〔第1実施形態〕
以下に、本発明に係る発電プラントの水質監視システム、及びその水質監視方法並びに水質監視プログラム、発電プラントの第1実施形態について、図面を参照して説明する。水質監視システムは、水又は蒸気といった流体が循環する水循環系統(例えば、復水系統、給水系統、及び蒸気系統等からなる循環系統や、冷却塔の冷却塔水循環系統など)を有する発電プラントであれば幅広く適用できるものであって、以下に説明するような構成の発電プラントのみに限定されるものではない。
図1は、本発明の第1実施形態に係る水質監視システムを備えた発電プラント1の概略構成を示す図である。発電プラント1は、主としてボイラ70と、高中圧タービン22と低圧タービン3(総称して、タービンと記載)と、復水器2を備えている。なお、本実施形態では、ボイラ70はガスタービン(GT、不図示)から排出されるガスの熱エネルギを蒸気などで回収する排熱回収ボイラを一例に記載しているが、燃料を供給した燃焼バーナにより火炉を形成して高温の燃焼ガスを生成するものでも良く、その他の各種ボイラを含めて限定されるものでない。また発電プラント1の各機器の構成も同様に限定されるものではない。
発電プラント1では、復水器2において、低圧タービン3にて膨張して低圧タービン3を回転駆動させる仕事を終えた蒸気を冷却して水(液相)に戻す(復水)。具体的には、復水器2には、海水が供給される伝熱管が設けられ、低圧タービンより排出された蒸気と、海水との間で熱交換を行うことで、蒸気を冷却し、水に戻して復水としている。なお、例えば、復水処理装置において、復水をイオン交換樹脂に通すことで、復水中の不純物(例えば塩分など)を除去することとしてもよい。
復水は、復水ポンプ4によって圧送され、アンモニア注入ポンプ5によってアンモニアが添加される。復水に対してアンモニアを添加することでpHを調整して揮発性物質処理を行う。そして、復水は、グランド蒸気復水器6へ供給され、復水を用いてグランド蒸気を液相に戻す。なお、グランド蒸気復水器6における復水の流れの下流側と復水器2とを接続するラインに、起動用脱気器7を設けることとしてもよい。起動用とはプラントが起動するときにだけ使う機器のことである。起動用脱気器7は、弁8を開とすることで復水が流通し、グランド蒸気復水器6に対する下流側の復水の中に溶存する酸素や炭酸ガスなどの非凝縮性ガスを除去し、復水器2に供給する。
そして、復水は給水として、弁9を介して低圧節炭器10へ供給される。低圧節炭器10では、ボイラ70出口に近い排ガスを利用して給水を予熱する。なお、低圧節炭器10の下流側から上流側へ給水の一部をポンプ11を介して戻し、排ガスからの熱回収効率を向上させることとしてもよい。
低圧節炭器10において予熱された給水は、低圧ドラム12(低圧ドラム系統)、中圧節炭器15(中圧ドラム系統)、高圧一次節炭器23(高圧ドラム系統)へ分配され供給される。中圧節炭器15(中圧ドラム系統)、高圧一次節炭器23(高圧ドラム系統)への給水の供給にあたっては、給水ポンプ(不図示)が設置され、必要な圧力へと昇圧される。
低圧ドラム系統へ供給された給水(ボイラ水)は、ボイラ70の低圧蒸発管(不図示)にて加熱されて蒸気となり、低圧ドラム12へ供給される。そして、低圧ドラム12において蒸気と水とに分離され、蒸気は低圧過熱器13へ供給され、水は降水管(不図示)を介して低圧蒸発管(不図示)にて再度加熱される。なお、低圧ドラム12では、リン酸注入ポンプ28によってリン酸が添加され、給水のアルカリ処理やリン酸塩処理が行われる。低圧過熱器13に供給された蒸気は、さらに過熱されて過熱蒸気となり、低圧主蒸気止弁14を介して低圧タービン3へ供給される。なお、低圧主蒸気止弁14を開とすることで過熱蒸気が低圧タービン3へ供給され、低圧主蒸気止弁14を閉とすることで過熱蒸気が低圧タービン3への供給を遮断する。低圧主蒸気止弁14において流通する蒸気の流量を制御することとしてもよい。
中圧ドラム系統へ供給された給水(ボイラ水)は、中圧節炭器15において、ボイラ出口に近い排ガスを利用してさらに予熱される。そして、ボイラ70の中圧蒸発管(不図示)にて加熱されて蒸気となり、中圧ドラム16へ供給される。そして、中圧ドラム16において蒸気と水とに分離され、水は降水管(不図示)を介して中圧蒸発管(不図示)にて再度加熱される。なお、中圧ドラム16では、リン酸注入ポンプ28によってリン酸が添加され、給水のアルカリ処理やリン酸塩処理が行われる。中圧ドラム16において分離された蒸気は、中圧過熱器17にて過熱され、高中圧タービン22(高圧部)から排出された蒸気と共に一次再熱器18及び二次再熱器19へ供給されて過熱される。また、中圧ドラム16において分離された蒸気は、GT燃焼器20(ガスタービン燃焼器)へ供給される。二次再熱器19から出力された蒸気及びGT燃焼器20から出力された蒸気は、再熱蒸気止弁29を介して高中圧タービン22(中圧部)へ供給される。なお、再熱蒸気止弁29を開とすることで蒸気が高中圧タービン22(中圧部)へ供給され、再熱蒸気止弁29を閉とすることで蒸気が高中圧タービン22(中圧部)への供給を遮断する。再熱蒸気止弁29において流通する蒸気の流量を制御することとしてもよい。なお、高中圧タービン22と低圧タービン3を総称して説明する場合は、タービンと記載する。
高圧ドラム系統へ供給された給水(ボイラ水)は、高圧一次節炭器23において、ボイラ70出口に近い排ガスを利用してさらに予熱され、高圧二次節炭器24へ供給され、さらに予熱される。そして、ボイラ水は、ボイラ70の高圧蒸発管(不図示)にて加熱されて蒸気となり、高圧ドラム25へ供給される。そして、高圧ドラム25において蒸気と水とに分離され、水は降水管(不図示)を介して高圧蒸発管(不図示)にて再度加熱される。なお、高圧ドラム25では、リン酸注入ポンプ28によってリン酸が添加され、給水のアルカリ処理やリン酸塩処理が行われる。高圧ドラム25において分離された蒸気は、高圧一次過熱器26及び高圧二次過熱器27においてさらに過熱されて過熱蒸気となり、高圧主蒸気止弁21を介して高中圧タービン22(高圧部)へ供給される。なお、高圧主蒸気止弁21を開とすることで過熱蒸気が高中圧タービン22(高圧部)へ供給され、高圧主蒸気止弁21を閉とすることで過熱蒸気が高中圧タービン22(高圧部)への供給を遮断する。高圧主蒸気止弁21において流通する蒸気の流量を制御することとしてもよい。
高中圧タービン22では、供給された過熱蒸気が膨張してタービン翼(不図示)を回転駆動させ、タービン翼の回転軸(不図示)と連動するように接続された電動機(不図示)を回転駆動して発電を行う。高中圧タービン22(高圧部)で仕事を終えた蒸気は、湿り蒸気に近い状態となっているため、一次再熱器18及び二次再熱器19で再熱され、高中圧タービン22(中圧部)へ供給される。
低圧タービン3では、供給された過熱蒸気が膨張してタービン翼(不図示)を回転駆動させ、タービン翼の回転軸(不図示)と連動するように接続された電動機(不図示)を回転駆動して発電を行う。なお、高中圧タービン22のタービン翼の回転軸と低圧タービン3のタービン翼の回転軸とは同軸となっている。高中圧タービン22で仕事を終えた蒸気は、復水器2において冷却されて復水とされ、上記の循環を繰り返す。
次に、本実施形態における発電プラント1に設けられるセンサについて、図1を参照して説明する。発電プラント1には、プロセス流体である水又は蒸気の所定の水質に係るパラメータを計測するための計測器が設けられている。図1に示すように、発電プラント1には、例えばセンサSa1~Sa9が設けられている。なお、以下の説明では、酸電気伝導率をCCと記載し、電気伝導率をECと記載し、溶存酸素をDOと記載し、水素イオン指数をpHと記載し、ヒドラジン濃度をN2H4と記載し、シリカ濃度をSiと記載する。
センサSa1は、復水ポンプ4の出口付近(復水器2の下流側)における復水のCCおよびECを計測する計測器である。なお、センサSa1の配置位置は、復水器2から出力された復水のCC及びECを計測できれば図1に記載の配置位置に限定されない。
センサSa2は、低圧節炭器10の入口付近における復水のCC、EC、DO、pH、及びN2H4を計測する計測器である。なお、センサSa1の配置位置は、給水系統に供給される復水(復水系統から出力された復水)のCC、EC、DO、pH、及びN2H4を計測できれば図1に記載の配置位置に限定されない。
センサSa3は、低圧ドラム12におけるドラム水のEC、pH、Siを計測する計測器である。
センサSa4は、中圧ドラム16におけるドラム水のEC、pH、Siを計測する計測器である。
センサSa5は、高圧ドラム25におけるドラム水のEC、pH、Siを計測する計測器である。
センサSa6は、低圧過熱器13の出口付近における蒸気のCCを計測する計測器である。なお、センサSa6の配置位置は、低圧タービン3に供給される蒸気のCCを計測できれば、図1に記載の配置位置に限定されない。
センサSa7は、GT燃焼器20の入口付近における蒸気のCCを計測する計測器である。なお、センサSa7の配置位置は、GT燃焼器20に供給される蒸気(または中圧ドラム16から出力された蒸気)のCCを計測できれば、図1に記載の配置位置に限定されない。
センサSa8は、二次再熱器19の出口付近における蒸気のCCを計測する計測器である。なお、センサSa8の配置位置は、高中圧タービン22に供給される蒸気のCCを計測できれば、図1に記載の配置位置に限定されない。
センサSa9は、高圧二次過熱器27の出口付近における蒸気のCCを計測する計測器である。なお、なお、センサSa9の配置位置は、高中圧タービン22に供給される蒸気のCCを計測できれば、図1に記載の配置位置に限定されない。
また、発電プラント1には、高圧ドラム仮設CCや発電容量、真空度、補給水量などに対応したセンサも設けられている。高圧ドラム仮設CCとは、高圧ドラムに仮設した酸電気伝導率計の計測値であり、発電容量とは、タービンへの蒸気供給容量に相応したもので、タービンと回転接続する発電機の発電電力量に対応して示すものである。また、真空度とは、復水器における真空度であり、補給水量とは、ボイラ給水に追加する補給水の量である。
なお、発電プラント1におけるセンサにて計測可能なパラメータについては、上記に限らず用いることが可能である。また、センサの配置位置についても図1に記載の位置に限定されない。例えば、流体(水又は蒸気)の酸電気伝導率、流体の電気伝導率、流体の溶存酸素、流体の水素イオン指数、流体のヒドラジン濃度、流体のシリカ濃度、発電容量、真空度、及び補給水量の少なくともいずれか1つを計測するセンサとして発電プラント1に対して任意の位置に設置可能である。
次に、本実施形態における発電プラント1の水質監視装置30(水質監視システム)について、図2を参照して説明する。
水質監視装置30は、発電プラント1において設けたセンサから逐次取得した情報(計測パラメータの状態値)に基づいて、センサを設けることでは逐次計測できない水質に関する情報(計測不可パラメータの状態値)を推定し、推定した情報に基づいて水質診断を行うと共に発電プラント1の制御を実行する。
水質監視装置30は、例えば、図示しないCPU(中央演算装置)、RAM(Random Access Memory)等のメモリ、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体等から構成されている。後述の各種機能を実現するための一連の処理の過程は、プログラムの形式で記録媒体等に記録されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、後述の各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
図2は、水質監視装置30が備える機能を示した機能ブロック図である。図2に示されるように、水質監視装置30は、状態推定部31と、水質診断部32と、運転制御部33とを備えている。
状態推定部31は、発電プラント1におけるセンサから逐次取得した所定の計測パラメータの状態値に基づいて、センサにより計測できない所定の計測不可パラメータの状態値を推定する。計測パラメータとは、センサ(例えば、センサSa1~Sa9など)によって取得される水質に関する状態項目であり、例えば、ECやCC等である。すなわち、予め設定した水質に関する状態項目(計測パラメータ)の状態値(取得時の値)をセンサによって取得する。そして、状態推定部31では、センサにより計測できない水質に関する状態項目を計測不可パラメータとして、取得した計測パラメータの状態値より推定する。このように、状態推定部31では、センサによって逐次取得可能な計測パラメータの状態値に基づいて、計測不可パラメータの状態値を推定しているため、計測不可パラメータの状態値を逐次に推定して取得することが可能となる。逐次取得できる計測値の取得がリアルタイムであれば、計測できないパラメータの状態値も少しの時間遅れがあってもリアルタイムに近い状態で取得することも可能となる。ここで、センサにより計測できない計測不可パラメータとは、センサによって直接計測できない状態項目やセンサを設置することが困難であるために計測できない状態項目だけでなく、センサの設置が可能でありセンサを設置すれば計測可能であるが、センサを設置していないために計測できない状態項目も含む。
具体的には、状態推定部31は、所定の計測パラメータの状態値から、水循環系統における流体の塩素濃度を計測不可パラメータとした場合における状態値を推定する。図3は、図1における発電プラント1において、例えば復水器2に海水リークが生じた場合の例を示す図である。復水器2では伝熱管を通過する海水によって間接的に蒸気を冷却して復水している。このため、なんらかの原因で復水器2の伝熱管の一部に穴が開くと海水が蒸気または復水に混入する場合がある。このため、海水が混入した復水は、給水系統やドラム、高中圧タービン22と低圧タービン3(総称してタービン)へも流入する。特にタービンに海水が流入して析出した場合には、タービン内に腐食等が発生して重大な損傷を生じる場合がある。海水リークは、例えば、水又は蒸気の中の塩素濃度によって判定可能であるが、塩素濃度はセンサによって検出することができず、通常では人の手によって分析を要し、例えば数か月に1度に塩素濃度の分析結果を取得する。このため、塩素濃度を取得したタイミングから次に塩分濃度を取得するタイミングの間の期間において、塩素濃度を監視することができなかった。
例えば、図4に示すように、タービンにおける塩分付着量が発錆値に達したまま運転を継続するとタービンへの塩分付着量が増加し、タービンに腐食や錆が発生してしまう場合がある。このため、海水リーク(塩分濃度上昇)をいち早く検出して対策を行う必要がある。そこで、状態推定部31は、逐次取得可能な計測パラメータの状態値から流体の塩素濃度を推定する。逐次取得可能な計測パラメータの状態値を用いるため、逐次取得可能な計測パラメータの状態値の取得時に流体の塩素濃度を推定することも可能となる。なお、以下の説明では、塩素濃度をClと記載する。
流体の塩素濃度の状態値を推定するために、計測パラメータには、流体の酸電気伝導率、流体の電気伝導率、流体の溶存酸素、流体の水素イオン指数、流体のヒドラジン濃度、流体のシリカ濃度、発電容量、真空度、及び補給水量の少なくともいずれか1つを含んでいるものとする。計測パラメータは、センサにより取得した計測パラメータ(計測パラメータ群)である。
なお、本実施形態における計測パラメータは、具体的には、センサSa1から取得した復水ポンプ4の出口付近における復水のCC、EC、センサSa2から取得した低圧節炭器10の入口付近における復水のCC、EC、DO、pH、N2H4、センサSa3から取得した低圧ドラム12におけるドラム水のEC、pH、Si、センサSa4から取得した、中圧ドラム16におけるドラム水のEC、pH、Si、センサSa5から取得した高圧ドラム25におけるドラム水のEC、pH、Si、センサSa6から取得した低圧過熱器13の出口付近における蒸気のCC、センサSa7から取得したGT燃焼器20の入口付近における蒸気のCC、センサSa8から取得した、二次再熱器19の出口付近における蒸気のCC、センサSa9から取得した、高圧二次過熱器27の出口付近における蒸気のCC、及びその他のセンサから取得した高圧ドラム仮設CC、発電容量、真空度、補給水量である。なお、その他にもセンサを設け、発電プラント1の状態を計測パラメータとして取得することとしてもよい。
計測パラメータに含まれるパラメータについては、上記のすべてを含むことが好ましいが、流体の塩素濃度に特に相関のあるパラメータを選定して用いることとしてもよい。特に、計測パラメータには、流体の酸電気伝導率、流体の電気伝導率、流体の溶存酸素、流体の水素イオン指数が含まれることが好ましい。
また、計測パラメータに含まれるパラメータの選定については、一例として、遺伝的アルゴリズムを応用したGAVDS(genetic algorithm-based process variables and dynamics selection)法[GAVDS公開HP:http://www.cheminfonavi.co.jp/main/product/chemish.html]を適用し、プロセス流体の時間遅れ(動特性)を考慮して選定を行うこととしてもよい。例えば、図5に示すように、流体流れの上流側からx1(t)、x2(t)、y(t)が設定されており、x1の位置の流体はt1後にyの位置へ到達し、x2の位置の流体はt2後にyの位置に到達することとする。このとき、x1(t0-t1)の状態及びx2(t0-t2)の状態が、y(t0)に強く影響を及ぼす。また、時間遅れを考慮すれば、y(t)にどのパラメータが関係しているかを判断することも可能となる。このように、GAVDS法では、流体の時間遅れ(動特性)を考慮して、計測パラメータと、該計測パラメータの状態値(時間領域)を自動的に選択する。
また、状態推定部31は、センサから取得した計測パラメータの状態値を用いてセンサの異常の有無を判定し、異常が無いと判定した場合に、計測不可パラメータの状態値を推定する。具体的には、状態推定部31は、取得した計測パラメータの状態値に対して、センサ異常診断を行い、センサが異常状態となっていないか否かを判定する。判定方法は、例えば、T2統計量やQ統計量、OC-SVM法(1クラスサポートベクターマシン法)等の方法を用いることが可能である。すなわち、新たにセンサから取得したデータが、過去のデータに対して統計的に正常と判断できない場合には、センサに異常が発生していると判定する。
T2統計量とは、変数間の相関は保たれているが振幅が正常状態から外れている度合を示すものである。また、Q統計量は、変数間の相関が正常状態から外れている度合を示すものである。また、OC-SVM法は、2クラス判別を行う教師あり学習(SVM)を、領域判別問題に適用した教師なし学習のアルゴリズムであり、例えば、図6に示すようにデータの密度が推定されており(縦軸が成分f2、横軸が成分f1)、新たに取得した状態値が密度の低い箇所(例えば、S1)に位置したら異常(通常と異なる)と判定するものである。
そして、状態推定部31は、計測パラメータの状態値(状態値に異常が無いと判定された計測パラメータの状態値)に基づいて、計測不可パラメータの状態値を推定する。なお、計測パラメータの状態値に異常が判定された場合には、マスキングや上下カット(フィルタリング)を介して異常値を処理して異常が解消された場合に、計測不可パラメータの状態値の推定に用いることとしてもよい。また、異常が解消されない場合には、センサの異常をプラントの運転員等に通知してセンサを修復させることとしてもよい。
状態推定部31は、計測パラメータの状態値に基づいて、センサにより計測できない所定の計測不可パラメータの状態値を推定する。具体的には、状態推定部31には、解析モデルが構築されている。解析モデルは、計測パラメータや計測不可パラメータの過去のデータに基づいて構築される。例えば、解析モデルは、相関付け統計解析として、部分最小二乗法やサポートベクター縮約法などを用いて構築される。また、実際の発電プラント1の劣化を解析モデルに反映させるために、ジャストインタイム法(JTモデル)やムービングウィンドウ法(MWモデル)、時間差分法(TDモデル)等を用いることも可能である。なお、解析モデルは、過去データや過去経験則等に基づいて更新されてもよい。
状態推定部31は、解析モデルに対して、逐次取得した計測パラメータの状態値を入力し、計測不可パラメータの状態値を推定(出力)する。状態推定部31は、計測不可パラメータ(本実施形態では、水循環系統における流体の塩素濃度)として、復水ポンプ4の出口付近の復水のCl、低圧ドラム12のドラム水のCl、中圧ドラム16のドラム水のCl、及び高圧ドラム25のドラム水のClを推定する。本実施形態では、一例として、高圧ドラム25のドラム水のCl(以下「高圧ドラム水Cl」という。)を推定する場合について説明するが、他の塩素濃度についても同様に適応可能である。推定された計測不可パラメータの状態値(高圧ドラム水Cl)は、後述する水質診断部32へ出力される。
水質診断部32は、状態推定部31において推定した計測不可パラメータの状態値に基づいて発電プラント1の水質診断を行う。具体的には、水質診断部32は、状態推定部31において推定した計測不可パラメータの状態値と、発電プラント1における過去データに基づいて予め設定した計測不可パラメータの状態値に関する規則性(以下、「規則性」という。)に基づく所定範囲とを比較することで発電プラント1の水質診断を行う。発電プラント1における過去データに基づいて予め設定した規則性とは、所謂経験則などによるものである。例えば、発電プラント1が正常な状態であるとき(水質異常が発生していないとき)の過去データに基づいて計測不可パラメータと相関のある計測パラメータ等を選定し、該相関関係を整理したもの(規則性)である。すなわち、規則性とは、水質異常が発生していない場合における計測不可パラメータ(例えば、高圧ドラム水Cl)と選定した計測パラメータ等との相関関係である。ここで、所定範囲とは、正常な状態を維持できるとみなせる範囲である。
本実施形態において具体的には、規則性とは、例えば(1)式に示されるような高圧ドラム25のドラム水のEC:ECと高圧ドラム水Cl:Clとの相関関係である。また、例えば(2)式に示されるような高圧ドラム25のドラム水のCC:CCと高圧ドラム水Cl:Clとの相関関係を用いてもよいし、例えば(3)式に示されるような高圧ドラム25に対するリン酸注入量と高圧ドラム水Cl:Clとの相関関係を用いてもよい。
[数1]
EC=a×Cl+b (1)
CC=c×Cl (2)
Cl∝リン酸注入量 (3)
なお、(1)式において、aは比例係数(薬品注入による定数)であり、bは定数である。また、(2)式において、cは比例係数である。
水質診断部32は、これらの規則性に基づいて、推定された計測不可パラメータの状態値の異常診断を行う。すなわち、推定された計測不可パラメータの状態値が、予め設定した規則性(計測不可パラメータの状態値に関する規則性)に基づく所定範囲(正常な状態を維持できるとみなせる範囲)に対して逸脱する場合に、推定された計測不可パラメータの状態値は異常が発生している状況と判定し、水質が異常状態であることを後述する運転制御部33へ出力する。
規則性に基づく異常診断は、例えば、推定された計測不可パラメータの状態値である高圧ドラム水Cl(Cl推定値)と、計測された高圧ドラム25のドラム水のECを(1)式に代入した場合における高圧ドラム水Cl(Cl経験則値)とが規則性の所定範囲に対して逸脱している場合に高圧ドラム水Cl(Cl推定値)を異常と判定する。
なお、規則性の所定範囲から逸脱しているか否かの判断については、例えば、(1)式から導出された高圧ドラム水Cl(Cl経験則値)に正常な状態を維持できるとみなせる所定のマージン(経験則値など)を加味した所定範囲の数値範囲から、推定された高圧ドラム水Cl(Cl推定値)が外れている場合に、推定された高圧ドラム水Cl(Cl推定値)を異常(水質に異常が発生している)と判定する。
また、水質診断部32は、推定された計測不可パラメータの状態値が、予め設定した規則性の所定範囲に対して逸脱していない場合には、推定された計測不可パラメータの状態値と、予め設定した基準値(正常範囲)とを比較する。すなわち、水質診断部32は、推定された計測不可パラメータの状態値である高圧ドラム水Clが、予め設定した基準値(例えば、1ppm)以上であるか否か(正常範囲内であるか否か)を判定する。高圧ドラム水Clが、予め設定した基準値以上でなければ、水質に異常が発生していないとして、水質が正常状態であることを後述する運転制御部33へ出力する。
また、水質診断部32は、高圧ドラム水Clが、予め設定した規則性の所定範囲に対して逸脱していない場合でありながら、予め設定した基準値(正常範囲)以上であると判定した場合には、水質に軽微な異常が発生しているとして、水質が準異常状態であることを後述する運転制御部33へ出力する。
すなわち、基準値(正常範囲)は、推定された計測不可パラメータの状態値(高圧ドラム水Cl)に対して、至急に運転停止するほどではなく、所定の水質改善制御等を実施することで水質が改善すると想定される上限値(または範囲)として設定される。すなわち、高圧ドラム水Clが基準値(正常範囲)以上と判定された場合には、予め設定した規則性の所定範囲に対しては逸脱していないが、軽微な異常(準異常状態)が発生していることを示している。
このように、水質診断部32は、推定された計測不可パラメータの状態値(高圧ドラム水Cl)に対して異常診断を行い、正常状態、準異常状態、及び異常状態のいずれか1つを診断結果として後述する運転制御部33へ出力する。
運転制御部33は、水質診断部32における診断結果に基づいて発電プラント1の運転制御を行う。具体的には、運転制御部33には、水質診断部32より水質診断結果(正常状態、準異常状態、または異常状態)が入力され、水質診断結果に基づいて、発電プラント1に対する所定の運転制御を行う。
運転制御部33は、水質診断部32から水質が正常状態であることが入力された場合に、発電プラント1の運転を継続させる。すなわち、水質診断結果が正常状態であれば、運転を継続しても故障等が発生する可能性が低いものとして、発電プラント1の運転を継続させる。
運転制御部33は、水質診断部32から水質が異常状態であることが入力された場合に、発電プラント1の運転を停止させる。水質診断結果が異常状態である場合とは、推定した計測不可パラメータの状態値が規則性の所定範囲から逸脱していると判定された場合であるため、水質が特に悪化して異常を発生している可能性がある状態である。このため、運転制御部33は、被害を最小限に抑え、大故障を未然に防止するために、発電プラント1の運転を停止させる。
運転制御部33は、水質診断部32から水質が準異常状態であることが入力された場合に、計測不可パラメータの状態値を基準値以下(正常範囲内)とするように予め設定された運転制御を行う。水質診断結果が準異常状態である場合とは、規則性の所定範囲から逸脱していないものの、計測不可パラメータの状態値が基準値以上(正常範囲外)であると判定された場合であるため、水質に軽微な異常が発生(準異常状態が発生)している可能性がある状態である。このため、運転制御部33は、水質の軽微な異常を改善するために、発電プラント1の運転を完全に停止せずに予め設定した水質改善制御を実行する。
水質改善制御とは、例えば、ドラムブロー制御である。本実施形態において、計測不可パラメータを高圧ドラム水Clとしているため、水質が準異常状態とは、高圧ドラム25におけるドラム水のClが基準値(正常範囲)より少し高くなっている状態である。このため、復水器2等において海水リークの改善対策が可能であれば実施して、ドラムブロー制御では、高圧ドラム25からClが少し高い状態となっているドラム水を排出し、高純度水を復水系統等から補給する。このようにすることで、高圧ドラム水Clを低減することができる。なお、ドラムブロー制御において、過去所定期間内におけるドラムブローの実施回数(頻度)が所定の閾値を超えた場合には、発電プラント1の復水器2等において海水リークが改善されておらず、水質改善制御後でも再度水質が異常となることが予測されるため、発電プラント1の運転を停止させることとしてもよい。
次に、上述の水質監視装置30における処理について図7を参照して説明する。図7に示すフローは、発電プラント1が運転している場合に所定の制御周期で繰り返し実行される。なお、図7のフローは、発電プラント1の運転員等によって水質診断開始の指令があった場合に開始することとしてもよい。なお、図7において、左から、状態推定部31における処理、水質診断部32における処理、運転制御部33における処理を示す。
まず、所定の計測パラメータの状態値を取得する(S101)。なお、S101では、発電プラント1に設けた各センサ等から計測パラメータの状態値が入力される。具体的には、計測パラメータの状態値として、センサSa1から取得した復水ポンプ4の出口付近における復水のCC、EC、センサSa2から取得した低圧節炭器10の入口付近における復水のCC、EC、DO、pH、N2H4、センサSa3から取得した低圧ドラム12におけるドラム水のEC、pH、Si、センサSa4から取得した中圧ドラム16におけるドラム水のEC、pH、Si、センサSa5から取得した、高圧ドラム25におけるドラム水のEC、pH、Si、センサSa6から取得した、低圧過熱器13の出口付近における蒸気のCC、センサSa7から取得したGT燃焼器20の入口付近における蒸気のCC、センサSa8から取得した二次再熱器19の出口付近における蒸気のCC、センサSa9から取得した、高圧二次過熱器27の出口付近における蒸気のCC、及びその他のセンサから取得した高圧ドラム仮設CC、発電容量、真空度、補給水量が入力される。
次に、計測パラメータの状態値に基づいてセンサの異常診断を行う(S102)。センサの異常が検出されたかった場合(S102のNO判定)には、計測パラメータの状態値に基づいて計測不可パラメータである高圧ドラム25のドラム水のClを推定する(S103)。
また、センサの異常が検出された場合(S102のYES判定)には、計測パラメータの状態値に対してマスキング等の処理を行い、計測パラメータの状態値を診断には使用しない(S104)。そして、処理後の状態値に対して異常診断を行い(S105)、異常が検出された場合(S105のYES判定)には、センサの異常をプラントの運転員等に通知する(S106)。
また、処理後の状態値に対して異常が検出されなかった場合(S105のNO判定)には、異常が解消された計測パラメータの状態値に基づいて計測不可パラメータである高圧ドラム水Clを推定する(S103)。
そして、推定された高圧ドラム水Clを予め設定した規則性(経験則など)の所定範囲と比較する(S107)。推定された高圧ドラム水Clが規則性の所定範囲に対して逸脱している場合(S107のYES判定)には、異常状態として発電プラント1を停止させる(S108)。
また、推定された高圧ドラム水Clが規則性の所定範囲に対して逸脱していない場合(S107のNO判定)には、推定された高圧ドラム水Clが予め設定した基準値(正常範囲)以上であるか否かを判定する(S109)。
推定された高圧ドラム水Clが予め設定した基準値(正常範囲)以上でない場合(S109のNO判定)には、正常状態として発電プラント1の運転を継続させる(S110)。
また、推定された高圧ドラム水Clが予め設定した基準値以上である場合(S109のYES判定)には、準異常状態として、水質の軽微な異常を改善するために、予め設定した所定の水質改善制御(ドラムブロー制御)を実行する(S111)。
なお、水質改善制御の頻度を算出し、該頻度が予め設定した閾値以上である場合には、発電プラント1の運転を停止させ、頻度が予め設定した閾値以上でない場合には、水質改善制御を継続して実行することとしてもよい。また、水質監視装置30の水質診断処理における診断結果に基づいて、発電プラント1の運転制御を行う運転制御処理を水質監視プログラムによりコンピュータに実行させてもよい。
図5に示すように、水質診断として、予め設定した規則性(経験則など)に基づく診断と、予め設定した基準値(正常範囲)に基づく診断を行うことによって、より正確に水質異常の診断を行うことが可能となる。また、逐次取得可能な計測パラメータの状態値の取得時に計測不可パラメータの状態値(本実施形態ではCl濃度)を推定して取得するようにした水質診断結果に基づいて発電プラント1の運転制御を実行するため、水質の異常発生を迅速に検知して異常に対して迅速な対応を行うことが可能となり、故障等による運転停止を未然に防止できる。
以上説明したように、本実施形態に係る発電プラント1の水質監視システム、及びその水質監視方法並びに水質監視プログラム、発電プラント1によれば、センサによって容易に取得できる計測パラメータの状態値に基づいて、該センサにより計測できない計測不可パラメータの状態値(本実施形態ではCl濃度)を推定するため、計測を行うことなく計測不可パラメータの状態値を得ることができ、逐次取得可能な計測パラメータの状態値の取得時に計測不可パラメータの状態値を推定して取得することも可能となる。
また、推定した計測不可パラメータの状態値に基づいて発電プラント1の水質診断を行うため、計測を行っていない計測不可パラメータ(本実施形態ではCl濃度)についても水質診断の対象とすることができ、より正確に水質診断を行うことが可能となる。また、計測不可パラメータの状態値を逐次取得可能な計測パラメータの状態値の取得時に推定することで、より細やかな水質診断が可能となり、より迅速に故障等の予兆を認識することが可能となる。
また、診断結果に基づいて発電プラント1の運転制御を行うことで、例えば故障が発生する前に自動的に発電プラント1を停止させる等の迅速な対応が可能となる。すなわち、逐次取得可能な計測パラメータの状態値の取得時に推定した計測不可パラメータの状態値(本実施形態ではCl濃度)に基づく水質診断の結果によって発電プラント1を運転制御することができるため、水質異常等が生じることによる被害を最小限に抑えることが可能となる。また、故障を未然に防止することができるため、予期せぬ故障の発生率を抑制するとともに計画的な補修対応の機会が向上して、発電プラント1の稼働率をより最大化させることが可能となる。
また、計測不可パラメータの状態値(本実施形態ではCl濃度)を推定する前に、センサの異常、すなわちセンサから取得した計測パラメータの状態値が正常な値であるか否かを判定するため、正常でない計測パラメータの状態値を用いて計測不可パラメータの状態値を推定することを防止して、安定的に、正確な計測不可パラメータの状態値を推定することが可能となる。
また、発電プラント1における過去データに基づいて予め設定した規則性に基づいた所定範囲と、推定した計測不可パラメータの状態値(本実施形態ではCl濃度)とを比較するため、推定した計測不可パラメータの状態値の妥当性を判定して、発電プラント1の水質が正常な状態を維持できるとみなせる状態であるか否か(規則性から得られた正常な状態を維持できるとみなせる所定範囲に対して妥当な状態か否か)を判定することが可能となる。
また、推定した計測不可パラメータの状態値(本実施形態ではCl濃度)と予め設定した正常範囲とを比較するため、計測不可パラメータの状態値が正常な状態となっているか否かを容易に判定することが可能となる。そして、計測不可パラメータの状態値が正常範囲外であると判定された場合には、自動的に、計測不可パラメータの状態値を正常範囲内とするように予め設定された運転制御を実行するため、計測不可パラメータの異常状態を迅速に解消して、被害を最小化することが可能となる。
また、推定した計測不可パラメータの状態値(本実施形態ではCl濃度)が予め設定した規則性の所定範囲から逸脱している場合に、計測不可パラメータの状態値は正常な値となっていないとして、発電プラント1の水質が異常状態となっていると判定し、自動的に発電プラント1の運転を停止させるため、故障を未然に防止することができる。また、より迅速に異常を検出して発電プラント1の運転を停止させることができるため、被害を最小限に抑えることができる。
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係る発電プラントの水質監視システム、及びその水質監視方法並びに水質監視プログラム、発電プラントについて説明する。
上述した第1実施形態では、計測不可パラメータを塩素濃度として推定する場合について説明したが、本実施形態では、計測不可パラメータを鉄濃度として推定する場合について説明する。以下、本実施形態に係る発電プラントの水質監視システム、及びその水質監視方法並びに水質監視プログラム、発電プラントについて、第1実施形態と異なる点について主に説明する。
図8は、本発明の第2実施形態に係る水質監視システムを備えた発電プラント40の概略構成を示す図である。発電プラント40は、図3に示した発電プラント1とは各機器の構成が異なるが、ボイラ70でき蒸気を発生させて、蒸気は高圧タービン66,中圧タービン67,低圧タービン41を回転駆動して、復水器42で冷却されて復水となりボイラ70へ給水する形態は同じである。ボイラ70はガスタービン(GT、不図示)から排出されるガスの熱エネルギを蒸気などで回収する排熱回収ボイラや、燃料を供給した燃焼バーナにより火炉を形成して高温の燃焼ガスを生成する火炉ボイラなどでも良く、その他の各種ボイラを含めて限定されるものでない。発電プラント40の各機器の構成も同様に限定されるものではない。なお、水質監視システムは図8に示す構成の発電プラント40に限定されず適用することが可能である。
低圧タービン41から排出された蒸気は復水器42において冷却されて液相に戻される。なお、復水器42には、補給水タンク43から補給水ポンプ44にて補給水が補給されることとしてもよい。そして、復水は、復水ポンプ45を介して前置ろ過器46へ供給される。前置ろ過器46では、復水中の固形物が除去される。そして、復水は、復水脱塩装置47へ供給され、イオン交換樹脂を通過することで復水中の不純物(例えば塩分など)が除去される。そして、復水は、復水ブースターポンプ48にて圧送され、グランド蒸気復水器49へ供給される。グランド蒸気復水器49では、グランド蒸気を冷却して液相に戻して復水する。
そして、復水は給水として低圧給水加熱器50で加熱され、脱気器51において溶存酸素等の非凝縮性ガスが除去される。脱気された給水は、脱気器貯水槽52にて貯水され、給水ポンプ54を介して圧送されて高圧給水加熱器55にて過熱される。なお、脱気器貯水槽52から排出された給水は再循環ポンプ53を介して脱気器51へ再循環され、また、脱気器貯水槽52から排出された給水は復水器42へ供給されてもよい。
高圧給水加熱器55において加熱された給水は、節炭器56へ供給され、ボイラ70出口に近い排ガスを利用して予熱される。予熱された給水は、ボイラ70において、壁管57、天井管58、後部炉壁管59、及び蒸発器管60を介して飽和蒸気となり、汽水分離器61(ドラム)へ供給される。そして、汽水分離器61において、水と蒸気とに分離され、水(蒸気を含む)は汽水分離ドレンタンク62に供給される。そして、汽水分離ドレンタンク62で、さらに、水と蒸気とを分離する。汽水分離ドレンタンク62において分離された水は、ボイラ再循環ポンプ63を介して、高圧給水加熱器55の出力側へ供給される。また、汽水分離器61において分離された蒸気と、汽水分離ドレンタンク62において分離された蒸気は、過熱器64へ供給されて過熱され過熱蒸気となる。
生成された過熱蒸気は、高圧タービン66へ供給され、タービン翼(不図示)に対して仕事を行いタービン翼(不図示)を回転駆動させる。仕事を終えた蒸気は、再熱器65において再熱され、中圧タービン67へ供給される。また、高圧タービン66においてタービン翼(不図示)を回転駆動させる仕事を終えた蒸気の一部は、高圧給水加熱器55において熱源として利用された後に、脱気器51へ供給される。
中圧タービン67においてタービン翼(不図示)を回転駆動させる仕事をし終えた蒸気は低圧タービン41に供給されてタービン翼(不図示)に対して回転駆動させる仕事を行い、復水器42へ供給されて復水される。なお、低圧タービン41から排出された蒸気の一部は、低圧給水加熱器50における熱源として用いられたあと、低圧給水加熱器50における復水に混入される。なお、高圧タービン66、中圧タービン67、低圧タービン41の各タービン翼(不図示)は、回転軸(不図示)に接続されており、タービン翼を回転駆動させ、タービン翼の回転軸と連動するように接続されている発電機(不図示)を回転駆動して発電を行う。
次に、本実施形態における発電プラント40に設けられるセンサについて、図8を参照して説明する。図8に示すように、発電プラント40には、センサSb1~Sb6が設けられている。
センサSb1は、復水ポンプ45の出口付近(復水器42の下流側)における復水のpH、EC、流量を計測する計測器である。なお、センサSb1の配置位置は、復水器42から出力された復水のpH、EC、流量を計測できれば図8に記載の配置位置に限定されない。
センサSb2は、復水ブースターポンプ48の出口付近における復水のECを計測する計測器である。なお、センサSb2は、脱塩処理等が行われた復水のECを計測できれば、図8に記載の配置位置に限定されない。
センサSb3は、脱気器51の入口付近における復水のEC、DO、流量を計測する計測器である。なお、センサSb3は、脱気器51に供給される復水のEC、DO、流量を計測できれば、図8に記載の配置位置に限定されない。
センサSb4は、脱気器貯水槽52に再循環される水(脱気器貯水槽52の水)のECを計測する計測器である。なお、センサSb4は、脱気器貯水槽52に貯水されている水のECを計測できれば、図8に記載の配置位置に限定されない。
センサSb5は、節炭器56の入口付近における給水のCC、流量、pH、及びDOを計測する計測器である。なお、センサSb5は、節炭器56に供給される給水のCC、流量、pH、及びDOを計測できれば、図8に記載の配置位置に限定されない。
センサSb6は、低圧タービン41から低圧給水加熱器50へ供給される水の流量及び濁度を計測する計測器である。なお、センサSb6は、低圧タービン41から低圧給水加熱器50へ供給される水の流量及び濁度を計測できれば、図8に記載の配置位置に限定されない。
また、発電プラント40には、本実施形態では例えば、発電容量、給水ドレン濁度(補給水ポンプ44の後流の給水の濁度)、CP濁度(復水ポンプ45出口側の水の濁度)、CBP濁度(復水ブースターポンプ48出口側の水の濁度)、Dea in濁度(脱気器51の入口側の水の濁度)、Dea out濁度(脱気器51の出口側の水の濁度)、Eco in濁度(節炭器56の入口側の水の濁度)、LPD濁度(低圧タービン41の出口側の蒸気の濁度)、HP Dr(A)濁度(高圧タービン66から脱気器51へ供給される水の濁度)、HP Dr(B)濁度(汽水分離ドレンタンク62から排出された水の濁度)、MS濁度(過熱器64から排出された蒸気の濁度)、H-RH濁度(再熱器65から出力された蒸気の濁度)、L-RH濁度(再熱器65へ供給される蒸気の濁度)、HWブロー濁度(復水器42から排出される水の濁度)などに対応したセンサも設けられている。
なお、発電プラント40におけるセンサにて計測可能なパラメータについては、上記に限らず用いることが可能である。また、センサの配置位置についても図8に記載の位置に限定されない。例えば、発電容量、流体(水又は蒸気)の水素イオン指数、流体の電気伝導率、流体の流量、流体の溶存酸素、流体の酸電気伝導率、及び流体の所定の濁度の少なくともいずれか1つを計測するセンサとして発電プラント40に対して任意の位置に設置可能である。
次に、本実施形態に係る水質監視装置30について説明する。なお、上記第1実施形態とは、計測パラメータ及び計測不可パラメータが異なる。
状態推定部31は、発電プラント40におけるセンサから逐次取得した所定の計測パラメータの状態値に基づいて、センサにより計測できない所定の計測不可パラメータの状態値を推定する。計測パラメータとは、センサ(例えば、センサSb1~Sb6など)によって取得される水質に関する状態の項目である。
具体的には、状態推定部31は、所定の計測パラメータの状態値から、水循環系統における流体の鉄濃度を計測不可パラメータとした場合における状態値を推定する。図9は、図8における発電プラント40において、鉄(Fe)が基準値以上に生じた場合の例を示す図である。各機器を構成する部材は鉄(Fe)を含んでいるため、機器の劣化に伴って鉄が復水等に混入する。各機器において発生した鉄は、流体の流れに搬送されて節炭器56で集約され、ボイラ系統に流入する。ボイラ70に流入した鉄は、伝熱管内面の伝熱面に付着及び堆積した場合は、伝熱阻害や、伝熱管のメタル温度上昇による噴破等の重大な損傷を招く場合がある。しかしながら、給水に溶解しない酸化鉄などによる鉄濃度はセンサによって検出することができず、通常は人の手による分析を要し、例えば数か月に1度に鉄濃度の分析結果を取得する。このため、分析して鉄濃度を取得したタイミングから次に鉄濃度を取得するタイミングまでの間の期間において、鉄濃度を監視することができなかった。このため、正確な鉄の堆積への影響が把握できず評価が困難であった。そこで、状態推定部31は、逐次取得可能な計測パラメータの状態値から流体の鉄濃度を推定する。逐次取得可能な計測パラメータの状態値を用いるため、逐次取得可能な計測パラメータの状態値の取得時に流体の鉄濃度を推定することも可能となる。
流体の鉄濃度の状態値を推定するために、計測パラメータには、発電容量、流体の水素イオン指数、流体の電気伝導率、流体の流量、流体の溶存酸素、流体の酸電気伝導率、及び流体の所定の濁度の少なくともいずれか1つを含んでいるものとする。計測パラメータは、センサにより取得した計測パラメータ(計測パラメータ群)である。
なお、本実施形態における計測パラメータは、具体的には例えば、センサSb1から取得した復水ポンプ45の出口付近における復水のpH、EC、流量、センサSb2から取得した復水ブースターポンプ48の出口付近における復水のEC、センサSb3から取得した脱気器51の入口付近における復水のEC、DO、流量、センサSb4から取得した脱気器貯水槽52の水のEC、センサSb5から取得した節炭器56の入口付近における給水のCC、流量、pH、DO、センサSb6から取得した低圧タービン41から低圧給水加熱器50へ供給される水の流量、濁度、及び他のセンサから取得した発電容量、給水ドレン濁度、CP濁度、CBP濁度、Dea in濁度、Dea out濁度、Eco in濁度、LPD濁度、HP Dr(A)濁度、HP Dr(B)濁度、MS濁度、H-RH濁度、L-RH濁度、HWブロー濁度である。なお、その他にもセンサを設け、発電プラント40の状態を計測パラメータとして取得することとしてもよい。
計測パラメータに含まれるパラメータについては、上記のすべてを含むことが好ましいが、流体の鉄濃度に特に相関のあるパラメータを選定して用いることとしてもよい。特に、計測パラメータには、流体の所定の濁度が含まれることが好ましい。また、GAVDS法[GAVDS公開HP:http://www.cheminfonavi.co.jp/main/product/chemish.html]を用いて、流体の時間遅れ(動特性)を考慮して、計測パラメータと、該計測パラメータの状態値(時間領域)を自動的に選択することとしてもよい。
そして、状態推定部31は、解析モデルに対して、逐次取得した計測パラメータの状態値を適応し、計測不可パラメータの状態値を推定する。図9は本実施形態の一例としての鉄濃度の推定位置(P1からP12)を示している。本実施形態では、状態推定部31は、計測パラメータの状態値から、計測不可パラメータ(本実施形態では、水循環系統における流体の鉄濃度)として例えば、CP鉄(復水ポンプ45出口側の水の鉄濃度。図9のP1における鉄濃度)、CBP鉄(復水ブースターポンプ48出口側の水の鉄濃度。図9のP2における鉄濃度)、Dea in鉄(脱気器51の入口側の水の鉄濃度。図9のP3における鉄濃度)、Dea out鉄(脱気器51の出口側の水の鉄濃度。図9のP4における鉄濃度)、Eco in鉄(節炭器56の入口側の水の鉄濃度。図9のP5における鉄濃度)、LPD鉄(低圧タービン41の出口側の蒸気の鉄濃度。図9のP6における鉄濃度)、HP Dr(A)鉄(高圧タービン66から脱気器51へ供給される水の鉄濃度。図9のP7における鉄濃度)、HP Dr(B)鉄(汽水分離ドレンタンク62から排出された水の鉄濃度。図9のP8における鉄濃度)、MS鉄(過熱器64から排出された蒸気の鉄濃度。図9のP9における鉄濃度)、H-RH鉄(再熱器65から出力された蒸気の鉄濃度。図9のP10における鉄濃度)、L-RH鉄(再熱器65へ供給される蒸気の鉄濃度。図9のP11における鉄濃度)、HWブロー鉄(復水器42から排出される水の鉄濃度。図9のP12における鉄濃度)を推定する。本実施形態では、一例として、Eco inの鉄濃度(以下「Ecoin鉄」という。)を推定する場合について説明するが、他の鉄濃度についても同様に適応可能である。推定された計測不可パラメータの状態値(Ecoin鉄)は、後述する水質診断部32へ出力される。
水質診断部32は、状態推定部31において推定した計測不可パラメータの状態値に基づいて発電プラント40の水質診断を行う。具体的には、水質診断部32は、状態推定部31において推定した計測不可パラメータの状態値と、発電プラント40における過去データに基づいて予め設定した計測不可パラメータの状態値に関する規則性(以下、「規則性」という。)に基づく所定範囲とを比較することで発電プラント40の水質診断を行う。計測不可パラメータの状態値に関する規則性とは、水質異常が発生していない場合における計測不可パラメータ(例えば、Ecoin鉄)と選択した計測パラメータ等との相関関係である。所定範囲とは、正常な状態を維持できるとみなせる範囲である。
具体的には、規則性とは、(4)式に示されるようなEco inの濁度:TとEcoin鉄:Feとの相関関係である。また、(5)式に示されるようなEco inの濁度の変動:ΔTとEcoin鉄:Feとの相関関係を用いてもよい。
[数2]
T=d×Fe+e (4)
ΔT=ΔFe×exp(-k/t) (5)
なお、(4)式において、dは比例係数であり、eは定数である。また、(5)式において、kはボルツマン定数である。
水質診断部32は、これらの規則性に基づいて、推定された計測不可パラメータの状態値の異常診断を行う。すなわち、推定された計測不可パラメータの状態値が、予め設定した規則性(計測不可パラメータの状態値に関する規則性)の所定範囲(正常な状態を維持できるとみなせる範囲)に対して逸脱する場合に、推定された計測不可パラメータの状態値は異常が発生している状況であると判定し、水質が異常状態であることを後述する運転制御部33へ出力する。なお、規則性の所定範囲から逸脱しているか否かの判断については、例えば、(4)式から導出されたEco inの濁度:T(T経験則値)に正常な状態を維持できるとみなせる所定のマージン(経験則値など)を加味した所定範囲の数値範囲から、推定されたEco inの濁度:T(T推定値)が外れている場合に、推定されたEco inの濁度:T(T推定値)を異常(水質に異常が発生している)と判定する。
また、水質診断部32は、推定された計測不可パラメータの状態値が、予め設定した規則性の所定範囲に対して逸脱していない場合には、推定された計測不可パラメータの状態値と、予め設定した基準値(正常範囲)とを比較する。すなわち、水質診断部32は、推定された計測不可パラメータの状態値であるEcoin鉄が、予め設定した基準値(正常範囲)以上であるか否かを判定する。Ecoin鉄が、予め設定した基準値以上でなければ、水質に異常が発生していないとして、水質が正常状態であることを後述する運転制御部33へ出力する。
また、水質診断部32は、Ecoin鉄が、予め設定した規則性の所定範囲に対して逸脱していない場合でも、予め設定した基準値(正常範囲)以上であると判定した場合には、水質に軽微な異常が発生しているとして、水質が準異常状態であることを後述する運転制御部33へ出力する。
このように、水質診断部32は、推定された計測不可パラメータの状態値(高圧ドラム水Cl)に対して異常診断を行い、正常状態、準異常状態、及び異常状態のいずれか1つを診断結果として後述する運転制御部33へ出力する。
運転制御部33は、水質診断部32より水質診断結果(正常状態、準異常状態、または異常状態)が入力され、水質診断結果に基づいて、発電プラント40に対する所定の運転制御を行う。運転制御部33は、水質診断部32から水質が正常状態であることが入力された場合に、発電プラント40の運転を継続させる。また、運転制御部33は、水質診断部32から水質が異常状態であることが入力された場合に、発電プラント40の運転を停止させる。なお、運転の停止後、検査を行うように発電プラント40の運転員等に通知を行うこととしてもよい。
運転制御部33は、水質診断部32から水質が準異常状態であることが入力された場合に、水質の軽微な異常を改善するために、発電プラント40の運転を完全に停止せずに、計測不可パラメータの状態値を基準値以下(正常範囲内)とするように予め設定された水質改善制御する運転制御を行う。水質改善制御とは、例えば、バイパス運転制御である。バイパス運転制御とは、鉄濃度が上昇して鉄が発生しやすい機器(鉄が発生していると想定される機器)をバイパスすることによって該機器から鉄が流出しないようにする制御である。例えば、図9において、低圧給水加熱器50の初段装置において鉄が発生している場合には、初段装置をバイパスするバイパス管68の弁69を開として、初段装置へ給水が流入及び流出しないようにする。このようにすることで、鉄の発生源を給水の流路から分離することができるため、更なる鉄の混入を抑制することが可能となる。なお、鉄の混入量が多い場合には、上記第1実施形態と同様にドラムブロー制御を行うこととしてもよい。
なお、鉄の発生箇所は、状態推定部31において推定した各部の鉄濃度の状態により特定してもよいし、予め鉄が発生しやすい機器を特定しておいてもよい。
なお、バイパス運転制御において、過去所定期間内におけるバイパス運転制御の実施回数(頻度)が所定の閾値を超えた場合には、水質改善制御後でも再度水質が異常となることが予測されるため、発電プラント40の運転を停止させることとしてもよい。
次に、上述の水質監視装置30における処理について図10を参照して説明する。図10に示すフローは、発電プラント40が運転している場合に所定の制御周期で繰り返し実行される。なお、図10のフローは、発電プラント40の運転員等によって水質診断開始の指令があった場合に開始することとしてもよい。なお、図10において、左から、状態推定部31における処理、水質診断部32における処理、運転制御部33における処理を示す。
所定の計測パラメータの状態値を取得する(S201)。なお、S201では、発電プラント40に設けた各センサ等から計測パラメータの状態値が入力される。具体的には、計測パラメータの状態値として、センサSb1から取得した復水ポンプ45の出口付近における復水のpH、EC、流量、センサSb2から取得した復水ブースターポンプ48の出口付近における復水のEC、センサSb3から取得した脱気器51の入口付近における復水のEC、DO、流量、センサSb4から取得した脱気器貯水槽52の水のEC、センサSb5から取得した節炭器56の入口付近における給水のCC、流量、pH、DO、センサSb6から取得した低圧タービン41から低圧給水加熱器50へ供給される水の流量、濁度、及び他のセンサから取得した発電容量、給水ドレン濁度、CP濁度、CBP濁度、Dea in濁度、Dea out濁度、Eco in濁度、LPD濁度、HP Dr(A)濁度、HP Dr(B)濁度、MS濁度、H-RH濁度、L-RH濁度、HWブロー濁度が入力される。
そして、計測パラメータの状態値に基づいてセンサの異常診断を行う(S202)。センサの異常が検出されたかった場合(S202のNO判定)には、計測パラメータの状態値に基づいて計測不可パラメータであるEcoin鉄を推定する(S203)。
また、センサの異常が検出された場合(S202のYES判定)には、計測パラメータの状態値に対してマスキング等の処理を行う(S204)。そして、処理後の状態値に対して異常診断を行い(S205)、異常が検出された場合(S205のYES判定)には、センサの異常をプラントの運転員等に通知する(S206)。
また、処理後の状態値に対して異常が検出されなかった場合(S205のNO判定)には、異常が解消された計測パラメータの状態値に基づいて計測不可パラメータであるEcoin鉄を推定する(S203)。
そして、推定されたEcoin鉄を予め設定した規則性(経験則など)の所定範囲と比較する(S207)。推定されたEcoin鉄が規則性の所定範囲に対して逸脱している場合(S207のYES判定)には、異常状態として発電プラント40を停止させる(S208)。
また、推定されたEcoin鉄が規則性の所定範囲に対して逸脱していない場合(S207のNO判定)には、推定されたEcoin鉄が予め設定した基準値(正常範囲)以上であるか否かを判定する(S209)。
推定されたEcoin鉄が予め設定した基準値(正常範囲)以上でない場合(S209のNO判定)には、正常状態として発電プラント40の運転を継続させる(S210)。
また、推定されたEcoin鉄が予め設定した基準値(正常範囲)以上である場合(S209のYES判定)には、準異常状態として、水質の軽微な異常を改善するために、予め設定した所定の水質改善制御(バイパス運転制御)を実行する(S211)。
なお、水質改善制御の頻度を算出し、該頻度が予め設定した閾値以上である場合には、発電プラント40の運転を停止させ、頻度が予め設定した閾値以上でない場合には、水質改善制御を継続して実行することとしてもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る発電プラント40の水質監視システム、及びその水質監視方法並びに水質監視プログラム、発電プラント40によれば、計測を行うことなく計測不可パラメータの状態値(本実施形態では鉄濃度)を得ることができ、逐次取得可能な計測パラメータの状態値の取得時に計測不可パラメータの状態値を推定して取得することも可能となる。そして、計測不可パラメータの状態値を逐次取得可能な計測パラメータの状態値の取得時に推定することで、より細やかな水質診断が可能となり、より迅速に故障等の予兆を認識することが可能となる。また、逐次取得可能な計測パラメータの状態値の取得時に推定した計測不可パラメータの状態値に基づく水質診断の結果によって発電プラント40を運転制御することができるため、水質異常発生を迅速に検知して異常に対して迅速な対応を行うことが可能となり、故障等による運転停止を未然に防止でき、被害を最小限に抑えることが可能となる。また、故障を未然に防止することができるため、予期せぬ故障の発生率を抑制するとともに計画的な補修対応の機会が向上して、発電プラント1の稼働率をより最大化させることが可能となる。
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態に係る発電プラントの水質監視システム、及びその水質監視方法並びに水質監視プログラム、発電プラントについて説明する。
上述した第1実施形態では、計測不可パラメータを塩素濃度として推定する場合について説明したが、本実施形態では、発電プラントにおける冷却塔の冷却流体(冷却塔水)のMアルカリ度、カルシウム硬度、塩素濃度、硫酸濃度、及びシリカ濃度の少なくともいずれか1つを計測不可パラメータとして推定する場合について説明する。以下、本実施形態に係る発電プラントの水質監視システム、及びその水質監視方法並びに水質監視プログラム、発電プラントについて、第1実施形態及び第2実施形態と異なる点について主に説明する。
図11は、本発明の第3実施形態に係る水質監視システムを備えた発電プラントにおける冷却塔80の概略構成を示す図である。なお、発電プラントにおける冷却塔80は図11に示す構成に限定されず適用することが可能である。なお、冷却塔80とは、例えば発電プラント1、40における補機81(例えば復水器2、42)に対して冷却水(冷却塔水)を供給する装置である。
発電プラントの補機81において温められた水は冷却塔80へ供給される。そして、供給された水は、冷却塔80上部の散布部から散布される。散布された水は、冷却塔80の送風機82によって流通する空気と接触することで一部が蒸発し、この蒸発に伴う潜熱分の熱吸収によって他の水が冷やされる。冷やされた水は、冷却塔水として冷却塔80の水槽83に貯水される。
また、冷却塔80の水槽83に貯水されている冷却塔水の一部は、排水ラインを介して発電プラント外に排水されてもよい。
また、冷却塔水の量を維持または調整するために、補給水が冷却塔80の水槽83に供給される。補給水は、水質管理のために化学薬品が添加され、冷却塔80に供給される。
次に、本実施形態における発電プラントに設けられるセンサについて、図11を参照して説明する。図11に示すように、冷却塔80付近の発電プラントには、センサSc1及びSc2が設けられている。
センサSc1は、本実施形態では例えば、冷却塔80の補給水入口付近における補給水のEC、pH、Mアルカリ度、Ca硬度、Cl、SO4(硫酸濃度)、及びSiを計測する計測器である。なお、センサSc1の配置位置は、補給水のEC、pH、Mアルカリ度、Ca硬度、Cl、SO4、及びSiを計測できれば図11に記載の配置位置に限定されない。
センサSc2は、冷却塔水の出口付近に設けられ、本実施形態では例えば、出力された冷却塔水の温度(冷却塔水出口温度)、残留塩素、pH、ECを計測する計測器である。なお、センサSc2の配置位置は、出力された冷却塔水の温度、残留塩素、pH、ECを計測できれば図11に記載の配置位置に限定されない。
また、冷却塔80付近の発電プラントには、本実施形態では例えば、補機81から冷却塔80に戻ってきた冷却塔水の温度(冷却塔水入口温度)、濃縮倍率、水槽83の冷却塔水のEC(冷却塔水EC)、pH(冷却塔水pH)などに対応したセンサも設けられている。なお、濃縮倍率とは、補給水量に対するブロー水量の割合である(ブロー水量/補給水量)。
なお、発電プラントにおけるセンサにて計測可能なパラメータについては、上記に限らず用いることが可能である。また、センサの配置位置についても図11に記載の位置に限定されない。例えば、冷却流体(冷却塔水)の温度、冷却流体の残留塩素、冷却流体の水素イオン指数、冷却流体の電気伝導率、冷却流体の濃縮倍率、冷却塔80に補給される補給水の電気伝導率、補給水の水素イオン指数、補給水のMアルカリ度、補給水のカルシウム硬度、補給水の塩素濃度、補給水の硫酸濃度、及び補給水のシリカ濃度の少なくともいずれか1つを計測するセンサとして発電プラントに対して任意の位置に設置可能である。
次に、本実施形態に係る水質監視装置30について説明する。なお、上記第1実施形態及び第2実施形態とは、計測パラメータ及び計測不可パラメータが異なる。
状態推定部31は、発電プラントにおけるセンサから逐次取得した所定の計測パラメータの状態値に基づいて、センサにより計測できない所定の計測不可パラメータの状態値を推定する。計測パラメータとは、センサ(例えば、センサSc1~Sc2など)によって取得される水質に関する状態の項目である。
具体的には、状態推定部31は、所定の計測パラメータの状態値から、発電プラントにおける冷却塔80の冷却流体(冷却塔水)のMアルカリ度、カルシウム硬度(Ca硬度)、塩素濃度(Cl)、硫酸濃度(SO4)、及びシリカ濃度(Si)の少なくともいずれか1つを計測不可パラメータとした場合における状態値を推定する。なお、本実施形態では、一例として、冷却塔80の冷却塔水のカルシウム硬度(冷却塔水Ca硬度)を計測不可パラメータとして推定する場合について説明する。
図11に示すような冷却塔80では、冷却塔水の水質(例えば、冷却塔水Ca硬度等)は通常は人の手によって分析を要し、例えば数か月に1度に冷却塔水Ca硬度の分析結果を取得する。このため、冷却塔水の水質管理は、安全性を重視して管理目標値等に対して十分な余裕をもって行われており、冷却塔水を過度に排出(ブロー)する傾向にある。また、補給水の量及び補給水に添加する薬品の量も多くなる傾向にある。そこで、状態推定部31は、逐次取得可能な計測パラメータの状態値から冷却塔水の水質(冷却塔水のMアルカリ度、カルシウム硬度、塩素濃度、硫酸濃度、及びシリカ濃度)を推定する。逐次取得可能な計測パラメータの状態値を用いるため、逐次取得可能な計測パラメータの状態値の取得時に冷却塔水の水質を推定することも可能となる。冷却塔水の水質を正確に把握することができるため、冷却塔水の過度な排水や補給水の過度な補給等を抑制することができる。
冷却塔水Ca硬度の状態値を推定するために、計測パラメータには、冷却流体の温度、冷却流体の残留塩素、冷却流体の水素イオン指数、冷却流体の電気伝導率、冷却流体の濃縮倍率、冷却塔80に補給される補給水の電気伝導率、補給水の水素イオン指数、補給水のMアルカリ度、補給水のカルシウム硬度、補給水の塩素濃度、補給水の硫酸濃度、及び補給水のシリカ濃度の少なくともいずれか1つを含んでいるものとする。計測パラメータは、センサにより取得した計測パラメータ(計測パラメータ群)である。
なお、本実施形態における計測パラメータは、具体的には例えば、センサSc1から取得した冷却塔80の補給水入口付近における補給水のEC、pH、Mアルカリ度、Ca硬度、Cl、SO4(硫酸濃度)、Si、センサSc2から取得した冷却塔水の出口付近に設けられ、出力された冷却塔水の温度(冷却塔水出口温度)、残留塩素、pH、EC、及びその他のセンサから取得した補機81から冷却塔80に戻ってきた冷却塔水の温度(冷却塔水入口温度)、濃縮倍率、水槽83の冷却塔水のEC(冷却塔水EC)、pH(冷却塔水pH)である。なお、その他にもセンサを設け、発電プラントの状態を計測パラメータとして取得することとしてもよい。
計測パラメータに含まれるパラメータについては、上記のすべてを含むことが好ましいが、冷却塔水のCa硬度に特に相関のあるパラメータを選定して用いることとしてもよい。特に、計測パラメータには、補給水の電気伝導率が含まれることが好ましい。また、GAVDS法[GAVDS公開HP:http://www.cheminfonavi.co.jp/main/product/chemish.html]を用いて、流体の時間遅れ(動特性)を考慮して、計測パラメータと、該計測パラメータの状態値(時間領域)を自動的に選択することとしてもよい。
そして、状態推定部31は、解析モデルに対して、逐次取得した計測パラメータの状態値を適応し、計測不可パラメータの状態値を推定する。本実施形態では、状態推定部31は、計測パラメータの状態値から、計測不可パラメータとして、発電プラントにおける冷却塔80の冷却流体(冷却塔水)のMアルカリ度、カルシウム硬度(Ca硬度)、塩素濃度(Cl)、硫酸濃度(SO4)、及びシリカ濃度(Si)の少なくともいずれか1つを推定する。本実施形態では、一例として、冷却塔水のCa硬度を推定する場合について説明するが、他の計測不可パラメータついても同様に適応可能である。推定された計測不可パラメータの状態値(冷却塔水のCa硬度)は、後述する水質診断部32へ出力される。
水質診断部32は、状態推定部31において推定した計測不可パラメータの状態値に基づいて発電プラントの水質診断を行う。具体的には、水質診断部32は、状態推定部31において推定した計測不可パラメータの状態値と、発電プラントにおける過去データに基づいて予め設定した計測不可パラメータの状態値に関する規則性(以降、規則性と記載)に基づく所定範囲とを比較することで発電プラントの水質診断を行う。計測不可パラメータの状態値に関する規則性とは、水質異常が発生していない場合における計測不可パラメータ(例えば、冷却塔水のCa硬度)と選定した計測パラメータ等との相関関係である。具体的には、規則性とは、例えば、冷却塔80において散布された水の蒸発量と冷却塔水のCaの相関関係等である。ここで、所定範囲とは、正常な状態を維持できるとみなせる範囲である。
水質診断部32は、これらの規則性に基づいて、推定された計測不可パラメータの状態値の異常診断を行う。すなわち、推定された計測不可パラメータの状態値が、予め設定した規則性(計測不可パラメータの状態値に関する規則性)に基づく所定範囲(正常な状態を維持できるとみなせる範囲)に対して逸脱する場合に、推定された計測不可パラメータの状態値は異常が発生している状況と判定し、水質が異常状態であることを後述する運転制御部33へ出力する。なお、規則性の所定範囲から逸脱しているか否かの判断については、例えば、冷却塔80において散布された水の蒸発量と冷却塔水のCaの相関関係から導出された冷却塔水のCa硬度(冷却塔水のCa硬度の経験則値)に正常な状態を維持できるとみなせる所定のマージン(経験則値など)を加味した所定範囲の数値範囲から、推定された冷却塔水のCa硬度(冷却塔水のCa硬度の推定値)が外れている場合に、推定された冷却塔水のCa硬度(冷却塔水のCa硬度の推定値)を異常(水質に異常が発生している)と判定する。
また、水質診断部32は、推定された計測不可パラメータの状態値が、予め設定した規則性の所定範囲に対して逸脱していない場合には、推定された計測不可パラメータの状態値と、予め設定した基準値(正常範囲)とを比較する。すなわち、水質診断部32は、推定された計測不可パラメータの状態値である冷却塔水のCa硬度が、予め設定した基準値(正常範囲)以上であるか否かを判定する。冷却塔水のCa硬度が、予め設定した基準値(正常範囲)以上でなければ、水質に異常が発生していないとして、水質が正常状態であることを後述する運転制御部33へ出力する。
また、水質診断部32は、冷却塔水のCa硬度が、予め設定した規則性の所定範囲に対して逸脱していない場合でありながら、予め設定した基準値(正常範囲)以上であると判定した場合には、水質に軽微な異常が発生しているとして、水質が準異常状態であることを後述する運転制御部33へ出力する。
このように、水質診断部32は、推定された計測不可パラメータの状態値(冷却塔水のCa硬度)に対して異常診断を行い、正常状態、準異常状態、及び異常状態のいずれか1つを診断結果として後述する運転制御部33へ出力する。
運転制御部33は、水質診断部32より水質診断結果(正常状態、準異常状態、または異常状態)が入力され、水質診断結果に基づいて、発電プラントに対する所定の運転制御を行う。運転制御部33は、水質診断部32から水質が正常状態であることが入力された場合に、発電プラントの運転を継続させる。また、運転制御部33は、水質診断部32から水質が異常状態であることが入力された場合に、発電プラントの運転を停止させる。
運転制御部33は、水質診断部32から水質が準異常状態であることが入力された場合に、計測不可パラメータの状態値を基準値以下(正常範囲内)とするように予め設定された水質改善制御の運転制御を行う。水質改善制御とは、例えば、ブロー制御である。本実施形態において、計測不可パラメータを冷却塔水のCa硬度としているため、水質が異常状態とは、冷却塔水のCa硬度が基準値(正常範囲)より少し高くなっている状態である。このため、冷却塔水のCa硬度が高くなった要因の改善対策が可能であれば実施して、ブロー制御では、冷却塔水の排水量(ブロー水量)を減らし、冷却塔水を補給水で希釈する。このようにすることで、冷却塔水のCa硬度を低減することができる。なお、ブロー制御において、過去所定期間内におけるブローの実施回数(頻度)が所定の閾値を超えた場合には、水質改善制御後でも再度水質が異常となることが予測されるため、発電プラントの運転を停止させることとしてもよい。
次に、上述の水質監視装置30における処理について図12を参照して説明する。図12に示すフローは、発電プラントが運転している場合に所定の制御周期で繰り返し実行される。なお、図12のフローは、発電プラントの運転員等によって水質診断開始の指令があった場合に開始することとしてもよい。なお、図12において、左から、状態推定部31における処理、水質診断部32における処理、運転制御部33における処理を示す。
所定の計測パラメータの状態値を取得する(S301)。なお、S301では、発電プラントに設けた各センサ等から計測パラメータの状態値が入力される。具体的には例えば、計測パラメータの状態値として、センサSc1から取得した冷却塔80の補給水入口付近における補給水のEC、pH、Mアルカリ度、Ca硬度、Cl、SO4(硫酸濃度)、Si、センサSc2から取得した冷却塔水の出口付近に設けられ、出力された冷却塔水の温度(冷却塔水出口温度)、残留塩素、pH、EC、及びその他のセンサから取得した補機81から冷却塔80に戻ってきた冷却塔水の温度(冷却塔水入口温度)、濃縮倍率、水槽83の冷却塔水のEC(冷却塔水EC)、pH(冷却塔水pH)が入力される。
そして、計測パラメータの状態値に基づいてセンサの異常診断を行う(S302)。センサの異常が検出されたかった場合(S302のNO判定)には、計測パラメータの状態値に基づいて計測不可パラメータである冷却塔水のCa硬度を推定する(S303)。
また、センサの異常が検出された場合(S302のYES判定)には、計測パラメータの状態値に対してマスキング等の処理を行う(S304)。そして、処理後の状態値に対して異常診断を行い(S305)、異常が検出された場合(S305のYES判定)には、センサの異常をプラントの運転員等に通知する(S306)。
また、処理後の状態値に対して異常が検出されなかった場合(S305のNO判定)には、異常が解消された計測パラメータの状態値に基づいて計測不可パラメータである冷却塔水のCa硬度を推定する(S303)。
そして、推定された冷却塔水のCa硬度を予め設定した規則性(経験則など)の所定範囲と比較する(S307)。推定された冷却塔水のCa硬度が規則性の所定範囲に対して逸脱している場合(S307のYES判定)には、異常状態として発電プラントを停止させる(S308)。
また、推定された冷却塔水のCa硬度が規則性の所定範囲に対して逸脱していない場合(S307のNO判定)には、推定された冷却塔水のCa硬度が予め設定した基準値(正常範囲)以上であるか否かを判定する(S309)。
推定された冷却塔水のCa硬度が予め設定した基準値(正常範囲)以上でない場合(S309のNO判定)には、正常状態として発電プラントの運転を継続させる(S310)。
また、推定された冷却塔水のCa硬度が予め設定した基準値(正常範囲)以上である場合(S309のYES判定)には、準異常状態として、水質の軽微な異常を改善するために、予め設定した所定の水質改善制御(ブロー制御)を実行する(S311)。
なお、水質改善制御の頻度を算出し、該頻度が予め設定した閾値以上である場合には、発電プラントの運転を停止させ、頻度が予め設定した閾値以上でない場合には、水質改善制御を継続して実行することとしてもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る発電プラントの水質監視システム、及びその水質監視方法並びに水質監視プログラム、発電プラントによれば、計測を行うことなく計測不可パラメータの状態値(本実施形態では、冷却塔水のCa硬度)を推定して得ることができ、逐次取得可能な計測パラメータの状態値の取得時に計測不可パラメータの状態値を推定して取得することも可能となる。そして、計測不可パラメータの状態値を逐次取得可能な計測パラメータの状態値の取得時推定することで、より細やかな水質診断が可能となり、より迅速に故障等の予兆を認識することが可能となる。また、逐次取得可能な計測パラメータの状態値の取得時に推定した計測不可パラメータの状態値に基づく水質診断の結果によって発電プラントを運転制御することができるため、水質異常等発生を迅速に検知して異常に対して迅速な対応を行うことが可能となり、故障等による運転停止を未然に防止でき、被害を最小限に抑えることが可能となる。また、故障を未然に防止することができるため、予期せぬ故障の発生率を抑制するとともに計画的な補修対応の機会が向上して、発電プラント1の稼働率をより最大化させることが可能となる。
また、逐次取得可能な計測パラメータの状態値の取得時に冷却塔水の水質を推定することも可能であるため、冷却塔水の水質を正確に把握でき、冷却塔水の過度な水質管理を抑制することが可能となる。すなわち、冷却塔水の過度な排水や補給水の過度な補給等を抑制することができ、使用する水及び薬品を節約し、環境負荷を低減することが可能となる。
本発明は、上述の実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々変形実施が可能である。なお、各実施形態を組み合わせることも可能である。