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JP7126554B2 - ダイレータ - Google Patents

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Description

本発明は、ダイレータに関する。
胃や肝臓などの臓器等の壁に形成された孔や、胆管や膵管などの体腔内の狭窄部を拡張するための器具として、例えば、テーパ部を有するシャフトの外周に素線を巻き付けて螺旋ねじを形成したダイレータが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このようなダイレータによれば、シャフトの先端を孔などに挿入した後、これを回転することで螺旋ねじのネジ作用によりシャフトを前進させたり、直線的に押し込んで前進させることで、そのテーパ部により孔の拡張がなされる。
特表2014-524807号公報
しかしながら、上述したような素線を巻き付けて螺旋ねじを形成したダイレータでは、シャフトを直線的に押し込んだり引く抜く際、素線が接触物に当たって中空シャフトにかかる抵抗が大きくなるため、ダイレータの円滑な進退を妨げてしまう虞がある。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、螺旋状の凸部を備え、中空シャフトの回転による推進および/または後退の他、直線的な押し込みおよび/または引き抜きも円滑に行うことが可能なダイレータを提供することにある。
本開示のいくつかの態様は、
(1)先端から基端に向かって拡径するテーパ部を有する中空シャフトと、この中空シャフトの外周面上に設けられ、前記中空シャフトの軸方向に沿って隣り合う部分の間に隙間を有する螺旋状の凸部と、を備えているダイレータであって、
前記螺旋状の凸部は、前記螺旋状の凸部の横断面において前記外周面からの高さが最も高い頂部と、
この頂部から前記外周面に向かって延在する外部に面した側面部と、を有し、
前記螺旋状の凸部の横断面において、前記側面部が、先端方向および/または基端方向に向かうにつれて、前記外周面から前記頂部までの間に略直線的に傾斜する傾斜面を有していることを特徴とするダイレータ、
(2)前記螺旋状の凸部の横断面における前記側面部の輪郭線が、凹状の部位を含んでいる前記(1)に記載のダイレータ、
(3)前記螺旋状の凸部が、素線を前記中空シャフトの前記外周面上に巻回したコイル体で形成されている前記(1)または(2)に記載のダイレータ、並びに
(4)前記コイル体と前記中空シャフトとが接合部にて接合されており、
前記傾斜面の少なくとも一部が、前記接合部直上の前記コイル体の部位に配置されている前記(3)に記載のダイレータ、である。
なお、本明細書において、「先端方向」とは、中空シャフトの軸方向に沿う方向であって、本体部に対してテーパ部が位置する方向を意味する。また、「基端方向」とは、ダイレータの軸方向に沿う方向であって、先端方向と反対の方向を意味する。また、「先端」とは、任意の部材または部位における先端方向の端部、「基端」とは、任意の部材または部位における基端方向の端部をそれぞれ示す。
本発明は、中空シャフトの回転による推進および/または後退の他、直線的な押し込みおよび/または引き抜きも円滑に行うことが可能なダイレータを提供することができる。
本発明の第1の実施形態の全体を示す概略的側面図である。 図1の螺旋状の凸部を拡大して示す概略的端面図である。 図1の変形例であって螺旋状の凸部を拡大して示す概略的端面図である。 図1の変形例であって螺旋状の凸部を拡大して示す概略的端面図である。 図1の変形例であって螺旋状の凸部を拡大して示す概略的端面図である。 図1の変形例であって螺旋状の凸部を拡大して示す概略的端面図である。 図1の変形例であって螺旋状の凸部を拡大して示す概略的端面図である。 本発明の第2の実施形態の螺旋状の凸部を拡大して示す概略的端面図である。 図4の変形例であって螺旋状の凸部を拡大して示す概略的端面図である。 図4の変形例であって螺旋状の凸部を拡大して示す概略的端面図である。 図4の変形例であって螺旋状の凸部を拡大して示す概略的端面図である。 本発明の第3の実施形態の全体を示す概略的側面図である。 図6の螺旋状の凸部を拡大して示す概略的端面図である。 図6の変形例であって螺旋状の凸部を拡大して示す概略的端面図である。 図6の変形例であって螺旋状の凸部を拡大して示す概略的端面図である。 図6の変形例であって螺旋状の凸部を拡大して示す概略的端面図である。 図6の変形例であって螺旋状の凸部を拡大して示す概略的端面図である。 図6の変形例であって螺旋状の凸部を拡大して示す概略的端面図である。 本発明の第4の実施形態の螺旋状の凸部を拡大して示す概略的端面図である。 本発明の第5の実施形態の螺旋状の凸部を拡大して示す概略的端面図である。 図10の変形例であって螺旋状の凸部を拡大して示す概略的端面図である。 図10の変形例であって螺旋状の凸部を拡大して示す概略的端面図である。 図10の変形例であって螺旋状の凸部を拡大して示す概略的端面図である。 図10の変形例であって螺旋状の凸部を拡大して示す概略的端面図である。 本発明の変形例の要部を示す一部切り欠き概略的側面図である。 本発明の変形例の要部を示す一部切り欠き概略的側面図である。 本発明の変形例の要部を示す一部切り欠き概略的側面図である。 本発明の変形例の要部を示す一部切り欠き概略的側面図である。
当該ダイレータは、先端から基端に向かって拡径するテーパ部を有する中空シャフトと、この中空シャフトの外周面上に設けられ、上記中空シャフトの軸方向に沿って隣り合う部分の間に隙間を有する螺旋状の凸部と、を備えているダイレータであって、上記螺旋状の凸部は、上記螺旋状の凸部の横断面において上記外周面からの高さが最も高い頂部と、 この頂部から上記外周面に向かって延在する外部に面した側面部と、を有し、上記螺旋状の凸部の横断面において、上記側面部が、上記中空シャフトの先端方向および/または基端方向に向かうにつれて、上記外周面から上記頂部までの間に略直線的に傾斜する傾斜面を有していることを特徴とする。
以下、本発明の第1~第5の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、当該図面に記載の実施形態にのみ限定されるものではない。また、各図面に示したダイレータの寸法は、実施内容の理解を容易にするために示した寸法であり、実際の寸法に対応するものではない。また、各図面に図示した軸Zは、先端部、テーパ部および本体部それぞれの中心軸、並びに中空シャフトの中心軸を示す。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態の全体を示す概略図である。当該ダイレータ1は、図1に示すように、概略的に、中空シャフト11と、螺旋状の凸部21と、基部31とにより構成されている。
中空シャフト11はテーパ部111を有する部材である。本実施形態では、中空シャフト11は、テーパ部111と共に、先端部112と本体部113と内腔11hとを有している。
テーパ部111は、先端から基端に向かって拡径する部位である。このテーパ部111は、具体的には、後述する本体部113の先端に接続され、この先端から先端方向に向かって延設されており、先端方向に向かうにつれて先細る形状(先端の外径が基端の外径よりも小さい形状)をなしている。
先端部112は、基端がテーパ部111の先端に位置しテーパ部111の軸方向における先端方向に向かって延設された部位である。この先端部112は、具体的には、例えば、基端がテーパ部111の先端に連続し、その先端から基端に亘って略一定の外径を有している。
本体部113は、先端がテーパ部111の基端に位置しテーパ部111の軸方向における基端方向に向かって延設された部位である。この本体部113は、具体的には、例えば、先端が上述したテーパ部111の基端に連続すると共に、基端が後述する基部31に接続されている。本体部113は、その先端から基端に亘って略一定の外径を有している。
なお、中空シャフト11は、上述した先端部112、テーパ部111および本体部113どうしが一体または別体として形成することができる。本実施形態では、先端部112とテーパ部111と本体部113とが鋳造等で一体的に形成されている。
内腔11hは、例えばガイドワイヤ(不図示)等を挿通する貫通孔である。この内腔11hは、ガイドワイヤ等が自由に挿通できるように、中空シャフト11の先端と基端との間を結ぶ連続した空間で構成されている。
上述した中空シャフト11を構成する材料としては、体腔内に挿通されることから、抗血栓性、可撓性および生体適合性を有していることが好ましく、例えば、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などの樹脂材料;ステンレス鋼、超弾性合金(ニッケル-チタン合金)などの金属材料等を採用することができる。
なお、先端部112、テーパ部111および本体部113は、その表面(外周面s11)の側に各種の被膜(不図示)を有していてもよい。この被膜としては、例えば、先端部112、テーパ部111および本体部113の表面を保護するための保護膜(代表例、めっき膜)、先端部112、テーパ部111および本体部113と後述する螺旋状の凸部21との密着性を向上させるための下地膜等が挙げられる。
螺旋状の凸部21は、中空シャフト11の外周面s11上に設けられ、中空シャフト11の軸方向に沿って隣り合う部分の間に隙間213を有する。この螺旋状の凸部21は、具体的には、例えば、シャフト11の外周面s11から中空シャフト11の径方向外側に向かって突出し、隣り合う凸部21どうしが軸方向に離間する(隙間213を有する)ように配置されている。
ここで、螺旋状の凸部21は、図2に示すように、上記凸部21の横断面において外周面s11からの高さが最も高い頂部211と、この頂部211から外周面s11に向かって延在する外部に面した側面部212とを有している。また、螺旋状の凸部21は、螺旋状の凸部21の横断面において、側面部212が、先端方向および/または基端方向に向かうにつれて、外周面s11から頂部211までの間に略直線的に傾斜する傾斜面212a(軸Zの径外方に臨みかつ軸Zに対して単調に傾斜する略平面状の斜面であって、上記斜面上の任意の点と軸Zとの距離が、先端方向または基端方向に向かうにつれて漸次小さくなるように形成された斜面)を有している。この傾斜面212aは、側面部212のうちのいずれかの部位に形成されていればよく、例えば、頂部の先端や基端から外周面s11に亘って形成されているもの、頂部の先端や基端から側面部の中途に亘って形成されているもの、側面部の中途から外周面s11に亘って形成されているもの等を採用することができる。本実施形態では、螺旋状の凸部21が、先端方向に面する側面部212に平面状の傾斜面212a1を有しており、傾斜面212a1が頂部211の先端から側面部212の中途に亘って形成されている。
なお、螺旋状の凸部21は、軸方向に連続または断続した一条または多条の突起部として形成することができる。また、螺旋状の凸部21は、中空シャフト11と一体または別体のどちらであってもよい。本実施形態では、螺旋状の凸部21は、連続した一条の突起部として形成されており、鋳造等で中空シャフト11と一体的に形成されている。
ここで、螺旋状の凸部21は、刃物を構成していない(生体組織を切断する形状ではない)ことが好ましい。すなわち、螺旋状の凸部21は、その横断面(螺旋状の凸部21の螺旋方向に直交する断面)の形状において、シャフト11の径外方の端部(頂部211)が、鋭角の角部ではないことが好ましい。このような端部としては、例えば、鈍角の角部で構成された端部、曲線(例えば、円や楕円の一部を含む曲線など)を含む形状の角部で構成された端部等が挙げられる。これにより、当該ダイレータ1は、孔内面の生体組織を損傷することなく、対象物の孔を拡張することができる。
螺旋状の凸部21を構成する材料としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、例えば、ステンレス鋼、超弾性合金(ニッケル-チタン合金)などの金属材料;ポリアミド樹脂やフッ素樹脂などの生体適合性を有する樹脂材料等を用いることができる。
基部31は、手技者がダイレータ1を操作する部位である。この基部31は、先端が中空シャフト11における本体部113の基端に接続されており、この基部31にて中空シャフト11を回転させたり、中空シャフト11を直線的に押し込んだりすることで孔が拡張される。基部31は、シャフト11の内腔11hに連通する内腔31hを有しており(図1参照)、この内腔31hにガイドワイヤなどが挿入される。
ダイレータ1の各部における軸方向の長さは、通常、シャフト11全体が1,600mm~2,500mm、先端部112が0mm~100mm、テーパ部111が5mm~100mmである。シャフト11の各部における外径は、通常、先端部112、およびテーパ部111の先端が0.8mm~3.0mmであり、テーパ部111の基端、および本体部113が1.4mm~5.0mmである。シャフト11の内腔11hの内径は、通常、0.4mm~1.0mmである。螺旋状の凸部21の高さは、通常、0.125mm~0.5mmである。
本実施形態のダイレータ1の各部における軸方向の長さは、シャフト11全体が2,000mm、先端部112が10mm、テーパ部111が30mmである。シャフト11の各部における外径は、先端部112、およびテーパ部111の先端が1.84mm、テーパ部111の基端、および本体部113が2.64mmである。シャフト11の内腔11hの内径は、0.7mmである。螺旋状の凸部21の高さは0.3mmである。
次に、当該ダイレータ1の使用態様の一例について説明する。
まず、導入針(不図示)を用いて対象物を穿刺して孔を開ける。次いで、導入針の内腔にガイドワイヤ(不図示)を挿入した後、導入針を抜き取る。
次に、ガイドワイヤの基端を当該ダイレータ1の内腔11hに差し入れ、ダイレータ1を対象物の孔の部位(以下、「穿刺部」ともいう)まで押し進めて先端部112、テーパ部111の順で孔に挿入する。次いで、基部31を操作し、中空シャフト11を回転させたり、中空シャフト11を直線的に押し込んだりすることでこの中空シャフト11を前進させ、テーパ部111を穿刺部に通すことで孔を拡張する。
以上のように、当該ダイレータ1は、螺旋状の凸部21の横断面において、側面部212が先端方向に向かうにつれて外周面s11から頂部211までの間に略直線的に傾斜する傾斜面212aを有しているので、中空シャフト11の回転に伴う螺旋状の凸部21のネジ作用(推進力の発生)による推進の他、直線的な押し込みも円滑に行うことができ、これらを併用して効率よく孔を拡張することができる。これは、上記構成により中空シャフト11を前進する際の接触物との抵抗を減らすことができためであると推察される。
なお、当該ダイレータは、上述した傾斜面212aが、螺旋状の凸部における先端方向に面する側面部および基端方向に面する側面部のうちの少なくともいずれかに設けられていればよく、例えば、先端方向に面する側面部212m1の全部に傾斜面212am1を有するダイレータ1m1(図3A参照)、基端方向に面する側面部212m2の一部に傾斜面212am2を有するダイレータ1m2(図3B参照)、基端方向に面する側面部212m3の全体に傾斜面212am3を有するダイレータ1m3(図3C参照)、先端方向および基端方向それぞれに面する側面部212m41、212m42の一部に傾斜面212am41、212am42を有するダイレータ1m4(図3D参照)、先端方向および基端方向それぞれに面する側面部212m51、212m52の全部に傾斜面212am51、212am52を有するダイレータ1m5(図3E参照)などであってもよい。
傾斜面が基端方向に面しているダイレータ1m2~1m5によれば、中空シャフト11の逆回転に伴う螺旋状の凸部21のネジ作用(推進力の発生)による後退の他、直線的な引く抜きも円滑に行うことができる。また、傾斜面が先端方向および基端方向に面しているダイレータ1m4、1m5によれば、ダイレータ1m4、1m5を押し込む際は、中空シャフト11の回転に伴う螺旋状の凸部21のネジ作用(推進力の発生)による推進の他、直線的な押し込みも円滑に行うことができ、ダイレータ1m4、1m5を引き抜く際は、中空シャフト11の逆回転に伴う螺旋状の凸部21のネジ作用(推進力の発生)による後退の他、直線的な引く抜きも円滑に行うことができる。
[第2の実施形態]
図4は、本発明の第2の実施形態の螺旋状の凸部を拡大して示す概略的端面図である。当該ダイレータ2は、図4に示すように、概略的に、中空シャフト11と、螺旋状の凸部22と、基部31(不図示)とにより構成されている。当該ダイレータ2は、螺旋状の凸部22を備えている点で第1の実施形態と異なっている。なお、第1の実施形態と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。また、螺旋状の凸部22のうちの形状以外の構成は、第1の実施形態における螺旋状の凸部21の構成と同様であるため、その説明を省略する。
螺旋状の凸部22は、中空シャフト11の外周面s11上に設けられ、中空シャフト11の軸方向に沿って隣り合う部分の間に隙間223を有する。この螺旋状の凸部22は、螺旋状の凸部22の横断面において外周面s11からの高さが最も高い頂部221と、この頂部221から外周面s11に向かって延在する外部に面した側面部222と、を有し、螺旋状の凸部22の横断面において、側面部222が先端方向および/または基端方向に向かうにつれて、外周面s11から頂部221までの間に略直線的に傾斜する傾斜面222aを有している。
本実施形態の螺旋状の凸部22は、螺旋状の凸部22の横断面における側面部222の輪郭線が、凹状の部位(以下、単に「凹部」ともいう)222bを含んでいる。この螺旋状の凸部22は、具体的には、図4に示すように、例えば、先端方向に面する側面部222の一部に湾曲形状の凹部222b1を有するように構成することができる。
以上のように、当該ダイレータ2は、螺旋状の凸部22の横断面における側面部222の輪郭線が凹状の部位222b1を含んでいることで、螺旋状の凸部22の剛性を低減することができ、その結果、ダイレータ2の柔軟性を向上することができる。
なお、当該ダイレータ2は、上述した側面部222の輪郭線が凹部222bを含んでればよく、例えば、先端方向に面する側面部222m1の一部に湾曲形状の凹部222bm1を有するダイレータ2m1(図5A参照)、先端方向に面する側面部222m2の全部に多角形状(二以上の平面を組み合わせた形状)の凹部222bm2を有するダイレータ2m2(図5B参照)、先端方向および基端方向それぞれに面する側面部222m31、222m32に湾曲形状および多角形状の凹部222bm31、222bm32を有するダイレータ2m3(図5C参照)などであってもよい。
[第3の実施形態]
図6は、本発明の第3の実施形態の全体を示す概略的側面図である。当該ダイレータ3は、図6に示すように、概略的に、中空シャフト13と、螺旋状の凸部23と、基部31とにより構成されている。当該ダイレータ3は、中空シャフト13および螺旋状の凸部23を備えている点で第1の実施形態と異なっている。なお、第1の実施形態と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。また、中空シャフト13および螺旋状の凸部23のうちの形状以外の構成は、それぞれ第1の実施形態における中空シャフト11および螺旋状の凸部21の構成と同様であるため、その説明を省略する。
中空シャフト13はテーパ部131を有する部材である。この中空シャフト13は、テーパ部131と共に、先端部132と本体部133と内腔13hとを有している。テーパ部131は、先端の外径が基端の外径よりも小さい部位である。先端部132は、基端がテーパ部131の先端に位置しテーパ部131の軸方向における先端方向に向かって延設された部位である。本体部133は、先端がテーパ部131の基端に位置しテーパ部131の軸方向における基端方向に向かって延設された部位である。内腔13hは、例えばガイドワイヤ(不図示)等を挿通する貫通孔である。
本実施形態の中空シャフト13は、素線を中空シャフト13の軸周りへ巻回したコイル体13c(以下、「第1コイル体13c」ともいう)で形成されている。この第1コイル体13cは、例えば、1本または複数の素線を用い、中空シャフト13の軸方向に沿って隣り合う素線どうしが密着するように巻回することで形成することができる。なお、上述した中空シャフト13の先端部132、テーパ部131および本体部133は、それぞれ第1コイル体13cの外周面s13の形状に応じて画定される。また、第1コイル体13cの内側に形成された空間(図6の破線内側の領域)が内腔13hとなる。
図7は、本発明の第3の実施形態の螺旋状の凸部23を拡大して示す概略的端面図である。螺旋状の凸部23は、中空シャフト13の外周面s13上に設けられ、中空シャフト13の軸方向に沿って隣り合う部分の間に隙間233を有する。この螺旋状の凸部23は、図7に示すように、螺旋状の凸部23の横断面において外周面s13からの高さが最も高い頂部231と、この頂部231から外周面s13に向かって延在する外部に面した側面部232とを有している。また、螺旋状の凸部23は、螺旋状の凸部23の横断面において、側面部232が先端方向および/または基端方向に向かうにつれて、外周面s13から頂部231までの間に略直線的に傾斜する傾斜面232aを有している。
螺旋状の凸部23は、図7に示すように、素線を中空シャフト13の外周面s13上に巻回したコイル体23c(以下、「第2コイル体23c」ともいう)で形成されている。この第2コイル体23cは、具体的には、例えば、先端方向に面する側面部232の一部に傾斜面232aを有するように形成され、螺旋状の凸部23の横断面において、側面部232が先端方向に向かうにつれて、外周面s13から頂部231までの間に略直線的に傾斜する傾斜面232a1を有するように構成することができる。なお、上述の第2コイル体23cは、例えば、1本または複数本の素線を用い、一条または多条のコイル体として形成してもよい。
ここで、第1コイル体13cを構成する素線の直径は、通常、0.1mm~0.5mmであり、第2コイル体23cを構成する素線の直径は、通常、0.1mm~0.5mmである。本実施形態では、第1コイル体13cの素線の直径が0.21mmであり、第2コイル体23cの直径が0.36mmであるものが例示されている。
第1コイル体13cおよび第2コイル体23cを構成する素線の材料としては、例えば、それぞれ第1の実施形態において説明した先端部112、テーパ部111および本体部113を構成する材料、並びに螺旋状の凸部21を構成する材料として例示したものと同様の材料等が挙げられる。
ここで、第1コイル体13cと第2コイル体23cとは、例えば、第2コイル体23cの先端方向および基端方向の端部に位置する接合部(コイル体23cと中空シャフト13とが接合される部位、不図示)にて接合することができる。第1コイル体13cと第2コイル体23cとの接合方法としては、例えば、第1コイル体13cと第2コイル体23cとを直接的に接合する方法、第1コイル体13cと第2コイル体23cとを間接的に接合する方法等を採用することができる。
上述の直接的に接合するものとしては、例えば、YAGレーザなどのレーザ光を用いて加熱溶着する方法(レーザ溶接法)、第1コイル体13cと第2コイル体23cとが接する界面の接触抵抗等を利用して通電により溶接する方法(抵抗溶接法)等が挙げられる。他方、上述の間接的に接合するものとしては、例えば、Sn-Pb合金、Pb-Ag合金、Sn-Ag合金、Au-Sn合金などの金属ロウ等を用いて蝋付けする方法(蝋付け法)、接着剤により接着する方法、被膜を介して溶着する方法等が挙げられる。
これらの中で、上述した接合方法としては、ロウ材などの他の部材を用いる必要がない点で直接的に接合する方法が好ましく、無用な変形を防止する点で加圧が不要なレーザ溶接法がより好ましい。本実施形態では、第1コイル体13cと第2コイル体23cとが、所定の接合部にてレーザ溶接法により接合されている。
以上のように、当該ダイレータ3は、螺旋状の凸部23が第2コイル体23cで形成されているので、螺旋状の凸部23の柔軟性およびトルク伝達性を向上することができる。また、本実施形態では、上記第2コイル体23cに加え、中空シャフト13が第1コイル体13cで形成されているので、第1および第2コイル体13c、23cが相俟って柔軟性およびトルク伝達性をより向上することができる。
なお、当該ダイレータ3は、上述した傾斜面232aが、螺旋状の凸部23における先端方向に面する側面部および基端方向に面する側面部のうちの少なくともいずれかに設けられていればよく、例えば、先端方向に面する側面部232m1の全体に傾斜面232am1を有するダイレータ3m1(図8A参照)、基端方向に面する側面部232m2の一部に傾斜面232am2を有するダイレータ3m2(図8B参照)、基端方向に面する側面部232m3の全体に傾斜面232am3を有するダイレータ3m3(図8C参照)、先端方向および基端方向それぞれに面する側面部232m41、232m42の一部に傾斜面232am41、232am42を有するダイレータ3m4(図8D参照)、先端方向および基端方向それぞれに面する側面部232m51、232m52の全部に傾斜面232am51、232am52を有するダイレータ3m5(図8E参照)などであってもよい。なお、傾斜面が先端方向および/または基端方向に面しているダイレータによれば、第1の実施形態にて説明した効果と同様の効果を奏することができる。
[第4の実施形態]
図9は、本発明の第4の実施形態の螺旋状の凸部を拡大して示す概略的端面図である。当該ダイレータ4は、図9に示すように、概略的に、中空シャフト13と、接合部44と、螺旋状の凸部24と、基部31(不図示)とにより構成されている。当該ダイレータ4は、接合部44および螺旋状の凸部24を備えている点で第3の実施形態と異なっている。なお、第3の実施形態と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
螺旋状の凸部24は、第1コイル体13c(中空シャフト13)の外周面s13上に設けられ、第1コイル体13cの軸方向に沿って隣り合う部分の間に隙間243を有する。この螺旋状の凸部24は、螺旋状の凸部24の横断面において外周面s13からの高さが最も高い頂部241と、この頂部241から外周面s13に向かって延在する外部に面した側面部242と、を有し、螺旋状の凸部24の横断面において、側面部242が先端方向および/または基端方向に向かうにつれて、外周面s13から頂部241までの間に略直線的に傾斜する傾斜面242aを有している。
本実施形態の螺旋状の凸部24は、図9に示すように、先端方向に面する側面部242に傾斜面242a1が設けられており、この傾斜面242a1が接合部44(第1コイル体13cと第2コイル体24cとが接合される部位)直上の第2コイル体24cの部位に配置されている。なお、傾斜面242a1は、その少なくとも一部が接合部44の直上の螺旋状の凸部の部位に配置されていればよく、接合部44直上の部位以外の螺旋状の凸部24の部位にも傾斜面を有していてもよい。
接合部44の形成方法としては、例えば、第3の実施形態にて説明した第1コイル体13cと第2コイル体24cとの接合方法と同様の方法を採用することができる。本実施形態では、第1コイル体13cと第2コイル体24cとが、接合部にてレーザ溶接法により接合されている。
以上のように、当該ダイレータ4は、傾斜面242a1が接合部44直上の第2コイル体24cの部位に配置されていることで、接合部44上の螺旋状の凸部24と接触物(不図示)との抵抗を減らすことができ、かつ第2コイル体24cが第1コイル体13c(中空シャフト13)から外れてしまうことを防止することができる。
[第5の実施形態]
図10は、本発明の第5の実施形態の螺旋状の凸部を拡大して示す概略的端面図である。当該ダイレータ5は、図10に示すように、概略的に、中空シャフト13と、螺旋状の凸部25と、基部31(不図示)とにより構成されている。当該ダイレータ5は、螺旋状の凸部25を備えている点で第3の実施形態と異なっている。なお、第3の実施形態と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
螺旋状の凸部25は、第1コイル体13c(中空シャフト13)の外周面s13上に設けられ、第1コイル体13cの軸方向に沿って隣り合う部分の間に隙間253を有する。この螺旋状の凸部25は、螺旋状の凸部25の横断面において外周面s13からの高さが最も高い頂部251と、この頂部251から外周面s13に向かって延在する外部に面した側面部252と、を有し、螺旋状の凸部25の横断面において、側面部252が先端方向および/または基端方向に向かうにつれて、外周面s13から頂部251までの間に略直線的に傾斜する傾斜面252aを有している。
螺旋状の凸部25は、素線を第1コイル体13cの外周面s13上に巻回したコイル体25c(以下、「第2コイル体25c」ともいう)で形成されている。この第2コイル体25cは、例えば、先端方向に面する側面部252に、上述した傾斜面252aと、螺旋状の凸部25の横断面における側面部252の輪郭線が凹状の部位(凹部)252bとを含むように構成することができる。本実施形態では、凹部252bが湾曲形状の凹部252b1であるものが例示されている。
以上のように、当該ダイレータ5は、螺旋状の凸部25の横断面における側面部252の輪郭線が凹状の部位252b1を含んでいることで、螺旋状の凸部25の剛性を低減することができ、更には螺旋状の凸部25が第2コイル体25cで形成されているので、凹部252bと第2コイル体25cとが相俟って、ダイレータ5の柔軟性をより向上することができる。
なお、当該ダイレータ5は、上述した側面部252の輪郭線が凹部252bを含んでればよく、例えば、先端方向に面する側面部252m1の一部に湾曲形状の凹部252bm1を有するダイレータ5m1(図11A参照)、基端方向に面する側面部252m2の一部に湾曲形状の凹部252bm2有するダイレータ5m2(図11B参照)、基端方向に面する側面部252m3の全部に多角形状(二以上の平面を組み合わせた形状)の凹部252bm3を有するダイレータ5m3(図11C参照)、先端方向および基端方向それぞれに面する側面部252m41、252m42に湾曲形状および多角形状の凹部252bm41、252bm42を有するダイレータ5m4(図11D参照)などであってもよい。
なお、本発明は、上述した実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
例えば、上述した実施形態では、傾斜面212a、222a、232a、242a、252aを有する螺旋状の凸部21~25がそれぞれ中空シャフト11、13の先端部に設けられているダイレータ1~5について説明したが、当該ダイレータは、上記螺旋状の凸部が、中空シャフトにおける先端部、テーパ部および本体部のうちの少なくともいずれかの外周面上に設けられていればよく、図示していないが、例えば、上記傾斜面を有する螺旋状の凸部が先端部、テーパ部および本体部の全てに設けられているダイレータ、上記傾斜面を有する螺旋状の凸部がテーパ部および本体部のみに設けられているダイレータなどであってもよい。また、先端部、テーパ部および本体部それぞれの部位において、傾斜面を有する螺旋状の凸部と傾斜面を有しない螺旋状の凸部とが混在しているダイレータであってもよい。
また、上述した第1~第5の実施形態では、中空シャフト11、13が先端部112、132、テーパ部111、131および本体部113、133を有するダイレータ1~5について説明したが、当該ダイレータは、中空シャフトが先端から基端に向かって拡径するテーパ部を有していればよく、例えば、先端部を有さずテーパ部と本体部とを有する中空シャフトを備えているダイレータであってもよい。このようなダイレータとしては、例えば、中空シャフト16m1と螺旋状の凸部26m1とが一体的に形成されているダイレータ6m1(図12参照)、中空シャフト16m2および螺旋状の凸部26m2それぞれがコイル体で形成されているダイレータ6m2(図13参照)などであってもよい。
また、上述した第1の実施形態では中空シャフト11と螺旋状の凸部21とが一体的に形成されたダイレータ1、第3の実施形態では中空シャフト13および螺旋状の凸部23がコイル体13c、23cで形成されたダイレータ3について説明したが、当該ダイレータは、例えば、先端部、テーパ部および本体部を有するシャフト16m3が一体的に形成されかつ螺旋状の凸部26m3が第2コイル体で形成されたダイレータ6m3(図14参照)、テーパ部および本体部を有するシャフト16m4が一体的に形成されかつ螺旋状の凸部26m4が第2コイル体で形成されたダイレータ6m4(図15参照)などであってもよい。
また、上述した第1の実施形態では、螺旋状の凸部21が中空シャフト11外周面s11上の軸方向における先端から中途に亘って形成されているダイレータ1について説明したが、螺旋状の凸部がシャフト外周面上の軸方向全体の亘って形成されているダイレータであってもよい。
また、上述した第3の実施形態では、螺旋状の凸部23(第2コイル体23c)が、中空シャフト13外周面s13上の軸方向における先端から中途に亘って隣り合う部分に隙間233を有しかつ上記中途から基端に亘って隣り合う部分が接しているダイレータ3について説明したが、螺旋状の凸部(第2コイル体)がシャフト外周面上の軸方向全体(先端から基端)に亘って隣り合う部分に隙間を有するダイレータであってもよい。
1~5、1m1~1m5、2m1~2m3、3m1~3m5、5m1~5m4、6m1~6m4 ダイレータ
11、13、16m1~16m4 中空シャフト
21~25、26m1~26m4 螺旋状の凸部
211、221、231、241、251 頂部
s11、s13 外周面
13c 第1コイル体
23c、24c、25c 第2コイル体
44 接合部

Claims (6)

  1. 空シャフトと、この中空シャフトの外周面上に設けられ、前記中空シャフトの軸方向に沿って隣り合う部分の間に隙間を有する螺旋状の凸部と、を備えているダイレータであって、
    前記中空シャフトは、先端から基端に向かって拡径するテーパ部と、先端が前記テーパ部の基端に位置し前記テーパ部の軸方向における基端側に向かって延設された本体部と、を有し、
    前記螺旋状の凸部の基端は、前記本体部の外周面上に位置し、
    前記螺旋状の凸部は、前記螺旋状の凸部の横断面において前記外周面からの高さが最も高い頂部と、
    この頂部から前記外周面に向かって延在する外部に面した側面部と、を有し、
    前記螺旋状の凸部の横断面において、前記側面部が、先端方向および/または基端方向に向かうにつれて、前記外周面から前記頂部までの間に略直線的に傾斜する傾斜面を有し
    前記中空シャフトが第1の回転方向に回転するとき、前記螺旋状の凸部の基端は前記中空シャフトの回転に合わせて常に前記第1の回転方向に回転し、
    前記中空シャフトが前記第1の回転方向と反対の第2の回転方向に回転するとき、前記螺旋状の凸部の基端は前記中空シャフトの回転に合わせて常に前記第2の回転方向に回転することを特徴とするダイレータ。
  2. 先端から基端に向かって拡径するテーパ部を有する中空シャフトと、この中空シャフトの外周面上に設けられ、前記中空シャフトの軸方向に沿って隣り合う部分の間に隙間を有する螺旋状の凸部と、を備えているダイレータであって、
    前記螺旋状の凸部は、前記螺旋状の凸部の横断面において前記外周面からの高さが最も高い頂部と、
    この頂部から前記外周面に向かって延在する外部に面した側面部と、を有し、
    前記螺旋状の凸部の横断面において、前記側面部が、先端方向および/または基端方向に向かうにつれて、前記外周面から前記頂部までの間に略直線的に傾斜する傾斜面を有し、
    前記螺旋状の凸部の横断面における前記側面部の輪郭線が、凹状の部位を含んでいることを特徴とする請求項1に記載のダイレータ。
  3. 先端から基端に向かって拡径するテーパ部を有する中空シャフトと、この中空シャフトの外周面上に設けられ、前記中空シャフトの軸方向に沿って隣り合う部分の間に隙間を有する螺旋状の凸部と、を備えているダイレータであって、
    前記螺旋状の凸部は、前記螺旋状の凸部の横断面において前記外周面からの高さが最も高い頂部と、
    この頂部から前記外周面に向かって延在する外部に面した側面部と、を有し、
    前記螺旋状の凸部の横断面において、前記側面部が、先端方向および/または基端方向に向かうにつれて、前記外周面から前記頂部までの間に略直線的に傾斜する傾斜面を有し、
    前記螺旋状の凸部が、素線を前記中空シャフトの前記外周面上に巻回したコイル体で形成されていることを特徴とするダイレータ。
  4. 前記コイル体と前記中空シャフトとが接合部にて接合されており、
    前記傾斜面の少なくとも一部が、前記接合部直上の前記コイル体の部位に配置されている請求項3に記載のダイレータ。
  5. 前記螺旋状の凸部の横断面における前記側面部の輪郭線が、凹状の部位を含んでいる請求項1、請求項3、または請求項4に記載のダイレータ。
  6. 前記螺旋状の凸部が、素線を前記中空シャフトの前記外周面上に巻回したコイル体で形成されている請求項1、請求項2、または請求項1を引用する請求項5、に記載のダイレータ。
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