ところで、上述のような構成を有するダイヤフラム弁では、さらに、半導体製造装置においてダイヤフラム弁からのパーティクルによる液体の汚染は許されないことから、ダイヤフラム弁内の流路系統に流れる液体を、ダイヤフラムでもって、駆動機構から隔離することが必要で、そのためには、当該ダイヤフラムを、外周部、湾曲変位部及び中央部でもって一体的に構成することが要請される。
ここで、ダイヤフラムの形成材料として、PTFEを採用する場合、PTFEは、メルトフローレートが低いため、射出成形や押出成形では、良好な品質のダイヤフラムを形成することはできない。従って、ダイヤフラムは、PTFEの圧縮成形丸棒を切削加工することで形成される。
このように切削加工により形成されるPTFE製ダイヤフラムの寿命は長いものの、このようなダイヤフラムを用いたダイヤフラム弁においては、その動作に伴い、切削加工してなる湾曲変位部がその表面にて伸延或いは圧縮することから、当該湾曲変位部から微小ではあるが発塵する。但し、このような発塵は、例えば、半導体製造装置で製造されるシリコンウエハの配線ピッチが10(nm)より大きい場合は、許容範囲以内にある。
また、ダイヤフラムの形成材料として、PTFEに代えて、PFAを採用する場合、ダイヤフラムは、射出成形丸棒、圧縮成形丸棒或いは押し出し成形丸棒を切削加工することで形成される。
このように切削加工により形成されるPFA製ダイヤフラムの寿命は短い。また、このように切削加工により形成してなるPFA製ダイヤフラムを用いたダイヤフラム弁は、その動作に伴い、切削加工してなる湾曲変位部の表面にて、切削加工により形成されるPTFE製ダイヤフラムの湾曲変位部と同様に、伸延或いは圧縮することから、湾曲変位部から微小ではあるが発塵する。
ここで、ダイヤフラムの形成材料として、PFAを採用し、当該PFAを用いて射出成形により湾曲変位部の厚いものを成形するとともに切削加工することでダイヤフラムを形成する場合、射出成形や圧縮成形で厚肉形状に成形すると、湾曲変位部における結晶化が均一には起こらず、その界面が破壊の起点となるとともに寿命が短くなるため、このような湾曲変位部を有するダイヤフラムは、殆ど採用されていない。
一方、近年、半導体製造装置による半導体素子、例えば、シリコンウエハの製造にあたり、さらなる微細化が要請されている。例えば、シリコンウエハにおける配線ピッチを10(nm)以下にしたいという要請がある。従って、ダイヤフラム弁からの発塵は、数nmサイズのパーティクルの発塵さえも許されない状況となっている。
しかるに、上述したごとく、切削加工により形成したダイヤフラムを用いたダイヤフラム弁は、その動作に伴い、切削加工してなる湾曲変位部の表面にて伸延や圧縮を生じ、これに伴い、湾曲変位部から微小ではあるが、発塵する。
このようなことでは、上述したダイヤフラム弁からの数nmサイズのパーティクルの発塵さえも許されない状況には対応し得ず、切削加工してなる湾曲変位部を有するダイヤフラムに対して、さらなる改良が要請される。
これに対しては、PFA製のフィルムは、薄肉であるため、結晶化を均一にし得ることから、当該PFA製のフィルムを、押出成形や圧縮成形により形成して、少なくともダイヤフラムの湾曲変位部として採用すれば、上述したダイヤフラムの改良につながるものと認識した。
ところで、上記ダイヤフラム弁においては、その構成上、駆動機構によりダイヤフラムを湾曲状に変位させるにあたり、ダイヤフラムは、その中央部にて、駆動機構の駆動軸に連結される。
しかしながら、ダイヤフラムが上述のようにフィルム状であって非常に薄いことから、当該ダイヤフラムの中央部において、駆動機構の駆動軸と連結するに要する連結部を形成することはできない。従って、当該連結部なくして、ダイヤフラムの中央部を駆動機構の駆動軸と連結することは極めて困難である。
これに対しては、上記特許文献1に記載の樹脂ダイヤフラムのシール方法によるレーザー溶接を適用してなるダイヤフラム弁の構成を利用することが考えられる。
当該特許文献1にいうダイヤフラム弁においては、シール目的ではあるが、ダイヤフラムが、そのフランジ部にて、弁体室を密封するように、下ハウジングのフランジ部とレーザー溶接されている。このようなことに着目して、レーザー溶接を、PFA製ダイヤフラムの中央部と駆動機構の駆動軸との連結に利用することは可能であろうと推測される。
一方、このようなことから、PFA製ダイヤフラムの中央部と駆動機構の駆動軸との連結がレーザー溶接による接合でもって実現しても、当該ダイヤフラム弁の閉弁時には、ピストンが、コイルスプリングの付勢力に応じてピストン軸を液圧に抗してダイヤフラムの中央部を介し環状弁座に着座させる。このことは、ダイヤフラムがその中央部にて環状弁座に着座することを意味する。このとき、環状弁座に着座したダイヤフラムの中央部に加わるピストン軸の衝撃力は、コイルスプリングのばね荷重の大きさにより決まる。
ここで、コイルスプリングのばね荷重としては、ダイヤフラムを液体の圧力に抗して中央部にて適正速度で環状弁座に着座させるに要する荷重に加え、ダイヤフラムの荒れた面を均す荷重が必要とされる。このため、コイルスプリングのばね荷重は必然的に大きくならざるを得ず、これに伴い、環状弁座に着座したダイヤフラムの中央部に加わるピストン軸の衝撃力は、コイルスプリングのばね荷重が大きい程大きくなる。
このようなことから、上述の衝撃力が、繰り返し、環状弁座に着座したダイヤフラムの中央部に加わると、ダイヤフラムがその中央部にて破損して、当該破損に伴うダイヤフラムの破損部分が、微小なパーティクルとなって液体内に混入し易い。これでは、液体を清浄には維持できない。このようなことは、ダイヤフラムが上述のようにフィルムのように薄ければ、より一層著しい。従って、ダイヤフラムがフィルムのように薄くても、上述した衝撃力により生じがちなダイヤフラムの中央部の破損等の損傷に起因する微小なパーティクルの発生や当該パーティクルの液体への混入をできる限り抑制する必要がある。
そこで、本発明は、以上のようなことに対処するため、屈曲性や長寿命性を確保し得るようなフィルム状のPFAを、数nm程度の発塵をも最少に抑制し得るダイヤフラムの形成材料として選択するとともに、ダイヤフラムがフィルムのように薄くても駆動手段の駆動軸によるダイヤフラムの中央部に対する衝撃力をできる限り緩和して、当該衝撃力により生じがちなダイヤフラムの中央部の損傷に起因する微小な発塵や当該発塵の液体への混入をできる限り抑制するようにしたダイヤフラム弁を提供することを目的とする。
上記課題の解決にあたり、本発明に係るダイヤフラム弁は、請求項1の記載によれば、弁部の開弁に伴い高純度薬液や超純水の液体を流入側から流出側へ流動させ、また、上記弁部の閉弁に伴い液体の上記流出側への流動を遮断するものである。
当該ダイヤフラム弁において、
筒状周壁(130、112)及び当該筒状周壁にその軸方向両端開口部を閉塞するように互いに対向して形成してなる両対向壁(110a、140)を有するハウジング(100、100a、100b)と、
筒状周壁の軸方向中間部位に設けられて両対向壁の一方の対向壁(140)との間にて一側中空部を形成するとともに他方の対向壁(110a)との間にて他側中空部を形成するように筒状周壁の内部を区画する隔壁(120)と、
筒状周壁の上記一側中空部内に設けられる駆動手段(300)と、
筒状周壁の上記他側中空部内に設けられて他方の対向壁(110a)との間にて液体室(Ra)を形成するとともに隔壁(120)との間にて空気室(Rb)を形成するように上記他側中空部を区画するPFA製のフィルム状ダイヤフラム(200a)と、
筒状周壁の上記他側中空部内にてダイヤフラムの上面にその外周部に沿うようにレーザー溶接により接合してなるフッ素樹脂製環状補強体(200b)とを備えており、
ハウジングは、液体室内にてダイヤフラムの中央部(220)に対向して当該中央部と共に弁部を構成する環状弁座部(113、116)、液体を上記流入側から上記環状弁座部を介し液体室内に流入させる一側流路及び液体室内の液体を上記流出側へ流出させる他側流路を他方の対向壁(110a)に設けてなり、
駆動手段は、上記一側中空部から隔壁(120)及び空気室(Rb)を通りダイヤフラムの上記中央部に対向するように軸動可能に延出する駆動軸(320、320b、320c)と、当該駆動軸をダイヤフラムの上記中央部に向けて付勢する付勢手段(330)と、当該駆動軸の延出端部(323、325)にダイヤフラムの上記中央部に対向するように組み付けられる弾性ゴム材料製の緩衝体(340、420)とを具備してなることを特徴とする。
このような構成によれば、ダイヤフラムは、PFAでもってフィルム状のダイヤフラムとして形成されている。従って、当該ダイヤフラムは、フィルム状であっても、耐薬品性、低溶出性、屈曲性や長寿命性に優れたダイヤフラムであって発塵性を最少(最小限)に抑制し得るダイヤフラムとして形成され得る。
また、上述のごとく、フッ素樹脂製環状補強体が、ダイヤフラムの上面にその外周部に沿うようにレーザー溶接により接合されている。これによれば、ダイヤフラムがフィルムのように薄いために取扱いにくくても、上述のようなダイヤフラムの外周部と環状補強体とのレーザー溶着による接合構成でもって、環状補強体が、ダイヤフラムに対し補強機能を発揮し得る。従って、ダイヤフラムが薄くても曲がったりすることなく容易に取り扱われ得る。
ここで、上述のように、緩衝体が、弾性ゴム材料により形成されて、駆動手段の駆動軸の延出端部とダイヤフラムの中央部との間にて駆動軸の延出端部に組み付けられている。
このため、ダイヤフラム弁の閉弁の際には、駆動軸が付勢手段の付勢力を受けて液体室内の液圧に抗して他方の対向壁側へ軸動すると、ダイヤフラムは、当該駆動軸の延出端部に組み付けてなる緩衝体により押動されて湾曲し、中央部にて、環状弁座部に着座する。これに伴い、駆動軸が、付勢手段による付勢力に起因する衝撃力を、緩衝体を介し、環状弁座部に着座したダイヤフラムの中央部に加える。
ここで、緩衝体が、弾性ゴム材料からなるため、当該緩衝体は、その弾性により、駆動軸からの衝撃力を緩和してダイヤフラムの中央部に加える。
このため、ダイヤフラム弁の閉弁が繰り返されても、当該閉弁ごとに、駆動軸からダイヤフラムの中央部に加わる衝撃力が緩衝体の弾性でもって緩和される。従って、ダイヤフラムがフィルムのように薄くても、上述のような衝撃力の緩和のため、当該ダイヤフラムの中央部の衝撃力による損傷が最少に抑制され得る。これにより、ダイヤフラムの中央部からの発塵が最少に抑制されて、当該発塵の液体内への混入も最少に抑制され得る。
また、上述のように緩衝体が、駆動軸により、環状弁座部に着座したダイヤフラムの中央部に押圧されたとき、弾性ゴム材料からなる緩衝体は、その弾性のもとにダイヤフラムの中央部に押圧される。このため、ダイヤフラムの上面に荒れが生じていても、緩衝体は、ダイヤフラムの上面の荒れのうちの中央部の荒れを均すことなく当該荒れになじむようにして当該中央部に当接する。従って、付勢手段の付勢力は、液圧に対応する力よりも大きければ、ダイヤフラムの上面の荒れを均すに要する付勢力分は少なくとも軽減し得る。
一方、ダイヤフラム弁の開弁の際には、駆動軸が、付勢手段の付勢力に抗して一方の対向壁側へ軸動すると、当該駆動軸の延出端部に組み付けてなる緩衝体が、駆動軸の一方の対向壁側へ軸動に伴い、環状弁座部に着座したダイヤフラムの中央部から離れる。これに伴い、ダイヤフラムは、その弾力或いは当該弾力及び液体室内の液圧の双方の作用を受けて、原形状に復帰して、中央部にて環状弁座部から分離する。これにより、流入側から流出側へ液体を流動させる。
ここで、当該液体には、上述のようにダイヤフラム弁の閉弁時に生じがちなダイヤフラムからの発塵が最少に抑制されるとともに、ダイヤフラム弁の開弁時にダイヤフラムの中央部が環状弁座部から分離する際の当該中央部からの発塵も、ダイヤフラムがPFAからなることから最少に抑制され得る。従って、流出側へ流動する液体に対するダイヤフラムの発塵の混入は最少に抑制され得る。その結果、半導体素子の製造に用いられる液体は清浄に維持され得る。
また、本発明に係るダイヤフラム弁は、請求項2の記載によれば、
弁部の開弁に伴い高純度薬液や超純水の液体を流入側から流出側へ流動させ、また、上記弁部の閉弁に伴い液体の上記流出側への流動を遮断するものである。
当該ダイヤフラム弁において、
筒状周壁(130、112)及び当該筒状周壁にその軸方向両端開口部を閉塞するように互いに対向して形成してなる両対向壁(110a、140)を有するハウジング(100、100a、100b)と、
筒状周壁の軸方向中間部位に設けられて両対向壁の一方の対向壁(140)との間にて一側中空部を形成するとともに他方の対向壁(110a)との間にて他側中空部を形成するように筒状周壁の内部を区画する隔壁(120)と、
筒状周壁の上記一側中空部内に設けられる駆動手段(300)と、
筒状周壁の上記他側中空部内に設けられて他方の対向壁(110a)との間にて液体室(Ra)を形成するとともに隔壁(120)との間にて空気室(Rb)を形成するように上記他側中空部を区画するPFA製のフィルム状ダイヤフラム(200a)と、
当該ダイヤフラムの上面にその外周部(210)に沿うように積層される環状補強体(410)と、ダイヤフラムの中央部(220)に当該ダイヤフラムの上記上面側から対向するように環状補強体よりも上側にて位置する緩衝体(420)と、ダイヤフラムにおいてその外周部と上記中央部との間に一体的に形成してなる湾曲変位部(230)にダイヤフラムの上記上面側から対向して環状補強体の内周部から傾斜状に緩衝体に向けて延出し当該緩衝体の外周部に連結される連結膜(430)とを有するように、弾性ゴム材料でもって一体的に形成してなる補強緩衝部材(400a)とを備えており、
ハウジングは、液体室内にてダイヤフラムの上記中央部に対向して当該中央部と共に上記弁部を構成する環状弁座部(113、116)、液体を上記流入側から上記環状弁座部を介し液体室内に流入させる一側流路及び液体室内の液体を上記流出側へ流出させる他側流路を他方の対向壁(110a)に設けてなり、
駆動手段は、上記一側中空部から隔壁(120)及び空気室(Rb)を通り緩衝体を介しダイヤフラムの上記中央部に対向するように軸動可能に延出する駆動軸(320、320b、320c)と、当該駆動軸をダイヤフラムの上記中央部に向けて付勢する付勢手段(330)とを具備してなることを特徴とする。
このような構成によれば、ダイヤフラムは、請求項1に記載の発明と同様に、PFAでもってフィルム状のダイヤフラムとして形成されていることから、当該ダイヤフラムは、フィルム状であっても、耐薬品性、低溶出性、屈曲性や長寿命性に優れたダイヤフラムであって発塵性を最少(最小限)に抑制し得るダイヤフラムとして形成され得る。
ここで、上述のごとく、請求項1に記載の緩衝体とは異なる補強緩衝部材が、環状補強体、連結膜及び緩衝体を有するように弾性ゴム材料でもって一体的に形成されており、当該補強緩衝部材は、環状補強体にて、ダイヤフラムの上面にその外周部に沿うように積層されている。また、緩衝体は、環状補強体よりも上側にて駆動軸とダイヤフラムの中央部との間に位置し、連結膜は、ダイヤフラムの湾曲変位部に対向するように、環状補強体の内周部から上側に位置する緩衝体に向けて傾斜状に延出し当該緩衝体の外周部に連結されている。
ここで、当該補強緩衝部材においては、環状補強体が、上述のごとく、ダイヤフラムの上面にその外周部に沿うように積層されている。このため、ダイヤフラムがフィルムのように薄いために取扱いにくくても、環状補強体が弾性ゴム材料からなることから、上述のようなダイヤフラムの外周部と環状補強体との積層構成でもって、環状補強体が、その弾力に基づき、ダイヤフラムに対し補強機能を良好に発揮し得る。
また、ダイヤフラム弁の閉弁の際には、駆動軸が付勢手段の付勢力を受けて液体室内の液圧に抗して他方の対向壁側へ軸動すると、補強緩衝部材が、その緩衝体にて、駆動軸によりその他方の対向壁側への軸動方向に傾斜状の連結膜を変形させながら押動され、ダイヤフラムが、その中央部にて、緩衝体によりその押動方向に押動されて、湾曲変位部を湾曲させながら環状弁座部に着座する。これに伴い、駆動軸が、付勢手段による付勢力に起因する衝撃力を、補強緩衝部材の緩衝体を介し、環状弁座部に着座したダイヤフラムの中央部に加える。
ここで、補強緩衝部材において、緩衝体が連結膜及び環状補強体と一体になっていても、当該緩衝体は、弾性ゴム材料からなるため、その弾性により、駆動軸からの衝撃力を緩和してダイヤフラムの中央部に加える。
このため、ダイヤフラム弁の閉弁が繰り返されても、当該閉弁ごとに、駆動軸からダイヤフラムの中央部に加わる衝撃力が環状補強体の緩衝体の弾性でもって緩和される。従って、ダイヤフラムがフィルムのように薄くても、上述のような衝撃力の緩和のため、当該ダイヤフラムの中央部の衝撃力による損傷が最少に抑制され得る。これにより、ダイヤフラムの中央部からの発塵が最少に抑制されて、当該発塵の液体内への混入も最少に抑制され得る。
また、上述のように補強緩衝部材において、緩衝体が、駆動軸により、環状弁座部に着座したダイヤフラムの中央部に押圧されたとき、弾性ゴム材料からなる緩衝体は、その弾性のもとにダイヤフラムの中央部に押圧される。このため、ダイヤフラムの上面に荒れが生じていても、緩衝体は、ダイヤフラムの上面の荒れのうちの中央部の荒れを均すことなく当該荒れになじむようにして当該中央部に当接する。従って、付勢手段の付勢力は、液圧に対応する力よりも大きければ、ダイヤフラムの上面の荒れを均すに要する付勢力分は少なくとも軽減し得る。
一方、ダイヤフラム弁の開弁の際には、駆動軸が、付勢手段の付勢力に抗して一方の対向壁側へ軸動すると、補強環状体が弾性ゴム材料からなるため、連結膜が、駆動軸の一方の対向壁側への軸動に伴い環状補強体から上側へ傾斜状に延出して原形状に復帰して緩衝体をダイヤフラムの中央部から離してその上側へ変位させる。これに伴い、ダイヤフラムは、その弾力或いは当該弾力及び液体室内の液圧の双方の作用を受けて、原形状に復帰して、中央部にて環状弁座部から分離する。このとき、補強緩衝部材においては、連結膜が、環状補強体の中央側上方に緩衝体を位置させるように、弾性ゴム材料でもって形成されているので、連結膜の駆動軸のダイヤフラムの中央部への軸動方向に応じた変形や当該連結膜の駆動軸のダイヤフラムの中央部とは反対方向への軸動に応じた原形状への復帰でもって、緩衝体のダイヤフラムの中央部への変位及び原位置への復帰が、良好になされ得る。
これにより、流入側から流出側への液体の流動が良好になされ得る。
ここで、以上のように、補強緩衝部材が、ゴム弾性材料でもって、環状補強体、連結膜及び緩衝体からなる一体的構成として形成されていることから、環状補強体によるダイヤフラムに対する補強機能を良好に確保し得るとともに、緩衝体によりその連結膜との連携のもとに、環状弁座部に着座したダイヤフラムの中央部に対する駆動軸からの衝撃力を緩和することで、液体には、上述のようにダイヤフラム弁の閉弁時に生じがちなダイヤフラムからの発塵が最少に抑制されるとともに、ダイヤフラム弁の開弁時にダイヤフラムの中央部が環状弁座部から分離する際の当該中央部からの発塵も、ダイヤフラムがPFAからなることから最少に抑制され得る。従って、流出側へ流動する液体に対するダイヤフラムの発塵の混入は最少に抑制され得る。その結果、半導体素子の製造に用いられる液体は清浄に維持され得る。
また、本発明は、請求項3の記載によれば、請求項1に記載のダイヤフラム弁において、
緩衝体は、駆動軸の上記延出端部にその端面部(323a)側から形成してなる凹部(324)内に係脱可能に係合する係合部(340a)と、当該係合部と一体的に形成されて駆動軸の上記延出端部の上記端面部とダイヤフラムの上記中央部との間にて上記延出端部の上記端面部に当接する基部(340c、340d)とを有することを特徴とする。
これによれば、緩衝体の駆動軸の延出端部に対する組み付けがより一層具体的に達成され得る。その結果、請求項1に記載の発明の作用効果がより一層確実に達成され得る。
また、本発明の請求項4の記載によれば、請求項3に記載のダイヤフラム弁において、緩衝体の基部は、平板部(340c)であってもよい。
また、本発明の請求項5の記載によれば、請求項3に記載の発明において、
緩衝体の基部は、ダイヤフラムの上記中央部側の端面部にて当該中央部側へ凸な湾曲面部(343)に形成されており、
環状弁座部(116)は、他側流路の内端開孔部自体でもって形成されており、
緩衝体は、駆動軸により押圧されて、ダイヤフラムの上記中央部を環状弁座部内に湾曲状に押し込むように湾曲させることを特徴とする。
これによれば、緩衝体の基部は、ダイヤフラムの中央部側の端面部にて当該中央部側へ凸な湾曲面部に形成されており、環状弁座部は、他側流路の内端開孔部自体でもって形成されている。従って、環状弁座部の内径は、例えば他側流路の内端開孔部から隆起するように形成される環状弁座部の内径よりも小さいことから、ダイヤフラムの中央部に対する環状弁座部内の液体の液圧は、より一層高くなる。このため、ダイヤフラムは、その自己復帰力及び液体室内の液体の液圧の双方でもって、より一層良好に、原形状に復帰し得る。
また、本発明は、請求項6の記載によれば、請求項2に記載のダイヤフラム弁において、
補強緩衝部材は、環状補強体にて、ダイヤフラムの上記外周部を通して他方の対向壁(110a)の外周部に締着部材(411)により締着されるとともに、連結膜にて、緩衝体の外周部から環状補強体の内周部にかけて順次薄くなるとともに下に凸な湾曲形状にて末広がり状となるように形成されていることを特徴とする。
これによれば、補強緩衝部材の連結膜が、緩衝体の外周部から環状補強体の内周部にかけて順次薄くなるとともに下に凸な湾曲形状にて末広がり状となるように形成されているから、連結膜は、環状補強体の外周部側を基準に容易に湾曲により変形し得る。これにより、請求項2に記載の発明の作用効果がより一層向上され得る。
また、本発明は、請求項7の記載によれば、請求項1に記載のダイヤフラム弁において、
駆動手段は、
筒状周壁の上記一側中空部内に一方の対向壁と隔壁との間にてその軸方向に沿い摺動可能に嵌装されて一側室を一方の対向壁との間にて形成するとともに他側室を隔壁との間にて形成するように筒状周壁の上記一側中空部を区画するピストン(310)とを具備して、
付勢手段は、ピストンを他側室及び一側室のいずれか一方の室に向けて付勢するコイルスプリング(330)であり、
駆動軸は、ピストンから他側室を通りダイヤフラムの上記中央部に対向するように延出するピストン軸(320)であり、
緩衝体は、ピストン軸の延出端部とダイヤフラムの上記中央部との間にてピストン軸の延出端部に組み付けられていることを特徴とする。
これによれば、ダイヤフラム弁は、その閉弁の際には、ピストンがコイルスプリングのばね荷重を付勢力として受け液体室内の液圧に抗して他側室及び一側室のいずれか一方の室に向けて付勢されて摺動し、この摺動に連動してピストン軸が緩衝体を介しダイヤフラムをその中央部にて環状弁座部に着座させ、
一方、当該ダイヤフラム弁は、その開弁の際には、ピストンがいずれか他方の室への空気流の供給によりコイルスプリングのばね荷重に抗して摺動し、この摺動に連動してピストン軸が緩衝体と共に環状弁座部に着座してなるダイヤフラムの中央部から離れ、ダイヤフラムが、その弾力或いは当該弾力及び液体室内の液圧の双方の作用を受けて、原形状に復帰して、中央部にて環状弁座部から分離する。これにより、当該ダイヤフラム弁は、空気作動形ダイヤフラム弁として機能する。
このような空気作動形ダイヤフラム弁であっても、請求項1に記載の発明と同様の作用効果が達成され得る。
また、本発明は、請求項8の記載によれば、請求項2に記載のダイヤフラム弁において、
駆動手段は、
筒状周壁の上記一側中空部内に一方の対向壁と隔壁との間にてその軸方向に沿い摺動可能に嵌装されて一側室を一方の対向壁との間にて形成するとともに他側室を隔壁との間にて形成するように筒状周壁の上記一側中空部を区画するピストン(310)とを具備して、
付勢手段は、ピストンを他側室及び一側室のいずれか一方の室に向けて付勢するコイルスプリング(330)であり、
駆動軸は、ピストンから他側室を通り補強緩衝部材の緩衝体を介しダイヤフラムの上記中央部に対向するように延出するピストン軸(320)であることを特徴とする。
このような構成によれば、ダイヤフラム弁の閉弁の際には、ピストンがコイルスプリングのばね荷重を付勢力として受けることで、液体室内の液圧に抗して他側室及び一側室のいずれか一方の室に向けて他方の対向壁側へ付勢されて摺動し、この摺動に連動して、ピストン軸がダイヤフラムの中央部に向けて軸動し、補強緩衝部材が、その緩衝体にて、ピストン軸により、そのダイヤフラムの中央部への軸動に伴い傾斜状の連結膜を変形させながら、押動され、ダイヤフラムが、その中央部にて、緩衝体によりその押動方向に押動されて、湾曲変位部を湾曲させながら環状弁座部に着座させ、
一方、当該ダイヤフラム弁の開弁の際には、ピストンがいずれか他方の室への空気流の供給によりコイルスプリングのばね荷重に抗して摺動し、この摺動に連動して、ピストン軸が、その延出端部にて、補強緩衝部材の緩衝体から離れ、これに伴い、連結膜が、環状補強体から上側へ傾斜状に延出するように原形状に復帰して緩衝体をダイヤフラムの中央部から離してその上側へ変位させ、ダイヤフラムは、その弾力或いは当該弾力及び液体室内の液圧の双方の作用を受けて、原形状に復帰して、中央部にて環状弁座部から分離する。これにより、当該ダイヤフラム弁は空気作動形ダイヤフラム弁として機能する。
このような空気作動形ダイヤフラム弁であっても、請求項2に記載の発明と同様の作用効果が達成され得る。
また、本発明は、請求項9の記載によれば、請求項1~8のいずれか1つに記載のダイヤフラム弁において、ダイヤフラムは、PFAを押し出し成形或いは圧縮成形することにより、フィルム状に形成されていることを特徴とする。
このような構成によれば、ダイヤフラム弁において、ダイヤフラムが、PFAを押し出し成形或いは圧縮成形することにより、フィルム状に形成されている。これにより、切削加工によるダイヤフラムの形成に比べて発塵は少なく、特に数nmサイズのパーティクル等の発塵さえも最少(最小限)に抑制し得るような平滑度の高い面を有するダイヤフラムであって耐薬品性、低溶出性、屈曲性や長寿命性に優れたダイヤフラムの形成が可能である。
また、上述のように、ダイヤフラムが、PFAを押し出し成形或いは圧縮成形することにより、フィルム状に形成されているので、ダイヤフラムは、その湾曲変位部を中心として結晶化を均一にすることができ、ダイヤフラムの寿命をより一層長くし得る。以上により、請求項1~8のいずれか1つに記載の発明の作用効果がより一層向上され得る。
また、本発明は、請求項10の記載によれば、請求項9に記載のダイヤフラム弁において、
ダイヤフラムは、0.1(mm)以上で0.6(mm)以下の範囲以内の厚さを有することを特徴とする。
これによれば、請求項9に記載の発明の作用効果と同様の作用効果をより一層確実に達成し得る。ここで、ダイヤフラムの厚さを0.1(mm)以上としたのは、0.1(mm)未満では、ダイヤフラムが薄過ぎて破れ易いためである。また、0.6(mm)以下としたのは、ダイヤフラムは、0.6(mm)よりも厚いと、当該ダイヤフラムの湾曲変位部が硬すぎて敏感には変位しにくくなるとともに、ダイヤフラムにクラック等の破壊が生じ易いためである。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す。
以下、本発明の各実施形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明を適用してなるダイヤフラム弁の第1実施形態を示している。当該ダイヤフラム弁としては、半導体素子を製造する半導体製造装置に適用される空気作動形ダイヤフラム弁が採用される。
当該ダイヤフラム弁は、上記半導体製造装置の配管系統内に介装されて、当該配管系統を流れる液体をその上流側から下流側へ流動させるように構成されている。本第1実施形態において、上記液体は、高純度薬液や超純水の液体をいい、上記半導体製造装置の液体供給源から上記配管系統に供給されるようになっている。また、当該液体には、上記半導体製造装置としての性格上、清浄であることが要請される。
当該ダイヤフラム弁は、図1或いは図2にて示すごとく、筒状ハウジング100と、当該筒状ハウジング100内に組み付けられるダイヤフラム部材200及び空気作動形駆動機構300とを備えて、常閉型ダイヤフラム弁として構成されている。なお、本第1実施形態において、空気作動形駆動機構300は、以下、駆動機構300ともいう。
筒状ハウジング100は、下側ハウジング部材100a及び上側ハウジング部材100bにより構成されている。
下側ハウジング部材100aは、図1或いは図2にて示すごとく、底壁110と、隔壁120とを備えており、底壁110は、底壁本体110a、一側筒110b及び他側筒110cでもって構成されている。
底壁本体110aは、横断面矩形状に形成されており、当該底壁本体110aは、図1にて示すごとく、下壁111と、当該下壁111から上方へ同軸的に延出する環状壁112とを有している。
ここで、環状壁112は、下壁111の外周部から上方へ同軸的に延出されており、当該環状壁112は、内側環状壁部112a及び外側環状壁部112bでもって構成されている。内側環状壁部112aは、環状壁112の中央側に形成されており、外側環状壁部112bは、内側環状壁部112aの外周側にて当該内側環状壁部112aよりも上方へ環状に突出するように形成されている。
また、当該底壁本体110aは、環状弁座部113を有しており、当該環状弁座部113は、下壁111の上面中央部、即ち、一側流路部114(後述する)の内端開孔部から隔壁120側へ同軸的にかつ環状に隆起するように形成されている。ここで、当該環状弁座部113は一側流路部114(後述する)の内端開孔部内に連通するように形成されている。
底壁本体110aは、一側流路部114及び他側流路部115を有しており、一側流路部114は、下壁111内にて、環状弁座部113から一側筒110bに向けてL字状に延出するように形成されている。当該一側流路部114は、その内端開孔部にて環状弁座部113内に連通するようになっている。
一方、他側流路部115は、下壁111の上面右側部から他側筒110cに向けて延出するように、下壁111内にてL字状に形成されている。ここで、当該他側流路部115は、その内端開孔部にて、下壁111の上面右側部から液体室Ra(後述する)内に開口するように下壁111内に形成されている。
一側筒110bは、下壁111にその一側流路部114の外端開孔部から外方へ延出するように形成されており、当該一側筒110bは、上記配管系統の上流側に一側流路部114を連通させる役割を果たす。一方、他側筒110cは、下壁111にその他側流路部115の外端開孔部から外方へ延出するように形成されており、当該他側筒110cは、他側流路部115を上記配管系統の下流側に連通させる役割を果たす。
隔壁120は、図1にて示すごとく、隔壁本体120a及び環状フランジ120bを有している。隔壁本体120aは、その下部にて、底壁本体110aの環状壁112の外側環状壁部112b内に嵌装されており、当該隔壁本体120aは、その外周部にて、ダイヤフラム部材200の補強体200b及びダイヤフラム200a(後述する)を介し内側環状壁部112a上に着座している。
環状フランジ120bは、隔壁本体120aの軸方向中間部位から径方向に沿い外方へ環状に突出するように形成されており、当該環状フランジ120bは、底壁本体110aの環状壁112の外側環状壁部112b上に同軸的に着座している。このようにして、隔壁120は、ダイヤフラム200a及び補強体200bを介して、底壁本体110aにその上方から同軸的に組み付けられている。
また、当該隔壁120は、連通路121を有しており、当該連通路121は、隔壁120内にて図1にて示すごとくL字状に形成されている。ここで、当該連通路121は、その外端開孔部にて、隔壁120の外部に開放されており、当該連通路121の内端開孔部は、ダイヤフラム200aと隔壁本体120aとの間に形成される空気室Rb(後述する)内に開口している。
上側ハウジング部材100bは、横断面矩形状に形成されており、当該上側ハウジング部材100bは、筒壁130と、上壁140とでもって、構成されている。筒壁130は、上壁140から下方に向け筒状に延出してなるもので、当該筒壁130の中空部131は、その内周面にて、横断面円形状に形成されている。また、当該筒壁130は、その延出端開口部にて、隔壁120の隔壁本体120aにその上方からOリング123を介し同軸的にかつ気密的に嵌装されて環状フランジ120b上に着座している。
ダイヤフラム部材200は、図1~図4のいずれかにて示すごとく、ダイヤフラム200a及び補強体200bでもって構成されている。ダイヤフラム200aは、その外周部210にて、補強体200bと共に、底壁110の底壁本体110aと隔壁120の隔壁本体120aとの間に挟持されている。これにより、当該ダイヤフラム200aは、底壁本体110aの環状壁112のうち外側環状壁部112bの内周側にて内側環状壁部112aとの間に液体室Raを形成するとともに隔壁本体120aとの間に空気室Rbを形成するように下側ハウジング部材100aの内部における内側環状壁部112aと隔壁本体120aとの間の空間部を区画する。
ここで、液体室Raには、上記半導体製造装置の配管系統の上流側から一側筒110b及び底壁110の一側流路部114を通り流動する液体が環状弁座部113を通り流入する。これにより、当該液体が液体室Ra内にてダイヤフラム200aの下面250に作用する液圧を発生する。一方、空気室Rbには、外気が隔壁120の連通路121を通り流入する。これにより、当該外気が空気室Rb内にてダイヤフラム200aの上面240に作用する空気圧(大気圧)を発生する。
ダイヤフラム200aは、所定のフッ素樹脂でもって、円板状かつフィルム状のダイヤフラムとして形成されている(図4(b)参照)。
本第1実施形態において、ダイヤフラム200aは、ダイヤフラム弁としての構成上、強酸・強アルカリ等の腐食性の高い薬液等の高純度薬液と接触するから、当該ダイヤフラム200aは、耐酸性や耐アルカリ性等の耐薬品性に優れることが望ましい。
また、ダイヤフラム弁のダイヤフラム200aやその他の構成部材からの金属成分や有機物成分の溶出は許されないことから、少なくともダイヤフラムの形成材料としては、低溶出性を有するフッ素樹脂を採用することが望ましい。
また、ダイヤフラム200aは、ダイヤフラム弁の開閉毎に湾曲変位を繰り返すことから、少なくとも屈曲性や長寿命性に優れることが望ましい。
そこで、本第1実施形態では、上記所定のフッ素樹脂として、耐薬品性、低溶出性、耐熱性や耐食性に優れ、かつ、屈曲性や長寿命性を確保し得るテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が採用されている。なお、本第1実施形態においては、筒状ハウジング100及び隔壁120の各形成材料としても、PFAが採用されている。
また、当該ダイヤフラム200aは、外周部210、中央部220及び湾曲変位部230からなるフィルム状のダイヤフラムとして、所定の厚さ範囲以内の厚さ、例えば、0.5(mm)を有するようにPFAでもって一体的に形成されている。
本第1実施形態において、上記所定の厚さ範囲は、0.1(mm)以上で0.6(mm)以下の厚さ範囲をいう。ここで、0.1(mm)以上としたのは、0.1(mm)未満では、ダイヤフラム200aが薄過ぎて破れ易いためである。また、0.6(mm)以下としたのは、ダイヤフラム200aが0.6(mm)よりも厚いと、当該ダイヤフラムの湾曲変位部が硬すぎて敏感には変位しにくくなるとともに、ダイヤフラムにクラック等の破壊が生じ易いためである。
以上のように構成してなるダイヤフラム200aは、その中央部220にて、環状弁座部113に対向する弁体部(以下、弁体部220ともいう)としての役割を果たす。このことは、弁体部220が、環状弁座部113と共に、ダイヤフラム弁の弁部を構成することを意味する。なお、フィルム状のダイヤフラム200aのうち湾曲変位部230は、当該フィルム状のダイヤフラム200aの外周部210と中央部220との間のフィルム状部位をいう。
補強体200bは、フィルム状のダイヤフラム200aをその外周部210側から補強する役割を果たすもので、当該補強体200bは、環状に形成されて、ダイヤフラム200aの外周部210に沿い当該ダイヤフラム200aの上面240側からレーザー溶接により接合されている。これにより、補強体200bは、ダイヤフラム200aの外周部210と一体的に形成されている。このことは、ダイヤフラム部材200は、ダイヤフラム200a及び補強体200bでもって、一体的に形成されていることを意味する。なお、以下、補強体200bは、環状補強体200bともいう。
本第1実施形態では、当該環状補強体200bは、PFAを用いて円柱状に射出成形した後環状に切削することで、形成されている(図4(a)参照)。ここで、補強体200bは、ダイヤフラム200aの外径に等しい外径を有しており、当該補強体200bの軸方向幅及び厚さは、フィルム状のダイヤフラム200aを補強して取り扱い易くするに適した各値に設定されている。
駆動機構300は、図1及び図2のいずれかにて示すごとく、ハウジング100の内部に組み付けられている。当該駆動機構300は、ピストン310と、ピストン軸320と、コイルスプリング330と、緩衝体340とにより構成されている。
ピストン310は、図1及び図2のいずれかにて示すごとく、ハウジング部材100bの筒壁130の中空部131内に、Oリング311を介し、気密的にかつ摺動可能に嵌装されており、当該ピストン310は、上壁140側にて上側室131aを形成するとともに隔壁120側にて下側室131bを形成するように、筒壁130の中空部131を区画している。なお、本第1実施形態において、Oリング311は、ピストン310の軸方向中間部位に形成してなる環状溝部312(図5参照)内に嵌装されて、筒壁130の内周面とピストン310の外周面との間を気密的に保持する役割を果たす。また、ピストン310は、ピストン軸320とともに、PFAでもって形成されている。
ここで、上側室131aは、ハウジング部材100bの上壁140に形成してなる環状溝部141、連通路部142及び開孔部143を通りハウジング部材100bの外部に開放されている。
環状溝部141は、上側室131a側から上壁140の中央部内に同軸的に環状に形成されている。開孔部143は、上壁140の外周部内に形成されており、連通路部142は、環状溝部141を開孔部143に連通させるように、上壁140の外周部内に形成されている。
一方、下側室131bは、筒壁130に形成してなる連通路部133及び開孔部134を介し圧縮空気流供給源(図示しない)に接続されている。これにより、下側室131bの内部には、上記圧縮空気流供給源からの圧縮空気流が一定の圧力にて開孔部134及び連通路部133を通り供給されるようになっている。本第1実施形態では、上記一定の圧力は、ピストン310をコイルスプリング330の付勢力に抗して適正な速度にて摺動させ得るような当該コイルスプリング330のばね荷重よりも大きな値に設定されている。なお、開孔部134は、開孔部143の下方にて、連通路部133を通り下側室131b内に連通するように筒壁130の一部に形成されている。連通路部133は、開孔部134を下側室131bの内部に連通させるように筒壁130の一部に形成されている。
ピストン軸320は、図1、図2、図5及び図6のいずれかにて示すごとく、上側ピストン軸部320aと、下側ピストン軸部320bとにより構成されている。上側ピストン軸部320aは、ピストン310から上方へ同軸的に延出されており、当該上側ピストン軸部320aは、上側ハウジング100bの上壁140に同軸的に形成してなる中央孔部144内に上側室131aから摺動可能に嵌装されている。
下側ピストン軸部320bは、ピストン310から上側ピストン軸部320aと同軸的に下側室131b内に延出されており、当該下側ピストン軸部320bは、さらに、Oリング321を介し、隔壁120に形成してなる貫通孔部122を摺動可能に通り空気室Rb内に延出している。なお、Oリング321は、下側ピストン軸部320bの軸方向中間部位に形成してなる環状溝部322(図5参照)内に嵌装されており、当該Oリング321は、貫通孔部122の内周面と下側ピストン軸部320bの外周面との間を気密的に保持する役割を果たす。また、貫通孔部122は、隔壁本体120aの中央部に同軸的にかつ貫通状に形成されている。
コイルスプリング330は、図1及び図2のいずれかにて示すごとく、上壁140の環状溝部141内に嵌装されており、当該コイルスプリング330は、環状溝部141の底部とピストン310との間に挟持されて、ピストン310を下側室131bに向けて付勢している。
本第1実施形態において、コイルスプリング330のばね荷重は、ピストン320が、液体室Ra内に生ずる液体の液圧に抗して適正な速度にて摺動し緩衝体340(後述する)を介しダイヤフラム200aの中央部220を環状弁座部113に着座させるに要する最小限の値に設定されている。このことは、上述したコイルスプリング330の付勢力が当該コイルスプリング330のばね荷重に相当することを意味する。
緩衝体340は、後述のごとく、下側ピストン軸部320bの延出端部323(図5参照)の抜け止め用凹部324内に係脱可能に同軸的に組み付けられている(図1、図2或いは図5参照)。
当該緩衝体340は、図6にて拡大して示すごとく、円錐台状の頭部340aと、円柱状の頸部340bと、円板状の胴部340cとを一体的に有するように、弾性ゴム材料(例えば、エラストマー)でもって形成されている。
頭部340aは、その小径側上端部341から大径側下端部342にかけて末広がり状に形成されている。頸部340bは、頭部340aの大径側下端部342から同軸的にかつ円柱状に延出されており、当該頸部340bの外径は、頭部340aの大径側下端部342の外径よりも小さくなっている。また、胴部340cは、その中央上部にて頸部340bの延出端部と連結されて、当該頸部340bと共に逆T字状に形成されている。
一方、当該抜け止め用凹部324は、図5にて示すごとく、下側ピストン軸部320bの延出端部323の中央部内にその延出端面323a側から凹状に形成されている。当該抜け止め用凹部324は、収容部324a及び開口部324bでもって構成されており、収容部324aは、緩衝体340の頭部340aの大径側下端部341bの外径よりも幾分大きな内径を有するように形成されている。また、開口部324bは、頭部340aの大径側下端部342の外径よりも小さくかつ緩衝体340の頸部340bの外径よりも幾分大きな内径を有するように形成されている。
しかして、このように形成してなる抜け止め用凹部324内に対し緩衝体340を上述のごとく組み付けるにあたっては、緩衝体340が弾性ゴム材料でもって形成されていることから、当該緩衝体340の頭部340aが、その弾力に抗して、小径側上端部341側から抜け止め用凹部324の開口部324bを通り収容部324a内に嵌装される。これに伴い、緩衝体340の頭部340aが、その大径側下端部342を中心に原形状に復帰する。
これにより、緩衝体340は、頸部340bを抜け止め用凹部324の開口部324b内に位置させるようにして、頭部340aにて抜け止め用凹部324の収容部324a内に収容される。その結果、当該緩衝体340は、頭部340aにて抜け止め用凹部324の開口部324bにより抜け止めされるように、抜け止め用凹部324内に保持され得る。
また、このように緩衝体340を下側ピストン軸部320bの延出端部323の抜け止め用凹部324内に保持することで、当該緩衝体340は、その胴部340cにて、ダイヤフラム200aの中央部220に対向して位置する。
このように構成した駆動機構300において、上記圧縮空気供給源からの圧縮空気流が下側室131b内に供給されていない場合には、ピストン310が、コイルスプリング330の付勢力により下側室131b側へ摺動されて、ピストン軸320が、緩衝体340を介して、ダイヤフラム200aの中央部220(弁体部220)を環状弁座部113に着座させるように変位する。このことは、当該ダイヤフラム弁が閉弁することを意味する。
一方、上記圧縮空気供給源からの圧縮空気流が、一定の圧力にて、開孔部134及び連通路部133を通り下側室131b内に供給されると、ピストン310が、下側室131b内の圧縮空気流による一定の圧力のもとに、コイルスプリング330の付勢力に抗して、上側室131a内の空気を環状溝部141、連通路部142及び開孔部143から外部へ排出しながら当該上側室131a側へ摺動し、ピストン軸320が、ピストン310の摺動方向と同一方向に連動して、緩衝体340を、ダイヤフラム200aの中央部220から分離させる。
以上のように構成した本第1実施形態において、ダイヤフラム部材200の下側ハウジング部材100aに対する組み付けにあたっては、ダイヤフラム200aが、環状補強体200bを上側に位置させる状態にて、外周部210にて、環状補強体200bとともに下側ハウジング部材100aの環状壁112のうちの外側環状壁部112b内に嵌装されて、環状壁112のうちの内側環状壁部112a上に着座する。
この場合、ダイヤフラム部材200においては、環状補強体200bがダイヤフラム200aの外周部210に当該ダイヤフラム200aの上面240側からレーザー溶接により接合されている。このため、ダイヤフラム200aが薄いために取扱いにくくても、環状補強体200bが、ダイヤフラム200aに対しその外周部210側から補強機能を良好に発揮する。従って、ダイヤフラム200aが、環状補強体200bと共に下側ハウジング部材100aの環状壁112のうちの外側環状壁部112bの内周側に容易に嵌装され得る。
然る後は、隔壁120が、隔壁本体120aにて環状壁112のうちの外側環状壁部112bの内周側に嵌装される。これに伴い、隔壁120が、その隔壁本体120aにて、環状補強体200b及びダイヤフラム200aの外周部210を介し環状壁112の内側環状壁部112a上に着座するとともに。環状フランジ120bにて、環状壁112の外側環状壁部112b上に係合する。
このことは、ダイヤフラム部材200において、ダイヤフラム200aが、その外周部210にて、その上側に接合してなる環状補強体200bと共に、隔壁本体120aの外周部と環状壁112の内側環状壁部112aとの間に挟持されるように、隔壁120が下側ハウジング部材100aの環状壁112に組み付けられることを意味する。
ついで、図1或いは図2にて示すごとく駆動機構300を組み付けてなる上側ハウジング部材100bが、その開口端部にて、隔壁120の隔壁本体120aに嵌装されて環状フランジ120bに係合する。これに併せて、駆動機構300の下側ピストン軸部320bが、隔壁120の貫通孔部122内にOリング321を介し摺動可能に挿通されて、空気室Rb内に延出する。これにより、緩衝体340が、ダイヤフラム200aの中央部220に対向するように、下側ピストン軸部320bにより保持される。
しかして、半導体素子を上記半導体製造装置により製造するにあたり、上述のように組み付けてなるダイヤフラム弁が、閉弁状態にあるものとする(図1参照)。
このとき、当該ダイヤフラム弁においては、ピストン310が、コイルスプリング330による付勢力に基づき、上側ハウジング部材110b内において、下方へ摺動している。これに伴い、ピストン軸320が、緩衝体340を介し、ダイヤフラム200aをその中央部220である弁体部220にて環状弁座部113に着座させている。
このようなダイヤフラム弁の閉弁状態において、圧縮空気流が上記圧縮空気流供給源から一定の圧力にて上側ハウジング部材100bの開孔部134及び連通路部133を通り下側室131b内に供給され、一方、液体が上記液体供給源から上記配管系統の上流部に供給されるものとする。
上述のように圧縮空気流が上記圧縮空気流供給源から下側室131b内に供給されると、ピストン310が、ピストン軸320と共に、下側室131b内の圧縮空気流の一定の圧力に基づきコイルスプリング330の付勢力に抗して、上側室131a内の空気を環状溝部141、連通路部142及び開孔部143から外部へ排出しながら当該上側室131a側へ上側ハウジング部材100bの中空部131を通り摺動する。これに伴い、緩衝体340が、ピストン軸320と一体となって、ダイヤフラム200aの中央部220から分離する(図2参照)。
一方、上述のように液体が上記液体供給源から上記配管系統の上流部に供給されると、当該液体が、一側筒110b、一側流路部114及び環状弁座部113を通り液体室Ra内に流入する。これに伴い、液体室Ra内に流入する液体の液圧がダイヤフラム200aにその下面250側から作用する。
ここで、上述のように、緩衝体340がダイヤフラム200aの中央部220から分離すると、ダイヤフラム部材200においては、ダイヤフラム200aが、その弾性力でもって空気室Rb側へ自力でもって原形状に自己復帰しようとする。また、上述のように液体室Ra内の液圧がダイヤフラム250aの下側面250に作用する。
このような状態においては、ダイヤフラム200aが原形状への自己復帰可能な弾性力を適正に自己復帰力として有していれば、当該ダイヤフラム200aは、その中央部220及び湾曲変位部230にて、原形状に自己復帰し得る。また、このようなダイヤフラム200aの自己復帰に要する弾性力が不足していても、上述のように液体室Ra内にてダイヤフラム200aに作用する液体の液圧が、ダイヤフラム200aの自己復帰を助勢する役割を果たす。このことは、ダイヤフラム200aが、その自己復帰力及び液体の液圧の双方でもって、ピストン320による引張り力がなくても、良好に、原形状に復帰し得ることを意味する。
以上のようなことから、ダイヤフラム200aは、その中央部220及び湾曲変位部230にて、原形状に復帰して環状弁座部113から良好に分離し得る。これにより、ダイヤフラム弁が開弁状態になる。これに伴い、上述のように液体室Ra内に流入する液体は、他側流路部115及び他側筒110cを通り上記配管系統の下流部内に流出する。
このような状態において、当該ダイヤフラム弁が経時的に閉弁及び開弁を繰り返す場合、当該ダイヤフラム弁の閉弁ごとに、駆動機構300において、ピストン310が、コイルスプリング330のばね荷重のもとに下側室131b側へ摺動することで、ピストン軸320が、緩衝体340を介しダイヤフラム200aの中央部220を環状弁座部113に着座させる。換言すれば、当該ダイヤフラム弁の閉弁ごとに、ピストン軸320が、コイルスプリング330のばね荷重に起因して、緩衝体340を介し、環状弁座部113に着座したダイヤフラム200aの中央部220に対し衝撃力を加えることになる。
ここで、ダイヤフラム200aは、上述のごとく、PFAでもって押し出し成形により形成されたフィルム状のダイヤフラムである。このため、当該ダイヤフラム200aは、その両面にて、良好な平滑面となっている。
従って、ダイヤフラム弁が上述のようなピストン軸320による繰り返しの作動状態にあっても、切削痕に起因するようなパーティクルが、ダイヤフラム200aの液体との接触により当該ダイヤフラム200aから剥離されて液体内に混入するという事態を生じないのは勿論のこと、数nmサイズの微小なパーティクルの液体内への混入さえも最少(最小限)に抑制し得る。
また、上述のように、コイルスプリング330のばね荷重は、ピストン310及びピストン軸320を、液体室Ra内に生ずる液体の液圧に抗して適正な速度にて摺動し、ピストン軸320を、緩衝体340(後述する)を介しダイヤフラム200aをその中央部220にて環状弁座部113に着座させるに要する最小限の値に設定されている。
このため、コイルスプリング330のばね荷重は、少なくとも、ダイヤフラム200aの面の荒れを均すに要する荷重分だけは小さくなっている。しかも、緩衝体340は、弾性ゴムにより形成されていることから、当該緩衝体340は、柔軟な弾力性を発揮し得る。
従って、上述のようにピストン軸320による衝撃力が、緩衝体340を介し、環状弁座部113に着座したダイヤフラム200aの中央部220に加わっても、当該衝撃力は、緩衝体340により緩和されて、環状弁座部113に着座したダイヤフラム200aの中央部220に加わることになる。しかも、コイルスプリング330のばね荷重は、上述のようにダイヤフラム200aの面の荒れを均すに要する荷重分を含んでいないため、上述の衝撃力によっては、ダイヤフラム200aの中央部220の面の荒れを均すことはできないが、緩衝体340は、上述のごとく柔軟な弾性力を有することから、ダイヤフラム200aの中央部220の面の荒れになじむようにして環状弁座部113に着座したダイヤフラム200aの中央部220に当接することとなる。
このため、上述のごとく、ダイヤフラム200aがフィルム状のダイヤフラムであって非常に薄いにもかかわらず、ピストン軸320による衝撃力が、環状弁座部113に着座したダイヤフラム200aの中央部220に繰り返し加わっても、ダイヤフラム200aの中央部220は破損等損傷しにくく、ダイヤフラム200aの寿命を長く維持し得るのは勿論のこと、損傷によるパーティクルの発生や当該パーティクルの液体室Ra内の液体内への混入を招くことがない。
以上のようなことから、液体室Ra内にて流入する液体は、数nmサイズの微小なパーティクルの混入さえも最少に抑制することで、実質的に清浄に維持されて、連通路部115及び他側筒110cを通り上記配管系統の下流部内に流出する。
従って、上記配管系統の下流部内に流出した液体が、半導体素子の製造にあたり、例えば、例えば10(nm)以下の配線ピッチを有する半導体ウェハーの表面に沿い流動しても、数nmサイズのパーティクルが当該半導体ウェハーの表面に付着して配線間の短絡その他の異常を招くことはない。その結果、製造された半導体素子の品質が良好に維持され得る。
また、フィルム状のダイヤフラム200aは、上述のごとく、PFAを用いた押し出し成形により形成されているから、数nmサイズのパーティクルの発塵をも最少に抑制し得るとともに屈曲性に優れ長寿命を維持し得るダイヤフラムとして形成され得る。従って、このようなダイヤフラム200aを有するダイヤフラム弁が半導体製造装置に適用されても、ダイヤフラム200aが長期に亘り屈曲作動を良好に維持することから、当該ダイヤフラム弁は、半導体製造装置に適用されるダイヤフラム弁として、長期に亘り良好な機能を維持し得る。
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態を示している。当該第2実施形態では、空気作動形ダイヤフラム弁が、上記第1実施形態にて述べた緩衝体340に代えて、図7~図9のいずれかにて示すような縦断面形状を有する緩衝体を採用してなるものである。なお、本第2実施形態にいう緩衝体も、上記第1実施形態にて述べた緩衝体340と同様に、符号340にて示すこととする。
本第2実施形態にいう緩衝体340は、上記第1実施形態にて述べた緩衝体340において、円板状の胴部340cに代えて、胴部340dを備えている(図7~図9のいずれ参照)。当該胴部340dは、その下面にて、上記第1実施形態にいう胴部340cの平面状下面とは異なり、下側に向けて凸な縦断面円弧状に形成されている。なお、以下、胴部340dの縦断面円弧状下面は、円弧面343ともいう。
これに伴い、本第2実施形態では、上記第1実施形態にいう底壁本体110aにおいて、環状弁座部113に代えて、環状弁座部116が採用されている。当該環状弁座部116は、上記第1実施形態にいう環状弁座部113のように一側流路部114の内端開孔部から隆起するのではなく、当該一側流路部114の内端開孔部自体より構成されている。その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
以上のように構成した本第2実施形態において、上記第1実施形態と同様に、半導体素子を上記半導体製造装置により製造するにあたり、ダイヤフラム弁が閉弁状態にあるものとする(図7参照)。
このとき、当該ダイヤフラム弁においては、ピストン310が、コイルスプリング330による付勢力に基づき、上側ハウジング部材110b内において、下方へ摺動している。これに伴い、ピストン軸320が、緩衝体340を介しダイヤフラム200aをその中央部220である弁体部220にて環状弁座部116に着座させている。
ここで、上記第1実施形態にいう緩衝体340の胴部340cが平面状下面を有するのとは異なり、本第2実施形態にいう緩衝体340の胴部340dは、その下面にて円弧面343に形成されている。従って、本第2実施形態にいう緩衝体340は、上記第1実施形態にいう緩衝体340とは異なり、円弧面343の縦断面円弧状に沿うようにダイヤフラム200aの中央部220を湾曲させて環状弁座部116に着座させている。しかも、環状弁座部116は、上記第1実施形態にて述べた環状弁座部113のように一側流路部114の内端開孔部から隆起するのではなく、当該一側流路部114の内端開孔部自体より構成されている。以上のようなことから、環状弁座部116の内径は、上記第1実施形態にて述べた環状弁座部113の内径よりも小さくなっている。
このようなダイヤフラム弁の閉弁状態において、上記第1実施形態と同様に、圧縮空気流が上記圧縮空気流供給源から下側室131b内に供給されると、ピストン310が、ピストン軸320と共に、下側室131b内の圧縮空気流の一定の圧力に基づきコイルスプリング330の付勢力に抗して、上側室131a内の空気を環状溝部141、連通路部142及び開孔部143から外部へ排出しながら当該上側室131a側へ上側ハウジング部材100bの中空部131を通り摺動する。これに伴い、緩衝体340が、ピストン軸320と一体となって、胴部340dの円弧面343にて、ダイヤフラム200aの中央部220から分離する(図8参照)。
一方、上記第1実施形態と同様に液体が一側筒110b、一側流路部114及び環状弁座部113を通り液体室Ra内に流入すると、液体室Ra内に流入する液体の液圧がダイヤフラム200aにその下面250側から作用する。
ここで、上述のように、緩衝体340が、その円弧面343にて、ダイヤフラム200aの中央部220から分離すると、ダイヤフラム部材200においては、
ダイヤフラム200aの中央部220が上述のように湾曲状に環状弁座部116に着座していることから、ダイヤフラム200aは、その弾性力でもって、中央部220及び湾曲変位部230にて、空気室Rb側へ自力でもって原形状に自己復帰しようとする。また、上述のように液体室Ra内の液圧がダイヤフラム250aの下側面250に作用する。
ここで、上述のように、緩衝体340がその円弧面343にてダイヤフラム200aの中央部220から分離すると、ダイヤフラム部材200においては、ダイヤフラム200aが、その弾性力のもとに、中央部220及び湾曲変位部230にて、空気室Rb側へ自力でもって原形状に自己復帰しようとする。また、上述のように液体室Ra内の液圧がダイヤフラム200aの下面250に作用する。
このような状態においては、ダイヤフラム200aが原形状への自己復帰可能な弾性力を適正に有していれば、当該ダイヤフラム200aは、その中央部220及び湾曲変位部230にて、原形状に自己復帰し得る。また、このようなダイヤフラム200aの自己復帰に要する弾力が不足していても、上述のように液体室Ra内にてダイヤフラム200aに作用する液圧が、ダイヤフラム200aの自己復帰を助勢する役割を果たす。
ここで、本第2実施形態では、環状弁座部116の内径は、上記第1実施形態にいう環状弁座部113の内径よりも小さいことから、ダイヤフラム200aの中央部220に対する環状弁座部116内の液体の液圧は、ダイヤフラム200aの中央部220に対する環状弁座部113内の液体の液圧よりも高くなる。このため、ダイヤフラム200aは、その自己復帰力及び液体室Ra内の液体の液圧の双方でもって、ピストン320による引張り力に依存しなくても、上記第1実施形態よりも、より一層良好に、原形状に復帰し得る。
以上のようなことから、ダイヤフラム200aは、その中央部220及び湾曲変位部230にて、原形状に復帰して環状弁座部116からより一層良好に分離し得る。これにより、ダイヤフラム弁が開弁状態になる。これに伴い、上述のように液体室Ra内に流入する液体は、他側流路部115及び他側筒110cを通り上記配管系統の下流部内に流出する。
このような状態において、当該ダイヤフラム弁が経時的に閉弁及び開弁を繰り返す場合、本第2実施形態にいう緩衝体340が、上記第1実施形態にいう緩衝体340とは異なり、胴部にて円弧面を有していても、当該ダイヤフラム弁の閉弁ごとに、ピストン軸320が、コイルスプリング330のばね荷重に起因して、緩衝体340を介し、環状弁座部116に着座したダイヤフラム200aの中央部220に対し衝撃力を加えることになる。
ここで、上述のように、コイルスプリング330の荷重は、ピストン軸320が液体室Ra内に生ずる液体の液圧に抗して適正な速度にて摺動し、本第2実施形態にいう緩衝体340を介しダイヤフラム200aの中央部220を環状弁座部113に着座させるに要する最小限の値に設定されている。これに伴い、コイルスプリング330のばね荷重は、少なくとも、ダイヤフラム200aの面の荒れを均すに要する荷重分だけ小さくなっている。しかも、本第2実施形態にいう緩衝体340は、上記第1実施形態にいう緩衝体340と同様に、弾性ゴムにより形成されていることから、当該緩衝体340は、柔軟な弾力性を発揮し得る。
従って、本第2実施形態においても、上述のようにピストン軸320による衝撃力が、緩衝体340を介し、上記第1実施形態にいう環状弁座部113に代わる環状弁座部116に着座したダイヤフラム200aの中央部220に加わっても、当該衝撃力は、緩衝体340により緩和されて、環状弁座部116に着座したダイヤフラム200aの中央部220に加わることになる。しかも、コイルスプリング330のばね荷重は、上記第1実施形態と同様に、ダイヤフラム200aの面の荒れを均すに要する荷重分を含んでいないため、上述の衝撃力によっては、ダイヤフラム200aの中央部220の湾曲面の荒れを均すことはできないが、緩衝体340は、上述のごとく柔軟な弾性力を有することから、ダイヤフラム200aの中央部220の湾曲面の荒れなじむようにして環状弁座部116に着座したダイヤフラム200aの中央部220に当接することになる。
このため、上述のごとく、ダイヤフラム200aがフィルム状のダイヤフラムであって非常に薄いにもかかわらず、ピストン軸320による衝撃力が、環状弁座部116に着座するダイヤフラム200aの中央部220に繰り返し加わっても、ダイヤフラム200aの中央部220は破損等損傷しにくく、ダイヤフラム200aの寿命を長く維持し得るのは勿論のこと、損傷によるパーティクルの発生や当該パーティクルの液体室Ra内の液体内への混入を招くこともない。その他の作用効果は上記第1実施形態と同様である。
(第3実施形態)
図10は、本発明に係るダイヤフラム弁の第3実施形態を示している。当該第3実施形態では、上記第1実施形態にて述べた駆動機構300において、ピストン軸320に代えて、ピストン軸を、図10~図12のいずれかにて示すごとく、採用するとともに、ダイヤフラム部材400を、上記第1実施形態にて述べたダイヤフラム部材200及び緩衝体340に代えて、採用する構成となっている。なお、本第3実施形態にいうピストン軸は、上記第1実施形態にいうピストン軸320と同様に、符号320により示すものとする。
本第3実施形態にいう駆動機構300において、ピストン軸320は、図10~図12のいずれかにて示すごとく、上記第1実施形態にいうピストン軸320において、下側ピストン軸部320bに代えて、下側ピストン軸部320cを有するように構成されている。
当該下側ピストン軸部320cは、図12にて拡大して示すごとく、上記第1実施形態にいう下側ピストン軸部320bにおいて、延出端部323に代えて、延出端部325を有する構成となっている。ここで、当該下側ピストン軸部320cの延出端部325は、下側ピストン軸部320bの延出端部323とは異なり、平面状の端面部325aを有するように形成されている。
これに伴い、当該下側ピストン軸部320cは、その延出端部325の平面状の端面部325aにて、緩衝体420(後述する)を介し、ダイヤフラム200aの中央部220に対向している。なお、下側ピストン軸部320cの延出端部325は、その延出端面部325aにて、緩衝体420の上面421(後述する)に係合して、当該緩衝体420をその下面422にてダイヤフラム200aの中央部220に当該ダイヤフラム200aの上面240側から係合可能に当該中央部220に対向している。
ダイヤフラム部材400は、上記第1実施形態にて述べたダイヤフラム200aと、当該ダイヤフラム200aにその上面240側から積層される補強緩衝部材400aとでもって、構成されている。
当該補強緩衝部材400aは、図10、図11及び図13のいずれにて示すごとく、補強体410と、緩衝体420と、連結膜430とを一体的に有するように、上述した弾性ゴム材料でもって形成されている。
補強体410は、上記第1実施形態にて述べた補強体200bと同様にダイヤフラム200aをその外周部210側から補強する役割を果たすもので、当該補強体410は、上記第1実施形態にて述べた補強体200bとは形成材料を異にするものの、当該補強体200bと同様の環状形状を有するように形成されている。なお、以下、補強体410は、環状補強体410ともいう。
緩衝体420は、上記第1実施形態にて述べた緩衝体340と同様にダイヤフラム200aの中央部220に対する衝撃力を緩和する役割を果たすもので、当該緩衝体420は、上記第1実施形態にて述べた緩衝体340と同様の形成材料(弾性ゴム材料)でもって、当該緩衝体340と同様の形状を有するように形成されている。
本第3実施形態では、緩衝体420は、下側ピストン軸部320cの延出端部325とダイヤフラム200aの中央部220との間に位置するように介装されている。ここで、当該緩衝体420は、その上面421にて、下側ピストン軸部320cの延出端部325の延出端面部325aに同軸的にかつ分離可能に係合しており、当該緩衝体420は、その下面422にて、ダイヤフラム200aの中央部220に同軸的に係合可能に位置している。
連結膜430は、環状補強体410と緩衝体420との間にて環状補強体410をこれら環状補強体410及び緩衝体420に一体的に連結するように形成されている。当該連結膜430は、環状補強体410の内周縁部から緩衝体420の外周縁部にかけて下に凸な湾曲状にて末すぼまり状に形成されている。換言すれば、当該連結膜430は、緩衝体420の外周縁部から環状補強体410の内周縁部にかけて下に凸な湾曲状にて末ひろがり状に形成されている。これにより、連結膜430は、その原形状において、緩衝体420を環状補強体410よりも上方に支持するように形成されている。なお、このような原形状を有する連結膜430を備えた補強緩衝部材400aは、弾性ゴム材料を用いた射出成形により形成されている。
また、連結膜430は、ダイヤフラム200aの湾曲変位部230と同様に環状に形成されており、当該連結膜430は、その厚さにて、緩衝体420の外周側から環状補強体410の内周側にかけて順次薄くなるように形成されている。 このため、当該連結膜430は、ダイヤフラム200aの湾曲変位部230に向けて湾曲し易くなっている。
また、当該連結膜430は、一対の貫通孔部431を有しており、当該一対の貫通孔部431は、連結膜430の径方向中間部位にて、周方向に等角度間隔にて形成されている。ここで、当該一対の貫通孔部431は、補強緩衝部材400aとダイヤフラム200aとの間に形成される空気室Rc(後述する)を空気室Rbに連通させる役割を果たす。なお、補強緩衝部材400aの外径は、ダイヤフラム200aの外径と一致している。
このように構成してなる補強緩衝部材400aは、図13にて示す原形状のまま、ダイヤフラム200aにその上面240側から積層されている。このとき、補強緩衝部材400aは、緩衝体420及び連結膜430をそれぞれダイヤフラム200aの中央部220及び湾曲変位部230に対向させるように、環状補強体410にて、ダイヤフラム200aの外周部210にその上側から積層されている。
これにより、連結膜430は、環状補強体410の内周縁部から下に凸な湾曲状にて末すぼまり状に上方へ立ち上がり、緩衝体420をダイヤフラム200aの中央部220の直上に保持する。その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
以上のように構成してなる本第3実施形態において、上記第1実施形態と同様に、半導体素子を上記半導体製造装置により製造するにあたり、当該ダイヤフラム弁が閉弁状態にあるものとする。
このとき、当該ダイヤフラム弁においては、ピストン310が、コイルスプリング330による付勢力(ばね荷重)に基づき、上側ハウジング部材110b内において、下方へ摺動して、下側ピストン軸部320cでもって、補強緩衝部材400aの緩衝体420を介し、ダイヤフラム200aの中央部220を環状弁座部116に着座させている(図10参照)。
このような状態では、補強緩衝部材400aにおいて、緩衝体420が、その上面421にて、下側ピストン軸部320cの延出端部325の延出端面部325aにより押圧され、連結膜430がその弾性に抗してダイヤフラム200aの湾曲変位部230側へ湾曲変位して、緩衝体420が、その下面422にてダイヤフラム200aの中央部220を押圧して環状弁座部113に着座させている。
このようなダイヤフラム弁の閉弁状態において、上記第1実施形態と同様に、圧縮空気流が上記圧縮空気流供給源から下側室131b内に供給されると、ピストン310が、ピストン軸320と共に、下側室131b内の圧縮空気流の一定の圧力に基づきコイルスプリング330の付勢力に抗して、上記第1実施形態と同様に上側室131a側へ上側ハウジング部材100bの中空部131を通り摺動する。これに伴い、補強緩衝部材400aの緩衝体420が、連結膜430の弾力に応じてダイヤフラム200aの中央部220から分離する(図11参照)。このことは、補強緩衝部材400aが、連結膜430の弾性力に基づき、緩衝体420をダイヤフラム200aの直上に保持するように、原形状に自己復帰することを意味する。
一方、上記第1実施形態と同様に液体が液体室Ra内に流入すると、液体室Ra内に流入する液体の液圧はダイヤフラム200aにその下面250側から作用する。ここで、上述のように、緩衝体420が、ダイヤフラム200aの中央部220から分離すると、ダイヤフラム200aの中央部220が上述のように環状弁座部113に着座していることから、その中央部220及び湾曲変位部230にて、その弾性力のもとに空気室Rb側へ自力でもって原形状に自己復帰しようとする。また、上述のように液体室Ra内の液圧がダイヤフラム200aの下側面250に作用する。
このような状態においては、ダイヤフラム200aが原形状への自己復帰可能な弾性力を適正に有していれば、当該ダイヤフラム200aは、その中央部220及び湾曲変位部230にて、原形状に自己復帰し得る。また、このようなダイヤフラム200aの自己復帰に要する弾力が不足していてとも、上述のように液体室Ra内にてダイヤフラム200aに作用する液圧が、ダイヤフラム200aの自己復帰を助勢する役割を果たす。
これにより、ダイヤフラム200aは、その自己復帰力及び液体室Ra内の液体の液圧の双方のもとに、ピストン320による引張り力に依存しなくても、上記第1実施形態と同様に良好に原形状に復帰し得る。その結果、当該ダイヤフラム弁は開弁状態になる(図11参照)。これに伴い、上述のように液体室Ra内に流入する液体は、他側流路部115及び他側筒110cを通り上記配管系統の下流部内に流出する。
このような状態において、当該ダイヤフラム弁が経時的に閉弁及び開弁を繰り返す場合、本第3実施形態にいう緩衝体420が、上記第1実施形態にいう緩衝体340とは異なり、連結膜430及び環状補強体410との一体構成でもって補強緩衝部材400aを構成していても、当該ダイヤフラム弁の閉弁ごとに、ピストン軸320が、下側ピストン軸部320cにて、コイルスプリング330のばね荷重に起因して、緩衝体420を介し、環状着座部113に着座するダイヤフラム200aの中央部220に対し衝撃力を加えることになる。
ここで、上述のように、コイルスプリング330のばね荷重は、ピストン310及びピストン軸320を液体室Ra内に生ずる液体の液圧に抗して適正な速度にて摺動し、本第3実施形態にいう緩衝体340を介しダイヤフラム200aの中央部220を環状弁座部113に着座させるに要する最小限の値に設定されている。これに伴い、コイルスプリング330のばね荷重は、少なくとも、上記第1実施形態と同様に、ダイヤフラム200aの面の荒れを均すに要する荷重分だけ小さくなっている。しかも、本第3実施形態にいう緩衝体420は、上記第1実施形態にいう緩衝体340と同様に、弾性ゴム材料により形成されていることから、当該緩衝体420は、柔軟な弾力性を発揮し得る。
従って、上述のようにピストン軸320による衝撃力が、緩衝体420を介し、環状弁座部113に着座するダイヤフラム200aの中央部220に加わっても、当該衝撃力は、緩衝体420により緩和されて、環状弁座部113に着座するダイヤフラム200aの中央部220に加わることになる。しかも、コイルスプリング330のばね荷重は、上述のようにダイヤフラム200aの面の荒れを均すに要する荷重分を含んでいないため、上述の衝撃力によっては、ダイヤフラム200aの中央部220の湾曲面の荒れを均すことはできないが、緩衝体420は、上述のごとく柔軟な弾性力を有することから、ダイヤフラム200aの中央部220の湾曲面の荒れになじむようにして、環状弁座部113に着座したダイヤフラム200aの中央部220に当接する。
このため、上述のごとく、ダイヤフラム200aがフィルム状のダイヤフラムであって非常に薄いにもかかわらず、ピストン軸320による衝撃力が、環状弁座部113に着座するダイヤフラム200aの中央部220に繰り返し加わっても、ダイヤフラム200aの中央部220は破損等損傷しにくく、ダイヤフラム200aの寿命を長く維持し得るのは勿論のこと、損傷によるパーティクルの発生は当該パーティクルの液体室Ra内の液体内への混入を招くこともない。
また、ピストン軸320による衝撃力が、環状弁座部113に着座するダイヤフラム200aの中央部220に繰り返し加わるために、ダイヤフラム200aがフィルム状のダイヤフラムであって非常に薄いことに起因して、当該ダイヤフラム200aの中央部220にその上面側から破損が生じるとしても、当該破損により生ずるパーティクルは、補強緩衝体400aにおいてダイヤフラム弁の開弁時ごとに連結膜430及び緩衝体420とダイヤフラム200aの湾曲変位部230及び中央部220との間に形成される空気室Rc(図11参照)を介しダイヤフラム弁の閉弁時ごとに連結膜430の各貫通孔部431を通り空気室Rb内に進入した後、ダイヤフラム弁の開弁時ごとに空気室Rbから隔壁120の連通路121を通り外部に排出される。従って、空気室Rc内のパーティクルが、液体室Ra内の液体内に混入することもない。その他の作用効果は上記第1実施形態と同様である。
なお、本発明の実施にあたり、上記各実施形態に限ることなく、次のような種々の変形例が挙げられる。
(1)本発明の実施にあたり、上記各実施形態にて述べたダイヤフラム200aは、PFAを押し出し成形によりフィルム状に押し出し成形することで形成されるダイヤフラムに限ることなく、PFAを圧縮成形方法によりフィルム状に圧縮成形することで形成されるダイヤフラムであってもよい。
当該圧縮成形方法は、PFAを型内に充填してフィルム状に圧縮する方法をいい、ダイヤフラム200aを、押し出し成形方法により成形する場合と同様に、耐薬品性、低溶出性、屈曲性や長寿命性に優れた平滑度の高いフィルム状のダイヤフラムであって数nmサイズのパーティクルの発塵性をも最少に抑制し得るダイヤフラムとして形成され得る。これによっても、上記実施形態と同様の作用効果が達成され得る。
(2)本発明の実施にあたり、上記各実施形態にて述べた駆動機構300は、コイルスプリング330を、上記各実施形態とは異なり、下側室131b内にて、ピストン310を隔壁120とは反対方向に付勢するように構成してもよい。このことは、ダイヤフラム弁が常開型ダイヤフラム弁として機能することを意味する。
このように、上記各実施形態にて述べたダイヤフラム弁が、常開型ダイヤフラム弁として作動するようにしても、上記各実施形態と実質的に同様の作用効果が達成され得る。
(3)本発明の実施にあたり、上記第3実施形態にて述べた貫通孔部431は、一対とは限らず、少なくとも1つ以上であればよく、また、当該貫通孔部431の内径は、0.5(mm)~1.0(mm)の範囲以内の値となっている。
(4)本発明の実施にあたり、上記各実施形態にて述べた空気作動形ダイヤフラム弁に代えて、電磁作動形ダイヤフラム弁を採用してもよい。当該電磁作動形ダイヤフラム弁は、上記各実施形態にて述べたダイヤフラム弁において、空気作動形駆動機構300に代えて、電磁作動形駆動機構を採用する構成となっている。
当該電磁作動形駆動機構においては、プランジャーが、空気作動形駆動機構300のピストン310及びピストン軸320に代えて採用されており、当該プランジャーは、上記各実施形態にいうコイルスプリング330に代わるコイルスプリングにより、ソレノイドの消磁状態において付勢されて、先端部にて、ダイヤフラム200aの中央部220を、緩衝体を介し環状弁座部に向けて付勢し、また、ソレノイドの磁気的吸引力によりプランジャーを上記コイルスプリングに抗して吸引することで、当該プランジャーを緩衝体と共に或いは当該緩衝体とは分離して変位させるようになっている。
ここで、プランジャーは、その先端部にて、上記第1或いは第2の実施形態にて述べた緩衝体と上記第1或いは第2の実施形態と同様に組み付けられていてもよい。この場合には、緩衝体は、プランジャーに連動する。これにより、上記第1或いは第2の実施形態にて述べたと同様の作用効果を達成し得る。
また、プランジャーが、その先端部にて、上記第3実施形態にいう補強緩衝体400aの緩衝体420に分離可能に係合するようになっていてもよい。これによれば、プランジャーは、上記ソレノイドによる磁気的吸引力により吸引される際には、緩衝体420から分離して吸引される。これにより、電磁作動形ダイヤフラム弁は、常閉型ダイヤフラム弁として、上記第3実施形態にて述べたと同様の作用効果を達成し得る。
ここで、上述した電磁作動形駆動機構において、ソレノイドの消磁状態において、プランジャーをコイルスプリングの付勢力により緩衝体と共に或いは当該緩衝体とは分離して、環状弁座部から離れる方向に移動させ、ソレノイドの磁気的吸引力の発生の際には、プランジャーを、緩衝体を介しダイヤフラム200aの中央部220を環状弁座部に着座させるようにしてもよい。これによれば、電磁作動形ダイヤフラム弁は、常開型ダイヤフラム弁として、上記第3実施形態にて述べたと実質的に同様の作用効果を達成し得る。