JP7213029B2 - 液体収容容器の注出口栓 - Google Patents
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Description
この点、バッグインボックスは、プラスチックフィルムからなる包装袋の欠点である脆弱性と不定形であるという問題を紙製の外箱を用いることで補い、内容物を消費した後は、折り畳むことにより減容できるという優れた機能を有している。また、バックインボックスの内袋を単層ポリエチレンフィルムなどのリサイクル可能な材料から形成することで、環境にも優しい製品とすることができる。
特許文献2には、キャップの螺合時にオーバーランの発生を防止するため、所定の螺合進行状態からキャップの回転を規制するストッパーを設けた抽出口栓が開示されている。
この注出口栓は、キャップを装着する円筒状側壁部の外周底部に外周径の大きい台座部を設け、この台座部の上面に傾斜面を伴う凸部型のストッパーを設けている。
特許文献4には、バックインボックスの内装袋に注出口部材を固着し、この注出口部材に設けた筒状部の基端部に段差部を形成し、この段差部に係合する引き抜き防止用の突起部を有する注出栓部材を設けた構造が開示されている。
特許文献5には、バックインボックスにおいて、鍔状の突出片上部に嵌着用凹部を設けた筒口を立設し、前記嵌着用凹部に嵌合する凹凸条を底部外周に有する中栓体を嵌合し、この中栓体に着脱自在に螺着されるキャップを備えた注出口栓の構造が開示されている。
キャップによる注出口の開閉を確実に行うためには、キャップの内周に形成した内ネジ部と注出口の筒口外周に形成した外ネジ部の螺合を利用し、キャップの着脱を行う構造が最も一般的である。
例えば、特許文献1~特許文献3、5などに記載の構造においてもネジ部どうしの螺合を利用した開閉キャップを採用しているが、キャップを閉める場合の締め付け力は使用者の感覚や握力に左右される傾向があり、どの時点でキャップの締め付けが完了したのか、把握することが難しい問題があった。
キャップの締め付け力が弱い場合、注出口から液漏れする危険性があり、締め付け力を大きくしようとしてもどの程度の締め付け力でキャップの締め付け完了と把握して良いのか、把握することが難しい問題があった。
「1」本発明に係る液体収容容器の注出口栓は、樹脂製のキャップを着脱自在に取り付ける口部材が容器本体に固定された液体収容容器の注出口栓において、前記口部材が、前記キャップを装着する外ネジ部を外周に有する周壁筒と、前記周壁筒の外周底部に前記周壁筒よりも大きな外径に形成された台座部を有し、前記キャップが、前記周壁筒の外ネジ部に螺合される内ネジ部を有する円筒状の周壁部と、この周壁部の一端側に形成された天井部と、前記周壁部の他端開口側に形成されたフランジ部を有し、前記台座部に1つ以上の突起部が形成され、前記フランジ部の内周側に前記ネジ部どうしの螺合完了時点で前記突起部に噛み合うラチェット溝が形成されるとともに、前記ラチェット溝が前記フランジ部の内周側全周に交互に形成された凹部と凸部からなり、前記ネジ部どうしのネジ締め終了時点で前記突起部が前記凸部を乗り越えて前記凹部に嵌合自在であり、前記キャップを前記螺合時に回転させた方向から逆転させて前記ラチェット溝の前記凸部が前記突起部を乗り越えるように前記キャップを回転させて前記ラチェット溝から前記突起部を離脱自在とし、前記キャップの螺合を解除自在としたことを特徴とする。
「3」本発明に係る液体収納容器の注出口栓において、前記突起部が側面視山型であり、前記ラチェット溝が側面視谷型であり、前記キャップがポリエチレンあるいはポリプロピレンからなることが好ましい。
「4」本発明に係る液体収納容器の注出口栓において、前記突起部が山型であり、2つの斜面を有し、前記キャップを閉める場合の回転方向前方側の斜面の勾配と回転方向後方側の斜面の勾配において、後方側の斜面の勾配が前方側の斜面の勾配よりも小さくされたことが好ましい。
「6」本発明に係る液体収納容器の注出口栓において、前記突起部の高さが0.5~2.5mmであることが好ましい。
「7」本発明に係る液体収納容器の注出口栓において、前記周壁筒の内径が3~4cmであることが好ましい。
このため、キャップの締め付け完了時点を確実に把握することができ、キャップの締め付け力不足を無くすることができ、締め付け力の不足に起因する液漏れを無くすことができる。
また、キャップの締め付け完了時に、キャップ内部の外接リングと内接リングにより、注出口栓の周壁筒先端部を挟んで液密に閉じる構成を採用できる。この構成により従来のキャップに必要とされていた中栓を略することができる。
更に、キャップを螺合時と逆転させて突起部が凸部を乗り越えてラチェット溝から突起部を離脱自在とすることでキャップの螺合を解除自在とした。これにより、螺合時と反対回りに樹脂製のキャップを逆転させることで凸部を突起部が乗り越える際のクリック感を伴ったキャップの螺合解除が可能となる。これにより、キャップの締付完了時と締付解除の際の両方でクリック感を伴った操作ができる。
図1は本発明の第1実施形態に係るバックインボックスの斜視図であり、図2は図1に示すバックインボックスに適用されている容器本体の一例を示す。
この外箱2の上面に丸型の透孔2aが形成され、この透孔2aを介し内袋3の口部材5が外箱2の外部に突出され、この口部材5の先端にキャップ4が着脱自在に装着されている。
内袋3の大きさ、即ち、液体収容容器1の内容量としては、特に限定されないが、通常1~35リットル、特に5~20リットル程度であると取り扱い易い。また、内袋3の形状としては、特に限定されないが、折り畳み性、取り扱い性の面から、図1に示すような略立方体形状が好ましい。
口部材5は、図3に示すように周壁筒6の基端側に円環状の台座部7を有し、この台座部7の外周面に周溝8が形成されている。台座部7は周壁筒6よりも若干外径の大きいリング状に形成され、周溝8に内袋3の一部を引き込み、周溝8にリング部材を嵌め込み、リング部材を加締めることによる一体化などの取付手段により固着されている。
一例として、図3に示す通り、内袋3を貫通するように口部材5を設け、内袋3の貫通部分周りを周溝8に嵌め込んだ樹脂製のリング部材9で固定した構造を採用できる。
リング部材9の嵌め込みなどにより固定する場合、リング部材9を加温してリング部材の内径を若干拡張した状態で口部材5の貫通部分周りの内袋外周部を周溝8に引き込み、嵌め込み後に常温に冷却することで内袋3の貫通部分周りを周溝8内に加締め固定する構造を採用できる。
口部材5の大きさの一例として、周壁筒6の内径が3~4cm程度、台座部7を含めて周壁筒6の長さが2~3cm程度、台座部7の上方に延在する周壁筒上部の長さが1cm程度、台座部7の外径が4~6cm程度であるが、これらの大きさに制限されるものではない。
口部材5において図3に示すように周壁筒6の外周面に螺旋突条を形成することで外ネジ部12が形成されている。前記螺旋突条は周壁筒6の上端より若干下方位置から突起部10の若干上方位置まで形成されている。突起部10の高さは0.5~2.5mmであることが好ましく、1~2mmとすることもできる。
キャップ4の内周には螺旋突条を形成することで内ネジ部17が形成されている。キャップ4の内径は口部材5の周壁筒6に装着して周壁筒6の開口部を閉じることができる大きさであって、キャップ4の内ネジ部17と周壁筒6の外ネジ部12を螺合できる程度の大きさに形成されている。
キャップ4は一例としてポリエチレン(低密度ポリエチレンや高密度ポリエチレン)からあるいはポリプロピレンなどの軟質樹脂から一体成形されていることが好ましい。ポリエチレンやポリプロピレンは石油由来の樹脂、植物性由来の樹脂、石油由来と植物由来の樹脂を任意の割合で混合した樹脂のいずれかとすることもできる。
キャップ4は繰り返しの開け閉めなどに使用するため、割れや欠けなどを生じ難いように上述の軟質樹脂からなることが好ましい。
図に示す例において、ラチェット溝24の一部を構成する凸部22は側面視下向きの等脚台形状に形成されている。このため、凸部22は、下向きの頂面24とこの頂面24の両側に位置する傾斜面25を有する。凹部23は下向きの底面26とこの底面26の両側に位置する傾斜面25を有する。なお、ここで示す側面視とは、キャップ4の周面外方側からキャップ4の中心方向を見た場合の凸部22または凹部23の形状を意味する。
図に示す例において凹部23は一例としてキャップ4の内周周りに36個形成されている。なお、凹部23の形成個数は一例であって、2~40個とすることができ、12~36個とすることが好ましく、特にキャップ4の内周周りに18~36個程度形成されていることがより好ましい。
キャップ4の回転進行に伴い、フランジ部16の内周側に設けられている凹部23が突起部10に接近し、4つの突起部10のうち、いずれかが、いずれかの凹部23に嵌合する。この嵌合時、図10に示すように突起部10が凸部22の頂面24に強く接触し、頂面24を乗り越えてから凹部23に嵌入するので、この際に生じる衝撃により、使用者はクリック感を把握できる。このため、使用者はこのクリック感を知覚することでキャップ4のネジ締めが終了したこと、口部材5の開口を液密に閉塞できたことを把握できる。即ち、容器本体3を密閉できたと認識できる。
本実施形態では、キャップ4をポリエチレンなどの軟質樹脂で形成しているので、突起部10が頂面24を乗り越えて凹部23に嵌入する際に適度な大きさのクリック感を得ることができ、突起部10の破損も生じ難い構造を提供できる。
図11に示すように凹部23に突起部10を嵌合している状態でキャップ4を矢印B方向に回転させると、突起部10の先端が凹部23の開口部近くの傾斜面25に突き当たる。更にキャップ4を回転させると、図12に示すように突起部10が凸部22の頂面24に乗り上がるように移動し、キャップ4の回転の抵抗とならなくなるので、キャップ4の螺合を容易に解除できる。
なお、キャップ4の締め付け完了時に、キャップ内部の外接リング18と内接リング19により、注出口栓の周壁筒先端部を挟んで液密に閉じることができる。この構成にすると、この種の注出口栓において従来必要とされていた中栓を略することができる。
図13に種々形状の突起部と凹部を側面視した場合の組み合わせ例を示す。
図13(B)を先の例と同等形状の突起部10と凹部23の組み合わせとすると、図13(A)は凹部のみを丸溝型の凹部30で構成した例、図13(C)は突起部のみを蒲鉾型の突起部31で構成した例である。
図13(C)に示す構成は、キャップ4を閉める場合に凹部23に突起部31が嵌入し易く、キャップ4を開ける場合に突起部31が凹部23から外れやすい構成を実現できる。
図13(D)は左側の傾斜面32Aを右側の傾斜面32Bより急斜面とした例である。この構成を図3に示す先の実施形態に適用すると、図9、図10に示すようにキャップ4を閉める場合に閉め易く、図11、図12に示すようにキャップ4を開ける場合に開け難い構成とすることができる。
この構成が閉め易く開け難いキャップを提供するという面では望ましい組み合わせと考えられる。
図14(A)は周壁筒6に近い側から台座部7の端部側にかけて突起部10の稜線部10Dを同一高さとした場合の構成(図3に示す突起部10の構成)を示す概略図である。
また、図14(C)に示すように稜線36aを台座部7の外周端部側に向かって下向きとなる直線状に傾斜させた突起部36であっても良い。
5…口部材、6…周壁筒、7…台座部、9…リング部材、10…突起部、
10A、10B…傾斜面、10D…稜線部、12…外ネジ部、15…天井部、
16…フランジ部、17…内ネジ部、18…外接リング、19…内接リング、
22…凸部、23…凹部、24…ラチェット溝。
Claims (7)
- 着脱自在な樹脂製のキャップを備えた口部材が容器本体に固定された液体収容容器の注出口栓において、
前記口部材が、前記キャップを装着する外ネジ部を外周に有する周壁筒と、前記周壁筒の外周底部に前記周壁筒よりも大きな外径に形成された台座部を有し、
前記キャップが、前記周壁筒の外ネジ部に螺合される内ネジ部を有する円筒状の周壁部と、この周壁部の一端側に形成された天井部と、前記周壁部の他端開口側に形成されたフランジ部を有し、
前記台座部に1つ以上の突起部が形成され、
前記フランジ部の内周側に前記ネジ部どうしの螺合完了時点で前記突起部に噛み合うラチェット溝が形成されるとともに、
前記ラチェット溝が前記フランジ部の内周側全周に交互に形成された凹部と凸部からなり、
前記ネジ部どうしのネジ締め終了時点で前記突起部が前記凸部を乗り越えて前記凹部に嵌合自在であり、
前記キャップを前記螺合時に回転させた方向から逆転させて前記ラチェット溝の前記凸部が前記突起部を乗り越えるように前記キャップを回転させて前記ラチェット溝から前記突起部を離脱自在とし、前記キャップの螺合を解除自在としたことを特徴とする液体収容容器の注出口栓。 - 前記キャップの内部側であって、前記周壁部の奥側に、前記ネジ部どうしの螺合完了時点で前記口部材の周壁筒先端外周面に接する外接リングが形成され、
前記外接リングの内側に、前記ネジ部どうしの螺合完了時点で前記口部材の周壁筒先端内周面に接する内接リングが形成され、内蓋が略されたことを特徴とする請求項1に記載の液体収容容器の注出口栓。 - 前記突起部が側面視山型であり、前記ラチェット溝が側面視谷型であり、前記キャップがポリエチレンあるいはポリプロピレンからなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体収容容器の注出口栓。
- 前記突起部が山型で2つの斜面を有し、前記キャップを閉める場合の回転方向前方側の斜面の勾配と回転方向後方側の斜面の勾配において、後方側の斜面の勾配が前方側の斜面の勾配よりも小さくされたことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の液体収容容器の注出口栓。
- 前記突起部が前記台座部の周回りに複数、前記台座部の周回りの対称位置に形成されたことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の液体収容容器の注出口栓。
- 前記突起部の高さが0.5~2.5mmであることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の液体収容容器の注出口栓。
- 前記周壁筒の内径が3~4cmであることを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の液体収容容器の注出口栓。
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