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JP7159680B2 - クリーナ - Google Patents

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Description

本発明はサイクロン式のクリーナの改良に関し、小型軽量化を達成しつつ粉塵分離性能を向上させることにある。
サイクロン方式のクリーナは、モータの回転によって生ずる空気流によって、吸引口から粉塵混じりの空気を円筒状の旋回室の外周側から接線方向に向けて吸い込み、旋回室内にて形成される強力な旋回流によって空気中に含まれる粉塵を遠心分離する。旋回流によって分離された粉塵は、外筒の外壁内側に衝突して外壁内面に沿って落下して集塵室側に移動する。旋回室の軸心付近にあって粉塵と分離された空気は、排気筒を介して軸方向に排出されることにより遠心力による連続的な集塵を可能とする。このようなサイクロン方式のクリーナとして特許文献1の技術が知られている。特許文献1では、吸入空気を接線方向に向けて旋回室内に導き、旋回室内にてトルネード状の旋回流を発生させる。旋回室には、軸方向の外側と内側を連通させる排気管が設けられ、排気管の外周面の一部に設けられた開口から空気を吸引する。
このようなサイクロン方式のクリーナにおいて、集塵性能の更なる向上を図るために、サイクロン部を2段にしたものが実用化されている。サイクロンユニット部を2段とした構成は、第一サイクロン部と、第一サイクロン部の下流に設けられる第二サイクロン部とを有するが、第二サイクロン部の気筒数が多いほど圧力損失が抑制され、吸込仕事率も分離性能も良くなるという特徴がある。また、第一サイクロン部と第二サイクロン部をクリーナ本体と別体で構成して分離可能とすることで、サイクロンユニット内に溜まった塵埃を捨てる作業やメンテナンスが容易となるという特徴がある。
実開昭52-14775号公報
上述した特許文献1の構成では、第二サイクロン部を多数設けている一方、これを第一サイクロンの外周に設け、更にその外周に吸気パイプを接続する構成であるため、径方向における寸法が大型化してしまう。このためサイクロンユニット全体の小型化を抑制しながら第2サイクロン部の気筒数を増やすことには限界がある。さらに、第1サイクロンに旋回流を生じさせるための第1サイクロン部の吸気口を覆うカバーが別体で設けられるため、部品点数が増加してしまうととともに、第1サイクロン内の流路を妨げてしまうという欠点がある。
本発明は上記背景に鑑みてなされたもので、その目的は、サイクロンユニットを第一サイクロン部と第二サイクロン部の2段構成とすると共に、これらの配置を工夫してサイクロンユニット全体の小型化を図ったサイクロン方式のクリーナを提供することにある。
本発明の他の目的は、第一サイクロン室の簡単な構成で粉塵の分離性能を向上させたサイクロン方式のクリーナを提供することにある。
本願において開示される発明のうち代表的な特徴を説明すれば次のとおりである。
本発明の一つの特徴によれば、モータ等の駆動源と、駆動源により駆動るファンと、外部から空気が流入する吸気通路と、吸気通路から流入した空気を、第1の軸線(A1)を中心として第一旋回室内を回転させて塵埃を遠心分離した後に内周側の空気を排出させる第一サイクロン部と、第一サイクロン部から排出された空気を、複数の第2の軸線(B1)を中心として第二旋回室内回転させることで細かい塵埃を遠心分離した後に内周側の空気を排出る複数の第二サイクロン部と、を有し、第二サイクロン部から排出された空気をファンによってハウジングの外部に排出させるようにしたサイクロン方式のクリーナにおいて、複数の第二サイクロン部は第1の軸線の径方向における第一旋回室外周に第1の軸線の周方向へ並んで配置され、吸気通路は第一旋回室外周の接線方向に向けて延びるようにして第一旋回室に接続され、第一旋回室と吸気通路を挟み込むようにして複数個の第二旋回室を配置した。この際、隣接する第二旋回室における旋回方向が互いに逆向きとなるように第二サイクロン部の入口開口を周方向の一方側と他方側に交互に配置した。第1の軸線(A1)と、第1の軸線と平行に延びる筒状のパイプ取付部の軸線を含む仮想面に対して、仮想面の吸気口側に配置する側の第二旋回室の総数を、反吸気口側に配置する側の第二旋回室の総数より少なくした。また、仮想面に対して、一方側に吸気通路を配置した。
本発明の他の特徴によれば、吸気通路は、第1の軸線の周方向の開口幅が下流に向けて絞られた形状とした。また、吸気通路の第1の軸線方向の開口長さは一定であって、周方向の開口幅だけが絞られるように形成した。さらに、一旋の外壁および第二旋回の外壁の一部を共用させ、隣接する第二旋回の外壁の一部を共用させるようにした。
本発明の他の特徴によれば、第1の軸線方向視において、第一旋回室の外壁と吸気通路の間に、第二旋回室の一部が挟み込まれるような配置とした。第二旋回室の数は偶数にする好ましい。吸気通路の側壁は、第二サイクロン部に沿って湾曲した形状を有するように構成した。
本発明のさらに他の特徴によれば、第一サイクロン部と複数の第二サイクロン部を有し、第二サイクロン部から排出された空気をファンによってハウジングの外部に排出させるクリーナにおいて、吸気通路は第一旋回室の外周から接線方向に向けて延びるようにして第一旋回室に接続されるように構成した。複数の第二サイクロン部は、第1の軸線の径方向における第一旋回室外周であって吸気通路を避けた部分に、第1の軸線の周方向へ並んで配置される。吸気通路は、第1の軸線を基準に見た周方向の開口幅が下流に向けて絞られた形状であり、第二サイクロン部の外壁と、吸気通路の絞られた領域の側壁を共有させるように構成した。第一サイクロン部の吸気通路の第1の軸線方向における開口長さは、吸気通路の上流側から下流側まで一定であって、周方向の開口幅だけを絞るように構成した。
本発明によれば、第一サイクロン部から排気された空気を、複数の第二の軸線を中心として分散して回転させる第二サイクロン部を設けたので、第一サイクロン部によって粉塵と分離された空気を、第二サイクロン部によってさらに細かく分離することができ、細かい粉塵まで漏れなく分離および収集できる。また、複数の第二サイクロン部は、吸気通路を除いて第一サイクロン部の外周側を取り囲むように周方向に並べて配置すると共に、複数の第二サイクロン部の一つが吸気通路の内側にはみ出すように配置させたことにより限られた外径内において第二サイクロン部の総数を増やすことができる。また、第1の軸線を基準に見た吸気通路の周方向の開口幅を絞り、はみ出した第二サイクロン部の外壁と、吸気通路の側壁の一部を共有させることで、吸気通路の空気の流れを旋回させることを促進でき、コンパクトながら強力な粉塵分離性能を有するクリーナを実現できる。
本発明の実施例に係るクリーナ1の右側面図である。 本発明の実施例に係るクリーナ1の内部構造を示す縦断面図である。 図2のサイクロンユニット2付近の部分拡大図である。 図1のA-A部の断面図である。 図1のA-A部の断面図である(図4と同じ)。 図1のB-B部の断面図である。 図1のC-C部の断面図である。 本実施例の配置構造への改良過程を説明するための模式図である(その1)。 本実施例の配置構造への改良過程を説明するための模式図である(その2)。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。なお、以下の図において、同一の部分には同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。また、本明細書においては、前後左右、上下の方向、第一及び第二サイクロン部の軸方向は図中に示す方向であるとして説明する。
図1は本発明の実施例に係るクリーナ1の全体(但し、ノズル部を除く)を示す右側面図である。本実施例では図1の状態のようにクリーナ1を横にして床置きして長手方向が略水平になる状態を基準に、上下方向を定義して説明する。クリーナ1は、作業者がハンドル部5を片手で持ちながら集塵作業を行うような携帯型であって、電源に電池パック90を用いることにより電源コードを不要としたコードレスタイプの掃除機である。クリーナ1は、モータと集塵ファンを収容する本体ハウジング3と、本体ハウジング3の前側に着脱可能とされるサイクロンユニット2と、先端に図示しないノズルを取り付ける着脱可能なパイプ部100と電池パック90の4つの部分から主に構成される。ここで、「本体ハウジング3」とは、分離可能な構成部品であるサイクロンユニット2と、パイプ部100と、電池パック90を取り外した後に残る筐体部分全体を指すものである。本体ハウジング3はモータ収容部4、ハンドル部5、電池取付部6、連結部7、パイプ取付部8により構成される。連結部7は、パイプ取付部8とモータ収容部4を連結する筐体部分であって、内部空間に吸引された空気を通す通路が形成され、その前方右側面には吸引された空気を外部に排出するための風窓9が形成される。パイプ取付部8は、接続されるパイプ部100の構成部品を保持すると共に、パイプ部100からサイクロンユニット2の吸気通路開口47aまでの流入用の管路を形成する。パイプ部100は、図に示すような直管状の延長パイプだけでなく、床用ノズルや、スキマノズル、ブラシ付きのノズル等のいずれかの公知のノズルを選択して接続できる。
本体ハウジング3は、合成樹脂の一体成形によって製造され、長手方向の中心軸線A1を含む鉛直面で左右2分割されるように構成され、図示しないネジ等によって分割部分が固定される。本体ハウジング3の中心部分には略筒状のモータ収容部4が形成され、モータ収容部4の内部に図示しないモータ12(図2で後述)とファン15(図2で後述)が収容される。モータ収容部4は略円筒状の形状とされ、円筒部分の前方側の開口面部分が、サイクロンユニットを取りつけるためのサイクロンユニット取付面10になる。サイクロンユニット取付面10には、サイクロンユニット2の後端面がモータ収容部4と密着するようにして接続される。
サイクロンユニット2は、パイプ部100を介して吸引された粉塵混じりの空気から、遠心分離効果を用いて粉塵だけを収集し、粉塵の取り除かれた空気を外部に排出させる集塵機構である。筒状のサイクロンユニット2を本体ハウジング3に保持するために、サイクロンユニット2の前方側の下面には連結機構を構成するホルダ24が形成され、パイプ取付部の上にはホルダ24に形成された嵌合穴と係合可能となる係止爪18が形成される。サイクロンユニット2の吸気口(吸気通路開口47a)には、パイプ取付部8の出口開口8fが接続される。これら吸気通路開口47aと出口開口8fは、一方が凸状になり、他方が凹状になるようなインロー構造とすることによって接続部分からの空気漏れを防ぐと共にサイクロンユニット2が軸線A1の軸方向に動かず且つ回転方向に移動しないように回り止めの効果を持たせる。サイクロンユニット2の後方側の上面には、本体ハウジング3に固定するための取付固定部19が形成され、ラッチ機構等のラッチ機構77に係合させることで軸方向及び上下方向に移動しないように保持される。取付固定部19にはラッチ機構77のラッチ爪(図示せず)が係合する凹部が形成される。このラッチ機構77をロック状態にすると、サイクロンユニット2の後端面とサイクロンユニット取付面10が密着されて接続部分からの空気が漏れないように保持される。
モータ収容部4の上側には、作業者が片手で把持するのに好適な形状のハンドル部5が設けられる。ハンドル部5はモータ収容部4の上側だけでなく、後側部分においても上から下方向に延びるように、側面視で円弧状に形成される。作業者は作業姿勢に応じて、ハンドル部5の任意の位置で握ることができる。ハンドル部5の下端とモータ収容部4の間は、それらを連結するようにして電池取付部6が形成される。電池取付部6は、電池パック90を装着するためのレール溝6a及びラッチ穴(図示せず)を設ける部分である。電池パック90は、本体ハウジング3に対して後方側から前方側に水平方向にスライドさせることによって装着可能である。電池取付部6の下面には、左右方向に平行に設けられる2つの凹状のレール溝6aが形成され、レール溝6aは電池パック90側の左右両側に形成され、装着方向と平行に伸びる凸状のレール部93と嵌合する。電池パック90が所定の取付位置まで前方側にスライドされると、図示しないラッチ手段の爪部92が電池取付部6のレール手段近傍のラッチ穴に掛止され、電池パック90が本体ハウジング3に固定される。電池パック90は二次電池たるリチウムイオンセルを複数本収容したものであり、左右両側に設けられるラッチボタン91を押しこみながら電池パック90を後方にスライドさせると、電池取付部6から電池パック90を取り外すことができる。電池パック90が放電した際には、電池取付部6から取り外して図示しない外部充電器を用いて充電する。電池パック90は、電動工具にて広く用いられているものを使用すれば良く、端子形状を含む電池取付部6の機械的構成や電気的構成も電池パック90に合わせた構成すれば良い。
サイクロンユニット2は、ファン15(図2で後述)による吸入空気の流入方向の上流側に位置し、第一筐体部(第一筐体20)と、第二筐体部(第二筐体40)と、第三筐体(70、75)の3つの主要な部分によって構成される。サイクロンユニット2の内部のサイクロン分離機構は、風の流れ方向に見て上流側と下流側の2段に構成され、上流側に一つの大径の第一サイクロン部と、その下流側に複数の小径の第二サイクロン部を設けた。第一筐体20は、第一サイクロン部の集塵室と第2サイクロン部の集塵室を形成する容器である。第二筐体40は、第一サイクロン部の吸気通路及び旋回室と、第二サイクロン部の吸入室及び旋回室を形成するものである。第三筐体70は、第2サイクロン部から排気された空気を、フィルタに通すことによって細かな粉塵の最終的な除去を行うためのフィルタ室を形成するもので、フィルタ80(後述の図2参照)を保持する。第一筐体20と第二筐体40は、ラッチ機構25によって着脱可能に保持され、第二筐体40と第三筐体70はラッチ機構74によって着脱可能に保持される。また円筒部75の上部に、サイクロンユニット2を本体ハウジング3に固定するためのラッチ機構77が形成される。
図2は本発明の実施例に係るクリーナ1の縦断面図である。サイクロンユニット2は空気の流れ方向にみて、接続通路となるパイプ取付部8よりも下流側であって、かつ、ファン15の上流側に位置する。サイクロンユニット2の第一筐体20は、主に第一サイクロン部の筐体の約半分を形成するもので、吸引された空気を旋回させて旋回流よりも軸方向前方側(排気口43aと遠い側)において集塵されたゴミを貯蔵する第一集塵室27を形成する。第一筐体20は、細筒部21bと太筒部21dを有して形成され、細筒部21bから太筒部21dにかけては径が徐々に大きくなるテーパ部21cにて接続される。細筒部21bの一端側は底面21aにて閉鎖される。太筒部21dからテーパ部21cの内側部分にはセパレータ30が設けられる。
セパレータ30は、第一筐体20の内側空間の一部を区画して、第二サイクロン部の集塵室、即ち第二集塵室29を形成するための仕切り部材であって、2つの絞り込まれた第一円環壁面31と第二円環壁面32を有する。セパレータ30の第二円環壁面32には、先絞り円筒状の第二サイクロン外筒50の先端付近を貫通させる貫通穴33が形成される。貫通穴33は第二サイクロン外筒50の外周面と密着するようにしてほとんど隙間が生じないように構成される。セパレータ30の第一円環壁面31と第二円環壁面32の屈曲する接続部付近には、軸方向に後方側から窪む軸方向溝35が形成される。軸方向溝35は、第一旋回室外壁41の先端側開口を嵌合させるために形成したものであって、第一旋回室外壁41とセパレータ30と細筒部21bによって第一サイクロン部の旋回室(第一旋回室26)及び集塵室(第一集塵室27)の外周壁が画定される。
第一筐体20の後方側開口部の上側には、第一筐体20を第二筐体40に着脱可能にするためのラッチ機構25が設けられる。ラッチ機構25と径方向反対側、即ち第一筐体20の後方側開口部の下側には、第二筐体40に形成された凹部48に掛止させる掛止爪28が形成される。このように掛止爪28とラッチ機構25を設けたことによって、第一筐体20を第二筐体40から取り外すことができ、また、第一筐体20を第二筐体40に取り付けることができる。第一筐体20を第二筐体40から取り外した際には、セパレータ30は第一筐体20側に付随する。従って、第一筐体20の第二筐体40からの取り外しによって、第一集塵室27と第二集塵室29の双方の空間が第二筐体40から分離可能となる。
第二筐体40は、外筒(第二旋回室外壁42)と中筒(第一旋回室外壁41)と内筒(フィルタホルダ部44、ダストガード45)を同軸上に有する三重の筒構造とされ、これらの各部分は合成樹脂の一体成形によって製造される。第二旋回室外壁42の外周面の一部、即ち下側部分において、パイプ取付部8の出口開口8fを接続するための吸気通路開口47aが形成される。吸気通路開口47aは吸気通路47の開口であって、第二旋回室外壁42の外周面から径方向にわずかに突出するように形成される。第二筐体40の中筒たる第一旋回室外壁41は、第一旋回室26の外周側壁面を形成すると共に、第二サイクロン部の収容室の内側壁面としての機能を果たす。第二旋回室外壁42の前方開口近傍には、径方向に伸びるように延在する仕切り壁43が形成され、第一旋回室外壁41は仕切り壁43から前方側に延在するようにして接続される。仕切り壁43の中心軸心付近には、第一サイクロン部からの空気の出口となる排気口43aが形成され、排気口43aの外縁付近から前方側に向けてフィルタホルダ部44が接続される。
フィルタホルダ部44は、軸方向に延びる複数の枠であって、その外周面にメッシュフィルタ46が取りつけられる。フィルタホルダ部44の反モータ側(前方側)にはダストガード45が形成される。ダストガード45は、底面21a側に開口部が向くように配置されるものであって第一旋回室外壁41に固定される。ここではダストガード45部分は第二筐体40と一体に成形される。ダストガード45は、第一集塵室27の底面21a側に開口部45cが向くように配置されるカップ状の部材であって、遠心分離される空気流AF2のうち、比重の大きい粉塵をダストガード45の円筒部45aの外面に沿って第一集塵室27側に案内する。また、底面21a側の第一集塵室27に溜まった粉塵が舞い上がって、再び第一旋回室外壁の内側に戻ることを抑制する。ダストガード45のフィルタホルダ部44側には円錐状の円錐部45bが形成され、円錐部45bがメッシュフィルタ46の内側に突出するように配置されることによってメッシュフィルタ46の外側から内側に吸い込まれた空気が排気口43a側に向かうように導く。
第一サイクロン部は、吸気通路47から吸入される粉塵混じりの空気AF2を、第二筐体40内の第一旋回室外壁41よりも内側の空間たる第一旋回室26にて旋回させることによって粉塵と空気を分離して、粉塵が分離された清浄な空気をフィルタホルダ部44を通して旋回流の中央付近から第二サイクロン部側へ流入させる。流入される空気AF3は、点線にて示すように第二サイクロン部側に流れ、第二サイクロン外筒50の内側空間(図3で後述する第二旋回室53に吸引される。
第二サイクロン部は、第一サイクロン部のメッシュフィルタ46を通過した小さい粉塵混じりの空気を分流させて、複数設けられる第二サイクロン室に空気流AF3のように吸入させてサイクロン効果により細かい粉塵を収集する。第二サイクロン外筒50は先絞り状の筒部であって、筒部の先端には貫通穴51が形成される。貫通穴51は第二集塵室29の内部に開口する。矢印に示す空気AF3のうち、内周側の空気は、円筒状の第二旋回室内筒52を介して軸方向の反モータ側からモータ側に向けて、空気流AF4のように流れる。複数の第二サイクロン外筒50及び第二旋回室内筒52のモータ側端部には、蓋部58が設けられ、第二サイクロン部の流入空間を閉鎖する。蓋部58には図示していないが、第二旋回室内筒52の開口に相当する大きさの複数の貫通穴(図示せず)が形成される。
第三筐体70は、円筒部75と共にフィルタ80を収容するフィルタ室を画定すると共に、第二旋回室内筒52の出口開口に接続される複数の貫通穴(図示せず)を形成する。第三筐体70の貫通穴と蓋部58の貫通穴は、同一径であって同心に配置することによって、空気流AF4の流れをスムーズにできる。円筒部75はカップ状の容器であって、モータ側の開口が後壁76によって閉鎖され、反モータ側の開口が第三筐体70によって閉鎖される。フィルタ80は、サイクロン方式による集塵機能を補助するために追加されるもので、太さの異なる数種類の繊維でできた不織布を一緒にプリーツ状に折り曲げた濾過フィルタであって、市販されている公知のフィルタ素材を用いることができる。フィルタ80は取り外したサイクロンユニット2の後端側のラッチ機構74を解放することによって円筒部75を開いて、フィルタ押さえ81を取り外すことによって着脱可能である。
円筒部75の後壁76の軸心付近には貫通穴76aが形成される。貫通穴76aはサイクロンユニット2の排気口となるもので、サイクロンユニット取付面10に形成された格子状の多数の風窓10aに対面する。この結果、空気流AF4は風窓10aを通ってモータ収容部4の内部空間に流入できる。図2において各部の寸法線を示したように、第一旋回室外壁41の直径は内径59mmと細く形成され、それに対して第一集塵室27の内径、即ち、細筒部21bの内径が81mmと太く形成される。このように第一旋回室26に対して第一集塵室27の内径を十分太く形成することによって、第一旋回室26で旋回する風のうち粉塵を多く含む外周側の空気が軸方向前方に移動して、粉塵だけが外周側に溜まることにより、サイクロン効果による粉塵の収集効率を高くすることできる。
モータ収容部4にはモータ12が収容される。モータ12は、例えば直流モータであって、電池パック90を電源とする。モータの後方側にはモータ保持具11が設けられ、モータ12をモータ収容部4に固定する。また、モータ保持具11とモータ12の間には所定の収容空間14が確保され、インバータ回路基板13が設けられる。モータ12の図示しない回転軸の前側にはファン15が設けられる。ファン15は例えば遠心ファンであって、内周側の軸方向前方から空気を吸引して、径方向外側に排出する。モータ12の回転は、本体ハウジング3のハンドル部5の上部に設けられる図示しないスイッチによりONまたはOFFにされる。尚、本実施例ではモータ12の電源として電池パック90を用いているが、電源はこれに限られず、交流モータを用いてACコードを用いて供給される交流電源により駆動されるクリーナとしても良いし、外部直流電源を用いて駆動されるように構成しても良い。また、本実施例のモータ12やファン15の種類は特に限定されず、モータ12としてブラシレスDCモータを用いてインバータ回路を用いて駆動する方式以外のその他のモータを用いる構成としても良い。
ファン15の周囲にはファンガイド16が設けられ、ファン15への吸入口と排出口をそれぞれ形成する。ファン15から排出された空気AF5~AF7は、モータ12の外側又は内側を図のように分流して、排気空間7aに到達し、矢印AF8のように連結部7の内部空間を前方に流れて、連結部7の前側端部7b付近から風窓9(図1参照)を通って本体ハウジング3の外部に排出される。
図3は図2のサイクロンユニット2付近の部分拡大図である。セパレータ30の第二円環壁面32の前端部は第一筐体20の細筒部21bとテーパ部21cの境界付近の内側に形成された円環リブ22bと嵌合するために円環溝34が形成される。セパレータ30の第二円環壁面32の後端部は、第一筐体20の太筒部21dの後端付近に形成された円環リブ23と嵌合するために円環溝36が形成される。これら2組の凹凸部の嵌合によってセパレータ30は第一筐体20側に保持される。ラッチ機構25をアンロック状態にして第一筐体20と第二筐体40を分離すると、セパレータ30は第一筐体20側に付随する。セパレータ30の第一円環壁面31と第二円環壁面32の屈曲する接続部付近の軸方向溝35は、第一旋回室外壁41の先端側開口41aが嵌合される。このセパレータ30と第一旋回室外壁41との嵌合によって第二サイクロン部と第一集塵室27が空間的に分離される。
軸線A1方向にみて第二筐体40とオーバーラップする部分にはサイクロンユニット2の吸気入口となる吸気通路開口47aが形成される。吸気通路開口47aは、第二旋回室外壁42の外周面とほぼ同一位置に形成され、第二サイクロン部を径方向に貫通させるように形成された吸気通路47の開口である。第一旋回室外壁41の先端側開口41aは、第一筐体20側の構成部品(セパレータ30)によって閉鎖され、後方側開口は蓋部58によって閉鎖される。蓋部58は複数の図示しないネジによって仕切り壁43に取りつけられる。図3の断面位置では図示されないが、蓋部58の外周位置であって、第二旋回室内筒52の後方側開口に当接する位置には複数の貫通穴が形成され、第二旋回室内筒52内からの空気をフィルタ室72側に流すことができる。円筒部75の後方側には、サイクロンユニット2の出口となる排気口76aが形成される。
第二筐体40は第一サイクロン部の第一旋回室外壁41を形成すると共に、第二サイクロン部の筐体(図4で後述する第二サイクロン外筒50a~50j等)を形成するための部材である。第一筐体20は、第二筐体40と分離可能に構成することによって、第一筐体20内に溜まった第一サイクロン部の粉塵と第二サイクロン部の粉塵を容易に廃棄できる。第二筐体40はラッチ機構74を操作することによって第三筐体70からさらに分離可能に構成される。第二筐体40によって形成される複数の第二サイクロン外筒50a~50j(図では全部は見えない)は、先端が絞られた円錐状に形成されたものであって、その内部空間が第二サイクロン部の第二旋回室53a~53j(図5参照)となる。本実施例のクリーナ1は、10個の第二サイクロン部が設けられることになる。
第二サイクロン外筒50a~50jは、先端部分(前側端部)に貫通穴51a~51j(図では51e、51jしか見えない)が開いており、貫通穴から第二集塵室29内に分離された微細粉塵が落下する。ここで第二集塵室29は、複数の第二サイクロン外筒50a~50jをまとめて収容するように、軸方向視で環状に配置された空間となっており、第一集塵室27と第二集塵室29は、第一筐体20の内周側と外周側に並べて配置され、軸方向には重なるように形成される。
吸引された粉塵混じりの空気流AF1は、最初にパイプ部100から入口開口8a(図2参照)を通過して、パイプ取付部8の内部空間に流入する。パイプ取付部8は、本体ハウジング3の一部を構成する部分であって、第一サイクロン部の吸気通路開口47a(図2も参照)に対向する出口開口8fが形成される。パイプ取付部8は、入口開口8aの断面が円形であり、入口開口8aから同径の直管状の太筒部8bが軸線C1方向に延びるように形成され、段差部8gから風下側では細筒部8cから左右方向に絞り込まれたテーパ部8dを通り、更に、湾曲部8eによって空気流AF1の方向が水平は軸線方向(軸線C1方向)から上方向に向けた径方向(軸線A1の径方向)に略90度曲げられ、軸線D1に向くように出口開口8fに至る。太筒部8bの下側にはネジ85を締め付けるドライバーを挿入するためのネジ通し穴部8hが形成される。出口開口8fと第一サイクロン部の吸気通路開口47a(図2も参照)はインロー構造にて接続され、ここでは出口開口8fの端部が吸気通路47の開口端部の外周側を覆うような位置する。ここで出口開口8fの軸方向の長さDは、細筒部8cの直径Dよりも大きく形成される。これは、吸気通路47内で周方向(左右方向)の幅が狭くなるように形成されるので、代わりにDを長くすることによって流路抵抗の増大を抑えるためである。尚、図3に示す鉛直断面位置では、吸気通路47が第一旋回室26への経路の途中で分断されているように見えるが、これは断面位置の取り方の関係上そうなったためであって、後述する図4の鉛直断面図を参照すれば、その形状が理解できるであろう。
図4は図1のA-A部の断面図であって、軸線A1及び軸線C1と垂直な断面図である。第一旋回室外壁41の内側は第一サイクロン部の旋回部(第一旋回室26)となり、第一旋回室外壁41の外側であって第二筐体40の第二旋回室外壁42の内側は第二サイクロン部の第二サイクロン外筒50a~50jの収容空間となる。第二サイクロン部は、旋回空間を画定する第二サイクロン外筒50a~50jと、それらの内周側に同軸上に配置される第二旋回室内筒52a~52jにて構成される。第二サイクロン外筒50a~50jと、第二旋回室内筒52a~52jの間の空間が第二旋回室53a~53j(符号は図5参照)となる。第二旋回室内筒52a~52jの反モータ側端部(前側端部)は、第二集塵室29内に開口しており、第二旋回室53a~53j内で旋回する空気流の回転軸心B1a~B1j付近の空気が第二旋回室内筒52a~52jの内側を軸方向にみてモータ側(後方側)に流れて、第三筐体70(図2参照)内に流れるように構成されている。
パイプ取付部8によって案内された粉塵混じりの空気は、流入方向、即ち軸線C1から軸線D1の方向に流入して、矢印AF2のように出口開口8fからサイクロンユニット2の吸気通路開口47aを介して第一旋回室26内に吸引される。パイプ取付部8は湾曲部8eを有して、図2にて示すように、吸引される空気を軸線A1と平行な軸方向の流れから径方向への流れへと約90度曲げる。湾曲部8eよりも風下側に断面形状が略四角形の出口開口8fが形成される。吸気通路47は、流入方向上流側からみて円筒状のパイプ部の左右方向を絞り込むような側壁面を有し、第一旋回室26の接線方向に向ける。本実施例ではパイプ取付部8の出口開口8fの横幅は、パイプ部100の内径からさほど絞られない程度に十分な幅が確保される。しかしながら、サイクロンユニット2に形成された吸気通路47が、吸気通路開口47aから第一旋回室26の出口開口47bまで左右方向に大きく絞り込むような形状とされる。特に、吸気通路47の中心軸線D1を基準にみて、第二サイクロン外筒50jが出口開口8fよりも中心軸線D1に近づくように配置される。この結果、左右分割面よりも左側に6つの第二サイクロン外筒50e~50jを配置することが可能となった。
吸気通路47は第二サイクロン外筒50jに近接するような位置関係となる。吸気通路47から第一サイクロン部の外筒(第一旋回室外壁41)内の第一旋回室26に到達した空気流AF2は、第一サイクロン部の外筒(第一旋回室外壁41)と内筒(フィルタホルダ部44、メッシュフィルタ46)の間を、図でみて反時計回りの回転流となる。出口開口8fからは空気が連続的に吸引されるため、旋回流は周方向の回転だけでなく軸方向(軸線A1の反モータ側)にも移動し、トルネード状の流れとなる。トルネード状に周方向かつ軸線A1方向前方に移動した空気は、メッシュフィルタ46を通して第一サイクロン部の内筒(フィルタホルダ部44、メッシュフィルタ46)内に吸引され、排気口43aを介して第二サイクロン部内から第二集塵室29内に排出される。
図5は図4と同じ図であって、構成上の特徴を説明するための図4とは異なる箇所に符号を付した図である。本実施例のサイクロンユニット2は外形を小さくするための様々な工夫を施している。例えば、第二サイクロン外筒50e~50jの隣接する壁面を連結させるようにして成形する、即ち、黒く塗りつぶした連結隣接壁56a~56iを形成することによって隣接する第二サイクロン外筒50e~50j間の距離を小さくした。同に、黒く塗りつぶした連結内壁57a~57jのように第二旋回室内筒52と共用して形成することで、第二サイクロン外筒50e~50jをより内周側に配置し、第2サイクロン部の外径(第二旋回室外壁42の外径)を極力小さくした。さらに、複数の第2サイクロン部のうちの一つ、即ち吸気通路47に隣接する第二サイクロン外筒50jと吸気通路47の側壁面を共用して形成する(連結隣接壁56j)と共に、連結隣接壁56jの位置を吸気通路47に矢印59のようにはみ出すようにして、第二サイクロン外筒50jの位置を鉛直面(軸線A1と軸線C1を含む仮想面)に接触又は近接するように構成した。この構成によって吸気通路47の左側側壁は矢印にて示す吸気通路壁延在方向58bのように鉛直面よりも矢印59の方向にはみ出すような方向に延びる。このように吸気通路47の左側側壁がはみ出すことで、吸気通路47は周方向の開口幅が下流に向けて絞られた形状となる。つまり、吸気通路47の出口開口47b付近の軸線D1と直交する方向に見た左右方向幅Dは、吸気通路開口47aの外側の左右方向幅Dよりも十分小さくなる。吸気通路47の左側側壁におけるはみ出す領域は、換言すると吸気通路47の絞られた領域であり、この領域は連結隣接壁56jを含む。吸気通路47の左側側壁のはみ出す領域により、左側側壁は、第二サイクロン部に沿って湾曲した形状を有している。具体的には、連結隣接壁56jは、第二旋回室50jの回転軸心B1jを中心とした円弧状に形成される。また、吸気通路47の左側側壁に合わせて右側側壁も矢印にて示す吸気通路壁延在方向58aのように鉛直面に近づくように曲げられることによって、空気流AF2が第一サイクロン部の第一旋回室外壁41に沿って良好に旋回するように導かれる。以上、本実施例では図5からわかるように軸線A1を通る仮想的な鉛直面の一方側(ここでは左側)に6つの第二サイクロン部を配置でき、他方側(右側)に4つの第二サイクロン部を配置の計10個の第二サイクロン部を配置できる。
図6は図1のB-B部の断面図である。この断面図の外周側は、第二筐体40の第二旋回室外壁42である。第二旋回室外壁42の内側には10個の第二サイクロン外筒50a~50jによって画定される10個のサイクロンユニットが設けられる。第二サイクロン外筒50a~50jの間の部分は、仕切り壁43によって径方向に接続されている。第二サイクロン外筒50a~50jの内周側のそれぞれには第二旋回室内筒52a~52jが設けられる。第二サイクロン外筒50a~50jと第二旋回室内筒52a~52jと仕切り壁43は、第二筐体40としてプラスチック等の合成樹脂の一体成形によって製造される。第二サイクロン外筒50a~50jは、図3及び図4の断面図でわかるように円筒形の壁部を有するが、図5で示したA-A断面、及び,本図で示すB-B断面付近では隣接する外壁部同士を共通の壁で構成することによって第二旋回室外壁42内の限られた空間内に多数の第二サイクロン外筒50a~50jを配置できる。
隣接する第二サイクロン外筒50a~50jの入口側壁部55a~55eは、隣接する部分と共用化した。つまり、第二サイクロン外筒50a~50jの入口開口が入口側壁部55a~55e側に位置するように配置した結果、第二サイクロン外筒50a、50c、50e、50g、50i内の空気流AF3a、AF3c、AF3e、AF3g、AF3iが図中で反時計回りとなる。一方、第二サイクロン外筒50b、50d、50f、50h、50j内の空気流AF3b、AF3d、AF3f、AF3h、AF3jが図中時計回りとなる。また、第二サイクロン外筒50a~50jの入口側壁部55a~55eと離れた側は、径方向内側に突出する突出壁54a~54dが形成される。突出壁54a~54dは第一サイクロン部の排出口となる開口43aから10個の第二サイクロン外筒50a~50jの入口に効率良く分流するための案内壁となる。このようにB-B断面部分にて入口側壁部55a~55eと突出壁54a~54dによって開口43aから外周部に位置する第二サイクロン外筒50a~50j内に空気を効率良く流すことができる。
仕切り壁43bは第二サイクロン外筒50e~50jが配置されない吸気通路47のモータ側部分の内側を接続するために形成される。仕切り壁43bの外周部分には蓋部58をネジ止めするための5つのネジボス49a~49eが形成される。矢印43cに示す空間、即ち、仕切り壁43と第二旋回室外壁42の間の空間は、集塵機能には利用されない余剰空間である。よって、この余剰空間43cを利用して、クリーナ1に付属する小物を収容するスペースとすることも可能である。
第一サイクロンユニット外筒(図2の第一旋回室外壁41)の排気口43aから排出された空気は、放射状に点線矢印AF3a~AF3jのように流れて複数の第二サイクロンユニットの入口開口の方向に流れる。第二サイクロン外筒50a~50jの入口開口の近傍には、入口開口内に空気が流入しやすいように入口側壁部55a~55eと突出壁54a~54dが形成される。このように、第一サイクロンユニットから排出された空気流AF2(図3参照)が、点線矢印AF3a~AF3jのように分流して複数の第二サイクロンユニット内に流れて、それぞれの第二サイクロン外筒50a~50j内の第二旋回室53a~53j内にて遠心分離されることになる。第二サイクロンユニットにおける旋回流は、その旋回半径が小さければ微小の粉塵を分離するのに有利であり、第一サイクロンユニットにおける分離漏れされた粉塵を効率良く分離して第二集塵室29内に収集できる。
図7は図1のC-C部の断面図である。この断面位置は、フィルタ80を収容するフィルタ収容室の断面である。フィルタ80は円筒形であって、径方向の外側(外周側)から内側(内周側)に空気が通過することによってフィルタ80によって微細な粉塵が収集される。第三筐体70の前方壁面部71には、第二サイクロン部の排気口と連通する開口73a~73jが形成される。開口73a~73jから排出された空気は、点線矢印AF4a~AF4jで示すように径方向外側から内側に流れて、ファン15側に流れる。開口73a~73jから排出された空気は、フィルタ収容室内に到達する際に小さい旋回流となっているため、径方向外側にも急激に広がる。従って、隣接する開口73a~73jから出る空気が互いに干渉しにくくなるように、外縁位置から径方向内側に突出する仕切り壁72a~72kが形成される。第三筐体70の下側には、ラッチ機構74を固定するラッチ取付部70dが形成される。
次に図8及び図9を用いて、本実施例のクリーナの構成上の特徴を説明する。図8及び図9は本実施例の配置構造(図9(C))に至るまでの改良過程を説明するための模式図である。前述したように本実施例のクリーナ1は、サイクロンユニットを2段式としたことに特徴がある。従来の2段サイクロン方式のクリーナは、図8(A)に示すように、第一筐体で構成される第一サイクロンユニット120aと第二サイクロンユニット140aを軸線A1方向に並べて配置して、その軸線A1に並ぶようにモータ12及びファン15を収容する本体ハウジング103を配置するのが基本である。この場合、第一サイクロンユニット120aの内部には、フィルタホルダ部130aが設けられ、フィルタホルダ部130aと軸線A1方向にみて同じ位置にパイプ取付部108の流入部108fが接続される。
第二サイクロンユニット140aの内部には、軸線A1から離れた外周側に複数の第二旋回部150が設けられる。複数の第二旋回部150は複数の軸線B1(図4のB1a~B1j)に沿って配置される。第二サイクロンユニット140aの後方側(第一サイクロンユニット120aとは離れる側)に、フィルタ室170が設けられる。本体ハウジング103にはハンドル部105が形成され、ファン15によって吸引される空気の通路を形成し、さらには図示しないスイッチ手段や制御回路等を収容するので、図示のサイズよりも大きくなる(説明目的のため、図8では本体ハウジング103の形状や大きさを正確に図示していない)。図8(A)の構成のように第一サイクロンユニット120aと第二サイクロンユニット140aを軸線A1方向に並べて配置すると、それらの占める軸線A1方向の長さLは大きくなる。
図8(B)は、サイクロンユニット全体の軸線A1方向の長さを短くしたものである。ここでは、第一サイクロンユニット120bは旋回部分となるフィルタホルダ部130bの外径を変えないものの、集塵室部分の径を太くして側面視で凸状の形状とした。また、第二サイクロンユニット140bの筐体形状を変えて、複数の第二旋回部150の軸線A1方向に占める範囲R2が、フィルタホルダ部130aの占める軸線A1方向の範囲R1と部分的に軸線A1方向にオーバーラップするように構成した。さらに、第二旋回部150の先端が第一サイクロンユニット120bの筐体内に突出するようにした。第二サイクロンユニット140bの形状は断面視で凹状となり、窪み部分が反モータ側に、即ち、第一サイクロンユニット120b側に向くように構成される。一方、第一サイクロンユニット120bは、モータ12側に、即ち、第二サイクロンユニット140bの方向に突出するような凸状に形成され、これらの凹凸部分を連結させる。つまり、パイプ取付部108からの流入部108fの軸線A1の軸方向に占める位置が、第二旋回部150の占める位置と軸方向に重なることになる。このように2つのサイクロンユニットの筐体形状を改良したことにより、第一サイクロンユニット120bと第二サイクロンユニット140bの占める軸線A1方向の長さLを小さく構成できた。しかしながら、第二サイクロンユニット140bが第一サイクロンユニット120bの外周側のすべてを囲むように構成すると、パイプ取付部108からの流入部108fを第一サイクロンユニット120bと接続できないという不具合が生ずる。
図8(C)は図8(B)のD-D部の断面図を示す。ここで理解できるように、第一サイクロンユニット120bが第二サイクロンユニット140bによって完全に囲まれるように構成すると、パイプ取付部108からの流入部108fを第一サイクロンユニット120bと接続することができない。そこで図9(A)のように、第二サイクロンユニット140cの一部を切り欠いて、端部141aと141bの間を分断させて、その分断した部分にパイプ取付部108からの流入部108fを配置するようにした。この結果、改良された第二サイクロンユニット140cの形状は、軸線A1と直交する断面形状が略C字状、又は馬蹄形に構成され、端部141aと141bの間の空間(図4でいうと、第二サイクロン外筒50aと50jの間の空間)を利用して、流入部108fを直接第一サイクロンユニット120cに接続できる。第二サイクロンユニット140cの端部141aと141bの間は離間するように構成され、流入部108fが第一サイクロンユニット120cに接続される。ここでは10個の第二旋回部150を設け、それぞれの軸線B1が第一サイクロンユニット120cの軸線A1と平行になるように構成したが、軸線B1の向きは、軸線A1と完全に平行である必要は無く、軸線A1と同じ方向ではあるがわずかな角度をもつように配置しても良い。
図9(B)は、図9(A)の構成の小型化を図るために、第一サイクロンユニット120dと第二サイクロンユニット140dの外径を小さくしたものである。ここでは第二サイクロンユニット140dの直径をW(W<W)と小さくした。このため第一サイクロンユニット120dの径もわずかに小さくした。パイプ取付部108dの幅も、わずかに細くしている。第二旋回部150の大きさは、図9(A)と同じ太さであるので、第二のサイクロン効果による集塵性能の低下はない。尚、第二旋回部150の大きさに変更が無ければ、第二サイクロンユニット140dの形状、特に外形形状は任意であって、その外形が小さいほど小型化に貢献する。しかしながら第二旋回部150の総数はある程度の数以上配置するようにしたほうが、集塵効果の向上に効果的である。
図9(C)は、図9(B)で示したクリーナのサイクロンユニットのさらなる小型化を図ったものである。複数の第二旋回部150が第一サイクロンユニット120eの旋回室123の外側において周方向に並ぶ構成は同じであるが、ここでは第一サイクロンユニット120eにパイプ取付部108dを挿入させるように取りつけるのでは無く、第一サイクロンユニット120e側に吸気通路147を形成し、第一サイクロンユニット120eの外周面付近にて吸気通路147の吸気通路開口147aとパイプ取付部118fを接続するようにした。また、吸気通路147を内周側に行くにつれて周方向の幅が狭くなるようにして、流入する空気が第一旋回室外壁に沿ってきれいに旋回するようにした。パイプ取付部118fは、第一サイクロンユニット120eの外周縁位置付近にて吸気通路開口147aに接続される。
複数の第二旋回部150の隣接する壁同士は、図5の57a~57jのように共用化することにより(B)に示す第一サイクロンユニット120dの外径を、(C)の102eのようにわずかに小さくしても10個の第二旋回部150を収容できた。また、第一サイクロンユニット120eの外壁と第二旋回部150の壁部の一部を共用化したことによって、第二旋回部150を可能な限り内周側に配置した。さらに、吸気通路147を周方向に絞るように形成することにより、第二サイクロン部の一つが吸気通路の内側にはみ出すように配置させることができた。さらに、第1の軸線を基準に見た吸気通路の周方向の開口幅を絞り、はみ出した第二サイクロン部の外壁と、吸気通路の側壁の一部を共有させたので、第二サイクロンユニット140eの直径をW(W<W)とさらに小さくすることが可能となった。
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は上述の実施例だけに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。例えば、サイクロンユニット2の軸線A1と直角断面形状は、円形だけでなく略四角形としても良いし、その他の様々な形状としても良い。また、上述の実施例ではモータ収容部4、パイプ取付部8、連結部7を一体の本体ハウジングの一部として製造したが、これらを分離式にして、ネジ又はその他の接合方法にて接続するような構造としても良い。
1 クリーナ 2 サイクロンユニット 3 本体ハウジング
4 モータ収容部 5 ハンドル部 6 電池取付部 6a レール溝
7 連結部 7a 排気空間 7b 前側端部 8 パイプ取付部
8a 入口開口 8b 太筒部 8c 細筒部 8d テーパ部
8e 湾曲部 8f 出口開口 8g 段差部 8h ネジ通し穴部
9 風窓(排気口) 10 サイクロンユニット取付面
10a 風窓 11 モータ保持具 12 モータ
13 インバータ回路基板 14 収容空間 15 ファン
16 ファンガイド 18 係止爪 19 取付固定部 20 第一筐体
21a 底面 21b 細筒部 21c テーパ部 21d 太筒部
22a~22c 円環リブ 22d 係止爪 23 円環リブ
24 ホルダ 25 ラッチ機構 26 第一旋回室 27 第一集塵室
28 掛止爪 29 第二集塵室 30 セパレータ 31 第一円環壁面
32 第二円環壁面 33 貫通穴 34、36 円環溝 35 軸方向溝
40 第二筐体 41 第一旋回室外壁 41a 先端側開口
42 第二旋回室外壁 43 仕切り壁 43a 開口(排気口)
43b 仕切り壁 43c 余剰空間 44 フィルタホルダ部
45 ダストガード 45a 円筒部 45b 円錐部 45c 開口部
46 メッシュフィルタ 47 吸気通路 47a 吸気通路開口
47b 出口開口 48 凹部 49a~49e ネジボス
50、50a~50j 第二サイクロン外筒 51、51a~51j 貫通穴
52、52a~52j 第二旋回室内筒 53、53a~53j 第二旋回室
54a~54e 突出壁 55a~55e 入口側壁部
56a~56i 連結隣接壁 56j 共有吸気壁 57a~57j 連結内壁
58 蓋部 59 はみ出し方向 59a、59b 吸気通路壁延在方向
70 第三筐体 70d ラッチ取付部 71 前方壁面部
72 フィルタ室 72a~72k 仕切り壁 73a~73j 開口
74 ラッチ機構 75 円筒部 76 後壁
76a 貫通穴(排気口) 77 ラッチ機構 80 フィルタ
81 フィルタ押さえ 85 ネジ 90 電池パック
91 ラッチボタン 92 爪部 93 レール部 100 パイプ部
103 本体ハウジング 105 ハンドル部
108、108d パイプ取付部 108f 流入部 118f パイプ取付部
120a~120e 第一サイクロンユニット 123 旋回室
130a~130c フィルタホルダ部
140a~140e 第二サイクロンユニット 141a 端部
147 吸気通路 147a 吸気通路開口 150 第二旋回部
170 フィルタ室
A1 (第一サイクロンユニットの)軸線
B1 (第二サイクロンユニットの)軸線
C1 (パイプの)軸線

Claims (9)

  1. 駆動源と、
    前記駆動源により駆動されるファンと、
    作業者に把持されるハンドル部と、
    第1の軸線と平行方向に延びる直管状の筒部を有し、外部から空気が流入するパイプ取付部と、
    前記パイプ取付部から空気が流入する吸気通路と、
    前記吸気通路から流入した空気を、前記第1の軸線を中心として第一旋回室内を回転させて塵埃を遠心分離した後に内周側の空気を排出する第一サイクロン部と、
    前記第一サイクロン部から排出された空気を、第2の軸線を中心として第二旋回室内を回転させることで塵埃を遠心分離した後に内周側の空気を排出する複数の第二サイクロン部と、を有し、
    前記複数の第二サイクロン部から排出された空気を前記ファンによってハウジングの外部に排出させるクリーナであって、
    前記複数の第二サイクロン部は、前記第1の軸線の径方向における前記第一旋回室外周に、前記第1の軸線の周方向へ並んで配置され、
    前記吸気通路は、前記第一旋回室の外周の接線方向に向けて延びるようにして前記第一旋回室に接続され、前記第一旋回室と前記吸気通路を挟み込むようにして複数個の前記第二旋回室を配置し、
    隣接する前記第二旋回室における旋回方向が互いに逆向きとなるように第二サイクロン部の入口開口を周方向の一方側と他方側に交互に配置し、
    前記第1の軸線と、前記第1の軸線と平行に延びる筒状の前記パイプ取付部の軸線を含む仮想面に対して、前記仮想面の吸気口側に配置する側の前記第二旋回室の総数を、反吸気口側に配置する側の前記第二旋回室の総数より少なくし、
    前記ハンドル部は、前記第1の軸線方向における位置が、前記第一サイクロン部、前記第二サイクロン部及び前記パイプ取付部よりも前記ファン側に配置され、かつ、前記第1の軸線方向に延びるように形成され、
    前記パイプ取付部は、前記ハンドル部に対して、前記駆動源を挟んで反対側に配置され、
    前記第1の軸線方向視において、
    前記ハンドル部は、前記第一旋回室の上方に配置され、
    前記筒部は、前記第1の軸線を挟んで前記ハンドル部の反対側に位置するように、前記第一旋回室の下方に配置され、
    前記第二旋回室の一部が、前記ハンドル部及び前記パイプ取付部に対して上下方向に重なるように、前記第一旋回室の外壁と前記パイプ取付部との間に配置されることを特徴とするクリーナ。
  2. 前記仮想面に対して、一方側に前記吸気通路を配置したことを特徴とする請求項1に記載のクリーナ。
  3. 前記吸気通路は、前記第二旋回室に対して前記周方向に隣接して配置されるとともに、隣接する前記第二旋回室を避けるように、前記第1の軸線の周方向の開口幅が下流に向けて絞られた形状であることを特徴とする請求項1または2に記載のクリーナ。
  4. 前記吸気通路の前記第1の軸線方向の開口長さは一定であって、前記周方向の開口幅だけが絞られることを特徴とする請求項3に記載のクリーナ。
  5. 前記第一旋回室の外壁および前記第二旋回室の外壁の一部を共用させたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のクリーナ。
  6. 隣接する前記第二旋回室の外壁の一部を共用させたことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のクリーナ。
  7. 前記第1の軸線方向視において、前記第一旋回室の外壁と前記吸気通路の間に、前記第二旋回室の一部が挟み込まれるように配置されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のクリーナ。
  8. 前記第二旋回室の数は偶数であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のクリーナ。
  9. 前記吸気通路の側壁は、前記第二サイクロン部に沿って湾曲した形状を有することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のクリーナ。
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