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JP7210235B2 - 現像装置、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ - Google Patents

現像装置、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ Download PDF

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JP7210235B2 JP2018213821A JP2018213821A JP7210235B2 JP 7210235 B2 JP7210235 B2 JP 7210235B2 JP 2018213821 A JP2018213821 A JP 2018213821A JP 2018213821 A JP2018213821 A JP 2018213821A JP 7210235 B2 JP7210235 B2 JP 7210235B2
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Description

本発明は、電子写真方式を利用して記録材(シート)上に画像形成を行う画像形成装置、現像装置、プロセスカートリッジに関するものであり、特に、現像手段へ現像剤(トナー)を供給するためのトナー搬送路を備えた現像装置に関するものである。ここで、電子写真画像形成装置(以下、単に「画像形成装置」ともいう)とは、電子写真画像形成方式を用いて記録材(記録媒体)に画像を形成するものである。画像形成装置の例としては、複写機、プリンタ(レーザービームプリンタ、LEDプリンタ等)、ファクシミリ装置、ワードプロセッサ、及び、これらの複合機(マルチファンクションプリンタ)などが含まれる。
近年、画像形成装置本体(以下、本体)の小サイズ化が進んでいるが、本体内部の各ユニットも本体の小サイズ化に伴い、本内内において配置可能となるスペースの広さが限定される。そのため、トナーカートリッジの配置制約が発生し、トナーカートリッジと現像手段の間をトナー搬送経路で結ぶ場合がある。このようなトナー搬送経路のトナー搬送装置として、プラスチック製のスクリューや金属製のコイルバネ等からなるトナー搬送部材を設けることがある。例えば特許文献1には、スクリュー型のトナー搬送部材が開示されており、トナー搬送部材が回転することにより、トナー搬送部材に螺旋状に設けられたブレード歯面が経路内を移動しながらトナーを押し出すことで現像手段へトナーが搬送される。
トナー搬送部材を用いてトナーを供給する構成においては、トナー搬送部材を含むトナー搬送経路を配置するためにある程度のスペースが必要となる。したがって、例えば、トナーカートリッジと現像手段との並び方向(対向方向)に直線的にトナー搬送経路を延ばそうとする場合には、トナーカートリッジと現像手段との間に、トナー搬送部材を含むトナー搬送経路を設けるための所定の間隔を空ける必要が生じる。すなわち、かかる構成を採用する場合には、トナー搬送経路のスペース確保のために、例えば、トナーカットリッジをサイズダウンさせてトナー収容量を犠牲にするなどしなければならなくなる。
特開2010-20227号公報
本発明の目的は、装置の小型化を図ることが可能な現像装置、画像形成装置、及びプロセスカートリッジを提供することである。
上記目的を達成するため、本発明における現像装置は、
画像形成装置に用いられる現像装置であって、
像担持体に形成された潜像を現像するための現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持される前記現像剤を規制するための規制部材と、
前記現像剤担持体と前記規制部材を支持し、前記現像剤の収容部を有する枠体と、
前記現像剤を収容する現像剤容器と、
前記現像剤容器から前記枠体の前記収容部へ前記現像剤を供給するための搬送経路と、を有し、
前記搬送経路には、回転することにより前記現像剤を搬送する第1搬送部材と、回転することにより前記現像剤を搬送する第2搬送部材と、が配置され、
前記第2搬送部材は、前記第1搬送部材から回転力を受ける駆動受け部を有し、
前記現像剤は、トナー粒子及び前記トナー粒子の表面を被覆する有機ケイ素重合体であって、下記式(1)で表される構造を有する前記有機ケイ素重合体を有するトナーを含有し、
R-SiO 3/2 式(1)
(前記Rは、炭素数が1以上、6以下の炭化水素基を示す。)
前記トナー粒子の表面における、前記有機ケイ素重合体の固着率が、87%以上100%以下であることを特徴とする。
上記目的を達成するため、本発明における画像形成装置は、
潜像が形成される像担持体と、
像担持体に形成された潜像を現像するための現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持される前記現像剤を規制するための規制部材と、
少なくとも前記現像剤担持体と前記規制部材を支持し、前記現像剤の収容部を有する枠体と、
前記現像剤を収容する現像剤容器と、
前記現像剤容器から前記枠体の前記収容部へ前記現像剤を供給するための搬送経路と、を有し、
前記搬送経路には、回転することにより前記現像剤を搬送する第1搬送部材と、回転することにより前記現像剤を搬送する第2搬送部材と、が配置され、
前記第2搬送部材は、前記第1搬送部材から回転力を受ける駆動受け部を有し、
前記現像剤は、トナー粒子及び前記トナー粒子の表面を被覆する有機ケイ素重合体であって、下記式(1)で表される構造を有する前記有機ケイ素重合体を有するトナーを含有し、
R-SiO 3/2 式(1)
(前記Rは、炭素数が1以上、6以下の炭化水素基を示す。)
前記トナー粒子の表面における、前記有機ケイ素重合体の固着率が、87%以上100%以下であることを特徴とする。
上記目的を達成するため、本発明におけるプロセスカートリッジは、
画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジであって、
像担持体に形成された潜像を現像するための現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に担持される前記現像剤を規制するための規制部材と、
前記現像剤担持体と前記規制部材を支持し、前記現像剤の収容部を有する枠体と、
前記現像剤を収容する現像剤容器と、
前記現像剤容器から前記枠体の前記収容部へ前記現像剤を供給するための搬送経路と、を有し、
前記搬送経路には、回転することにより前記現像剤を搬送する第1搬送部材と、回転することにより前記現像剤を搬送する第2搬送部材と、が配置され、
前記第2搬送部材は、前記第1搬送部材から回転力を受ける駆動受け部を有し、
前記現像剤は、トナー粒子及び前記トナー粒子の表面を被覆する有機ケイ素重合体であって、下記式(1)で表される構造を有する前記有機ケイ素重合体を有するトナーを含有し、
R-SiO 3/2 式(1)
(前記Rは、炭素数が1以上、6以下の炭化水素基を示す。)
前記トナー粒子の表面における、前記有機ケイ素重合体の固着率が、87%以上100%以下であることを特徴とする。
本発明によれば、装置の小型化を図りつつ、画像形成における画像不良の発生を抑制することができる。
本発明の実施形態1における搬送部材の結合部の模式図 本発明の実施形態1に係る画像形成装置の概略図 本発明の実施形態1におけるトナーカートリッジの説明図 本発明の実施形態におけるトナーカートリッジと本体搬送路の説明図 本発明の実施形態1におけるトナーカートリッジと本体搬送路とプロセスカートリッジの説明図 本発明の実施形態1における有機ケイ素重合体を含有する表層を有するトナーの模式図 本発明の実施形態2に係る画像形成装置の概略図 本発明の実施形態2におけるトナーカートリッジの説明図 本発明の実施形態2におけるトナーカートリッジと本体搬送路の説明図 本発明の実施形態3におけるトナーカートリッジとプロセスカートリッジの説明図 本発明の実施形態4におけるトナーカートリッジとプロセスカートリッジの説明図
以下、図面を参照して、本発明の実施形態又は実施例を例示的に詳しく説明する。ただし、該実施形態又は実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対位置等は、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるから、特に特定的な記載が無い限りは、発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
本発明に係る実施形態では、トナー収容器から現像手段へのトナー搬送経路を有し、搬送経路における複数の搬送部材の一方が他方から回転力を受ける事で駆動する構成において、トナー収容器に収容されるトナーとして固着率が87%以上100%以下である事を特徴とする。
本発明において、数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○~××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
<現像剤>
本発明において、現像剤は、トナー粒子及び前記トナー粒子の表面に存在するケイ素を含有する化合物を有するトナーを含有する。
また、該トナーは、トナー粒子及び前記トナー粒子の表面に存在する無機ケイ素微粒子を有することが好ましい。
また、該トナーが、トナー粒子及び前記トナー粒子の表面を被覆する有機ケイ素重合体を有することが好ましい。
該トナー粒子は、結着樹脂を構成成分として含有させるとよい。
結着樹脂としては、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂が挙げられる。
ポリエステル樹脂は、通常一般に知られている、アルコール成分と酸成分とを縮重合する方法を用いて製造するとよい。
ビニル系樹脂としては、スチレン及びその誘導体;不飽和モノオレフィン類;不飽和ポリエン類;α-メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸エステル類;ビニルケトン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドのようなアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体などの重合性単量体を重合して製造するとよい。
トナー粒子は離型剤を含有してもよい。該離型剤としては離型性を高められるものであれば制限はないが、例えば以下のものが挙げられる。
ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような脂肪族炭化水素系ワックス。
離型剤の含有量は、結着樹脂又は結着樹脂を生成する重合性単量体100.0質量部に対して、1.0質量部以上30.0質量部以下であることが好ましく、5.0質量部以上25.0質量部以下であることがより好ましい。
トナーは、磁性一成分トナー、非磁性一成分トナーのいずれのトナーとしても使用でき
るが、非磁性一成分トナーであることが好ましい。
非磁性一成分トナーとして用いる場合の着色剤としては、従来知られている種々の染料や顔料などが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、又は以下に示すイエロー、マゼンタ、及びシアン着色剤を用い黒色に調色されたものが挙げられる。
イエロー着色剤としては、モノアゾ化合物、ジスアゾ化合物、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物などが挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、モノアゾ化合物、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物などが挙げられる。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物などが挙げられる。
該着色剤の含有量は、結着樹脂又は結着樹脂を生成する重合性単量体100.0質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
本発明に用いられる無機ケイ素微粒子としては、湿式製法シリカ微粒子、乾式製法シリカ微粒子のようなシリカ微粒子、それらシリカ微粒子をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、又はシリコーンオイル等により表面処理を施した疎水化処理シリカ微粒子が挙げられる。
乾式製法シリカ微粒子とは、例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用して製造するもので、基礎となる反応式は次のようなものである。
SiCl+2H+O→SiO+4HCl
この製造工程において、塩化アルミニウム又は塩化チタンなどの他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粒子を得ることも可能であり、無機ケイ素微粒子としてはそれらも包含する。
該無機ケイ素微粒子の一次粒子の個数平均粒径(D1)は、5nm以上、10nm以上、15nm以上、20nm以上、25nm以上であることが好ましく、また、500nm以下、400nm以下、300nm以下、250nm以下、200nm以下であることが好ましい。該数値範囲は任意に組み合わせることができる。
該無機ケイ素微粒子の含有量は、トナー粒子100.0質量部に対して、0.1質量部以上10.0質量部以下であることが好ましく、1.0質量部以上5.0質量部以下であることがより好ましい。
本発明において、トナー粒子の表面における該無機ケイ素微粒子の固着率は、87%以上100%以下であり、90%以上100%以下であることが好ましい。
該固着率が上記範囲である場合、搬送経路中において、トナーが搬送部材により強いせん断力を受ける構成であっても、該無機ケイ素微粒子が外れにくく、該無機ケイ素微粒子の凝集を抑制することができる。その結果、無機ケイ素微粒子の凝集体が大きく成長しない為、スジ画像などの画像欠陥が発生しにくい。
なお、上記固着率は、トナー粒子と無機ケイ素微粒子の混合物に、高速接触による撃力又はせん断力を加減することにより、上記範囲に調整することができる。
本発明において、トナー粒子の表面における無機ケイ素微粒子の被覆率は、80%以上、85%以上、90%以上であることが好ましく、また、100%以下、であることが好ましい。上記数値範囲は任意に組み合わせることができる。
該被覆率が上記範囲である場合、搬送経路中において、トナーが搬送部材により強いせん断力を受ける構成であっても、該無機ケイ素微粒子が外れにくく、該無機ケイ素微粒子
の凝集を抑制することができる。その結果、無機ケイ素微粒子の凝集体が大きく成長しない為、スジ画像などの画像欠陥が発生しにくい。
なお、上記被覆率は、無機ケイ素微粒子の添加量により、上記範囲に調整することができる。
<トナー粒子の表面における無機ケイ素微粒子の固着率の測定方法>
洗浄前トナー:作製した各種トナーをそのまま用いて、下記方法で洗浄前のトナー粒子の表面に存在するケイ素化合物中のケイ素量を求める。
洗浄後トナー:
イオン交換水100mLにスクロース(キシダ化学製)160gを加え、湯せんをしながら溶解させ、ショ糖濃厚液を調製する。遠心分離用チューブ(容量50mL)に上記ショ糖濃厚液を31gと、コンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を6mL入れ分散液を作製する。この分散液にトナー1.0gを添加し、スパチュラなどでトナーのかたまりをほぐす。
遠心分離用チューブをシェイカーにて350spm(strokes per min)、20分間振とうする。振とう後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(容量50mL)に入れ替えて、遠心分離機(H-9R 株式会社コクサン製)にて3500rpm、30分間の条件で分離する。トナーと水溶液が十分に分離されていることを目視で確認し、最上層に分離したトナーをスパチュラ等で採取する。採取したトナーを含む水溶液を減圧濾過器で濾過した後、乾燥機で1時間以上乾燥する。乾燥品をスパチュラで解砕し、下記方法で洗浄後のトナー粒子の表面に存在するケイ素量を求める。
そして、(洗浄後のトナー粒子の表面に存在するケイ素量/洗浄前のトナー粒子の表面に存在するケイ素量)×100を固着率(%)とする。
ケイ素の蛍光X線を用いた測定は、JIS K 0119-1969に準ずるが、具体的には以下の通りである。
測定装置としては、波長分散型蛍光X線分析装置「Axios」(PANalytical社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「SuperQ ver.4.0F」(PANalytical社製)を用いる。なお、X線管球のアノードとしてはRhを用い、測定雰囲気は真空、測定径(コリメーターマスク径)は10mm、測定時間10秒とする。また、軽元素を測定する場合にはプロポーショナルカウンタ(PC)、重元素を測定する場合にはシンチレーションカウンタ(SC)で検出する。
測定サンプルとしては、専用のプレス用アルミリング直径10mmの中に、洗浄前、又は、洗浄後のトナーを約1g入れて平らにならし、錠剤成型圧縮機「BRE-32」(前川試験機製作所社製)を用いて、20MPaで60秒間加圧し、厚さ約2mmに成型したペレットを用いる。
該条件で測定を行い、得られたX線のピーク位置をもとに元素を同定し、単位時間あたりのX線光子の数である計数率(単位:cps)からその濃度を算出する。
一方、トナー粒子100質量部に対して、例えば、シリカ(SiO)微粉末を0.5質量部となるように添加し、コーヒーミルを用いて充分混合する。同様にして、シリカ微粉末を2.0質量部、5.0質量部となるようにトナー粒子とそれぞれ混合し、これらを検量線用の試料とする。
それぞれの試料について、錠剤成型圧縮機を用いて上記のようにして検量線用の試料のペレットを作製し、PETを分光結晶に用いた際に回折角(2θ)=109.08°に観測されるSi-Kα線の計数率(単位:cps)を測定する。この際、X線発生装置の加速電圧、電流値はそれぞれ、24kV、100mAとする。得られたX線の計数率を縦軸
に、各検量線用試料中のSiO添加量を横軸として、一次関数の検量線を得る。
次に、分析対象の上記ペレットのSi-Kα線の計数率を測定する。そして、上記の検量線を用いて、各ケイ素量を求める。
<トナー粒子の表面における無機ケイ素微粒子の被覆率の測定方法>
無機ケイ素微粒子のトナー粒子の表面に対する被覆率は、日立超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡S-4800((株)日立ハイテクノロジーズ)にて撮影されたトナー粒子表面画像を、画像解析ソフトImage-Pro Plus ver.5.0((株)日本ローパー)により解析して算出する。S-4800の画像撮影条件は以下の通りである。
(1)試料作製
試料台(アルミニウム試料台15mm×6mm)に導電性ペーストを薄く塗り、その上にトナーを吹きつける。さらにエアブローして、余分なトナーを試料台から除去し十分乾燥させる。試料台を試料ホルダーにセットし、試料高さゲージにより試料台高さを36mmに調節する。
(2)S-4800観察条件設定
上記被覆率の算出は、S-4800の反射電子像観察により得られた画像を用いて行う。反射電子像は二次電子像と比べて無機微粒子のチャージアップが少ないため、被覆率を精度良く測定することができる。
S-4800の筐体に取り付けられているアンチコンタミネーショントラップに液体窒素を溢れるまで注入し、30分間置く。S-4800の「PC-SEM」を起動し、フラッシング(電子源であるFEチップの清浄化)を行う。画面上のコントロールパネルの加速電圧表示部分をクリックし、[フラッシング]ボタンを押し、フラッシング実行ダイアログを開く。フラッシング強度が2であることを確認し、実行する。フラッシングによるエミッション電流が20~40μAであることを確認する。試料ホルダーをS-4800筐体の試料室に挿入する。コントロールパネル上の[原点]を押し試料ホルダーを観察位置に移動させる。
加速電圧表示部をクリックしてHV設定ダイアログを開き、加速電圧を[0.8kV]、エミッション電流を[20μA]に設定する。オペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、信号選択を[SE]に設置し、SE検出器を[上(U)]及び[+BSE]を選択し、[+BSE]の右の選択ボックスで[L.A.100]を選択し、反射電子像で観察するモードにする。同じくオペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、電子光学系条件ブロックのプローブ電流を[Normal]に、焦点モードを[UHR]に、WDを[3.0mm]に設定する。コントロールパネルの加速電圧表示部の[ON]ボタンを押し、加速電圧を印加する。
(3)トナーの個数平均粒径(D1)の算出
コントロールパネルの倍率表示部内をドラッグして、倍率を5000(5k)倍に設定する。操作パネルのフォーカスつまみ[COARSE]を回転させ、ある程度焦点が合ったところでアパーチャアライメントの調整を行う。コントロールパネルの[Align]をクリックし、アライメントダイアログを表示し、[ビーム]を選択する。操作パネルのSTIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を回転し、表示されるビームを同心円の中心に移動させる。
次に[アパーチャ]を選択し、STIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を一つずつ回し、像の動きを止める又は最小の動きになるように合わせる。アパーチャダイアログを閉じ、オートフォーカスで、ピントを合わせる。この操作をさらに2度繰り返し、ピントを合わせる。
その後、トナー300個について粒径を測定して個数平均粒径(D1)を求める。なお、個々の粒子の粒径は、トナーの粒子を観察した際の最大径とする。
(4)焦点調整
(3)で得た、個数平均粒径(D1)の±0.1μmの粒子について、最大径の中点を
測定画面の中央に合わせた状態でコントロールパネルの倍率表示部内をドラッグして、倍率を10000(10k)倍に設定する。操作パネルのフォーカスつまみ[COARSE]を回転させ、ある程度焦点が合ったところでアパーチャアライメントの調整を行う。コントロールパネルの[Align]をクリックし、アライメントダイアログを表示し、[ビーム]を選択する。操作パネルのSTIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を回転し、表示されるビームを同心円の中心に移動させる。次に[アパーチャ]を選択し、STIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を一つずつ回し、像の動きを止める又は最小の動きになるように合わせる。アパーチャダイアログを閉じ、オートフォーカスで、ピントを合わせる。その後、倍率を50000(50k)倍に設定し、上記と同様にフォーカスつまみ、STIGMA/ALIGNMENTつまみを使用して焦点調整を行い、再度オートフォーカスでピントを合わせる。この操作を再度繰り返し、ピントを合わせる。ここで、観察面の傾斜角度が大きいと被覆率の測定精度が低くなりやすいので、ピント調整の際に観察面全体のピントが同時に合うものを選ぶことで、表面の傾斜が極力無いものを選択して解析する。
(5)画像保存
ABCモードで明るさ合わせを行い、サイズ1280×960ピクセルで写真撮影して保存する。この画像ファイルを用いて下記の解析を行う。トナーの粒子一つに対して写真を1枚撮影し、少なくともトナー30粒子以上について画像を得る。
(6)画像解析
本発明では下記解析ソフトを用いて、上述した手法で得た画像を2値化処理することで被覆率を算出する。このとき、上記一画面を正方形で12分割してそれぞれ解析する。
画像解析ソフトImage-Pro Plus ver.5.0の解析条件は以下の通りである。
ツールバーの「測定」から「カウント/サイズ」、「オプション」の順に選択し、二値化条件を設定する。オブジェト抽出オプションの中で8連結を選択し、平滑化を0とする。その他、予め選別、穴を埋める、包括線は選択せず、「境界線を除外」は「なし」とする。
ツールバーの「選択」から「測定項目」を選択し、面積の選別レンジに2~10と入力する。
被覆率の計算は、正方形の領域を囲って解析を行う。この時、領域の面積(C)は、24000~26000ピクセルになるようにする。「処理」-2値化で自動2値化し、無機微粒子の無い領域の面積の総和(D)を算出する。
正方形の領域の面積C、無機ケイ素微粒子の無い領域の面積の総和Dから下記式で無機ケイ素微粒子の被覆率が求められる。
無機ケイ素微粒子の被覆率(%)=100-(D/C×100)
上述した被覆率の計算を30粒子以上のトナー粒子について行う。得られた全データの算術平均値を本発明における無機ケイ素微粒子のトナー粒子の表面における被覆率(%)とする。
一方、トナー粒子の表面が、有機ケイ素重合体で被覆されている場合、トナー粒子の最表面に存在する層である表層を有する。すなわち、トナー粒子は、有機ケイ素重合体を含有する表層を有する。これは、トナーが、トナー粒子及び該トナー粒子の表面に存在するケイ素を含有する化合物を有することを意味する。該表層はトナー粒子表面の一部に表層が形成されていない部分を設けてもよい。
本発明において、トナー粒子の表面における該有機ケイ素重合体の固着率は、87%以上100%以下であり、90%以上100%以下であることが好ましい。
該固着率が上記範囲である場合、搬送経路中において、トナーが搬送部材により強いせん断力を受ける構成であっても、該有機ケイ素重合体が外れにくく、該有機ケイ素重合体の凝集を抑制することができる。その結果、有機ケイ素重合体の凝集体が大きく成長しない為、スジ画像などの画像欠陥が発生しにくい。
該固着率を得るためは、下記式(1)で表される構造を有する有機ケイ素重合体を含有する表層をトナー粒子に形成するとよい。
また、有機ケイ素重合体の固着率は、有機ケイ素重合体形成に用いる有機ケイ素化合物の種類及び量、有機ケイ素重合体形成時のトナー粒子の製造方法、反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。
R-SiO3/2 式(1)
(該Rは、炭素数が1以上、6以下の炭化水素基を示す。)
式(1)の構造を有する有機ケイ素重合体において、Si原子の4個の原子価のうち1個はRと、残り3個はO原子と結合している。O原子は、原子価2個がいずれもSiと結合している状態、つまり、シロキサン結合(Si-O-Si)を構成する。
有機ケイ素重合体としてのSi原子とO原子を考えると、Si原子2個でO原子3個を有することになるため、-SiO3/2と表現される。
この有機ケイ素重合体の-SiO3/2構造は、多数のシロキサン結合で構成されるシリカ(SiO)と類似の性質を有することが考えられる。従って、従来の有機樹脂により表層形成されたトナーに比べて無機物に近い構造のため、その硬度を有機樹脂より高く、無機ケイ素微粒子よりは低く設定することが可能である。
式(1)で表される部分構造において、Rは炭素数が1以上6以下の炭化水素基である。これにより帯電量が安定化しやすい。特に環境安定性に優れている、炭素数が1以上5以下の脂肪族炭化水素基、又はフェニル基であることが好ましい。
また、上記Rは炭素数が1以上3以下の脂肪族炭化水素基であることが、帯電性及びカブリ防止のさらなる向上のためにより好ましい。帯電性が良好であると、転写性が良く転写残トナーが少ないためドラム、帯電部材及び転写部材の汚染が良化する。
炭素数が1以上3以下の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、又はプロピル基、又はビニル基が好ましく例示できる。環境安定性と保存安定性の観点から、より好ましくは、Rはメチル基である。
有機ケイ素重合体の製造例としては、ゾルゲル法が好ましい。ゾルゲル法は、液体原料を出発原料に用いて加水分解及び縮合重合させ、ゾル状態を経てゲル化する方法であり、ガラス、セラミックス、有機-無機ハイブリット、ナノコンポジットを合成する方法に用いられる。この製造方法を用いれば、表層、繊維、バルク体、微粒子などの種々の形状の機能性材料を液相から低温で作製することができる。
該有機ケイ素重合体は、具体的には、アルコキシシランに代表されるケイ素化合物の加水分解及び縮重合によって生成されることが好ましい。
該有機ケイ素重合体でトナー粒子の表面を被覆することによって、トナー粒子の表面における、該有機ケイ素重合体の固着率を向上させることができる。また、該有機ケイ素重合体でトナー粒子の表面を被覆することによって、トナーの環境安定性が向上し、かつ、長期使用時におけるトナーの性能低下が生じにくく、保存安定性に優れたトナーを得ることができる。
さらに、ゾルゲル法は、液体から出発し、その液体をゲル化することによって材料を形成しているため、様々な微細構造及び形状をつくることができる。特に、トナー粒子が水系媒体中で製造される場合には、有機ケイ素化合物のシラノール基のような親水基による親水性によってトナー粒子の表面に析出させやすくなる。上記微細構造及び形状は反応温度、反応時間、反応溶媒、pHや有機金属化合物の種類及び量などによって調整することができる。
該有機ケイ素重合体は、下記式(Z)で表される構造を有する有機ケイ素化合物の縮重合物であることが好ましい。
Figure 0007210235000001

(式(Z)中、Rは、炭素数が1以上、6以下の炭化水素基を表し、R、R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基、又は、アルコキシ基を表す。)
の炭化水素基(好ましくはアルキル基)により疎水性を向上することができ、環境安定性に優れたトナー粒子を得ることができる。また、炭化水素基として芳香族炭化水素基であるアリール基、例えばフェニル基を用いることもできる。Rの疎水性が大きい場合、様々な環境において帯電量変動が大きくなる傾向を示すことから、環境安定性を鑑みてRは炭素数1以上3以下の炭化水素基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
、R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基、又は、アルコキシ基である(以下、反応基ともいう)。これらの反応基が加水分解、付加重合及び縮重合させて架橋構造を形成し、耐部材汚染及び現像耐久性に優れたトナーを得ることができる。加水分解性が室温で穏やかであり、トナー粒子の表面への析出性と被覆性の観点から、炭素数1以上3以下のアルコキシ基であることが好ましく、メトキシ基やエトキシ基であることがより好ましい。また、R、R及びRの加水分解、付加重合及び縮合重合は、反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。
該有機ケイ素重合体を得るには、上記に示す式(Z)中のRを除く一分子中に3つの反応基(R、R及びR)を有する有機ケイ素化合物(以下、三官能性シランともいう)を1種又は複数種を組み合わせて用いるとよい。
上記式(Z)としては以下のものが挙げられる。
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルジエトキシメトキシシラン、メチルエトキシジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルメトキシジクロロシラン、メチルエトキシジクロロシラン、メチルジメトキシクロロシラン、メチルメトキシエトキシクロロシラン、メチルジエトキシクロロシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルジアセトキシメトキシシラン、メチルジアセトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジメトキシシラン、メチルアセトキシメトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジエトキシシラン、メチルトリヒドロキシシラン、メチルメトキシジヒドロキシシラン、メチルエトキシジヒドロキシシラン、メチルジメトキシヒドロキシシラン、メチルエトキシメトキシヒドロキシシラン、メチルジエトキシヒドロキシシラン、のような三官能性のメチルシラン。
エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、エチルトリアセトキシシラン、エチルトリヒドロキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリクロロシラン、プロピルトリアセトキシシラン、プロピルトリヒドロキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリクロロシラン、ブチルトリアセトキシシラン、ブチルトリヒドロキシ
シラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ヘキシルトリアセトキシシラン、ヘキシルトリヒドロキシシランのような三官能性のシラン。
フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリアセトキシシラン、フェニルトリヒドロキシシランのような三官能性のフェニルシラン。
また、本発明の効果を損なわない程度に、式(Z)で示される構造を有する有機ケイ素化合物とともに、以下を併用して得られた有機ケイ素重合体を用いてもよい。一分子中に4つの反応基を有する有機ケイ素化合物(四官能性シラン)、一分子中に2つの反応基を有する有機ケイ素化合物(二官能性シラン)又は1つの反応基を有する有機ケイ素化合物(一官能性シラン)。
該トナー粒子中の有機ケイ素重合体の含有量は0.5質量%以上10.5質量%以下であることが好ましい。
有機ケイ素重合体の含有量が0.5質量%以上であることで、表層の表面自由エネルギーを更に小さくすることができ、流動性が向上し、部材汚染やカブリの発生を抑制することができる。10.5質量%以下であることで、チャージアップを発生し難くすることができる。
該有機ケイ素重合体の含有量は、有機ケイ素重合体形成に用いる有機ケイ素化合物の種類及び量、有機ケイ素重合体形成時のトナー粒子の製造方法、反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。
有機ケイ素重合体を含有する表層とトナー粒子は、隙間なく接していることが好ましい。
<トナー粒子の製造方法>
トナー粒子の製造方法は公知の手段を用いることができ、混練粉砕法や湿式製造法を用いることができる。粒子径の均一化や形状制御性の観点からは湿式製造法を好ましく用いることができる。さらに、湿式製造法には懸濁重合法、溶解懸濁法、乳化重合凝集法、乳化凝集法などを挙げることができる。
ここでは懸濁重合法について説明する。懸濁重合法においてはまず、結着樹脂を生成するための重合性単量体、並びに、必要に応じて着色剤及びその他の添加剤を、ボールミル、超音波分散機のような分散機を用いてこれらを均一に溶解又は分散させた重合性単量体組成物を調製する(重合性単量体組成物の調製工程)。このとき、必要に応じて多官能性単量体や連鎖移動剤、また、離型剤としてのワックスや荷電制御剤、可塑剤などを適宜加えることができる。
次に、上記重合性単量体組成物を予め用意しておいた水系媒体中に投入し、高せん断力を有する撹拌機や分散機により、重合性単量体組成物からなる液滴を所望のトナー粒子のサイズに形成する(造粒工程)。
造粒工程における水系媒体は分散安定剤を含有していることが、トナー粒子の粒径制御、粒度分布のシャープ化、製造過程におけるトナー粒子の合一を抑制するために好ましい。分散安定剤としては、一般的に立体障害による反発力を発現させる高分子と、静電気的な反発力で分散安定化を図る難水溶性無機化合物とに大別される。難水溶性無機化合物の微粒子は、酸やアルカリにより溶解するため、重合後に酸やアルカリで洗浄することにより溶解させて容易に除去することができるため、好適に用いられる。
造粒工程の後、あるいは造粒工程を行いながら、好ましくは50℃以上90℃以下の温度に設定して、重合性単量体組成物に含まれる重合性単量体の重合を行い、トナー粒子分散液を得る(重合工程)。
重合工程では容器内の温度分布が均一になる様に攪拌操作を行うことが好ましい。重合
開始剤を添加する場合、任意のタイミングと所要時間で行うことができる。また、所望の分子量分布を得る目的で重合反応後半に昇温してもよく、さらに、未反応の重合性単量体、副生成物などを系外に除去するために反応後半、または反応終了後に、一部水系媒体を蒸留操作により留去してもよい。蒸留操作は常圧又は減圧下で行うことができる。
高精細かつ高解像の画像を得るという観点から、トナーの重量平均粒径は、3.0μm以上10.0μm以下であることが好ましい。トナーの重量平均粒径は細孔電気抵抗法により測定することができる。例えば「コールター・カウンター Multisizer 3」(ベックマン・コールター(株)製)用いて測定することができる。こうして得られたトナー粒子分散液は、トナー粒子と水系媒体を固液分離する濾過工程へと送られる。
得られたトナー粒子分散液からトナー粒子を得るための固液分離は、一般的な濾過方法で行うことができ、その後トナー粒子表面から除去しきれなかった異物を除去するため、リスラリーや洗浄水のかけ洗いなどによって更に洗浄を行うことが好ましい。十分な洗浄が行なわれた後に、再び固液分離してトナーケーキを得る。その後、公知の乾燥手段により乾燥され、必要であれば分級により所定外の粒径を有する粒子群を分離してトナー粒子を得る。このとき分離された所定外の粒径を有する粒子群は最終的な収率を向上させるために再利用してもよい。
有機ケイ素重合体を有する表層を形成する場合は、水系媒体中でトナー粒子を形成する場合には水系媒体中で重合工程などを行いながら前述のように有機ケイ素化合物の加水分解液を添加して該表層を形成させることができる。重合後のトナー粒子の分散液をコア粒子分散液として用いて、有機ケイ素化合物の加水分解液を添加し、該表層を形成させてもよい。また、混練粉砕法など水系媒体以外の場合には得られたトナー粒子を水系媒体に分散してコア粒子分散液として用いて、前述のように有機ケイ素化合物の加水分解液を添加し、該表層を形成させることができる。
有機ケイ素重合体を有する表層を形成する場合、特に好ましいのは以下の方法である。
まず、トナー粒子のコア粒子を製造して水系媒体に分散し、コア粒子分散液を得る。
この時の濃度はコア粒子分散液総量に対し、コア粒子の固形分が10質量%以上40質量%以下となる濃度で分散することが好ましい。そして、該コア粒子分散液の温度は35℃以上に調整しておくことが好ましい。また、該コア粒子分散液のpHは有機ケイ素化合物の縮合が進みにくいpHに調整することが好ましい。有機ケイ素重合体の縮合が進みにくいpHは物質によって異なるため、最も反応が進みにくいpHを中心として、±0.5以内が好ましい。
一方、有機ケイ素化合物は加水分解処理を行ったものを用いることが好ましい。例えば、有機ケイ素化合物の前処理として別容器で加水分解しておく。加水分解の仕込み濃度は有機ケイ素化合物の量を100質量部とした場合、イオン交換水やRO水などイオン分を除去した水40質量部以上500質量部以下が好ましく、より好ましくは水100質量部以上400質量部以下である。加水分解の条件としては、好ましくはpHが2~7、温度が15℃~80℃、時間が30分~600分である。
得られた加水分解液とコア粒子分散液とを混合して縮合に適したpH(好ましくは6~12、又は1~3、より好ましくは8~12)に調整することで、有機ケイ素化合物を縮合させながらトナー粒子のコア粒子表面に表層付けすることができる。縮合と表層付けは35℃以上で60分間以上取ることが好ましい。また、縮合に適したpHに調整する前に35℃以上で保持する時間を調整することで表面のマクロ構造を調整可能であるが、特定のマルテンス硬度を得やすくするため、3分以上120分以下が好ましい。
以上のような手段によって反応残基を減らすことができ、表層に凹凸を形成させることができ、更に凸間にネットワーク構造を形成させることができるため、上記特定の固着率を有するトナー粒子を得られやすい。
<トナー(粒子)の粒径の測定>
細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置(商品名:コールター・カウンター Multisizer 3)と、専用ソフト(商品名:ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51、ベックマン・コールター社製)を用いた。アパーチャー径は100μmを用い、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出した。測定用の電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、ベックマン・コールター社製のISOTON II(商品名)を使用した。なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行った。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は(標準粒子10.0μm、ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定した。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定した。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON II(商品名)に設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れた。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定した。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行った。そして、解析ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておいた。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れた。ここにコンタミノンN(商品名)(精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加えた。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器(商品名:Ultrasonic Dispersion System Tetora150、日科機バイオス(株)製)の水槽内にイオン交換水所定量とコンタミノンN(商品名)を約2mL添加した。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させた。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整した。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー(粒子)約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させた。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続した。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節した。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー(粒子)を分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整した。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行った。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出した。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
(NMR測定用のトナー粒子のTHF不溶分の調製法)
トナー粒子のテトラヒドロフラン(THF)不溶分は、以下のように調製した。
トナー粒子10.0gを秤量し、円筒濾紙(東洋濾紙製No.86R)に入れてソックスレー抽出器にかける。溶媒としてTHF200mLを用いて20時間抽出し、円筒濾紙中の濾物を40℃で数時間真空乾燥を行って得られたものをNMR測定用のトナー粒子のTHF不溶分とした。
なお、外添剤などでトナー粒子の表面が処理されている場合は、下記方法によって外添剤を除去し、トナー粒子を得る。
イオン交換水100mLにスクロース(キシダ化学製)160gを加え、湯せんをしながら溶解させ、ショ糖濃厚液を調製する。遠心分離用チューブ(容量50mL)に該ショ糖濃厚液を31gと、コンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を6mL入れ分散液を作製する。この分散液にトナー1.0gを添加し、スパチュラなどでトナーのかたまりをほぐす。
遠心分離用チューブをシェイカーにて350spm(strokes per min)、20分間振とうする。振とう後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(容量50mL)に入れ替えて、遠心分離機(H-9R株式会社コクサン製)にて3500rpm、30分間の条件で分離する。この操作により、トナー粒子と外れた外添剤が分離する。トナーと水溶液が十分に分離されていることを目視で確認し、最上層に分離したトナーをスパチュラ等で採取する。採取したトナーを減圧濾過器で濾過した後、乾燥機で1時間以上乾燥し、トナー粒子を得る。この操作を複数回実施して、必要量を確保する。
《式(1)で示される構造の確認方法》
トナー粒子に含有される有機ケイ素重合体における、式(1)で示される構造の確認には以下の方法を用いる。
式(1)のRで表される炭化水素基は、13C-NMRにより確認した。
13C-NMR(固体)の測定条件≫
装置:JEOLRESONANCE製JNM-ECX500II
試料管:3.2mmφ
試料:NMR測定用のトナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分150mg
測定温度:室温
パルスモード:CP/MAS
測定核周波数:123.25MHz(13C)
基準物質:アダマンタン(外部標準:29.5ppm)
試料回転数:20kHz
コンタクト時間:2ms
遅延時間:2s
積算回数:1024回
当該方法にて、ケイ素原子に結合しているメチル基(Si-CH)、エチル基(Si-C)、プロピル基(Si-C)、ブチル基(Si-C)、ペンチル基(Si-C11)、ヘキシル基(Si-C13)またはフェニル基(Si-C-)などに起因するシグナルの有無により、式(1)のRで表される炭化水素基を確認した。
≪トナー粒子に含有される有機ケイ素重合体における、式(1)の構造に帰属されるピーク面積の割合の算出方法≫
トナー粒子のTHF不溶分の29Si-NMR(固体)測定を、以下の測定条件で行う。
29Si-NMR(固体)の測定条件≫
装置:JEOLRESONANCE製JNM-ECX500II
試料管:3.2mmφ
試料:NMR測定用のトナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分150mg
測定温度:室温
パルスモード:CP/MAS
測定核周波数:97.38MHz(29Si)
基準物質:DSS(外部標準:1.534ppm)
試料回転数:10kHz
コンタクト時間:10ms
遅延時間:2s
積算回数:2000~8000回
上記測定後に、トナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分の、置換基及び結合基の異なる複数のシラン成分をカーブフィティングにて下記X1構造、X2構造、X3構造、及びX4構造にピーク分離して、それぞれピーク面積を算出する。
X1構造:(Ri)(Rj)(Rk)SiO1/2 (2)
X2構造:(Rg)(Rh)Si(O1/2 (3)
X3構造:RmSi(O1/2 (4)
X4構造:Si(O1/2 (5)
Figure 0007210235000002

Figure 0007210235000003

Figure 0007210235000004

Figure 0007210235000005
(式(2)、(3)及び(4)中のRi、Rj、Rk、Rg、Rh、Rmはケイ素に結合している、炭素数1~6の炭化水素基などの有機基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基又はアルコキシ基を示す。)
なお、上記式(1)で示される構造をさらに詳細に確認する必要がある場合、上記13C-NMR及び29Si-NMRの測定結果と共にH-NMRの測定結果によって同定してもよい。
<トナー粒子中の有機ケイ素重合体の含有量の測定>
有機ケイ素重合体の含有量の測定は、波長分散型蛍光X線分析装置「Axios」(PANalytical社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「SuperQ ver.4.0F」(PANalytical社製)を用いる。なお、X線管球のアノードとしてはRhを用い、測定雰囲気は真空、測定径(コリメーターマスク径)は27mm、測定時間10秒とする。また、軽元素を測定する場合にはプロポーショナルカウンタ(PC)、重元素を測定する場合にはシンチレーションカウンタ(SC)で検出する。
測定サンプルとしては、専用のプレス用アルミリングの中にトナー粒子4gを入れて平らにならし、錠剤成型圧縮機「BRE-32」(前川試験機製作所社製)を用いて、20MPaで、60秒間加圧し、厚さ2mm、直径39mmに成型したペレットを用いる。
有機ケイ素重合体を含まないトナー粒子100質量部に対して、シリカ(SiO)微粉末を0.5質量部となるように添加し、コーヒーミルを用いて充分混合する。同様にして、シリカ微粉末を5.0質量部、10.0質量部となるようにトナー粒子とそれぞれ混合し、これらを検量線用の試料とする。
それぞれの試料について、錠剤成型圧縮機を用いて上記のようにして検量線用の試料のペレットを作製し、PETを分光結晶に用いた際に回折角(2θ)=109.08°に観測されるSi-Kα線の計数率(単位:cps)を測定する。この際、X線発生装置の加速電圧、電流値はそれぞれ、24kV、100mAとした。得られたX線の計数率を縦軸に、各検量線用試料中のSiO添加量を横軸として、一次関数の検量線を得る。
次に、分析対象のトナー粒子を、錠剤成型圧縮機を用いて上記のようにしてペレットとし、そのSi-Kα線の計数率を測定する。そして、上記の検量線からトナー粒子中の有機ケイ素重合体含有量を求める。
<トナー粒子の表面における有機ケイ素重合体の固着率の測定方法>
イオン交換水100mLにスクロース(キシダ化学製)160gを加え、湯せんをしながら溶解させ、ショ糖濃厚液を調製する。遠心分離用チューブ(容量50mL)に上記ショ糖濃厚液を31gと、コンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を6mL入れ分散液を作製する。この分散液にトナー1.0gを添加し、スパチュラなどでトナーのかたまりをほぐす。
遠心分離用チューブをシェイカーにて350spm(strokes per min)、20分間振とうする。振とう後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(容量50mL)に入れ替えて、遠心分離機(H-9R 株式会社コクサン製)にて3500rp
m、30分間の条件で分離する。トナー粒子と水溶液が十分に分離されていることを目視で確認し、最上層に分離したトナー粒子をスパチュラ等で採取する。採取したトナー粒子を含む水溶液を減圧濾過器で濾過した後、乾燥機で1時間以上乾燥する。乾燥品をスパチュラで解砕し、蛍光X線でケイ素の量を測定する。上記ショ糖濃厚液で処理後のトナー粒子と処理前のトナー粒子の測定対象の元素量比から固着率(%)を計算する。
各元素の蛍光X線の測定は、JIS K 0119-1969に準ずるが、具体的には以下の通りである。
測定装置としては、波長分散型蛍光X線分析装置「Axios」(PANalytical社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「SuperQ ver.4.0F」(PANalytical社製)を用いる。なお、X線管球
のアノードとしてはRhを用い、測定雰囲気は真空、測定径(コリメーターマスク径)は10mm、測定時間10秒とする。また、軽元素を測定する場合にはプロポーショナルカウンタ(PC)、重元素を測定する場合にはシンチレーションカウンタ(SC)で検出する。
測定サンプルとしては、専用のプレス用アルミリング直径10mmの中に水洗後のトナー粒子と初期のトナー粒子を約1g入れて平らにならし、錠剤成型圧縮機「BRE-32」(前川試験機製作所社製)を用いて、20MPaで60秒間加圧し、厚さ約2mmに成型したペレットを用いる。
上記条件で測定を行い、得られたX線のピーク位置をもとに元素を同定し、単位時間あたりのX線光子の数である計数率(単位:cps)からその濃度を算出する。
トナー粒子中の定量方法としては、例えばケイ素量はトナー粒子100質量部に対して、例えば、シリカ(SiO)微粉末を0.5質量部となるように添加し、コーヒーミルを用いて充分混合する。同様にして、シリカ微粉末を2.0質量部、5.0質量部となるようにトナー粒子とそれぞれ混合し、これらを検量線用の試料とする。
それぞれの試料について、錠剤成型圧縮機を用いて上記のようにして検量線用の試料のペレットを作製し、PETを分光結晶に用いた際に回折角(2θ)=109.08°に観測されるSi-Kα線の計数率(単位:cps)を測定する。この際、X線発生装置の加速電圧、電流値はそれぞれ、24kV、100mAとする。得られたX線の計数率を縦軸に、各検量線用試料中のSiO添加量を横軸として、一次関数の検量線を得る。
次に、分析対象のトナー粒子を、錠剤成型圧縮機を用いて上記のようにしてペレットとし、そのSi-Kα線の計数率を測定する。そして、上記の検量線からトナー粒子中のケイ素量を求める。
そして、(ショ糖処理後のトナー粒子の表面に存在するケイ素量/ショ糖処理前のトナー粒子の表面に存在するケイ素量)×100を固着率(%)とする。
〔外添剤〕
トナー粒子は、外添剤を外添せずにトナーとすることもできるが、流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、いわゆる外添剤である流動化剤、クリーニング助剤などを添加してトナーとしてもよい。
外添剤としては、例えば、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子などよりなる無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子、あるいは、チタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などが挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって、耐熱保管性の向上、環境安定性の向上のために、表面処理が
行われていることが好ましい。外添剤のBET比表面積は、10m/g以上450m/g以下であることが好ましい。
BET比表面積は、BET法(好ましくはBET多点法)に従って、動的定圧法による低温ガス吸着法により求めることができる。例えば、比表面積測定装置(商品名:ジェミニ2375 Ver.5.0、(株)島津製作所製)を用いて、試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて測定することにより、BET比表面積(m2/g)を算出
することができる。
これらの種々の外添剤の添加量は、その合計が、トナー粒子100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上5質量部以下であり、より好ましくは0.1質量部以上3質量部以下である。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
≪実施形態1≫
<画像形成装置の概略>
図2を参照して、本発明の実施形態1に係る電子写真画像形成装置の全体構成について説明する。図2は、本発明の実施形態1に係る画像形成装置1の模式的断面図である。本発明が適用可能な画像形成装置としては、電子写真方式を利用した複写機、プリンタなどが挙げられ、ここでは、本実施形態の画像形成装置1として、タンデム方式、中間転写方式を採用したフルカラーレーザービームプリンタに本発明を適用した場合について説明する。
図2に示すように、画像形成装置1には、像担持体として回転駆動可能に感光体ドラム5が配置されている。感光体ドラム5の周囲には、感光体ドラム5の表面を均―に帯電する帯電手段としての帯電ローラ6、画像情報に基づきレーザを照射して感光ドラム上に静電像(静電潜像)を形成する露光手段としてのレーザスキャナユニット90(露光装置)が配置されている。さらに、感光体ドラム5の周囲には、静電像をトナー像(現像剤像)として現像する為の現像装置、転写後の感光体ドラム5の表面に残った転写残トナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニング部材8が配置されている。
現像ユニット(現像装置)45は、現像剤として非磁性1成分現像剤のトナー(1成分トナー)を用い、現像剤担持体としての現像ローラ7と、現像ローラ7上にトナーコートする為の現像剤規制部材としての現像ブレード9を有する。本実施形態の画像形成装置は、現像ローラ7を感光体ドラム5に対して接触させて反転現像を行う接触現像方式である。すなわち、現像ローラ7が担持する負極性に帯電したトナーを、感光ドラム5上の露光により電荷が減衰した部分(画像部、露光部)に付着させることで、感光体ドラム5上の静電像をトナー像(現像剤像)に現像する。
本実施形態に係る画像形成装置1は、感光体ドラム5等のプロセス手段をプロセスカートリッジ4として一体化して、画像形成装置1の装置本体に対して着脱可能に構成している。プロセスカートリッジ4は、画像形成装置1の装置本体内において、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各色毎に対応して、4つ備えられており、一列に並列している。すなわち、プロセスカートリッジ4y、4m、4c、4kが画像形成装置1の装置本体内において一列に並列している。また、各プロセスカートリッジ4は、像担持体である感光体ドラム5(5y、5m、5c、5k)、帯電ローラ6(6y、6m、6c、6k)、現像ローラ7(7y、7m、7c、7k)、現像ブレード9(9y、9m、9c、9k)、ドラムクリーニング部材8(8y、8m、8c、8k)等を備えている。
なお、図1の画像形成装置1の姿勢は、画像形成装置が、通常の設置状態(動作時の設置状態)として、水平面に設置された状態を示しており、各図における紙面の上下方向が
重力方向(鉛直方向)に略対応し、紙面の左右方向が水平方向に略対応する。
また、ここでは、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各色毎にy,m,c,kの添え字を記載しているが、各色毎に区別の必要がない場合は、以降簡単の為、適宜省略して記載する。
トナーカートリッジ20(現像剤容器)は、画像形成装置1本体に対して着脱可能であり、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各プロセスカートリッジ4に対応して、4つ備えられている。すなわち、トナーカートリッジ20y、20m、20c、20kがそれぞれプロセスカートリッジ4y、4m、4c、4kにトナーを供給するために各々配置されている。プロセスカートリッジ4y、4m、4c、4kにはトナー収容部44y、44m、44c、44kがそれぞれ設けられており、トナーカートリッジ20y、20m、20c、20kから供給されるトナーがそれぞれ収容される。
より詳細に説明すると、プロセスカートリッジ4は、ドラムユニット46と現像ユニット45に分かれていて、両者を一体として、またはそれぞれが個別に、画像形成装置1本体に対して着脱可能に構成されている。ドラムユニット46は、感光体ドラム5と、帯電ローラ6と、ドラムクリーニング部材8と、それらを一体的に支持するとともにドラムクリーニング部材8によって感光体ドラム5から掻き取られた残トナーを収容する廃トナー収容部を有する枠体と、が一体となったカートリッジである。現像ユニット45は、現像剤担持体としての現像ローラ7と、トナー供給ローラと、規制部材としての現像ブレード9と、それらを一体的に支持するとともにトナー収容部44を有する枠体(現像容器)と、が一体となったカートリッジである。
本実施例では、トナーカートリッジ20が、現像ユニット45とは略水平方向に並び、ドラムユニット46との略垂直方向の下方に並ぶように、配置されている。
プロセスカートリッジ4に対するトナーの搬送経路に関しては詳細を後述する。
本実施形態においては、現像剤容器としてのトナーカートリッジ20と、現像ローラ7等が配されている現像手段たる現像ユニット45と、トナーカートリッジ20から現像ユニット45(トナー収容部44)にトナー供給する為のトナー搬送手段を備えるトナー搬送経路(後述する)と、により本発明の現像装置が構成される。
本実施形態では、トナーカートリッジ20と現像ユニット45とを別体とし其々画像形成装置1の装置本体に対して着脱可能とすることで、メンテナンス性を向上させている。
即ち、画像形成のプロセス手段をプロセスカートリッジ4として一体的に装置本体に着脱可能に構成する一方で、画像形成プロセスに用いられる現像剤を収容する現像剤容器を、プロセスカートリッジ4とは独立して装置本体に着脱可能なトナーカートリッジ20として構成している。また、トナー搬送経路は、装置本体1に配置することで、カートリッジの小型化を図っている。
中間転写ユニット17は、一次転写ローラ10(10y、10m、10c、10k)、中間転写ベルト11、駆動ローラ12、テンションローラ13、二次転写対向ローラ14a、クリーニング装置30を備えている。中間転写ベルト11は、無端円筒状ベルトであり、駆動ローラ12、テンションローラ13、二次転写対向ローラ14aによって張架されている。またクリーニング装置30により拐取されたトナーは、廃トナー容器として廃トナーボックス40へ回収される。
画像形成に際しては、制御部(不図示)がプリント信号を発すると、給送ローラ3によってシート積載部2に積載収納されたシートが送り出される。
一方、感光体ドラム5は帯電ローラ6によって表面を帯電させられる。そして、レーザスキャナユニット90が、内部に備える不図示の光源からレーザ光を出射し、レーザ光を感光体ドラム5上に照射する。これにより感光体ドラム5の表面上に静電潜像が形成され
る。この静電潜像を現像ローラ7が担持するトナー(現像剤)によって現像することにより感光体ドラム5上にトナー像(現像剤像)が形成される。各プロセスカートリッジ4の感光体ドラム5上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト11にそれぞれ一次転写される。中間転写ベルト11は駆動ローラ12がモータ(不図示)などの駆動源から回転力を受けることにより矢印Aの方向に回転する。一次転写されたトナー像は、中間転写ベルト11の回転により回転方向下流にある二次転写対向ローラ14aと二次転写ローラ14bとで形成される二次転写部に到達し、ここでトナー像がシートに転写される。
トナー像が転写されたシートは、定着器15に送られ、加熱、加圧されてトナー像がシートに定着された後、排出ローラ16によって搬送されて排出部(排紙トレー)に排出される。
<現像ブレード>
現像ブレード9は、現像ローラ7の回転に対し、カウンター方向を向くように配置されており、現像ローラ7に担持されるトナー量を規制する部材である。また、トナーは現像ブレード9と現像ローラ7との摺擦により摩擦帯電されて電荷を付与されると同時に層厚規制される。現像ブレード9は短手方向の一方の端部が現像容器にビス等の締結具によって固定され、他方の端部は自由端となっている。
本実施例においては、現像ブレード9として短手方向の自由長が8mm、厚みが0.08mmの板バネ状の弾性を有するSUS304-1/2Hの薄板を用いた。当該ブレードは、自由端側を現像ローラ7表面に線圧25N/mの押圧力で当接させた。
<現像ローラ>
現像ローラ7として、弾性ゴム層を被覆したローラを用いた。弾性ゴム層は、感光体ドラム5との接触状態を均一に保つ為に、その硬度はMD1硬度で20~50°の硬度が好適に用いられる。実施形態においては、ゴム硬度38°のものを用いた。ゴム硬度は高分子計器株式会社製のMD-1硬度計(押針形状:タイプA)により測定した。表面粗さは中心線平均粗さRaで0.2~2.0μmに設定され、必要量のトナーが表面に保持される。Raが0.2未満となると所望のトナー量が得られず、濃度が薄くなる。またRaが2.0より大きくなると、トナー個々に十分な帯電を与えにくく、非画像部にトナーが付着する、所謂「かぶり」が発生しやすくなる。実施形態においては、Ra=1.0μmのものを用いた。中心線平均粗さRaは、小坂研究所社製「サーフコーダSE3500」により測定した。
<トナー搬送>
図3(a),(b),(c)で示すように、トナーカートリッジ20にはトナー排出口24およびトナー搬送スクリュー23が配置されている。図3(a)は、トナーカートリッジ20の模式的斜視図、図3(b)は、図3(a)中の点線Aにおけるトナーカートリッジ20の模式的断面図、図3(c)は、図3(a)中の点線Bにおけるトナーカートリッジ20の模式的断面図となっている。
トナーカートリッジ20の内部空間は、トナー40が収容されるトナー収容室201と、現像剤搬送部材としてのトナー搬送スクリュー23が配置されるトナー搬送室202と、で構成される。トナーカートリッジ20は、後述する本体側のトナー搬送路を形成する搬送路形成部材70と連結される連結部203を有し、トナー搬送室202は、連結部203の下面において開口するトナー排出口24を介してトナーカートリッジ20の外部と連通する。
連結部203は、トナーカートリッジ20の画像形成装置本体への装着方向における下流側(装置本体におけるトナーカートリッジ20の収容部の奥側)に面した側面から、上
記装着方向下流にさらに突出するように設けられている。トナーカートリッジ20が画像形成装置本体に装着されると、連結部203のトナー排出口24が、搬送路形成部材70へトナーを受け渡し可能な位置(後述する搬送路形成部材70のトナー受け入れ口71と連通可能に重なる位置)に配置される。
トナー収容室201には、収容するトナー40を攪拌しトナー搬送室202まで搬送するための攪拌搬送部材としての撹拌羽22が、撹拌軸21を中心に回転可能に設けられている。撹拌軸21の回転にしたがって撹拌羽22が跳ね上げたトナー40は、トナー搬送スクリュー23が配置されたトナー搬送室202へ受け渡される。そして、トナー搬送スクリュー23の回転によってトナー搬送室202内をトナー排出口24に向かって搬送され、トナー排出口24から排出される。
図4(a)は、トナーカートリッジ20が本体1に装着された状態における模式的斜視図、図4(b)は、図4(a)中の点線Cにおけるトナーカートリッジ20と本体搬送路形成部70の模式的断面図を示している。
図5(a)は、トナーカートリッジ20およびプロセスカートリッジ4が本体1に装着された状態における、本体搬送路形成部材70周辺の構成の模式的斜視図、図5(b)は、図5(a)中の点線Hにおける模式的断面図を示している。
トナーカートリッジ20から排出されたトナーは、本体搬送路形成部材70のトナー受け入れ口71に自重によって受け渡される。そして、搬送スクリュー36の回転によって矢印Dの方向に搬送される。
搬送路形成部材70は、ダクト状の中空部材であり、その中空内部空間がトナー搬送路を構成する。搬送路形成部材70は、トナーの搬送方向がそれぞれ異なる第1搬送部701と、第2搬送部702と、を有し、第1搬送部701の上流側に、トナーカートリッジ20の連結部203との間でトナー搬送路をつなぐ連結部703が設けられている。連結部703の上面には、トナーカートリッジ20のトナー排出口24から落下するトナーを受け入れるトナー受け入れ口71が設けられている。第1搬送部701は、トナーカートリッジ20の装置本体1への装着方向に延びる搬送路を形成し、その下流に第2搬送部702が連なる。第2搬送部702は、第1搬送部701によりトナーカートリッジ20の装置本体1への装着方向に延びる搬送路を、トナーカートリッジ20とプロセスカートリッジ4(現像ユニット45)との並び方向に平行となる方向に方向転換する。第2搬送部702の搬送路下流側には、搬送路の下方で開口するトナー排出口72が設けられている。トナーカートリッジ20から第1搬送部701、第2搬送部702を経て延びるトナー搬送路は、トナー排出口72から、プロセスカートリッジ4(現像ユニット45)の連結部43に設けられたトナー受け入れ口41を介して、トナー収容部44へとつながる。プロセスカートリッジ4の連結部43は、プロセスカートリッジ4の装置本体1への装着方向における下流側(装置本体におけるプロセスカートリッジ4の収容部の奥側)に面した側面から、上記装着方向下流にさらに突出するように設けられている。プロセスカートリッジ4が画像形成装置本体に装着されると、連結部43上面の上記装着方向下流側で開口するトナー受け入れ口41が、搬送路形成部材70から排出されるトナーを受け入れ可能な位置(トナー排出口72と連通可能に重なる位置)に配置される。
本実施例では、トナー搬送路の経路構成を、プロセスカートリッジ4とトナーカートリッジ20の並び方向とは異なる方向に迂回して延びる構成として、略コ字状に搬送経路の方向が変化する構成としている。かかる構成により、プロセスカートリッジ4とトナーカートリッジ20とを可及的に近接して配置することが可能となり、装置の小型化を図ることができるとともに、トナー搬送手段としてのスクリューの配置に必要な経路長さを任意に確保することができる。なお、トナー搬送路の経路構成は、ここに示したものに限定されるものではない。
図1は、搬送路形成部材70の中に設けられる第1搬送部材としてのトナー搬送スクリュー36と第2搬送部材としてのトナー排出スクリュー37との接合部(駆動力伝達部)を示す模式的斜視図である。
トナー搬送スクリュー36は、第1搬送部701内に配置され、トナーカートリッジ20から連結部703を介して第1搬送部701内に送り込まれたトナーを第2搬送部702に向けて搬送する。トナー搬送スクリュー36は、その中心に回転軸36kを備え、その外周表面には回転軸36k方向にトナーを搬送するように螺旋状に設けられた第1ブレード歯面36gを有するスクリュー部(螺旋羽根)を備えている。そして、トナー搬送スクリュー36の回転軸36kの端部に設けられた不図示の駆動ギア(駆動受け手段)によってモータ等の駆動源(不図示)から回転力を受け、図1の矢印E方向に回転する。
なお、トナー排出スクリュー37が不図示のモータ等の駆動源から回転力を直接受けるものとし、トナー搬送スクリュー36がトナー排出スクリュー37から回転力を受けて従動回転する構成としてもよい。
トナー搬送スクリュー36に接触したトナーは、トナー搬送スクリュー36の回転に伴い移動する第1ブレード歯面36gによって回転軸方向(矢印D方向)に搬送される。そして、トナー搬送スクリュー36のトナー搬送方向下流に設けられたトナー排出スクリュー37の上流側端部に向かう方向(矢印D方向)に押し出される形で搬送され、トナー排出スクリュー37と接触し始める。
トナー排出スクリュー37は、第2搬送部702内に配置され、トナー搬送スクリュー36によって第1搬送部701から第2搬送部702内に送り込まれたトナーを、プロセスカートリッジ4の連結部43に向けて搬送する。トナー排出スクリュー37は,回転軸37kを備え、その外周表面には回転軸37k方向(矢印G方向)にトナーを搬送するように螺旋状に設けられた第2ブレード歯面37gを有したスクリュー部(螺旋羽根)を備えている。また、装置の小型化のためにトナー搬送スクリュー36と略直交する方向に設けられている。さらにトナー排出スクリュー37は、トナー搬送スクリュー36から回転力を受けるための駆動受け部50を有し、トナー搬送スクリュー36の回転に従動して矢印F方向に回転する。駆動受け部50は、トナー搬送スクリュー36の第1ブレード歯面36gとの接触によって、回転するトナー搬送スクリュー36からトナー排出スクリュー37を回転させる力が作用するような形状に構成されている。この駆動受け部50がトナー搬送スクリュー36から回転力を受ける際に、トナーがトナー搬送スクリュー36と駆動受け部50との間で挟持・摺擦される。
トナー排出スクリュー37と接触したトナーは、トナー排出スクリュー37の回転に伴い移動する第2ブレード歯面37gによってトナー排出スクリュー37の下流側端部近傍に設けられたトナー排出口72に向かう方向(矢印G方向)へ押し出される形で搬送される。その後、トナー排出口72からトナーが自重によって排出され、プロセスカートリッジ4の受け入れ口41に受け渡される。プロセスカートリッジ4の内部へは搬送スクリュー42によって搬送されることでプロセスカートリッジ4にトナーが供給される。
なお、トナー搬送スクリュー36の回転軸36kとトナー排出スクリュー37の回転軸37kは、両者に直交する方向(図5では図の上下方向)において互いにずれた位置関係にある。そのため、トナー搬送スクリュー36の第1ブレード歯面36gの移動領域(ブレード歯面がトナーに対して直接的に搬送作用を及ぼす(接触する)空間領域)と、トナー排出スクリュー37の第2ブレード歯面37gの移動領域も、互いにずれた位置関係となる。したがって、各スクリューのそれぞれブレード歯面の移動領域のずれに対応して、搬送路形成部材70の中空空間も、第1搬送部701の中空空間と第2搬送部702の中空空間とが、各スクリューの回転軸と直交する方向においてずれた構成とすると好適であ
る。すなわち、トナー搬送路の底面と天井のそれぞれの高さが、第1搬送部701と第2搬送部702との間で上下にずれるような構成である。このように、各スクリューと搬送路形成部材70の中空内壁面との間のギャップをトナー搬送に好適な設定にしてトナーの搬送効率を高めるのが好適である。
なお、図4では、第1搬送部701と第2搬送部702が同じ高さに形成された構成となっているが、例えば、壁の厚みを変化させる等により、それぞれの内部空間を上述したようにブレード歯面の移動領域のずれに合せて互いにずらすように構成してよい。あるいは、搬送路形成部材70全体で壁の厚みを均一にするなら、図4における外観構成として、第1搬送部701と第2搬送部702のそれぞれの上面及び下面の高さが上下にずれたような構成としてもよい。
このようにブレード歯面の移動領域の高さのずれに合せて搬送路形成部材の構成を変化させることは、他の実施形態の構成においても同様に適用してよい。
<トナー>
本実施例で用いたトナーについて以下に説明する。以下、各材料の「部」は特に断りがない場合、全て質量基準である。
(水系媒体1の調製工程)
反応容器中のイオン交換水1000.0部に、リン酸ナトリウム(ラサ工業社製・12水和物)14.0部を投入し、窒素パージしながら65℃で1.0時間保温した。
T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、12000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10.0部に9.2部の塩化カルシウム(2水和物)を溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。さらに、水系媒体に10質量%塩酸を投入し、pHを5.0に調整し、水系媒体1を得た。
(重合性単量体組成物の調製工程)
・スチレン :60.0部
・C.I.ピグメントブルー15:3 : 6.5部
前記材料をアトライタ(三井三池化工機株式会社製)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5.0時間分散させて、顔料分散液を調製した。前記顔料分散液に下記材料を加えた。
・スチレン :20.0部
・n-ブチルアクリレート :20.0部
・架橋剤(ジビニルベンゼン) : 0.3部
・飽和ポリエステル樹脂 : 5.0部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)とテレフタル酸との重縮合物(モル比10:12)、ガラス転移温度Tg=68℃、重量平均分子量Mw=10000、分子量分布Mw/Mn=5.12)
・フィッシャートロプシュワックス(融点78℃) : 7.0部
これを65℃に保温し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、500rpmにて均一に溶解、分散し、重合性単量体組成物を調製した。
(造粒工程)
水系媒体1の温度を70℃、T.K.ホモミクサーの回転数を12000rpmに保ちながら、水系媒体1中に重合性単量体組成物を投入し、重合開始剤であるt-ブチルパーオキシピバレート9.0部を添加した。そのまま該撹拌装置にて12000rpmを維持しつつ10分間造粒した。
(重合工程)
造粒工程の後、攪拌機をプロペラ撹拌羽根に換え150rpmで攪拌しながら70℃を
保持して5.0時間重合を行い、85℃に昇温して2.0時間加熱することで重合反応を行ってトナー粒子を得た。スラリーの温度を55℃に冷却してpHを測定したところ、pH=5.0だった。
(洗浄、乾燥工程)
重合工程終了後、トナー粒子のスラリーを冷却し、トナー粒子のスラリーに塩酸を加えpH=1.5以下に調整して1時間撹拌放置してから加圧ろ過器で固液分離し、トナーケーキを得た。これをイオン交換水でリスラリーして再び分散液とした後に、前述のろ過器で固液分離した。リスラリーと固液分離とを、ろ液の電気伝導度が5.0μS/cm以下となるまで繰り返した後に、最終的に固液分離してトナーケーキを得た。
得られたトナーケーキは気流乾燥機フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業製)にて乾燥を行い、更にコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて微粗粉をカットしてトナー粒子1を得た。乾燥の条件は吹き込み温度90℃、乾燥機出口温度40℃、トナーケーキの供給速度はトナーケーキの含水率に応じて出口温度が40℃から外れない速度に調整した。
(外添工程)
本実施例においては、得られたトナー粒子1に対して、無機ケイ素微粒子を外添してトナーを作成した。
トナー粒子100質量部に対して、シリカ微粒子2.0質量部~5.0質量部をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製、FM-10C)で10分間~30分間乾式混合して、トナーA~Eを得た。
なお、固着率が異なる複数のトナーは、該ヘンシェルミキサーの混合時間を変えることによって実現した。トナーは表1に記載の通りである。
Figure 0007210235000006
本実施形態に記載の画像形成装置1において、得られたトナーを用い、印字率2%で印字通紙した。50000枚時点においてベタ画像出力した際の画像評価、及び現像ローラ7表面の観察を実施した。尚、トナー収容器から現像容器へのトナー供給は、印字したトナー量とほぼ同量の8g/1000枚とした。
(縦スジ画像)
〇:発生なし 画像全域で縦スジ状の濃度ムラなし
△:若干発生 画像の一部に軽微な縦スジ状の濃度ムラが発生したが、使用上問題なし
×:発生 画像の一部もしくは全域で縦スジ状の濃度ムラ発生
(現像ローラのスジ削れ)
〇:発生なし 現像ローラ清掃後の目視による観察で、削れ痕なし
△:若干発生 現像ローラ清掃後の目視による観察で、軽微な削れ跡は見られるが、
使用上問題なし
×:発生 現像ローラ清掃後の目視による観察で、削れ痕あり
(評価結果)
表2は表1に記載のトナーを用いた画像評価、及び現像ローラ表面観察の結果である。
Figure 0007210235000007
トナーD、トナーEにおいては、スジ発生部の現像ブレード9と現像ローラ7の当接位置には、シリカ微粒子の凝集体が挟まっている箇所があった。これはトナー搬送経路中の駆動受け部近傍において、強いせん断力を受けることによってシリカ微粒子が外れ凝集することで生成されたと考えられる。
その後、現像ローラ7上に供給されたシリカ微粒子の凝集体は小さいものであれば、現像ブレード9を通過し現像することでスジ画像に至ることはないが、トナーDの場合のようにシリカ微粒子の凝集体が大きくなり、現像ブレード9との当接ニップ及びその上流側に滞留すると現像ローラ7上のトナーコートムラが起こり画像スジに至ることがある。
また、トナーEの場合のように、更にシリカ微粒子の凝集体が大きく成長した場合には、現像ブレード9との当接ニップ及びその上流側に挟まることがあり、現像ローラ7表面と摺擦することで現像ローラ7のスジ状削れとなることがある。
特にトナーEにおいては、現像ローラ7のスジ削れが発生しており、トナー搬送経路中において駆動受け部近傍でシリカ微粒子の凝集体が大きく成長していることを示唆している。
また、逆にトナーA、B、Cにおいてはシリカ微粒子の凝集体が大きく成長しない為、スジ画像が発生しなかったことを示している。
該実施例では、無機ケイ素微粒子の固着率が87%~93%であるトナーを用いている。
無機ケイ素微粒子の固着率が高いトナーを用いることで、実施例のような搬送経路中に強いせん断力を受ける構成であってもシリカ微粒子が外れにくく、該シリカ微粒子の凝集体の形成を抑制することができる。該固着率が意味することは、前述した固着率の測定方法からも理解できるように、シリカ微粒子の外れにくさを表している。
以上述べたように、搬送経路における複数の搬送部材の一方が他方から回転力を受けることで駆動する構成であっても、本発明のトナーであればシリカ微粒子の凝集体成長に起因する縦スジ画像を抑制することができる。
≪実施形態2≫
本実施形態は実施形態1と異なる部分を詳細に説明し、実施形態1と同様の部分については詳細な説明を割愛する。
<画像形成装置>
図7は、本実施形態における本体1の簡略図である。実施形態1と異なる点は、トナーカートリッジ25が、現像ローラ7をハウジングしている現像容器部分である現像ユニット45の枠体の下方に、ドラムユニット46とは略水平方向に並ぶように、配置されている点である。このようにトナーカートリッジ25を配置することで、例えば、現像ユニット45までのトナー搬送経路が短くなり本体構成が簡素にできる等のメリットがある。
<トナー搬送>
図8は、トナーカートリッジ25の外観構成を示す模式的斜視図である。本実施形態におけるトナーカートリッジ25は、実施形態1におけるトナーカートリッジ20の構成を左右反転したような構成となっている。すなわち、トナーカートリッジ25におけるトナー排出の構成は、トナーカートリッジ20と同様であり、説明は省略する。
図9(a)は、トナーカートリッジ25およびプロセスカートリッジ4が本体1に装着された状態における、本体搬送路形成部材80周辺の構成の模式的斜視図である。図9(b)は、図9(a)中の点線Hにおける模式的断面図である。
トナーカートリッジ25の連結部253(実施形態1のトナーカートリッジ20の連結部203と同様の構成である)のトナー排出口24から排出されたトナーは、本体搬送路形成部材80の受け入れ口81に自重によって受け渡される。
搬送路形成部材80は、搬送路形成部材70と同様に、ダクト状の中空部材であり、その中空内部空間がトナー搬送路を構成する。搬送路形成部材80は、トナー搬送経路の上流側であるトナーカートリッジ25の連結部253から、下流側であるプロセスカートリッジ4の連結部43にかけて、搬送方向が互いに異なる第1搬送部801、第2搬送部802、第3搬送部803を有している。第2搬送部802にはトナー搬送スクリュー86が、第3搬送部803にはトナー排出スクリュー87が、それぞれ配置されている。
第1搬送部801には、上述した受け入れ口81が上面に設けられているとともに、受け入れ口81から入ってきたトナーを、その自重によりトナー搬送路の下流に向けて移動させるための傾斜面85が、トナー搬送路の底面に形成されている。傾斜面85は、トナーの移動を促すべく、水平面に対する角度がトナーの安息角よりも大きくなるように設けられている。
傾斜面85の作用によって第1搬送部801から第2搬送路802の下部(上流側)に移動してきたトナーは、第2搬送部802内に配置されたトナー搬送スクリュー86に接触する。トナー搬送スクリュー86に接触したトナーは、トナー搬送スクリュー86の回転により、トナー搬送スクリュー86の上流側端部の側から下流側端部の側に向けて矢印Jの方向に上方搬送される。
トナー搬送スクリュー86によって第2搬送部802のトナー搬送路下流(上方)まで搬送されたトナーは、第3搬送部803内に配置されたトナー排出スクリュー87に接触する。トナー排出スクリュー87に接触したトナーは、トナー排出スクリュー87の回転によって、第3搬送部803のトナー搬送路内を矢印K方向(略水平方向)に搬送されるようになる。
ここで、トナー搬送スクリュー86は、駆動受け部50がトナー排出スクリュー87から回転力を受けることで、トナー排出スクリュー87の回転に従動して回転する。トナー排出スクリュー87は回転軸の端部に設けられた不図示の駆動ギア(駆動受け手段)によってモータ等の駆動源(不図示)から回転力を受け、回転することで矢印Kの方向にトナ
ーを搬送する。この駆動受け部50が回転力を受ける際に、トナーがトナー搬送スクリュー86と駆動受け部50との間で挟持・摺擦される。
なお、トナー搬送スクリュー86が不図示のモータ等の駆動源から回転力を直接受けるものとし、トナー排出スクリュー87がトナー搬送スクリュー86から回転力を受けて従動回転する構成としてもよい。
第3搬送部803のトナー搬送路下流まで搬送されたトナーは、第3搬送部803の下面に設けられたトナー排出口82から自重によって排出され、プロセスカートリッジ4の連結部43の受け入れ口41に受け渡される。プロセスカートリッジ4内部へは搬送スクリュー42によって搬送されることでプロセスカートリッジ4(現像ユニット45のトナー収容部44)にトナーが供給される。
実施形態1の搬送路形成部材70は、トナー搬送経路を、プロセスカートリッジ4やドラムカートリッジ20の装置本体への装着方向に略コ字状に這わせる構成である。これに対し、実施形態2の搬送路形成部材80は、トナー搬送経路を、プロセスカートリッジ4とドラムカートリッジ25の奥側において両者の並び方向(対向方向)と略平行な方向に略コ字状に這わせる構成であり、装置小型化においてより優れた構成である。
本実施形態は、トナーを上方に向かって搬送するためのトナー搬送スクリュー86がトナー搬送スクリュー87の回転に従動して、駆動受け部50が回転力を受けることで回転することを特徴としている。
発明者らの鋭意検討によると、本構成では、駆動受け部50においてトナーが繰り返しせん断力を受けることに加え、トナーから外れた外添剤が留まりやすいため、実施形態1に比べて外添剤の凝集塊が成長しやすいことが分かった。
以下に示す表3に記載のトナーを本実施形態に記載の画像形成装置を用いて実施形態1の方法で効果を確認した。
Figure 0007210235000008
(評価結果)
表4は表3に記載のトナーを用いた画像評価、及び現像ローラ表面観察の結果である。
Figure 0007210235000009
トナーD、トナーEにおいては、スジ発生部の現像ブレード9と現像ローラ7の当接位置には、シリカ微粒子の凝集体が挟まっている箇所があった。これはトナー搬送経路中の駆動受け部近傍において、強いせん断力を受けることによってシリカ微粒子が外れ凝集することで生成されたと考えられる。一方、トナーCにおいては、該シリカ微粒子の凝集体が挟まっているが、トナーD及びトナーEほど該凝集体が大きく成長しておらず、画像の一部に軽微な縦スジ状の濃度ムラが発生したが、使用上問題なしと判断された。
また、実施形態1と異なる点は、トナー搬送スクリュー86がトナーを上方に搬送する構成である点である。発明者らの鋭意検討によると、駆動受け部に挟持されたトナーがトナー排出スクリュー87に受けわたってすぐにトナー排出スクリュー87から零れ落ち、トナー搬送スクリュー86と搬送経路の壁の間に落下しているものがあることがわかった。結果として何度も繰り返し駆動受け部に挟持されるトナーが発生する。そのため、外添剤の凝集体形成を抑制する為に必要な固着率が上がったと考えられる。
更なる検討の結果、トナーがトナー排出スクリュー87から零れ落ちる条件は、トナー排出スクリュー87の回転軸の角度が水平面に対してトナーの安息角以上であることがわかった。
ここでトナーの安息角について説明する。トナーの安息角とは、トナーを平面上に落下させたときに、平面上にできるトナーの山の稜線の傾斜角をいう。本実施形態では、パウダテスタPT-S(ホソカワミクロン社製)を使用し、安息角を測定した。目開き250μmのメッシュ上にトナー150gを乗せ、振動を加えることで漏斗を介して、直径8cmの円形テーブルの上にトナーを堆積させる。このとき、テーブルの端部からトナーがあふれる程度に堆積させる。このときのテーブル上に堆積したトナーの稜線と円形テーブル面との間に形成された角度を測定することで安息角とした。
本実施形態では駆動受け部よりも上流側のトナー搬送スクリュー86が上方に搬送する構成であるが、駆動受け部よりも下流側のトナー排出スクリュー87が上方に搬送する構成であっても駆動受け部よりも上流側にトナーが零れ落ち、やはり繰り返し駆動受け部において繰り返し挟持される事になる為、本実施形態と同様の効果が得られる。
また、特にトナーD、トナーEにおいては、現像ローラ7のスジ削れが発生しており、トナー搬送経路中において駆動受け部近傍でシリカ微粒子の凝集体が大きく成長していることを示唆している。また、逆にトナーA~Cにおいてはシリカ微粒子の凝集体が大きく成長しない為、使用上問題となるようなスジ画像が発生しなかったことを示している。
以上述べたように、搬送経路における複数の搬送部材の一方が他方から回転力を受けることで駆動する構成であって、少なくとも搬送部材の片方が上方にトナー搬送するように配置されている場合であっても、無機ケイ素微粒子の固着率が87%以上のトナーであればシリカ微粒子の凝集体の成長に起因する縦スジ画像を抑制することができる。また、よ
り好ましくは無機ケイ素微粒子の固着率が90%以上のトナーであればシリカ微粒子の凝集体の成長に起因する縦スジ画像を更に抑制することができる。
また本実施形態では、図6に示すような、トナー粒子及び前記トナー粒子の表面を被覆する有機ケイ素重合体を有するトナーを用いている(図6において、トナー25は、トナー粒子25aはその表面に有機ケイ素重合体を含有する表層25bを有する)。
該有機ケイ素重合体を含有する表層で被覆されたトナーにおいても、上記実施形態で示したものと同様の効果が得られる。すなわち、本実施形態は、トナー搬送経路中において強いせん断力を受けた場合であっても、有機ケイ素重合体が外れて凝集体を形成することを抑制することができる。
次に使用したトナーの製造条件について記載する。
[トナーK]
(水系媒体1の調製工程)
反応容器中のイオン交換水1000.0部に、リン酸ナトリウム(ラサ工業社製・12水和物)14.0部を投入し、窒素パージしながら65℃で1.0時間保温した。
T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、12000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10.0部に9.2部の塩化カルシウム(2水和物)を溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。さらに、水系媒体に10質量%塩酸を投入し、pHを5.0に調整し、水系媒体1を得た。
(表層用有機ケイ素化合物の加水分解工程)
撹拌機、温度計を備えた反応容器に、イオン交換水60.0部を秤量し、10質量%の塩酸を用いてpHを3.0に調整した。これを撹拌しながら加熱し、温度を70℃にした。その後、表層用有機ケイ素化合物であるメチルトリエトキシシラン40.0部を添加して2時間以上撹拌して加水分解を行った。加水分解の終点は目視にて油水が分離せず1層になったことで確認を行い、冷却して表層用有機ケイ素化合物の加水分解液を得た。
(重合性単量体組成物の調製工程)
・スチレン :60.0部
・C.I.ピグメントブルー15:3 : 6.5部
前記材料をアトライタ(三井三池化工機株式会社製)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5.0時間分散させて、顔料分散液を調製した。前記顔料分散液に下記材料を加えた。
・スチレン :20.0部
・n-ブチルアクリレート :20.0部
・架橋剤(ジビニルベンゼン) : 0.3部
・飽和ポリエステル樹脂 : 5.0部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)とテレフタル酸との重縮合物(モル比10:12)、ガラス転移温度Tg=68℃、重量平均分子量Mw=10000、分子量分布Mw/Mn=5.12)
・フィッシャートロプシュワックス(融点78℃) : 7.0部
上記材料を加えた前記顔料分散液を65℃に保温し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、500rpmにて均一に溶解、分散し、重合性単量体組成物を調製した。
(造粒工程)
水系媒体1の温度を70℃、T.K.ホモミクサーの回転数を12000rpmに保ちながら、水系媒体1中に重合性単量体組成物を投入し、重合開始剤であるt-ブチルパー
オキシピバレート9.0部を添加した。そのまま該撹拌装置にて12000rpmを維持しつつ10分間造粒した。
(重合工程)
造粒工程の後、攪拌機をプロペラ撹拌羽根に換え150rpmで攪拌しながら70℃を保持して5.0時間重合を行い、85℃に昇温して2.0時間加熱することで重合反応を行ってコア粒子を得た。スラリーの温度を55℃に冷却してpHを測定したところ、pH=5.0だった。55℃で撹拌を継続したまま、表層用有機ケイ素化合物の加水分解液を20.0部添加してトナー粒子の表層形成を開始した。そのまま30分保持した後に、水酸化ナトリウム水溶液を用いてスラリーを縮合完結用にpH=9.0に調整して更に300分保持し、表層を形成させた。
(洗浄、乾燥工程)
重合工程終了後、トナー粒子のスラリーを冷却し、トナー粒子のスラリーに塩酸を加えpH=1.5以下に調整して1時間撹拌放置してから加圧ろ過器で固液分離し、トナーケーキを得た。これをイオン交換水でリスラリーして再び分散液とした後に、前述のろ過器で固液分離した。リスラリーと固液分離とを、ろ液の電気伝導度が5.0μS/cm以下となるまで繰り返した後に、最終的に固液分離してトナーケーキを得た。
得られたトナーケーキは気流乾燥機フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業製)にて乾燥を行い、更にコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて微粗粉をカットしてトナー粒子Kを得た。乾燥の条件は吹き込み温度90℃、乾燥機出口温度40℃、トナーケーキの供給速度はトナーケーキの含水率に応じて出口温度が40℃から外れない速度に調整した。
トナー粒子Kの断面TEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層にケイ素原子が存在することを確認した。以降のトナー製造例においても、有機ケイ素重合体を含有する表層は同様のケイ素マッピングで表層にケイ素原子が存在することを確認した。本製造例においては、得られたトナー粒子Kを外添せずにそのままトナーKとして用いた。
トナーKについて行った評価について、その方法を以下に述べる。
<固着率の測定方法>
「トナー粒子の表面における有機ケイ素重合体の固着率の測定方法」にて述べた方法により測定を行った。
[トナーL]
トナーLは、(重合工程)における加水分解液を添加する時の条件、及び添加後の保持時間を表5のように変えた以外は、トナーKと同様の方法でトナーを作製した。なお、スラリーのpH調整は塩酸及び水酸化ナトリウム水溶液で行った。得られたトナーLの測定結果を表5に示す。
[トナーM]
トナーMは、(重合工程)における加水分解液を添加する時の条件、及び添加後の保持時間を表5のように変えた以外は、トナーKと同様の方法でトナーを作製した。なお、スラリーのpH調整は塩酸及び水酸化ナトリウム水溶液で行った。得られたトナーMの評価結果を表5に示す。
[トナーN]
(表層用有機ケイ素化合物の加水分解工程)は行わなかった。代わりに、表層用有機ケイ素化合物のメチルトリエトキシシラン30部をモノマーのまま(重合性単量体組成物の
調製工程)で添加した。
(重合工程)では70℃に冷却してpH測定を行った後、加水分解液の添加を行わなかった。70℃で撹拌を継続したまま、水酸化ナトリウム水溶液を用いてスラリーを縮合完結用にpH=9.0に調整して更に300分保持して表層を形成させた。得られたトナーNの評価結果を表5に示す。
Figure 0007210235000010
(評価結果)
表6は表5に記載のトナーを用いた画像評価、及び現像ローラ表面観察の結果である。
Figure 0007210235000011
表6に記載の通り、表5に記載のトナーに関する変形例においても、表3に記載のトナーと同様の現象が確認された。トナーNにおいては、スジ発生部の現像ブレード9と現像ローラ7の当接位置には、有機ケイ素化合物の凝集体が挟まっている箇所があった。また、現像ローラ7のスジ削れが発生しており、これはトナー搬送経路中の駆動受け部近傍において、強いせん断力を受けることによって有機ケイ素化合物が外れ凝集し、更に大きく成長しているものと考えられる。また、逆にトナーK、トナーL、トナーMにおいては有機ケイ素化合物の凝集体が大きく成長しない為、スジ画像が発生しなかったことを示している。
以上述べたように、搬送経路における複数の搬送部材の一方が他方から回転力を受けることで駆動する構成であって、少なくとも搬送部材の片方が上方にトナー搬送するように
配置されている場合であっても、有機ケイ素重合体の固着率が固着率90%以上のトナーであれば有機ケイ素重合体の凝集体の成長に起因する縦スジ画像を抑制することができる。
≪実施形態3≫
本実施形態が実施形態1と異なる点は、装置本体1に備え付けられていた搬送路形成部材70がトナーカートリッジ20と一体となって装置本体1に対して着脱自在になっている点である。
図10は、本実施形態におけるプロセスカートリッジ4とトナーカートリッジ26の模式的斜視図である。
実施形態3のトナーカートリッジ26は、装置本体への装着方向の下流側の側面に搬送路形成部27が設けられている。
搬送路形成部27は、搬送路形成部材70と同様のダクト状の中空部材で構成され、その中空内部空間がトナー搬送路を構成する。搬送路形成部27によるトナー搬送路は、トナーカートリッジ26の内部空間と、プロセスカートリッジ4の連結部43の内部空間と、の間を連通する。搬送路形成部27は、上流のトナーカットリッジ26側から下流のプロセスカートリッジ4の連結部43側にかけて、搬送方向が互いに異なる第1搬送部271、第2搬送部272、第3搬送部273を有している。
トナーカートリッジ26の内部構造は、実施形態1のトナーカートリッジ20と同様であり、トナー搬送スクリュー26の先端が、搬送路形成部27の第1搬送部271の内部まで延びている。したがって、トナー搬送スクリュー26により、第1搬送部271の内部上方までトナーが搬入され、第1搬送部271内部を落下する。以降のトナーの搬送は、実施形態1の搬送路形成部材70と同様、第2搬送部272、第3搬送部273の内部にそれぞれ配置された不図示のトナー搬送スクリュー、トナー排出スクリューによって行われる。
搬送経路をトナーカートリッジ26に持たせることで、トナーの搬送経路間の受け渡し部分が減るために、受け渡し部におけるトナー漏れ防止部材(不図示)の部品点数を減らすことができる。
尚、本実施形態の説明で用いた設定条件は一例であり、これに限定されない。
≪実施形態4≫
本実施形態が実施形態1と異なる点は、装置本体1に備え付けられていたトナー搬送経路70がプロセスカートリッジ4と一体となって装置本体1に対して着脱自在になっている点である。
図11は、本実施形態におけるプロセスカートリッジ4とトナーカートリッジ20の斜視図である。
実施形態4のプロセスカートリッジ4は、装置本体への装着方向の下流側の側面に搬送路形成部47が設けられている。
トナーカートリッジ20は、実施形態1の物と同様の構成である。
搬送路形成部47は、搬送路形成部材70と同様のダクト状の中空部材で構成され、その中空内部空間がトナー搬送路を構成する。搬送路形成部47によるトナー搬送路は、トナーカートリッジ20の内部空間と、プロセスカートリッジ4の内部空間(現像ユニット45のトナー収容部44)と、の間を連通する。搬送路形成部47は、上流のトナーカットリッジ20側から下流のプロセスカートリッジ4の内部空間側にかけて、搬送方向が互いに異なる第1搬送部471、第2搬送部472、第3搬送部473、第4搬送部474を有している。
第2搬送部472、第3搬送部473、第4搬送部474には、それぞれ不図示のトナ
ー搬送スクリューが配置され、回転駆動力が直列的に伝達するように順次連結されている。
搬送経路をプロセスカートリッジ4に持たせることで、トナーの搬送経路間の受け渡し部分が減るために、受け渡し部におけるトナー漏れ防止部材(不図示)の部品点数を減らすことができる。
尚、本実施形態の説明で用いた設定条件は一例であり、これに限定されない。
1…画像形成装置、4…プロセスカートリッジ、20…トナーカートリッジ、21…撹拌軸、22…撹拌羽、23…トナー搬送スクリュー、24…排出口、25…トナー、25a…トナー粒子、25b…有機ケイ素重合体を含有する表層、36…トナー搬送スクリュー、36g…第1ブレード歯面、36k…回転軸、37…トナー排出スクリュー、37g…第2ブレード歯面、37k…回転軸、41…トナー受け入れ口、70…本体搬送路形成部材、71…トナー受け入れ口、72…トナー排出口

Claims (15)

  1. 画像形成装置に用いられる現像装置であって、
    像担持体に形成された潜像を現像するための現像剤を担持する現像剤担持体と、
    前記現像剤担持体に担持される前記現像剤を規制するための規制部材と、
    前記現像剤担持体と前記規制部材を支持し、前記現像剤の収容部を有する枠体と、
    前記現像剤を収容する現像剤容器と、
    前記現像剤容器から前記枠体の前記収容部へ前記現像剤を供給するための搬送経路と、を有し、
    前記搬送経路には、回転することにより前記現像剤を搬送する第1搬送部材と、回転することにより前記現像剤を搬送する第2搬送部材と、が配置され、
    前記第2搬送部材は、前記第1搬送部材から回転力を受ける駆動受け部を有し、
    前記現像剤は、トナー粒子及び前記トナー粒子の表面を被覆する有機ケイ素重合体であって、下記式(1)で表される構造を有する前記有機ケイ素重合体を有するトナーを含有し、
    R-SiO 3/2 式(1)
    (前記Rは、炭素数が1以上、6以下の炭化水素基を示す。)
    前記トナー粒子の表面における、前記有機ケイ素重合体の固着率が、87%以上100%以下であることを特徴とする現像装置。
  2. 前記第1搬送部材と前記第2搬送部材のうち前記搬送経路において下流に位置する方の搬送部材の回転軸は、動作時の水平面に対して前記現像剤の安息角よりも大きくなるように配置されており、
    前記固着率が、90%以上100%以下である、請求項1に記載の現像装置。
  3. 前記第1搬送部材及び前記第2搬送部材は、回転軸と、前記回転軸の外周に設けられた螺旋羽根と、を有するスクリューである、請求項1または2に記載の現像装置。
  4. 前記搬送経路は、前記枠体と前記現像剤容器との対向方向とは異なる方向に迂回して前記現像剤容器から前記枠体の前記収容部まで延びている、請求項1~のいずれか1項に
    記載の現像装置。
  5. 前記現像剤担持体と前記規制部材と前記枠体とが、第1のカートリッジとして画像形成装置の装置本体に対して着脱可能であり、
    前記現像剤容器が、第2のカートリッジとして前記第1のカートリッジとは個別に画像形成装置の装置本体に対して着脱可能であり、
    前記搬送経路は、前記装置本体に設けられている、
    請求項1~のいずれか1項に記載の現像装置。
  6. 潜像が形成される像担持体と、
    像担持体に形成された潜像を現像するための現像剤を担持する現像剤担持体と、
    前記現像剤担持体に担持される前記現像剤を規制するための規制部材と、
    少なくとも前記現像剤担持体と前記規制部材を支持し、前記現像剤の収容部を有する枠体と、
    前記現像剤を収容する現像剤容器と、
    前記現像剤容器から前記枠体の前記収容部へ前記現像剤を供給するための搬送経路と、を有し、
    前記搬送経路には、回転することにより前記現像剤を搬送する第1搬送部材と、回転することにより前記現像剤を搬送する第2搬送部材と、が配置され、
    前記第2搬送部材は、前記第1搬送部材から回転力を受ける駆動受け部を有し、
    前記現像剤は、トナー粒子及び前記トナー粒子の表面を被覆する有機ケイ素重合体であって、下記式(1)で表される構造を有する前記有機ケイ素重合体を有するトナーを含有し、
    R-SiO 3/2 式(1)
    (前記Rは、炭素数が1以上、6以下の炭化水素基を示す。)
    前記トナー粒子の表面における、前記有機ケイ素重合体の固着率が、87%以上100%以下であることを特徴とする画像形成装置。
  7. 前記第1搬送部材と前記第2搬送部材のうち前記搬送経路において下流に位置する方の搬送部材の回転軸は、動作時の水平面に対して前記現像剤の安息角よりも大きくなるように配置されており、
    前記固着率が、90%以上100%以下である、請求項に記載の画像形成装置。
  8. 前記第1搬送部材及び前記第2搬送部材は、回転軸と、前記回転軸の外周に設けられた螺旋羽根と、を有するスクリューである、請求項6または7に記載の画像形成装置。
  9. 前記搬送経路は、前記枠体と前記現像剤容器との対向方向とは異なる方向に迂回して前記現像剤容器から前記枠体の前記収容部まで延びている、請求項6~8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  10. 前記現像剤担持体と前記規制部材と前記枠体とが、第1のカートリッジとして、前記現像剤容器が、第2のカートリッジとして前記第1のカートリッジとは個別に、それぞれ着脱可能に構成された装置本体をさらに備え、
    前記搬送経路は、前記装置本体に設けられている、
    請求項6~9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  11. 画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジであって、
    像担持体に形成された潜像を現像するための現像剤を担持する現像剤担持体と、
    前記現像剤担持体に担持される前記現像剤を規制するための規制部材と、
    前記現像剤担持体と前記規制部材を支持し、前記現像剤の収容部を有する枠体と、
    前記現像剤を収容する現像剤容器と、
    前記現像剤容器から前記枠体の前記収容部へ前記現像剤を供給するための搬送経路と、を有し、
    前記搬送経路には、回転することにより前記現像剤を搬送する第1搬送部材と、回転することにより前記現像剤を搬送する第2搬送部材と、が配置され、
    前記第2搬送部材は、前記第1搬送部材から回転力を受ける駆動受け部を有し、
    前記現像剤は、トナー粒子及び前記トナー粒子の表面を被覆する有機ケイ素重合体であって、下記式(1)で表される構造を有する前記有機ケイ素重合体を有するトナーを含有し、
    R-SiO 3/2 式(1)
    (前記Rは、炭素数が1以上、6以下の炭化水素基を示す。)
    前記トナー粒子の表面における、前記有機ケイ素重合体の固着率が、87%以上100%以下であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  12. 前記第1搬送部材と前記第2搬送部材のうち前記搬送経路において下流に位置する方の搬送部材の回転軸は、動作時の水平面に対して前記現像剤の安息角よりも大きくなるように配置されており、
    前記固着率が、90%以上100%以下である、請求項11に記載のプロセスカートリッジ。
  13. 前記第1搬送部材及び前記第2搬送部材は、回転軸と、前記回転軸の外周に設けられた螺旋羽根と、を有するスクリューである、請求項11または12に記載のプロセスカートリッジ。
  14. 前記搬送経路は、前記枠体と前記現像剤容器との対向方向とは異なる方向に迂回して前記現像剤容器から前記枠体の前記収容部まで延びている、請求項11~13のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
  15. 前記現像剤担持体と前記規制部材と前記枠体とが、第1のカートリッジとして画像形成装置の装置本体に対して着脱可能であり、
    前記現像剤容器が、第2のカートリッジとして前記第1のカートリッジとは個別に画像形成装置の装置本体に対して着脱可能であり、
    前記搬送経路は、前記装置本体に設けられている、
    請求項11~14のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。
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