JP7156877B2 - 金属張積層板及びパターン化金属張積層板 - Google Patents
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Description
本発明の金属張積層板は、下記の条件(i)~(iii);
(i)前記ポリイミド層の厚みが1~15μmの範囲内であること、
(ii)前記ポリイミド層は、ガラス転移温度Tgが330℃以下の非熱可塑性ポリイミド層を含んでいること、
(iii)前記ポリイミド層の熱膨張係数CTEPと、前記金属層の熱膨張係数CTEMとが、次の式(a)の関係を満たすこと、
2ppm/K≦CTEM-CTEP≦8ppm/K … (a)
を満たすものである。
(1)金属張積層板を、所定の長さに切断して試験片を準備する工程、
(2)前記試験片の縦方向をMD方向、横方向をTD方向としたとき、前記試験片において前記MD方向及び前記TD方向と平行な辺を有する仮想の正四角形を想定し、
前記正四角形における4つの角部と、
前記正四角形のMD方向及び前記TD方向の4つの辺上に、当該一辺の端部の2つの角部を基準に等間隔に、直線状の配列をなす複数のマークと、を形成する工程、
(3)前記複数のマークの位置を計測し、前記正四角形の一辺に位置するマークと、対向する辺に位置するマークとの間の距離L0を算出する第1の計測工程、
(4)前記試験片の前記金属層の一部又は全部をエッチングする工程、
(5)エッチング後に、前記複数のマークの位置を計測し、前記正四角形の一辺に位置するマークと、対向する辺に位置するマークとの間の距離L1を算出する第2の計測工程、及び
(6)前記エッチング前後で同じ2つのマークについて、前記第1の計測工程で得られた距離L0と、前記第2の計測工程で得られた距離L1との差分L1-L0を算出する工程、
を含む試験方法によって得られる値から、次の式(b)によって算出されるエッチング後の寸法変化率;
寸法変化率(%)=(L1-L0)/L0×100 … (b)
が±0.15%以下であってもよい。
この場合、前記芳香族テトラカルボン酸残基の全量100モル部に対して、ピロメリット酸二無水物(PMDA)から誘導される芳香族テトラカルボン酸残基(PMDA残基)を40~65モル部の範囲内、かつ、3,3’、4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)から誘導される芳香族テトラカルボン酸残基(BPDA残基)及び/又は1,4-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル)二無水物(TAHQ)から誘導される芳香族テトラカルボン酸残基(TAHQ残基)を合計で25~60モル部の範囲内で含有していてもよい。
また、前記芳香族ジアミン残基の全量100モル部に対して、下記の一般式(1A)及び/又は一般式(1B)で表されるジアミン化合物から誘導される芳香族ジアミン残基を合計で90モル部以上含有していてもよい。
[金属張積層板]
本発明の一実施の形態に係る金属張積層板は、ポリイミド層と、該ポリイミド層の少なくとも一方の面に積層された金属層を備えている。本実施の形態の金属張積層板は、下記の条件(i)~(iii)を満たすものである。
ポリイミド層の厚みが上記範囲内である場合に、エッチング前後の寸法安定性の改善効果が十分に発揮される。また、ポリイミド層の厚みが上記下限値に満たないと、電気絶縁性が担保出来ないことや、ハンドリング性の低下により製造工程にて取扱いが困難になるなどの問題が生じることがある。一方、ポリイミド層の厚みが上記上限値を超えると、エッチング前後の寸法変化が大きくなって、ポリイミド層のうねりが発生しやすくなり、生産性低下などの不具合が生じる。ポリイミド層の厚みは、例えば3~12μmの範囲内にあることが好ましい。
非熱可塑性ポリイミド層は、ポリイミド層における主たる層である。ここで、「主たる層」とは、ポリイミド層の全厚みに対して、60%以上の厚み比率を有する層を意味する。この非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度(Tg)を低下させることで、金属層上での熱処理によってポリアミド酸をイミド化してポリイミド層を形成する際の残留応力が低減すると考えられる。なお、「非熱可塑性ポリイミド」とは、一般に加熱しても軟化、接着性を示さないポリイミドのことであるが、本発明では、動的粘弾性測定装置(DMA)を用いて測定した、30℃における貯蔵弾性率が1.0×109Pa以上であり、350℃における貯蔵弾性率が1.0×108Pa以上であるポリイミドをいう。また、「熱可塑性ポリイミド」とは、一般にガラス転移温度(Tg)が明確に確認できるポリイミドのことであるが、本発明では、DMAを用いて測定した、30℃における貯蔵弾性率が1.0×109Pa以上であり、350℃における貯蔵弾性率が1.0×108Pa未満であるポリイミドをいう。
例えば、熱処理の最高温度TMAXが非熱可塑性ポリイミドのTgよりも低い場合、熱処理後、最高温度TMAXから室温までの冷却過程の全温度域で、ポリイミド層に残留応力が蓄積される。それに対し、非熱可塑性ポリイミドのTgを熱処理の最高温度TMAXよりも低く設計すると、TMAXからTgまでの温度域(つまり、Tgを超える温度域)では、ポリイミド層と金属層とのCTE差によるポリイミド層の残留応力が蓄積されにくい。つまり、非熱可塑性ポリイミドのTgを熱処理の最高温度TMAXよりも低く設計することによって、残留応力が蓄積されやすい温度域を、最高温度TMAXから室温までの冷却過程の全温度域ではなく、Tgから室温までの温度域に狭めることが可能になるため、ポリイミド層の残留応力の増加を抑制できる。このため、金属層の熱膨張係数CTEMがポリイミド層の熱膨張係数CTEPより大きく、かつ、両者に一定の差があっても、エッチング前後の寸法安定性を高めることができるとともに、ポリイミド層に生じるうねりや弛みが発生しにくくなる。以上の観点から、非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度Tgは、320℃以下が好ましい。なお、ポリアミド酸をイミド化してポリイミド層を形成する熱処理の最高温度TMAXは、一般的に360℃前後である。
2ppm/K≦CTEM-CTEP≦8ppm/K … (a)
本実施の形態の金属張積層板を、回路基板材料などの用途に使用する場合、金属層とポリイミド層のCTE差を極力小さくすることが好ましい。差CTEM-CTEPが2ppm/K未満では、そもそも、温度変化による寸法安定性が十分に高いことから、条件(i)、(ii)を満たすべき必要性が低い。差CTEM-CTEPが8ppm/Kを超える場合には、条件(i)、(ii)を満たしても、エッチング前後の寸法安定性を改善する効果が十分に得られない。差CTEM-CTEPが、式(a)を満たす場合に、エッチング前後の寸法変化を小さくして、ポリイミド層のうねりの発生を抑制する効果が十分に発揮される。
(ア)金属層の熱膨張係数CTEMの変曲点が非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドのTgよりも低い温度に存在すること。
(イ)当該変曲点の温度を基準に、以下の式(c)の関係を満たすこと。
[変曲点以下の温度域でのCTEM]<[変曲点より高い温度でのCTEM] … (c)
なお、上記(ア)、(イ)の関係を満たす金属層としては、例えばインバー箔を挙げることができる。インバー箔は、含まれる鉄元素、ニッケル元素及び微量元素の比率によっても変化するが、例えば200~250℃の温度領域にCTEの変曲点を有している。
寸法変化率(%)=(L1-L0)/L0×100 … (b)
(1)金属張積層板を、所定の長さに切断して試験片を準備する工程。
(2)前記試験片の縦方向をMD方向、横方向をTD方向としたとき、例えば図1に示すように、前記試験片において前記MD方向及び前記TD方向と平行な辺を有する仮想の正四角形を想定し、
前記正四角形における4つの角部と、前記正四角形のMD方向及び前記TD方向の4つの辺上と、に、当該一辺の端部をなす2つの角部を基準にして等間隔に、直線状の配列をなす複数のマークを形成する工程。
(3)前記複数のマークの位置を計測し、前記正四角形の一辺に位置するマークと、対向する辺に位置するマークとの間の距離L0を算出する第1の計測工程。
(4)前記試験片の前記金属層の一部又は全部をエッチングする工程。
(5)エッチング後に、例えば図2に示すように、前記複数のマークの位置を計測し、前記正四角形の一辺に位置するマークと、対向する辺に位置するマークとの間の距離L1を算出する第2の計測工程。(6)前記エッチング前後で同じ2つのマークについて、前記第1の計測工程で得られた距離L0と、前記第2の計測工程で得られた距離L1との差分L1-L0を算出する工程。
本実施の形態の金属張積層板において、ポリイミド層を構成するポリイミドは、テトラカルボン酸二無水物と、ジアミン化合物と、を反応させて得られるポリアミド酸をイミド化して得られるものである。従って、ポリイミド層は、テトラカルボン酸残基及びジアミン残基を含むものである。なお、本発明において、テトラカルボン酸残基とは、テトラカルボン酸二無水物から誘導された4価の基のことを表し、ジアミン残基とは、ジアミン化合物から誘導された2価の基のことを表す。本実施の形態の金属張積層板において、ポリイミド層は非熱可塑性ポリイミド層を含んでおり、さらに、熱可塑性ポリイミド層を含んでいてもよい。
非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドは、芳香族テトラカルボン酸二無水物から誘導される芳香族テトラカルボン酸残基及び芳香族ジアミン化合物から誘導される芳香族ジアミン残基を含むものである。
非熱可塑性ポリイミドは、原料の酸無水物成分として、ピロメリット酸二無水物(PMDA)から誘導される芳香族テトラカルボン酸残基、並びに、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)及び/又は1,4-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル)二無水物(TAHQ)から誘導される芳香族テトラカルボン酸残基(BPDA残基及び/又はTAHQ残基)を含有することが好ましい。
PMDAは、剛直骨格を有するため、他の一般的な酸無水物成分に比べて、ポリイミド中の分子の面内配向性の制御によるポリイミド層の熱膨張係数CTEPの抑制が可能となり、ガラス転移温度(Tg)の向上にも効果がある。
また、BPDA及び/又はTAHQは、PMDAと比較し分子量が大きいため、仕込み比率の増加によりイミド基濃度が低下することで吸湿率の低下に効果がある。一方でBPDA及び/又はTAHQの仕込み比率が増加すると、ポリイミド中の分子の面内配向性が低下し、CTEの増加に繋がる。
以上の観点から、PMDAは、原料の全酸無水物成分の100モル部に対し、好ましくは40~65モル部の範囲内、より好ましくは45~60モル部の範囲内で使用することがよい。原料の全酸無水物成分の100モル部に対し、PMDAの仕込み量が40モル部未満であると、分子の面内配向性が低下し、低CTE化が困難となり、またTgの低下による加熱時におけるフィルムの耐熱性や寸法安定性が低下する。一方、PMDAの仕込み量が65モル部を超えると、Tgが増加するため、金属層とのCTE差に開きがある場合、寸法安定性が低下し、またイミド基濃度の増加により吸湿率が悪化する。
非熱可塑性ポリイミドは、原料のジアミン成分として、一般式(1A)及び一般式(1B)で表される芳香族ジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の芳香族ジアミンを使用することが好ましい。一般式(1A)で表される芳香族ジアミン(以下、「ジアミンI」と記すことがある)及び一般式(1B)で表される芳香族ジアミン(以下、「ジアミンII」と記すことがある)は、ポリイミド中の分子の配向性を制御とCTEの増加を抑制することができ、また吸湿率を低下させることができる。このような観点から、ジアミンI及び/又はジアミンIIは、原料の全ジアミン成分の100モル部に対し、合計で90モル部以上、例えば90~100モル部の範囲内で使用することがよい。
本実施の形態の金属張積層板において、ポリイミド層は、必要に応じて、無機フィラーを含有してもよい。無機フィラーとしては、具体的には、例えば二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、フッ化アルミニウム、フッ化カルシウム等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を混合して用いることができる。
本実施の形態の金属張積層板は、主にFPCなどの回路基板材料や、電子部品を製造する過程で使用するマスクなどの部材として有用である。すなわち、本実施の形態の金属張積層板の金属層を常法によってパターン状に加工することによって、パターン化金属張積層板とすることができる。このパターン化金属張積層板は、例えばFPCに代表される回路基板や、トランジスタ、ダイオードなどの能動素子や、抵抗、キャパシタ、インダクタなどの受動デバイスを含む電子回路などの他に、圧力、温度、光、湿度などをセンシングするセンサー素子、発光素子、液晶表示、電気泳動表示、自発光表示などの画像表示素子、無線、有線による通信素子、演算素子、記憶素子、MEMS素子、太陽電池、薄膜トランジスタなどとして利用可能なものである。
粘度の測定は、E型粘度計(ブルックフィールド社製、商品名;DV-II+Pro)を用いて、25℃における粘度を測定した。トルクが10%~90%になるよう回転数を設定し、測定を開始してから2分経過後、粘度が安定した時の値を読み取った。
3mm×15mmのサイズのポリイミドフィルムを、熱機械分析(TMA:装置名TMA/SS6100)装置にて5.0gの荷重を加えながら一定の昇温速度(10℃/min)、降温速度(5℃/min)で20℃から260℃の温度範囲で昇温・降温させて引張り試験を行い、260℃から25℃への温度変化に対する伸び量の変化から面方向線熱膨張係数(ppm/K)を測定した。
3mm×15mmのサイズの金属箔を、熱機械分析(TMA:装置名TMA/SS6100)装置にて5.0gの荷重を加えながら一定の昇温速度(10℃/min)、降温速度(5℃/min)で20℃から360℃の温度範囲で昇温・降温させて引張り試験を行い、降温時の360℃から25℃への温度変化に対する伸び量の変化から面方向線熱膨張係数(ppm/K)を測定した。
ガラス転移温度は、5mm×20mmのサイズのポリイミドフィルムを、動的粘弾性測定装置(DMA:ユー・ビー・エム社製、商品名;E4000F)を用いて、30℃から400℃まで昇温速度4℃/分、周波数11Hzで測定を行い、弾性率変化(tanδ)が最大となる温度をガラス転移温度とした。
貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置(DMA)を用いて測定した。30℃における貯蔵弾性率が1.0×109Pa以上であり、350℃における貯蔵弾性率が1.0×108Pa以上であるポリイミドを「非熱可塑性ポリイミド」とし、30℃における貯蔵弾性率が1.0×109Pa以上であり、350℃における貯蔵弾性率の最小値が1.0×108Pa未満であるポリイミドを「熱可塑性ポリイミド」とする。
80mm×80mmのサイズの金属張積層板を準備した。この積層板の金属層の上に、ドライフィルムレジストを設けた後、露光、現像して、図1に示すように、16個の直径1mmのレジストパターンを、全体が正四角形をなすように形成し、縦方向(MD)及び横方向(TD)のそれぞれ50mm間隔で5箇所を測定可能とする位置測定用ターゲットを調製した。
調製したサンプルについて、温度;23±2℃、相対湿度;50±5%の雰囲気中にて、位置測定用ターゲットにおけるレジストパターンの縦方向(MD)及び横方向(TD)におけるターゲット間の距離を測定した後、レジストパターン開孔部の金属層の露出部分をエッチング(エッチング液の温度;40℃以下、エッチング時間;10分以内)により除去し、図2に示すように、16個の金属層残存点を有する評価サンプルを調製した。この評価サンプルを温度;23±2℃、相対湿度;50±5%の雰囲気中にて24±4時間静置後、縦方向(MD)及び横方向(TD)における金属層残存点間の距離を測定した。縦方向及び横方向の各5箇所の常態に対する寸法変化率を算出し、各々の平均値をもってエッチング後寸法変化率とする。
各寸法変化率は下記数式により出した。
エッチング後寸法変化率(%)=(B-A)/A × 100
A ; レジスト現像後のターゲット間の距離
B ; 金属層エッチング後の金属層残存点間の距離
金属張積層板上の金属箔を金属配線幅1mm、スペース3mmとなるように金属配線6本を回路加工した後に、加工したサンプルの配線間スペースを目視にて確認を行った。この際ポリイミド層のうねりの有無及びうねりが発生しているものについては、うねりのピッチ間距離を確認した。
PMDA:ピロメリット酸二無水物
NTCDA:2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物
s-BPDA:3,3',4,4'‐ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
TAHQ:1,4-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル)二無水物
m‐TB:2,2'‐ジメチル‐4,4'‐ジアミノビフェニル
ビスアニリン-M:1,3-ビス[2-(4-アミノフェニル)-2-プロピル]ベンゼン
APAB:4-アミノフェニル-4’-アミノベンゾエート
APBO:5-アミノ-2-(p-アミノフェニル)ベンゾオキサゾール
DMAc:N,N‐ジメチルアセトアミド
窒素気流下で、反応槽に、20.561gのm-TB(0.0969モル)及び重合後の固形分濃度が15重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、10.404gのPMDA(0.0477モル)及び14.035gのs-BPDA(0.0477モル)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液1を調製した。ポリアミド酸溶液1の溶液粘度は32,400cpsであった。
窒素気流下で、反応槽に、20.898gのm-TB(0.0984モル)及び重合後の固形分濃度が15重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、12.690gのPMDA(0.0582モル)及び11.412gのs-BPDA(0.0388モル)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液2を調製した。ポリアミド酸溶液2の溶液粘度は34,100cpsであった。
窒素気流下で、反応槽に、10.303gのm-TB(0.0485モル)及び10.932gのAPBO(0.0485モル)並びに重合後の固形分濃度が15重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、12.513gのPMDA(0.0574モル)及び11.252gのs-BPDA(0.0382モル)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液3を調製した。ポリアミド酸溶液3の溶液粘度は18,400cpsであった。
窒素気流下で、反応槽に、10.270gのm-TB(0.0484モル)及び11.042gのAPAB(0.0484モル)並びに重合後の固形分濃度が15重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、12.472gのPMDA(0.0572モル)及び11.216gのs-BPDA(0.0381モル)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液4を調製した。ポリアミド酸溶液4の溶液粘度は8,900cpsであった。
窒素気流下で、反応槽に、18.309gのm-TB(0.0862モル)及び重合後の固形分濃度が15重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、11.118gのPMDA(0.0510モル)及び15.574gのTAHQ(0.0340モル)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液5を調製した。ポリアミド酸溶液5の溶液粘度は25,400cpsであった。
窒素気流下で、反応槽に、18.3015gのm-TB(0.0862モル)及び1.563gのビスアニリン-M(0.0045モル)並びに重合後の固形分濃度が15重量%となる量のDMAcを投入し、室温で撹拌して溶解させた。次に、11.986gのNTCDA(0.0447モル)及び13.150gのs-BPDA(0.0447モル)を添加した後、室温で3時間撹拌を続けて重合反応を行い、ポリアミド酸溶液6を調製した。ポリアミド酸溶液6の溶液粘度は37,700cpsであった。
厚さ12μmの電解銅箔の片面に、ポリアミド酸溶液1を硬化後の厚みが約12μmとなるように均一に塗布した後、120℃で加熱乾燥し溶媒を除去した。更に、120℃から360℃までの段階的な熱処理を60分以内で行うことでイミド化を完結し、金属張積層板1を調製した。
得られた金属張積層板1について、エッチング後寸法変化率の評価を行った結果、0.06%であった。また、金属張積層板1について、使用した電解銅箔の熱膨張係数CTEMの測定を実施した結果、CTEMは17.1ppm/Kであり、電解銅箔エッチング後のポリイミドフィルム1の熱膨張係数CTEPは14.5ppm/K、Tgは312℃であり、非熱可塑性を示した。更に、金属配線加工後の外観を確認したところ、4mm周期のうねりが形状確認された。
実施例1と同様にして表1及び表2に示す金属張積層板2~13について作製を行い、エッチング後寸法変化率及び使用した金属箔の熱膨張係数CTEM、金属箔エッチング後のポリイミドフィルムの熱膨張係数CTEP、金属配線加工後の外観の評価を実施した。この際、金属箔やポリアミド酸の種類、熱処理温度及び熱処理時間を変更して実施した。評価結果を表1及び表2に示す。
Claims (6)
- 非熱可塑性ポリイミド層と、該非熱可塑性ポリイミド層の少なくとも一方の面に積層されたインバー箔を備えた金属張積層板であって、
前記非熱可塑性ポリイミド層の熱膨張係数CTE P が-5~10ppm/Kの範囲内であり、前記インバー箔の熱膨張係数CTE M が0~18ppm/Kの範囲内であり、
下記の条件(i)~(iii);
(i)前記非熱可塑性ポリイミド層の厚みが1~15μmの範囲内であること、
(ii)前記非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度Tgが330℃以下であること、
(iii)前記非熱可塑性ポリイミド層の熱膨張係数CTEPと、前記インバー箔の熱膨張係数CTEMとが、次の式(a)の関係であること、
2ppm/K≦CTEM-CTEP≦8ppm/K … (a)
を満たすことを特徴とする金属張積層板。 - 下記の工程(1)~(6);
(1)金属張積層板を、所定の長さに切断して試験片を準備する工程、
(2)前記試験片の縦方向をMD方向、横方向をTD方向としたとき、前記試験片において前記MD方向及び前記TD方向と平行な辺を有する仮想の正四角形を想定し、
前記正四角形における4つの角部と、前記正四角形のMD方向及び前記TD方向の4つの辺上とに、当該一辺の端部をなす2つの角部を基準にして等間隔に、直線状の配列をなす複数のマークを形成する工程、
(3)前記複数のマークの位置を計測し、前記正四角形の一辺に位置するマークと、対向する辺に位置するマークとの間の距離L0を算出する第1の計測工程、
(4)前記試験片の前記インバー箔の一部又は全部をエッチングする工程、
(5)エッチング後に、前記複数のマークの位置を計測し、前記正四角形の一辺に位置するマークと、対向する辺に位置するマークとの間の距離L1を算出する第2の計測工程、及び
(6)前記エッチング前後で同じ2つのマークについて、前記第1の計測工程で得られた距離L0と、前記第2の計測工程で得られた距離L1との差分L1-L0を算出する工程、
を含む試験方法によって得られる値から、
次の式(b)によって算出されるエッチング後の寸法変化率;
寸法変化率(%)=(L1-L0)/L0×100 … (b)
が±0.15%以下である請求項1に記載の金属張積層板。 - 前記非熱可塑性ポリイミド層を構成する非熱可塑性ポリイミドは、芳香族テトラカルボン酸二無水物から誘導される芳香族テトラカルボン酸残基及び芳香族ジアミンから誘導される芳香族ジアミン残基を含むものであり、
前記芳香族テトラカルボン酸残基の全量100モル部に対して、
ピロメリット酸二無水物(PMDA)から誘導される芳香族テトラカルボン酸残基(PMDA残基)を40~65モル部の範囲内、かつ、
3,3’、4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)から誘導される芳香族テトラカルボン酸残基(BPDA残基)及び/又は1,4-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル)二無水物(TAHQ)から誘導される芳香族テトラカルボン酸残基(TAHQ残基)を合計で25~60モル部の範囲内で含有し、
前記芳香族ジアミン残基の全量100モル部に対して、下記の一般式(1A)及び/又は一般式(1B)で表されるジアミン化合物から誘導される芳香族ジアミン残基を合計で90モル部以上含有する請求項1又は2に記載の金属張積層板。
- 前記非熱可塑性ポリイミドに含まれる前記PMDA残基と、前記BPDA残基及びTAHQ残基の合計量とのモル比[PMDA残基/(BPDA残基+TAHQ残基)]が0.5~2.5の範囲内である請求項3に記載の金属張積層板。
- 前記非熱可塑性ポリイミド層は、10GHzにおける誘電正接(Df)が0.005以下である請求項1から4のいずれか1項に記載の金属張積層板。
- 請求項1から5のいずれか1項に記載の金属張積層板の前記インバー箔がパターニングされているパターン化金属張積層板。
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