JP7288072B2 - コネクタハウジング - Google Patents

Description

本発明は、ラッチアームを備えたコネクタハウジングに関する。

従来より、例えば相手ハウジング等の被ラッチ部材に係止してその被ラッチ部材を抜け止めするラッチアームを備えたコネクタハウジングが広く採用されている（例えば、特許文献１参照）。このラッチアームは、ハウジング本体から片持ち梁形状に延び、その片持ち梁の中間部に被ラッチ部材に係止するラッチ部を有する。

また、特許文献２には、２色成形の技術を使って、硬質材料からなるハウジング本体と、その硬質材料とは別の軟質材料からなるヒンジとを備えたコネクタハウジングが開示されている。

また、特許文献３には、成形金型の複数のゲート（注入口）から異なる樹脂材料を注入する成形装置が開示されている。

特開平４－１３７４７４号公報 特開平２－１８６５６９号公報 特開２０１７－１７７７３８号公報

ラッチアームは、相手ハウジング等の被ラッチ部材に係止するにあたり一旦弾性変形する必要がある。このため、このラッチアームが適度な操作力で弾性変形する、ある程度軟質の材料が選定される。

ここで、コネクタハウジングの小型化の要請を満たすために、ラッチアームの長さを短縮化することを考える。その場合、ラッチアームは、長さが短い中で十分な弾性変形量を得る必要がある。これを満足するには、さらに軟質な材料を採用することになる。

一方、ラッチアームの一部である、被ラッチ部材にラッチするラッチ部は、不用意な力が作用しても、所定の強さの力までは被ラッチ部材とのラッチを保持する必要がある。このため、軟質な材料を採用すると、不用意な力が作用したときに、ラッチ部がひび割れたり欠損してラッチを保持することができないおそれが生じる。

ラッチアーム本体とラッチ部とをそれぞれに適した別々の材料で形成する手段として、特許文献２に開示された２色成形の技術をラッチアームに適用することが考えられる。しかしながら、２色成形は、成形工程を２度経るので、コスト高となる。また、２色成形ではラッチアーム本体とラッチ部がそれらの接合部分で分離しやすく、不用意な力が加わったときにラッチ部が欠損するおそれがある。

また、上掲の特許文献３には、コネクタハウジングについての開示は存在しない。

本発明は、上記事情に鑑み、被ラッチ部材にラッチするラッチ部の強度を保ちつつ、弾性変形に適したラッチアームを備えたコネクタハウジングを提供することを目的とする。

上記目的を達成する本発明のコネクタハウジングは、
ハウジング本体と、
第１材料で形成され、ハウジング本体から片持ち梁形状に延びてハウジング本体に対し弾性変形するラッチアーム本体、および第１材料よりも剛性の高い第２材料で形成され、ラッチアーム本体から突き出て被ラッチ部材をラッチするラッチ部を有するラッチアームとを備え、
第１材料と第２材料との境界領域に、第１材料と第２材料との混合比率が連続的に変化している遷移領域を有することを特徴とする。

ラッチアームを容易に弾性変形し得る第１材料で形成し、これとともに、ラッチ部を、その第１材料よりも剛性の高い第２材料で形成する。ここまでは、２色成形で可能である。

本発明の場合、さらに、第１材料と第２材料との混合比率が連続的に変化している遷移領域を有する。本発明の場合、この遷移領域の存在により、ラッチアーム本体とラッチ部が一体化され、高い信頼性をもってそれらの分離が防止される。すなわち、本発明によれば、被ラッチ部材にラッチするラッチ部の強度を保ちつつ、弾性変形に適したラッチアームを備えたコネクタハウジングが構成される。

ここで、第１材料と第２材料とが接する遷移領域がラッチアーム本体内に食い込んでいることが好ましい。

遷移領域がラッチアーム本体内に食い込んでいることで、ラッチ部の強度が維持される。

さらに、その遷移領域がラッチアーム本体内に先細りの形状に食い込んでいることが好ましい。

ラッチアーム本体内に楔のように先細りの形状に食い込んでいる遷移領域を形成することで、ラッチ部の強度がさらに増強される。

本発明にいうラッチアームは、典型的には本発明のコネクタハウジングと嵌合する相手ハウジングとラッチするラッチアームである。

ただし、本発明にいうラッチアームは、相手ハウジングとラッチするラッチアームには限られず、例えば、本発明のコネクタハウジングに挿入されるコンタクトに係止するラッチアーム（ハウジングランス）であってもよい。

また、本発明のコネクタハウジングにおいて、第１材料と第２材料は、互いに色が異なる材料であることが好ましい。

互いに色が異なると、正しく成形されていることの確認が容易である。

以上の本発明によれば、被ラッチ部材にラッチするラッチ部の強度を保ちつつ、弾性変形に適したラッチアームを備えたコネクタハウジングを提供することができる。

コネクタの斜視図である。 図１に示した矢印Ｘ－Ｘに沿う断面図である。 図１，図２に示したコネクタを構成するコネクタハウジングの製造工程の概要を示した模式図である。

以下、本発明の実施の形態について説明する。

図１は、コネクタの斜視図である。

また、図２は、図１に示した矢印Ｘ－Ｘに沿う断面図である。

このコネクタ１０は、コネクタハウジング２０と、そのコネクタハウジング２０に挿し込まれたコンタクト３０（図２参照）とを備えている。

コンタクト３０にはケーブル４０が接続されていて、そのケーブル４０は、コネクタハウジング２０の外部に延びている。なお、これらの図１，図２では、ケーブル４０は、コネクタハウジング２０の近傍の部分のみ示されている。

コネクタハウジング２０は、ハウジング本体２１とラッチアーム２２を有する。このコネクタハウジング２０は、本発明のコネクタハウジングの一例に相当する。

ラッチアーム２２は、その前端２２ａがハウジング本体２１に繋がり、その前端２２ａを固定端として片持ち梁形状に後方に延びている。そして、このラッチアーム２２は、固定端である前端２２ａと自由端である後端２２ｂとに延びるラッチアーム本体２２１と、そのラッチアーム本体２２１の中間において突き出たラッチ突起２２２を備えている。

このコネクタ１０には、不図示の相手コネクタが矢印Ｚの向きに嵌合する。その嵌合の途中で、ラッチ突起２２２が相手コネクタのハウジングに押される。すると、このラッチアーム２２は、図２に示す矢印Ｙの向きに弾性変形する。そして、完全嵌合の状態になると、ラッチアーム２２が相手コネクタによる押下から解放されて元の形状に戻る。これにより、ラッチ突起２２２が相手コネクタの被ラッチ部（図示せず）に係止し、相手コネクタが、このコネクタ１０から容易には抜けないようにロックされた状態となる。

ここで、ハウジング本体２１には、一例として、ガラスが混入されていない第１種類の樹脂材料が用いられている。ラッチアーム２２を構成するラッチアーム本体２２１にも、ハウジング本体２１と同じ第１種類の樹脂材料が用いられている。一方、ラッチアーム２２を構成するラッチ突起２２２については、一例として、第１種類の樹脂材料にガラスを混入させることにより第１種類の樹脂材料よりも剛性を高めた第２種類の材料が用いられている。また、このラッチ突起２２２には、ハウジング本体２１およびラッチアーム本体２２１とは一見して区別のつく色の顔料を混入させた材料が使用されていてもよい。なお、ラッチ突起２２２に顔料を混ぜるのではなく、ハウジング本体２１およびラッチアーム本体２２１の材料に顔料を混ぜてもよい。

図３は、図１，図２に示したコネクタを構成するコネクタハウジングの製造工程の概要を示した模式図である。

ここには、コネクタハウジング２０の製造用の金型（図示せず）のキャビティ７０が示されている。このキャビティ７０は、ハウジング本体２１を成形するハウジング本体部７１と、ラッチアーム２２を成形するラッチアーム部７２とを有する。ラッチアーム部７２
は、さらに、ラッチアーム本体２２１を成形するラッチアーム本体部７２１とラッチ突起２２２を成形するラッチ突起部７２２とを有する。そして、この金型は、ハウジング本体部７１とラッチアーム部７２とのそれぞれに繋がり、金型内に材料を注ぎ込む注入口７１ａ，７２ａを有する。ラッチアーム部７２に繋がる注入口７２ａは、ラッチ突起部７２２の先端に設けられている。

また、ここには、２つのシリンダ５１，５２が備えられている。一方のシリンダ５１は、注入口７１ａに繋がっている。そして、シリンダ５１内には、ハウジング本体２１およびラッチアーム本体２２用の材料２１Ａが蓄えられている。また、もう一方のシリンダ５２は、注入口７２ａに繋がっている。そして、そのシリンダ５２内には、ラッチ部２２２用の材料２２Ａが蓄えられている。

そして、バルブ６１，６２を開放するタイミングを調整して、金型のキャビティ７０内に材料２１Ａ，２２Ａを注ぎ込む。すると、キャビティ７０のハウジング本体部７１およびラッチアーム本体部７２１には、ハウジング本体２１およびラッチアーム本体２２１用の材料２１Ａが注ぎ込まれる。また、キャビティ７０のラッチ突起部７２２には、ラッチ突起２２２用の材料２２Ａが注ぎ込まれる。

すると、硬化する前の２種類の材料２１Ａ，２２Ａが接する境界領域には、それら２種類の材料２１Ａ，２２Ａが混合された遷移領域Ｔが形成される。この遷移領域Ｔは、ラッチアーム本体部７２１に深く食い込むほどラッチアーム本体２２１を構成している材料２１Ａの比率が高く、ラッチ突起部７２２側ほどラッチ突起２２２を構成している材料２２Ａの比率が高い領域となる。

ここで、本実施形態の場合、先ずは、２種類の材料２１Ａ，２２Ａがラッチアーム本体部７２１とラッチ突起部７２２との境界で接するように２種類の材料２１Ａ，２２Ａを注ぎ込む。その後、注ぎ込んだ材料２１Ａ，２２Ａの、金型に接する外側の領域が適度に固まった後、材料２２Ａを注ぎ込むシリンダ５２の圧力を上げて材料２２Ａをラッチアーム本体部７２１内に押し込む。すると、ラッチアーム本体部７２１内にほぼ楔形状に、すなわち先細りの形状に食い込んだ遷移領域Ｔが形成される。これにより、２種類の材料２１Ａ，２２Ａを、それら２種類の材料２１Ａ，２２Ａがラッチアーム本体部７２１とラッチ突起部７２２との境界で接するように注いだ場合よりも、面積の広い遷移領域Ｔが形成され、ラッチ部２２２の強度をさらに増すことができる。

このようにして、ラッチアーム本体２２１は、弾性変形に適した材料２１Ａで形成され、ラッチ突起２２２は、剛性の高い材料２２Ａで形成されたコネクタハウジング２０が完成する。しかも、このコネクタハウジング２０は、２色成形で形成したコネクタハウジングとは異なり、材料が連続的に変化している遷移領域Ｔが存在する。このため、ラッチ突起２２２がラッチアーム本体２２１から欠損してしまうという事故が高い信頼性をもって防止される。

ラッチアーム本体２２１とラッチ突起２２２は異なる色を有する。このため、遷移領域Ｔで材料がうまく混合されていることを容易に確認することができる。

なお、ここでは、ガラスの混入の有無で剛性を調整した材料を使用することを例に挙げて説明した。ただし、これは一例であって、ガラスの混入量を変えてもよく、別々な混入物を混入させてもよい。あるいは、樹脂材料そのものを別々な樹脂材料としてもよい。

また、ここでは、相手コネクタのハウジングとラッチするラッチアームを取り上げて説明した。ただし、本発明にいうラッチアームは、相手コネクタのハウジングとラッチする
ラッチアームには限定されない。例えば、本発明にいうラッチアームは、コネクタハウジング内に差し込まれたコンタクトに係止してコンタクトを抜け止めするラッチアーム（コンタクトランス２３（図２参照））であってもよい。

１０ コネクタ
２０ コネクタハウジング
２１ ハウジング本体
２１Ａ ハウジング本体およびラッチアーム本体用の材料（第１材料）
２２ ラッチアーム
２２１ ラッチアーム本体
２２２ ラッチ突起（ラッチ部）
２２Ａ ラッチ突起用の材料（第２材料）

Claims (5)

1. ハウジング本体と、
   第１材料で形成され、前記ハウジング本体から片持ち梁形状に延びて該ハウジング本体に対し弾性変形するラッチアーム本体、および該第１材料よりも剛性の高い第２材料で形成され、該ラッチアーム本体から突き出て被ラッチ部材をラッチするラッチ部とを有するラッチアームとを備え、
   前記第１材料と前記第２材料との遷移領域に、該第１材料と該第２材料との混合比率が連続的に変化している遷移領域を有することを特徴とするコネクタハウジング。
2. 前記第１材料と前記第２材料とが接する遷移領域が該ラッチアーム本体内に食い込んでいることを特徴とする請求項１に記載のコネクタハウジング。
3. 前記遷移領域が前記ラッチアーム本体内に先細りの形状に食い込んでいることを特徴とする請求項２に記載のコネクタハウジング。
4. 前記ラッチアームが、当該コネクタハウジングと嵌合する相手ハウジングとラッチするラッチアームであることを特徴とする請求項１から３のうちのいずれか１項に記載のコネクタハウジング。
5. 前記第１材料と前記第２材料は、互いに色が異なる材料であることを特徴とする請求項１から４のうちのいずれか１項に記載のコネクタハウジング。
   

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