本発明の硬化性樹脂組成物は、酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物(i)と、硬化剤(ii)とを含むものであることを特徴とする。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/またはメタクリレートを意味する。また、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及び/またはメタクリロイルを意味する。さらに、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/またはメタクリルを意味する。
前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物(i)としては、酸基及び/または酸無水物基を有するアミドイミド樹脂(A)、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(B)、エポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物(C)及びポリカルボン酸無水物(D)を必須の反応原料とする酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(E)を含有するものである。
前記アミドイミド樹脂(A)としては、酸基または酸無水物基のどちらか一方のみを有するものであってもよいし、両方を有するものであってもよい。なかでも、前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(B)や前記エポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物(C)との反応性や反応制御の観点から、酸無水物基を有していることが好ましく、酸基と酸無水物基との両方を有することが好ましい。
前記酸基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基等が挙げられる。
前記酸無水物基としては、例えば、カルボン酸無水物基、スルホン酸無水物基、燐酸無水物基等が挙げられる。
前記アミドイミド樹脂(A)としては、その具体構造は特に限定されず、一般的なアミドイミド樹脂等を広く用いることができる。例えば、ポリイソシアネート化合物(a1)と、ポリカルボン酸無水物(a2)とを必須の反応原料とするものが挙げられる。
前記ポリイソシアネート化合物(a1)としては、例えば、ブタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;ノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート化合物;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチルビフェニル、o-トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;下記構造式(1)で表される繰り返し構造を有するポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート;これらのイソシアヌレート変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体等が挙げられる。また、これらのポリイソシアネート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
[式中、R
1はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1~6の炭化水素基の何れかである。R
2はそれぞれ独立に炭素原子数1~4のアルキル基、または構造式(1)で表される構造部位と*印が付されたメチレン基を介して連結する結合点の何れかである。lは0または1~3の整数であり、mは1~15の整数である。]
これらの中でも、優れた溶剤溶解性を有する硬化性樹脂組成物となる点では前記脂環式ジイソシアネート化合物またはその変性体が好ましく、脂環式ジイソシアネートまたはそのイソシアヌレート変性体が好ましい。また、硬化物における耐熱性、伸度及び基材密着性が非常に優れた硬化性樹脂組成物となる点では前記脂肪族ジイソシアネート化合物またはその変性体が好ましく、脂肪族ジイソシアネートまたはそのイソシアヌレート変性体が好ましい。さらに、前記ポリイソシアネート化合物(a1)の総質量に対する前記脂環式ジイソシアネート化合物またはその変性体と前記脂肪族ジイソシアネート化合物またはその変性体との合計質量の割合が70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。また、前記脂環式ジイソシアネート化合物またはその変性体と前記脂肪族ジイソシアネート化合物またはその変性体とを併用する場合には、両者の質量比が20/80~80/20の範囲であることが好ましい。
前記ポリカルボン酸無水物(a2)としては、例えば、脂肪族ポリカルボン酸無水物、脂環式ポリカルボン酸無水物、芳香族ポリカルボン酸無水物等が挙げられる。
前記脂肪族ポリカルボン酸無水物としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸の酸無水物等が挙げられる。これらの脂肪族ポリカルボン酸無水物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、前記脂肪族ポリカルボン酸無水物としては、脂肪族炭化水素基は直鎖型及び分岐型のいずれでもよく、構造中に不飽和結合を有していてもよい。
前記脂環式ポリカルボン酸無水物としては、本発明では、酸無水物基が脂環構造に結合しているものを脂環式ポリカルボン酸無水物とし、それ以外の構造部位における芳香環の有無は問わないものとする。前記脂環式ポリカルボン酸無水物としては、例えば、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキサントリカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸の酸無水物等が挙げられる。これらの脂環式ポリカルボン酸無水物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記芳香族ポリカルボン酸無水物としては、例えば、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ビフェニルトリカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸の酸無水物等が挙げられる。これらの芳香族ポリカルボン酸無水物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
これらのポリカルボン酸無水物(a2)は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、優れた耐熱性、伸度及び基材密着性を有する硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物が得られることから、前記脂環式ポリカルボン酸無水物、或いは前記芳香族ポリカルボン酸無水物が好ましい。また、優れた耐熱性、伸度及び基材密着性を有する硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物が得られることから、分子構造中にカルボキシル基と酸無水物基との両方を有するトリカルボン酸無水物を用いることが好ましく、シクロヘキサントリカルボン酸無水物またはトリメリット酸無水物を用いることが特に好ましい。この際、前記ポリカルボン酸無水物(a2)中の前記トリカルボン酸無水物の含有量が、70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。
また、前記アミドイミド樹脂(A)としては、必要に応じて、前記ポリイソシアネート化合物(a1)及び前記ポリカルボン酸無水物(a2)以外に、その他の化合物を反応原料として併用することもできる。前記その他の化合物を併用する場合、本発明が奏する効果が十分に発揮されることから、前記アミドイミド樹脂(A)の反応原料中の前記ポリイソシアネート化合物(a1)及び前記ポリカルボン酸無水物(a2)の合計の含有量が、80質量%以上が好ましく、85質量%がより好ましい。
前記その他の化合物としては、例えば、ポリカルボン酸等が挙げられる。
前記ポリカルボン酸としては、一分子中にカルボキシル基を2つ以上有する化合物であれば何れのものも用いることができる。例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、シクロヘキサントリカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ビフェニルトリカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等が挙げられる。また、前記ポリカルボン酸としては、例えば、共役ジエン系ビニルモノマーとアクリロニトリルとの共重合体であって、その分子中にカルボキシル基を有する重合体も用いることができる。これらのポリカルボン酸(a2)は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記共役ジエン系ビニルモノマーとアクリロニトリルとの共重合体であって、その分子中にカルボキシル基を有する重合体としては、例えば、下記構造式(2-1)で表されるブタジエン-アクリロニトリル共重合体にカルボキシル基を有する重合体や、下記構造式(2-2)で表されるブタジエン-アクリロニトリル共重合体の分子中に水酸基を有する重合体と無水マレイン酸等の多塩基酸無水物とのハーフエステルなどが挙げられる。なお、カルボキシル基の位置は、分子の側鎖または末端の何れに位置していてもよいが、末端が好ましい。
[構造式(2-1)中、Xは1~50の整数であり、Yは1~50の整数であり、Zは1~20の整数である。]
[構造式(2-2)中、Xは1~50の整数であり、Yは1~50の整数であり、Zは1~20の整数である。]
前記アミドイミド樹脂(A)の酸価は、優れた耐熱性、伸度及び基材密着性を有する硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物が得られることから、中性条件下、即ち、酸無水物基を開環させない条件での測定値が60~350mgKOH/gの範囲であることが好ましく、水の存在下等、酸無水物基を開環させた条件での測定値が61~360mgKOH/gの範囲であることが好ましい。なお、本願発明において酸価はJIS K 0070(1992)の中和滴定法にて測定される値である。
前記アミドイミド樹脂(A)が、ポリイソシアネート化合物(a1)とポリカルボン酸無水物(a2)とを反応原料とするものである場合、その製造方法は特に限定されず、どのような方法で製造してもよい。例えば、一般的なアミドイミド樹脂と同様の方法にて製造することができる。具体的には、前記ポリイソシアネート化合物(a1)が有するイソシアネート基1モルに対し、0.8~3.5モルの前記ポリカルボン酸無水物(a2)を用い、100~180℃程度の温度条件下で撹拌混合して反応させる方法が挙げられる。
該反応は、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよく、また、必要に応じて塩基性触媒を用いてもよい。
前記有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキソラン等の環状エーテル溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶剤;トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の芳香族溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族溶剤;カルビトール、セロソルブ、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール溶剤;アルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート等のグリコールエーテル溶剤;メトキシプロパノール、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。これらの有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、前記有機溶剤の使用量は、反応効率が良好となることから、反応原料の合計質量に対し0.1~5倍量程度の範囲で用いることが好ましい。
前記塩基性触媒としては、例えば、N-メチルモルフォリン、ピリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5(DBN)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリ-n-ブチルアミンもしくはジメチルベンジルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イミダゾール、1-メチルイミダゾール、2,4-ジメチルイミダゾール、1,4-ジエチルイミダゾール、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(N-フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等のアミン化合物類;トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムアセテート等の四級アンモニウム塩類;トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類;テトラメチルホスホニウムクロライド、テトラエチルホスホニウムクロライド、テトラプロピルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、トリメチル(2-ヒドロキシルプロピル)ホスホニウムクロライド、トリフェニルホスホニウムクロライド、ベンジルホスホニウムクロライド等のホスホニウム塩類;ジブチル錫ジラウレート、オクチル錫トリラウレート、オクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジネオデカノエート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫、1,1,3,3-テトラブチル-1,3-ドデカノイルジスタノキサン等の有機錫化合物;オクチル酸亜鉛、オクチル酸ビスマス等の有機金属化合物;オクタン酸錫等の無機錫化合物;無機金属化合物などが挙げられる。これらの塩基性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記アミドイミド樹脂(A)が、前記ポリイソシアネート化合物(a1)と前記ポリカルボン酸無水物(a2)とを反応原料とするものである場合、所望の樹脂性能等に応じてこれら以外の反応原料を併用してもよい。この場合、本発明が奏する効果が十分に発揮されることから、アミドイミド樹脂(A)の反応原料総質量に対する前記ポリイソシアネート化合物(a1)と前記ポリカルボン酸無水物(a2)との合計質量の割合が90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましい。
前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(B)としては、分子構造中に水酸基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物であれば他の具体構造は特に限定されず、多種多様な化合物を用いることができる。その一例としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、前記各種の水酸基含有(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体や、前記各種の水酸基含有(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等も用いることができる。これらの水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(B)は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、反応の制御が容易となることから水酸基を1つ有する(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(B)の分子量は、優れた耐熱性、伸度及び基材密着性を有する硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物が得られることから、1,000以下が好ましい。また、前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(B)が、オキシアルキレン変性体やラクトン変性体である場合には、重量平均分子量(Mw)は、1,000以下が好ましい。
前記エポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物(C)としては、分子構造中に(メタ)アクリロイル基とエポキシ基とを有するものであれば他の具体構造は特に限定されず、多種多様な化合物を用いることができる。その一例としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、エポキシシクロへキシルメチル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有(メタ)アクリレートモノマー;ジヒドロキシベンゼンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル、ビフェノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールジグリシジルエーテル等のジグリシジルエーテル化合物のモノ(メタ)アクリレート化物等が挙げられる。これらのエポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物(C)は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。これらの中でも、反応の制御が容易となることから、エポキシ基を1つ有する(メタ)アクリレート化合物が好ましく、優れた耐熱性、伸度及び基材密着性を有する硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物が得られることから、グリシジル基含有(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。また、前記グリシジル基含有(メタ)アクリレートモノマーの分子量は500以下であることが好ましい。さらに、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物(C)の総質量に対する前記グリシジル基含有(メタ)アクリレートモノマーの割合が70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
前記ポリカルボン酸無水物(D)としては、上述のポリカルボン酸無水物(a2)と同様のものを用いることができる。これらポリカルボン酸無水物(D)は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、優れた耐熱性、伸度及び基材密着性を有する硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物が得られることから、脂肪族ポリカルボン酸無水物または脂環式ポリカルボン酸無水物が好ましく、脂肪族ジカルボン酸無水物または脂環式ジカルボン酸無水物がより好ましい。
前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(E)は、所望の樹脂性能等に応じて、前記アミドイミド樹脂(A)、前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(B)、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物(C)及び前記ポリカルボン酸無水物(D)の他、その他の反応原料を併用してもよい。この場合、本発明が奏する効果が十分に発揮されることから、酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(E)の反応原料総質量に対する前記(A)~(D)成分の合計質量の割合が80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(E)の製造方法としては、特に限定されず、どのような方法にて製造してもよい。例えば、反応原料の全てを一括で反応させる方法で製造してもよいし、反応原料を順次反応させる方法で製造してもよい。なかでも、反応の制御が容易であることから、前記アミドイミド樹脂(A)と前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(B)を反応させ(工程1)、工程1の生成物と前記エポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物(C)とを反応させ(工程2)、工程2の生成物と前記ポリカルボン酸無水物(D)とを反応させる(工程3)方法で製造することが好ましい。
前記工程1としては、前記アミドイミド樹脂(A)と前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(B)との反応である該反応は、主に、前記アミドイミド樹脂(A)中の酸基及び/または酸無水物基と水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(B)中の水酸基とを反応させるものである。前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(B)は特に酸無水物基との反応性に優れることから、前述の通り、前記アミドイミド樹脂(A)は酸無水物基を有していることが好ましい。なお、前記アミドイミド樹脂(A)中の酸無水物基の含有量は、前述した2通りの酸価の測定値の差分、即ち、酸無水物基を開環させた条件での酸価と、酸無水物基を開環させない条件での酸価との差分から算出することができる。
前記アミドイミド樹脂(A)と前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(B)との反応割合は、前記アミドイミド樹脂(A)が酸基及び酸無水物基を有する場合、並びに前記アミドイミド樹脂(A)が酸無水物基を有する場合、前記アミドイミド樹脂(A)が有する酸無水物基1モルに対する、前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(B)が有する水酸基のモル数が、0.9~1.1となる範囲で用いることが好ましい。また、前記アミドイミド樹脂(A)が酸基を有する場合、前記アミドイミド樹脂(A)が有する酸基1モルに対する、前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(B)が有する水酸基のモル数が、0.1~0.5となる範囲で用いることが好ましい。
前記アミドイミド樹脂(A)と前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(B)との反応は、例えば、適当なエステル化触媒の存在下、80~140℃程度の温度条件下で加熱撹拌して行うことができる。前記エステル化触媒としては、例えば、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のリン化合物、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、2-メチルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物等が挙げられる。これらのエステル化触媒は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。前記エステル化触媒の添加量は、反応原料の合計質量100質量部に対して0.001~5質量部の範囲で用いることが好ましい。
該反応は必要に応じて有機溶剤中で行ってもよく、また、必要に応じて酸性触媒を用いてもよい。
前記有機溶剤としては、上述の有機溶剤と同様のものを用いることができ、これらの有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。前記アミドイミド樹脂(A)の製造と工程1とを連続して行う場合には、前記アミドイミド樹脂(A)の製造で用いた有機溶剤中でそのまま反応を続けてもよい。
前記酸性触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、シュウ酸等の有機酸、三フッ化ホウ素、無水塩化アルミニウム、塩化亜鉛等のルイス酸などが挙げられる。これらの酸性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記工程2としては、前記工程1の生成物と前記エポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物(C)との反応である。該反応は、主に、前記工程1で得られた生成物中の酸基と前記エポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物を反応させるものである。その反応割合は、工程1で得られた生成物中の酸基1モルに対する、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物(C)が有するエポキシ基のモル数が、0.7~1.2となる範囲で用いることが好ましく、0.9~1.1となる範囲で用いることがより好ましい。工程2の反応は、例えば、適当なエステル化触媒の存在下、90~140℃程度の温度条件下で加熱撹拌して行うことができる。工程1と工程2とを連続して行う場合、エステル化触媒は追加しなくてもよいし、適宜追加してもよい。また、反応は必要に応じて有機溶剤中で行ってもよい。なお、前記エステル化触媒及び有機溶剤は、上述のエステル化触媒及び有機溶剤と同様のものを用いることができ、これらは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記工程3としては、前記工程2の生成物と前記ポリカルボン酸無水物(D)との反応である。該反応は、主に、前記工程2で得られた生成物中の水酸基と前記ポリカルボン酸無水物(D)とを反応させるものである。前記工程2の生成物中には、例えば、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物(C)中のエポキシ基の開環により生じた水酸基等が存在する。前記ポリカルボン酸無水物(D)の反応割合は、生成物である酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(E)の酸価が60~120mgKOH/g程度になるよう調整されることが好ましい。工程3の反応は、例えば、適当なエステル化触媒の存在下、80~140℃程度の温度条件下で加熱撹拌して行うことができる。工程2と工程3とを連続して行う場合、エステル化触媒は追加しなくてもよいし、適宜追加してもよい。また、反応は必要に応じて有機溶剤中で行ってもよい。なお、前記エステル化触媒及び前記有機溶剤は、上述のエステル化触媒及び有機溶剤と同様のものを用いることができ、これらは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(E)の酸価は、優れた耐熱性、伸度及び基材密着性を有する硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物が得られることから、50~120mgKOH/gの範囲が好ましく、60~110mgKOH/gの範囲がより好ましい。なお、本願発明において酸基含有(メタ)アクリレート樹脂の酸価は、JIS K 0070(1992)の中和滴定法にて測定される値である。
また、前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(E)の重量平均分子量(Mw)は1,000~20,000の範囲であることが好ましい。なお、本発明において、重量平均分子量(Mw)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物(i)は、前述した酸基含有(メタ)アクリレート樹脂以外のその他の樹脂成分を含有しても良い。前記その他の樹脂成分としては、酸基及び重合性不飽和結合を有する樹脂(F)、各種の(メタ)アクリレートモノマー等が挙げられる。
前記酸基及び重合性不飽和結合を有する樹脂(F)としては、樹脂中に酸基及び重合性不飽和結合を有するものであれば何れでもよく、例えば、酸基及び重合性不飽和結合を有するエポキシ樹脂、酸基及び重合性不飽和結合を有するウレタン樹脂、酸基及び重合性不飽和結合を有するアクリル樹脂、酸基及び重合性不飽和結合を有するアミドイミド樹脂、酸基及び重合性不飽和結合を有するアクリルアミド樹脂等が挙げられる。
前記酸基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基等が挙げられる。
前記酸基及び重合性不飽和結合を有するエポキシ樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和一塩基酸、及び多塩基酸無水物を必須の反応原料とする酸基含有エポキシ(メタ)アクリレート樹脂や、エポキシ樹脂、不飽和一塩基酸、多塩基酸無水物、ポリイソシアネート化合物、及び水酸基含有(メタ)アクリレート化合物を反応原料とする酸基及びウレタン基含有エポキシ(メタ)アクリレート樹脂などが挙げられる。
前記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェニレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール-フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール-クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン-フェノール付加反応型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、キサンテン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂、トリヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記不飽和一塩基酸とは、一分子中に酸基及び重合性不飽和結合を有する化合物をいう。前記酸基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基等が挙げられる。前記不飽和一塩基酸(D)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、α-シアノ桂皮酸、β-スチリルアクリル酸、β-フルフリルアクリル酸等が挙げられる。また、前記不飽和一塩基酸のエステル化物、酸ハロゲン化物、酸無水物等も用いることができる。これらの不飽和一塩基酸は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記多塩基酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、無水コハク酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、オクテニル無水コハク酸、テトラプロぺニル無水コハク酸等が挙げられる。これらの多塩基酸無水物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、、優れた耐熱性、伸度及び基材密着性を有する硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物が得られることから、テトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸が好ましい。
前記ポリイソシアネート化合物としては、上述のポリイソシアネート化合物(a1)と同様のものを用いることができ、前記ポリイソシアネート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物としては、上述の水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(B)と同様のものを用いることができ、前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記酸基及び重合性不飽和結合を有するエポキシ樹脂の製造方法としては、特に限定されず、どのような方法で製造してもよい。前記酸基及び重合性不飽和結合を有するエポキシ樹脂の製造においては、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよく、また、必要に応じて塩基性触媒を用いてもよい。
前記有機溶剤としては、上述の有機溶剤と同様のものを用いることができ、前記有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記塩基性触媒としては、上述の塩基性触媒と同様のものを用いることができ、前記塩基性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記酸基及び重合性不飽和結合を有するウレタン樹脂としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物、カルボキシル基含有ポリオール化合物、及び必要に応じて多塩基酸無水物、前記カルボキシル基含有ポリオール化合物以外のポリオール化合物とを反応させて得られたものや、ポリイソシアネート化合物、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物、多塩基酸無水物、及びカルボキシル基含有ポリオール化合物以外のポリオール化合物とを反応させて得られたもの等が挙げられる。
前記ポリイソシアネート化合物としては、上述のポリイソシアネート化合物(a1)と同様のものを用いることができ、前記ポリイソシアネート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物としては、上述の水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(B)と同様のものを用いることができ、前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記カルボキシル基含有ポリオール化合物としては、例えば、2,2-ジメチロールプロピオン酸、2,2-ジメチロールブタン酸、2,2-ジメチロール吉草酸等が挙げられる。前記カルボキシル基含有ポリオール化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記多塩基酸無水物としては、上述の多塩基酸無水物と同様のものを用いることができ、前記多塩基酸無水物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記カルボキシル基含有ポリオール化合物以外のポリオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール化合物;ビフェノール、ビスフェノール等の芳香族ポリオール化合物;前記各種のポリオール化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記各種のポリオール化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等が挙げられる。前記カルボキシル基含有ポリオール化合物以外のポリオール化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記酸基及び重合性不飽和結合を有するウレタン樹脂の製造方法としては、特に限定されず、どのような方法で製造してもよい。前記酸基及び重合性不飽和結合を有するウレタン樹脂の製造においては、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよく、また、必要に応じて塩基性触媒を用いてもよい。
前記有機溶剤としては、上述の有機溶剤と同様のものを用いることができ、前記有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記塩基性触媒としては、上述の塩基性触媒と同様のものを用いることができ、前記塩基性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記酸基及び重合性不飽和結合を有するアクリル樹脂としては、例えば、水酸基やカルボキシル基、イソシアネート基、グリシジル基等の反応性官能基を有する(メタ)アクリレート化合物(α)を必須の成分として重合させて得られるアクリル樹脂中間体に、これらの官能基と反応し得る反応性官能基を有する(メタ)アクリレート化合物(β)をさらに反応させることにより(メタ)アクリロイル基を導入して得られる反応生成物や、前記反応生成物中の水酸基に多塩基酸無水物を反応させて得られるもの等が挙げられる。
前記アクリル樹脂中間体は、前記(メタ)アクリレート化合物(α)の他、必要に応じてその他の重合性不飽和基含有化合物を共重合させたものであってもよい。前記その他の重合性不飽和基含有化合物は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環式構造含有(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレート;3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシリル基含有(メタ)アクリレート;スチレン、α-メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン誘導体等が挙げられる。これらは単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記(メタ)アクリレート化合物(β)は、前記(メタ)アクリレート化合物(α)が有する反応性官能基と反応し得るものであれば特に限定されないが、反応性の観点から以下の組み合わせであることが好ましい。即ち、前記(メタ)アクリレート化合物(α)として水酸基含有(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレート化合物(β)としてイソシアネート基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレート化合物(α)としてカルボキシル基含有(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレート化合物(β)としてグリシジル基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレート化合物(α)としてイソシアネート基含有(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレート化合物(β)として水酸基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレート化合物(α)としてグリシジル基含有(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレート化合物(β)としてカルボキシル基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレート化合物(β)は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記多塩基酸無水物は、上述の多塩基酸無水物と同様のものを用いることができ、前記多塩基酸無水物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記酸基及び重合性不飽和結合を有するアクリル樹脂の製造方法としては、特に限定されず、どのような方法で製造してもよい。前記酸基及び重合性不飽和結合を有するアクリル樹脂の製造においては、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよく、また、必要に応じて塩基性触媒を用いてもよい。
前記有機溶剤としては、上述の有機溶剤と同様のものを用いることができ、前記有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記塩基性触媒としては、上述の塩基性触媒と同様のものを用いることができ、前記塩基性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記酸基及び重合性不飽和結合を有するアミドイミド樹脂としては、例えば、酸基及び/または酸無水物基を有するアミドイミド樹脂と、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物及び/またはエポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物と、必要に応じて、水酸基、カルボキシル基、イソシアネート基、グリシジル基、及び酸無水物基からなる群より選ばれる1種以上の反応性官能基を有する化合物を反応させて得られるものが挙げられる。なお、前記反応性官能基を有する化合物は、(メタ)アクリロイル基を有していてもよいし、有していなくてもよい。
前記アミドイミド樹脂としては、酸基または酸無水物基のどちらか一方のみを有するものであってもよいし、両方を有するものであってもよい。水酸基含有(メタ)アクリレート化合物や(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物との反応性や反応制御の観点から、酸無水物基を有するものであることが好ましく、酸基と酸無水物基との両方を有するものであることがより好ましい。前記アミドイミド樹脂の酸価は、中性条件下、即ち、酸無水物基を開環させない条件での測定値が60~350mgKOH/gの範囲であることが好ましい。他方、水の存在下等、酸無水物基を開環させた条件での測定値が61~360mgKOH/gの範囲であることが好ましい。
前記アミドイミド樹脂としては、例えば、ポリイソシアネート化合物と、多塩基酸無水物とを反応原料として得られるものが挙げられる。
前記ポリイソシアネート化合物としては、上述のポリイソシアネート化合物(a1)と同様のものを用いることができ、前記ポリイソシアネート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記多塩基酸無水物としては、上述の多塩基酸無水物と同様のものを用いることができ、前記多塩基酸無水物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
また、前記アミドイミド樹脂は、必要に応じて、前記ポリイソシアネート化合物及び多塩基酸無水物以外に、多塩基酸を反応原料として併用することもできる。
前記多塩基酸としては、一分子中にカルボキシル基を2つ以上有する化合物であれば何れのものも用いることができる。例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、シクロヘキサントリカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ビフェニルトリカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等が挙げられる。また、前記多塩基酸としては、例えば、共役ジエン系ビニルモノマーとアクリロニトリルとの共重合体であって、その分子中にカルボキシル基を有する重合体も用いることができる。これらの多塩基酸は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物としては、上述の水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(B)と同様のものを用いることができ、前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記エポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物としては、上述のエポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物(C)と同様のものを用いることができ、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記酸基及び重合性不飽和結合を有するアミドイミド樹脂の製造方法としては、特に限定されず、どのような方法で製造してもよい。前記酸基及び重合性不飽和結合を有するアミドイミド樹脂の製造においては、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよく、また、必要に応じて塩基性触媒を用いてもよい。
前記有機溶剤としては、上述の有機溶剤と同様のものを用いることができ、前記有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記塩基性触媒としては、上述の塩基性触媒と同様のものを用いることができ、前記塩基性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記酸基及び重合性不飽和結合を有するアクリルアミド樹脂としては、例えば、フェノール性水酸基含有化合物と、アルキレンオキサイドまたはアルキレンカーボネートと、N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物と、多塩基酸無水物と、必要に応じて不飽和一塩基酸とを反応させて得られたものが挙げられる。
前記フェノール性水酸基含有化合物としては、分子内にフェノール性水酸基を少なくとも2つ有する化合物をいう。前記分子内にフェノール性水酸基を少なくとも2つ有する化合物としては、例えば、下記構造式(3-1)~(3-4)で表される化合物が挙げられる。
上記構造式(3-1)~(3-4)において、R1は、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のアルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子の何れかであり、R2は、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基である。また、pは、0または1以上の整数であり、好ましくは0または1~3の整数であり、より好ましくは0または1であり、さらに好ましくは0である。qは、2以上の整数であり、好ましくは、2または3である。なお、上記構造式における芳香環上の置換基の位置については、任意であり、例えば、構造式(3-2)のナフタレン環においてはいずれの環上に置換していてもよく、構造式(3-3)では、1分子中に存在するベンゼン環のいずれの環上に置換していてもよく、構造式(3-4)では、1分子中に存在するベンゼン環のいずれかの環状に置換していてもよいことを示し、1分子中における置換基の個数がp及びqであることを示している。
また、前記フェノール性水酸基含有化合物としては、例えば、分子内にフェノール性水酸基を1つ有する化合物と下記構造式(x-1)~(x-5)の何れかで表される化合物とを必須の反応原料とする反応生成物や、分子内にフェノール性水酸基を少なくとも2つ有する化合物と下記構造式(x-1)~(x-5)の何れかで表される化合物とを必須の反応原料とする反応生成物なども用いることができる。また、分子内にフェノール性水酸基を1つ有する化合物の1種または2種以上を反応原料とするノボラック型フェノール樹脂、分子内にフェノール性水酸基を少なくとも2つ有する化合物の1種または2種以上を反応原料とするノボラック型フェノール樹脂なども用いることができる。
[式(x-1)中、hは0または1である。式(x-2)~(x-5)中、R
3は、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のアルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子の何れかであり、iは、0または1~4の整数である。式(x-2)、(x-3)及び(x-5)中、Zは、ビニル基、ハロメチル基、ヒドロキシメチル基、アルキルオキシメチル基の何れかである。式(x-5)中、Yは、炭素原子数1~4のアルキレン基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基の何れかであり、jは1~4の整数である。]
前記分子内にフェノール性水酸基を1つ有する化合物としては、例えば、下記構造式(2-1)~(2-4)で表される化合物等が挙げられる。
上記構造式(4-1)~(4-4)において、R4は、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のアルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子の何れかであり、R5は、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基である。また、pは、0または1以上の整数であり、好ましくは0または1~3の整数であり、より好ましくは0または1であり、さらに好ましくは0である。なお、上記構造式における芳香環上の置換基の位置については、任意であり、例えば、構造式(4-2)のナフタレン環においてはいずれの環上に置換していてもよく、構造式(4-3)では、1分子中に存在するベンゼン環のいずれの環上に置換していてもよく、構造式(4-4)では、1分子中に存在するベンゼン環のいずれかの環状に置換していてもよいことを示している。
前記分子内にフェノール性水酸基を少なくとも2つ有する化合物としては、上述の構造式(3-1)~(3-4)で表される化合物を用いることができる。
これらのフェノール性水酸基含有化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、ペンチレンオキサイド等が挙げられる。これらの中でも、優れた耐熱性、伸度及び基材密着性を有する硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物が得られることから、エチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドが好ましい。前記アルキレンオキサイドは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記アルキレンカーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ペンチレンカーボネート等が挙げられる。これらの中でも、優れた耐熱性、伸度及び基材密着性を有する硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物が得られることから、エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートが好ましい。前記アルキレンカーボネートは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物としては、例えば、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。前記N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記多塩基酸無水物としては、上述の多塩基酸無水物と同様のものを用いることができ、前記多塩基酸無水物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記不飽和一塩基酸としては、上述の不飽和一塩基酸と同様のものを用いることができ、前記不飽和一塩基酸は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記酸基及び重合性不飽和結合を有するアクリルアミド樹脂の製造方法としては、特に限定されず、どのような方法で製造してもよい。前記酸基及び重合性不飽和結合を有するアクリルアミド樹脂の製造においては、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよく、また、必要に応じて塩基性触媒及び酸性触媒を用いてもよい。
前記有機溶剤としては、上述の有機溶剤と同様のものを用いることができ、前記有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記塩基性触媒としては、上述の塩基性触媒と同様のものを用いることができ、前記塩基性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記酸性触媒としては、上述の酸性触媒と同様のものを用いることができ、前記酸性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記酸基及び重合性不飽和結合を有する樹脂(E)の使用量は、本発明の酸基含有(メタ)アクリレート樹脂100質量部に対して、10~900質量部の範囲が好ましい。
前記各種の(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等の脂肪族モノ(メタ)アクリレート化合物;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチルモノ(メタ)アクリレート等の脂環型モノ(メタ)アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等の複素環型モノ(メタ)アクリレート化合物;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェニルベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、ベンジルベンジル(メタ)アクリレート、フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族モノ(メタ)アクリレート化合物等のモノ(メタ)アクリレート化合物:前記各種のモノ(メタ)アクリレートモノマーの分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等のポリオキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性モノ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のモノ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性モノ(メタ)アクリレート化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族ジ(メタ)アクリレート化合物;1,4-シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の脂環型ジ(メタ)アクリレート化合物;ビフェノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート等の芳香族ジ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のジ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入したポリオキシアルキレン変性ジ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のジ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性ジ(メタ)アクリレート化合物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等の脂肪族トリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族トリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性トリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族トリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性トリ(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した4官能以上の(ポリ)オキシアルキレン変性ポリ(メタ)アクリレート化合物;前記脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入した4官能以上のラクトン変性ポリ(メタ)アクリレート化合物などが挙げられる。前記各種の(メタ)アクリレートモノマーは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記硬化剤(ii)としては、エポキシ樹脂を必須として用いる。
前記エポキシ樹脂としては、分子中にエポキシ基を有するものであれば特に制限されず、多種多様な化合物を用いることができる。例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェニレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール-フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール-クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン-フェノール付加反応型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、キサンテン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂、トリヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、優れた耐熱性、伸度及び基材密着性を有する硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物が得られることから、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール-フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール-クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、軟化点が20~120℃の範囲であるものが特に好ましい。
前記硬化剤(ii)の使用量は、前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物(i)が有する酸基1モルに対する、前記硬化剤(ii)が有するエポキシ基のモル数が0.7~1.7となる範囲で用いる。
本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、光重合開始剤、硬化促進剤、有機溶剤、無機微粒子やポリマー微粒子、顔料、消泡剤、粘度調整剤、レベリング剤、難燃剤、保存安定化剤等の各種添加剤を含有することもできる。
前記光重合開始剤は、照射する活性エネルギー線の種類等により適切なものを選択して用いればよい。また、アミン化合物、尿素化合物、含硫黄化合物、含燐化合物、含塩素化合物、ニトリル化合物等の光増感剤と併用してもよい。光重合開始剤の具体例としては、例えば、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン等のアルキルフェノン系光重合開始剤;2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤;ベンゾフェノン化合物等の分子内水素引き抜き型光重合開始剤等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
前記光重合開始剤としては、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、2,2′-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ジフェニル(2,4,6-トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン等が挙げられる。
前記その他の光重合開始剤の市販品としては、例えば、「Omnirad-1173」、「Omnirad-184」、「Omnirad-127」、「Omnirad-2959」、「Omnirad-369」、「Omnirad-379」、「Omnirad-907」、「Omnirad-4265」、「Omnirad-1000」、「Omnirad-651」、「Omnirad-TPO」、「Omnirad-819」、「Omnirad-2022」、「Omnirad-2100」、「Omnirad-754」、「Omnirad-784」、「Omnirad-500」、「Omnirad-81」(IGM社製)、「カヤキュア-DETX」、「カヤキュア-MBP」、「カヤキュア-DMBI」、「カヤキュア-EPA」、「カヤキュア-OA」(日本化薬株式会社製)、「バイキュア-10」、「バイキュア-55」(ストウファ・ケミカル社製)、「トリゴナルP1」(アクゾ社製)、「サンドレイ1000」(サンドズ社製)、「ディープ」(アプジョン社製)、「クオンタキュア-PDO」、「クオンタキュア-ITX」、「クオンタキュア-EPD」(ワードブレンキンソップ社製)、「Runtecure-1104」(Runtec社製)等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
前記光重合開始剤の添加量は、例えば、硬化性樹脂組成物の溶剤以外の成分の合計に対し0.05~15質量%の範囲であることが好ましく、0.1~10質量%の範囲であることがより好ましい。
前記硬化促進剤としては、前記硬化剤の硬化反応を促進するものであり、前記硬化剤としてエポキシ樹脂を用いる場合には、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられる。これらの硬化促進剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、前記硬化促進剤の添加量は、例えば、前記硬化剤100質量部に対し1~10質量部の範囲で用いることが好ましい。
前記有機溶剤としては、上述の有機溶剤と同様のものを用いることができ、これらの有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
本発明の硬化物は、前記硬化性樹脂組成物に、活性エネルギー線を照射することで得ることができる。前記活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線が挙げられる。また、前記活性エネルギー線として、紫外線を用いる場合、紫外線による硬化反応を効率よく行う上で、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で照射してもよく、空気雰囲気下で照射してもよい。
紫外線発生源としては、実用性、経済性の面から紫外線ランプが一般的に用いられている。具体的には、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ガリウムランプ、メタルハライドランプ、太陽光、LED等が挙げられる。
前記活性エネルギー線の積算光量は、特に制限されないが、10~5,000mJ/cm2であることが好ましく、50~1,000mJ/cm2であることがより好ましい。積算光量が上記範囲であると、未硬化部分の発生の防止または抑制ができることから好ましい。
なお、前記活性エネルギー線の照射は、一段階で行ってもよいし、二段階以上に分けて行ってもよい。
また、本発明の硬化物は、優れた耐熱性、伸度及び基材密着性を有することから、例えば、半導体デバイス用途における、ソルダーレジスト、層間絶縁材料、パッケージ材、アンダーフィル材、回路素子等のパッケージ接着層や、集積回路素子と回路基板の接着層として好適に用いることができる。また、LCD、OELDに代表される薄型ディスプレイ用途における、薄膜トランジスタ保護膜、液晶カラーフィルタ保護膜、カラーフィルタ用顔料レジスト、ブラックマトリックス用レジスト、スペーサー等に好適に用いることができる。これらの中でも、特にソルダーレジスト用途に好適に用いることができる。
本発明のソルダーレジスト用樹脂材料は、前記硬化性樹脂組成物からなるものである。
本発明のレジスト部材は、例えば、前記ソルダーレジスト用樹脂材料を基材上に塗布し、60~100℃程度の温度範囲で有機溶媒を揮発乾燥させた後、所望のパターンが形成されたフォトマスクを通して活性エネルギー線にて露光させ、アルカリ水溶液にて未露光部を現像し、更に140~200℃程度の温度範囲で加熱硬化させて得ることができる。
前記基材としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等の金属箔などが挙げられる。
以下に、実施例および比較例をもって本発明をより詳しく説明する。
本願実施例において酸基含有(メタ)アクリレート樹脂の酸価はJIS K 0070(1992)の中和滴定法にて測定した。
本願実施例において酸基含有(メタ)アクリレート樹脂の分子量は下記条件のGPCにて測定した。
測定装置 :東ソー株式会社製「HLC-8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL-L」
+東ソー株式会社製「TSK-GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK-GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK-GEL G3000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK-GEL G4000HXL」
検出器: RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC-8020モデルIIバージョン4.10」
測定条件: カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 : 前記「GPC-8020モデルIIバージョン4.10」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A-500」
東ソー株式会社製「A-1000」
東ソー株式会社製「A-2500」
東ソー株式会社製「A-5000」
東ソー株式会社製「F-1」
東ソー株式会社製「F-2」
東ソー株式会社製「F-4」
東ソー株式会社製「F-10」
東ソー株式会社製「F-20」
東ソー株式会社製「F-40」
東ソー株式会社製「F-80」
東ソー株式会社製「F-128」
試料 : 樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(50μl)
(合成例1:酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(1)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート378.9質量部、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(EVONIK社製「VESTANAT T-1890/100」、イソシアネート基含有量17.2質量%)185.2質量部、無水トリメリット酸145.6質量部、ジブチルヒドロキシトルエン1.6質量部を加えて溶解させた。窒素雰囲気下、160℃で5時間反応させ、イソシアネート基含有量が0.1質量%以下となっていることを確認した。メトキノン0.3質量部、ペンタエリスリトールポリアクリレート混合物(東亜合成株式会社製「アロニックスM-306」、ペンタエリスリトールトリアクリレート含有量約67%、水酸基価159.7mgKOH/g)112.0質量部およびトリフェニルホスフィン3.1質量部を添加し、空気を吹き込みながら110℃で5時間反応させた。次いで、グリシジルメタクリレート125.1質量部を添加し、110℃で5時間反応させた。更に、無水コハク酸86.7質量部を加えて110℃で5時間反応させ、目的とする酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(1)を得た。この酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(1)の固形分酸価は73mgKOH/gであり、重量平均分子量は、3890であった。
(合成例2:酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(2)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート275.5質量部、イソホロンジイソシアネート213.9質量部、無水トリメリット酸277.4質量部、ジブチルヒドロキシトルエン1.9質量部を加えて溶解させた。窒素雰囲気下、160℃で5時間反応させ、イソシアネート基含有量が0.1質量%以下となっていることを確認した。メトキノン0.4質量部、ペンタエリスリトールポリアクリレート混合物(東亜合成株式会社製「アロニックスM-306」、ペンタエリスリトールトリアクリレート含有量約67%、水酸基価159.7mgKOH/g)85.3質量部およびトリフェニルホスフィン3.9質量部を添加し、空気を吹き込みながら110℃で5時間反応させた。次いで、グリシジルメタクリレート138.2質量部を添加し、110℃で5時間反応させた。更に、無水コハク酸94.4質量部を加えて110℃で5時間反応させ、酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(2)を得た。この酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(2)の固形分酸価は75mgKOH/gであり、重量平均分子量は、4920であった。
(比較合成例1:酸基含有アクリレート樹脂(3)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート101質量部を入れ、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N-680」、エポキシ当量:214)428質量部を溶解し、酸化防止剤としてジブチルヒドロキシトルエン4質量部、熱重合禁止剤として次いで、メトキノン0.4質量部加えた後、アクリル酸144質量部、トリフェニルホスフィン1.6質量部を添加し、空気を吹き込みながら120℃で10時間エステル化反応を行なった。その後、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート311質量部、テトラヒドロ無水フタル酸160質量部を加え110℃で2.5時間反応し、目的の酸基含有アクリレート樹脂(3)を得た。この酸基含有アクリレート樹脂(3)の固形分酸価は85mgKOH/gであった。
(実施例1:硬化性樹脂組成物(1)の調製)
合成例1で得た酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(1)、硬化剤としてオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N-680」)、光重合開始剤として2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(IGM社製「Omnirad-907」)、有機溶剤としてジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートを表1に示す質量部で配合して、硬化性樹脂組成物(1)を得た。
(実施例2~6:硬化性樹脂組成物(2)~(6)の調製)
実施例1で用いた酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(1)と硬化剤を表1に示す組成及び配合量に代え、実施例1と同様にして硬化性樹脂組成物(2)~(6)を得た。
(比較例1~5:硬化性樹脂組成物(C1)~(C5)の調製)
実施例1で用いた酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(1)と硬化剤を表1に示す組成及び配合量に代え、実施例1と同様にして硬化性樹脂組成物(C1)~(C5)を得た。
上記の実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物(1)~(6)及び(C1)~(C5)を用いて、下記の評価を行った。
[耐熱性の評価方法]
<試験片1作成>
ガラス基材上に実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物を50μmのアプリケーターで塗布し、80℃で30分間乾燥させた。メタルハライドランプを用いて1000mJ/cm2の紫外線を照射した後、160℃で1時間加熱した。銅箔から硬化物を剥離し、試験片1(硬化物)を得た。
前記試験片1を6mm×40mmの大きさに切り出し、粘弾性測定装置(DMA:レオメトリック社製固体粘弾性測定装置「RSAII」、引張り法:周波数1Hz、昇温速度3℃/分)を用いて、弾性率変化が最大となる(tanδ変化率が最も大きい)温度をガラス転移温度(Tg)として評価した。
[伸度の測定方法]
伸度の測定は、引張試験に基づいて行った。
<試験片2の作製>
ガラス基材上に実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物を50μmのアプリケーターで塗布し、80℃で30分間乾燥させた。メタルハライドランプを用いて1000mJ/cm2の紫外線を照射した後、160℃で1時間加熱した。ガラス基材から硬化物を剥離し、試験片2(硬化物)を得た。
<引張試験>
前記試験片2を10mm×80mmの大きさに切り出し、株式会社島津製作所製精密万能試験機オートグラフ「AG-IS」を用いて、下記の測定条件で試験片の引張試験を行った。試験片が破断するまでの伸度(%)を測定し、以下の基準に従い評価した。
測定条件:温度23℃、湿度50%、標線間距離20mm、支点間距離20mm、引張速度10mm/分
[基材密着性の評価方法]
基材密着性の評価は、ピール強度の測定により行った。
<試験片3の作成>
銅箔(古河産業株式会社製、電解銅箔「F2-WS」18μm)上に実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物を50μmのアプリケーターで塗布し、80℃で30分間乾燥させた。メタルハライドランプを用いて1000mJ/cm2の紫外線を照射した後、160℃で1時間加熱し、試験片3を得た。
<ピール強度の測定方法>
前記試験片3を幅1cm、長さ12cmの大きさに切り出し、剥離試験機(株式会社A&D製「A&Dテンシロン」、剥離速度50mm/分)を用いて90°ピール強度を測定した。
実施例1~6で作製した硬化性樹脂組成物(1)~(6)、及び比較例1~5で作製した硬化性樹脂組成物(C1)~(C5)の組成及び評価結果を表1に示す。
なお、表1中の「硬化剤」は、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N-680」、エポキシ当量:214)を示す。
表1中の「有機溶剤」は、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートを示す。
表1中の「光重合開始剤」は、IGM社製「Omnirad-907」を示す。
表1に示した実施例1~6は、本発明の硬化性樹脂組成物を用いた例である。この硬化性樹脂組成物の硬化物は、優れた耐熱性、伸度及び基材密着性を有することが確認できた。
一方、比較例1~4は、酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が有する酸基1モルに対する硬化剤が有するエポキシ基のモル数が本発明の範囲外の硬化性樹脂組成物を用いた例である。この硬化性樹脂組成物の硬化物は、基材密着性が著しく不十分であることが確認できた。
比較例5は、本発明の構成を有しない酸基含有アクリレート樹脂を用いた硬化性樹脂組成物の例である。この硬化性樹脂組成物の硬化物においても、基材密着性ともに著しく不十分であることが確認できた。