以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図9は、本実施の形態に係る繰出装置を示す図である。本実施の形態による繰出装置は、起立状態に並べられた複数の冊子(ワーク)を1つずつ繰り出し、この繰り出された冊子を図示しないロボットハンドによりピックアップ可能としたものである。なお、冊子としては、取扱説明書等の、二つ折りまたは四つ折りされたものが考えられる。図2、図5および図6において、このような冊子を参照符号Wで表示する。また、図1乃至図5において、第1方向を矢印Aで示すとともにこの第1方向に直交する方向である第2方向を矢印Bで示す。このような繰出装置の構成について以下に説明する。
図1乃至図3に示すように、本実施の形態による繰出装置10は、起立状態に並べられた複数の冊子を所定の第1方向(図1や図3において矢印Aで示す方向)に押し付ける押付部20と、押付部20により第1方向に押し付けられた複数の冊子にかかる押圧力を受けることにより、押付部20との間で複数の冊子を起立状態に維持する被押付部30とを備えている。また、被押付部30には、押付部20により第1方向に押し付けられた複数の冊子のうち被押付部30に最も近い冊子を、第1方向に直交する第2方向(図1や図3において矢印Bで示す方向)に1つずつ起立状態で繰り出す繰出部40が設けられている。なお、図3では繰出部40の各構成要素を見やすくするために被押付部30を二点鎖線で示している。また、本実施の形態の繰出装置10において、繰出部40により起立状態で繰り出された冊子は集積部70に送られるようになっている。このような繰出装置10における押付部20、被押付部30、繰出部40および集積部70の各構成要素の詳細について以下に説明する。
図1乃至図3に示すように、押付部20は、水平方向に沿って互いに平行に延びる左右一対の無端状のベルト22と、板状の押付部材24と、押付部材24を被押付部30に向かって移動させる駆動機構25と、各ベルト22上に冊子が載置されているか否かを検知する左右一対の検知センサ26とを有している。無端状の各ベルト22は図3における上下方向に延びており、起立状態に並べられた複数の冊子が左右一対のベルト22をまたがるよう各ベルト22上に載置されるようになっている。各ベルト22は、図示しないモータによって、各ベルト22上に載置された冊子が図2における矢印方向に移動するよう駆動されるようになっている。なお、各ベルト22には、各冊子の折り目部分が各ベルト22に接するよう、複数の冊子が起立状態で載置されるようになっている。また、各ベルト22上には様々な種類(すなわち、様々なサイズ)の冊子が載置されるようになっている。
押付部材24は、各ベルト22上に載置された複数の冊子のうち被押付部30から最も遠い側に位置する冊子に接触するようになっている。そして、駆動機構25によって押付部材24が被押付部30に向かって移動させられると、各ベルト22上に載置された複数の冊子が被押付部30に向かって押圧されるようになっている。
図3に示すように、各ベルト22上に冊子が載置されているか否かを検知する左右一対の検知センサ26は、それぞれ、発光素子26aおよび受光素子26bを有している。各検知センサ26において、発光素子26aから発せられた光は光路26cを通って受光素子26bにより受けられるようになっている。各ベルト22上に冊子が1つも載置されていない場合には、発光素子26aから発せられた光が光路26cを通って受光素子26bにより受けられる。このことにより、各ベルト22上に冊子が1つも載置されていないことが検知センサ26により検知される。一方、各ベルト22上に冊子が1つでも載置されている場合には、この冊子によって光路26cが遮られることにより、発光素子26aから発せられた光が受光素子26bにより受けられなくなる。このことにより、各ベルト22上に冊子が載置されていることが検知センサ26により検知される。
図4に示すように、被押付部30は、ベース部材31と、押付部20により第1方向に押し付けられた複数の冊子のうち先頭の冊子に接触する板金等の被接触部材32を有しており、この被接触部材32は図示しないバネによりベース部材31に取り付けられている。また、ベース部材31には接触式センサ34が被接触部材32からわずかに離れた箇所に設けられている。そして、押付部20により冊子が第1方向に押し付けられて先頭の冊子が被接触部材32を押すことによりバネが縮むと、所定位置から冊子により押された被接触部材32が接触式センサ34に接触することによってこの被接触部材32が接触式センサ34により検知されるようになっている。このように、接触式センサ34によって、押付部20により第1方向に押し付けられた冊子が被接触部材32を押動していることが検知されるようになっている。
図3および図4に示すように、繰出部40は、被押付部30のベース部材31に対して平行に延びる3つの無端状のベルト42(第1搬送部分)と、各ベルト42が張架される複数のプーリ44と、各ベルト42に対応する複数のプーリ44のうちある1つのプーリ44に取り付けられた軸45と、軸45を正逆両方向に回転させることができる第1モータ46とを有している。各ベルト42は互いに平行に延びるようになっている。そして、押付部20により被押付部30の被接触部材32に押し付けられた冊子は各ベルト42により図4における左方向(上述した第1方向に直交する第2方向)に繰り出されるようになっている。
また、繰出部40は、被押付部30のベース部材31に対して平行に延びる2つの無端状のベルト48(第2搬送部分)と、各ベルト48が張架される複数のプーリ50と、各ベルト48に対応する複数のプーリ50のうちある1つのプーリ50に取り付けられた軸51と、軸51を正逆両方向に回転させることができる第2モータ52とを有している。また、図4に示すように、各ベルト48はプーリ49にも張架されるようになっている。各ベルト48は互いに平行に延びるようになっている。また、各ベルト42の間隔と、各ベルト48の間隔とは略同一の大きさとなっている。また、第2方向(すなわち、図4の左右方向)に沿って、各ベルト42の一部および各ベルト48の一部が重複する重複領域(図4において参照符号Mで表示)が存在する。そして、各ベルト42により第2方向に搬送される冊子は各ベルト42から各ベルト48に受け渡され、各ベルト48により引き続き第2方向に搬送されるようになっている。
また、各ベルト48においてプーリ49に対向する位置には逆転ローラ54がそれぞれ設けられており、各逆転ローラ54には軸55が接続されている。また、軸55を一方向に回転させる第3モータ56が設けられている。このような第3モータ56により、各逆転ローラ54は、各ベルト48による冊子の搬送方向と逆方向に回転するようになっている。ここで、図4に示すように、各逆転ローラ54は、各ベルト42および各ベルト48の重複領域(図4において参照符号Mで表示)に対向する位置に配置されている。また、各ベルト48と各逆転ローラ54との間には、繰出部40により繰り出されるべき冊子の厚さよりもわずかに大きい隙間(ゲート)が形成されており、各ベルト42や各ベルト48により搬送される冊子は各ベルト48と各逆転ローラ54との間のゲートを通って第2方向に搬送されるようになっている。また、各ベルト48と各逆転ローラ54との間の隙間は、繰出部40により繰り出されるべき冊子の厚さよりもわずかに大きくなっているため、各ベルト42により冊子が2つ重なった状態で繰り出されたとしても、この重なった状態の冊子を、各ベルト48と各逆転ローラ54との間に形成されるゲートにより1つずつに分離することができるようになる。
図4に示すように、第2方向(すなわち、図4の左方向)における各ベルト48の下流側にはローラ58が配置されており、各ベルト48により搬送される冊子はローラ58に受け渡され、このローラ58により冊子は後述する集積部70のベルト72に案内されるようになっている。
また、繰出部40において、第2方向における各ベルト48やローラ58に対応する箇所の底部には、断面が凹形状である細長いガイド部材(図示せず)が配置されている。このようなガイド部材は第2方向に沿って直線状に延びるようになっている。各ベルト48やローラ58により搬送される冊子の下端縁は、このガイド部材の凹形状の溝に入るようになっている。このことにより、各ベルト48やローラ58により搬送される冊子をガイド部材によって案内することができるようになる。
また、図3や図4に示すように、軸51が取り付けられた各プーリ50の近傍には第1センサ60が設けられている。第1センサ60は例えば光センサから構成されており、各ベルト48により搬送される冊子が下流側の各プーリ50に達すると当該冊子は第1センサ60により検知されるようになっている。また、ローラ58の近傍には第2センサ62が設けられている。第2センサ62は例えば光センサから構成されており、各ベルト48により搬送される冊子がローラ58に受け渡されると当該冊子は第2センサ62により検知されるようになっている。
図1、図3および図5に示すように、集積部70は、一対のローラ71と、被押付部30のベース部材31に対して平行に延びる無端状のベルト72と、ベルト72が張架される複数のプーリ75と、複数のプーリ75のうちある1つのプーリ75を正逆両方向に回転させることができる第4モータ76と、複数のプーリ75のうち別のプーリ75に取り付けられた軸77と、軸77に取り付けられたローラ73を有している。また、ベルト72の表面には突起部74が取り付けられており、この突起部74には一対の押動部材74aが設けられている。第4モータ76によりプーリ75が駆動されると、ベルト72が循環移動することによって冊子は押動部材74aにより押動されて図5において矢印Bで示す方向(第2方向)に起立状態で搬送される。また、このようなベルト72の循環移動によって軸77が回転することによりローラ73も回転する。このようなローラ73およびベルト72の動作によって、繰出部40から集積部70に送られた冊子は図5において参照符号Wで示す箇所まで搬送される。また、第4モータ76にはエンコーダが取り付けられており、このエンコーダにより第4モータ76の回転量が検知されるようになっている。このことにより、ベルト72に取り付けられた突起部74の移動量も検知することができるようになる。冊子が図5において参照符号Wで示す箇所まで起立状態で搬送されると、この冊子は図示しないロボットハンドによりピックアップされる。また、図5に示すように、集積部70には、図5において参照符号Wで示す箇所まで搬送された冊子を検知する第3センサ78(例えば、接触式センサ)が設けられている。このことにより、第3センサ78により冊子が検知されたことをトリガーとしてロボットハンドを駆動することにより当該ロボットハンドによって冊子を集積部70からピックアップするような動作が可能となる。
また、集積部70の底部には、断面が凹形状である細長いガイド部材(図示せず)が配置されている。このようなガイド部材は第2方向に沿って直線状に延びるようになっている。突起部74の各押動部材74aにより押動される冊子の下端縁は、このガイド部材の凹形状の溝に入るようになっている。このことにより、突起部74の各押動部材74aにより押動される冊子をガイド部材によって案内することができるようになる。
また、繰出装置10には、押付部20の各ベルト22上に冊子が載置されるスペースの幅を調整するための幅調整部80が設けられている。このような幅調整部80の構成の詳細について図6および図7を用いて説明する。図6において、押付部20の各ベルト22上に載置される冊子を参照符号Wで示す。図6およびお図7に示すように、幅調整部80は、押付部20の各ベルト22上に載置される冊子の側縁部に接触する幅調整部材82と、幅調整部材82を支持する支持部材84と、支持部材84の基端部分に取り付けられた円筒状部材85と、各ベルト22上に載置される冊子の幅方向に延びるボールねじ86と、ボールねじ86を正逆両方向に回転させることができる第5モータ88とを有している。ここで、円筒状部材85はボールねじ86に嵌め込まれるようになっており、この円筒状部材85の内周面には、ボールねじ86の雄ねじ部分に対応する雌ねじ部分が形成されている。このことにより、円筒状部材85がボールねじ86を回転させると円筒状部材85は図6における左右方向に移動するようになり、よって支持部材84により支持される幅調整部材82も図6における左右方向に移動する。このようにして、押付部20の各ベルト22上に冊子が載置されるスペースの幅を幅調整部材82により調整することができるようになる。
また、繰出装置10には、繰出部40の各ベルト42や各ベルト48に対する逆転ローラ54の位置を調整するためのゲート厚さ調整部90が設けられている。このようなゲート厚さ調整部90の構成の詳細について図7を用いて説明する。図7に示すように、ゲート厚さ調整部90は、ベース部材92と、ベース部材92を支持するともに当該ベース部材92を図7における紙面と直交する方向に案内する一対のリニアガイド94と、ベース部材92を図7における紙面と直交する方向に往復移動させることができる第6モータ96と、ベース部材92が初期位置に位置しているときにこのベース部材92に取り付けられた被検知部分92aを検知する原点センサ97と、ベース部材92が所定の移動範囲から外れたときにこのことを検知するリミットセンサ98とを有している。ベース部材92上には押付部20の各ベルト22、押付部材24および駆動機構25が載置されている。また、ベース部材92上には繰出部40の各逆転ローラ54、軸55および第3モータ56が載置されている。さらに、ベース部材92上には、幅調整部80の幅調整部材82や第5モータ88が載置されている。このことにより、第6モータ96によってベース部材92が各リニアガイド94に沿って図7における紙面と直交する方向に往復移動させられると、押付部20の各ベルト22および繰出部40の各逆転ローラ54が一体的に図3における上下方向に移動させられる。このような動作により、繰出部40の各ベルト48と各逆転ローラ54との間に形成されるゲートの幅の大きさが変わるようになる。このようにして、第6モータ96がベース部材92を移動させることにより、繰出部40の各ベルト48と各逆転ローラ54との間に形成されるゲートの幅を調整することができるようになる。
次に、このような繰出装置10の制御系の構成について図8を用いて説明する。図8に示すように、繰出装置10はCPU等の制御部12を有しており、この制御部12には押付部20、被押付部30、繰出部40、集積部70、幅調整部80およびゲート厚さ調整部90等の各構成要素がそれぞれ接続されている。ここで、制御部12は、押付部20、被押付部30、繰出部40、集積部70、幅調整部80およびゲート厚さ調整部90等の各構成要素に指令信号を送ることによりこれらの構成要素を制御するようになっている。また、押付部20、被押付部30、繰出部40、集積部70、幅調整部80およびゲート厚さ調整部90等の各構成要素に設けられたセンサ等の検知部による検知情報は制御部12に送られるようになっている。
また、図8に示すように、制御部12には通信インターフェース部14、エラー情報出力部16および記憶部18がそれぞれ接続されている。通信インターフェース部14は、繰出装置10とは別に設けられた上位端末等の外部装置等に対して信号の送受信を行うために用いられるようになっている。また、本実施の形態では、繰出装置10により処理されるべき冊子の種類に関する情報が、外部装置から通信インターフェース部14を介して制御部12に送られるようになっている。このように、通信インターフェース部14は、冊子の情報(ワーク情報)を受け付けるワーク情報受付手段としても機能するようになる。また、エラー情報出力部16は、繰出装置10により冊子の繰出動作が行われる途中でエラーが発生した場合にエラー情報を出力するようになっている。エラー情報出力部16により出力されるエラー情報の内容の詳細や、エラー情報の出力方法等については後述する。また、記憶部18は、繰出装置10の設定情報や、繰出装置10による冊子の繰出動作の履歴等の情報が記憶されるROMやRAM等のメモリである。
次に、このような繰出装置10の動作の詳細について図9に示すグラフを参照して説明する。
まず、操作者は繰出装置10の押付部20における各ベルト22上に複数の冊子を起立状態で載置する。各ベルト22上に載置された冊子は検知センサ26により検知される。また、繰出装置10による冊子の繰出動作が行われる前に、上位端末等の外部装置から、繰出装置10により処理されるべき冊子の種類に関する情報が通信インターフェース部14を介して制御部12に送られる。制御部12は、通信インターフェース部14により受け付けた冊子の種類に関する情報に基づいて、各ベルト22上に載置される冊子のうち最も幅が大きな冊子の側縁部に幅調整部材82が接するよう、幅調整部80(具体的には、第5モータ88)を制御する。また、制御部12は、通信インターフェース部14により受け付けた冊子の種類に関する情報に基づいて、各ベルト48と各逆転ローラ54との間に形成されるゲートの幅が、各ベルト22上に載置される冊子のうち最も厚さが大きい冊子の厚さよりもわずかに大きくなるよう、ゲート厚さ調整部90(具体的には、第6モータ96)を制御する。
押付部20における各ベルト22上に複数の冊子が起立状態で載置され、各ベルト22上に載置された冊子が検知センサ26により検知された後、上位端末等の外部装置から、冊子の繰出開始指令に係る信号が通信インターフェース部14を介して制御部12に送られると、図示しないモータによって、各ベルト22上に載置された冊子が図2における矢印Aの方向(第1方向)に移動するよう各ベルト22が駆動される。また、冊子の繰出開始指令に係る信号が制御部12に送られると、駆動機構25によって押付部材24が被押付部30に向かって(すなわち、第1方向に)移動させられる。このことにより、各ベルト22上に載置された複数の冊子が被押付部30に向かって押圧される。なお、冊子の繰出開始指令に係る信号が制御部12に送られると各ベルト22や押付部材24が駆動される代わりに、各ベルト22上に載置された冊子が検知センサ26により検知されると、冊子の繰出開始指令に係る信号が制御部12に送られなくても各ベルト22や押付部材24が駆動されるようになっていてもよい。そして、被押付部30の接触式センサ34によって、各ベルト22や押付部材24により第1方向に押し付けられた冊子が被接触部材32を押動していることが検知されると、各ベルト22や押付部材24の動作が停止される。
また、被押付部30の接触式センサ34によって、各ベルト22や押付部材24により第1方向に押し付けられた冊子が被接触部材32を押動していることが検知されると、繰出部40の第1モータ46、第2モータ52および第3モータ56がそれぞれ正転し、各ベルト42および各ベルト48が図4における左方向(第2方向)にそれぞれ移動する。また、各ベルト42および各ベルト48による冊子の繰出方向とは逆方向に逆転ローラ54が回転する。このことにより、押付部20(具体的には、各ベルト22および押付部材24)により被押付部30の被接触部材32に押し付けられた冊子は各ベルト42により図4における左方向に1つずつ起立状態で搬送され、この冊子は各ベルト42から各ベルト48に受け渡され、各ベルト48により冊子が引き続き搬送される。また、各ベルト42および各ベルト48により搬送される冊子は、各ベルト48と逆転ローラ54との間に形成されるゲートを通過する。ここで、ゲート厚さ調整部90によって、各ベルト48と各逆転ローラ54との間に形成されるゲートの幅が、各ベルト22上に載置された冊子のうち最も厚さが大きい冊子の厚さよりもわずかに大きくなるよう調整されている。このため、各ベルト42により冊子が2つ重なった状態で繰り出されたとしても、この重なった状態の冊子を、各ベルト48と各逆転ローラ54との間に形成されるゲートにより1つずつに分離することができるようになる。
また、本実施の形態では、図9のグラフに示すように、各ベルト48が張架される一対のプーリ50のうち下流側のプーリ50(すなわち、軸51に取り付けられたプーリ50)の近傍に設けられた第1センサ60によって、各ベルト42により繰り出される冊子が検知されると、繰出部40の第1モータ46、第2モータ52および第3モータ56がそれぞれ停止する。その後、第2モータ52および第3モータ56は再び正転するが、第1モータ46は逆転する。このことにより、各ベルト48は図4における左方向(第2方向)に再び移動するが、各ベルト42は第2方向とは逆方向(すなわち、図4における右方向)に移動する。ここで、各ベルト42により繰り出された冊子が1つであり、この1つの冊子が各ベルト48と各逆転ローラ54との間に形成されるゲートを通った場合には、第1モータ46が逆転する前にこの冊子は各ベルト42から各ベルト48に受け渡されるので当該冊子は各ベルト48により引き続き第2方向に搬送される。一方、各ベルト42により冊子が2つ重なった状態で繰り出された場合には、各ベルト48と各逆転ローラ54との間に形成されるゲートにより冊子が1つずつに分離された後、2つ目以降の冊子は各ベルト42により第2方向とは逆方向に搬送され、この冊子は押付部20と被押付部30との間の位置に戻される。このようにして、各ベルト42により冊子が2つ重なった状態で繰り出された場合でも、繰出装置10を停止させることなく引き続き冊子の繰出動作を行うことができるようになる。その後、各ベルト48により搬送される冊子は第2センサ62により検知される。
図9のグラフに示すように、第2センサ62により冊子が検知された後、各ベルト48により冊子が更に搬送されて、この冊子が第2センサ62により検知されなくなると、当該冊子は繰出部40から集積部70に受け渡される。また、各ベルト48により搬送される冊子が第2センサ62により検知されなくなると、第1モータ46、第2モータ52および第3モータ56がそれぞれ停止する。また、各ベルト48により搬送される冊子が第2センサ62により検知されなくなると、第4モータ76が正転する。このことにより、ベルト72およびこのベルト72に取り付けられた突起部74が初期位置(図5に示す位置)から第2方向(すなわち、図5における右方向)に移動する。このようにして、繰出部40から集積部70に受け渡された冊子は、ベルト72の表面に取り付けられた突起部74の各押動部材74aにより押動されて図5において矢印Bで示す方向(すなわち、第2方向)に搬送される。そして、ベルト72に設けられたによって冊子が図5において参照符号Wで示す箇所まで搬送されると、この冊子は第3センサ78により検知される。冊子が第3センサ78により検知されると、第4モータ76が逆転し、突起部74は初期位置に戻る。また、第3センサ78により冊子が検知されたことをトリガーとして図示しないロボットハンドが駆動され、このロボットハンドによって図5において参照符号Wで示す箇所に位置する冊子が集積部70からピックアップされる。
また、冊子がロボットハンドによりピックアップされてこの冊子が第3センサ78により検知されなくなると、押付部20の各ベルト22および押付部材24が再び駆動される。そして、被押付部30の接触式センサ34によって、各ベルト22や押付部材24により第1方向に押し付けられた冊子が被接触部材32を押動していることが検知されると、繰出部40の第1モータ46、第2モータ52および第3モータ56がそれぞれ正転する。このことにより、次の冊子が繰出部40から繰り出されるようになる。このような動作は各ベルト22上の冊子が検知センサ26により検知されなくなるまで繰り返し行われる。そして、各ベルト22上の冊子が検知センサ26により検知されなくなると、繰出装置10による冊子の繰出動作が完了する。
なお、本実施の形態は、集積部70において冊子が突起部74の各押動部材74aにより押動されることによって搬送される際に、第3センサ78により冊子が検知されるまで当該冊子が突起部74の各押動部材74aにより押動されるような態様に限定されることはない。他の例として、制御部12は、通信インターフェース部14により受け付けた冊子の種類に関する情報に基づいて、突起部74の各押動部材74aによる冊子の移動量を予め設定するようになっていてもよい。この場合には、繰出部40から集積部70に冊子が受け渡されて、この冊子が第2センサ62により検知されなくなると、ベルト72がこの設定された移動量だけ移動するよう第4モータ76が正転する。このことにより、突起部74の各押動部材74aにより押動されて図5において矢印Bで示す方向(すなわち、第2方向)に搬送される。しかしながら、突起部74の各押動部材74aが予め設定された移動量だけ移動しても冊子が第3センサ78により検知されない場合は、通信インターフェース部14により受け付けた冊子の種類と、実際に各ベルト22上に載置された冊子の種類とが合致していない可能性がある。この場合には、エラーが発生した旨の情報がエラー情報出力部16により出力される。具体的には、繰出装置10に設けられたスピーカー等の音声部(図示せず)によってエラーが発生した旨の情報が音声によりアナウンスされたり、繰出装置10に設けられたエラーランプ(図示せず)が点灯したりする。あるいは、エラー情報出力部16により出力された、エラーが発生した旨の情報が、通信インターフェース部14を介して上位端末等の外部装置に送信され、この外部装置のモニタ等に表示されるようになっていてもよい。
以上のような構成からなる本実施の形態の繰出装置10によれば、起立状態で並べられた複数の冊子が押付部20により所定の第1方向に押し付けされ、被押付部30は、押付部20により第1方向に押し付けられた複数の冊子にかかる押圧力を受けることにより、押付部20との間で複数の冊子を起立状態に維持する。そして、被押付部30に設けられた繰出部40は、押付部20により第1方向に押し付けられた複数の冊子のうち被押付部30に最も近い冊子を、第1方向に直交する第2方向に1つずつ起立状態で繰り出す。このことにより、ロボットアーム等により容易に取り出すことができるよう、平板状の冊子を1つずつ起立状態で繰り出すことができる。
また、本実施の形態の繰出装置10においては、繰出部40は、冊子を1つずつ第2方向に起立状態で搬送する1または複数の第1搬送部分(具体的には、ベルト42)と、第2方向における第1搬送部分の下流側に設けられ、第1搬送部分から受け渡された冊子を1つずつ第2方向に起立状態で搬送する1または複数の第2搬送部分(具体的には、ベルト48)とを有している。また、繰出部40を制御する制御部12が設けられており、制御部12は、第1搬送部分としての各ベルト42により冊子を第2方向に搬送させて冊子を第1搬送部分から第2搬送部分に受け渡した後に第1搬送部分を第2方向とは逆方向に移動させるよう繰出部40を制御するようになっている。この場合には、第1搬送部分により冊子が2つ重なった状態で繰り出されたときでも、2つ目以降の冊子は、第2方向とは逆方向に移動する第1搬送部分により押付部20と被押付部30との間の位置に戻される。このようにして、第1搬送部分により冊子が2つ重なった状態で繰り出された場合でも、繰出装置10を停止させることなく引き続き冊子の繰出動作を行うことができるようになる。
なお、本実施の形態では、第1搬送部分としての各ベルト42により冊子を第2方向に搬送させて冊子を第1搬送部分から第2搬送部分に受け渡した後に、第1搬送部分を第2方向とは逆方向に移動させる代わりに、第1搬送部分を停止させるよう制御部12が繰出部40を制御するようになっていてもよい。この場合でも、第1搬送部分により冊子が2つ重なった状態で繰り出されたときに、2つ目以降の冊子が第1搬送部分から第2搬送部分に受け渡されてしまうことを防止することができるようになる。このため、第1搬送部分により冊子が2つ重なった状態で繰り出された場合でも、繰出装置10を停止させることなく引き続き冊子の繰出動作を行うことができるようになる。
また、本実施の形態の繰出装置10においては、繰出部40において、第2方向に沿って第1搬送部分(具体的には、ベルト42)の一部および第2搬送部分(具体的には、ベルト48)の一部が重複する重複領域(図4において参照符号Mで表示)が存在する。このことにより、第1搬送部分から第2搬送部分への冊子の受け渡しをスムーズに行うことができるようになる。また、繰出部40において、第1搬送部分の一部および第2搬送部分の一部における重複領域に対向して逆転ローラ54が設けられており、逆転ローラ54と、第1搬送部分および第2搬送部分との間には、冊子が通過するための隙間(ゲート)が形成されている。この場合には、第1搬送部分により冊子が2つ重なった状態で繰り出されたときに、第1搬送部分から第2搬送部分に冊子が受け渡される際に2つ目以降の冊子が逆転ローラ54により分離されるため、第2搬送部分により冊子を1つずつ搬送することができるようになる。
また、本実施の形態の繰出装置10においては、第1搬送部分は並列に並ぶよう複数設けられ、第2搬送部分は並列に並ぶよう複数設けられ、各第1搬送部分の間隔と、各第2搬送部分の間隔とが略同一の大きさである。また、第1搬送部分および第2搬送部分はそれぞれ無端状のベルトを有している。なお、本実施の形態では、第1搬送部分および第2搬送部分は無端状のベルトに限定されることはない。第1搬送部分および第2搬送部分として、冊子を起立状態で搬送することができるものであれば、無端状のベルト以外のものが用いられてもよい。
また、本実施の形態の繰出装置10においては、繰出部40により繰り出された冊子が起立状態で集積される集積部70が設けられており、集積部70は、繰出部40により繰り出された冊子を所定の取出位置まで第2方向に起立状態で搬送する第3搬送部分(突起部74)を有している。この場合には、集積部70の所定の取出位置まで第3搬送部分により搬送された冊子を例えばロボットハンドによりピックアップすることができるようになる。また、この際にロボットハンドによりピックアップされる冊子の取出位置が所定の位置となるため、取出動作を行う際に取出不良等のエラーが発生することを抑制することができる。また、冊子の種類に関する情報を受け付けるワーク情報受付手段として通信インターフェース部14が設けられており、第3搬送部分による冊子の搬送量は、ワーク情報受付手段により受け付けられた冊子の種類に関する情報により決まるようになっている。また、第3搬送部分による冊子が所定の取出位置まで搬送されたときにこの冊子を検知する検知部として第3センサ78が設けられており、ワーク情報受付手段により受け付けられた冊子の種類に関する情報に基づいて決められた搬送量だけ第3搬送部分により冊子が搬送された後、第3センサ78により冊子が検知されない場合には、エラーが発生した旨の情報がエラー情報出力部16により出力される。この場合には、ワーク情報受付手段により受け付けた冊子の種類と、実際に繰出装置10の各ベルト22上に載置された冊子の種類とが合致していない可能性があることを操作者に報知することができる。
なお、本実施の形態による繰出装置は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、本実施の形態による繰出装置により繰り出されるワークは冊子に限定されることはない。平板状のものであれば冊子以外のワークも本実施の形態による繰出装置により繰り出すことができる。
また、繰出部は、第1繰出部分および第2繰出部分から構成されるものに限定されることはない。繰出部として、上流側のベルトと下流側のベルトがそれぞれ設けられているものを用いる代わりに、1つのベルトまたは互いに平行に延びる複数のベルトにより冊子を上流側から下流側まで一度に繰り出すものが用いられてもよい。
また、本実施の形態による繰出装置において、上述する集積部70の設置が省略されるようになっていてもよい。この場合には、繰出部により起立状態で繰り出された冊子がそのままロボットハンドによりピックアップされるようになる。このような繰出装置について図10を参照して以下に説明する。なお、図10において繰出装置により繰り出される平板状のワークは、冊子ではなく、例えば菓子を収容する小箱(具体的には、略直方体形状に展開する前の状態の折り畳まれたもの)である。
図10に示す繰出装置110は、起立状態に並べられた複数のワーク(図10において参照符号Wで示す)を所定の第1方向(図10において矢印Aで示す方向)に押し付ける押付部120と、押付部120により第1方向に押し付けられた複数のワークにかかる押圧力を受けることにより、押付部120との間で複数のワークを起立状態に維持する被押付部130とを備えている。また、被押付部130には、押付部120により第1方向に押し付けられた複数のワークのうち被押付部130に最も近いワークを、第1方向に直交する第2方向(図10において矢印Bで示す方向)に1つずつ起立状態で繰り出す繰出部140が設けられている。また、図10に示す繰出装置110において、繰出部140により起立状態で繰り出されたワークはロボットハンドによりピックアップされるようになっている。このような変形例に係る繰出装置110における押付部120、被押付部130および繰出部140の各構成要素の詳細について以下に説明する。
図10に示すように、押付部120は、ワークが載置される一対のベース部材122、123と、板状の押付部材124と、押付部材124を被押付部130に向かって移動させる駆動機構125と、ベース部材122、123上にワークが載置されているか否かを検知する検知センサ(図示せず)とを有している。各ベース部材122、123は第1方向に沿って延びており、起立状態に並べられた複数のワークがベース部材122、123上に載置されるようになっている。より詳細には、各ベース部材122、123は、断面がL字形である板金から構成されており、起立状態のワークの下端縁の両端部分がこれらのベース部材122、123に載置されるようになっている。また、ベース部材122、123上には様々な種類(すなわち、様々なサイズ)のワークが載置されるようになっている。ここで、2つのベース部材122、123のうち一方のベース部材123は、ベース部材122、123に載置されるワークの幅方向(すなわち、第1方向に直交する方向)に移動可能となっており、ベース部材122、123上にワークが載置されるスペースの幅をベース部材123により調整することができるようになる。また、押付部材124は、ベース部材122、123上に載置された複数のワークのうち被押付部130から最も遠い側に位置するワークに接触するようになっている。そして、駆動機構125によって押付部材124が被押付部130に向かって移動させられると、ベース部材122、123上に載置された複数のワークが被押付部130に向かって押圧されるようになっている。
繰出装置110の被押付部130は、図1乃至図9に示す繰出装置10の被押付部30と略同一の構成となっている。また、繰出装置110の繰出部140は、図1乃至図10に示す繰出装置10の繰出部40と略同一の構成となっている。
このような繰出装置110によれば、図1乃至図9に示す繰出装置10と同様に、起立状態で並べられた複数のワークが押付部120により所定の第1方向に押し付けされ、被押付部130は、押付部120により第1方向に押し付けられた複数のワークにかかる押圧力を受けることにより、押付部120との間で複数のワークを起立状態に維持する。そして、被押付部130に設けられた繰出部140は、押付部120により第1方向に押し付けられた複数のワークのうち被押付部130に最も近いワークを、第1方向に直交する第2方向に1つずつ起立状態で繰り出す。このことにより、ロボットアーム等により容易に取り出すことができるよう、平板状のワークを1つずつ起立状態で繰り出すことができる。