JP7201183B2 - 抗菌シート及びマスク - Google Patents
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Description
また、粉末が配合されることで通気性が低下しやすくなることが懸念されるがこの点についても有効な検討はされていない。
さらに、特許文献1のようにマスク自体に抗菌性を付与する場合、マスクの製造工程が通常よりも煩雑になりコストの上昇をもたらしてしまう。一方で、既存のマスクに抗菌性を付与できれば、マスク自体のコスト上昇を抑えることができる。そして、抗菌性を付与する手段が複数回可能であれば、使用者にとって経済的で非常に便利である。
すなわち、本発明は下記のとおりである。
[2] 前記不織布シートの目付X(g/m2)に対する前記無機系粉末の担持量Y(g/m2)の比(Y/X)が、0.2~0.7である[1]に記載の抗菌シート。
[3] 前記バインダー樹脂が、親水性樹脂である[1]又は[2]に記載の抗菌シート。
[4] 前記無機系粉末が、前記アルカリ性粉末とは別に、無機系脱臭粉末を含む[1]~[3]のいずれかに記載の抗菌シート。
[5] 前記無機系粉末の担持量Yが5~35g/m2である[1]~[4]のいずれかに記載の抗菌シート。
[6] 着用者の口及び鼻を覆うマスク本体部を備えるマスクであって、[1]~[5]のいずれかに記載の抗菌シートの前記粘着剤領域が、前記マスク本体部の外側面及び内側面の少なくともいずれかと着脱自在に固定化されたマスク。
図1に例示するように、本実施形態の抗菌シート10は、不織布シート12と、不織布シート12の一方の面側に形成された抗菌領域14と、抗菌領域上に形成された粘着剤領域16とを有する。
抗菌領域12は、水溶液若しくは分散液のpHが12以上となるアルカリ性粉末(以下、「アルカリ性粉末」ということがある)、及びバインダー樹脂を含む。
このような構成とすることで、上記アルカリ性粉末による抗菌作用を良好に発揮しながら、当該粉末が脱落しにくい(あるいは移動しにくい)抗菌シートとすることができる。
以下、本実施形態の抗菌シートについてより詳細に説明する。
本実施形態に係る不織布シートを構成する繊維としては、熱可塑性樹脂繊維を用いることができる。熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、アクリル等が挙げられる。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン(PB)、及び、これらを主体とした共重合体等が挙げられる。ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンタレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレタレート(PBT)、及び、これらを主体とした共重合体等が挙げられる。ポリアミドとしては、例えば、ナイロン6、ナイロン6,6等が挙げられる。アクリルとしては、ポリアクリルニトリル(PAN)等が挙げられる。
具体的には、スパンレース法、スパンボンド法、湿式法、エアーレイド法、ケミカルボンド法、メルトブロー法等が挙げられる。これらの製造法を組み合わせて製造することもできる。これらの中では、スパンレース法、スパンボンド法が好ましい。
既述のように、本実施形態に係る不織布シートは、不織布シートの少なくとも一方の面側に、抗菌剤としてのアルカリ性粉末とバインダー樹脂とを含む抗菌領域を有する。抗菌領域は、例えば、不織布シートの一方の面側の表面全体に、又は表面に散在的に形成されている。アルカリ性粉末により、抗菌作用が発揮されるが、当該作用と同時に酸性の臭気に対して吸着作用を発揮することができる。
ここで、「重量平均分子量」は、GPC(標準ポリスチレン換算)で測定した重量平均分子量を意味する。
なお、アルカリ性粉末とともに後述の脱臭剤としての無機系脱臭粉末を使用する場合はこれらの合計が上記範囲とすることが好ましい。
当該アルカリ性粉末及び脱臭剤としての無機系粉末(無機系脱臭粉末)について、以下、詳細に説明する。なお、「無機系粉末」とはアルカリ性粉末単独、あるいは、アルカリ性粉末及び無機系脱臭粉末の組み合わせであることが好ましい。
アルカリ性粉末は、これを100mlの純水に10g添加し、3分程度撹拌して溶解もしくは分散した際のpHが12以上となる粉末で、例えば、消石灰、生石灰、ドロマイト系化合物等が挙げられる。
上記のなかでも、消石灰粉末及び/又はドロマイト系化合物(特に、水酸化ドロマイト)が、コスト及び取り扱い性の観点から好ましい。またこれらであれば、抗菌性とともに抗ウイルス性を付与することができる。すなわち、抗ウイルス抗菌シートとすることができる。
ドロマイト(Dolomite)は、カルサイト(Calcite)と呼ばれる炭酸カルシウム(CaCO3)と、マグネサイト(Magnesite)と呼ばれる炭酸マグネシウム(MgCO3)との、理想的には1:1の複塩である。成分的にみれば、これはカルサイトとマグネサイトとの中間に位置する物質である。ドロマイトを比較的温和な条件で加熱すれば、脱炭酸反応が起こって、「軽焼ドロマイト」と呼ばれる酸化カルシウム(CaO)と酸化マグネシウム(MgO)との酸化物の複塩が得られる。軽焼ドロマイトに水を加えて消化すれば、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)と水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)との水酸化物の複塩である、水酸化ドロマイトが得られる。水酸化ドロマイトには、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化第二鉄等の他の成分を本発明の効果を妨げない範囲で含有していてもよい。
また、水酸化ドロマイトの原料として、軽焼ドロマイトを用いることができる。この軽焼ドロマイトとしては、JIS R9001に規定する特号及び1号の軽焼ドロマイトが好適である。軽焼ドロマイトは、処理対象物や原料中に含まれる水と反応して消化により水和され、水酸化ドロマイトに変化する。そのため、水酸化ドロマイトを調製する工程を省略して軽焼ドロマイトをそのまま用いても水酸化ドロマイトによる効果が発揮される。
また、塗工性や脱落防止性を考慮すると、篩い分けによるアルカリ性粉末の最大粒径は150μm以下であることが好ましい。
脱臭剤としての無機系粉末(無機系脱臭粉末)としては、例えば無機シリカ系粉末を用いることが好ましい。無機シリカ系粉末とは、化学成分としてシリカを含有する無機粉末である。
無機シリカ系粉末としては、活性白土、セピオライト、酸性白土、珪藻土、シリカゲル、頁岩(特に、膨張性頁岩を焼成したもの)、パーライト、アロフェン、ゼオライト等といった、化学成分としてシリカを含む粉末が挙げられる。なかでも、用途によっては、無機シリカ系粉末が、水溶液若しくは分散液のpHが6以下となる無機シリカ系酸性粉末であることが好ましい。無機シリカ系酸性粉末とは、これを100mlの純水に10g添加し、3分程度撹拌して溶解もしくは分散した際のpHが6以下(好ましくは4以下、より好ましくは3以下)となる粉末をいう。無機シリカ系酸性粉末とすることでアルカリ性粉末との相乗効果が得られやすい。具体的な無機シリカ系酸性粉末としては、好ましくは、活性白土、セピオライト、ゼオライト、珪藻土等が挙げられる。
また、塗工性や脱落防止性を考慮すると、篩い分けによる無機シリカ系粉末の最大粒径は150μm以下であることが好ましい。
かかる粉末の平均粒子径(メジアン径(d50))は、10~200μmであることが好ましく、20~190μmであることがより好ましい。
粘着剤領域は抗菌領域上に形成され、マスク等と貼り合わされる。粘着剤領域を構成する粘着層は、抗菌領域上に粘着層を形成した際に、抗菌シートが30~400cm3/(cm2・s)の通気度を有するように形成されることが好ましい。また、粘着剤領域を構成する粘着層は、着脱容易性を考慮すると、粘着剤領域が設けられた側の面の対180°ガラス粘着力が既述のとおり、1~5N/25mmとなるように形成されることが好ましい。
なお、通気度や粘着力は実施例に記載の方法で測定することができる。
粘着剤の調製に際しては、必要に応じタッキファイヤー、軟化剤、老化防止剤等の添加剤を配合することができる。
本実施形態の抗菌シートは、例えば、不織布シートに既述のアルカリ性粉末とバインダー樹脂を含む塗工液を塗布し乾燥する工程(塗布乾燥工程)、乾燥後の不織布シートの抗菌領域上に粘着剤領域を形成する工程(粘着剤領域形成工程)を順次経て製造することができる。
塗布乾燥工程では、まず、アルカリ性粉末とバインダー樹脂を含む塗工液を作製する。このとき、用途に応じて、脱臭剤としての無機系粉末を混合してもよい。アルカリ性粉末と無機系粉末の混合比や、これらとバインダー樹脂との割合等は既述のとおりである。
不織布シートに塗工液を塗布する方法としては、特に限定されないが、ディッピング、コンマコーター、ナイフコーター、グラビアコーター等のコーティング法や、フレキソ印刷等を用いた方法が好ましい。この他、(フラット)スクリーンプリント、ロータリー(スクリーン)プリント、インクジェット、スプレー、Tダイ等を用いた方法も挙げられる。なかでも、グラビアコーティング法を用いることが好ましい。グラビアコーティング法であれば、他の塗布方法、特にナイフ法、ロール法と比較して、抗菌シートが良好な柔軟性を有するようになる。
また、塗工液の塗布量としては、10~100g/m2であることが好ましく、10~80g/m2であることがより好ましい。このとき、塗工液中の抗菌剤(アルカリ性粉末、又は、アルカリ性粉末と無機系脱臭粉末の合計)の塗布量としては、3~90g/m2であることが好ましく、5~70g/m2であることがより好ましい。
当該方法としては、熱風および赤外線により乾燥させる方法、熱源に接触させて乾燥させる方法等を用いてよく、気温や湿度によっては自然乾燥でもよい。ただし、自然乾燥だとアルカリ性粉末が空気中の水分や二酸化炭素を吸収し、その効果を低減させてしまう場合がある。したがって、80~150℃程度で乾燥することが好ましい。
粘着剤領域形成工程では、抗菌領域上に粘着剤を塗布して粘着剤領域を形成する。なお、粘着剤は抗菌領域でない箇所に塗布されていてもよい。
例えば粘着剤領域形成工程後に、図4で示すように、供給ロール47から繰り出した離型フィルム33を貼り合わせロール48を用いて押圧して貼り合わせてもよい。そして最終的に巻き取りロール49を用いて巻き取ってもよい。
本実施形態のマスクは、着用者の口及び鼻を覆うマスク本体部を備えるマスクであって、抗菌シートの粘着剤領域が、マスク本体部の外側面及び内側面の少なくともいずれかと着脱自在に固定化されている。
当該マスクとしては、種々の形状、素材のものが使用可能であり、その通気度は30~400cm3/(cm2・s)であることが好ましく、60~200cm3/(cm2・s)であることがより好ましい。
(無機シリカ系粉末によるアンモニアガス吸着試験)
無機シリカ系粉末として、活性白土粉末(日本活性白土(株)社製SA-1)、ゼオライト粉末(ジークライト(株)社製ジークライトSGW)、珪藻土粉末(有限会社 稚内グリーンファクトリー社製 珪藻土-0.7mm)のそれぞれ1gを秤量し、アンモニアガス吸着試験を行った。下記表1-1及び表1-2に上記無機シリカ系粉末の性状・物性、化学成分を示す。
比表面積は、ガス吸着式細孔分布測定器「NOVA-4200」(株式会社セイシン企業製)を用いて、BET法により、窒素の吸着量から1点法により算出した。
細孔容積も、ガス吸着式細孔分布測定器「NOVA-4200」(株式会社セイシン企業製)を用いて、算出した。
pHは、それぞれの試料を10g採取し、これを100mlの純水中に添加してガラス棒を使って3分間よく撹拌した後、pHメータにて測定した。
また、化学成分は、JIS R9011の「石灰の分析方法」に規定された方法により測定した。
i)1M酢酸アンモニウム液
酢酸アンモニウム77.08gを1Lの純水に溶解し、その後、2Mのアンモニア水溶液と2Mの酢酸とで、pHを7に調整して、1M酢酸アンモニウム液を調製した。
ii)エタノール(0.8m3/m3)
エタノール800mLに純水100mLを加えて、BTB試験紙によりアンモニア水でpHを7に調整した。
iii)塩化ナトリウム溶液(10質量%)
塩化ナトリウム100gに純水を加えて1Lとした。
(2)操作-交換-
試料0.1gを遠心管に分取した。そこへ1M酢酸アンモニウム液を40mL添加した。25℃の恒温槽中で適宜振り混ぜながら放置した。その後、5000rpmで遠心分離し上澄み液を捨てた。
(3)操作-洗浄-
次に、エタノール40mLを加えて振り混ぜ、5000rpmで遠心分離し上澄みを捨てた。この洗浄操作を4回繰り返した後、室温で乾燥させた。
(4)操作-浸出-
乾燥後、塩化ナトリウム溶液40mLを加え、25℃の恒温槽中で適宜振り混ぜながら24時間放置した。その後、5000rpmで遠心分離し上澄み液を採取し、純水にて50mLにメスアップした。
(5)測定
50mLに定容とした、浸透塩化ナトリウム溶液から正確に一定量(20ml)はかり、ブレムナー蒸留装置により、NH4 +を定量して陽イオン交換容量を求めた。
・実験例1
アルカリ性粉末として下記表3に示す性状・物性の消石灰(吉澤石灰工業(株)製工業用特号消石灰)1gを用い、無機シリカ系粉末として、上記“無機シリカ系粉末によるアンモニアガス吸着試験”で使用した活性白土粉末1gを用い、これらを混合して脱臭剤入り抗菌剤(脱臭抗菌剤)を作製した。
アルカリ性粉末として実施例1で使用した消石灰1gを用い、無機シリカ系粉末として、上記“無機シリカ系粉末によるアンモニアガス吸着試験”で使用したゼオライト粉末1gを用い、これらを混合して脱臭抗菌剤を作製した。
アルカリ性粉末として実施例1で使用した消石灰1gを用い、無機シリカ系粉末として、上記“無機シリカ系粉末によるアンモニアガス吸着試験”で使用した珪藻土1gを用い、これらを混合して脱臭抗菌剤を作製した。
実験例1~3で作製した脱臭抗菌剤をそれぞれ1g用いて、“無機シリカ系粉末によるアンモニアガス吸着試験”と同様にして、アンモニアガス吸着試験を行った。結果を下記表4に示す。
アンモニアガスを硫化水素ガスとし、硫化水素ガス濃度を20ppmとした以外は、上記“・アンモニアガス吸着試験”と同様にして、実施例1~3で作製した脱臭抗菌剤をそれぞれ1g用いて、硫化水素ガス吸着試験を行った。結果を下記表5に示す。
消石灰と活性白土との割合を下記表6のとおりにした以外は実験例1と同様にして脱臭抗菌剤を作製した。作製した各脱臭抗菌剤を1g用いて、実験例1と同様にアンモニアガス吸着試験及び硫化水素ガス吸着試験を行った。結果を下記表6及び表7示す。
「JIS Z 2801:2012 抗菌加工製品・抗菌性試験方法・抗菌効果」を参考にした試験方法によって、実験例1、実験例4~6、比較実験例1、2の脱臭抗菌剤(20g)を収納したパック(試験品)の各種細菌に対する常温下(25℃)での抗菌効果を調べた。具体的には下記のようにして試験を行った。
試験品の両面にパルスドキセノンランプ(コメット,BHX-200)をそれぞれ20秒間照射して清浄化した。
(2)試験条件
i)作用温湿度:25±1℃、90%RH以上
ii)作用時間:直後(無加工試験品のみ)、24時間
i)試験菌
a)Escherichia coli NBRC3972(大腸菌)
b)Staphylococcus aureus NBRC12732(黄色ぶどう球菌)
ii)試験菌液の調製
凍結保存された菌株を普通寒天培地(日水製薬)で35±1℃、24時間培養した。この培養菌を新たな普通寒天培地に移植して、35±1℃で19時間培養した。発育した集落をかき取り、1/500濃度の普通ブイヨン培地(栄研化学)で約105個/mLに調製し、これを試験菌液とした。
試験方法は「JIS Z 2801:2012 抗菌加工製品・抗菌性試験方法・抗菌効果」を参考にした。詳細を以下に示す。
i)試験菌液の接種と培養
試験品をシャーレに入れ、試験品表面全体に試験菌液0.4mLを9箇所滴下した。滴下した試験菌液が浸み込んだ後、パック内の内容物と菌液の接触効率を高めるために、菌液接種面を裏返して、作用温湿度条件(25℃±1℃、90%RH)下で所定時間作用させた。
所定時間作用後に予めSCDLPブイヨン培地(栄研化学)100mLを入れたストマッカー用減菌袋に試験品を回収し、試験品から試験菌を洗い出した。洗い出した液を菌数測定用試料液とした。試料液はリン酸緩衝生理食塩液を用いて希釈列を作製し、試料液原液及び希釈液の各1mLをシャーレに移し、標準寒天培地(日水製薬)約20mLと混合後、固化させて35±1℃で48時間培養した。培養後の発育集落を数えて、試験品あたりの試験菌数(定量下限値:100個/試験品)を求めた。また、得られた試験菌数から、無加工試験品を対照として、各抗菌加工品の抗菌活性値を求めた。
黄色ブドウ球菌対する試験結果を下記表8、表9に示し、大腸菌に対する試験結果を下記表10、表11に示す。
式:R=(Ut-Uo)-(At-Uo)=Ut-At
R:抗菌活性値(数値は小数点以下2桁目を切り捨て、小数点1桁で表示)
Ut:無加工試験品の接種直後の生菌数の対数値
Uo:無加工試験品の各作用時間後の生菌数の対数値
At:抗菌加工品の各作用時間後の生菌数の対数値
参考とした試験規格「JIS Z 2801」における「抗菌効果」は、試験菌である大腸菌や黄色ブドウ球菌に対する24時間作用における抗菌活性値が2.0以上とされており、これを鑑みれば、実験例に係る脱臭抗菌剤は優れた抗菌効果を発揮したことがわかる。
(実験例8)
無機系粉末9質量部、メタノール87質量部、バインダー樹脂としてのポリビニルピロリドン(クリージャスK-90、第一工業製薬(株)製、重量平均分子量120万)3質量部、及び、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC、日本曹達(株)製)1質量部を混合して脱臭抗菌剤含有樹脂組成物(塗工液)を作製した。
なお、無機系粉末の組成、不織布シートの詳細は下記のとおりである。
・無機系粉末:実験例1と同一の配合組成(消石灰:活性白土=50:50(質量比))
・不織布シート:スパンボンド不織布(商品名:シンワ6650-1A、シンワ(株)社製、目付30g/m2、40g/m2、50g/m2)
・不織布シート:スパンレース不織布(商品名:エスコット、ユニチカ(株)社製、目付30g/m2、55g/m2)
<耐粉落ち性の評価基準>
A:抗菌シートの同じ個所を折りたたんだのち、もとに戻す操作を10回繰り返しても粉落ち及び粉抜けがない。またその後に折り畳み部を指で強くこすっても粉落ち及び粉抜けがない。
B:抗菌シートの同じ個所を折りたたんだのち、もとに戻す操作を10回繰り返しても粉落ち及び粉抜けがない。またその後に折り畳み部を強く指でこすると若干粉落ちがあったが実用上問題はない。
C:抗菌シートの同じ個所を折りたたんだのち、もとに戻す操作を10回繰り返すと、粉落ちが若干あり、また粉抜けも生じていて実用上はあまり好ましくはない。
A及びB評価が合格であり、A評価であればより好ましい。
(実験例9)
実験例8のスパンボンド不織布(商品名:シンワ6650-1A、シンワ(株)社製、目付50g/m2)を用いた抗菌シートの抗菌領域が形成された面に、メルトブローン法にてホットメルト粘着剤を塗布して粘着剤領域を形成し、通気度が100ml/(cm2・s)で対180°ガラス粘着力(20℃、60%RH)が3.5N/25mmの抗菌シートXを作製した。
なお、対180°ガラス粘着力は、20℃、60%RHの条件で、アルカリガラス板と粘着剤領域を貼り合せてから1日経過した後、JIS Z0237に基づき規定された180°引きはがし法によって、引張速度300mm/分で引きはがした際の粘着力(N/25mm)のことをいう。
JIS L1096A法による試験方法に従って、抗菌シートXをマスクA及びBのそれぞれの外側面に貼り合わせて通気度を測定した。
不織布マスクのマスク本体部の外側面に抗菌シートの粘着剤領域を貼り付けた後、指で抗菌シートを剥がす着脱操作を繰り返して粘着力の評価を行った。2回以下の着脱操作で粘着力がなくなってしまったものをWとし、3回以上着脱操作が可能で剥がす際にスムーズに剥がせたものをGとし、3回以上着脱操作が可能であるが剥がす際に強い力が必要で剥がした後のマスクに毛羽立ちが生じてしまったものをSとした。W、G、SのうちGが合格品である。
[抗ウイルス効果評価試験]
実施例9の抗菌シートXを用いて抗ウイルス効果評価試験を下記のようにして行った。
試験ウイルスとして、ネコ腸コロナウイルス(Feline enteric coronavirus, WSU 89-1683)を用い、抗菌シートXと未加工品(抗菌シートXに用いたスパンボンド不織布(商品名:シンワ6650-1A、シンワ(株)社製、目付50g/m2))のそれぞれ(試験品)について、ISO 21702 に準じた方法で抗ウイルス効果を調べた。
具体的には、まず、試験サンプル(試験品のサイズ:40×40mm)をシャーレに入れ、試験品に、ウイルス液を0.4mL滴下した。40×40mmのフィルム(PP製)を乗せ、試験品とウイルスを作用させた。所定時間作用後、試験品からウイルスを回収し感染価を測定した。結果を下記表14に示す。
12 不織布シート
14 抗菌領域
16 粘着剤領域
Claims (6)
- 不織布シートと、該不織布シートの一方の面側に形成された抗菌領域と、該抗菌領域上に形成された粘着剤領域とを有し、
前記抗菌領域が、水溶液若しくは分散液のpHが12以上となるアルカリ性粉末を含有する無機系粉末、及び、バインダー樹脂を含み、
フラジール形法(JIS L 1096)に基づく通気度が、30~400cm3/(cm2・s)である抗菌シート。 - 前記不織布シートの目付X(g/m2)に対する前記無機系粉末の担持量Y(g/m2)の比(Y/X)が、0.2~0.7である請求項1に記載の抗菌シート。
- 前記バインダー樹脂が、親水性樹脂である請求項1又は2に記載の抗菌シート。
- 前記無機系粉末が、前記アルカリ性粉末とは別に、無機系脱臭粉末を含む請求項1~3のいずれか1項に記載の抗菌シート。
- 前記無機系粉末の担持量Yが5~35g/m2である請求項1~4のいずれか1項に記載の抗菌シート。
- 着用者の口及び鼻を覆うマスク本体部を備えるマスクであって、
請求項1~5のいずれか1項に記載の抗菌シートの前記粘着剤領域が、前記マスク本体部の外側面及び内側面の少なくともいずれかと着脱自在に固定化されたマスク。
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