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JP7246905B2 - 密封装置 - Google Patents

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JP7246905B2 JP2018228666A JP2018228666A JP7246905B2 JP 7246905 B2 JP7246905 B2 JP 7246905B2 JP 2018228666 A JP2018228666 A JP 2018228666A JP 2018228666 A JP2018228666 A JP 2018228666A JP 7246905 B2 JP7246905 B2 JP 7246905B2
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本発明は、密封装置に関する。
自動車や汎用機械などの分野では、ハウジングに設けられた開口を貫通する部材を密封するために、密封装置が用いられている。
例えば特許文献1には、ロッカーカバーが有する点火栓装着用のパイプを挿入するための開口に設けられたオイルシールが記載されている。特許文献2、3に記載されているのは、エンジンのクランクシャフトをシールするオイルシールである。
特許文献1は、ロッカーカバーの下面にバッフルプレートを溶着し、ロッカーカバーとバッフルプレートとの間にオイルシールを配置した構成例を開示している(文献1の段落[0008]~[0010]、図1参照)。オイルシールの外周にはオイルシール支持体が溶着され、ロッカーカバーとバッフルプレートとの間にはオイル支持体が嵌り込んで支持される。オイル支持体は、バッフルプレートに溶着される。
特許文献2は、エンジンカバーに設けたクランクシャフト用の開口(クランクシャフト用孔12)にオイルシールを設け、開口を貫通するクランシャフトをシールする構成例を開示している(文献2の段落[0009]~[0015]参照)。
特許文献3は、タイミングチェーンカバーに設けた開口(貫通孔22)にオイルシールを設け、開口を貫通するクランクシャフトをシールする構成例を開示している(文献3の段落[0029][0033]~[0036]参照)。
特許文献1のロッカーカバー、特許文献2のエンジンカバー、及び特許文献3のタイミングチェーンカバーは、いずれもハウジングの一部を構成する。上記「開口を貫通する部材」は、特許文献1では点火栓装着用のパイプ、特許文献2、3ではクランクシャフトである。
特開平06-034153号公報 特開平07-055015号公報 特開2015-121300号公報
自動車の分野は、いつの時代も軽量化を課題としている。とりわけ近年、世界的なエネルギー問題を背景に省エネルギー化の要請が高まり、軽量化はより一層重要性を帯びている。軽量化の手法として一般的に用いられるのは、材料の見直しである。
例えば特許文献1の構成例は、ロッカーカバー、オイルシール支持体、及びバッフルプレートの材料として、合成樹脂を用いている(文献1の段落[0008]参照)。特許文献2の構成例は、エンジンカバーを成形プラスチックで製造する(文献2の段落[0009]参照)。特許文献3の構成例は、タイミングチェーンカバーを樹脂材料であるポリアミドから構成している(文献3の段落[0029]参照)。こうして特許文献1~3に示される構成例ではハウジングや密封装置の一部に樹脂部品が用いられ、軽量化が図られている。
樹脂製のハウジングを用いた場合、熱による変形が問題になる。樹脂製のハウジングは金属製のハウジングに対して熱膨張による寸法変化が大きく、クリープ変形も大きいからである。密封装置に樹脂部品を用いた場合にも同様の問題が発生する。このためハウジングや密封装置が熱によって変形したとき、開口と密封装置との間の密接力が低下し、密封流体の漏れが発生したり、場合によっては密封装置の抜けが発生したりしてしまう。
改善が望まれる。
密封装置の抜けの問題に対しては、抜け止め構造によってその解決を図ることが可能である。特許文献1~3も、密封装置の抜け止め構造を採用している。ところが抜け止め構造は部品点数を増加させ、構造の複雑化を招く。これによって部品コストや製造コストの上昇、組立工数の増加という新たな問題が引き起こされる。
改善が望まれる。
本発明の課題は、樹脂部品に熱による変形が発生しても、簡単な構造によって密封流体の漏れや密封装置の抜けを生じさせないようにすることである。
密封装置の一態様は、ハウジングに設けられた開口に装着され、前記開口の奥に段形状に設けられた受け面に奥側の端面を突き当てる円筒形状をした樹脂製の樹脂環と、前記樹脂環に固定され、前記開口に配置される部材の表面に密接するゴム製のシールリップと、前記樹脂環の外周面に設けられ、前記開口の内周面とねじ結合するねじ締結部と、前記樹脂環の奥側の端面に環状に設けられ、前記ハウジングの受け面に密接するシールとを備え、前記シールは、前記樹脂環の奥側の端面に凹状に設けられた環状溝に嵌るリング状のシール材であり、前記環状溝に収まりきらず、前記樹脂環の奥側の端面を前記ハウジングの受け面に対して非接触状態にする。
脂部品に熱による変形が発生しても、簡単な構造によって密封流体の漏れや密封装置の抜けを生じさせないようにすることができる。
実施の一形態として、ハウジングに保持された密封装置をクランクシャフトの軸心上で切断して半分のみ示す水平断面図。 密封装置をクランクシャフトの軸心上で切断して半分のみ示す水平断面図。 シールが嵌め込まれた樹脂環を示す斜視図。 別の実施の一形態として、密封装置をクランクシャフトの軸心上で切断して半分のみ示す水平断面図。 別の実施の一形態として、密封装置をクランクシャフトの軸心上で切断して半分のみ示す水平断面図。 別の実施の一形態として、密封装置をクランクシャフトの軸心上で切断して半分のみ示す水平断面図。
実施の一形態を図1ないし図3に基づいて説明する。本実施の形態は、ハウジングの一部を構成するエンジンのクランクケースに設けられ、クランクシャフトをシールする密封装置の一例を示す。
図1に示すように、クランクケース11には開口12が設けられ、一点鎖線で示すクランクシャフト31が貫通している。開口12には密封装置101が装着されている。密封装置101はクランクシャフト31をシールしている。図1中、Aは機外側、Bは機内側である。
クランクケース11は樹脂製である。開口12の内周面は段形状に形成されており、大径部12aと小径部12bとを有している。段形状は、大径部12aと小径部12bとを開口12の軸方向と直交する方向に沿った面で連絡させた形状である。この面は、機外A側から開口12を見たとき、大径部12aと小径部12bとの間に出現する開口12の奥に段形状に設けられた面である。本実施の形態では、この面を受け面13と呼ぶ。
開口12の軸は、開口12を貫通するクランクシャフト31及び密封装置101の軸と一致している。図1中、この軸をCで示す。
開口12の内周面において、大径部12aは小径部12bよりも軸方向に長い領域を占めている。この大径部12aには、内周面に雌ねじ14が形成されている。
図2に示すように、密封装置101は、樹脂環111の内周面にゴム状弾性体131が架橋接着されて形成されている。ゴム状弾性体131は、シールリップ132とダストリップ141とを一体に成形している。
図1ないし図3に示すように、樹脂環111は、円筒形状を有する樹脂製の環状部材である。樹脂環111は、ねじ結合部としての雄ねじ112を外周面に形成している。この雄ねじ112は、クランクケース11の開口12内に設けられた雌ねじ14にねじ結合される。雄ねじ112は、樹脂環111に一体に成形されている。
樹脂環111は、開口12内の雌ねじ14に雄ねじ112がねじ込まれていくことで開口12の奥に向けて進行し、奥側の端面113を受け面13に突き当てる。奥側の端面113には、樹脂環111と同心円上に凹状の環状溝114が設けられている。この環状溝114には、シールとしてのOリング115が嵌められている。環状溝114は、Oリング115を端面113から突出させる深さに形成されている。
樹脂環111は、内周面を段形状に形成し、大径部116aと小径部116bとを有している。大径部116aは、奥側の端面113に近い側の内周面である。小径部116bは、手前側の端面117に近い側の内周面である。樹脂環111の内周面の段形状は、大径部116aと小径部116bとを密封装置101の軸Cの方向と直交する方向に沿った面で連絡させた形状である。本実施の形態では、この面をステップ面118と呼ぶ。
ゴム状弾性体131は、樹脂環111の内周面に対して、小径部116bとステップ面118とに跨って接着されている。小径部116bに接着されている部分は比較的厚く、シールリップ132とダストリップ141とに連続している。ステップ面118に接着されているゴム状弾性体131は、膜状である。
シールリップ132は、ダストリップ141よりも機内B側に設けられた環状の部材である。シールリップ132は、機内B側の斜面である内斜面133と機外A側の斜面である外斜面134とが交わる頂部をリップ端135とする断面三角形形状を有している。リップ端135はクランクシャフト31に密接し、機内B側の空間と機外A側の空間とを画し、二つの空間をシールする。
ゴム状弾性体131は、シールリップ132のリップ端135の裏側に当たる位置に、断面半円形状の装着溝136を備えている。装着溝136には、コイルスプリングの両端を環状につないだガータスプリング137が嵌め込まれている。ガータスプリング137は、その緊締力によって、クランクシャフト31に対するシールリップ132のリップ端135の密接力を高める。
ダストリップ141は、シールリップ132よりも機外A側に設けられ、機外A側に向けてリップ端142を斜めに延ばす環状の部材である。機外A側に延びるダストリップ141のリップ端142は、クランクシャフト31に密接している。ダストリップ141は、機外A側から機内B側への汚泥や埃塵などの異物の侵入を防止する。
樹脂環111は、手前側の端面117に、樹脂環111を回転させる図示しない治具と嵌り合う装着部119を設けている。装着部119は、手前側の端面117の周上に沿って複数個配置された窪み状のものである。治具は、これらの装着部119に図示しない爪を嵌め込み、樹脂環111を回転させることができる。
作用について説明する。
クランクケース11に密封装置101を装着するには、クランクシャフト31を貫通させた状態の密封装置101を開口12に嵌め込む。開口12には雌ねじ14が形成されているので、この雌ねじ14に樹脂環111の雄ねじ112をねじ込んでいく。
この作業は、図示しない治具の爪を樹脂環111の手前側の端面117に設けた装着部119に嵌め込み、治具によって密封装置101を回転させることによって行う。密封装置101は開口12内にねじ込まれ、やがて奥側の端面113に設けたOリング115を開口12内の受け面13に突き当てる。この状態からさらにねじ込むと、密封装置101は完全に締め込まれてクランクケース11に装着される。
クランクケース11に対する密封装置101の装着時、Oリング115は受け面13に密接してシール作用を生ずるため、奥側の端面113は、受け面13に対して接触状態になっていても非接触状態のままであってもいずれでもよい。奥側の端面113は、押し潰されて変形したOリング115が環状溝114内に収まる場合には受け面13に対して接触するし、環状溝114内に収まりきらない場合には受け面13に対して非接触状態になる。
クランクケース11に装着された密封装置101は、シールリップ132のリップ端135をクランクシャフト31に密接させ、機内Bから機外Aへのオイルの漏れ出しを防止する。ダストリップ141は、機外A側から機内B側への汚泥や埃塵などの異物の侵入を防止する。
密封装置101は、開口12内の受け面13に樹脂環111の奥側の端面113を接触状態又はOリング115を介して非接触状態で突き当て、Oリング115を受け面13に密接させてシールしている。これによって開口12と樹脂環111との間の隙間からのオイル漏れも防止される。
樹脂は金属に対して熱膨張による寸法変化が大きく、クリープ変形も大きい。エンジンが暖まり、その熱がクランクケース11に伝導すると、クランクケース11は変形する。このとき本実施の形態の密封装置101は、クランクケース11の開口12と密封装置101の樹脂環111とが雌ねじ14と雄ねじ112とでねじ結合しているため、開口12の内径が拡大しても、開口12から密封装置101を脱落させてしまうことがない。
しかも密封装置101の樹脂環111も樹脂製であるため、クランクケース11に伝導した熱は樹脂環111にも伝導し、樹脂環111はその外径を拡大する傾向になる。このため開口12と樹脂環111との間のねじ結合が緩みにくくなり、Oリング115によるオイル漏れ防止作用を維持することができる。
したがって本実施の形態によれば、樹脂部品であるクランクケース11や密封装置101の樹脂環111に熱による変形が発生しても、簡単な構造によってオイル漏れや密封装置101の抜けを生じさせないようにすることができる。
その他本実施の形態によれば、つぎに示す作用効果も奏する。
クランクケース11の開口12と密封装置101の樹脂環111とは、雌ねじ14と雄ねじ112とによるねじ結合によって装着されるため、クランクケース11に対する密封装置101の着脱作業が容易である。しかも密封装置101の着脱によって開口12が損傷しないため、クランクケース11や樹脂環111の再利用が可能である。
ねじ締結部をなす雄ねじ112は、樹脂環111に一体成形されている。したがって雄ねじ112を設けたことによる部品点数の増加を抑えることができ、樹脂環111に雄ねじ112を組み込む作業も不要になって作業の省力化を図ることもできる。
開口12と樹脂環111との間のシールは、樹脂環111の奥側の端面113に設けた環状溝114にOリング115を嵌めるだけという簡単な構成によって実現されるので、部品コストの低減や構造の簡略化を図ることができる。
樹脂環111の手前側の端面117には、樹脂環111を回転させる治具と嵌り合う装着部119が設けられているので、装着部119に治具をセットすることで、クランクケース11の開口12に密封装置101を容易にねじ込むことができる。クランクケース11から突出させることなく密封装置101を装着することも可能になるため、密封装置101を設けることによる開口12の入口付近の大型化も防止することができる。
別の実施の形態を図4に基づいて説明する。
本実施の形態は、開口12と樹脂環111との間のシールとして、Oリング115に替えて角シール201を設けた一例である。角シール201も、リング状のシール材という点ではOリング115に共通する。Oリング115と相違するのは、開口12内の受け面13に対する密接力をより一層強化することが可能になる点である。受け面13に対する密接力を高める必要がある場合、角シール201の採用は有利に働く。
図4に示す一例では、角シール201は環状溝114内に余裕なく収められている。このためクランクケース11に対する密封装置101の装着時、押し潰されて変形した角シール201は環状溝114内に収まりきらず、奥側の端面113は、受け面13に対して非接触状態になる。
さらに別の実施の形態を図5に基づいて説明する。
本実施の形態は、開口12と樹脂環111との間のシールとして、Oリング115及び角シール201に替えて、ガスケット211を設けた一例である。ガスケット211も、リング状のシール材という点ではOリング115及び角シール201に共通する。Oリング115及び角シール201と相違するのは、形状の自由度が高いという点である。
例えば図5に示すガスケット211は、周方向の内周側と外周側とにリップ端212が二列並んだような形状を有している。ガスケット211は、各列のリップ端212によって、開口12内の受け面13に対する密接領域を増やし、シール性を高めることが可能である。
図5に示す一例では、ガスケット211は環状溝114内に余裕なく収められている。このためクランクケース11に対する密封装置101の装着時、押し潰されて変形したガスケット211は環状溝114内に収まりきらず、奥側の端面113は、受け面13に対して非接触状態になる。
さらに別の実施の形態を図6に基づいて説明する。
本実施の形態のシールは、樹脂環111の奥側の端面113に層状に固定されたゴム製のシート221である。Oリング115、角シール201、及びガスケット211はいずれもリング状のシール材であるのに対して、本実施の形態はシート状のシール材である点で相違する。シート221は、シールリップ132及びダストリップ141を形成するゴム状弾性体131と一体成形されており、大径部116aを経由して奥側の端面113に回り込んでいる。シート221は、端面113の全面又は一部に設けられている。
開口12に装着された密封装置101は、開口12内の受け面13に、シート221を介して樹脂環111の奥側の端面113を突き当て、シート221を受け面13に密接させてシールする。これによって開口12と樹脂環111との間の隙間からのオイル漏れを防止することができる。
本実施の形態によれば、奥側の端面113の全面、あるいは一部に設けたシート221によって、開口12内の受け面13を広い面積でシールする。これによって開口12と密封装置101との間のシール作用を高めることができる。
本実施の形態によれば、樹脂環111に対するゴム状弾性体131の接着時にシート221をゴム状弾性体131と一体に形成することができるので、製造と組立の容易化を図ることができる。
以上、四つの実施の形態を紹介した。これらの実施の形態の実施に際しては、各種の変形や変更が可能である。
11 クランクケース(ハウジング)
12 開口
12a 大径部
12b 小径部
13 受け面
14 雌ねじ
31 クランクシャフト(開口に配置される部材)
101 密封装置
111 樹脂環
112 雄ねじ(ねじ締結部)
113 奥側の端面
114 環状溝
115 Oリング(シール、リング状のシール材)
116a 大径部
116b 小径部
117 手前側の端面
118 ステップ面
119 装着部
131 ゴム状弾性体
132 シールリップ
133 内斜面
134 外斜面
135 リップ端
136 装着溝
137 ガータスプリング
141 ダストリップ
142 リップ端
201 角シール
211 ガスケット
A 機外
B 機内

Claims (6)

  1. ハウジングに設けられた開口に装着され、前記開口の奥に段形状に設けられた受け面に奥側の端面を突き当てる円筒形状をした樹脂製の樹脂環と、
    前記樹脂環に固定され、前記開口に配置される部材の表面に密接するゴム製のシールリップと、
    前記樹脂環の外周面に設けられ、前記開口の内周面とねじ結合するねじ締結部と、
    前記樹脂環の奥側の端面に環状に設けられ、前記ハウジングの受け面に密接するシールと、
    を備え
    前記シールは、
    前記樹脂環の奥側の端面に凹状に設けられた環状溝に嵌るリング状のシール材であり、
    前記環状溝に収まりきらず、前記樹脂環の奥側の端面を前記ハウジングの受け面に対して非接触状態にする、
    密封装置。
  2. 前記ねじ締結部は、前記樹脂環に一体成形されている、
    請求項1に記載の密封装置。
  3. 前記シールは、Oリングである、
    請求項1に記載の密封装置。
  4. 前記シールは、周方向と直交する方向に断面にした形状を矩形形状とする角シールである、
    請求項1に記載の密封装置。
  5. 前記シールは、周方向と直交する方向に断面にした形状として、前記樹脂環の周方向の内周側と外周側とに前記ハウジングの受け面に突き当たるリップ端が二列並んだ形状を有するガスケットである、
    請求項に記載の密封装置。
  6. 前記樹脂環の手前側の端面には、前記樹脂環を回転させる治具と嵌り合う装着部が設けられている、
    請求項1に記載の密封装置。
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