JP7171487B2 - ペロブスカイト型イオン伝導性酸化物の製造方法 - Google Patents
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Description
Lix/2Sr1-3x/4□x/4TaxZr1-xO3
の組成式(□は原子空孔)のイオン伝導性酸化物が知られている。このイオン伝導性酸化物は、例えば、1300℃の焼結で高密度に作製できることが知られている(例えば、非特許文献1)。
Li、Sr及びZr元素を含む原料を混合して混合粉とする混合工程と、
前記混合粉を仮焼して仮焼粉とする仮焼工程と、
前記仮焼粉に、B、GaまたはBiの少なくとも一種以上の元素を含む焼結助剤を混合して焼結助剤混合粉とする焼結助剤混合工程と、
前記焼結助剤混合粉の成形体を焼結してペロブスカイト型イオン伝導性酸化物の焼結体とする焼結工程と、を有する
ことを特徴とする。
前記混合工程において、前記原料を分散させる溶媒に有機溶剤を用いた湿式混合を用いる
ことが好ましい。
前記仮焼工程において、仮焼温度を800℃以上1300℃以下とする
ことが好ましい。
まず、秤量工程では、Li、Sr、Me、Ta、Zr元素を含む原料を、これら元素比が組成式(1)の元素比と同じになるように秤量する。
Lix/2Sr1-3x/4□x/4MeyTaxZr1-x-yO3-y/2(Me=Al,Ga,Yb,Lu)・・・(1)
次に、混合工程では、秤量工程で秤量した原料を混合して混合粉とする。混合は、乾式混合でもよいが、原料を溶媒中に分散させて混合する、湿式混合法が好ましい。湿式混合法を用いることで、混合後の原料を高い収率にて回収でき、溶媒にエタノールなどのアルコール類やジメチルエーテルなどのエーテル類、酢酸エチルなどのエステル類、などの有機溶剤を用いれば、原料と水との反応を抑制しながら混合できる。湿式混合法としては、ボールミルやビーズミルなどを、目的に応じて自由に選定することができる。
次に、仮焼工程では、混合工程で得られた混合粉を仮焼して仮焼粉とする。この工程は、混合粉を固相反応により酸化物の仮焼粉にする工程であり、原料の炭酸塩を後に説明する焼結工程の前に熱分解して、焼結工程での炭酸ガスの発生を抑制し、焼結体の割れ・膨れを抑制することができる。仮焼には、静置式バッチ炉や管状炉、エレベーター炉、コンベア炉など様々な炉を用いることができ、混合粉の保持には、アルミナやジルコニア製の、るつぼやセッターを用いることができる。
次に、焼結助剤混合工程では、仮焼工程で得られた仮焼粉に、焼結助剤を混合して焼結助剤混合粉とする。焼結助剤には、B、Ga、またはBiの少なくとも一種以上の元素を含む、炭酸塩、酸化物、硝酸塩、アルコキシド及びLi塩などを用いることができる。焼結助剤は、焼結工程の焼結可能温度を低くしてLiの揮発を抑制できるが、過度に混合すると、焼結体に過度の焼結助剤が残留してイオン伝導の妨げとなり、イオン伝導酸化物としての特性が悪くなってしまうことがある。そこで、焼結助剤の添加量は、仮焼粉に対して1mol%以上10mol%以下にすることが好ましい。
なお、仮焼粉と焼結助剤との混合には、混合工程と同様に、湿式混合を用いるのが収率の観点から好ましく、溶媒としては、エタノールなどのアルコール類やジメチルエーテルなどのエーテル類、酢酸エチルなどのエステル類、などの有機溶剤を用いるのが好ましい。溶媒に有機溶剤を用いると、仮焼粉と水との反応を抑制することができる。湿式混合法としては、ボールミルやビーズミルなどを、目的に応じて自由に選定することができる。また、焼結助剤混合工程では、仮焼粉と焼結助剤とを混合する際に、仮焼粉を粉砕するようにしてもよい。
次に、成型工程では、焼結助剤混合工程で得られた焼結助剤混合粉を成形する。成形には、一軸加圧成形や冷間等方圧プレス(CIP)などの加圧成形や、焼結助剤混合粉にバインダを加えたスラリーをグリーンシートに成形するシート成形法を用いることができる。
最後に、焼結工程では、成形工程で得られた成形体を焼結してイオン伝導性酸化物の焼結体とする。焼結工程では静置式バッチ炉や管状炉、エレベーター炉、コンベア炉など様々な炉を用いることができ、成型体の保持には、アルミナやジルコニア製の、るつぼやセッターを用いることができる。焼結工程は通常は大気中で実施されるが、その雰囲気をArやN2など酸素を含まない雰囲気としたり、大気よりも酸素を高濃度で含む雰囲気中で実施してもよい。また、焼結体がペロブスカイト相も単相であるか否かは、XRD等の手法により確認することができる。
本発明では、焼結助剤混合工程にて、B、GaまたはBiの少なくとも一種以上の元素を含む焼結助剤を添加している。これにより、焼結工程において、粒子間のネック成長を、より低い温度にて開始させることができ、Liの揮発を抑制可能な焼結温度、具体的には、1300℃以下の焼結温度にて、Liの揮発を抑制しつつ、高密度のペロブスカイト型イオン伝導性酸化物を製造することができる。
秤量工程は、組成式(1)においてx=0.75、y=0(Meなし)となるように化学量論的に秤量した。この際、原料はLi2CO3、SrCO3、Ta2O5、ZrO2の粉末を使用した。混合工程はボールミルによる湿式混合を行い、秤量した原料をエタノールおよびジルコニアボールとともにボールミルで20時間混合し、エタノールを蒸発させた。
仮焼工程では、この原料混合粉をアルミナるつぼに入れ、1300℃で4時間仮焼した。仮焼後には、アルミナるつぼと接触する面を収率が50%となるように廃棄し、仮焼粉にるつぼからのAl混入がないようにした。このようにして得た仮焼粉のXRDパターンを図1に示す。矢印で示したペロブスカイト相のみが検出されることがわかる。
焼結助剤混合工程では、仮焼粉を3時間自動乳鉢で粉砕したのちに、仮焼粉の5mol%のGa2O3の粉末を添加し、さらに30分自動乳鉢で混合した。
成形工程では、φ14mmのダイスで9.8kN・m-2で一軸プレスしペレットを作製した。焼結工程では、焼結するペレットの周囲を2倍の重量のマザーパウダ(1100℃4h焼結した仮焼粉)で覆うようにし、1200℃で4時間焼結した。このようにして得た焼結体は図2に示したXRDパターンのようにペロブスカイト相に加えて三角印で示したLiTaO3が検出される。また、この焼結体は図3で示した断面SEMから緻密に作製できていることがわかる。
尚、試料の良・不良の判定については、焼結体の相対密度が70%を超える場合に良(〇)とし、70%未満の場合については不良(×)とした。
以上から、焼結助剤を適用することによって焼結温度が低温化できることが示された。
Claims (3)
- Li、Sr及びZr元素を含む原料を混合して混合粉とする混合工程と、
前記混合粉を仮焼して仮焼粉とする仮焼工程と、
前記仮焼粉に、B、GaまたはBiの少なくとも一種以上の元素を含む焼結助剤を混合して焼結助剤混合粉とする焼結助剤混合工程と、
前記焼結助剤混合粉の成形体を焼結してペロブスカイト型イオン伝導性酸化物の焼結体とする焼結工程と、を有する
ことを特徴とするペロブスカイト型イオン伝導性酸化物の製造方法。 - 前記混合工程において、前記原料を分散させる溶媒に有機溶剤を用いた湿式混合を用いる
ことを特徴とする請求項1に記載のペロブスカイト型イオン伝導性酸化物の製造方法。 - 前記仮焼工程において、仮焼温度を800℃以上1300℃以下とする
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のペロブスカイト型イオン伝導性酸化物の製造方法。
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