以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
[ショベルの概要]
まず、図1を参照して、本実施形態に係るショベル100の概要について説明をする。
図1は、本実施形態に係るショベル100の一例を示す側面図である。
図1に示すように、本実施形態に係るショベル100は、下部走行体1と、旋回機構2を介して旋回自在に下部走行体1に搭載される上部旋回体3と、アタッチメントを構成するブーム4、アーム5、及びバケット6と、オペレータが搭乗するキャビン10を備える。以下、ショベル100の前方は、ショベル100を上部旋回体3の旋回軸に沿って真上から平面視(以下、単に「平面視」と称する)で見たときに、上部旋回体3に対するアタッチメントの延出方向に対応する。また、ショベル100の左方及び右方は、それぞれ、キャビン10内のオペレータから見た左方及び右方に対応する。
下部走行体1は、例えば、左右一対のクローラ1C、即ち、左側のクローラ1CL及び右側のクローラ1CR(図4参照)を含む。下部走行体1は、それぞれのクローラ1C(クローラ1CL,1CR)が走行油圧モータ1M、即ち、左側の走行油圧モータ1ML及び右側の走行油圧モータ1MR(図2参照)で油圧駆動されることにより、ショベル100を走行させる。
上部旋回体3は、旋回機構2が旋回油圧モータ2Aで油圧駆動されることにより、下部走行体1に対して旋回する。
ブーム4は、上部旋回体3の前部中央に俯仰可能に枢着され、ブーム4の先端には、アーム5が上下回動可能に枢着され、アーム5の先端には、バケット6が上下回動可能に枢着される。
バケット6は、エンドアタッチメントの一例であり、ショベル100の作業内容に応じて、適宜交換可能な態様で、アーム5の先端に取り付けられている。つまり、アーム5の先端には、バケット6に代えて、バケット6とは異なる種類のバケット、例えば、相対的に大きい大型バケット、法面用バケット、浚渫用バケット等が取り付けられてもよい。また、アーム5の先端には、バケット以外の種類のエンドアタッチメント、例えば、攪拌機、ブレーカ、クラッシャー等が取り付けられてもよい。
ブーム4、アーム5、及びバケット6は、それぞれ、油圧アクチュエータとしてのブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9により油圧駆動される。
キャビン10は、オペレータが搭乗する操縦室であり、上部旋回体3の前部左側に搭載される。
[ショベルの構成]
次に、図1に加えて、図2(図2A、図2B)を参照して、ショベル100の具体的な構成について説明する。
図2A、図2Bは、本実施形態に係るショベル100の構成の一例及び他の例を示すブロック図である。
尚、図中において、機械的動力ラインは二重線、高圧油圧ラインは実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御ラインは点線でそれぞれ示される。
<ショベルの油圧駆動系>
本実施形態に係るショベル100の油圧駆動系は、上述の如く、下部走行体1(左右のクローラ1C)、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、バケット6のそれぞれを油圧駆動する走行油圧モータ1M(1ML,1MR)、旋回油圧モータ2A、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等の油圧アクチュエータを含む。また、本実施形態に係るショベル100の油圧駆動系は、エンジン11と、レギュレータ13と、メインポンプ14と、コントロールバルブ17を含む。
エンジン11は、油圧駆動系におけるメイン動力源であり、例えば、軽油を燃料とするディーゼルエンジンである。エンジン11は、例えば、上部旋回体3の後部に搭載され、後述するコントローラ30による直接或いは間接的な制御下で、予め設定される目標回転数で一定回転し、メインポンプ14及びパイロットポンプ15を駆動する。
レギュレータ13は、コントローラ30の制御下で、メインポンプ14の吐出量を制御(調節)する。例えば、レギュレータ13は、コントローラ30からの制御指令に応じて、メインポンプ14の斜板の角度(以下、「傾転角」)を調節する。
メインポンプ14は、例えば、エンジン11と同様、上部旋回体3の後部に搭載され、高圧油圧ラインを通じてコントロールバルブ17に作動油を供給する。メインポンプ14は、上述の如く、エンジン11により駆動される。メインポンプ14は、例えば、可変容量式油圧ポンプであり、上述の如く、コントローラ30の制御下で、レギュレータ13により斜板の傾転角が調節されることによりピストンのストローク長が調整され、吐出流量(吐出圧)が制御される。
コントロールバルブ17は、例えば、上部旋回体3の中央部に搭載され、メインポンプ14から油圧アクチュエータのそれぞれに供給される作動油の流量と流れる方向を制御する複数の制御弁(方向切換弁とも称する)を含む。
コントロールバルブ17は、オペレータの操作装置26に対する操作内容(例えば、操作量及び操作方向等)に応じて、油圧アクチュエータの制御を行う。具体的には、コントロールバルブ17は、高圧油圧ラインを介してメインポンプ14と接続され、メインポンプ14から供給される作動油を、操作装置26の操作状態(操作内容)に応じて、油圧アクチュエータ(即ち、走行油圧モータ1ML,1MR、旋回油圧モータ2A、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等)に選択的に供給する。
また、コントロールバルブ17は、コントローラ30から出力される、ショベル100の自動動作に対応する制御指令(以下、「自動制御指令」)に応じて、油圧アクチュエータの制御を行う。具体的には、コントロールバルブ17は、メインポンプ14から供給される作動油を、コントローラ30から出力される自動制御指令に応じて、油圧アクチュエータに選択的に供給する。
また、ショベル100(の油圧アクチュエータ)は、遠隔操作されてもよい。この場合、コントロールバルブ17は、ショベル100に搭載される通信装置(例えば、移動体通信モジュール等)を通じて外部装置から受信される、ショベル100のアクチュエータ(油圧アクチュエータ)の操作に関する信号(以下、「遠隔操作信号」)に応じて、油圧駆動系の制御を行う。遠隔操作信号には、操作対象のアクチュエータや、操作対象のアクチュエータに関する遠隔操作の内容(例えば、操作方向及び操作量等)が規定される。具体的には、コントロールバルブ17は、メインポンプ14から供給される作動油を、遠隔操作信号に規定される遠隔操作の内容に応じて、油圧アクチュエータに選択的に供給する。
<ショベルの操作系>
本実施形態に係るショベル100の操作系は、パイロットポンプ15と、操作装置26を含む。また、図2Aに示すように、ショベル100の操作系は、操作装置26が油圧パイロット式である場合、シャトル弁32を含む。
パイロットポンプ15は、例えば、エンジン11と同様、上部旋回体3の後部に搭載され、パイロットライン25を介して各種油圧機器にパイロット圧を供給する。パイロットポンプ15は、例えば、固定容量式油圧ポンプであり、上述の如く、エンジン11により駆動される。
操作装置26は、キャビン10の操縦席付近に設けられ、オペレータが各種被駆動体(下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、バケット6等)の操作を行うための操作入力手段である。換言すれば、操作装置26は、オペレータがそれぞれの被駆動体を駆動する油圧アクチュエータ(即ち、走行油圧モータ1ML,1MR、旋回油圧モータ2A、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9等)の操作を行うための操作入力手段である。操作装置26は、例えば、ブーム4(ブームシリンダ7)、アーム5(アームシリンダ8)、バケット6(バケットシリンダ9)、及び上部旋回体3(旋回油圧モータ2A)のそれぞれを操作するレバー装置を含む。また、操作装置26は、例えば、下部走行体1の左右のクローラ1CL,1CR(走行油圧モータ1ML,1MR)のそれぞれを操作するペダル装置或いはレバー装置を含む。
例えば、図2Aに示すように、操作装置26は、油圧パイロット式である。具体的には、操作装置26は、パイロットライン25及びパイロットライン25から分岐されるパイロットライン25Aを通じてパイロットポンプ15から供給される作動油を利用して、その操作内容に応じたパイロット圧をその二次側のパイロットライン27に出力する。パイロットライン27は、シャトル弁32を介してコントロールバルブ17に接続される。これにより、コントロールバルブ17には、操作装置26における各種被駆動体(即ち、これらを駆動する油圧アクチュエータ)に関する操作内容に応じたパイロット圧が、シャトル弁32を介して、入力されうる。そのため、コントロールバルブ17は、操作装置26の操作内容に応じたそれぞれの油圧アクチュエータの動作を実現することができる。
また、例えば、図2Bに示すように、操作装置26は、電気式である。具体的には、操作装置26は、操作内容に応じた電気信号を出力し、当該電気信号は、コントローラ30に取り込まれる。そして、コントローラ30は、当該電気信号の内容、つまり、操作装置26に対する操作内容に応じた制御指令(以下、自動制御指令と区別し、「操作制御指令」)を油圧制御弁31に出力する。これにより、油圧制御弁31からコントロールバルブ17に操作装置26に対する操作内容に応じたパイロット圧が入力される。そのため、コントロールバルブ17は、操作装置26に対する操作内容に応じたそれぞれの油圧アクチュエータの動作を実現することができる。
また、ショベル100(の油圧アクチュエータ)は、上述の如く、遠隔操作されてもよい。この場合、コントローラ30は、遠隔操作信号で規定される遠隔操作の内容に対応する制御指令(以下、「遠隔操作制御指令」)を油圧制御弁31に出力する。これにより、油圧制御弁31からコントロールバルブ17に遠隔操作信号に規定される遠隔操作の内容に応じたパイロット圧が入力される。そのため、コントロールバルブ17は、遠隔操作信号で規定される遠隔操作の内容に応じた油圧アクチュエータの動作を実現することができる。
尚、コントロールバルブ17に内蔵される制御弁(方向切換弁)は、油圧駆動式でなく、電気駆動式(例えば、電磁ソレノイド式)であってもよい。この場合、操作装置26から出力される電気信号が直接的にコントロールバルブ17、つまり、電気駆動式の制御弁に入力される態様であってもよい。
図2Aに示すように、シャトル弁32は、2つの入口ポートと1つの出口ポートを有し、2つの入口ポートに入力されたパイロット圧のうちの高い方のパイロット圧を有する作動油を出口ポートに出力させる。シャトル弁32は、操作装置26の操作対象の被駆動体(クローラ1CL、クローラ1CR、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6)ごとに設けられる。シャトル弁32の2つの入口ポートのうちの一方が操作装置26(具体的には、操作装置26に含まれる上述のレバー装置或いはペダル装置)に接続され、他方が油圧制御弁31に接続される。シャトル弁32の出口ポートは、パイロットラインを通じて、コントロールバルブ17の対応する制御弁(具体的には、シャトル弁32の一方の入口ポートに接続される上述のレバー装置或いはペダル装置の操作対象である油圧アクチュエータに対応する制御弁)のパイロットポートに接続される。そのため、これらのシャトル弁32は、それぞれ、操作装置26が生成するパイロット圧と油圧制御弁31が生成するパイロット圧のうちの高い方を、対応する制御弁のパイロットポートに作用させることができる。つまり、後述するコントローラ30は、操作装置26から出力される二次側のパイロット圧よりも高いパイロット圧を油圧制御弁31から出力させることで、オペレータの操作装置26に対する操作に依らず、対応する制御弁を制御することができる。よって、コントローラ30は、オペレータの操作装置26に対する操作状態に依らず、被駆動体(下部走行体1、上部旋回体3、アタッチメント)の動作を自動制御することができる。
<ショベルの制御系>
本実施形態に係るショベル100の制御系は、コントローラ30と、自動制御装置30Eと、油圧制御弁31と、撮像装置40と、表示装置50と、入力装置52を含む。また、図2Aに示すように、本実施形態に係るショベル100の制御系は、操作装置26が油圧パイロット式である場合、操作圧センサ29を含む。
コントローラ30は、ショベル100に関する各種の制御を行う。コントローラ30は、その機能が任意のハードウェア、或いは、任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせにより実現されてよい。例えば、コントローラ30は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)等のメモリ装置と、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性の補助記憶装置と、インターフェース装置等を含むマイクロコンピュータを中心に構成される。コントローラ30は、例えば、補助記憶装置にインストールされる一以上のプログラムをCPU上で実行することにより各種機能を実現する。
具体的には、コントローラ30は、自動制御装置30Eの演算結果、具体的には、油圧アクチュエータの駆動指令に基づき、油圧制御弁31を制御し(具体的には、油圧制御弁31に自動制御指令を出力し)、オペレータの操作に依らず、ショベル100を動作させてよい。
尚、コントローラ30の機能の一部は、他のコントローラ(制御装置)により実現されてもよい。即ち、コントローラ30の機能は、複数のコントローラにより分散して実現される態様であってもよい。例えば、油圧制御弁31に対する自動制御指令の出力機能は、自動制御装置30Eにより実現されてもよい。つまり、自動制御装置30Eは、自ら生成する駆動指令に対応する自動制御指令を、直接、油圧制御弁31に出力することにより、ショベル100を自動で動作させてもよい。
自動制御装置30E(制御装置の一例)は、コントローラ30の制御下で、油圧アクチュエータを自動で動作させる動作計画を決定し、動作計画に基づき、油圧アクチュエータを自動で動作させるための動作指令を生成する。自動制御装置30Eは、任意のハードウェア、或いは、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせにより実現されてよい。例えば、自動制御装置30Eは、CPUの他、GPU(Graphical Processing Unit),ASIC(Application Specific Integrated Circuit),FPGA(Field-Programmable Gate Array)等を含み、高速演算処理を実現する。
具体的には、自動制御装置30Eは、撮像装置40の出力(即ち、撮像画像)に基づき、ショベル100(自機)の周囲の状況を認識すると共に、ショベル100の各種状態(例えば、上部旋回体3に対するクローラ1Cの向きやアタッチメントの姿勢状態等)を認識する。そして、自動制御装置30Eは、認識したショベル100の周囲の状況やショベル100の各種状態に基づき、自動でショベル100を動作させるための油圧アクチュエータの駆動指令を演算し生成する。
尚、自動制御装置30Eの機能は、コントローラ30に組み込まれてもよい。また、ショベル100には、撮像装置40の他に、ショベル100の状態を検出するセンサが更に設けられてもよい。例えば、ショベル100には、自機の絶対位置を測位可能な測位装置(例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)センサ)や、上部旋回体やアタッチメントの姿勢状態を検出可能な姿勢センサ(例えば、角度センサ、加速度センサ、角速度センサ、六軸センサ、IMU(Inertial Measurement Unit)等)が含まれてもよい。
油圧制御弁31は、操作装置26の操作対象の被駆動体(左右のクローラ1C、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6)ごとに設けられ、パイロットポンプ15の作動油を用いて、コントローラ30の制御指令に応じたパイロット圧を出力する。油圧制御弁31は、例えば、電磁比例弁である。油圧制御弁31は、パイロットポンプ15とコントロールバルブ17との間のパイロットライン25(図2Aの場合、パイロットライン25から分岐するパイロットライン25B)に設けられ、その流路面積(即ち、作動油が通流可能な断面積)を変更可能に構成される。これにより、油圧制御弁31は、パイロットライン25(パイロットライン25B)を通じて供給されるパイロットポンプ15の作動油を利用して、所定のパイロット圧を二次側に出力することができる。そのため、油圧制御弁31は、図2Aに示すように、シャトル弁32を介して、或いは、図2Bに示すように、直接的に、コントローラ30からの制御指令に応じた所定のパイロット圧をコントロールバルブ17に作用させることができる。つまり、コントローラ30は、電気式の操作装置26からの電気信号に応じた操作制御指令を油圧制御弁31に出力することで、油圧制御弁31から操作装置26の操作内容に応じたパイロット圧をコントロールバルブ17に供給させ、オペレータの操作に基づくショベルの動作を実現することができる。また、コントローラ30は、遠隔操作信号に応じた遠隔操作制御指令を油圧制御弁31に出力することで、油圧制御弁31から操作装置26の操作内容に応じたパイロット圧をコントロールバルブ17に供給させ、オペレータの操作に基づくショベルの動作を実現することができる。また、コントローラ30は、オペレータにより操作装置26が操作されていない場合であっても、自動制御指令を油圧制御弁31に出力することで、油圧制御弁31から所定のパイロット圧をコントロールバルブ17に供給させ、ショベル100の自動化を実現することができる。
尚、コントロールバルブ17に内蔵される制御弁(方向切換弁)は、上述の如く、油圧駆動式でなく、電気駆動式であってもよい。この場合、油圧制御弁31は、省略され、コントローラ30から出力される自動制御指令や遠隔操作制御指令は、直接的にコントロールバルブ17に、つまり、電気駆動式の制御弁に入力される。
撮像装置40(取得装置の一例)は、ショベル100の周囲の三次元空間の状況に関する情報、具体的には、ショベル100の周囲を撮像し、その様子を表す画像情報(以下、「撮像画像」)を取得する。撮像装置40は、例えば、単眼カメラ、ステレオカメラ、デプスカメラ等を含みうる。撮像装置40は、キャビン10の上面前端に取り付けられ、上部旋回体3の前方の様子を表す撮像画像を取得する。これにより、自動制御装置30Eは、撮像装置40の撮像画像に基づき、ショベル100の前方の状況を認識することができる。また、自動制御装置30Eは、撮像装置40の撮像画像から認識される物体の位置の変化等に基づき、ショベル100の位置や上部旋回体3の旋回状態等を把握することができる。また、撮像装置40の撮像範囲には、ブーム4、アーム5、及びバケット6、つまり、アタッチメントが含まれる。これにより、自動制御装置30Eは、撮像装置40の撮像画像に基づき、アタッチメントの姿勢状態を認識することができる。
尚、撮像装置40の代わりに、ショベル100には、ショベル100(上部旋回体3)の後方、左側方、及び右側方のうちの少なくとも一つの方向の様子を撮像可能な撮像装置が設けられてもよい。また、撮像装置40に代えて、或いは、加えて、ショベル100の周囲の三次元空間の状況に関する情報を取得可能な他の装置(センサ)、例えば、超音波センサ、ミリ波レーダ、LIDAR(Light Detection and Ranging)、距離画像センサ、赤外線センサ等がショベル100に搭載されてもよい。
表示装置50は、キャビン10内の着座したオペレータから視認し易い場所に設けられ、各種情報画像を表示する。表示装置50は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイである。
入力装置52は、キャビン10内の着座したオペレータから手が届く範囲に設けられ、オペレータによる各種操作入力を受け付け、操作入力に対応する信号は、コントローラ30に取り込まれる。例えば、入力装置52は、表示装置50に実装されるタッチパネル、表示装置50の周囲に設置されるタッチパッド、ボタンスイッチ、レバー、トグル、操作装置26に設けられるノブスイッチ等のハードウェアによる入力手段を含む。また、入力装置52は、表示装置50に表示される各種操作画面に表示される仮想的な操作対象(例えば、操作アイコン)等のハードウェアの入力手段によって操作可能なソフトウェアの入力手段を含んでもよい。入力装置52に対する操作内容に対応する信号は、コントローラ30に取り込まれる。
入力装置52は、自動泥落としスイッチ52aを含む。
自動泥落としスイッチ52aは、ショベル100に自動で下部走行体1(クローラ1C)やアタッチメント(バケット6)の泥落としを行わせるために用いられる操作部である。コントローラ30は、自動泥落としスイッチ52aがON操作されると、自動制御装置30Eの演算結果(油圧アクチュエータの駆動指令)に基づき、油圧制御弁31に自動制御指令を出力し、ショベル100に自動でクローラ1Cやバケット6の泥落とし作業(以下、「自動泥落とし作業」)を行わせる。詳細は、後述する(図3A、図3B参照)。
図2Aに示すように、操作圧センサ29は、操作装置26の二次側(パイロットライン27)のパイロット圧、即ち、操作装置26におけるそれぞれの被駆動体(即ち、これらを駆動する油圧アクチュエータ)の操作状態に対応するパイロット圧を検出する。操作圧センサ29による操作装置26における下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等に関する操作状態に対応するパイロット圧の検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
[クローラ及びバケットの自動泥落とし作業]
次に、図3(図3A、図3B)~図5を参照して、本実施形態に係るショベル100によるクローラ1C及びバケット6の自動泥落とし作業について説明する。
図3A、図3Bは、ショベル100によるクローラ1C及びバケット6の自動泥落とし作業に関する自動制御装置30Eの制御処理の一例を概略的に示すフローチャートである。図4は、クローラ1Cの自動泥落とし作業の一例を説明する図である。具体的には、図4の作業状況410は、左側のクローラ1CLの自動泥落とし作業を示し、図4の作業状況420は、右側のクローラ1CRの自動泥落とし作業を示している。図5は、バケット6の自動泥落とし作業の一例を説明する図である。
図3A、図3Bのフローチャートは、例えば、自動泥落としスイッチ52aがON操作される場合に実行開始されてよい。
また、図3A、図3Bのフローチャートは、予め設定された予約の内容(即ち、自動泥落としの実行条件)に従い、実行されてもよい。つまり、図3A、図3Bのフローチャートの処理の実行は、入力装置52や表示装置50に表示される所定の操作画面等を通じて、オペレータ等のユーザが予約の設定を可能であってもよい。予約で設定される実行条件は、例えば、特定の日時や特定の周期で規定される日時(例えば、稼働日ごとの特定の時刻等)の日時に関する条件であってよい。また、予約で設定される実行条件は、例えば、ショベル100の稼働日における一時的な運転停止のタイミング(例えば、昼休み時間帯でのショベル100の運転停止時等)や稼働日における最終的な運転停止のタイミング(例えば、施工現場の作業終了時刻以降でのショベル100の運転停止時)等のショベル100の稼働状況(作業状況)に関する条件であってもよい。この場合、自動制御装置30Eは、例えば、キースイッチがOFFされている場合、自動でキースイッチをONにする共に、撮像装置40の撮像画像に基づき、周囲の安全を確認した上で、本フローチャートの処理を実行し、ショベル100に自動泥落とし作業を実行させてよい。
また、図3A、図3Bのフローチャートは、例えば、自動制御装置30Eによって、泥落としが必要であると判断される場合に、ショベル100の運転停止(即ち、キースイッチのOFF)のタイミングに合わせて実行されてもよい。自動制御装置30Eは、例えば、撮像装置40の撮像画像に含まれるクローラ1Cやバケット6(共に、泥が付着しうる部位の一例)の画像に基づき、クローラ1Cやバケット6の泥の付着具合を認識し、泥落としの要否を判断してよい。具体的には、自動制御装置30Eは、クローラ1Cやバケット6の画像に基づき、クローラ1Cやバケット6付着している泥の表面積や体積等を認識する。そして、自動制御装置30Eは、クローラ1Cやバケット6付着している泥の面積や体積が所定閾値以上である場合に、泥落としが必要であると判断してよい。また、自動制御装置30Eは、例えば、バケット6が空中にある状態で操作されているときのバケットシリンダ9(アクチュエータの一例)のシリンダ圧の測定値に基づき、バケットシリンダ9の負荷状態を認識し、バケット6(被駆動体の一例)に付着している泥の重量を推定してもよい。バケットシリンダ9のシリンダ圧は、バケットシリンダ9の負荷状態に対応し、バケットシリンダ9に設けられる油圧センサ(センサの一例)により感知(検出)されると共に、当該油圧センサの出力は、自動制御装置30Eに取り込まれてよい。そして、自動制御装置30Eは、泥の重量の推定値が所定閾値以上である場合に、バケット6の泥落としが必要であると判断してもよい。
図3Aに示すように、ステップS102にて、自動制御装置30Eは、旋回油圧モータ2Aの駆動指令を生成し、クローラ1Cの進行方向(前後方向)を基準として、アタッチメントが上面視で右或いは左に向くように上部旋回体3を旋回させる。具体的には、自動制御装置30Eは、撮像装置40の撮像画像に基づき、クローラ1C(クローラ1CL,1CR)に対する上部旋回体3の向きを認識しながら、上部旋回体3を旋回させる。以下、ステップS114の場合についても同様である。そして、自動制御装置30Eは、ステップS102の処理が完了すると、ステップS104に進む。
例えば、図4の作業状況410では、ショベル100は、自動制御装置30Eの制御下で、クローラ1Cの前後方向を基準としてアタッチメントが上面視で左に向くように、上部旋回体3を旋回させる(旋回動作SW1)。これにより、アタッチメントは、左側のクローラ1CLからその外側に延出する形になる。
図3Aに戻り、ステップS104にて、自動制御装置30Eは、ブームシリンダ7及びバケットシリンダ9等の駆動指令を生成し、バケット6をある程度閉じた姿勢状態で、ブーム4に下げ動作を行わせる。これにより、自動制御装置30Eは、バケット6の背面を接地させると共に、ブーム4の下げ動作の継続に伴い、一方のクローラ1Cを浮き上がらせる。つまり、自動制御装置30Eは、アタッチメントの先端(バケット6)を地面に当接させながら、その基端(即ち、ブーム4の基端)で上部旋回体3を持ち上げるように、アタッチメントを動作させる。そして、自動制御装置30Eは、ステップS104の処理が完了すると、ステップS106に進む。
例えば、図4の作業状況410では、ショベル100は、自動制御装置30Eの制御下において、バケット6をある程度閉じた姿勢状態でブーム4の下げ動作を継続させる。これにより、ショベル100は、バケット6の背面を地面に当接させると共に、ブーム4の基端で上部旋回体3を持ち上げ、左側のクローラ1CLを浮き上がらせることができる(ジャッキアップ動作JU1)。
図3Aに戻り、ステップS106にて、自動制御装置30Eは、浮き上がった一方のクローラ1Cを駆動する走行油圧モータ1Mの駆動指令を生成し、当該クローラ1Cの泥落とし動作を行わせる。具体的には、自動制御装置30Eは、浮き上がった一方のクローラ1Cを空転させることにより、当該クローラ1Cの泥落としを行う。そして、自動制御装置30Eは、ステップS106の処理を継続させつつ、ステップS108に進む。
例えば、図4の作業状況410では、ショベル100は、自動制御装置30Eの制御下で、浮き上がった左側のクローラ1CLを空転させている(空転動作RT1)。これにより、ショベル100は、自動で、左側のクローラ1CLの泥落としを行うことができる。
自動制御装置30Eは、浮き上がったクローラ1Cの泥落としを行う場合、一定の方向に一定の空転速度でクローラ1Cを空転させてよい。また、自動制御装置30Eは、空転速度を可変させながら、クローラ1Cを空転させてもよい。これにより、クローラ1Cのシューの移動速度が適宜加減速されることにより、付着している泥が脱落し易くなる。また、自動制御装置30Eは、空転方向を可変させながら、つまり、クローラ1Cの空転方向を適宜逆転させながら、クローラ1Cを空転させてもよい。これにより、クローラ1Cのシューの移動方向が適宜逆転されることに伴うシューの動作の加減速やシューに生じる衝撃等より、付着している泥が脱落し易くなる。また、自動制御装置30Eは、撮像装置40の撮像画像に基づき、泥の付着状況(例えば、クローラ1Cに付着している泥の表面積や体積等)をモニタリングしながら、クローラ1Cの空転を行う。そして、自動制御装置30Eは、例えば、クローラ1Cに付着している泥の面積や体積の変化に基づき、泥が落ちにくい状態であると判断する場合に、クローラ1Cの空転速度及び空転方向の少なくとも一方を可変させてもよい。また、自動制御装置30Eは、一方のクローラ1Cを駆動する走行油圧モータ1Mの油圧の測定値をモニタリングしながら、クローラ1Cに付着している泥の重量を推定し、泥の重量の推定値の変化に基づき、泥が落ちにくい状態であるか否かを判断してもよい。走行油圧モータ1Mの油圧は、走行油圧モータ1Mの負荷状態に対応し、走行油圧モータ1Mに設けられる油圧センサにより感知(検出)されると共に、油圧センサの出力は、自動制御装置30Eに取り込まれてよい。また、自動制御装置30Eは、浮き上がっているクローラ1Cを含む機体を支えているアタッチメントの油圧シリンダ(例えば、ブームシリンダ7)のシリンダ圧の測定値をモニタリングしながら、クローラ1Cに付着している泥の重量を推定してもよい。以下、他方のクローラ1C(ステップS118)の場合についても同様である。
図3Aに戻り、ステップS108にて、自動制御装置30Eは、浮き上がっている一方のクローラ1Cの泥落としが完了したか否かを判定する。
例えば、自動制御装置30Eは、入力装置52を通じて、浮き上がっているクローラ1Cの泥落としの終了を表す操作がされた場合に、一方のクローラ1Cの泥落としが終了したと判定してよい。また、自動制御装置30Eは、泥落とし動作の開始から所定時間が経過した場合に、浮き上がっているクローラ1Cの泥落としが終了したと判定してもよい。また、例えば、自動制御装置30Eは、撮像装置40の撮像画像に基づき、泥の付着状況(例えば、クローラ1Cに付着している泥の面積や体積等)を認識することにより、泥落としが完了したか否かを判定してもよい。また、例えば、自動制御装置30Eは、一方のクローラ1Cを駆動する走行油圧モータ1Mの油圧の測定値をモニタリングしながら、クローラ1Cに付着している泥の重量を推定し、泥の重量の推定値に基づき、泥落としが完了したか否かを判定してもよい。この場合、自動制御装置30Eは、一方のクローラ1Cを含む機体を支えているアタッチメントの油圧シリンダ(例えば、ブームシリンダ7)のシリンダ圧の測定値をモニタリングしながら、クローラ1Cに付着している泥の重量を推定してもよい。ブームシリンダ7のシリンダ圧は、ブームシリンダ7の負荷状態に対応し、ブームシリンダ7に設けられる油圧センサにより感知(検出)され、当該油圧センサの出力は、自動制御装置30Eに取り込まれてよい。以下、他方のクローラ1C(ステップS120)の場合についても同様である。
自動制御装置30Eは、浮き上がっている一方のクローラ1Cの泥落としが完了した場合、ステップS110に進み、当該クローラ1Cの泥落としが完了していない場合、完了するまで待機する(即ち、ステップS108の判定処理を繰り返し行う)。
ステップS110にて、自動制御装置30Eは、浮き上がっている一方のクローラ1Cを駆動する走行油圧モータ1Mの駆動指令を生成し、当該クローラ1Cの空転動作を停止させ、ステップS112に進む。
ステップS112にて、自動制御装置30Eは、ブームシリンダ7の駆動指令を生成し、ブーム4の上げ動作を行わせることにより、ショベル100のジャッキアップ状態(即ち、一方のクローラ1Cが浮き上がった状態)を解除し、ステップS114に進む。
ステップS114にて、自動制御装置30Eは、旋回油圧モータ2Aの駆動指令を生成し、クローラ1Cの前後方向を基準として、アタッチメントが上面視で反対向き(例えば、ステップS102で左向きの場合、右向き)になるように、上部旋回体3を旋回させる。そして、自動制御装置30Eは、ステップS114の処理が完了すると、ステップS116に進む。
例えば、図4の作業状況420では、ショベル100は、自動制御装置30Eの制御下で、クローラ1Cの前後方向を基準としてアタッチメントが上面視で右に向くように、上部旋回体3を旋回させる(旋回動作SW2)。これにより、アタッチメントは、右側のクローラ1CRからその外側に延出する形になる。
図3Aに戻り、ステップS116にて、自動制御装置30Eは、ブームシリンダ7及びバケットシリンダ9等の駆動指令を生成し、バケット6をある程度閉じた姿勢状態で、ブーム4に下げ動作を行わせる。これにより、自動制御装置30Eは、バケット6の背面を接地させると共に、ブーム4の下げ動作継続に伴い、他方のクローラ1Cを浮き上がらせる。そして、自動制御装置30Eは、ステップS116の処理が完了すると、ステップS118に進む。
例えば、図4の作業状況420では、ショベル100は、自動制御装置30Eの制御下において、バケット6をある程度閉じた姿勢状態でブーム4の下げ動作を継続させる。これにより、ショベル100は、バケット6の背面を地面に当接させると共に、ブーム4の基端で上部旋回体3を持ち上げ、右側のクローラ1CRを浮き上がらせることができる(ジャッキアップ動作JU2)。
ステップS118にて、自動制御装置30Eは、浮き上がった反対(他方)のクローラ1Cを駆動する走行油圧モータ1Mの駆動指令を生成し、当該クローラ1Cの泥落とし動作を行わせる。具体的には、自動制御装置30Eは、浮き上がった他方のクローラ1Cを空転させることにより、当該クローラ1Cの泥落としを行う。そして、自動制御装置30Eは、ステップS118の処理を継続させつつ、ステップS120に進む。
例えば、図4の作業状況420では、ショベル100は、自動制御装置30Eの制御下で、浮き上がった右側のクローラ1CRを空転させている(空転動作RT2)。これにより、ショベル100は、自動で、右側のクローラ1CRの泥落としを行うことができる。
図3Aに戻り、ステップS120にて、自動制御装置30Eは、浮き上がっている他方のクローラ1Cの泥落としが完了したか否かを判定する。自動制御装置30Eは、浮き上がっている他方のクローラ1Cの泥落としが完了した場合、ステップS122に進み、当該クローラ1Cの泥落としが完了していない場合、完了するまで待機する(即ち、ステップS120の判定処理を繰り返し行う)。
ステップS122にて、自動制御装置30Eは、浮き上がっている他方のクローラ1Cを駆動する走行油圧モータ1Mの駆動指令を生成し、当該クローラ1Cの空転動作を停止させ、ステップS124に進む。
ステップS124にて、自動制御装置30Eは、ブームシリンダ7の駆動指令を生成し、ブーム4の上げ動作を行わせることにより、ショベル100のジャッキアップ状態(即ち、他方のクローラ1Cが浮き上がった状態)を解除し、ステップS126に進む。
ステップS126にて、自動制御装置30Eは、ブームシリンダ7の駆動指令を生成し、ブーム4の上げ動作を行わせる。また、自動制御装置30Eは、ブームシリンダ7に加えて、アームシリンダ8の駆動指令を生成し、ブーム4の上げ動作に加えて、アーム5の閉じ動作を行わせてもよい。これにより、自動制御装置30Eは、バケット6をある程度高い位置に持ち上げることができる。自動制御装置30Eは、ステップS126の処理によりバケット6を相対的に高い位置に持ち上げると、ステップS128に進む。
例えば、図5の作業状況510では、ショベル100は、自動制御装置30Eの制御下で、ブーム4を上げることにより、バケット6の位置を相対的に高い位置に持ち上げている(ブーム上げ動作BU)。
ステップS128にて、自動制御装置30Eは、アタッチメントの駆動指令を生成し、バケット6を動作させたり、バケット6に相対的に軽い衝撃を与えたりする態様で、バケット6の泥落とし動作を行う。そして、自動制御装置30Eは、ステップS128の処理を継続させつつ、ステップS130に進む。
例えば、図5の作業状況510では、ショベル100は、自動制御装置30Eの制御下で、バケット6の開閉動作を相対的に高い速度で繰り返している(バケット開閉動作BOC)。これにより、バケット6の開き動作と閉じ動作との切り替えに伴うバケット6の加減速やバケット6に生じる衝撃でバケット6の泥が脱落し易くなる。
また、自動制御装置30Eは、バケット6の開閉動作の繰り返しに代えて、或いは、加えて、バケット6を相対的に高い速度で開き方向及び閉じ方向の少なくとも一方のストロークエンドまで回動させる動作を繰り返し行わせてもよい。これにより、バケット6をストロークエンドまで回動させたときの衝撃で、バケット6の泥が脱落し易くなる。
また、自動制御装置30Eは、バケット6の開閉動作やバケット6を相対的に高い速度でストロークエンドまで回動させる動作に代えて、或いは、加えて、バケット6の所定部位(例えば、爪先や背面)で地面を叩く動作を繰り返し行わせてもよい。これにより、バケット6が地面を叩くときの衝撃で、バケット6の泥が脱落し易くなる。この場合、自動制御装置30Eは、バケット6が地面を叩くときの移動速度を相対的に低い速度に抑制する。バケット6自体が損傷してしまう事態を防止するためである。
また、自動制御装置30Eは、撮像装置40の撮像画像に基づき、泥の付着状況(例えば、バケット6に付着している泥の表面積や体積等)をモニタリングしながら、上述の何れかの方法でバケット6の泥落としを行う。そして、自動制御装置30Eは、例えば、バケット6に付着している泥の面積や体積の変化に基づき、泥が落ちにくい状態であると判断する場合に、バケット6の泥落としの方法を他の方法に切り替えてもよい。また、自動制御装置30Eは、バケット6を駆動するバケットシリンダ9のシリンダ圧の測定値をモニタリングしながら、バケット6に付着している泥の重量を推定し、泥の重量の推定値の変化に基づき、泥が落ちにくい状態であるか否かを判断してもよい。
図3Aに戻り、ステップS130にて、自動制御装置30Eは、バケット6の泥落としが完了したか否かを判定する。
例えば、自動制御装置30Eは、入力装置52を通じて、バケット6の泥落としの終了を表す操作がされた場合に、バケット6の泥落としが終了したと判定してよい。また、例えば、自動制御装置30Eは、撮像装置40の撮像画像に基づき、泥の付着状況(例えば、バケット6に付着している泥の面積や体積等)を認識することにより、泥落としが完了したか否かを判定してもよい。また、例えば、自動制御装置30Eは、バケット6を駆動するバケットシリンダ9の測定値をモニタリングしながら、バケット6に付着している泥の重量を推定し、泥の重量の推定値に基づき、泥落としが完了したか否かを判定してもよい。
自動制御装置30Eは、バケット6の泥落としが完了した場合、ステップS132に進み、当該バケット6の泥落としが完了していない場合、完了するまで待機する(即ち、ステップS130の判定処理を繰り返し行う)。
ステップS132にて、自動制御装置30Eは、アタッチメントの駆動指令を生成し、バケット6の泥落とし動作を停止させて、今回の処理を終了する。
このように、本例では、ショベル100は、泥が付着しうる部位の泥落とし動作を自動で行う。具体的には、ショベル100は、アタッチメントの先端(バケット6)を地面に当接させながら基端で上部旋回体3を持ち上げることにより、一方のクローラ1Cを浮き上がらせ、当該クローラ1Cを空転させることにより、自動で下部走行体1の泥落としを行う。また、ショベル100は、バケット6を回動させたり、バケット6で地面を叩いたりすることにより、自動でバケット6の泥落としを自動で行う。
これにより、下部走行体1(クローラ1C)やアタッチメント(バケット6)等に付着した泥を除去するための労力をより軽減することができる。
尚、下部走行体1(クローラ1C)の泥落としとアタッチメント(バケット6)の泥落としの何れか一方だけが行われてもよい。この場合、ステップS102~S124の処理、及びステップS126~S132の処理の何れか一方だけが実行される。例えば、下部走行体1(クローラ1C)用の自動泥落としスイッチ52aと、アタッチメント(バケット6)用の自動泥落としスイッチ52aとが別に設けられてよい。これにより、オペレータ等のユーザは、下部走行体1(クローラ1C)及びアタッチメント(バケット6)のうちの何れか一方の自動泥落とし作業だけをショベル100に行わせることができる。また、自動制御装置30Eは、下部走行体1及びバケット6のうち、泥落としが必要であると判断した一方の泥落としだけを行い、泥落としが不要であると判断した他方の泥落としを行わないようにしてもよい。これにより、自動制御装置30Eは、不要な泥落とし作業をショベル100に行わせないようにすることができる。
また、左右のクローラ1C(クローラ1CL,1CR)のうちの何れか一方の泥落としだけが行われてもよい。この場合、ステップS102~S124の処理のうちのステップS102~S112及びステップS114~S124の何れか一方だけが行われる。例えば、左側のクローラ1CL用の自動泥落としスイッチ52aと、右側のクローラ1CR用の自動泥落としスイッチ52aとが別に設けられてよい。これにより、オペレータ等のユーザは、左側のクローラ1CL及び右側のクローラ1CRのうちの何れか一方の自動泥落とし作業だけをショベル100に行わせることができる。
以上、本発明を実施するための形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、上述した実施形態では、ショベル100は、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、バケット6等の各種動作要素を全て油圧駆動する構成であったが、その一部が電気駆動される構成であってもよい。つまり、上述した実施形態で開示される構成等は、ハイブリッドショベルや電動ショベル等に適用されてもよい。
また、上述した実施形態及び変形例において、操作装置26は、省略されてもよい。つまり、上述した実施形態及び変形例において、ショベル100は、オペレータの操作を受け付けず、完全自動化されていてもよい。
また、上述した実施形態及び変形例では、ショベル100が泥の付着しうる部位の泥落とし動作を自動で行うが、同様に、他の作業機械が泥の付着しうる部位の泥落とし動作を自動で行ってもよい。例えば、走行体(例えば、車輪やクローラ等)と、走行体に支持される車体と、車体に設けられるアウトリガとを備え、土の地面を走行する作業車両は、アウトリガで車体を持ち上げることができる。そのため、当該作業車両は、走行体を地面から浮き上がらせて、浮き上がった走行体を空転させることにより、泥落とし動作を自動で行うことができる。
また、上述した実施例及び変形例では、ショベル100等の作業機械が自機に付着した泥を自動で落とす泥落とし動作を行うが、泥が付着した作業機械とは別の移動体(例えば、作業車両や移動ロボット等)を用いて、自動で作業機械の泥落としを行わせてもよい。例えば、当該移動体は、空気等の気体や水等の液体を作業機械に放出することにより、作業機械に付着した泥を自動で落としてよい。具体的には、当該移動体は、予め登録される予約の内容や、ユーザの所定操作に応じて、自動でショベル100の周囲までの移動し、駐機中の作業機械の泥落としを自動で行ってよい。また、当該移動体は、作業機械の泥の付着状況に関する情報を取得可能なセンサ(例えば、カメラ、LIDAR等)を搭載し、当該センサの出力に基づき、作業機械の泥落としの要否を判断した上で、泥落としが必要と判断する場合に、自動で泥落としを行ってもよい。また、当該移動体は、当該センサの出力に基づき、作業機械の泥の落ち具合をモニタリングしながら、自動で泥落としを行ってもよい。