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JP7288794B2 - 稼働状態評価方法、及び、稼働状態評価装置 - Google Patents

稼働状態評価方法、及び、稼働状態評価装置 Download PDF

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JP7288794B2 JP2019089031A JP2019089031A JP7288794B2 JP 7288794 B2 JP7288794 B2 JP 7288794B2 JP 2019089031 A JP2019089031 A JP 2019089031A JP 2019089031 A JP2019089031 A JP 2019089031A JP 7288794 B2 JP7288794 B2 JP 7288794B2
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Description

本開示は、風力設備の稼働状態を評価するための稼働状態評価方法、及び、稼働状態評価装置に関する。
設備の稼働状態に関する監視は、稼働中の設備から監視対象となるパラメータの実測値を取得し、当該実測値を予め設定されたクライテリアである閾値と比較することで行われることがある。この場合、取得した実測値が閾値を超えると、稼働状態に異常があると判定される。
このような設備の稼働状態に関する監視の例として、特許文献1がある。特許文献1では、風力発電装置においてブレードが取り付けられた主軸を支持する主軸軸受を監視対象としている。そして、主軸軸受に作用する負荷荷重を検出し、当該負荷荷重の大きさに基づいて主軸軸受の状態を評価し、メンテナンス必要時期の予測等に利用している。
特開2010-159710号公報
ところで稼働状態の監視に用いられる閾値は、設備に生じうる様々な稼働状態を想定して、ある程度のマージンを含んで設定される。例えば特許文献1のような軸受を監視対象とする場合、軸受に供給される冷却油は、冷却油の供給路に設置されるクーラのオンオフに応じて温度が変化することから、軸受に異常があることで温度上昇が見込まれる場合であっても、クーラの動作状態によっては温度上昇を検知しにくい場合がある。このような特性を考慮して、異常を的確に検知するためには、マージンを大きく確保した閾値の設定を行わなければならない。その一方で、マージンが大きな閾値では、軸受温度が上昇し始める時点では検知が難しく、異常を初期段階で判定することが難しい。
また特許文献1のような風力発電装置は屋外に設置されることから、外部環境の影響を受けやすい。特に外気温は季節変動によって変化するため、風力発電装置の稼働状態の監視に用いられる閾値は、このような外部環境の影響を加味してマージンを大きくとらなければならない。そのため、異常を初期段階で検知することが難しい事情がある。
本発明の少なくとも一実施形態は上述の事情に鑑みなされたものであり、設備の稼働状態に応じたクライテリアで異常を的確且つ早期に判定可能な稼働状態評価方法、及び、稼働状態評価装置を提供することを目的とする。
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る設備の稼働状態評価方法は上記課題を解決するために、
少なくとも一つの風車を含む風力設備の稼働状態を評価するための稼働状態評価方法であって、
前記風力設備、又は、前記少なくとも一つの風車に関する稼働条件を取得する工程と、
前記少なくとも一つの風車に関する実測可能な物理量について、前記稼働条件に対応する推定値を求める工程と、
前記物理量に対応する実測値を取得する工程と、
前記推定値と前記実測値とを比較することにより、前記少なくとも一つの風車における異常の有無を判定する工程と、
を備える。
上記(1)の方法によれば、稼働条件に応じて算出された推定値と実測値とを比較することにより、稼働条件に対応するクライテリアを基準とする判定が可能となる。そのため、稼働条件に関わらず一律に設定されたクライテリアを用いた判定に比べて、きめ細やかな異常判定が行え、的確且つ早期な稼働状態の評価が可能となる。
(2)幾つかの実施形態では上記(1)の方法において、
前記推定値は、前記風力設備、又は、前記少なくとも一つの風車に関する物理モデルに対して前記稼働条件が入力パラメータとして入力されることで算出される。
上記(2)の方法によれば、稼働条件に対応する推定値を物理モデルを用いて算出できる。
(3)幾つかの実施形態では上記(1)の方法において、
前記推定値は、前記風力設備、又は、前記少なくとも一つの風車に関する機械学習モデルに対して前記稼働条件が入力パラメータとして入力されることで算出される。
上記(3)の方法によれば、稼働条件に対応する推定値を機械学習モデルを用いて算出できる。
(4)幾つかの実施形態では上記(1)から(3)のいずれか一方法において、
前記少なくとも一つの風車は、複数の風車を含み、
前記稼働条件は、前記複数の風車の各々から取得したパラメータを平均化することにより求められる。
上記(4)の方法によれば、複数の風車で取得されたパラメータを平均化して稼働条件とすることで、特定の風車に入力され得るランダムな外乱要因の影響を抑え、より信頼性の高い評価ができる。
(5)幾つかの実施形態では上記(1)の方法において、
前記少なくとも一つの風車は、複数の風車を含み、
前記推定値は、前記複数の風車の各々から取得した前記実測値を統計処理することにより求められる。
上記(5)の方法によれば、稼働条件に対応する推定値を複数の風車の実測値を統計処理することで算出できる。
(6)幾つかの実施形態では上記(5)の方法において、
前記推定値は、前記複数の風車の各々から取得した前記実測値の平均値である。
上記(6)の方法によれば、稼働条件に対応する推定値として、複数の風車の実測値の平均値を採用することで、簡易ながらも信頼性の高い評価が可能となる。
(7)幾つかの実施形態では上記(1)から(6)のいずれか一方法において、
前記推定値及び前記実測値の乖離量を算出し、前記乖離量が閾値を超えたか否かに基づいて前記異常の有無を判定する。
上記(7)の方法によれば、推定値と実測値との乖離量を評価パラメータとして採用することにより、異常による実測値のズレを定量的に評価し、異常を有する風車を的確に特定できる。
(8)幾つかの実施形態では上記(1)から(7)のいずれか一方法において、
前記少なくとも一つの風車は、複数の風車を含み、
前記複数の風車の各々について、前記稼働条件に対する前記実測値の振る舞いを比較することにより、前記異常が有る前記風車を特定する工程と、
を備える。
上記(8)の方法によれば、異常を有する風車では推定値に対する実測値の振る舞いが変化することから、各風車の実測値の推定値に対する振る舞いを比較することで、異常を有する風車を的確に特定できる。
(9)幾つかの実施形態では上記(8)の方法において、
前記複数の風車の各々について前記推定値及び前記実測値の相関係数を求め、前記相関係数が閾値を超えた前記風車について前記異常が有ると判定する。
上記(9)の方法によれば、推定値と実測値との相関係数を評価パラメータとして採用することにより、異常による実測値のズレを定量的に評価し、異常を有する風車を的確に特定できる。
(10)幾つかの実施形態では、上記(1)~(9)の方法において、
前記少なくとも一つの風車は、複数の風車を含み、
前記複数の風車の各々の前記稼働条件に基づいて、各々の前記風車の異常度を算出する工程と、
前記複数の風車の各々の前記異常度に基づいて、各々の前記風車の異常の有無を判定する工程と、
前記異常が有るとの異常有り判定がなされた前記風車があった場合における前記異常有り判定を検証する工程と、をさらに備え、
前記異常有り判定を検証する工程は、
前記異常有り判定がなされた前記異常度の算出に用いた前記稼働条件の取得タイミングを含む所定期間における、1以上の他の前記風車についての前記異常度に基づく判定結果を取得する工程と、
前記1以上の他の風車に対する前記異常度に基づく判定結果が異常有りであった数に基づいて、前記異常有り判定が妥当であるか否かの第1妥当性判定を行う工程と、を有する。
例えば、複数の風車の各々の異常検知を、例えば各風車に設置された複数のセンサからそれぞれ検出される複数のセンサ値(稼働条件)に基づいて異常度を算出し、異常度と閾値(異常判定閾値)との比較に基づいて行う手法が存在する。このような手法において、各風車が故障に至る前段階での異常検知を行うために、上記の閾値を低く設定するなど検知感度を上げると、風車の故障の発生防止をより確実の図ることが可能であるものの、外部環境的な要因などによって異常度が一時的に上記の閾値を上回ったような場合に異常が発生したと判定してしまうなど、誤検知が生じる場合がある。そして、異常が検知された風車を調査のために停止等させると、誤検知の回数が多いほど、風車の稼働率が低下する。
上記(10)の方法によれば、稼働条件(複数のパラメータの値)に基づいて算出される異常度に基づいて、異常が生じていると判定された風車が存在していた場合に、この異常有り判定の妥当性(正当性)を、同時期における他の風車の異常度に基づく判定結果における異常有り判定の数に基づいて、検証する。これによって、検証により誤判定と判定される場合には異常有り判定を採用しないようすれば、各風車の異常度に基づく誤検知を回避しつつ、検知感度を高めることによる、各風車に生じた異常の兆候の早期の検知を図ることができる。したがって、誤検知に基づく稼働率の低下や、コストの増大などの抑制を図ることができる。
(11)幾つかの実施形態では、上記(10)の方法において、
前記第1妥当性判定を行う工程は、前記数が第1検証閾値よりも小さい場合に前記異常有り判定が妥当でないと判定し、前記数が前記第1検証閾値以上の場合に前記異常有り判定が妥当と判定する。
上記(11)の方法によれば、異常有り判定の妥当性を適切に判定することができる。
(12)幾つかの実施形態では、上記(10)~(11)の方法において、
前記異常有り判定が妥当であると判定された場合に、異常検知を通知する工程を、さらに備える。
上記(12)の方法によれば、各風車の異常有り判定が妥当(誤検知)と判定される場合には異常有り判定を採用しないようにし、逆に、異常有り判定が妥当と判定される場合には監視者などへの通知を実行する。これによって、誤検知の通知や、この通知に伴う調査などの対応が必要となるのを回避することができる。
(13)幾つかの実施形態では、上記(1)~(12)の方法において、
前記少なくとも一つの風車は、複数の風車を含み、
前記複数の風車の各々の前記稼働条件に基づいて、各々の前記風車の異常度を算出する工程と、
前記複数の風車の各々の前記異常度に基づいて、各々の前記風車の異常の有無を判定する工程と、
前記異常が無いとの異常無し判定がなされた前記風車があった場合における前記異常無し判定を検証する工程と、をさらに備え、
前記異常無し判定を検証する工程は、
前記複数の風車の各々の前記異常度についての統計値を算出する工程と、
前記複数の風車の各々の前記異常度と前記統計値との関係性をそれぞれ算出する工程と、
前記関係性に基づいて、前記複数の風車の各々の前記異常無し判定が妥当であるか否かの第2妥当性判定を行う工程と、を有する。
例えば、複数の風車の各々の異常検知を、上述したように異常度と閾値(異常判定閾値)との比較に基づいて判定する場合に、この閾値を大きくするなど検知感度を下げると、誤検知の抑制を図ることは可能であるものの、各風車が故障に至る前に早期に異常(異常の兆候)を検知することが難しくなる。例えば、風車に生じた異常により異常度が漸増していても、その異常度の値が上記の閾値以下であると異常が検知できず、異常予兆を的確に捉えられない可能性がある。そして、異常の検知が遅れるほど、実際に風車が故障するリスクが高まり、故障による風車の稼働率が低下する虞がある。
上記(13)の方法によれば、稼働条件(複数のパラメータの値)に基づいて算出される異常度に基づいて、異常がないと判定された風車が存在していた場合に、この異常無し判定の妥当性(正当性)を、同時期における複数の異常度から算出される統計値に基づいて、検証する。これによって、異常度が上記の閾値以下であったとしても異常を早期に検知することが、風車に故障が生じることによる稼働率の低下や、コストの増大などの抑制を図ることができる。
(14)幾つかの実施形態では、上記(13)の方法において、
前記異常無し判定が妥当でないと判定された場合に通知する工程を、さらに備える。
上記(14)の方法によれば、各風車の異常無し判定が妥当でないと判定される場合には異常有り判定の監視者などへの通知を実行する。これによって、異常検知をより適切に行うことができる。
(15)幾つかの実施形態では、上記(13)~(14)の方法において、
前記統計値は、前記複数の風車の前記異常度の平均値である。
上記(15)の方法によれば、異常無し判定の妥当性を適切に判定することができる。
(16)幾つかの実施形態では、上記(13)~(15)の方法において、
前記関係性は、前記風車の前記異常度と前記統計値との偏差である。
上記(16)の方法によれば、異常無し判定の妥当性を、異常度と統計値(例えば平均値など)との偏差に基づいて適切に判定することができる。
(17)幾つかの実施形態では、上記(13)~(16)の方法において、
前記第2妥当性判定を行う工程は、前記関係性が第2検証閾値以上である前記風車を異常と判定し、前記関係性が第2検証閾値よりも小さい前記風車を正常と判定する。
上記(17)の方法によれば、異常有り判定の妥当性を適切に判定することができる。
(18)幾つかの実施形態では、上記(13)~(17)の方法において、
前記異常無し判定を検証する工程は、前記複数の風車の全てに前記異常が無いと判定され場合における異常無し判定を検証する。
上記(18)の方法によれば、異常無し判定の検証は、全ての風車の異常が無いと判定された場合に実行する。これによって、上記(13)~(17)と同様の効果を奏する。
(19)幾つかの実施形態では、上記(1)~(9)の方法において、
前記少なくとも一つの風車は、複数の風車を含み、
前記複数の風車の各々の前記稼働条件に基づいて、前記風車の各々の異常度を算出する工程と、
前記異常度から異常有りと判定された前記風車について、前記稼動条件の取得タイミングにおける他の前記風車についての前記異常度に基づいて、前記異常有りとの判定を検証する工程と、
前記異常度から異常無しと判定された風車について、前記稼動条件の取得タイミングにおける前記風車の各々の前記異常度を基に算出された統計値と、前記異常無しと判定された前記風車の前記異常度との関連性の強さとに基づいて、前記異常無しとの判定を検証する工程と、を有する。
上記(19)の構成によれば、異常度に基づく、各風車の異常の有無の判定結果を、異常有りとの判定の場合、異常無しとの判定の場合の両方について、検証する。これによって、上記(10)および(13)と同様の効果を奏する。
(20)本発明の少なくとも一実施形態に係る設備の稼働状態評価装置は上記課題を解決するために、
少なくとも一つの風車を含む風力設備の稼働状態を評価するための稼働状態評価装置であって、
前記風力設備、又は、前記少なくとも一つの風車に関する稼働条件を取得する稼働条件取得部と、
前記少なくとも一つの風車に関する実測可能な物理量について、前記稼働条件に対応する推定値を求める推定値算出部と、
前記物理量に対応する実測値を取得する実測値取得部と、
前記推定値と前記実測値とを比較することにより、前記少なくとも一つの風車における異常の有無を判定する判定部と、
を備える。
上記(20)の構成によれば、稼働条件に応じて算出された推定値と実測値とを比較することにより、稼働条件に対応するクライテリアを基準とする判定が可能となる。そのため、稼働条件に関わらず一律に設定されたクライテリアを用いた判定に比べて、きめ細やかな異常判定が行え、的確且つ早期な稼働状態の評価が可能となる。
(21)幾つかの実施形態では、上記(20)の装置において、
前記少なくとも一つの風車は、複数の風車を含み、
前記複数の風車の各々の前記稼働条件に基づいて、前記風車の各々の異常度を算出する算出部と、
前記異常判定部によって異常有りと判定された前記風車について、前記稼動条件の取得タイミングにおける他の前記風車についての前記異常度に基づいて、前記異常有りとの判定を検証する第1検証部と、
前記異常度から異常無しと判定された風車について、前記稼動条件の取得タイミングにおける前記風車の各々の前記異常度を基に算出された統計値と、前記異常無しと判定された前記風車の前記異常度との関連性の強さとに基づいて、前記異常無しとの判定を検証する第2検証部と、を有する。
上記(21)の構成によれば、上記(19)と同様の効果を奏する。
本発明の少なくとも一実施形態によれば、設備の稼働状態に応じたクライテリアで異常を的確且つ早期に判定可能な稼働状態評価方法、及び、稼働状態評価装置を提供できる。
風力設備の全体構成図である。 図1の風車を示す概略図である。 制御ユニットの内部構成を周辺構成とともに示すブロック図である。 本発明の少なくとも一実施形態に係る稼働状態評価方法を工程毎に示すフローチャートである。 推定値算出部で用いられる物理モデルの模式図である。 風車の出力に対する軸受の温度に関する実測値を、稼働条件に基づいて算出された推定値とともに示す検証結果である。 軸受の温度に関して推定値算出部で算出された推定値と実測値取得部で取得された実測値とを各稼働条件についてプロットした検証結果である。 制御ユニットの内部構成を周辺構成とともに示すブロック図であり、制御ユニットは、第1検証部および第2検証部を備える。 本発明の他の一実施形態に係る稼働状態評価方法を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る第1検証工程による判定例を説明するための図である。 本発明の一実施形態に係る第2検証工程による判定例を説明するための図である。
以下、添付図面に従って本発明の実施形態について説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
図1は風力設備1の全体構成図であり、図2は図1の風車2を示す概略図である。尚、図2(A)は風車2を側面から見た図であり、図2(B)は風車2を正面から見た図である。
風力設備1は、少なくとも一つの風車2を備える。図2に示すように、風車2は、少なくとも1枚の風車翼2bと当該風車翼2bが取り付けられるハブ2hとを備えるロータ2rと、ナセル10と、ナセル10を支持するタワー12と、を含む。この例では、風車2には、3枚の風車翼2bがハブ2hに取り付けられており、風が風車翼2bに当たると、風車翼2b及びハブ2hを含むロータ2rが、ロータ2rの回転軸の周りを回転するように構成されている。
尚、風車2は風力発電装置であってもよい。この場合、ナセル10には、発電機及びロータ2rの回転を発電機に伝達するための動力伝達機構が収容され、風車2は、ロータ2rから動力伝達機構により発電機に伝達された回転エネルギーが、発電機によって電気エネルギーに変換されるように構成されてもよい。
風力設備1が備える少なくとも一つの風車2は所定範囲に配置されることで、風力設備1は、いわゆるウィンドファームを形成する。図1の例では、風力設備1は所定範囲に配置された複数の風車2を備える。複数の風車2は、互いに同じ仕様を有し(同型機であり)、制御ユニット14によって管理されている。制御ユニット14は、例えばコンピュータ等の電子演算装置を含むコントロールユニットであり、複数の風車2の各々に対して各種データを送受信するための通信ライン15を介して接続されることで、風力設備1の稼働状態を制御する。
制御ユニット14の主要な機能の一つは、風力設備1及び少なくとも一つの風車2における稼働状態に関するパラメータを取得することにより、稼働状態を監視することである。ここで稼働状態に関するパラメータは、風力設備1又は風車2の稼働状態を示す物理量を広く含み、稼働状態を規定する物理パラメータ(例えば風車2の出力、外気温、特定箇所における温度、圧力(油圧)、電流値など)であってもよいし、風力設備1又は風車2などの間で制御上送受信される電気信号や命令(例えば運転情報など)であってもよい。また、これらのパラメータは、風力設備1全体から取得されてもよいし、風力設備1を構成する各風車2から取得されてもよいし、一部の風車2から取得されてもよい。
続いて上記構成を有する風力設備1に対する稼働状態の評価について説明する。以下の説明では、制御ユニット14に所定プログラムをインストールすることにより構成された稼働状態評価装置を用いて、本発明の少なくとも一実施形態に係る稼働状態評価方法を実施する場合について説明する。このような稼働状態評価装置は制御ユニット14に対して、後述の稼働状態評価方法を実行するためのプログラムをインストールすることにより構成される。
尚、電子演算装置に対するプログラムのインストールは、あらかじめプログラムが記憶された記憶媒体を所定の読み取り装置によって読み取ることによって行われてもよく、このプログラムが記憶された記憶媒体やプログラム自体も本願発明に含まれる。
図3は制御ユニット14の内部構成を周辺構成とともに示すブロック図であり、図4は本発明の少なくとも一実施形態に係る稼働状態評価方法を工程毎に示すフローチャートである。
制御ユニット14は、図3に示すように、稼働条件取得部16と、推定値算出部18と、実測値取得部20と、判定部22と、出力部24と、を備える。尚、図3では制御ユニット14の内部構成のうち、本発明の少なくとも一実施形態に係る稼働状態評価方法に関する構成を機能ブロックとして代表的に示したものであるため、制御ユニット14は他の機能ブロックを有してもよいし、図3に示される機能ブロックは互いに統合されていてもよいし、更に細分化されていてもよい。
風力設備1が稼働状態にある場合において、稼働条件取得部16は、風力設備1又は少なくとも一つの風車2に関する稼働条件を取得する(ステップS1)。すなわち、稼働条件の取得対象は、風力設備1であってもよいし、当該風力設備1を構成する風車2であってもよい。後者の場合、風力設備1が複数の風車2を備える場合には、稼働条件の取得対象は、全ての風車2であってもよいし、一部の風車2であってもよい。
稼働条件取得部16で取得される稼働条件は、風力設備1又は少なくとも一つの風車2の稼働状態に関する任意のパラメータを広く含む。つまり上述したように制御ユニット14が風力設備1又は少なくとも一つの風車2から取得可能な各パラメータが、稼働条件として取得可能である。これらの稼働条件を構成する各パラメータは、風力設備1又は風車2に設置された各種センサによって取得されてもよいし、風力設備1、風車2及び制御ユニット14の間で送受信される各種電気信号であってもよい。
本実施形態では、軸受32(図5を参照)の温度に基づいて各風車2の稼働状態を評価する場合を例示する。そのため、稼働条件を構成するパラメータには、軸受32の温度に関する推定値を算出するために必要なパラメータとして、例えば風車2の出力、外気温、特定箇所における温度、運転情報などが含まれる。
稼働条件取得部16は、稼働条件の取得対象を風車2とする場合、単一の風車2から稼働条件を取得してもよいし、複数の風車2から稼働条件を取得してもよい。風力設備1では、所定範囲内に同型の風車2が配置されるため、各風車2でそれぞれ取得される稼働条件は同じ又は近い値を示す可能性が高い。そのため、複数の風車2から稼働条件を取得することで、仮に特定の風車から不適切な稼働条件が取得された場合であっても、他の風車2で取得された適切な稼働条件と比較することで、各風車2から取得した稼働条件の信頼性を評価できる。この場合、信頼性に足る稼働条件のみを選定してもよいし、信頼性に関わらず稼働条件を統計的に取り扱うことで(例えば各風車2で取得した稼働条件を平均化することで)、不適切な稼働条件が取得されたとしても、その影響を小さなものにできる。
この場合、稼働条件取得部16は各風車2から個別の稼働条件を取得し、これらの稼働条件に含まれる各パラメータを平均化することにより、最終的な稼働条件を求めるようにしてもよい。この場合、各風車2のパラメータの平均値が稼働条件として採用されるため、特定の風車に入力され得るランダムな外乱要因の影響を抑えた稼働条件を取得できる。
また稼働条件取得部16は、単一の風車2から稼働条件を取得する場合であっても、例えば時間的に連続的に稼働条件を取得し、これらに対して平均化等の統計処理を実施することで、瞬間的に取得した稼働条件に比べて、より信頼性のある稼働条件を採用するようにしてもよい。
続いて推定値算出部18では、評価対象となる物理量に関する推定値の算出が行われる(ステップS2)。この物理量は、風力設備1又は少なくとも一つの風車2に関する実測可能な物理量(実測値取得部20で取得される実測値と比較可能な物理量)が選定される。推定値算出部18は、稼働条件取得部16から稼働条件を取得し、当該稼働条件に対応する推定値を算出する。このような推定値の算出は、稼働条件を推定値と関連づける推定ロジック(すなわち、稼働条件を入力パラメータとし、推定値を出力パラメータとする推定ロジック)に基づいて行われる。
推定ロジックは、例えば、推定対象物(風力設備1又は少なくとも一つの風車2)の物理モデル、機械学習モデル又は統計処理ロジックの少なくとも一つを含んでよい。これらの推定ロジックは、メモリやハードディスク等の記憶装置26に予め格納されており、推定値算出部18によって適宜読み出し可能に構成されてもよい。
物理モデルは、推定対象物を物理的特徴に基づいて模擬することにより、稼働条件が入力パラメータとして入力された場合に、出力パラメータとして推定値が出力されるように構築されたモデルである。
物理モデルに入力される稼働条件は、単数であってもよいし、複数であってもよい。つまり、風力設備1が複数の風車2を備え、稼働条件取得部16で複数の風車2からそれぞれ稼働条件が取得された場合、物理モデルには複数の風車2から取得された各稼働条件が入力されることで、推定値の算出が行われてもよい。
ここで図5を参照して推定値算出部18で用いられる物理モデルの一例について具体的に説明する。図5は推定値算出部18で用いられる物理モデル30の模式図である。物理モデル30は、風車2のロータ2rを回転可能に支持する軸受32に対する冷却油の供給構造に関する熱平衡モデルである。この物理モデル30は、風車2のロータ2rを回転可能に支持する軸受32と、軸受32に供給される冷却油が循環する循環流路34とを含む。循環流路34上には、冷却油を冷却するための熱交換器であるクーラ36と、冷却油を貯留するための貯留部38と、が設けられている。
物理モデル30において軸受32の熱収支は、軸受32で発生する熱量Jin[kJ]、クーラ36で冷却する熱量Jout[kJ]を用いて次式
in-Jout=Htotal×(Tbt-T) (1)
で表される。式(1)で用いられる各パラメータは以下の通りである。
total:系全体の熱容量[kJ/℃]
bt:軸受32の温度[℃]
:外気温[℃]
尚、風車2の回転により発生する熱量Jin[kJ]及び冷却器で冷却する熱量Jout[kJ]は、それぞれ次式
in=K1×M×n×trun (2-1)
out=Ccool×(Tbt-T)×tcool (2-2)
で表される。式(2-1)、(2-2)で用いられる各パラメータは以下の通りである。
K1:軸受32における摩擦に対する発生熱量の比例定数[-]
M:軸受32の摩擦モーメント[Nmm]
n:軸受32の回転数[rpm]
run:風車2の運転時間[sec]
cool:クーラ36の冷却能力[kW/℃]
cool:クーラ36の運転時間[sec]
上記の式(1)、(2-1)、(2-2)で規定される物理モデル30では、稼働条件として取得された入力パラメータ(系全体の熱容量Htotal、外気温度T、比例定数K1、摩擦モーメントM、回転数n、風車運転時間trun、クーラの冷却能力Ccool、クーラの運転時間tcool)が入力されることで、残りのパラメータである軸受32の温度Tbtが推定値として算出される。
また推定値算出部18では、このような物理モデルに代えて機械学習モデルを用いてもよい。この場合、機械学習モデルは、所定のアルゴリズムを用いて稼働条件と推定値との関係を反復的に学習することで、任意の稼働条件に対する推定値の算出が可能となる。尚、推定値算出部18で採用可能な機械学習モデルは公知の例に基づくものとし、ここでは詳述を省略する。
また推定値算出部18では、上述の物理モデルや機械学習モデルに代えて統計処理ロジックを用いて推定値を算出してもよい。統計処理ロジックは、推定値に対応する物理量の実測値が複数取得可能な場合に、複数の実測値を統計処理することにより推定値を算出する。最もシンプルな統計処理は、例えば平均化や中央値又は最頻値の算出である。例えば、風力設備1が複数の風車2を備える場合に、ある稼働条件下における風車出力の推定値を求める際には、各風車2の出力の実測値を取得し、これらの平均値を推定値として算出する。
続いて実測値取得部20では、推定値算出部18で算出される推定値に対応する実測値が取得される(ステップS3)。例えば図5の物理モデル30を用いて軸受32の温度について推定値を求める場合には、推定対象となる軸受32に温度センサ(不図示)を設置し、実測値取得部20によって温度センサの検出信号を取得することにより実測値が取得される。尚、このような実測値の取得方法は任意でよく、実測値の態様に応じた方式が採用可能である。
判定部22は、推定値算出部18で算出された推定値と、実測値取得部20で取得された実測値とを比較することにより、評価対象物における異常の有無を判定する(ステップS4)。このように判定部22による異常判定は、稼働条件に応じて算出された推定値と実測値とを比較することにより、稼働条件に対応するクライテリアを基準とする判定が可能となる。そのため、稼働条件に関わらず一律に設定されたクライテリアを用いた判定に比べて、きめ細やかな異常判定が行え、的確且つ早期な稼働状態の評価が可能となる。
判定部22は、例えば、推定値と実測値との乖離量を算出し、当該乖離量が閾値を超えたか否かに基づいて異常の有無を判定してもよい。図6は、風車2の出力(ナセル10内に収容された発電機出力)に対する軸受32の温度に関する実測値を、稼働条件に基づいて算出された推定値とともに示す検証結果である。この例では、風力設備1は所定範囲内に配置された同型機である4つの風車2(1号機~4号機)を備えており、風車2の出力に対する軸受32の温度の推移が、各風車2について示されている。
軸受32の温度に関する推定値は、上述したように物理モデル、機械学習モデル又は統計処理ロジックのいずれかに基づいて算出されたものである。そのため、異常がない正常な風車2に関する実測値は、推定値に似た傾向を示す。このように判定部22は、各風車2の実測値を推定値と比較することによって異常の有無を判定する。
判定部22による異常判定は、例えば、推定値及び実測値の乖離量(絶対値の差)を算出し、当該乖離量が予め設定される閾値を超えたか否かに基づいて行ってもよい。この場合、図6の例では、1号機~3号機に関する乖離量は閾値以下であるが、4号機に関する乖離量は閾値を超える。そのため、4つの風車2のうち4号機に異常があることを定量的に判定することができる。
また判定部22による異常判定は、例えば、実測値の振る舞いを複数の風車の各々の間で比較することにより、異常が有る風車を特定してもよい。互いに同等の風車2が複数ある場合、各風車2が正常であるならば、これらの実測値の振る舞いは互いに似たものとならなければならない。一方で、互いに同等であるにも関わらず実測値の振る舞いが異なる風車2が存在するならば、当該風車2にはなんらかの異常が存在する可能性が高い。図6の例では、4号機が1~3号機と異なる振る舞いを示しているため、4号機に異常があると判定される。このように、この手法では互いの実測値の振る舞いを相対的に比較することにより、異常がある風車2を特定することができる。
また判定部22による異常判定は、複数の風車2の各々について推定値及び実測値の相関係数を求め、相関係数が予め設定される閾値を超えた風車2について異常が有ると判定してもよい。相関係数γは、例えば、推定値と実測値の共分散σxy 、推定値の標準偏差σx、実測値の標準偏差σを用いて、次式
γ=σxy /σσ (3)
から算出される。図7は、軸受32の温度に関して推定値算出部18で算出された推定値と実測値取得部20で取得された実測値とを各稼働条件についてプロットした検証結果である。異常が無い正常な風車2では、推定値と実測値とが一致することから相関係数が高くなり、図7に点線で示す基準ラインRに近いデータとなる。一方、異常がある風車2では、機器の故障等で挙動が変動することで実測値と推定値との間にズレが生じることから相関係数が低くなり、図7に点線で示す基準ラインRから外れたデータとなる。本態様では、このように異常の有無による傾向の違いを相関係数を算出して定量的に評価することで、異常の有無を的確に判定することができる。
判定部22における判定結果は、出力部24によって外部に出力されてもよい(ステップS5)。出力部24は、他の装置に判定結果を電気信号等によって出力してもよいし、作業者の五感に訴え得る態様で出力してもよい。後者の場合、出力部24は例えば表示装置である。この場合、表示装置には、異常を示すインジケータ等を表示することで作業者に対して報知する。
以上説明したように上記実施形態によれば、稼働条件に応じて算出された推定値と実測値とを比較することにより、稼働条件に対応するクライテリアを基準とする判定が可能となる。そのため、稼働条件に関わらず一律に設定されたクライテリアを用いた判定に比べて、きめ細やかな異常判定が行え、的確且つ早期な稼働状態の評価が可能となる。また同型の複数の風車2を備える風力設備1では、各風車2の振る舞いを相対的に比較することで、従来のように稼働条件に関わらない一律なクライテリアを用いた評価に比べて、感度・精度のよい評価が可能となる。
次に、複数の風車2の各々の異常検知を、各風車の異常度Eに基づいて実行する実施形態について、図8~図11を用いて説明する。図8は、本発明の一実施形態に係る制御ユニット14の内部構成を周辺構成とともに示すブロック図であり、制御ユニット14は、第1検証部6および第2検証部7を備える。図9は、本発明の他の一実施形態に係る稼働状態評価方法を示すフローチャートである。図10は、本発明の一実施形態に係る第1検証工程(S95)による判定例を説明するための図である。また、図11は、本発明の一実施形態に係る第2検証工程(S97)による判定例を説明するための図である。
例えば、MT法(マハラノビス・タグチ法)や、OCSVM(One Class Support Vector Machine)、k近傍法(kNN)、オートエンコーダ等などの、複数のセンサの各々のセンサ値などの複数のパラメータ(状態量)の値から算出可能な異常度Eに基づいて、異常検知を行う手法が知られている。例えばMT法では、運転履歴として記憶されている多変量データをもとに正常な集団を単位空間と定義し、対象データの単位空間からの距離(マハラノビス距離)を求めて、この距離を閾値(異常判定閾値C)と比較するなどして、異常を判定する。これにより、マハラノビス距離という一つの指標のみによって各風車2を総合的に診断することが可能である。また、MT法は、各種状態量が管理値以内であるか否かによって診断する手法に比べて、機器の損傷が進行する前に早期に異常を検知することが可能であり、このような異常の予兆を捉えることにより、機器の損傷を未然に防ぐ、あるいは最小限に抑えることが可能となる。
このような手法を各風車2の異常検知に適用すれば、監視するパラメータが多数であっても比較的簡易に各風車2の運転状態の監視が可能である。既に説明した通り、各風車2から取得される稼働条件には複数のセンサ(不図示)の検出値(センサ値)が含まれ得る。よって、各風車2に設置された複数のセンサ(不図示)から、同じようなタイミングで検出される複数のセンサ値の集合(稼働条件)に基づいて、例えばマハラノビス距離などの異常度Eを算出し、異常度Eと異常判定閾値Cとの比較に基づいて、各風車2の異常の有無を判定することが可能である。
この際、各風車2が故障に至る前段階での異常検知を行うために、上記の異常判定閾値Cを低く設定するなど検知感度を上げると、風車2の故障の発生防止をより確実の図ることが可能であるものの、外部環境的な要因などによって異常度Eが一時的に異常判定閾値Cを上回ったような場合に異常が発生したと判定してしまうなど、誤検知が生じる場合がある。そして、異常が検知された風車2を調査のために停止等させると、誤検知の回数が多いほど、風車2の稼働率が低下する。
そこで、幾つかの実施形態では、上述した制御ユニット14は、複数の風車2の各々の異常検知を上述した異常度Eに基づいて行う場合に、上述したような誤検知を防止するための構成を備えても良い。具体的には、図8に示すように、制御ユニット14は、異常度算出部4と、異常判定部5と、第1検証部6と、をさらに備えても良い。
これらの機能部について、説明する。
異常度算出部4は、複数の風車2の各々の稼働条件に基づいて、各風車2の上述したような異常度Eを算出する。この複数の風車2は、風力設備1が備えている全ての風車2のうちの少なくとも一部であっても良い。さらに、複数の風車2は、互いに地理的に近い位置に設置されているなど、互いに環境条件(風の条件、温度の条件など)が近いものとなっているか、あるいは、それが想定されるような2以上の風車2であっても良い。また、各風車2の稼働条件は複数のパラメータを含んでいる。そして、各パラメータの値が、対応するセンサ(不図示)によって周期的などの所定のタイミングでそれぞれ計測された上で、稼働条件として制御ユニット14に送信される。図8に示す実施形態では、上述した稼働条件取得部16が、風力設備1から送信された風車2毎の稼働条件を取得するようになっている。
異常判定部5は、上記の異常度算出部4によって算出された、複数の風車2の各々の異常度Eに基づいて、各々の風車2の異常の有無を判定する。具体的には、複数の風車2の各々について、各風車2の異常度Eと、予め定められている異常判定閾値Cとを比較すると共に、異常度Eが異常判定閾値C以上となっている場合(E≧C)には異常有りと判定し、異常度Eが異常判定閾値Cよりも小さい場合(E<C)には異常無し(正常)と判定しても良い。
第1検証部6は、上記の異常判定部5によって異常が有りとの判定(異常有り判定Ja)がなされた風車2があった場合における、その異常有り判定Jaの検証を行う。第1検証部6は、異常有り判定Jaがなされた風車2が2以上あった場合には、この2以上の風車2の各々に対する異常有り判定Jaをそれぞれ検証対象として、検証対象毎に、異常有りとの判定結果の検証を行う。この検証のために、第1検証部6は、図8に示すように、他結果取得部61と、第1妥当性判定部62と、を有する。第1検証部6は、各々の異常有り判定Jaを順番にあるいは並列的に検証対象として、以下の構成による検証を実行する。
他結果取得部61は、上記の検証対象とされた異常有り判定Jaがなされた異常度Eの算出に用いた稼働条件の取得タイミングを含む所定期間Tにおける、1以上の他の風車2についての異常度Eに基づく判定結果を取得する。つまり、上記の取得タイミングは、上記の所定期間Tの開始から終了までの間にある。この取得タイミングは、上述した各種のセンサ(不図示)によるセンサ値の計測(検知)タイミングであっても良い。例えば、各センサ値を、そのセンサ値の計測時刻、あるいは、複数のセンサ値における時系列が分かるような時間情報と共に記憶しておくことで、取得タイミングが分かるようにしても良い。
また、上記の所定期間Tは、任意の期間であって良いが、今回検証対象とされている異常有り判定Jaがなされた風車2についての上記の取得タイミングにおける環境条件と、他の風車2の環境条件とが同じであったと評価可能な期間とするのが良い。例えば風車2の風車翼2bに作用する風速などの風の条件は、風向に沿った上流側と下流側とでは、タイムラグが生じ得る。また、風の条件に応じて風車2の周囲の温度が変化する場合にも、各風車2でタイムラグが生じ得る。このようなタイムラグを考慮して所定期間Tを決定することで、検証対象の風車2の異常度Eと、他の風車2の異常度Eとの取得タイミングを合わせることが可能となる。
第1妥当性判定部62は、上記の他結果取得部61によって取得された1以上の他の風車2に対する異常度Eに基づく判定結果が異常有りであった数(以下、異常台数Na)に基づいて、上記の検証対象としている異常有り判定Jaが妥当であるか否かの判定(第1妥当性判定)を行う。上記の異常台数Naは、2以上であれば良い。異常台数Naは、過去の実績から得られるような、同時に複数の風車2に異常が発生する確率などに基づいて決定しても良い。すなわち、上記の異常判定部5によってなされた各異常有り判定Jaの妥当性を、他の風車2に対する異常判定部5による判定結果に基づいて判定する。
具体的には、第1妥当性判定部62は、上記の異常台数Naが第1検証閾値Vaよりも小さい場合(Na<Va)に、今回検証対象とされている異常有り判定Jaが妥当でないと判定し、異常台数Naが第1検証閾値Va以上の場合(Na≧Va)に、今回検証対象とされている異常有り判定Jaが妥当と判定しても良い。図8に示す実施形態では、複数の風車2の数をNとすると、他の全ての風車2(N-1台)に対しても異常有り判定Jaがなされている場合(Va=N-1)には、環境要因によるものとして、検証対象の異常有り判定Jaが妥当ではないと判定するようになっている。全ての風車2に同時に異常が発生する可能性は極めて低く、これによって、検証対象の異常有り判定Jaの妥当性を否定して対応する風車2を正常と判定した場合において、その正常と判定した風車2に実際に異常が発生していたというが生じないように図っている。
より詳細には、図10のケース1の例示では、X番目の風車2の異常有り判定Jaを検証対象とした際に、他のN-1台の風車2の全てに対して、それぞれ、上記の所定期間Tにおけるいずれかのタイミングで異常有り判定Jaがなされていることを示している。よって、このような場合には、第1妥当性判定部62は、X番目の風車2に対する異常有り判定Jaを妥当でないとの判定(正常判定)を行う。逆に、図10のケース2の例示では、X番目の風車2の異常有り判定Jaを検証対象とした際に、他のN-1台の風車2の全てに対して、それぞれ、上記の所定期間Tにおけるいずれのタイミングでも異常有り判定Jaがなされておらず、異常無し判定Jnであったことを示している。よって、このような場合には、第1妥当性判定部62は、X番目の風車2に対する異常有り判定Jaを妥当であるとの判定(異常判定)を行う。
ただし、本実施形態に本発明は限定されない。第1妥当性判定部62は、例えば、他の風車2の半数({N-1}÷2)以上など、他の全ての風車2の所定割合の風車2に対して異常有り判定Jaがなされていた場合や、2以上などの所定数以上の風車2に対して異常有り判定Jaがなされていた場合に、検証対象の異常有り判定Jaが妥当ではないと判定しても良い。
また、図8に示す実施形態では、制御ユニット14は、上述した第1妥当性判定部62によって、検証対象とされている異常有り判定Jaが妥当であると判定された場合に、異常検知を通知する第1通知部64を、さらに備えている。つまり、第1通知部64は、第1妥当性判定部62によって、異常有り判定Jaが妥当であると判定されたものがある場合にのみ異常検知を通知し、異常有り判定Jaが妥当ではないと判定されたものが全くない場合には、複数の風車2の全てが正常であるものとして、通知をしない。これによって、誤検知の通知や、この通知に伴う調査などの対応が必要となることの回避を図っている。
上述した構成を備える制御ユニット14が実行する処理に対応する稼働状態評価方法について説明する。幾つかの実施形態では、図9に示すように、稼働状態評価方法は、複数の風車2の各々の稼働条件に基づいて、各風車2の上記の異常度Eを算出する異常度算出工程(S92)と、この異常度算出工程によって算出された、複数の風車2の各々の異常度Eに基づいて、各々の風車2の異常の有無を判定する異常判定工程(S93)と、この異常判定工程(S93)によって異常が有りと判定(異常有り判定Ja)された風車2があった場合における異常有り判定Jaの検証を行う第1検証工程(S95)と、を備えても良い。
そして、上記の第1検証工程(S95)は、上記の検証対象とされている異常有り判定Jaがなされた異常度Eの算出に用いた稼働条件の取得タイミングを含む所定期間Tにおける、1以上の他の風車2についての異常度Eに基づく判定結果を取得する他結果取得工程(S95a)と、上記の1以上の他の風車2に対する異常度Eに基づく判定結果が異常有りであった数に基づいて、上記の第1妥当性判定を行う第1妥当性判定工程(S95b)と、備える。
これらの異常度算出工程(S92)、異常判定工程(S93)、第1検証工程(S95)は、それぞれ、既に説明した異常度算出部4、異常判定部5、第1検証部6(他結果取得部61および第1妥当性判定部62)が実行する処理内容と同様であるため、詳細は省略する。
図9に示す実施形態では、稼働状態評価方法は、上述した第1妥当性判定ステップ(S96b)によって異常有り判定Jaが妥当であると判定された場合に、異常検知を通知する第1通知ステップ(S96b)を、さらに備えている。この第1通知ステップ(S96b)は、第1通知部64が実行する処理内容と同様であるため、詳細は省略する。
本実施形態における稼働状態評価方法を、図9のフローに沿って説明する。
ステップS91において、周期的などの所定のタイミングで、複数の風車2の各々の稼働条件を取得する。そして、このステップS91が実行される度に、次から説明するステップ(S91~S98)を適宜実行する。ステップS92において、異常度算出工程を実行し、各風車2の異常度Eを算出する。ステップS93において、上記の異常判定工程を実行する。具体的には、図9に示す実施形態では、各風車2の異常度Eと、異常判定閾値Cとを比較し、E≧Cとなっている風車2に対して異常有り判定Jaを行い、E<Cとなっている風車2に対して異常無し判定Jnを行う。ステップS94において、E≧Cと判定された風車2が有るか否かを判定する。そして、このステップS94において、E≧C有との判定が有る場合には、ステップS95において、ステップS93で判定された異常有り判定Ja毎に、既に説明した第1検証工程を実行する。
具体的には、図9に示す実施形態では、ステップS95aにおいて、上記の他結果取得工程を実行し、上記の1以上の他の風車2についての異常度Eに基づく判定結果を取得する。ステップS95bにおいて、上記の第1妥当性判定工程を実行し、上記の異常台数Naが第1検証閾値Vaより小さい場合(Na<Va)には、今回検証対象としている異常有り判定Jaは妥当と判定(異常判定)する。そして、ステップS95cにおいて、妥当と判定された異常有り判定Jaに対応する風車2の識別情報を記憶した後、次のステップS96に進む。逆に、ステップS95bにおいて、異常台数Naが第1検証閾値Va以上の場合(Na≧Va)には、今回検証対象としている異常有り判定Jaは妥当ではないと判定(正常判定)することにより、上記のステップS95cを実行しないで、次のステップS96に進む。
そして、ステップS96において、ステップS93における異常有り判定Jaが複数あった場合などには、未だ検証が完了していない他の異常有り判定Jaを検証対象として、上記のステップS95a~S95cまでのフローを実行する。逆に、ステップS96において、全ての異常有り判定Jaの検証が完了した場合には、ステップS96bにおいて、上記の第1通知工程を実行し、ステップS95cで記憶した識別情報に対応する風車2に異常が検知された旨の通知を実行する。
上記の構成によれば、複数の風車のうち、稼働条件(複数のパラメータの値)に基づいて算出される異常度Eに基づいて、異常が生じていると判定された風車2が存在していた場合に、この異常有り判定Jaの妥当性(正当性)を、同時期における他の風車2の異常度Eに基づく判定結果における異常有り判定Jaの数に基づいて、検証する。これによって、検証により誤判定と判定される場合には異常有り判定Jaを採用しないようすれば、各風車2の異常度Eに基づく誤検知を回避しつつ、検知感度を高めることによる、各風車2に生じた異常の兆候の早期の検知を図ることができる。したがって、誤検知に基づく稼働率の低下や、コストの増大などの抑制を図ることができる。
逆に、上述したように、複数の風車2の各々の異常検知を、異常度Eと異常判定閾値Cとの比較に基づいて判定する場合に、この異常判定閾値Cを大きくするなど検知感度を下げると、誤検知の抑制を図ることは可能であるものの、各風車2が故障に至る前に早期に異常(異常の兆候)を検知することが難しくなる。例えば、風車2に生じた異常により異常度Eが漸増していても、その異常度Eの値が上記の異常判定閾値C以下であると異常が検知できず、異常予兆を的確に捉えられない可能性がある。そして、異常の検知が遅れるほど、実際に風車2が故障するリスクが高まり、故障による風車2の稼働率が低下するなどの虞がある。
そこで、幾つかの実施形態では、図8に示すように、制御ユニット14は、既に説明した異常度算出部4および異常判定部5と、この異常判定部5によって異常が無いとの判定(異常無し判定Jn)がなされた風車2があった場合における、その異常無し判定Jnを検証する第2検証部7と、をさらに備えても良い。
この際、第2検証部7は、図8に示すように、異常判定部5によって上記の複数の風車2の全てに異常が無いと判定され場合に上記の検証を実行しても良い。なお、第2検証部7は、異常判定部5によって異常無し判定Jnがなされた風車2が2以上あった場合に、この2以上の風車2の各々に対する異常無し判定Jnをそれぞれ検証対象として、検証対象毎に異常無し判定Jnの検証を実行しても良い。そして、この検証のために、第2検証部7は、図8に示すように、統計値算出部71と、第1妥当性判定部62と、第2妥当性判定部73と、を有する。
統計値算出部71は、複数の風車2の各々の異常度Eについての統計値Sを算出する。図8に示す実施形態では、上記の統計値Sは、複数の異常度Eの平均値となっている。
関係性算出部72は、複数の風車2の各々の異常度Eと、上記の統計値算出部71によって算出された統計値Sとの関係性Srをそれぞれ算出する。図8に示す実施形態では、上記の関係性Srは、複数の風車2の各々の異常度Eと、複数の異常度Eの平均値との偏差となっている。
第2妥当性判定部73は、上記の関係性算出部72によって算出された関係性Srに基づいて、複数の風車2の各々の異常無し判定Jnが妥当であるか否かの判定(第2妥当性判定)を行う。具体的には、上記の関係性Srが第2検証閾値Vb以上(Sr≧Vb)である風車2を異常と判定し、関係性Srが第2検証閾値Vb(Sr<Vb)よりも小さい風車2を正常と判定しても良い。
この第2検証閾値Vbは、上記の複数の風車2毎に応じて設定されても良く、上記の複数の風車2の過去の正常時の稼働条件(正常運転データ)に基づいて設定されても良い。また、初期段階では、第2検証閾値Vbをある程度低く設定しておき、正常運転データがある程度集まると、第2検証閾値Vbの値を変化させても良い。より詳細には、第2検証閾値Vbの値は、上記の複数の風車2についての正常時の異常度Eの平均値、およびこの正常時の異常度Eの最大値と、第2検証閾値Vbとの関係を定義した関数などを用いて、正常時の異常度Eの平均値および最大値から、第2検証閾値Vbを定められるようにしても良い。
図11の例示では、X番目の風車2について、時刻t1以降において、X番目の風車2についての異常度Eと平均値との偏差(関係性Sr)が第2検証閾値Vb以上となっており、Sr≧Vbとの関係が成立している。このため、第2妥当性判定部73は、時刻t1以降の検証において、X番目の風車2に対する異常無し判定Jnは妥当でないとの判定(異常判定)を行う。
図8に示す実施形態では、制御ユニット14は、上述した第2妥当性判定部73によって異常無し判定Jnが妥当でないと判定した場合に通知する第2通知部74を、さらに備えている。つまり、第2通知部74は、第2妥当性判定部73によって、異常判定部5による検証対象の異常無し判定Jnが妥当でないと判定されたものがある場合にのみ異常検知を通知し、異常判定部5による検証対象の異常無し判定Jnが全て妥当であると判定された場合には、その検証対象の異常無し判定Jnに対応する風車2は正常であるものとして、通知をしない。これによって、異常検知をより適切に行うことが可能となる。
上述した構成を備える制御ユニット14が実行する処理に対応する稼働状態評価方法について説明する。幾つかの実施形態では、図9に示すように、稼働状態評価方法は、上記の異常度算出工程(S92)および異常判定工程(S93)と、この異常判定工程によって異常が無いと判定(異常無し判定Jn)された風車2があった場合における異常無し判定Jnを検証する第2検証工程(S97)と、を備えても良い。
そして、上記の第2検証工程は、複数の風車2の各々の異常度Eについての統計値Sを算出する統計値算出工程(S97a)と、複数の風車2の各々の異常度Eと、上記の統計値算出工程(S97a)によって算出された統計値Sとの関係性Srをそれぞれ算出する関係性算出工程(S97b)と、上記の関係性算出工程(S97b)によって算出された関係性Srに基づいて、上記の第2妥当性判定を行う第2妥当性判定工程(S97c)と、を備える。
これらの異常度算出工程(S92)、異常判定工程(S93)、第2検証工程(S97)は、それぞれ、既に説明した異常度算出部4、異常判定部5、第2検証部7(統計値算出部71、関係性算出部72および第2妥当性判定部73)が実行する処理内容と同様であるため、詳細は省略する。
図9に示す実施形態では、稼働状態評価方法は、上記の第2妥当性判定工程(S97c)によって異常無し判定Jnが妥当でないと判定した場合に通知する第2通知ステップ(S98)を、さらに備えている。この第2通知ステップ(S98)は、既に説明した第2通知部74が実行する処理内容と同様であるため、詳細は省略する。
本実施形態における稼働状態評価方法を、図9のフローに沿って説明する。
ステップS91~S94は、既に説明したため説明を省略する。そして、ステップS94において、異常有り判定Jaの風車2がない場合には、ステップS97に移動する。換言すれば、図9に示す実施形態では、複数の風車2の全てが異常無し判定Jnの場合に、ステップS97に移動する。ステップS97において、第2検証工程を実行する。
具体的には、ステップS97aにおいて、上記の統計値算出工程を実行し、異常度Eの統計値Sを算出する。図9に示す実施形態では、この統計値Sは、複数の風車2の異常度Eの平均値となっている。ステップS97bにおいて、上記の関係性算出工程(S97b)を実行し、各風車2の各々の異常度Eと、異常度Eの統計値との関係性Srを算出する。図9に示す実施形態では、この関係性Srは、複数の風車2の各々の異常度Eと、複数の異常度Eの平均値との偏差となっている。
そして、ステップS97cにおいて、異常度E毎の上記の関係性Sr(図9では偏差)が第2検証閾値Vb以上となっているものがあるか否かを判定する。そして、ステップS97cにおいて、Sr≧Vbのものについては、ステップS92における異常無し判定Jnは妥当でないと判定(異常判定)する。そして、ステップS97dにおいて、Sr≧Vbとなっている異常度Eに対応する風車2の識別情報を記憶し、次のステップS98に進む。逆に、ステップS97cにおいて、Sr<Vbのものについては、ステップS93における異常無し判定Jnは妥当でないと判定することにより、上記のステップS97dを実行しないで、次のステップS98に進む。そして、ステップS98において上記の第2通知工程を実行し、ステップS7dで記憶した識別情報に対応する風車2の異常検知を通知する。
上記の方法によれば、稼働条件(複数のパラメータの値)に基づいて算出される異常度Eに基づいて、異常がないと判定された風車2が存在していた場合に、この異常無し判定Jnの妥当性(正当性)を、同時期における複数の異常度Eから算出される統計値Sに基づいて、検証する。これによって、異常度Eが上記の異常判定閾値C以下であったとしても異常を早期に検知することが、風車2に故障が生じることによる稼働率の低下や、コストの増大などの抑制を図ることができる。
ただし、上述した実施形態に本発明は限定されない。他の幾つかの実施形態では、異常判定部5を備えていなくても良く、異常度算出部4によって算出された異常度Eと異常判定閾値Cとの比較に基づくなどした判定を行うことなく、複数の風車2の各々の異常度Eと、異常度Eの統計値Sとの関係性に基に基づいて、異常有り判定Jaの風車2の異常検出(通知)を実行しても良い。
また、上述した実施形態では、図9に示す実施形態では、ステップS94において、異常有り判定Jaがあれば第1検証工程(S95)に進み、異常有り判定Jaがなければ第2検証工程(S97)に進むようになっているが、他の幾つかの実施形態では、異常有り判定Jaおよび異常無し判定Jnの両方が有る場合には、第1検証工程(S95)および第2検証工程(S97)の両方を順番にまたは並列に行っても良い。
本発明の少なくとも一実施形態は、風力設備の稼働状態を評価するための稼働状態評価方法、及び、稼働状態評価装置に利用可能である。
1 風力設備
2 風車
2b 風車翼
2h ハブ
2r ロータ
10 ナセル
12 タワー
14 制御ユニット
15 通信ライン
16 稼働条件取得部
18 推定値算出部
20 実測値取得部
22 判定部
24 出力部
26 記憶装置
30 物理モデル
32 軸受
34 循環流路
36 クーラ
38 貯留部
4 異常度算出部
5 異常判定部
6 第1検証部
61 他結果取得部
62 第1妥当性判定部
64 第1通知部
7 第2検証部
71 統計値算出部
72 関係性算出部
73 第2妥当性判定部
74 第2通知部
C 異常判定閾値
Va 第1検証閾値
Vb 第2検証閾値
E 異常度
Ja 異常有り判定
Jn 異常無し判定
Na 異常台数
S 統計値
Sr 関係性

Claims (19)

  1. 少なくとも一つの風車を含む風力設備の稼働状態を評価するための稼働状態評価方法であって、
    前記風力設備、又は、前記少なくとも一つの風車の稼働状態に関するパラメータを含む稼働条件を取得する工程と、
    前記少なくとも一つの風車に関する実測可能な物理量について、前記稼働条件に対応する推定値を求める工程と、
    前記物理量に対応する実測値を取得する工程と、
    前記推定値と前記実測値とを比較することにより、前記少なくとも一つの風車における異常の有無を判定する工程と、
    を備え
    前記少なくとも一つの風車は、複数の風車を含み、
    前記複数の風車の各々の前記稼働条件に基づいて、各々の前記風車の異常度を算出する工程と、
    前記複数の風車の各々の前記異常度に基づいて、各々の前記風車の異常の有無を判定する工程と、
    前記異常が有るとの異常有り判定がなされた前記風車があった場合における前記異常有り判定を検証する工程と、をさらに備え、
    前記異常有り判定を検証する工程は、
    前記異常有り判定がなされた前記異常度の算出に用いた前記稼働条件の取得タイミングを含む所定期間における、1以上の他の前記風車についての前記異常度に基づく判定結果を取得する工程と、
    前記1以上の他の風車に対する前記異常度に基づく判定結果が異常有りであった数に基づいて、前記異常有り判定が妥当であるか否かの第1妥当性判定を行う工程と、を有する、稼働状態評価方法。
  2. 前記推定値は、前記風力設備、又は、前記少なくとも一つの風車に関する物理モデルに対して前記稼働条件が入力パラメータとして入力されることで算出される、請求項1に記載の稼働状態評価方法。
  3. 前記推定値は、前記風力設備、又は、前記少なくとも一つの風車に関する機械学習モデルに対して前記稼働条件が入力パラメータとして入力されることで算出される、請求項1に記載の稼働状態評価方法。
  4. 前記少なくとも一つの風車は、複数の風車を含み、
    前記稼働条件は、前記複数の風車の各々から取得したパラメータを平均化することにより求められる、請求項1から3のいずれか一項に記載の稼働状態評価方法。
  5. 前記少なくとも一つの風車は、複数の風車を含み、
    前記推定値は、前記複数の風車の各々から取得した前記実測値を統計処理することにより求められる、請求項1に記載の稼働状態評価方法。
  6. 前記推定値は、前記複数の風車の各々から取得した前記実測値の平均値である、請求項5に記載の稼働状態評価方法。
  7. 前記推定値及び前記実測値の乖離量を算出し、前記乖離量が閾値を超えたか否かに基づいて前記異常の有無を判定する、請求項1から6のいずれか一項に記載の稼働状態評価方法。
  8. 前記少なくとも一つの風車は、複数の風車を含み、
    前記複数の風車の各々について、前記稼働条件に対する前記実測値の振る舞いを比較することにより、前記異常が有る前記風車を特定する工程と、
    を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の稼働状態評価方法。
  9. 前記複数の風車の各々について前記推定値及び前記実測値の相関係数を求め、前記相関係数が閾値を超えた前記風車について前記異常が有ると判定する、請求項8に記載の稼働状態評価方法。
  10. 前記第1妥当性判定を行う工程は、前記数が第1検証閾値よりも小さい場合に前記異常有り判定が妥当でないと判定し、前記数が前記第1検証閾値以上の場合に前記異常有り判定が妥当と判定することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の稼働状態評価方法。
  11. 前記異常有り判定が妥当であると判定された場合に、異常検知を通知する工程を、さらに備えることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の稼働状態評価方法。
  12. 前記少なくとも一つの風車は、複数の風車を含み、
    前記複数の風車の各々の前記稼働条件に基づいて、各々の前記風車の異常度を算出する工程と、
    前記複数の風車の各々の前記異常度に基づいて、各々の前記風車の異常の有無を判定する工程と、
    前記異常が無いとの異常無し判定がなされた前記風車があった場合における前記異常無し判定を検証する工程と、をさらに備え、
    前記異常無し判定を検証する工程は、
    前記複数の風車の各々の前記異常度についての統計値を算出する工程と、
    前記複数の風車の各々の前記異常度と前記統計値との関係性をそれぞれ算出する工程と、
    前記関係性に基づいて、前記複数の風車の各々の前記異常無し判定が妥当であるか否かの第2妥当性判定を行う工程と、を有することを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の稼働状態評価方法。
  13. 前記異常無し判定が妥当でないと判定された場合に通知する工程を、さらに備えることを特徴とする請求項12に記載の稼働状態評価方法。
  14. 前記統計値は、前記複数の風車の前記異常度の平均値であることを特徴とする請求項12または13に記載の稼働状態評価方法。
  15. 前記関係性は、前記風車の前記異常度と前記統計値との偏差であることを特徴とする請求項1214のいずれか1項に記載の稼働状態評価方法。
  16. 前記第2妥当性判定を行う工程は、前記関係性が第2検証閾値以上である前記風車を異常と判定し、前記関係性が第2検証閾値よりも小さい前記風車を正常と判定することを特徴とする請求項1215のいずれか1項に記載の稼働状態評価方法。
  17. 前記異常無し判定を検証する工程は、前記複数の風車の全てに前記異常が無いと判定され場合における異常無し判定を検証することを特徴とする請求項1216のいずれか1項に記載の稼働状態評価方法。
  18. 少なくとも一つの風車を含む風力設備の稼働状態を評価するための稼働状態評価方法であって、
    前記風力設備、又は、前記少なくとも一つの風車の稼働状態に関するパラメータを含む稼働条件を取得する工程と、
    前記少なくとも一つの風車に関する実測可能な物理量について、前記稼働条件に対応する推定値を求める工程と、
    前記物理量に対応する実測値を取得する工程と、
    前記推定値と前記実測値とを比較することにより、前記少なくとも一つの風車における異常の有無を判定する工程と、
    を備え、
    前記少なくとも一つの風車は、複数の風車を含み、
    前記複数の風車の各々の前記稼働条件に基づいて、前記風車の各々の異常度を算出する工程と、
    前記異常度から異常有りと判定された前記風車について、前記稼動条件の取得タイミングにおける他の前記風車についての前記異常度に基づいて、前記異常有りとの判定を検証する工程と、
    前記異常度から異常無しと判定された風車について、前記稼動条件の取得タイミングにおける前記風車の各々の前記異常度を基に算出された統計値と、前記異常無しと判定された前記風車の前記異常度との関連性の強さとに基づいて、前記異常無しとの判定を検証する工程と、を有することを特徴とする稼働状態評価方法。
  19. 少なくとも一つの風車を含む風力設備の稼働状態を評価するための稼働状態評価装置であって、
    前記風力設備、又は、前記少なくとも一つの風車の稼働状態に関するパラメータを含む稼働条件を取得する稼働条件取得部と、
    前記少なくとも一つの風車に関する実測可能な物理量について、前記稼働条件に対応する推定値を求める推定値算出部と、
    前記物理量に対応する実測値を取得する実測値取得部と、
    前記推定値と前記実測値とを比較することにより、前記少なくとも一つの風車における異常の有無を判定する判定部と、
    を備え
    前記少なくとも一つの風車は、複数の風車を含み、
    前記複数の風車の各々の前記稼働条件に基づいて、前記風車の各々の異常度を算出する算出部と、
    前記異常度から異常有りと判定された前記風車について、前記稼動条件の取得タイミングにおける他の前記風車についての前記異常度に基づいて、前記異常有りとの判定を検証する検証部と、
    前記異常度から異常無しと判定された風車について、前記稼動条件の取得タイミングにおける前記風車の各々の前記異常度を基に算出された統計値と、前記異常無しと判定された前記風車の前記異常度との関連性の強さとに基づいて、前記異常無しとの判定を検証する工程と、を有する、稼働状態評価装置。
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