JP7200647B2 - データ処理方法、データ処理装置、およびデータ処理プログラム - Google Patents
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Description
第2の態様によれば、所定のX線吸収率を有する領域を含む被検物に対してX線を照射することにより取得したデータを処理するデータ処理装置は、前記X線が前記被検物を透過して検出された透過X線強度に基づいて生成された投影データを取得するデータ取得部と、前記投影データに対応する再構成画像を、前記再構成画像の輝度に基づいて少なくとも2つのグループに分割する第1閾値を算出し、かつ、前記第1閾値を修正して第2閾値を算出する閾値算出部と、前記第2閾値に基づいて、前記再構成画像における前記領域に対応する画像領域の境界を前記再構成画像に設定する補正データ生成部と、を有する。
(投影データおよび再構成画像の取得)
被検物Sが異なる2物質からなる領域をそれぞれ有する場合を例に挙げて、本実施の形態の処理手順について説明する。2物質はX線吸収係数が互いに異なる。例えば、2物質のうち、一方は金属材料(例えばチタン)であり、他方は高分子材料(例えばメタクリル樹脂)である。本明細書では、高分子材料からなる領域を第1領域、被検物Sのうち金属材料からなる領域を第2領域と呼ぶ。また、以下の説明においては、被検物Sは、金属材料からなる第2領域が、高分子材料からなる第1領域の内部に含まれている構造を有するものとして説明を行う。
次に、再構成画像における2物質の境界、すなわち、第2領域に相当する金属材料領域(第2画像領域)と第1領域に相当する高分子材料領域(第1画像領域)との境界と、第1領域と被検物Sの外部の空気領域(再構成画像における背景画像領域)との境界とを設定するための閾値を算出する手順について説明する。金属材料のX線吸収係数(第2のX線吸収係数)は高分子材料のX線吸収係数(第1のX線吸収係数)よりはるかに大きい。そのため、X線が被検物Sの金属材料の領域(第2領域)を透過して検出素子に入射した透過X線強度は、X線が被検物Sの高分子材料の領域(第1領域)のみ透過し、金属材料の領域(第2領域)を透過することなく検出素子に入射した透過X線強度よりはるかに小さい。なお、X線が被検物S内を透過せず、空気領域を通過して検出素子に入射したX線の透過X線強度は、被検物Sの第1領域や第2領域を透過して検出素子に入射したX線の透過X線強度よりも大きい。
なお、検出器4のうちi番目の検出素子にて検出されるX線の透過強度Iiは以下の式で表される。
投影データpiは、上述したX線の透過強度Iiに基づいて、以下の式で表される。
上述したように物質間においてX線吸収係数が異なることにより、関係線L1は、画像輝度が比較的大きい値と比較的小さい値とそれらの中間の中程度の値とのそれぞれにピークを有することが推定される。そこで、閾値演算部11は、画像輝度が比較的大きいグループ(第1グループG1)と画像輝度が中程度のグループ(第2グループG2)の2つのグループの境界と、画像輝度が中程度の第2グループG2と画像輝度が比較的小さいグループ(第3グループG3)の2つのグループの境界とを設定するための閾値A12、A23(第1閾値)を求める。すなわち、閾値演算部11は、再構成画像の画像輝度に基づいて少なくとも3つのグループに分割するための第1閾値である閾値A12、A23を算出する。第1領域、第2領域および空気領域におけるX線吸収係数が上記したように異なる。このため、第1グループG1は、金属材料の領域(第2領域)を表す画像輝度に相当し、第2グループG2は、高分子材料の領域(第1領域)を表す画像輝度に相当し、第3グループG3は、空気領域を表す画像輝度に相当する。
なお、pkは、グレースケールの再構成画像の第k階層における画素数をnkとしたときの確率(nk/NT)である。
なお、ωmは第mクラスにおける累積確率であり、μmは第mクラスにおける平均値であり、それぞれ以下の式(4)、(5)で表される。
閾値演算部11が、上記の式(3)で示されたクラス間分散σB 2を最大にするtの組を第1閾値として算出する。この場合、tの組は、以下の式(6)のように表される。
クラス間分散σB 2=(n1・σ1 2+n2・σ2 2+n3・σ3 2)/(n1+n2+n3)
本実施の形態においては、再構成画像における物質の境界(本実施の形態においては金属材料領域に対応する画像上の領域と高分子材料領域に対応する画像上の領域との境界と、高分子材料領域に対応する画像上の領域と空気領域に対応する画像上の領域との境界)を設定する。物質の境界を設定するために、閾値演算部11は、上記の第1閾値である閾値A12、A23に基づいて修正した修正閾値である第2閾値を算出する。閾値A12、A23に基づいて修正した修正閾値(第2閾値)を閾値B12、B23と呼ぶ。閾値B12、B23を用いて再構成画像における2物質の境界(金属材料領域と高分子材料領域との境界と、高分子材料領域と空気領域との境界)を設定した場合、閾値A12、A23を用いて再構成画像における2物質の境界を設定した場合に比べて、より正確で高品質な再構成画像が得られる。また、以下の説明では、再構成画像において、第1閾値である閾値A12、A23に基づいた金属材料領域および高分子材料領域のそれぞれに対応する画像上の領域を、第1初期画像領域および第2初期画像領域と呼ぶ。再構成画像において、第2閾値である閾値B12、B23に基づいた金属材料領域および高分子材料領域のそれぞれに対応する画像上の領域を、第1画像領域および第2画像領域と呼ぶ。
図3は、再構成画像における金属材料領域(第2初期画像領域)と高分子材料領域(第1初期画像領域)との境界を模式的に例示する図である。縦軸は、画像輝度を示し、横軸は、再構成画像における位置(座標)を示す。図3において、左側の画像輝度が小さい領域R2は高分子材料領域(第1初期画像領域)に相当する。一方、右側の画像輝度が大きい領域R1は金属材料領域(第2初期画像領域)に相当する。中央部分は両者の境界領域R3に相当し、画像輝度が急激に変化する。図3には、金属材料領域(第2初期画像領域)R1と高分子材料領域(第1初期画像領域)R2との境界領域R3の右側には、画像輝度が顕著に高い部分の画像輝度値(ピーク)が示されており、これはアーチファクトに相当する。アーチファクトは画像輝度が顕著に高いものばかりでなく、金属材料領域(第2初期画像領域)と高分子材料領域(第1初期画像領域)との境界領域R3の左側に画像輝度が顕著に低い部分の画像輝度値(ボトム)に相当するアーチファクトも発生する場合がある。なお、上記で算出した閾値A12における画像輝度をtAで表す。
(tA-μ2)/(μ1-tA)=(tB-tmin)/(tmax-tB) (7)
式(7)は、閾値A12によるμ1とμ2との差の分割割合と、閾値B12によるtmaxとtminとの差の分割割合が等しいことを示している。すなわち、第1グループG1および第2グループG2のそれぞれの平均値と分散に基づいて算出した閾値A12による2グループの平均値の差の分割割合と同じ分割割合で最大値と最小値との差を分割するように設定したのが閾値B12である。
なお、閾値演算部11は、閾値A23に対しても同様の処理を行って閾値B23を算出する。閾値B23による境界が設定されることにより、再構成画像において、高分子材料領域(第1画像領域)が実際よりも大きく再現されたり、高分子材料領域(第1画像領域)が実際よりも小さく再現される(すなわち、背景画像領域が実際よりも大きく再現される)ことが抑制できる。
次に、図4を参照して、上述したようにして算出された閾値B12に基づいて、再構成画像上の物質領域(第1画像領域と第2画像領域)の境界を設定するための具体的手順について説明する。なお、閾値B23に基づいて、再構成画像上の第1画像領域と背景画像領域との境界を設定するための手順は、第1画像領域と第2画像領域との境界を設定する手順と同様である。このため、第1画像領域と第2画像領域との境界を設定する手順を主に説明する。
図4は、投影データに基づいて生成された再構成画像S1を構成するピクセルのうち、画像輝度(明るさ)の異なる2つのピクセルについて、位置と画像輝度(明るさ)との関係を模式的に示す図である。すなわち、再構成画像S1は、画像輝度に基づいてピクセル単位でセグメントされたセグメンテーション画像である。
本実施の形態では、設定された境界Bに基づいて、想定された様々なX線透過経路における透過長をより正確になるように補正して補正透過長を求め、補正透過長に基づいて投影データを修正して修正投影データを算出する。その手順について次に説明する。
p=f(X1)=ΣbjX1 j (8)
透過長決定部13は、再構成画像S2において高分子材料領域(第1画像領域)のみを透過した透過経路を複数選択し、再構成画像S2におけるこれらの透過経路における第1推定透過長X1rについて、これらの透過経路における投影データ、すなわち強度データ(投影値p)を選択する。透過長決定部13は、選択された複数の第1推定透過長X1rと投影値pとの組を、それぞれ式(8)に用いることで、式(8)を解く。これにより式(8)は確定し、検出された強度データに基づいて算出された投影値を用いて、高分子材料の領域(第1領域)における第1推定透過長X1rの算出値である第1推定透過長算出値X1eが得られる。
pо= f(X1,X2) (10)
式(10)で表される投影値pоを図6に破線で示す。また、式(10)により表される線をX1X2平面に投影した線を、図7に破線で示す。また、上記の透過経路における推定全長Lrは再構成画像S2から求められる。推定全長Lrは次の式(11)で表される。
X1r+X2r=Lr (11)
式(11)で表される直線を図7に示す。図7において、式(10)をX1X2平面へ投影した直線と式(11)との交点の座標を第1推定透過長算出値X1eおよび第2推定透過長算出値X2eとして設定する。
既に説明したように、再構成画像は、投影データが単色のX線照射により得られたものとして生成される。すなわち、被検物Sのそれぞれの物質領域において、透過するX線の投影値と透過長とは線形の関係が成り立つものとして画像再構成が行われる。しかし、実際には、被検物SをX線が透過する際、特に金属材料の領域(第2領域)をX線が透過する際、ビームハードニング現象が発生する。従って、検出された投影データを用いて画像再構成を行った場合、再構成画像にはアーチファクトが含まれる。また、再構成画像は、被検物Sの検査や測長に影響を及ぼすほど被検物Sの構成や形状を正確に表現できなくなる可能性がある。
pc=a1eX1+a2eX2 (13)
なお、式(13)において、a1eおよびa2eはそれぞれ、高分子材料の領域(第1領域)および金属材料の領域(第2領域)におけるX線の有効線減弱係数であり、第1有効線減弱係数および第2有効線減弱係数と呼ぶ。
上記の手順により算出した第1および第2修正推定透過長算出値X1e+ΔX1、X2e+ΔX2、と第1および第2有効線減弱係数a1e、a2eとを式(13)に代入することにより補正投影値pcが算出される。なお、第1有効線減弱係数a1eおよび第2有効線減弱係数a2eは、第1領域透過長X1および第2領域透過長X2を[cm]単位で推定した場合、再構成画像S2における高分子材料領域(第1画像領域)および金属材料領域(第2画像領域)のそれぞれの領域における[/cm]単位に換算した再構成画像の輝度の平均値を用いることができる。また、有効線減弱係数として、図6に示す透過長と投影値とにより形成される曲面の平均傾斜係数や、スペクトル情報に基づいて予め用意しておいた有効係数を用いることができる。
補正データ生成部14は、式(13)を用いて算出した補正投影値pcに基づいて投影データを補正することにより、補正投影データを算出する。その際、補正データ生成部14は、第1領域透過長X1および第2領域透過長X2としては、第1修正推定透過長算出値X1e+ΔX1および第2修正推定透過長算出値X2e+ΔX2を用いる。データ評価部15は、算出された補正投影データを用いて最終的な再構成画像S3を生成するのか、または、補正投影データをさらに修正する必要があるかどうかを判定する。なお、補正投影データを用いて画像再構成を行って生成した再構成画像S3に顕著なアーチファクトが認められない場合には、この再構成画像S3を被検物Sの検査結果としてもよい。ただし、再構成画像S3に顕著なアーチファクトが認められない場合であっても、被検物Sの構成や形状をより正確に表現できているとは限らない。
補正投影データをさらに修正して画像再構成を繰り返し行う必要があるかどうかについての具体的な判定手順として、ラドン変換により導かれる面積保存則に基づく判定手順について説明する。ラドン変換により導かれる保存則とは、物体を透過するX線の透過長と投影値との間に線形関係が成り立つ場合、透過量または投影値の合計はX線照射方向に係わらず一定であるというものである。従って、逆に、透過量または投影値の合計はX線照射方向に係わらず一定である場合には、物体を透過するX線の透過長と透過量(または投影値)との間に線形関係が成り立つことになり、そのような透過量または投影値に基づく再構成画像ではアーチファクトの発生が抑制されていることが推定できる。本実施の形態においては、データ評価部15は、再構成画像S3の評価を行うために、式(13)を用いて算出した補正投影値pcを用いてラドン変換の面積保存則による判定を行う。
アーチファクトの発生をさらに抑制した再構成画像S4を得るために、補正データ生成部14は、再構成画像S3を生成するために用いた補正投影データの修正を再度実行する。そのために、補正データ生成部14は、第1および第2推定透過長を修正して修正推定透過長を算出し、算出された修正補正透過長を用いて補正投影値を再度算出する。透過長決定部13は、再構成画像S3を用いて、上述した透過長の算出の処理と同様にして、第1推定透過長と第2推定透過長を求め、式(9)を用いて得られる投影値と第1および第2推定透過長との関係に基づいて、式(10)、(11)を用いて第1修正推定透過長と第2修正推定透過長とを設定(推定)する。
上記説明のラドン変換による判定手順とは異なる手順も採用可能である。例えば、補正投影データの修正を繰り返すために算出した、想定したX線透過経路に対応する透過経路おける推定透過長Xeを比較して、繰り返しによる推定透過長の変化が所定の値より小さくなったことを以って、繰り返しを終了してもよい。具体的には、データ評価部15は、補正投影データの修正をk回目に繰り返した場合とk-1回目に繰り返した場合において、N通りの透過経路における推定透過長Xeについて、次の式を用いてεの値を求め、例えば、εの値が10-3より小さくなったら、繰り返しを終了する。これにより、適切な繰り返し回数を実行することができる。
透過長決定部13は、再構成画像から金属材料領域(第2画像領域)に相当する部分を取得する(取得処理)。透過長決定部13は、被検物Sを順次投影した投影データから金属材料領域(第2画像領域)の投影データを判別し、その部分を被検物Sを順次投影した投影データから削除する(削除処理)。透過長決定部13は、投影データから削除した金属材料領域(第2画像領域)に相当する投影データを、例えば、周囲のデータにより補間する(補間処理)。これにより、削除処理にて削除された第2画像領域が第1画像領域で満たされていると仮定した場合の投影データが生成される。透過長決定部13は、補間処理により生成された投影データを再構成して再構成画像を生成する(再構成処理)。透過長決定部13は、再構成処理で得られた再構成画像のうち金属材料領域に相当するデータを、取得処理にて得られた第2画像領域に置換することにより合成画像を生成する。透過長決定部13は、この合成画像における金属材料領域(第2画像領域)と高分子材料領域(第1画像領域)との境界を設定する。
また、上述した説明においては、被検物SがX線吸収係数の異なる2物質(金属材料と高分子材料)を有する場合を例示したが、被検物Sが1物質(金属材料)からなる場合でもよい。この場合、閾値演算部11は、上述した高分子材料領域と空気領域との境界を設定するときの処理を適用して、金属材料の領域と金属材料の領域とは異なる領域(例えば空気領域)との境界(すなわち金属材料の領域の境界)を設定する。透過長決定部13、補正データ生成部14およびデータ評価部15は、設定された金属材料の領域の境界に基づいて、上述した処理と同様の処理を行う。これにより、被検物Sが金属材料のみからなる場合であっても、アーチファクトの生成が抑制され、被検物Sの構成や形状がより正確に表現された再構成画像を得ることができる。
ステップS31では、設計装置210はユーザによって構造物の設計を行う際に用いられ、設計処理により構造物の形状に関する設計情報を作成し記憶してステップS32へ進む。なお、設計装置210で作成された設計情報のみに限定されず、既に設計情報がある場合には、その設計情報を入力することで、設計情報を取得するものについても本発明の一態様に含まれる。ステップS32では、成形装置220は成形処理により、設計情報に基づいて構造物を作成、成形してステップS33へ進む。ステップS33においては、X線CT装置100は測定処理を行って、構造物の形状を計測し、形状情報を出力してステップS34へ進む。
(1)データ取得部12は、第1のX線吸収率を有する第1領域および第1のX線吸収率とは異なる第2のX線吸収率を有する第2領域を有する被検物Sに対してX線を照射して、X線が被検物Sを透過して検出された透過X線強度に基づいて生成された投影データに基づく再構成画像を取得する。閾値演算部11は、再構成画像の輝度に基づいて少なくとも2つのグループ(第1グループG1、第2グループG2、第3グループのうちの何れか2つ)に分割する第1閾値を算出し、かつ、第1閾値を修正して第2閾値を算出する。透過長決定部13は、第2閾値に基づいて投影データを補正して、再構成画像における第1画像領域および第2画像領域を修正する。これにより、アーチファクトの生成が抑制され、被検物Sの構成や形状がより正確に表現された再構成画像を得ることができる。
(3)閾値演算部11は、再構成画像における輝度の度数分布における最大値と最小値とに基づいて第1閾値を修正して第2閾値を算出する。これにより、物質領域の境界がより高精度に求まり、その結果、アーチファクトの生成が抑制され、被検物Sの構成や形状がより正確に表現された再構成画像を得ることができる。
(4)透過長決定部13は、再構成画像を構成する複数のピクセルのうち、第1閾値に基づいて設定した第1初期画像領域と第2初期画像領域との境界を間に有するピクセルの組に対して、第2閾値に相当する位置を設定することにより第1領域透過長X1および第2領域透過長X2を決定する。これにより、物質領域の境界がより高精度に求まり、その結果、アーチファクトの生成が抑制され、被検物Sの構成や形状がより正確に表現された再構成画像を得ることができる。
(6)データ評価部15は、補正投影値を用いて評価を行い、評価結果に基づいて、投影値を補正した補正投影値を算出して補正投影データを取得することを再実行するかどうか決定する。これにより、補正投影データを取得することを再実行するかどうか決定を効率よく行うことができる。
(8)補正データ生成部14は、第1領域透過長X1および第2領域透過長X2のそれぞれの修正値の2乗の和が最小となるように、第1領域透過長X1および第2領域透過長X2のそれぞれの修正値を設定して、複数の補正投影データの取得を実行する。これにより、補正投影データの取得を高効率に行うことができる。
(10)リペア装置240は、検査処理の比較結果に基づいて、構造物に対して成形処理を再度行うリペア処理を行うようにした。したがって、構造物の不良部分が修復可能な場合には、再度成形処理と同様の処理を構造物に対して施すことができるので、設計情報に近い高品質の構造物の製造に寄与する。
データ処理装置10は、閾値演算部11と、データ取得部12と、透過長決定部13とを備えてもよい。この場合、閾値演算部11は、実施の形態の場合と同様に、データ取得部12により取得された再構成画像を用いて、第1閾値を算出し、かつ第1閾値を修正して第2閾値を算出する。透過長決定部13は、算出された第2閾値を用いて、実施の形態の場合と同様にして、再構成画像S1に境界Bを設定する。すなわち、変形例におけるデータ処理装置10は、図11に示すフローチャートのステップS11からステップS19までの処理を行う。これにより、閾値演算部11は、画像輝度に基づいて少なくとも2つのグループ(第1グループG1、第2グループG2、第3グループG3のうちの何れか2つ)に分割する第1閾値を算出し、かつ、第1閾値を修正して第2閾値を算出し、透過長決定部13は第2閾値に基づいて被検物Sの物質領域の境界Bを高精度に求めることができる。その結果、アーチファクトの生成が抑制され、被検物Sの構成や形状がより正確に表現された再構成画像を得るために使用する情報を生成することができる。
上記の設定された境界Bに関する情報(境界情報)は、データ処理装置10の外部や別体の装置に出力される。この外部や別体の装置は、実施の形態における透過長決定部13が行う透過長の算出処理と、補正データ生成部14が行う処理と、データ評価部15が行う処理とを実行する。すなわち、外部や別体の装置が図11のステップS20~S25の処理を行うことにより、アーチファクトの生成が抑制され、被検物Sの構成や形状がより正確に表現された再構成画像が得られる。
3…載置部
4…検出器
6…表示モニタ
10…データ処理装置
11…閾値演算部
12…データ取得部
13…透過長決定部
14…補正データ生成部
15…データ評価部
100…X線CT装置、
200…構造物製造システム、210…計測装置、
220…成形装置、230…制御システム、240…リペア装置
Claims (22)
- 所定のX線吸収率を有する領域を含む被検物に対してX線を照射することにより取得したデータの処理方法であって、
前記X線が前記被検物を透過して検出された透過X線強度に基づいて生成された投影データを取得することと、
前記投影データに対応する再構成画像を、前記再構成画像の輝度に基づいて少なくとも2つのグループに分割する第1閾値を算出することと、
前記第1閾値に基づいて修正した第2閾値を算出することと、
前記第2閾値に基づいて、前記再構成画像における前記領域に対応する画像領域の境界を前記再構成画像に設定することと、を有するデータ処理方法。 - 請求項1に記載のデータ処理方法において、
前記第1閾値は、前記再構成画像を判別分析法に基づいて2つのグループに分割する閾値である、データ処理方法。 - 請求項1または2に記載のデータ処理方法において、
前記第2閾値の取得は、前記再構成画像における輝度の度数分布における最大値と最小値とに基づいて前記第1閾値を修正することにより取得する、データ処理方法。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載のデータ処理方法において、
前記第2閾値に基づいて、前記X線が前記領域を透過する長さに相当する前記画像領域の長さである透過長を決定する、データ処理方法。 - 請求項4に記載のデータ処理方法において、
前記透過長の決定は、前記再構成画像を構成する複数のピクセルのうち、前記第1閾値に基づいて設定した前記領域に対応する初期画像領域の境界を間に有するピクセルの組に対して、前記第2閾値に相当する位置を設定することにより実行する、データ処理方法。 - 請求項4または5に記載のデータ処理方法において、
前記X線の投影値と前記透過長との関係を設定し、
前記投影データのそれぞれに対応する前記X線の透過経路ごとに、前記透過長が前記投影値と線形の関係となるように前記投影値を補正した補正投影値を算出して補正投影データを取得する、データ処理方法。 - 請求項6に記載のデータ処理方法において、
前記補正投影値を用いて評価を行い、評価結果に基づいて、前記投影値を補正した補正投影値を算出して前記補正投影データを取得することを再実行するかどうか決定する、データ処理方法。 - 請求項7に記載のデータ処理方法において、
前記評価は、前記被検物に前記X線を照射することを想定した場合の前記被検物に対する前記X線の照射方向の変化による前記補正投影データの合計値の変動値に基づいて前記再実行の必要を決定する、データ処理方法。 - 請求項7または8に記載のデータ処理方法において、
前記再実行の必要を決定した場合、
前記透過長を修正することにより複数の前記補正投影データの取得を再実行する、データ処理方法。 - 請求項9に記載のデータ処理方法において、
前記透過長の修正値の2乗の和が最小となるように、前記透過長の前記修正値を設定する、データ処理方法。 - 所定のX線吸収率を有する領域を含む被検物に対してX線を照射することにより取得したデータを処理するデータ処理装置であって、
前記X線が前記被検物を透過して検出された透過X線強度に基づいて生成された投影データを取得するデータ取得部と、
前記投影データに対応する再構成画像を、前記再構成画像の輝度に基づいて少なくとも2つのグループに分割する第1閾値を算出し、かつ、前記第1閾値を修正して第2閾値を算出する閾値算出部と、
前記第2閾値に基づいて、前記再構成画像における前記領域に対応する画像領域の境界を前記再構成画像に設定する補正データ生成部と、を有するデータ処理装置。 - 請求項11に記載のデータ処理装置において、
前記閾値算出部は、前記再構成画像を判別分析法に基づいて2つのグループに分割する第1閾値を算出する、データ処理装置。 - 請求項11または12に記載のデータ処理装置において、
前記閾値算出部は、前記再構成画像における輝度の度数分布における最大値と最小値とに基づいて前記第1閾値を修正して前記第2閾値を算出する、データ処理装置。 - 請求項11から13までのいずれか一項に記載のデータ処理装置において、
前記第2閾値に基づいて、前記X線が前記領域を透過する長さに相当する前記画像領域の長さである透過長を決定する透過長決定部を更に有するデータ処理装置。 - 請求項14に記載のデータ処理装置において、
前記透過長決定部は、前記再構成画像を構成する複数のピクセルのうち、前記第1閾値に基づいて設定された前記領域に対応する初期画像領域との境界を間に有するピクセルの組に対して、前記第2閾値に相当する位置を設定することにより前記透過長を決定する、
データ処理装置。 - 請求項14または15に記載のデータ処理装置において、
前記補正データ生成部は、前記X線の投影値と前記透過長の関係を設定し、前記投影データのそれぞれに対応する前記X線の透過経路ごとに、前記透過長が前記投影値と線形の係となるように前記投影値を補正した補正投影値を算出して補正投影データを取得する、データ処理装置。 - 請求項16に記載のデータ処理装置において、
前記補正投影値を用いて評価を行い、評価結果に基づいて、前記投影値を補正した補正投影値を算出して前記補正投影データを取得することを再実行するかどうか決定するデータ評価部をさらに有する、データ処理装置。 - 請求項17に記載のデータ処理装置において、
前記データ評価部は、前記被検物に前記X線を照射することを想定した場合の前記被検物に対する前記X線の照射方向の変化による前記補正投影データの合計値の変動量に基づいて前記再実行の必要を決定する、データ処理装置。 - 請求項17または18に記載のデータ処理装置において、
前記データ評価部が前記再実行の必要を決定した場合、
補正データ生成部は、前記透過長を修正することにより複数の前記補正投影データの取得を再実行する、データ処理装置。 - 請求項19に記載のデータ処理装置において、
補正データ生成部は、前記透過長の修正値の2乗の和が最小となるように、前記透過長の前記修正値を設定して、複数の前記補正投影データの取得を実行する、データ処理装置。 - 請求項11から20のいずれか一項に記載のデータ処理装置において、
X線を被検物に向けて放射するX線源と、
前記X線源と前記被検物との位置関係を変更する位置変更部と、
前記被検物を通過した前記X線の強度分布を出力信号として出力する検出器と、
画像を表示する表示部と、
をさらに有するデータ処理装置。 - 請求項1から10のいずれか一項に記載のデータ処理方法における処理をコンピュータに実行させるデータ処理プログラム。
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