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JP7195624B2 - 注出口具 - Google Patents

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JP7195624B2 JP2020026089A JP2020026089A JP7195624B2 JP 7195624 B2 JP7195624 B2 JP 7195624B2 JP 2020026089 A JP2020026089 A JP 2020026089A JP 2020026089 A JP2020026089 A JP 2020026089A JP 7195624 B2 JP7195624 B2 JP 7195624B2
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Description

本発明は、内部に流体を収容する容器の開口部分に取り付けられる注出口具に関する。
従来、包装袋等の容器の開口部分に取り付けられる注出口具において、内部に形成される流路を通じた容器内への外気(酸素)の流入を抑制するように構成された注出口具が知られている。
例えば、特許文献1には、円筒状の内筒状本体部とその下部に一体に連なった容器接合用筒を有し、内部に流体の流路を形成するスパウトと、スパウトの内筒状本体部との螺合により脱着自在に装着されたキャップとを備えた注出口具が開示されている。容器接合用筒は、内筒状本体部に一体に連なった筒状基部と、筒状基部の外面から径方向外方に張り出している張出片を備えており、内筒状本体部及び筒状基部の内部が流体の流路を構成している。また、キャップは、スパウトの内筒状本体部及び筒状基部の内部に挿入されてスパウト内部の流路を閉塞する有底筒状の栓体を有している。
こうした構造の注出口具では、内筒状本体部の外面から透過した酸素が、内筒状本体部の内部を軸方向に流れて容器内に流入する。特許文献1に記載される注出口具では、こうした酸素の流入を抑制するために、キャップの栓体の外面に、スパウトの筒状基部の内面に密着する部位を形成している。これにより、内筒状本体部の内部を軸方向に流れる酸素が、筒状基部の内部を流れて容器内へ流入してしまうことを抑制することが可能であるとされている。
特開2018-90271号公報
しかし、内筒状本体部における酸素の透過を遮断することができない以上、たとえ、筒状基部の内部を流れる酸素の量を制限することができたとしても、容器内に流れ込む酸素を遮断することは困難である。酸素バリア性の観点からは、なお改善の余地があるものであった。
本発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、酸素バリア性に優れた注出口具を提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明は、内部に流体を収容する容器の開口部分に取り付けられる注出口具であって、前記流体の流路を形成する円筒状の注出部と、前記注出部との螺合により該注出部に脱着可能に装着された蓋部とを備え、前記蓋部は、前記注出部の内側に挿入される有底円筒状の蓋本体部を有し、前記注出部の下面から前記蓋本体部の底面にかけてガスバリアシートが貼り付けられており、前記ガスバリアシートには、ハーフカット加工又はポロソ加工が施されている。
上記の構成によれば、注出部の下面から蓋本体部の底面にかけて貼り付けられたガスバリアシートによって、酸素の流通が抑制される。そのため、注出部の外面を透過した酸素が、注出部の内部を軸方向に流れてその下端部に到達したとしても、容器内へ酸素が流入することが抑制される。酸素バリア性に優れた注出口具が得られる。
また、ガスバリアシートには、ハーフカット加工又はポロソ加工が施されているため、その切り裂きが容易である。なお、ハーフカット加工とは、ガスバリアシートの厚み方向の途中まで微孔や切り込み等を形成する加工であり、ポロソ加工とは、ガスバリアシートの厚み方向に微孔を貫設形成する加工である。ポロソ加工で形成された微孔は直径10μm程度であり、酸素バリア性に優れている。
なお、容器の内部に収容される流体とは、液体、粘性体に限らず、固体(固形物、顆粒、粉体等)も含む。
上記の構成において、前記注出部は、円筒状の筒本体部と、前記筒本体部の下部に一体に連設されて該筒本体部から径方向に突出する形状の取付部を備え、前記ガスバリアシートは、前記取付部の下面から前記蓋本体部の底面にかけて貼り付けられていることが好ましい。
上記の構成によれば、ガスバリアシートの接合面積が大きくなり、その接合強度が増す。また、注出口具を容器の開口部分に取り付ける際、容器と注出口具との接合面積が大きくなり、注出口具と容器との接合強度が増す。
上記の構成において、前記蓋本体部の底面は、前記取付部の下面より下方に突出していることが好ましい。
上記の構成によれば、蓋本体部の底面が下方に突出していることから、ガスバリアシートを圧着により接合する場合、ガスバリアシートが蓋本体部の底面に強固に接合される。ガスバリアシートの接合強度が増す。
上記の構成において、前記蓋本体部の底面には、その外周寄りの位置に、下方に突出する環状の突条部が形成されており、前記突条部の下面は平面状に形成されていることが好ましい。
上記の構成によれば、ガスバリアシートを圧着により接合する際、より高いシール圧を掛けることができる。これにより、ガスバリアシートが蓋本体部の突条部に強固に接合され、ガスバリアシートの接合強度が増す。
上記の構成において、前記注出部の下面及び前記蓋本体部の底面では、前記注出部の内周面と前記蓋本体部の外周面との間に隙間が形成されていることが好ましい。
容器の開封時には、注出部に装着された蓋部を回動操作して、注出部から蓋部を取り外す。このとき、注出部の下面から蓋本体部の底面にかけて貼り付けられたガスバリアシートは、蓋本体部の底面に貼り付けられた部分が、注出部の下面に貼り付けられた部分に対して上方へ引っ張られる。これにより、ガスバリアシートは、注出部の下面と蓋本体部の底面との間で切り裂かれることになる。
上記の構成によれば、ガスバリアシートにおいて、蓋本体部に貼り付けられた部分が上方に引っ張られると、ガスバリアシートが注出部の内周面と蓋本体部の外周面との間に形成された隙間で引き伸ばされて、注出部の下面の蓋本体部側の角に当たり易くなる。そのため、ガスバリアシートが切り裂かれ易い。また、切り裂かれることにより発生する切り裂き片の発生が抑制される。
本発明によれば、酸素バリア性に優れた注出口具が得られる。
本実施形態の注出口具の斜視図。 注出口具の縦断面図。 変更例の注出口具の縦断面図。 変更例の注出口具の縦断面図。 注出口具を下面から見た斜視図であり、(a)は本実施形態の注出口具、(b)、(c)は変更例の注出口具。
以下、本発明を具体化した注出口具について説明する。
本実施形態の注出口具1は、合成樹脂製の袋状容器の開口部分に取り付けられて、袋状容器の内部に収容された流体を注出するための流路を形成する。注出口具1は、袋状容器の開口部分にヒートシールにより接着固定される。本実施形態の袋状容器は、ポリエチレン製の薄膜状の複数層のシートの間にアルミニウム箔層が積層された多層構造シートにより成形されている。なお、以下の説明では、図1に示す上下、左右を、注出口具1の上下、左右として説明する。
図1及び図2に示すように、注出口具1は、内部に流体の流路Cを形成する注出部2と、注出部2との螺合により注出部2に脱着可能に装着された蓋部4と、ガスバリアシートとしてのシート体5を備えている。
図2に示すように、注出部2は、内部に流路Cを形成するとともに、注出部2の全長に亘って形成された円筒状の筒本体部20と、筒本体部20の下部に筒本体部20と一体に形成された取付部30を備えている。
筒本体部20の内周面は、上下方向に径が変化しないストレート形状に形成されているとともに、凹凸の存在しない平坦面として形成されている。これにより、袋状容器の内部から流体を注出する際には、流路Cを構成する筒本体部20の内周面に、流体が付着したり滞留したりすることが抑制される。
筒本体部20の上部の外周面には、雄螺子21が周方向に延びるように形成されている。また、筒本体部20の上下方向中間部の外周面には、径方向に突出する環状突部22が周方向全体に形成されている。さらに、環状突部22の上部には、複数のラチェット23が形成されている。
図1及び図2に示すように、取付部30は、筒本体部20の下部において、筒本体部20の外周面から径方向外方へ突出する形状に形成されている。取付部30は、上面視で左右方向に細長い形状の複数のリブによって形成されている。複数のリブは、上側に設けられた上壁31と、下側に設けられた下壁32と、上壁31及び下壁32の間に設けられた複数の中間壁33で構成されている。上壁31、下壁32、及び中間壁33は、同形状で同じ大きさであって互いに平行に延びており、それぞれの側面は上下方向において面一とされている。上壁31、下壁32、及び中間壁33の各側面は、袋状容器の開口部分がヒートシールにより接着固定される部分であり、凹凸のない平坦面として形成されている。下壁32の下面32aは、後に説明する蓋部4の蓋本体部41の底面45aとともにシート体5が貼り付けられる面であり、左右方向に水平で凹凸のない平坦面として形成されている。上壁31、下壁32、及び中間壁33は、上壁31、下壁32、及び中間壁33の間で左右方向に延びる連結壁34によって一体に連結されている。
図2に示すように、筒本体部20の内周側下面には、筒本体部20の下面を下方から切り欠くことにより形成された突条部24が、筒本体部20の内周面に沿う形状で形成されている。突条部24は、筒本体部20と同一中心をなす環状に形成されており、下方ほど細くなる側面視三角形状の先鋭形状に形成されている。言い方を変えれば、突条部24は、図2の拡大図に示すように、筒本体部20の内周側下面で上方へ凹む側面視矩形状の段部24bの上面から、下方へ延びる側面視三角形状で先鋭形状の部分として、筒本体部20と一体に形成されている。突条部24の先端縁24aは、取付部30の下壁32の下面32aより僅かに上方に位置している。
図1及び図2に示すように、蓋部4は、注出部2の内側に挿入される有底円筒状の蓋本体部41と、蓋本体部41の上端部から径方向外方へ延びるフランジ部42と、フランジ部42の外方端部から下方へ延びる外筒部43を備えている。
図2に示すように、蓋本体部41は、円筒状の周壁44と、周壁44の下端縁に設けられた底壁45を備えた中空体として形成されている。蓋本体部41の上面は開放されている。蓋本体部41が注出部2の筒本体部20の内側に挿入されていることにより、蓋本体部41の底壁45が筒本体部20の流路Cを閉塞している。
蓋本体部41の周壁44の内周面は、上下方向に径が変化しないストレート形状に形成されている。また、周壁44の外周面の上部には、径方向に突出する突部46が全周に亘って形成されており、突部46の下端部は、下方ほど縮径するテーパ面46aとして形成されている。周壁44の外周面は、突部46が形成されていない部分では、上下方向に径が変化しないストレート形状に形成されており、その内周面は凹凸の存在しない平坦面として形成されている。底壁45の底面45aは、左右方向に水平で凹凸のない平坦面として形成されている。
蓋本体部41の周壁44の外径は、注出部2の筒本体部20の内径より少し小さく形成されている。これにより、蓋部4が注出部2に取り付けられた状態では、蓋本体部41の周壁44の外周面と、注出部2の筒本体部20の内周面との間に、幅L1の隙間が形成されている。幅L1は、約0.3~0.5mm程度である。また、周壁44の上部に形成された突部46の突出長は、幅L1に等しい。なお、幅L1の大きさは適宜に変更可能である。幅L1の大きさは、突条部24によるシート体5の切り裂き易さを考慮して設定することができる。また、突部46の突出長は、幅L1と異なっていてもよく、適宜に変更可能である。例えば、幅L1よりも小さくてもよい。
蓋本体部41の上下方向の長さは、注出部2の筒本体部20の上下方向の長さに合わせて設定されている。具体的には、蓋本体部41において、フランジ部42の下面から底壁45の底面45aまでの長さは、筒本体部20の上端面から取付部30の下壁32の下面32aまでの長さと等しくなっている。これにより、蓋部4が注出部2に取り付けられた状態では、注出部2の筒本体部20の上端面が蓋部4のフランジ部42の下面に当接するとともに、蓋本体部41の底壁45の底面45aが注出部2の取付部30の下面32aと面一になっている。
外筒部43は、蓋本体部41の外周面との間に所定の間隔を形成した状態で、蓋本体部41を取り囲むような形状に形成されている。外筒部43は、蓋本体部41と同一中心の円筒状をなしている。外筒部43の内周面には、注出部2の筒本体部20の雄螺子21と螺合する雌螺子47が周方向に延びるように設けられている。
図1及び図2に示すように、外筒部43の下端には、蓋部4の開閉履歴を証明する公知のタンパーエビデント機能を構成するキャップリング48が連結されている。キャップリング48は、注出部2の筒本体部20に設けられたラチェット23の位置に対応するように、外筒部43の下端縁と筒本体部20の環状突部22との間の位置に取り付けられており、蓋部4を開栓方向に回動させて開栓する際に破断される。これにより、袋状容器が開栓された状態であることが示される。
注出部2及び蓋部4は、従来公知の合成樹脂材料で成形されている。公知の合成樹脂材料としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体、エチレン-プロピレン共重合体等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
図2に示すように、ガスバリアシートとしてのシート体5は、取付部30の下壁32の下面32aから蓋本体部41の底壁45の底面45aにかけて貼り付けられている。シート体5の形状、大きさは、取付部30の下壁32の形状、大きさと同じであり、注出口具1の下面全体を覆うような態様で貼り付けられている。
シート体5は、薄膜状の複数層のシートからなる多層構造シートにより構成されている。シート体5は、基材層と、基材層の下面側に積層されたガスバリア層と、基材層の上面側に積層された熱融着層を備えている。シート体5の材質は特に限定されないが、例えば、ポリエチレン層、ポリプロピレン層、ポリエチレンテレフタレート層、エチレンビニル-アルコール共重合体層、アクリル層等の熱可塑性樹脂層や、アルミニウム箔層、セラミック蒸着フィルム層等が積層された多層構造シートを用いることができる。なお、図2~図4では、シート体5の厚みを誇張して示している。
シート体5には、ハーフカット加工又はポロソ加工が施されている。ハーフカット加工とは、シート体5の厚み方向の途中まで微孔や切り込み等を形成する加工である。ハーフカット加工は、複数層のうちの一部、例えば、基材層のシートに対して、多数の微孔や切り込み等を形成する加工である。また、ポロソ加工は、シート体5の厚み方向に多数の微孔を貫設形成する加工である。ポロソ加工により形成される微孔は、極めて孔径が小さいため、酸素の透過を好適に遮断することができる。シート体5にハーフカット加工又はポロソ加工が施されていることにより、酸素バリア性を確保しつつ、袋状容器の開封時の切り裂き易さを実現することができる。ハーフカット加工又はポロソ加工は、シート体5の全面に亘って施されている。
注出口具1の下面に対するシート体5を貼り付ける方法について、その一例を以下に記載する。
シート体5を構成する多層構造シートは長尺状をなし、ロール状に巻き取られた状態で配置されている。ロールから繰り出された多層構造シートは、接着工程及び切出工程を経て蓋本体部41の底面45a及び取付部30の下面32aに接合される。
接着工程においては、まず、熱融着層を下側にした状態で多層構造シートを製造ラインへ供給する。多層構造シートの下方位置には、シート体5が接合されていない複数の注出口具1を上下反転した状態、すなわち注出口具1の下面32a及び底面45aが上方を向いた状態で保持することができる受け治具を配置し、受け治具に複数の注出口具1を保持させる。また、多層構造シートの上方位置には、圧着治具を備えた熱溶着手段を配置する。そして、圧着治具を下降させて、多層構造シートを注出口具1の下面32a及び底面45aに圧力を掛けて押し当てることにより、注出口具1の下面32a及び底面45aに多層構造シートを接合する。圧着治具による圧着は、複数回実施することが好ましく、例えば、2回実施することが好ましい。こうすることで、高いシール圧を掛けることができ、多層構造シートの接合強度を向上させることができる。
切出工程においては、注出口具1の下面32a及び底面45aに熱溶着された多層構造シートに対して、各注出口具1の取付部30の周縁に沿ってレーザーを照射して、外周部分をカットする。切出工程の後、多層構造シートの巻き取り処理を行うことによって、受け治具内には、シート体5が貼り付けられた注出口具1が残る。これにより、下面32a及び底面45aにシート体5が接合された注出口具1が得られる。
次に、本実施形態の注出口具1の作用について説明する。
本実施形態の注出口具1は、合成樹脂製の袋状容器の開口部分にヒートシールにより取り付けて使用される。
注出口具1は、注出部2と蓋部4とシート体5を備えており、注出部2の筒本体部20の内側に蓋部4の蓋本体部41が挿入されて組み付けられている。蓋本体部41は底壁45を有する有底筒状に形成されており、底壁45によって注出部2の筒本体部20内の流路Cが閉塞されている。
開封前の状態では、注出部2に蓋部4が組み付けられて、注出部2の筒本体部20の雄螺子21と蓋部4の外筒部43の雌螺子47とが係合している。このとき、筒本体部20の上端面が蓋部4のフランジ部42の下面に当接するとともに、筒本体部20の上部では、筒本体部20の内周面が蓋本体部41の外周面に形成された突部46の外周面に当接している。これにより、注出部2と蓋部4の組付け状態が安定するとともに、注出部2と蓋部4との間を介しての酸素の流入が抑制されている。
一方で、注出口具1では、筒本体部20の外周面から酸素が透過し、筒本体部20及び取付部30を縦軸方向に流入することが考えられる。また、蓋本体部41の内部には外気が存在し、底壁45を透過して流入しようとすることが考えられる。さらに、取付部30の外周面から酸素が透過し、筒本体部20及び取付部30を横軸方向に流入することが考えられる。
これに対して、注出部2の取付部30の下面32aから蓋本体部41の底面45aにかけて、ガスバリアシートとしてのシート体5が接合されていることから、シート体5によって酸素の流通が遮断される。つまり、筒本体部20及び取付部30を縦軸方向に流入する酸素や、底壁45から流入しようとする酸素は、シート体5によって遮断されて、袋状容器内へ流入することが抑制される。また、取付部30には、袋状容器がヒートシールで接合されていることから、袋状容器によって酸素の流通が遮断される。つまり、取付部30を横軸方向に流入する酸素は、袋状容器を構成するアルミニウム箔層によって遮断されて、袋状容器内へ流入することが抑制される。開封前の酸素バリア性が良好となる。
袋状容器の開封処理は次のようにして行う。まず、蓋部4を回動操作して、筒本体部20の雄螺子21と外筒部43の雌螺子47との係合を解除する。蓋部4は注出部2に対して上方へ移動し、取付部30の下面32aから蓋本体部41の底面45aに亘って接合されたシート体5が蓋部4とともに上方へ引っ張られる。
シート体5は、蓋本体部41の底面45aの形状に切り裂かれ、蓋本体部41の底壁45側の部分と取付部30の下壁32側の部分とに分断される。シート体5にはハーフカット加工又はポロソ加工が施されているため、少しの力で切り裂かれて分断される。また、注出部2の筒本体部20の内周側下面には、側面視三角形状の先鋭形状の突条部24が形成されているため、上方へ引っ張られたシート体5は、突条部24の先端縁24aにより切り裂かれる。突条部24の先端縁24aは下方ほど細くなる先鋭形状であることから、シート体5は少しの力で容易に切り裂かれ、切り裂き片の発生も抑制される。
さらに、取付部30の下面32a及び蓋本体部41の底面45aでは、筒本体部20の内周面と蓋本体部41の外周面との間に幅L1の隙間が形成されている。隙間の幅L1は、約0.3~0.5mm程度と狭い。そのため、隙間の存在によりシート体5が上方へ引っ張られ易くなり、突条部24の先端縁24aに当たり易い。また、隙間の幅L1が狭いことにより、隙間においてシート体5が伸び過ぎることが抑制されて、突条部24の先端縁24aに当たった際に鋭利に切り裂かれる。
蓋部4の回動に伴って、タンパーエビデント機能を構成するキャップリング48が分断される。雄螺子21と雌螺子47との係合が完全に解除されて、注出部2の筒本体部20から蓋本体部41を抜き出し、蓋部4を注出部2から取り外すと、注出口具1は開栓されて、筒本体部20の流路Cから袋状容器内の流体を注出可能となる。
袋状容器内の流体を抽出した後、閉栓する際には、注出部2の筒本体部20の内側に蓋部4の蓋本体部41を挿入し、蓋部4を回動操作することで、雄螺子21と雌螺子47を係合させる。このとき、蓋本体部41の外周面に形成された突部46の下端部には、下方ほど縮径するテーパ面46aが形成されていることから、筒本体部20の上端部がテーパ面46aに誘導されながら蓋本体部41の外周面と外筒部43の内周面との間の隙間をスムーズに進んでいく。
次に本実施形態の注出口具1の効果について、以下に記載する。
(1)開封前の注出口具1では、注出部2の下面から蓋部4の蓋本体部41の底面45aにかけてシート体5が貼り付けられている。そのため、注出部2の筒本体部20の外周面から流入した酸素や、蓋本体部41の底壁45から流入した酸素が、袋状容器内へ流入することが抑制される。酸素バリア性に優れた注出口具1が得られ、開封前の袋状容器内の収容物の保存状態を良好に保持することができる。
(2)シート体5には、ハーフカット加工又はポロソ加工が施されている。そのため、酸素バリア性に優れるだけでなく、容易に切り裂くことができる。蓋部4を上方へ引き上げる力のみで容易に分断させることができる。
(3)注出部2の筒本体部20の下部には、径方向に突出する形状の取付部30が設けられており、シート体5は、取付部30の下面32aから蓋本体部41の底面45aにかけて貼り付けられている。そのため、シート体5の接合面積が大きくなり、その接合強度を向上させることができる。
(4)取付部30は、筒本体部20の外周面から径方向外方へ突出する形状の複数のリブで構成されており、複数のリブとしての上壁31、下壁32、及び中間壁33は、同形状で同じ大きさであって、それぞれの側面は上下方向において面一とされている。また、各側面は凹凸のない平坦面として形成されている。そのため、袋状容器とのヒートシールによる接合強度が増し、袋状容器の開口部分を強固に封止することができる。
(5)取付部30の下面32a及び蓋本体部41の底面45aの位置では、筒本体部20の内周面と蓋本体部41の外周面との間に幅L1の隙間が形成されている。そのため、シート体5において、蓋本体部41の底面45aに貼り付けられた部分が上方に引っ張られると、シート体5がこの隙間で引き伸ばされて、取付部30の下面32aの突条部24に当たり易い。シート体5を切り裂かれ易くすることができる。
(6)筒本体部20の内周側下面には、下方ほど細くなる先鋭形状の突条部24が形成されている。そのため、シート体5が突条部24の先端縁24aに当たって切り裂かれ易くなる。また、先端縁24aが先鋭状で鋭利であることから、切り裂き片の発生を抑制することができる。
(7)突条部24の先端縁24aは、取付部30の下壁32の下面32aより僅かに上方に位置している。そのため、開栓前には突条部24がシート体5に当たることが抑制され、不用意にシート体5が切り裂かれることが抑制される。
(8)シート体5は、取付部30の下面32a及び蓋本体部41の底面45aに接着されている。そのため、開封時にシート体5が切り裂かれた場合に、シート体5の切り裂き片が袋状容器内に残留せず、異物となり難い。
なお、上記実施形態は、以下のように変更することができる。なお、上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて適用することができる。
・上記実施形態の注出口具1では、蓋本体部41の上下方向の長さは、注出部2の筒本体部20の上端面が蓋部4のフランジ部42の下面に当接した状態で、蓋本体部41の底面45aが注出部2の取付部30の下面32aと面一となるように設定した。これに限定されず、図3に示すように、蓋本体部41におけるフランジ部42の下面から底壁45の底面45aまでの長さが、筒本体部20の上端面から取付部30の下面32aまでの長さより僅かに長くなるようにしてもよい。こうすると、蓋部4が注出部2に取り付けられた状態では、筒本体部20の上端面が蓋部4のフランジ部42の下面に当接するとともに、蓋本体部41の底壁45が注出部2の取付部30の下面32aより下方に突出する。この突出長L2は、約0.1~0.5mm程度である。
このように、蓋本体部41の底壁45が取付部30の下面32aより下方に僅かに突出していると、多層構造シートを圧着して接合する際に、蓋本体部41の底面45aに対してのシール圧を高めることができる。これにより、多層構造シートが強固に接合され、シート体5の接合強度を向上させることができる。
・図4に示すように、蓋本体部41の底面45aに下方に突出する突条部45bが形成されていてもよい。突条部45bは、蓋本体部41と同一中心をなす環状に形成されており、その下面が平面状に形成されていることが好ましい。蓋本体部41の底面45aからの突出長L3は、約0.1~0.5mm程度である。このような突条部45bが形成されていると、多層構造シートを圧着して接合する際にシール圧を高めることができる。これにより、多層構造シートが突条部45bに対して強固に接合され、シート体5の接合強度を向上させることができる。
・突条部45bは、図4に示すように、その外側面が蓋本体部41の周壁44の外周面と面一となる位置に形成されていてもよく、周壁44の外周面より内側となる位置に形成されていてもよい。
・上記実施形態の注出口具1では、筒本体部20の内周面が上下方向に径が変化しないストレート形状に形成されており、蓋本体部41の周壁44の外周面との間に、幅L1の隙間が形成されていが、これに限定されない。筒本体部20の内径が上下方向に変化してもよい。例えば、図4の拡大図に示すように、筒本体部20の下端部の内周面に、径方向内方へ突出する突出部25を形成して、幅L1の隙間を狭くしてもよい。突出部25は、筒本体部20と同一中心をなす環状に形成されており、側面視四角形状である。そして、その内周面25aは蓋本体部41の周壁44の外周面と平行に延びている。これにより、注出口具1の下面では、蓋本体部41の外周面と筒本体部20の内周面との間に、突出部25が形成されていない部分より狭い幅L4の隙間が形成される。このように、突出部25を形成することにより、隙間の幅L4を狭くするようにしてもよい。隙間の幅L4が狭いと、開封時にシート体5の切り裂きをより少しの力で行うことができる。また、切り裂き片の発生を抑制することができる。なお、突出部25の形状は、側面視四角形状に限定されず、側面視三角形状、側面視台形状等適宜変更することができる。
・注出部2の筒本体部20の下面に突条部24を形成せず、注出部2の下面全体を平坦面としてもよい。
・図5(a)に示すように、突条部24は、筒本体部20と同一中心をなす環状に形成されているが、必ずしも環状に形成されている必要はない。例えば、図5(b)に示すように、環状に形成された段部24bの一部に突条部24が形成されていてもよい。つまり、筒本体部20と同一中心をなす円弧状であって、環状の一部として形成されていてもよい。また、短い円弧状の突条部24が一つ乃至複数個形成されていてもよい。さらに、図5(c)に示すように、段部24bに、細い棒状で先鋭状の突出部24cが一つ乃至複数個形成されていてもよい。
・注出部2が取付部30を有していなくてもよい。この場合、注出部2は、円筒状の筒本体部20で形成されており、筒本体部20の下部に、袋状容器の開口部分がヒートシールされる。また、シート体5は、注出部2の筒本体部20の下面から蓋本体部41の底面45aにかけて貼り付けられている。
・取付部30の形状は上記実施形態のものに限定されない。左右方向に細長い形状である方がヒートシールによる接着強度が増すが、必ずしも細長い形状でなく、上面視円形状であってもよい。
・取付部30は、複数のリブによって形成されているものに限定されない。例えば、筒本体部20の外径より大径の一つの面として形成されていてもよい。
・取付部30の上壁31、下壁32、及び中間壁33は同形状で同じ大きさでなくてもよい。例えば、上壁31が最も大きくてもよく、中間壁33が最も大きくてもよい。また、中間壁33の数は特に限定されない。
・取付部30の上壁31、下壁32、及び中間壁33の側面は、平坦面に限定されない。凹凸を有する面であってもよい。
・注出部2の筒本体部20の上下方向中間部の外周面に形成された環状突部22の形状は特に限定されない。例えば、円形状であってもよく、六角形状であってもよい。また、環状突部22が形成されていなくてもよい。
・筒本体部20にラチェット23が形成されていなくてもよい。また、上記実施形態のようなタンパーエビデント機能が設けられていなくてもよい。
・蓋部4の蓋本体部41は中実状であってもよい。また、中空状の蓋本体部41において、その上端部が閉塞されていてもよい。
・蓋本体部41の周壁44の内周面は、上下方向に径が変化しないストレート形状に形成されているが、これに限定されない。周壁44の内周面にテーパ面が形成されている等により、内径が変化してもよい。
・蓋本体部41の周壁44の外周面は、突部46以外の部分では、上下方向に径が変化しないストレート形状に形成されているが、これに限定されない。周壁44の外周面にテーパ面が形成されている等により、外径が変化してもよい。
・図4の拡大図に示すように、蓋本体部41の周壁44の外周面に、突起49が突設されていてもよい。突起49は周壁44の外周面に沿って複数個形成されていてもよく、外周面に沿って延びる突条として形成されていてもよい。また、周壁44の上下方向に複数箇所形成されていてもよい。突起49の突出長は、周壁44の外周面と筒本体部20の内周面との間の幅L1より小さい。突起49が形成されていることにより、蓋部4が注出部2に対して歪んで挿入されることが抑制される。また、蓋本体部41の外周面と筒本体部20の内周面が当たり難くなり、摩擦抵抗により蓋部4があけにくくなることが抑制される。
・蓋本体部41の周壁44の外周面に形成された突部46は、その下端部にテーパ面46aが形成されているが、その形状はこれに限定されない。例えば、上端部に、上方ほど縮径するテーパ面が形成されていてもよい。
・蓋本体部41の底壁45の底面45aは、左右方向に水平で凹凸のない平坦面として形成されているがこれに限定されない。例えば、底面45aにゲートが設けられており、これによって凹凸が形成されていてもよい。
・蓋本体部41の外筒部43は、円筒状でなくてもよい。例えば、外周面が上面視楕円形状、上面視六角形状等であってもよい。
・シート体5の形状、大きさは、取付部30の下壁32の形状、大きさと同じでなくてもよく、適宜変更可能である。
・シート体5を貼り付ける方法は、上記実施形態のような接着工程によらなくてもよい。例えば、注出口具1の下面32a及び底面45aが下方を向いた状態で、多層構造シートを下方から接着するようにしてもよい。また、注出口具1の一個ずつに、枚葉状態の多層構造シートを接着してもよい。
・上記実施形態では、切出工程において、多層構造シートを各注出口具1の取付部30の周縁に沿ってレーザーを照射しているが、これに限定されない。例えば、刃物でカットするようにしてもよい。
・上記実施形態の袋状容器は、ポリエチレン製の薄膜状の複数層のシートの間にアルミニウム箔層が積層された多層構造シートにより成形されているが、その構成、材質はこれに限定されない。
・注出口具1は、袋状容器の開口部分にヒートシールにより接着固定されなくてもよい。注出口具1の固定の方法はヒートシール以外の他の方法に適宜変更することができる。
・注出口具1は、合成樹脂製の袋状容器に限らず、様々な容器に適用することができる。その場合、取付部30については、容器の形態に合わせて、たとえば、単なるフランジ状にするなど、適宜変更が可能である。
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。
(イ)内部に流体を収容する容器の開口部分に取り付けられる注出口具であって、前記流体の流路を形成する円筒状の注出部と、前記注出部との螺合により該注出部に脱着可能に装着された蓋部とを備え、前記蓋部は、前記注出部の内側に挿入される有底円筒状の蓋本体部を有し、前記注出部の下面から前記蓋本体部の底面にかけてガスバリアシートが貼り付けられており、前記注出部の内周側下面には、下方に先鋭形状となる切断部としての突条部が設けられている。この構成によれば、ガスバリアシートが突条の先端縁に当たって切り裂かれ易くなる。また、先端縁が先鋭形状であって鋭利であることから、切り裂き片の発生を抑制することができる。
C…流路
1…注出口具
2…注出部
4…蓋部
5…シート体(ガスバリアシート)
20…筒本体部
30…取付部
32a…下面
41…蓋本体部
45…底壁
45a…底面
45b…突条部

Claims (5)

  1. 内部に流体を収容する容器の開口部分に取り付けられる注出口具であって、
    前記流体の流路を形成する円筒状の注出部と、前記注出部との螺合により該注出部に脱着可能に装着された蓋部とを備え、
    前記蓋部は、前記注出部の内側に挿入される有底円筒状の蓋本体部を有し、
    前記注出部の下面から前記蓋本体部の底面にかけてガスバリアシートが貼り付けられており、
    前記ガスバリアシートには、ハーフカット加工又はポロソ加工が施されていて、
    前記注出部の内周側下面には、上方へ凹む環状の段部が形成されており、
    前記段部には、該段部の上面から下方に向けて下方ほど細くなる断面視三角形状で先鋭形状の突条部が形成されていることを特徴とする注出口具。
  2. 前記注出部は、円筒状の筒本体部と、前記筒本体部の下部に一体に連設されて該筒本体部から径方向に突出する形状の取付部を備え、
    前記ガスバリアシートは、前記取付部の下面から前記蓋本体部の底面にかけて貼り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の注出口具。
  3. 前記蓋本体部の底面は、前記取付部の下面より下方に突出していることを特徴とする請求項2に記載の注出口具。
  4. 前記蓋本体部の底面には、その外周寄りの位置に、下方に突出する環状の突条部が形成されており、前記突条部の下面は平面状に形成されてことを特徴とする請求項2に記載の注出口具。
  5. 前記注出部の下面及び前記蓋本体部の底面では、前記注出部の内周面と前記蓋本体部の外周面との間に隙間が形成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の注出口具。
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