし、Rは、アルキレン基を表し、R’は、アルキル基を表す。)
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF-618、KF-642、KF-643(信越化学工業株式会社)、EMALEX-SS-5602、SS-1906EX(日本エマルジョン株式会社)、FZ-2105、FZ-2118、FZ-2154、FZ-2161、FZ-2162、FZ-2163、FZ-2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、BYK-33、BYK-387(ビックケミー株式会社)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社)などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、フッ素置換した炭素数が2~16の化合物が好ましく、フッ素置換した炭素数が4~16である化合物がより好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。 これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、特に一般式(F-1)及び一般式(F-2)で表わされるフッ素系界面活性剤が好ましい。
Figure 0007218501000002
上記一般式(F-1)で表される化合物において、水溶性を付与するためにmは0~10の整数が好ましく、nは0~40の整数が好ましい。
一般式(F-2)
2n+1-CH2CH(OH)CH2-O-(CH2CH2O)-Y
上記一般式(F-2)で表される化合物において、YはH、又はCmF2m+1でmは1~6の整数、又はCHCH(OH)CH-CmF2m+1でmは4~6の整数、又はCpH2p+1でpは1~19の整数である。nは1~6の整数である。aは4~14の整数である。
上記のフッ素系界面活性剤としては市販品を使用してもよい。 この市販品としては、例えば、サーフロンS-111、S-112、S-113、S-121、S-131、S-132、S-141、S-145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC-93、FC-95、FC-98、FC-129、FC-135、FC-170C、FC-430、FC-431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF-470、F-1405、F-474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN-100、FSN、FSO-100、FSO、FS-300、UR、キャプストーンFS-30、FS-31、FS-3100、FS-34、FS-35(いずれも、Chemours社製);FT-110、FT-250、FT-251、FT-400S、FT-150、FT-400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF-136A,PF-156A、PF-151N、PF-154、PF-159(オムノバ社製)、ユニダインDSN-403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、Chemours社製のFS-3100、FS-34、FS-300、株式会社ネオス製のFT-110、FT-250、FT-251、FT-400S、FT-150、FT-400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF-151N及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN-403Nが特に好ましい。
インク中における界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、濡れ性、吐出安定性に優れ、画像品質が向上する点から、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましい。
<消泡剤>
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
<防腐防黴剤>
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンなどが挙げられる。
<防錆剤>
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
<pH調整剤>
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE-80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7~12が好ましく、8~11がより好ましい。
<前処理液>
前処理液は、凝集剤、有機溶剤、水を含有し、必要に応じて界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤等を含有しても良い。
有機溶剤、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤は、インクに用いる材料と同様の材料を使用でき、その他、公知の処理液に用いられる材料を使用できる。
凝集剤の種類は特に限定されず、水溶性カチオンポリマー、酸、多価金属塩等が挙げられる。
<後処理液>
後処理液は、透明な層を形成することが可能であれば、特に限定されない。後処理液は、有機溶剤、水、樹脂、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤等、必要に応じて選択し、混合して得られる。また、後処理液は、記録媒体に形成された記録領域の全域に塗布しても良いし、インク像が形成された領域のみに塗布しても良い。
<記録媒体>
記録に用いる記録媒体としては、特に限定されないが、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、汎用印刷紙等が挙げられる。
記録媒体としては、一般的な記録媒体として用いられるものに限られず、壁紙、床材、タイル等の建材、Tシャツなど衣料用等の布、テキスタイル、皮革等を適宜使用することができる。また、記録媒体を搬送する経路の構成を調整することにより、セラミックスやガラス、金属などを使用することもできる。
<記録物>
本発明のインク記録物は、記録媒体上に、本発明のインクを用いて形成された画像を有してなる。
インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法により記録して記録物とすることができる。
<記録装置、記録方法>
本発明のインクは、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。
本発明において、記録装置、記録方法とは、記録媒体に対してインクや各種処理液等を吐出することが可能な装置、当該装置を用いて記録を行う方法である。記録媒体とは、インクや各種処理液が一時的にでも付着可能なものを意味する。
この記録装置には、インクを吐出するヘッド部分だけでなく、記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
記録装置、記録方法は、加熱工程に用いる加熱手段、乾燥工程に用いる乾燥手段を用いることが好ましい。加熱手段、乾燥手段には、例えば、記録媒体の印字面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれる。加熱手段、乾燥手段としては、特に限定されないが、例えば、赤外線乾燥装置、マイクロ波乾燥装置、温風、ヒートローラー、ヒートドラム等を用いることができる。加熱、乾燥は、印字前、印字中、印字後などに行うことができる。
本発明では、乾燥工程が30~150メートル/分の搬送速度で行われることが好ましく、50~120メートル/分の搬送速度で行われることがさらに好ましい。乾燥速度は、記録媒体の搬送速度で制御することができる。
また、本明細書において、「搬送速度」とは、一定の乾燥温度で印字速度を高速から低速に変化させたとき、ブロッキングの発生がなくなった速度を指すものとする。
ここでブロッキングの発生は、印字後10分で、記録媒体として紙の表側印字部と紙の裏側部の接触部位をはがした際に、画像破壊や色ずれが起きる場合をブロッキングの発生とする。
ただし、動作設定上は低速印刷で過剰な乾燥温度をかけることも可能であるが、低速で高温乾燥すると紙が黄色変性してしまうため、低速印刷の場合には黄色変性が発生しない温度条件とする。
乾燥温度は、例えば80~140℃、好ましくは100~120℃である。
また、記録装置、記録方法は、インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。
また、記録装置には、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
更に、この記録装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の記録装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
記録装置の一例について図1乃至図2を参照して説明する。図1は同装置の斜視説明図である。図2はメインタンクの斜視説明図である。記録装置の一例としての画像形成装置400は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク410(410k、410c、410m、410y)の各インク収容部411は、例えばアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。インク収容部411は、例えば、プラスチックス製の収容容器ケース414内に収容される。これによりメインタンク410は、各色のインクカートリッジとして用いられる。
一方、装置本体のカバー401cを開いたときの開口の奥側にはカートリッジホルダ404が設けられている。カートリッジホルダ404には、メインタンク410が着脱自在に装着される。これにより、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各インク排出口413と各色用の吐出ヘッド434とが連通し、吐出ヘッド434から記録媒体へインクを吐出可能となる。
この記録装置には、インクを吐出する部分だけでなく、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
前処理装置、後処理装置の一態様として、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)などのインクの場合と同様に、前処理液や、後処理液を有する液体収容部と液体吐出ヘッドを追加し、前処理液や、後処理液をインクジェット記録方式で吐出する態様がある。
前処理装置、後処理装置の他の態様として、インクジェット記録方式以外の、例えば、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法による前処理装置、後処理装置を設ける態様がある。
本発明のインクの用途は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、印刷物、塗料、コーティング材、下地用などに応用することが可能である。さらに、インクとして用いて2次元の文字や画像を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができる。
立体造形物を造形するための立体造形装置は、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、インクの収容手段、供給手段、吐出手段や乾燥手段等を備えるものを使用することができる。立体造形物には、インクを重ね塗りするなどして得られる立体造形物が含まれる。また、記録媒体等の基材上にインクを付与した構造体を加工してなる成形加工品も含まれる。前記成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された記録物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形する用途に好適に使用される。
また、本発明の用語における、画像形成、記録、印字、印刷等は、いずれも同義語とする。
記録媒体、メディア、被印刷物は、いずれも同義語とする。
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。なお、例中の「部」及び「%」は、特に断りのない限り、「質量部」及び「質量%」である。また、実施例17~19とあるのは、本発明に含まれない参考例17~19とする。
―顔料分散ポリマー溶液の調製―
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管、及び滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内を充分に窒素ガス置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー4.0g、及びメルカプトエタノール0.4gを混合し65℃に昇温した。
次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシルエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスメチルバレロニトリル2.4g、及びメチルエチルケトン18.0gの混合溶液を、2.5時間かけてフラスコ内に滴下した。 滴下後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけてフラスコ内に滴下した。 65℃で1時間熟成した後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8gを添加して、更に1時間熟成した。 反応終了後、フラスコ内にメチルエチルケトン364.0gを添加し、濃度が50質量%のポリマー溶液を800g得た。
―マゼンタ顔料分散体の調製―
ポリマー溶液を28g、C.I.PR254を42g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20.0g、及びイオン交換水13.6gを十分に攪拌した後、ロールミルを用いて混練した。
得られたペーストを純水200gに投入し、充分に攪拌した後、エバポレータを用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、更に粗大粒子を除くために平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターで加圧濾過し、顔料15質量%含有、固形分20質量%のC.I.PR254のマゼンタ顔料分散体を得た。
C.I.PR255、PR264、PR122、PR202、PV19、PR53:1についても同様の操作でそれぞれ分散体を得た。
―マゼンタインク1~19の作成―
表1記載の処方(質量部)にて混合攪拌した後、pHが9になるように水酸化リチウム10%水溶液にて調整した。 その後、平均孔径0.1μmのメンブレンフィルターで濾過を行いマゼンタインク1~19を得た。
Figure 0007218501000003
[画像の形成]
得られたインク1~19を用いて、インクジェットプリンティングシステム(RICOH Pro VC60000、株式会社リコー製)により、記録媒体としてLAG130(Lumi Art Gloss 130gsm、Stora Enso社製)を使用して表2の解像度/搬送速度にて、実施例1~19、比較例1~9のマゼンタのベタ画像を記録した。また、色再現性評価のために市販のシアンインク、イエローインク(リコー製 RICOH Pro VC60000用インク)を用いたシアンベタ画像、イエローベタ画像を作成した。
<彩度>
実施例1~19及び比較例1~9で得られた各画像のマゼンタベタ画像から20点を選び、測色計(トレックジャパン社製ハンディ型画像評価システム PIAS-II)を用いて明度を測定し、得られたa*、b*の値から、彩度C=[(a+(b1/2を算出し、20点の平均値を算出した。標準色(Japan color ver.2)の彩度の値C との比率k=C/C を算出して、下の評価基準にしたがって評価した。C以上が実用可能である。
(評価基準)
A:1.00>k≧0.975
B:0.975>k≧0.95
C:0.95>k≧0.90
D:0.90>k
<彩度分布>
前記彩度の評価で測定した20点のkの値において、最大のkをkmax、最小のものをkminとし、kr=kmin/kmaxを彩度分布として下の評価基準に従って評価した。C以上が実用可能である。
(評価基準)
A:1.00>kr≧0.975
B:0.975>kr≧0.95
C:0.95>kr≧0.90
D:0.90>kr
<色再現性>
JapanColor-2001の標準印刷物に対しCIE-a*、b*面にて色再現域を測色計(トレックジャパン社製ハンディ型画像評価システム PIAS-II)を用いて測色し面積(1)を求めた。
実施例及び比較例で得られた各画像のマゼンタベタ画像から20点を選び、また、市販のシアンインク、イエローインク(リコー製 RICOH Pro VC60000用インク)を用いて実施例1~19及び比較例1~9と同条件のシアンベタ画像とイエローベタ画像を使用し、CIE-a*、b*面にて色再現域を測色計(トレックジャパン社製ハンディ型画像評価システム PIAS-II)を用いて測色し20点の平均値としてL*=50における色再現面積(2)を求めた。
色再現率を(面積(2)/面積(1))×100として下記評価基準に従って評価した。C以上が実用可能である。
A:95%以上
B:90%以上、95%未満
C:80%以上、90%未満
D:80%未満
<色相分布>
前記彩度の評価で測定した20点のマゼンタベタ部において、測色計(トレックジャパン社製ハンディ型画像評価システム PIAS-II)を用いて測定によって得られるa*値及びb*値を用い、 h=tan-1(b*/a*)より、色相角度(h)を算出する。
前記20点の最大のhをhmax、最小のhをhminとし、hr=hmin/hmaxを色相分布として下の評価基準に従って評価した。C以上が実用可能である。
(評価基準)
A:1.00>hr≧0.975
B:0.975>hr≧0.95
D:0.95>hr≧0.90
C:0.90>hr
結果を表2に示す。
Figure 0007218501000004
実施例1~19のように、水、ジケトピロロピロール顔料、キナクリドン顔料および樹脂を含有するマゼンタインクであって、乾燥工程を有して画像を形成した場合には彩度、色再現性が良好なだけではなく、その面内分布も抑制された良好な均一画像が得られた。搬送速度が遅い場合には、彩度および色相に紙面内変動が現れ始めるため分布がやや悪くなるが、実用可能範囲内である。比較例7、8、9のように乾燥工程を行わない場合にはその分布が顕著に悪化し、実用不可能である。
比較例1、2のようにジケトピロロピロール系顔料のみを用いた場合にはその特徴的な色相から、色再現性が不十分である。比較例3,4のようにキナクリドン系顔料の場合には彩度が不十分である。比較例5,6のようにジケトピロロピロール系顔料と他顔料の併用であっても、アゾ顔料と併用した場合には彩度と色相に紙面内分布が見られ、顔料偏在による不均一画像が得られた。
400 画像形成装置
401 画像形成装置の外装
401c 装置本体のカバー
404 カートリッジホルダ
410 メインタンク
410k、410c、410m、410y ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク
411 インク収容部
413 インク排出口
414 収容容器ケース
420 機構部
434 吐出ヘッド
436 供給チューブ
特開2008-255241号公報 特許第5448735号公報 特許第5641929号公報

Claims (7)

  1. 記録媒体にインクを付与するインク付与工程と、前記インク付与工程後の前記記録媒体を乾燥する乾燥工程とを有する画像形成方法において、
    前記インク付与工程は、水、ジケトピロロピロール顔料、キナクリドン顔料および樹脂を含有するマゼンタインクを付与するマゼンタインク付与工程を有し、
    前記乾燥工程が30~150メートル/分の搬送速度及び80~140℃の温度で行われることを特徴とする画像形成方法。
  2. 前記ジケトピロロピロール顔料がC.I.PR254、C.I.PR255およびC.I.PR264から選択された1種または2種以上の顔料であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記キナクリドン顔料が、C.I.PR122、C.I.PR202およびC.I.PV19から選択された1種または2種以上の顔料であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成方法。
  4. 前記乾燥工程が50~120メートル/分の搬送速度で行われることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の画像形成方法。
  5. 前記ジケトピロロピロール顔料がC.I.PR254、C.I.PR255およびC.I.PR264から選択された顔料であり、
    前記キナクリドン顔料がC.I.PR122、C.I.PR202およびC.I.PV19から選択された1種または2種以上の顔料であり、
    前記ジケトピロロピロール顔料が2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  6. 記録媒体にインクを付与するインク付与手段と、
    前記インク付与後の前記記録媒体を乾燥する乾燥手段とを有し、
    前記インク付与手段は、水、ジケトピロロピロール顔料、キナクリドン顔料および樹脂を含有するマゼンタインクを付与するマゼンタインク付与手段を有し、
    前記乾燥手段は、30~150メートル/分の搬送速度及び80~140℃の温度で乾燥を行うことを特徴とする画像形成装置。
  7. 記録媒体にインクを付与するインク付与工程と、前記インク付与工程後の前記記録媒体を乾燥する乾燥工程とを有する印刷物の製造方法において、
    前記インク付与工程は、水、ジケトピロロピロール顔料、キナクリドン顔料および樹脂を含有するマゼンタインクを付与するマゼンタインク付与工程を有し、
    前記乾燥工程が30~150メートル/分の搬送速度及び80~140℃の温度で行われることを特徴とする印刷物の製造方法。
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