JP7180175B2 - 画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
本実施形態に係る画像形成装置は、像担持体と、像担持体の表面を正極性に帯電する帯電部と、帯電された像担持体の表面を露光して、像担持体の表面に静電潜像を形成する露光部と、静電潜像にトナーを供給して、静電潜像をトナー像として現像する現像部と、トナー像を像担持体から被転写体へ転写する転写部とを備える。像担持体は、導電性基体と、感光層とを備える正帯電単層型電子写真感光体(以下、感光体と記載することがある。)である。感光層は、電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤及びバインダー樹脂を含有する。感光層における電荷発生剤の含有割合は、0.50質量%以上1.50質量%以下である。温度23℃かつ電界強度1.5×105V/cmの条件での測定において、感光層におけるゼログラフィックゲインは、32.0%以上であり、感光層における正孔の移動度μh及び電子の移動度μeは、いずれも1.0×10-7cm2/V/秒以上であり、かつ正孔の移動度μhに対する電子の移動度μeの比(μe/μh)は、1/50.0以上1/1.0以下である。
まず、本実施形態に係る画像形成装置が像担持体として備える感光体について説明する。図1、図2及び図3は、感光体1の構造を示す部分断面図である。
導電性基体は、感光体の導電性基体として用いることができる限り、特に限定されない。導電性基体は、少なくとも表面部が導電性を有する材料で形成されていればよい。導電性基体の一例としては、導電性を有する材料で形成される導電性基体が挙げられる。導電性基体の別の例としては、導電性を有する材料で被覆される導電性基体が挙げられる。導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼及び真鍮が挙げられる。これらの導電性を有する材料を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて(例えば、合金として)用いてもよい。これらの導電性を有する材料のなかでも、感光層から導電性基体への電荷の移動が良好であることから、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。
感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂とを含有する。感光層は、任意成分として、添加剤等の他の成分を更に含有してもよい。
電荷発生剤は、感光体用の電荷発生剤である限り、特に限定されない。電荷発生剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、無機光導電材料(例えば、セレン、セレン-テルル、セレン-ヒ素、硫化カドミウム又はアモルファスシリコン)の粉末、ピリリウム顔料、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料及びキナクリドン系顔料が挙げられる。電荷発生剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)示差走査熱量分析スペクトルにおいて、吸着水の気化に伴うピーク以外に50℃以上270℃以下の範囲にピークを有するY型チタニルフタロシアニン。
(B)示差走査熱量分析スペクトルにおいて、吸着水の気化に伴うピーク以外に50℃以上400℃以下の範囲にピークを有しないY型チタニルフタロシアニン。
(C)示差走査熱量分析スペクトルにおいて、吸着水の気化に伴うピーク以外に50℃以上270℃以下の範囲にピークを有さず、270℃以上400℃以下の範囲にピークを有するY型チタニルフタロシアニン。
ゼログラフィックゲイン=(ΔVmax×εr×ε0×λ)/(D×e×I0×h×c)・・・(α)
E=SPmax/D・・・(β)
正孔輸送剤としては、例えば、含窒素環式化合物及び縮合多環式化合物が挙げられる。含窒素環式化合物及び縮合多環式化合物としては、例えば、トリフェニルアミン誘導体;ジアミン誘導体(より具体的には、N,N,N’,N’-テトラフェニルベンジジン誘導体、N,N,N’,N’-テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’-テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、ジ(アミノフェニルエテニル)ベンゼン誘導体、N,N,N’,N’-テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体等);オキサジアゾール系化合物(より具体的には、2,5-ジ(4-メチルアミノフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール等);スチリル系化合物(より具体的には、9-(4-ジエチルアミノスチリル)アントラセン等);カルバゾール系化合物(より具体的には、ポリビニルカルバゾール等);有機ポリシラン化合物;ピラゾリン系化合物(より具体的には、1-フェニル-3-(p-ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等);ヒドラゾン系化合物;インドール系化合物;オキサゾール系化合物;イソオキサゾール系化合物;チアゾール系化合物;チアジアゾール系化合物;イミダゾール系化合物;ピラゾール系化合物;トリアゾール系化合物が挙げられる。これらの正孔輸送剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
電子輸送剤としては、例えば、キノン系化合物、ジイミド系化合物、ヒドラゾン系化合物、マロノニトリル系化合物、チオピラン系化合物、トリニトロチオキサントン系化合物、3,4,5,7-テトラニトロ-9-フルオレノン系化合物、ジニトロアントラセン系化合物、ジニトロアクリジン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8-トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアクリジン、無水コハク酸、無水マレイン酸及びジブロモ無水マレイン酸が挙げられる。キノン系化合物としては、例えば、ジフェノキノン系化合物、アゾキノン系化合物、アントラキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、ニトロアントラキノン系化合物及びジニトロアントラキノン系化合物が挙げられる。これらの電子輸送剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上(例えば、2種)を組み合わせて使用してもよい。
バインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、アクリル酸重合体、スチレン-アクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂及びポリエーテル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂及びメラミン樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ化合物のアクリル酸付加物及びウレタン化合物のアクリル酸付加物が挙げられる。感光層は、これらのバインダー樹脂の1種のみを含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
任意成分である添加剤としては、例えば、劣化防止剤(より具体的には、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、消光剤、紫外線吸収剤等)、軟化剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、ドナー、界面活性剤、及びレベリング剤が挙げられる。レベリング剤としては、例えば、シリコーンオイルが挙げられる。添加剤を感光層に添加する場合、これらの添加剤の1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
感光層における正孔輸送剤及び電子輸送剤の組み合わせとしては、
正孔輸送剤(HTM-1)と、電子輸送剤(ETM-1)及び(ETM-2)との組み合わせ、又は
正孔輸送剤(HTM-1)と、電子輸送剤(ETM-1)及び(ETM-3)との組み合わせが好ましい。
チタニルフタロシアニンと、正孔輸送剤(HTM-1)と、電子輸送剤(ETM-1)及び(ETM-2)との組み合わせ、又は
チタニルフタロシアニンと、正孔輸送剤(HTM-1)と、電子輸送剤(ETM-1)及び(ETM-3)との組み合わせが好ましい。
上述したように感光体は、中間層(例えば、下引き層)を有してもよい。中間層は、例えば、無機粒子、及び中間層に用いられる樹脂(中間層用樹脂)を含有する。中間層を介在させると、リークを抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、電気抵抗の上昇を抑えることができる。
感光体は、例えば、感光層形成用塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥させることによって製造される。感光層形成用塗布液は、電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤及びバインダー樹脂と、必要に応じて添加される任意成分とを、溶剤に溶解又は分散させることにより製造される。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一態様について、タンデム方式のカラー画像形成装置を例に挙げて説明する。図4は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す図である。本実施形態に係る画像形成装置100は、像担持体30と、帯電部42と、露光部44と、現像部46と、転写部48とを備える。像担持体30は、上述の感光体1である。帯電部42は、像担持体30の表面を帯電する。帯電部42の帯電極性は、正極性である。露光部44は、帯電された像担持体30の表面を露光して、像担持体30の表面に静電潜像を形成する。現像部46は、静電潜像にトナーを供給して、静電潜像をトナー像として現像する。転写部48は、像担持体30の表面と記録媒体P(被転写体)とを接触させながらトナー像を像担持体30から記録媒体Pへ転写する。以上、本実施形態に係る画像形成装置100の概要を説明した。
本実施形態に係る画像形成方法は、第1実施形態に係る画像形成装置を用いた画像形成方法である。この画像形成装置は、トナー像を被転写体へ転写した後の像担持体の表面を除電する除電部を更に備える。本実施形態に係る画像形成方法は、像担持体の表面を正極性に帯電する帯電工程と、帯電された像担持体の表面を露光して、像担持体の表面に静電潜像を形成する露光工程と、静電潜像にトナーを供給して、静電潜像をトナー像として現像する現像工程と、像担持体から被転写体へトナー像を転写する転写工程と、トナー像を被転写体へ転写した後の像担持体の表面を除電する除電工程とを有する。像担持体の表面における所定の箇所が除電工程で除電されてから帯電工程によって帯電されるまでの時間(除電から帯電までのプロセス時間)は、200ミリ秒以下である。除電から帯電までのプロセス時間としては、160ミリ秒以下が好ましく、120ミリ秒以下がより好ましい。また、除電から帯電までのプロセス時間としては、30ミリ秒以上が好ましく、80ミリ秒以上がより好ましい。帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程及び除電工程の詳細については、例えば、上述の第1実施形態に係る画像形成装置の帯電部、露光部、現像部、転写部及び除電部の機能を参照することができる。本実施形態に係る画像形成方法は、使用する電子写真感光体の帯電特性及び感度特性が優れ、かつ転写メモリーに起因する画像ゴーストを抑制できる。
感光体の感光層を形成するための材料として、以下の電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤及びバインダー樹脂を準備した。
電荷発生剤として、Y型チタニルフタロシアニン及び無金属フタロシアニンを準備した(以下、それぞれ電荷発生剤(CGM-1)及び(CGM-2)と記載することがある。)。電荷発生剤(CGM-1)は、実施形態で述べた化学式(CGM-1)で表され、Y型の結晶構造を有するチタニルフタロシアニンであった。このY型チタニルフタロシアニンは、示差走査熱量分析スペクトルにおいて、吸着水の気化に伴うピーク以外に50℃以上270℃以下の範囲にピークを有さず、270℃以上400℃以下の範囲にピークを有していた(具体的には、296℃に1つのピークを有していた)。電荷発生剤(CGM-2)は、実施形態で述べた化学式(CGM-2)で表され、X型の結晶構造を有する化合物であった。
正孔輸送剤として、実施形態で述べた正孔輸送剤(HTM-1)を準備した。
電子輸送剤として、実施形態で述べた電子輸送剤(ETM-1)~(ETM-3)を準備した。
バインダー樹脂として、実施形態で述べたポリアリレート樹脂(PA-1)を準備した。ポリアリレート樹脂(PA-1)の粘度平均分子量は、60,000であった。
感光体の感光層における電荷発生剤の種類及び含有割合とゼログラフィックゲインとの関係を調べるため、感光体(a-1)~(a-8)及び(b-1)~(b-6)を製造した。
容器内に、電荷発生剤、正孔輸送剤(10-1)65質量部、電子輸送剤(ETM-1)33.5質量部、電子輸送剤(ETM-3)33.5質量部、バインダー樹脂としてのポリアリレート樹脂(PA-1)138質量部、及び溶剤(テトラヒドロフラン)を投入した。これにより、感光層形成用塗布液を得た。感光層形成用塗布液が含有する電荷発生剤の種類及び含有割合は、下記表1に示す通りとした。なお、下記表1において、「wt%」とは、感光層形成用塗布液の固形分(電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤及びバインダー樹脂)における含有割合(質量%)を示す。後述する下記表2~4の「wt%」についても同様である。導電性基体としてのアルミニウム製のドラム状支持体(直径30mm、全長247.5mm)上に、ディップコート法を用いて感光層形成用塗布液を塗布し、塗布膜を形成した。塗布膜を100℃で40分間熱風乾燥させた。これにより、導電性基体上に、単層の感光層(膜厚30μm)を形成した。その結果、感光体(a-1)~(a-8)及び(b-1)~(b-6)が得られた。
感光体(a-1)~(a-8)及び(b-1)~(b-6)の各々に対して、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて感光層におけるゼログラフィックゲインを測定した。まず、各感光体に対して、23℃の温度条件で、所定の帯電電位(100~1000V)となるように流れ込み電流を制御しながら帯電させた。帯電した各感光体を1秒間露光し、露光中の帯電電位を一定間隔(1ミリ秒毎)で計測した。露光光の照射条件は、波長(λ)を780nm、光強度(I0)を1.0μW/cm2とした。帯電電位の測定結果を時間微分し、得られた減衰速度の最大値をΔVmaxとし、ΔVmaxが測定された際の表面電位をSPmaxとし、感光体の膜厚をDとし、下記数式(α)及び(β)からゼログラフィックゲイン及び電界強度Eの関係を求めた。この計測では、電界強度1.5×105V/cmを含むように帯電電位を変化させて上記手順を繰り返した。得られたゼログラフィックゲイン及び電界強度Eの関係から、電界強度1.5×105V/cmにおけるゼログラフィックゲインを算出した。測定結果を下記表1及び図6に示す。下記式(α)において、εrは比誘電率を示し、ε0は真空の誘電率を示し、eは電荷素量を示し、hはプランク定数を示し、cは光速度を示す。
ゼログラフィックゲイン=(ΔVmax×εr×ε0×λ)/(D×e×I0×h×c)・・・(α)
E=SPmax/D・・・(β)
次に、感光体の感光層におけるゼログラフィックゲインと感度特性との関係を調べるため、感光体(c-1)~(c-6)を製造し、その感度特性を測定した。
次の点を変更した以外は、感光体(a-1)~(a-8)及び(b-1)~(b-6)の製造及びゼログラフィックゲインの測定と同じ方法で、感光体(c-1)~(c-6)の製造及びゼログラフィックゲインの測定を行った。感光体(a-1)~(a-8)及び(b-1)~(b-6)の製造においては電荷発生剤の種類及び含有割合を表1の通りとしたが、感光体(c-1)~(c-6)の製造においては下記表2の通りとした。感光体(c-1)~(c-6)の感光層におけるゼログラフィックゲインの測定結果を下記表2及び図7に示す。
感光体の感度特性(露光後電位VL)の測定は、温度23℃及び相対湿度50%RHの環境下で行った。評価機として、カラー画像形成装置(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「Task alfa 356ci」)を用いた。この画像形成装置は、直流電圧を印加する接触方式の帯電ローラーを備えていた。
感光体の感光層における電荷発生剤の含有割合と帯電性能との関係を調べるため、感光体(d-1)~(d-10)を製造し、その帯電性能を測定した。
次の点を変更した以外は、感光体(a-1)~(a-8)及び(b-1)~(b-6)の製造と同じ方法で、感光体(d-1)~(d-10)の製造を行った。感光体(a-1)~(a-8)及び(b-1)~(b-6)の製造においては電荷発生剤の種類及び含有割合を表1の通りとしたが、感光体(d-1)~(d-10)の製造においては下記表3の通りとした。
帯電性能(帯電電位V0)の測定では、まず各感光体を評価装置(ジェンテック社製「CYNTHIA30M」)に装着した。評価装置は、帯電部としての帯電ローラーと、除電部としてのLEDランプとを備え、感光体を回転させながら、感光体の表面を帯電部で帯電させると共に、帯電した感光体の表面を除電部で除電する装置であった。評価装置の露光位置に、感光体の表面電位を測定するための透明プローブを取り付けた。評価においては、帯電ローラーに印加する電圧を適宜調節することにより感光体の表面電荷密度を一定(6×10-4C/m2)に保ちながら感光体の帯電電位V0(単位:+V)を測定した。各種条件は、以下の通りとした。温度及び相対湿度は、25℃、40%RHとした。プロセススピード(感光体の周速)は、215mm/秒とした。感光体の表面の所定の部位が除電部によって除電されてから帯電ローラー(長さ232mm)によって帯電されるまでのプロセス時間は180ミリ秒とした。帯電電位V0は、その絶対値が小さいほど感光体の帯電特性が優れていることを示す。測定結果を下記表3及び図8に示す。
[感光体の製造]
次の点を変更した以外は、感光体(a-1)~(a-8)及び(b-1)~(b-6)の製造と同じ方法で、感光体(A-1)~(A-9)及び(B-1)~(B-8)の製造を行った。感光体(a-1)~(a-8)及び(b-1)~(b-6)の製造においては電荷発生剤、電子輸送剤及び正孔輸送剤の種類及び含有割合を上述の通りとしたが、感光体(A-1)~(A-9)及び(B-1)~(B-8)の製造においては下記表4に示す種類及び含有割合とした。
各感光体の感光層における正孔の移動度μh及び電子の移動度μeを測定した。まず、測定用のサンプルとして、各感光体の感光層と比較し、電荷発生剤を同量のバインダー樹脂で置き換え、それ以外は同一の組成とした層に相当するサンプル層を形成した。このサンプル層の形成には、正孔輸送剤、電子輸送剤、バインダー樹脂及び溶剤のみを含有するサンプル塗布液を用いた。各サンプル塗布液と、対応する感光体の形成に用いた感光層形成用塗布液とは、バインダー樹脂、正孔輸送剤及び電子輸送剤の種類については同一とした。一方、各サンプル塗布液は、対応する感光体の形成に用いた感光層形成用塗布液と比較し、電荷発生剤は含有せず、その代わりに、電荷発生剤の含有量に相当する質量部だけバインダー樹脂の含有量を増加させた点で相違させた。
電荷の移動度=(L/tr)/(V/L)・・・(μ)
次の点を変更した以外は、感光体(d-1)~(d-10)の帯電電位の測定と同じ方法で、感光体(A-1)~(A-9)、(B-3)、(B-4)、(B-7)及び(B-8)の帯電電位V0を測定した。感光体(d-1)~(d-10)の帯電電位の測定では、除電から帯電までのプロセス時間を一定とした。一方、感光体(A-1)~(A-9)、(B-3)、(B-4)、(B-7)及び(B-8)の帯電電位V0の測定では、除電から帯電までのプロセス時間を100ミリ秒、150ミリ秒、180ミリ秒、200ミリ秒、250ミリ秒又は300ミリ秒とした。また、感光体(A-1)~(A-9)、(B-3)、(B-4)、(B-7)及び(B-8)の帯電電位V0の測定では、感光体の表面電荷密度を6.00×10-4(C/m2)で一定とした。感光体の帯電特性は、プロセス時間を200ミリ秒としたときに帯電電位V0が490V以上の場合を良好(A)、490V未満の場合を良好でない(B)と評価した。測定結果を表5、図9及び図10に示す。
感光体(c-1)~(c-6)の露光後電位V0の測定と同じ方法で、感光体(A-1)~(A-9)及び(B-1)~(B-8)の露光後電位V0を測定した。感光体の露光後電位V0は、その絶対値が150V以下の場合を良好(A)、150V超の場合を良好でない(B)と評価した。測定結果を下記表5、図11及び図12に示す。
各感光体が転写メモリーに起因する画像ゴーストを抑制できるか否かを評価した。まず、感光体(A-1)~(A-9)、(B-3)、(B-4)、(B-7)及び(B-8)を評価機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa 356ci」、除電から帯電までのプロセス時間が約180ミリ)に像担持体として装着することにより、画像形成装置を得た。この評価機は、帯電部としてのスコロトロン帯電装置と、除電部としての除電ランプとを備えていた。像担持体の帯電電位は+500Vに設定した。像担持体の転写バイアスを、-10μAに設定した。この画像形成装置を用い、転写メモリーに起因する画像ゴーストの発生の有無を評価した。評価は、温度10℃及び相対湿度20%RHの環境下で行った。
評価A:画像Aに対応する画像ゴーストが観察されないか、又は観察されても実用上問題のない水準であった。
評価B:画像Aに対応する画像ゴーストが明確に観察され、実用上問題のある水準であった。
2 導電性基体
3 感光層
4 中間層
5 保護層
30 像担持体
40a、40b、40c:画像形成ユニット
42 帯電部
44 露光部
46 現像部
48 転写部
50 転写ベルト
52 クリーニング部
54 定着部
100 画像形成装置
P 記録媒体
Claims (10)
- 像担持体と、
前記像担持体の表面を正極性に帯電する帯電部と、
帯電された前記像担持体の前記表面を露光して、前記像担持体の前記表面に静電潜像を形成する露光部と、
前記静電潜像にトナーを供給して、前記静電潜像をトナー像として現像する現像部と、
前記トナー像を前記像担持体から被転写体へ転写する転写部と
を備える画像形成装置であって、
前記像担持体は、導電性基体と、単層の感光層とを備える正帯電単層型電子写真感光体であって、
前記感光層は、電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤及びバインダー樹脂を含有し、
前記感光層における前記電荷発生剤の含有割合は、0.50質量%以上1.50質量%以下であり、
温度23℃かつ電界強度1.5×105V/cmの条件での測定において、
前記感光層におけるゼログラフィックゲインは、32.0%以上であり、
前記感光層における正孔の移動度μh及び電子の移動度μeは、いずれも1.0×10-7cm2/V/秒以上であり、
前記正孔の移動度μhに対する前記電子の移動度μeの比(μe/μh)は、1/50.0以上1/1.0以下であり、
前記帯電部は、前記像担持体と接触して前記像担持体に直流電圧を印加し、
前記電子輸送剤は、下記化学式(ETM-1)で表される化合物及び下記化学式(ETM-3)で表される化合物を含み、
前記正孔輸送剤は、下記化学式(HTM-1)で表される化合物を含む、画像形成装置。
- 前記正孔の移動度μhに対する前記電子の移動度μeの比(μe/μh)は、1/10.0以上1/1.0以下である、請求項1又は2に記載の画像形成装置。
- 前記感光層におけるゼログラフィックゲインは、41.0%以下である、請求項1~3の何れか1項に記載の画像形成装置。
- 前記感光層における前記正孔の移動度μh及び前記電子の移動度μeは、いずれも1.0×10-5cm2/V/秒以下である、請求項1~4の何れか一項に記載の画像形成装置。
- 前記バインダー樹脂は、下記一般式(20)で表される繰り返し単位を有するポリアリレート樹脂を含む、請求項1~5の何れか一項に記載の画像形成装置。
R20及びR21は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表し、
R22及びR23は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、又はフェニル基を表し、
R22及びR23は、互いに結合して下記一般式(W)で表される2価の基を表してもよく、
Yは、下記化学式(Y1)、(Y2)、(Y3)、(Y4)、(Y5)又は(Y6)で表される2価の基を表す。)
tは、1以上3以下の整数を表し、
*は、結合手を表す。)
- 前記感光層における前記正孔輸送剤、前記電子輸送剤及び前記バインダー樹脂の合計に対し、
前記正孔輸送剤の含有割合は、10.0質量%以上40.0質量%以下であり、
前記電子輸送剤の含有割合は、10.0質量%以上40.0質量%以下である、請求項1~7の何れか一項に記載の画像形成装置。 - 前記トナー像を前記被転写体へ転写した後の前記像担持体の前記表面を除電する除電部を更に備え、
前記像担持体の前記表面における所定の箇所が前記除電部によって除電されてから前記帯電部によって帯電されるまでの時間は、200ミリ秒以下である、請求項1~8の何れか一項に記載の画像形成装置。 - 請求項1~8の何れか一項に記載の画像形成装置を用いた画像形成方法であって、
前記画像形成装置は、前記トナー像を前記被転写体へ転写した後の前記像担持体の前記表面を除電する除電部を更に備え、
前記像担持体の前記表面を正極性に帯電する帯電工程と、
帯電された前記像担持体の前記表面を露光して、前記像担持体の前記表面に静電潜像を形成する露光工程と、
前記静電潜像にトナーを供給して、前記静電潜像をトナー像として現像する現像工程と、
前記像担持体から被転写体へ前記トナー像を転写する転写工程と、
前記トナー像を前記被転写体へ転写した後の前記像担持体の前記表面を除電する除電工程と
を有し、
前記像担持体の前記表面における所定の箇所が前記除電工程で除電されてから前記帯電工程によって帯電されるまでの時間は、200ミリ秒以下である、画像形成方法。
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