JP7124369B2 - 製パン用油脂組成物および製パン用穀粉生地 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は下記の〔1〕または〔2〕である。
〔2〕(G)穀粉100質量部に対して、前記の〔1〕の製パン用油脂組成物を3~10質量部含有する、製パン用穀粉生地。
[製パン用油脂組成物]
本発明の製パン用油脂組成物は、(A)食用油脂、(B)L-シスチンおよび(C)至適温度が40℃以上60℃以下であるα-アミラーゼを含有することを特徴とする。なお、本発明の製パン用油脂組成物はショートニングまたは乳化物のいずれの形態においてもその効果を発揮することが出来る。
(A)食用油脂としては、一般にマーガリン、ショートニングの原料として用いられている食用油脂を使用することができる。例えば牛脂、豚脂、魚油等の動物性油脂、パーム油、菜種油、大豆油等の植物性油脂や、これら動物性油脂、植物性油脂の硬化油、分別油、エステル交換油等の加工油脂が挙げられ、これらは適宜混合して用いることができる。本発明において食用油脂としては、製パンのミキシング工程の生地温度における固体脂含量(SFC)が10~30%であることが好ましい。
本発明において使用されるL-シスチンは、アミノ酸の1種であり、2つのシステイン分子がジスルフィド結合によって繋がった構造を有することを特徴とする。本発明において使用できるL-シスチンはその形態や由来に限定されないが、L-シスチンの粒度は細かい方が、よりキメの細かいパンとなり好ましい。グルコースオキシダーゼやアスコルビン酸等の酸化剤を使用した際には、多量に使用することによって生地が過度に引き締まることが懸念されるが、L-シスチンを用いた際には生地が引き締まり過ぎることなくグルテンを補強するため非常に釜伸びの良いパンを得ることが出来る。
本発明において使用されるα-アミラーゼは、至適温度が40~60℃であることを特徴とする。α-アミラーゼとは、α-1,4-グルコシド結合をランダムに加水分解する酵素であり、Bacillus等の細菌由来、Malt等の穀物由来、及びAspergillus等のカビ由来のいずれも用いることができる。具体的には、ノボザイムジャパン(株)の「ファンガミル」等が挙げられる。(C)α-アミラーゼは、1種又は2種以上を含有することができる。
L-シスチンを単独で使用した場合にパンのキメが粗くなる傾向が見られるが、40~60℃において至適温度を有するα-アミラーゼを用いることによってキメの細かいパンクラムとすることが出来る。
なお、本発明において酵素の至適温度とは、酵素を水に溶解し、5℃ずつ温度を変えて活性を測定した結果、最も活性の高い温度のことをいう。
(1)サンプル吸光度の測定:5mLの緩衝液(Britton-Robinson Buffer、pH8.5、50mM(阿南功一ら著,「基礎生化学実験法6」,P277,丸善(株))にネオ.アミラーゼテスト「第一」〔第一化学薬品(株)より入手、製品番号701501-005〕を1錠添加し、約10秒間攪拌した後、2mM塩化カルシウム水溶液で希釈した1mLの酵素溶液を添加して、50℃にて15分間反応させる。1mLの0.5N水酸化ナトリウム水溶液を添加、攪拌することで反応を停止させた後、遠心分離(400×g、5分間)にて不溶成分を沈殿させ、得られた遠心上澄の620nmにおける吸光度を測定する。
(2)ブランク吸光度の測定:5mLの緩衝液(Britton-Robinson Buffer、pH 8.5、50mM(阿南功一ら著,「基礎生化学実験法6」,P277,丸善(株))にネオ.アミラーゼテスト「第一」を1錠添加し、約10秒間攪拌する。これに1mLの0.5N水酸化ナトリウム水溶液を添加、攪拌した後、1mLの酵素溶液を添加し、50℃にて15分間インキュベートした後、遠心分離(400×g、5分間)を行なう。得られた遠心上澄の620nmにおける吸光度を測定する。
(3)酵素活性の算出:ネオ.アミラーゼテスト「第一」同封の国際単位の検量線を基準とし、これに(1)と(2)の吸光度の差をあてはめることでアミラーゼの活性を算出した。
乳化剤としては、例えばグリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン、ポリグリセリン縮合脂肪酸エステル等が用いられる。乳化剤は1種または2種以上を混合して用いることができるが、グリセリン脂肪酸エステルが好ましく、特に食感改良効果、デンプンの老化防止効果を有する飽和、不飽和の脂肪酸がついた脂肪酸モノグリセリド単独、又は飽和、不飽和脂肪酸モノグリセリドと他の乳化剤とを混合して用いると、食感改良効果、老化防止効果がさらに向上するため好ましい。乳化剤の添加量は、本発明の製パン用油脂組成物において、通常0.1~10質量%、好ましくは0.3~3質量%である。
本発明の製パン用穀粉生地は、(G)穀粉、(A)食用油脂、(B)L-シスチン、および(C)至適温度が40℃以上60℃以下であるα-アミラーゼを含有する。
[製パン用油脂組成物(マーガリン)の調製]
表1に示す配合組成の(A)食用油脂中に(B)L-シスチンおよび(C)α-アミラーゼを添加して、製パン用油脂組成物(マーガリン)を得た。製パン用油脂組成物の製造方法は、以下のとおりである。
表2に示す配合組成の(A)食用油脂中に(B)L-シスチンおよび(C)α-アミラーゼを添加して、製パン用油脂組成物(ショートニング)を得た。製パン用油脂組成物の製造方法は、以下のとおりである。
2)Novozymes社製 Novamyl 10000BG(至適温度65℃、10000unit/g)
3)ナガセケムテックス(株)製 デナベイクExtra(至適温度50℃、6500unit/g)
2)Novozymes社製 Novamyl 10000BG
4)ダニスコジャパン(株)製 GRYNDAMYLS758
上記製パン用油脂組成物を用いてパンを製造し、製パン性を評価した。製パン性の評価に際しては、生地の作業性、ソフトさ、ボリューム、腰持ち、歯切れの5つを評価項目として設けた。それぞれの評価項目について、評価方法を下記に記す。
なお、製パン性の試験は、コッペパン、白焼きコッペパン、メロンパンにて行なった。
酸化剤や酵素の使用によって、パン生地がゆるんでべたついたり、逆に締まってしまったりという問題が生じることがある。通常の良好な生地状態を「3」として、生地がかなりべたついた場合を「5」、生地がややべたついた場合を「4」、生地がややしまる場合を「2」、生地がかなりしまる場合を「1」として評価を行なった。評点の「2」、「3」および「4」を合格とした。
焼成後1日目において、パンクラムを圧縮した際の応力値を測定し、コントロールに比較して応力値が小さいものをソフトさが良好と評価した。コッペパン、白焼きコッペパンについては、パンのクラムを底面より3cmのところでスライスし、中心部を4cm×4cmの正方形に切り取ってサンプルとした。スライス面からクラムを1.5cm圧縮する際に必要な応力値(N)を(株)山電製レオメーターで測定し、ソフトさの指標とした。また、メロンパンについては、パンの中心を3cm分スライスしてサンプルとした。パンクラム上面からクラムを1.5cm圧縮する際に必要な応力値(N)を(株)山電製製レオメーターで測定し、ソフトさの指標とした。機能性の添加物を配合しないコントロールとして比較例1を使用した場合と比較して、ソフトさが1.2倍より大きくなった場合を「1」、1倍より大きく1.2倍以下となった場合を「2」、0.9倍より大きく1倍以下となった場合を「3」、0.8倍より大きく0.9倍以下となった場合を「4」、0.8倍以下となった場合を「5」として5段階評価で評価を行なった。評点の「4」および「5」を合格とした。
焼成後1日目のパンの比容積を測定し、ボリューム評価の指標とした。パンの比容積は、アステックス(株)製3Dレーザー体積計を用いて測定した。コントロールと比較して比容積が1.05倍以上の場合を「5」、1.02倍以上1.05倍未満の場合を「4」、1.0倍以上1.02倍未満の場合を「3」、0.98倍以上1.0倍未満の場合を「2」、0.98倍未満の場合を「1」として、5段階評価で評価を行なった。評点の「4」および「5」を合格とした。
アステックス(株)製3Dレーザー体積計を用いて焼成後1日目のパンの腰持ちを測定した。腰持ちは、パンの最大高をH、パンの短辺の横幅をWとした際に下記の(式1)にて表される値である。
腰持ち = H/W (式1)
焼成後1日目のパンの歯切れを15人のパネラーにて評価した。歯切れが非常に良好(5)、良好(4)、普通(3)、少し歯切れが悪い(2)、歯切れが悪い(1)、の評価項目を設け、平均点に最も近い評点を歯切れの評点とした。評点の3、4および5を合格とした。
下記配合(表5)にてコッペパンを焼成し、上記の評価方法に従って評価を行なった結果を表6に示す。また、各例において添加した製パン用油脂組成物、及びその配合率を表6に示す。なお、表5における「油脂 10.0」には、製パン用油脂組成物中の食用油脂を含み、「油脂 10.0」に満たない場合には、「油脂 10.0」となるようにコントロール用の油脂(表2に示す(A)食用油脂)を配合した。
下記配合(表7)にて白焼きコッペパンを焼成し、上記の評価方法に従って評価を行なった結果を表8に示す。また、各例において添加した製パン用油脂組成物、及びその配合率を表8に示す。なお、表7における「油脂 8.0」には、製パン用油脂組成物中の食用油脂を含み、「油脂 8.0」に満たない場合には、「油脂 8.0」となるようにコントロール用の油脂(表2に示す(A)食用油脂)を配合した。
下記配合(表9)にてメロンパンを焼成し、上記の評価方法に従って評価を行なった結果を表10に示す。また、各例において添加した製パン用油脂組成物、及びその配合率を表10に示す。なお、表9における「油脂 10.0」には、製パン用油脂組成物中の食用油脂を含み、「油脂 10.0」に満たない場合には、「油脂 10.0」となるようにコントロール用の油脂(表2に示す(A)食用油脂)を配合した。
Claims (2)
- (A)食用油脂、(B)L-シスチンおよび(C)至適温度が40℃以上60℃以下であるα-アミラーゼを含有し、前記の(A)食用油脂が60~99.9質量%、前記の(B)L-シスチンが0.05~1質量%、かつ前記の(C)α-アミラーゼが0.001~0.5質量%である、製パン用油脂組成物(但し、冷凍生地用を除く。)。
- (G)穀粉100質量部に対して、請求項1の製パン用油脂組成物を油脂組成物の状態で3~10質量部含有し、
前記(B)L-シスチンの含有量が前記(G)穀粉100質量部に対して、0.008~0.1質量部である、製パン用穀粉生地の製造方法(但し、冷凍生地の製造方法を除く。)。
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